背任罪①前編——条文・性質・主体・二重抵当〔論証51〕・背任行為3説・横領との区別〔論証52〕
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第12章 財産に対する罪 ⑮/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。
247条 全文カード——背任とは 〔短答・論文〕

247条の、全文です。読みます。他人のために、その事務を処理する者が。自己若しくは第三者の利益を図り、又は。それが、図利加害目的。目的犯です。その任務に背く行為をし。これが、背任行為。本人に、財産上の損害を加えたとき。法定刑は、五年以下の拘禁刑。拘禁刑。古い本は懲役なので、直してください。この4要件を、順に見ていきます。目的と損害は、後編で。
背任の4つの性格 〔短答・論文〕

条文から、背任の性格が、4つ読めます。一つ、真正身分犯。主体が、限定されている。事務処理者という、身分が要ります。目的犯。図利加害目的が、要る。これは後編。結果犯。財産上の損害の、発生が要る。これも後編。#53で置いた、軸ですね。物が減ったかでなく、財産がトータルで減ったか。この対比が、後で効いてきます。250条で、処罰されます。覚えておいてください。
主体——「他人のためにその事務を処理する者」 〔短答・論文〕

主体を、詰めます。事務処理者とは。そこ、3つで絞ります。一つ、財産上の事務に限る。たとえば、医者が患者を治療するのは。でも、財産上の事務じゃ、ない。だから背任の主体でない。二つ目。ある程度、包括的・裁量的な事務。機械的すぎて、外れる、という有力説があります。事実行為も、含む。法律行為に、限らない。イメージは、建物を任された管理人。任された信頼に背いて、住人に損をさせれば、背任。それは、物を自分の物にする=横領。区別の伏線です。
「他人のため」の難所——二重抵当の設例 〔短答・論文〕


「他人のため」の、典型例を見ます。二重抵当。設例です。Aは、自分の土地を持っている。Aは、Xのために、その土地に抵当権を設定する約束をした。ところがAは、Xの登記前に、Yにも設定した。そしてYが、先に登記を済ませた。Xの抵当権は、後回し。価値を失います。問題は、Aの登記協力義務を果たさなかったこと。「他人のため事務処理者」の、任務違背か。
なぜ横領でなく背任か 〔短答・論文〕

では、これは横領か、背任か。そこが、ポイント。甲土地は、Aの物です。自分の物では、横領になりません。じゃあ、背任はどうか。そこです。登記は、誰のための仕事か。主として、Xの財産を保全する事務。協力せずYに先に登記させたら、任務違背。最判昭和31・12・7。最高裁の、判決です。それが、背任のイメージの、核心です。
📝 論文の型

論文の型です。二重抵当と、他人のための事務。太字だけ。登記に協力すべき任務。主として抵当権者の財産を保全するための事務。あとは、趣旨から復元します。②その登記協力義務は、誰のための事務か。④だから、主として他人のための事務=背任の主体。

答案の型です。二重抵当の、設例。甲土地は自分の物だから、横領は問題にならない。規範は、さっきのコア規範。登記協力義務は、主としてXのための事務。協力せずYに登記させたら、任務違背。そこが、答案の決め手です。
背任行為とは——3説で考える 〔論文〕


行為を、詰めます。任務に背く行為とは。3つ。まず、権限濫用説。背任行為は、法的な代理権の、濫用だ、と。主体が、代理権者に限られて、狭すぎる。次、背信的権限濫用説。有力で、答案で立っても、いい。横領との、区別の基準が、出しにくい。背信説。権限じゃなく、信任関係の違背、と見る。これが、判例・通説です。そこ、古い本のOCRが、誤りやすい。それは、誤り。通説は、背信説です。保管物の毀損や、秘密漏示も、背任になりうる。不良貸付、粉飾決算、取締役の自己取引。
横領との区別——この回の山場 〔短答・論文〕


ここから、山場。横領との区別です。問題になる、場面を、押さえます。事務処理者が、同時に、物の占有者でもあるとき。例えば、銀行の支店長A。回収不能と知りつつ、銀行名義で、自分に無担保貸付。銀行の金を、預かる占有者でも、ある。どっちか。基準は、こうです。財物を、領得したなら、横領。背任です。背信の大きな円に、領得の小さな円。領得に至らない、その他の背信が、背任。その軸で、振り分けます。
振り分けの目印——名義・計算 〔短答・論文〕


「領得したか」を、どう見分けるか。目印は、名義・計算です。貸した金の、返済を受ける権利が、誰のものか。本人に帰属するなら、自分の物にしてない。自己に帰属するなら、自分の物にした。村長の、公金貸付で、見ましょう。村の名義・計算で貸せば、返済は村のもの=背任。自分の名義・計算で貸せば、返済は自分のもの=横領。同じ「貸付」でも、帳簿の付き先で、変わる。誰の計算に付くかで、振り分けます。
論文の型:横領との区別〔論証52〕 〔論文〕

二つ目の、論文の型。横領との区別です。太字だけ。領得行為、背信行為。本人の名義・計算、自己の名義・計算。①横領は領得、背任は信任の違背。③物を自分の物にしたなら横領、背信だけなら背任。本人なら背任、自己なら横領。

答案の型です。村長の、公金貸付。Aは、占有者でもあり、事務処理者でもある。規範は、さっきのコア規範。村の名義・計算なら、返還請求権は村。自己の名義・計算なら、返還請求権は自分。同じ事実から、名義・計算で、結論が割れる。
短答ひっかけ

整理します。①247条と、性質。拘禁刑・未遂250・全体財産罪。医師の診療は、事務でない。包括裁量・事実行為も含む。登記協力義務は、主としてXのための事務。④背任行為は、3説。通説は、背信説。⑤横領との区別〔論証52〕。目印は、本人の名義・計算か、自己の名義・計算か。その軸で、全部つながります。
今日の地図(保存版)

まとめます。背任は、横領と並ぶ財産罪。前編で、五つ固めました。4要件・拘禁刑・全体財産罪。③二重抵当は、登記協力義務=他人のための事務。④背任行為は、通説=背信説。これで、背任の前半が、固まりました。残り2要件。財産上の損害と、図利加害目的。善意の支店長の話も、後編です。後編で、お会いしましょう。お疲れさまでした。