公務員の労働基本権と国民の義務——最高裁が三度、答えを変えた理由
印刷のコツ
プリンターでは次の設定がおすすめです。
- 用紙:A4 / 向き:縦
- 拡大縮小:「実際のサイズ」(フィット縮小しない)
- 両面印刷:オン、とじ方は「長辺をとじる」(左綴じ)
- モノクロ印刷OK(強調は色でなく太字なので白黒でも読めます)
第3章 人権各論 #57/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。
現行法の三つの層——争議権だけは、全員一律に否定
図:三つの層と根拠条文
- 層1=警察職員・海上保安庁職員・刑事施設職員・消防職員・自衛隊の隊員=団結権も団体交渉権も争議権もすべて否定
- 層2=非現業の一般公務員=団結権はあり、団体交渉権は一部×(協約締結権を含まない)、争議権は×
- 層3=現業の一般公務員(行政執行法人等)=団結権・団体交渉権はあり、争議権は×
- 共通点=争議権だけは全員一律に否定
まず、今の制度を確認しましょう。公務員といっても、一枚岩ではありません。大きく三つの層があります。一つ目。警察職員、海上保安庁や刑事施設で働く職員、消防職員、自衛隊の隊員です。この人たちは、団結権も団体交渉権も争議権も、すべて否定されています。労働組合そのものを作れません。国家公務員法の百八条の二第五項に、こうあります。
条文国家公務員法 108条の2第5項
国家公務員法 第百八条の二第五項 警察職員及び海上保安庁又は刑事施設において勤務する職員は、職員の勤務条件の維持改善を図ることを目的とし、かつ、当局と交渉する団体を結成し、又はこれに加入してはならない。
この条文には、消防職員は入っていません。消防は地方公務員だからです。根拠条文は、地方公務員法の五十二条五項になります。ここは短答で狙われる細部です。二つ目の層です。非現業の一般公務員。役所の窓口で働くような職員をイメージしてください。権力的な行政事務ではなく、企業の経営に近い事務に携わる職員のことです。非現業は、それ以外の一般の職員を指します。役職の上下とは関係ありません。団結権はあります。団体交渉権も、実は認められています。ただし、一部だけです。話し合いには応じてもらえます。しかし、合意を書面にする権利はありません。
条文国家公務員法 108条の5第2項
国家公務員法 第百八条の五第二項 職員団体と当局との交渉は、団体協約を締結する権利を含まないものとする。
だから「団体交渉権が無い」と丸めるのは、正確ではありません。争議権のほうは、はっきり否定されています。ストライキはできません。三つ目の層です。現業の一般公務員。工場や病院のような、経営に近い事務を担う職員です。団結権も団体交渉権も、フルに認められています。現業の一般公務員であっても、争議権だけは否定されます。争議行為等の禁止を定めているのが、この条文です。
条文国家公務員法 98条2項
国家公務員法 第九十八条第二項 職員は、政府が代表する使用者としての公衆に対して同盟罷業、怠業その他の争議行為をなし、又は政府の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない。又、何人も、このような違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおつてはならない。
この条文は、あとで、もう一度出てきます。現業の職員には、また別の法律が用意されています。行政執行法人の労働関係に関する法律です。十七条を見てください。
条文行政執行法人の労働関係に関する法律 17条
行政執行法人の労働関係に関する法律 第十七条 職員及び組合は、行政執行法人に対して同盟罷業、怠業、その他業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない。また、職員並びに組合の組合員及び役員は、このような禁止された行為を共謀し、唆し、又はあおつてはならない。 行政執行法人は、作業所閉鎖をしてはならない。
二項の作業所閉鎖という言葉が重要です。この話も、あとでもう一度使います。今は名前だけ覚えておいてください。
図:三つの層と根拠条文
- 再掲
- (層1=警察職員等=全否定/層2=非現業の一般公務員=団結権あり・団体交渉権は一部×・争議権×/層3=現業の一般公務員=団結権・団体交渉権はあり・争議権×/共通点=争議権だけは全員一律に否定)
まとめておきましょう。一つ目の層。警察職員たちは、全部否定。二つ目の層。非現業の一般公務員は、団体交渉権が一部だけ、争議権は否定。三つ目の層。現業の一般公務員は、団結権と団体交渉権はフル、争議権だけ否定。争議権だけが全員一律に否定されるという共通点を、これから判例で確かめていきます。なぜ、争議権だけがここまで一貫して否定されるのか。そこに、最高裁の三度の答えがあります。
第一期——標語で切った時代
図:政令二〇一号事件
- 国鉄の機関区に勤務する職員
- 国家公務員法改正反対等を掲げて職場を離脱
- 争議手段にあたるとして有罪
- 根拠=十三条後段の文言+十五条の括弧書き
- 目盛りが無い=公共の福祉の回で見た一元的外在制約説と同じ発想
最初の答えは、昭和二十八年に出ました。政令二〇一号事件です。当時、占領下で、政令に法律と同じ強い効力が与えられていた時期がありました。そのなかの一つが、政令二〇一号です。国家公務員の争議行為を禁じていました。事案です。国鉄の機関区に勤務していた職員たちが、国家公務員法の改正に反対して、行動隊を作り、職場を離脱しました。有罪になりました。最高裁が、どう理由づけたか見ましょう。
判例最高裁判所大法廷判決・昭和二十八年四月八日(政令二〇一号事件)
政令二〇一号事件——標語による正当化 国民の権利はすべて公共の福祉に反しない限りにおいて立法その他の国政の上で最大の尊重をすることを必要とするのであるから、憲法二八条が保障する勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利も公共の福祉のために制限を受けるのは已を得ないところである。殊に国家公務員は、国民全体の奉仕者として(憲法一五条)公共の利益のために勤務し、且つ職務の遂行に当つては全力を挙げてこれに専念しなければならない(国家公務員法九六条一項)性質のものであるから、団結権団体交渉権等についても、一般の勤労者とは違つて特別の取扱を受けることがあるのは当然である。
ここで、一つ確かめておきたいことがあります。この判決文に「十三条」という条番号は、実は出てきません。判決が使っているのは、十三条の言葉そのものです。「公共の福祉に反しない限りにおいて……最大の尊重をすることを必要とする」。これは十三条後段の文言そのものですが、条番号は挙げていません。そして「全体の奉仕者」のほうは、括弧で「憲法一五条」と引いています。断定しすぎないよう、注意しておきたいところです。さて、ここで振り返ってほしい回があります。公共の福祉の回です。あのとき、十二条・十三条を、全人権への外側からの一般的な制約だと読む説を見ましたね。
この判決は、まさにその一元的外在制約説と同じ発想で切っています。「公共の福祉」と「全体の奉仕者」、二つの言葉を並べただけです。目盛りが無いという点が、この判決のいちばんの弱さです。標語を掲げただけで、程度の問題には、何も答えていません。この目盛りの無さが、次の時代を動かします。
第二期①——公務員も「勤労者」である
図:全逓東京中郵事件
- 層=現業の国家公務員
- 郵政職員
- 根拠法=公共企業体等労働関係法十七条一項〈国家公務員法ではない〉
- 罪名=郵便法違反教唆
- 結論=破棄差戻
- 保障は及ぶ・十五条を根拠に全否定は許されない
- 制約の4つの考慮点、4番目が代償措置
十三年後、最高裁は最初の答えを、大きく塗り替えます。全逓東京中郵事件です。全逓というのは、郵便局員たちの労働組合です。当時、郵政の職員は現業の国家公務員でした。現業の職員には、国家公務員法ではなく、公共企業体等労働関係法という別の法律が適用されていました。その法律の十七条一項が、争議行為を禁止していました。この事件で問われたのは、その争議行為を教唆したという、郵便法違反の罪です。そそのかした、ということです。争議行為そのものではなく、そそのかした人が起訴されました。まず、最高裁が置いた出発点を見ましょう。
判例最高裁判所大法廷判決・昭和四十一年十月二十六日(全逓東京中郵事件)
全逓東京中郵事件①——保障は公務員にも及ぶ 右に述べた労働基本権は、たんに私企業の労働者だけについて保障されるのではなく、公共企業体の職員はもとよりのこと、国家公務員や地方公務員も、憲法二八条にいう勤労者にほかならない以上、原則的には、その保障を受けるべきものと解される。「公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない」とする憲法一五条を根拠として、公務員に対して右の労働基本権をすべて否定するようなことは許されない。
ここで、条文そのものも見ておきましょう。
条文日本国憲法 15条2項
日本国憲法 第十五条第二項 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
同じ条文を使いながら、使い方が正反対になっています。前の判決は、この条文を「制限してよい理由」に使いました。この判決は、この条文だけを理由に「全部否定するのは許されない」と、名指しで否定しています。第一期の理由そのものに、正面から反論した形です。政治活動の回で見た全体の奉仕者説です。公務員だから、でひとまとめにするところが弱点でした。公務員も、憲法二十八条の勤労者にあたる。これが出発点です。そのうえで、最高裁は、制限してよい場合の目盛りを、四つ置きました。
判例最高裁判所大法廷判決・昭和四十一年十月二十六日(全逓東京中郵事件)/四つの考慮点から抜粋・……は判旨中略
全逓東京中郵事件②——制約の四つの考慮点 労働基本権の制限は、労働基本権を尊重確保する必要と国民生活全体の利益を維持増進する必要とを比較衡量して、両者が適正な均衡を保つことを目途として決定すべきであるが……その制限は、合理性の認められる必要最小限度のものにとどめなければならない。 労働基本権の制限は、勤労者の提供する職務または業務の性質が公共性の強いものであり、したがつてその職務または業務の停廃が国民生活全体の利益を害し、国民生活に重大な障害をもたらすおそれのあるものについて、これを避けるために必要やむを得ない場合について考慮されるべきである。 とくに、勤労者の争議行為等に対して刑事制裁を科することは、必要やむを得ない場合に限られるべきであり、同盟罷業、怠業のような単純な不作為を刑罰の対象とするについては、特別に慎重でなければならない。 職務または業務の性質上からして、労働基本権を制限することがやむを得ない場合には、これに見合う代償措置が講ぜられなければならない。
一つ目、必要最小限度にとどめること。二つ目、職務の公共性が強い場合に限って考慮すること。三つ目、刑事罰は、とくに必要やむを得ない場合に限ること。四つ目、制限する以上、それに見合う代償措置を講じること。取り上げた権利の代わりに、別の仕組みを用意しておくことです。ここは、注意して覚えてほしいところです。教科書だと、代償措置は次の時代——全農林警職法事件の理由として、紹介されがちです。実は、この事件で、すでに四番目の考慮点として、置かれています。代償措置は、第三期の発明ではありません。この判決から始まっています。
変わらずに引き継がれるものがある。そこが、今日の大きな見取り図の一つです。あとで、もう一度この話に戻ります。もう一点、この判決文には「憲法二五条の生存権の保障を基本理念とし」という一節もあります。労働基本権は、生きていくための権利という土台の上に立っています。さて、この判決は、有罪も無罪も言い渡していません。結論は破棄差戻でした。目盛りは示したけれど、実際に当てはめる作業は、下級審に戻されました。目盛りをどう使うか。それが、次の判決の課題になります。
第二期②——処罰される行為を、二重に絞る
図:都教組事件
- 層=非現業の地方公務員
- 教職員組合
- 根拠法=地方公務員法三十七条一項・六十一条四号
- 勤務評定反対の一斉休暇闘争の指令を執行委員長らが配布・伝達
- 結論=破棄自判・無罪
- 処罰される行為を二段に絞る
三年後、最高裁は、目盛りの使い方を、実際に示します。都教組事件です。東京都の公立学校の先生たちの組合が舞台です。文部省が、教職員の勤務評定を実施しようとして、組合は反対しました。都の教育長が話し合いを拒んだため、組合は一斉休暇闘争の指令を出します。全員そろって、有給休暇を取る形の争議行為です。起訴されたのは、争議行為そのものではなく、その指令を配布し、趣旨を組合員に伝えた、執行委員長ら組合の幹部でした。地方公務員法の三十七条一項が争議行為等を禁じ、六十一条四号が、あおる行為を処罰しています。
条文地方公務員法 37条1項
地方公務員法 第三十七条第一項 職員は、地方公共団体の機関が代表する使用者としての住民に対して同盟罷業、怠業その他の争議行為をし、又は地方公共団体の機関の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない。又、何人も、このような違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおつてはならない。
対になっている条文だと考えてください。国が国家公務員法、地方が地方公務員法です。この事件で、最高裁は、処罰される行為を、二段構えで絞り込みました。
判例最高裁判所大法廷判決・昭和四十四年四月二日(都教組事件)/……は判旨中略
都教組事件——処罰される行為を二段で絞る それは、争議行為自体が違法性の強いものであることを前提とし、そのような違法な争議行為等のあおり行為等であつてはじめて、刑事罰をもつてのぞむ違法性を認めようとする趣旨と解すべきであつて…… 争議行為そのものを処罰の対象とすることなく、あおり行為等にかぎつて処罰すべきものとしている地公法六一条四号の趣旨からいつても、争議行為に通常随伴して行なわれる行為のごときは、処罰の対象とされるべきものではない。
一段目が、争議行為自体の違法性が強いこと。二段目は、あおり行為が、通常随伴する範囲を超えていることです。争議行為に、ふつう付き物として出てくる行為のことです。指令を配ったり、趣旨を説明したりするのは、争議行為にごく普通に伴う行為ですよね。この二つの絞りを通ると、被告人らは無罪になりました。前の判決と違って、下級審には戻していません。最高裁が自分で、無罪の結論まで出しています。ここで、正確に押さえておきたい言葉の話があります。この二段の絞りは、教科書では「二重のしぼり」とか「合憲限定解釈」と呼ばれています。
実は、この判決文のどこにも、その言葉自体は出てきません。そう呼ばれているのは、学説の側です。判決がしたことに、後から名前がついています。覚えるときは、その出どころまで、意識しておいてください。さて、条文を生かしたまま無罪にできたのは、大きな成果です。ただし、これには、代償が伴います。「争議行為自体の違法性が強い」「通常随伴する範囲を超える」。この線を、最終的に引くのは、裁判所です。この点が、後で、もう一度問題になります。
図:同じ日、同じ道具、逆の結論——都教組事件と全司法仙台事件の対比
- 左=都教組事件
- 非現業の地方公務員
- 組合の執行委員長らが指令を配布・伝達
- 争議行為に通常随伴する行為
- 破棄自判・無罪|右=全司法仙台事件
- 同じ最高裁大法廷・同じ日
- 新安保条約反対の職場大会への参加を呼びかけ、あおりの罪に問われた被告人は四名で、うち三名は裁判所職員でない第三者
- 残る一名は組合支部の執行委員長だが第三者と共謀したため通常随伴と認められず
- 棄却・有罪維持|違いは物差しではなく、当てはめの側にあった
ここで、一つ、質問です。同じ日に、同じ最高裁の大法廷が、同じ二段の絞りを使って、もう一件、判断しています。舞台は裁判所の職員です。結論は、どうなったと思いますか?実は、無罪にはなりませんでした。全司法仙台事件です。有罪維持でした。何が違ったのか、事案を見てみましょう。新安保条約に反対する職場大会が、裁判所の玄関前で開かれました。呼びかけた側には、裁判所の職員だけでなく、その職員団体とは関係のない第三者が含まれていました。他の省庁の労組役員や、外部から派遣された活動家です。そのうえ、この職場大会の目的は、勤務条件の改善ではなく、安保条約への反対でした。
同じ二段の絞りに当ててみましょう。一段目、争議行為自体の違法性の強さ。政治目的の争議行為は、違法性が強いと評価されます。二十八条が守るのは、労働条件について対等に交渉する力でした。その力を使う場面から、外れているからです。二段目、通常随伴する範囲。組合員でも職員でもない第三者による呼びかけは、争議行為に「通常」付き物とは言えません。同じ道具を使っても、当てはめる事実が違えば、結論は変わります。そのことが、いちばんはっきり出ているのが、あおりの罪に問われた四人のうちの一人です。その人は裁判所の職員で、しかも組合の支部で執行委員長を務めていました。都教組の被告人たちと、同じ立場です。
その人も、有罪になりました。外部の人たちと組んで動いた以上、通常随伴する行為とは認められない、というのが最高裁の判断です。立場が同じでも、動き方が違えば、結論は変わります。そこが、この二件のいちばんの教訓です。道具があること自体が、被告人を必ず救うわけではありません。そして、この事実が、次の時代への伏線になります。
第三期——一律禁止を合憲とした四つの理由
図:全農林警職法事件
- 層=非現業の国家公務員
- 農林省職員の労働組合役員
- 対象条文=事件当時(昭和四十年改正前)=国家公務員法九八条五項・百十条一項十七号
- 現行=九八条二項・百十条一項十六号
- 事案=警察官職務執行法改正反対の政治スト、庁舎の入口をピケで封鎖
- 結論=棄却・有罪維持
そして昭和四十八年、三度目の答えが出ます。全農林警職法事件です。舞台は、農林省の職員で組織する労働組合の役員たちです。非現業の国家公務員です。ここで、一つ、注意しておきたいことがあります。この事件は、賃上げを求めた争議ではありません。当時、内閣が、警察官職務執行法の改正案を国会に提出しました。それに反対する統一行動として、争議行為が計画されました。被告人らは、まず、統一行動への参加を呼びかける指令を出しました。そのうえで、農林省の庁舎の各入口に人垣を築き、扉を縛りつけ、職員およそ二千五百人を、庁舎に入れないようにしむけました。
正面玄関前の職場大会には、二千人以上が参加しました。被告人らは、この指令の発出とピケの実行が、国家公務員法違反にあたるとして起訴されました。対象条文を確認しておきます。ここで、条文番号に、注意が必要です。
図:対象条文の現行と事件当時
- 判決が判断したのは昭和四十年改正前の国家公務員法九八条五項・百十条一項十七号
- 現行では九八条二項・百十条一項十六号
- 注意=現行の百十条一項十七号は別の罪〈証言拒否に関する罪〉であって争議行為の罪ではない
この判決が判断したのは、改正前の国家公務員法です。事件当時の条文番号は、九十八条五項・百十条一項十七号でした。今の条文番号は、九十八条二項・百十条一項十六号です。判決の後、法律の改正があって、条文の位置がずれたからです。ここで、絶対に間違えてはいけない点があります。現行の百十条一項十七号は、争議行為の罪ではありません。別の罪です。短答で条文番号を問われたら、現行は十六号、と覚えてください。さて、法廷意見です。まず、出発点を確認しましょう。
判例最高裁判所大法廷判決・昭和四十八年四月二十五日(全農林警職法事件)
全農林警職法事件①——保障は公務員にも及ぶ(維持) 公務員は、私企業の労働者とは異なり、使用者との合意によつて賃金その他の労働条件が決定される立場にないとはいえ、勤労者として、自己の労務を提供することにより生活の資を得ているものである点において一般の勤労者と異なるところはないから、憲法二八条の労働基本権の保障は公務員に対しても及ぶものと解すべきである。
保障は及ぶという出発点が、とても大事な点です。この判決は、出発点を変えていません。公務員も憲法二十八条の勤労者である。ここは、そのまま維持されています。では、何が変わったのか。理由の置き場所です。ここからが、今日の背骨です。最高裁が挙げた理由の中心を見ましょう。
判例最高裁判所大法廷判決・昭和四十八年四月二十五日(全農林警職法事件)。……は判旨中略
全農林警職法事件②——勤務条件は法律と予算で決まる 公務員の給与をはじめ、その他の勤務条件は、私企業の場合のごとく労使間の自由な交渉に基づく合意によつて定められるものではなく、原則として、国民の代表者により構成される国会の制定した法律、予算によつて定められることとなつているのである。……政府が国会から適法な委任を受けていない事項について、公務員が政府に対し争議行為を行なうことは、的はずれであつて正常なものとはいいがたく、……憲法の基本原則である議会制民主主義(憲法四一条、八三条等参照)に背馳し、国会の議決権を侵す虞れすらなしとしないのである。
ここで、今日の冒頭に戻りましょう。図書室の先生の話です。公務員の勤務条件を決めるのは、政府ではありません。国会です。政府は、国会が決めたとおりに、法律と予算を執行する立場にすぎません。だから、政府に対して争議行為をしても、そもそも的を外しています。もし押し切って、政府が言うことを聞いてしまったら、どうなるでしょうか。国会が決めるべきことを、政府が勝手に動かしてしまうことになりますね。選挙で選ばれた代表が決める場所を、一部の集団の圧力で動かすことになります。教科書では「勤務条件法定主義」と呼ばれることがあります。
勤務条件法定主義という言葉は、実は法廷意見にはありません。法廷意見の言葉は、法律と予算で決まること、的はずれであること、議会制民主主義に背馳すること、というものです。呼び名は覚えても、中身はこの判決自身の言葉で押さえてください。あの図を、もう一度出しましょう。
図:交渉のテーブルが無い
- 再掲
- (A=公務員/B=政府・決める権限が無い/C=国会・法律と予算で決める/D=国民)
Aの公務員がBの政府に求めても、Bには決める権限がありません。決めているのは、Cの国会です。だから、Bへの争議行為は、的はずれになります。もう一つ、この判決には、興味深い点があります。十三条の使い方です。この判決も、十三条に触れています。ただし、中身が違います。「公共の福祉」を「勤労者たる地位にあるすべての者を包摂した国民全体の共同の利益」と、言い換えているんです。第一期は、標語をそのまま置いただけでした。この判決は、同じ条文を使いながら、中身を具体的な理由に入れ替えています。標語から、中身へ。この動きも、覚えておいてください。あとで、もう一度出てきます。理由は、これだけではありません。全部で四つあります。まとめておきましょう。
⭐ 論文で書く規範:全農林警職法事件——一律禁止を支える四つの理由 ①地位の特殊性と、職務の公共性。公務員の勤務は、国民全体の利益と直結している。 ②勤務条件は、法律と予算で決まる。政府への争議行為は的はずれで、議会制民主主義に背馳する。この回の背骨。 ③私企業には、争議行為に対抗する作業所閉鎖(ロックアウト)や、市場からの抑制力があるが、公務員の場合には、そのどちらも働かない。 ④制約に見合う代償措置として、勤務条件についての周到詳密な規定と、準司法機関的性格を持つ人事院が置かれている。 (最高裁判所大法廷判決・昭和四十八年四月二十五日(全農林警職法事件))
①は、公務員の仕事そのものの性質です。②は、今、見た背骨です。一つ目の層を思い出してください。警察職員や消防職員が一斉に持ち場を離れたら、その日のうちに、助けを呼んでも誰も来なくなります。国民全体の利益と直結している、というのは、この意味です。③を見てください。私企業には、対抗手段があります。使用者のほうが、事業所を閉めて、労働者を締め出す対抗手段です。民間の会社は、これを使えます。しかし、公務員の使用者である国は、使えません。実は、法律自身が禁じているんです。さっき、名前だけ出てきた条文です。行政執行法人の労働関係に関する法律、十七条二項に「行政執行法人は、作業所閉鎖をしてはならない」とありました。
地方の現業についても、地方公営企業等の労働関係に関する法律十一条二項に、同じ定めがあります。争議行為をする側も、対抗する側も、法律の枠の中に置かれています。そして、市場の力も働きません。民間企業は、値段や品質で顧客に選ばれなければ、事業が立ち行かなくなります。公務員の仕事には、そういう競争相手がいません。だから、争議行為に対する自然な歯止めが、そもそも働かないんです。最後に④です。制限する以上、代わりの仕組みが要る。ここも、覚えていますか。さっき、全逓東京中郵事件で出てきましたね。四番目の考慮点でした。人事院による勧告や、行政措置要求という仕組みです。
条文国家公務員法 86条
国家公務員法 第八十六条 職員は、俸給、給料その他あらゆる勤務条件に関し、人事院に対して、人事院若しくは内閣総理大臣又はその職員の所轄庁の長により、適当な行政上の措置が行われることを要求することができる。
この四つが、一律禁止を合憲とした理由です。結論として、最高裁は、争議行為の一律禁止を、合憲としました。ただ、この判決は、第二期を全否定したわけではありません。「公務員も勤労者である」という出発点は、そのまま引き継いでいます。変わったのは、制限してよい理由の置き場所です。実は、この判決には、多数意見に同調しない裁判官もいます。田中二郎裁判官ほか四名の意見は、結論には賛成しつつ、十五条二項の「全体の奉仕者」を制約の理由に使うことに、疑問を投げかけています。理由づけの中身までは深入りしませんが、全会一致で決まった話ではない、ということは、覚えておいてください。
なぜ「二重のしぼり」は捨てられたのか
図:絞ったら、線がぼやけた
もう一つ、全農林警職法事件が踏み込んだ論点があります。都教組事件の、二段の絞りです。この判決は、その絞り方自体を、切り捨てます。理由は、三十一条です。あの条文を、もう一度出しましょう。
条文日本国憲法 31条
日本国憲法 第三十一条 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。
ところが今日は、明確性の原則が逆向きに使われます。ここが、驚くところです。ふつうは、条文の書きぶりそのものが曖昧なとき、その条文を狙って使います。ところが、二段の絞りは、もともとの条文を救うために、裁判所が後から加えた解釈です。ところが最高裁は、その道具のほうを、明確性の原則で切りました。
判例最高裁判所大法廷判決・昭和四十八年四月二十五日(全農林警職法事件)
全農林警職法事件③——限定解釈への疑い いずれにしても、このように不明確な限定解釈は、かえつて犯罪構成要件の保障的機能を失わせることとなり、その明確性を要請する憲法三一条に違反する疑いすら存するものといわなければならない。
絞ったことで、かえって不明確になってしまうという逆転です。想像してみてください。「八時半までに登校すること」という校則があるとします。これは、明確です。そこに「ただし、やむを得ない事情があるときは、この限りでない」という例外を付け加えます。ところが、これで、揉め事が始まります。何が「やむを得ない」のか、誰にも分かりません。「争議行為自体の違法性が強い」「通常随伴する範囲を超える」も、同じ形です。助けるための絞りが、新しい、読めない線を作ってしまう。その線がある限り、何が処罰されるのか、誰にも予測がつきません。
だから、この絞り方は、切り捨てられました。ここにも、意見の違いがあります。岸盛一裁判官と天野武一裁判官は、法廷意見よりもさらに踏み込んで、この限定解釈は明らかに三十一条に違反する、と述べています。逆に、田中二郎裁判官ほか四名は、限定解釈を維持すべきだという立場です。結論は割れても、みんな三十一条という同じ条文を、手がかりにしています。この判決で変更されたのは、どの判決だったか、覚えていますか。変更されたのは、都教組事件ではありません。都教組事件は、無罪という結論を維持したまま残っています。変更されたのは、同じ日に有罪になった、もう一つの判決です。
判決文にも「全司法仙台事件についての当裁判所の判決は……変更を免れない」と、明記されています。二段の絞り自体は退けられましたが、都教組事件の無罪という結論そのものが、ひっくり返ったわけではありません。ここまでで、三度目の答えが出そろいました。次は、全体を振り返りましょう。
三度の変遷は、何を探していたのか
図:第二期の三判決、それぞれが第三期の三判決で変更された
- 全逓東京中郵事件→全逓名古屋中郵事件で変更
- 都教組事件→岩手県教組学テ事件で変更
- 全司法仙台事件→全農林警職法事件で変更
実は、第三期は、全農林警職法事件だけでは終わりません。その後、二件、同じ理由づけを広げる判決が続きます。一つは、岩手県教組学テ事件です。地方公務員法違反が問われました。もう一つは、全逓名古屋中郵事件です。郵政職員による公労法違反が問われました。名前が似ているのには、理由があります。都教組事件を変更したのが、岩手県教組学テ事件。全逓東京中郵事件を変更したのが、全逓名古屋中郵事件です。第二期の三つの判決が、第三期の三つの判決で、一件ずつ変更されています。
図:対応表
- 全逓東京中郵事件〈現業・公労法〉→全逓名古屋中郵事件で変更
- 都教組事件〈非現業・地公法〉→岩手県教組学テ事件で変更
- 全司法仙台事件〈非現業・国公法〉→全農林警職法事件で変更
国家公務員も、地方公務員も、現業の職員も、全部同じ理由づけで塗り替えられました。岩手県教組学テ事件には、もう一つ、覚えておいてほしいことがあります。実は、これと同じ日、同じ最高裁の大法廷が、もう一つ、別の重要な判決を出しています。同じ日に出たもう一つの判決は、旭川学力テスト事件です。教育を受ける権利の回で扱った、あの事件です。事件としてはまったく別物ですが、日付は同じです。短答で問われたときは、事件番号や当事者で見分けてください。さて、ここまでの三期を、一枚の図にまとめましょう。
図:理由の置き場所が動いた
- 第一期=標語〈公共の福祉・全体の奉仕者〉
- 第二期=職務の公共性+必要最小限度
- 第三期=勤務条件の決め方そのもの
- 代償措置だけが、第二期から第三期へそのまま引き継がれた
第一期は、標語でした。公共の福祉と、全体の奉仕者。第二期は、職務の公共性です。必要最小限度という目盛りが、初めて入りました。第三期は、勤務条件の決め方そのものです。政府には、決める権限が無い。そして、この動きの中で、ずっと変わらず引き継がれたものが、一つだけあります。第二期の四番目の考慮点として生まれ、第三期の四つの理由の一つとして、そのまま残りました。二つの時代をつなぐ、唯一の線です。ここで、最後に、とても大事な注意をしておきます。「代償措置がちゃんと機能しなければ、争議行為の禁止は違憲になる」。こう聞いたことがあるかもしれません。
これは、法廷意見が述べたことではありません。
図:誰が言ったか——法廷意見と補足意見
- 法廷意見=一律禁止は合憲・代償措置が設けられていることを理由の一つに挙げる
- 岸盛一・天野武一 両裁判官の追加補足意見=代償措置が本来の機能を果たさず画餅にひとしい事態になれば争議行為は憲法上保障される
- その補足意見自身が「多数意見においてとくに言及されていない」と明記
この判決には、多数の裁判官が、個別に意見を書いています。そのうち、岸盛一裁判官と天野武一裁判官の、追加の補足意見があります。そこでは「代償措置が、その本来の機能を果たさず、画餅にひとしい事態になれば、そのときの争議行為は、憲法上保障されたものというべきだ」と述べられています。絵に描いた餅です。形だけあって、実際には役に立たない状態を指します。法廷意見と同じかどうか。ここが、今日いちばん注意してほしいところです。この補足意見自身が、こう書いています。「以上のことは、多数意見においてとくに言及されていないが、その立場からは当然の理論的帰結であると考える」。
法廷意見が言ったのは、代償措置が設けられているという事実までです。「代償措置が機能しなければ違憲になる」というところまでは、法廷意見は踏み込んでいません。同じ趣旨の意見は、岩手県教組学テ事件でも同じ裁判官が繰り返し、全逓名古屋中郵事件では、団藤重光裁判官の反対意見が、同じような指摘をしています。ですが、いずれも、法廷意見ではありません。ここは、正確に線を引いておいてください。さて、今日の一問に、戻りましょう。公務員は、なぜストライキができないのか。公務員という身分そのものが理由なのかと思っていましたが、違うんですね。理由は、身分ではありません。勤務条件の決め方にあります。政府には、それを決める権限が無い。だから、政府への争議行為は、的を外している。そして、制限する以上、代わりの仕組みが働いていることが、その制限を支える条件になります。
今日、いちばん持ち帰ってほしい一文です。
国民に向けられた三つの条文
図:国民の義務——なぜそれ自体では効かないのか
- 26条2項前段=保護者の普通教育を受けさせる義務
- 27条1項後段=勤労の義務
- 30条=納税の義務
- 憲法の名宛人は国家であって国民ではない
- 義務を課すには法律が必要
最後に、もう一つの宿題を回収します。国民の義務です。憲法が国民に向けている条文は、実は、そう多くありません。大きく三つです。一つ目、教育を受ける権利の回で見た、二十六条二項前段。保護する子女に普通教育を受けさせる義務です。義務を負うのは、子ども自身ではなく、保護者でした。ここは、前に扱った回に譲って、深追いしません。二つ目、二十七条一項後段。勤労の義務です。今日は、後段の義務のほうです。この義務には、法的な意味があるとされています。働く意思も能力もあるのに、正当な理由なく働かない人には、二十五条の生存権や、二十七条一項前段の保障が、及ばなくなるという点です。
実際にこれを受け止めているのが、生活保護法です。
条文生活保護法 4条1項
生活保護法 第四条第一項 保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。
働ける力があるのに使わない人は、この要件を満たせません。ただし、ここは注意が要ります。この法的な意味づけは、通説の説明です。二十七条一項後段が無くても、法律で同じ要件を置けるはずだ、という指摘もあります。断定はせず、そう考えられている、というところまでにしておきましょう。三つ目、三十条。納税の義務です。
条文日本国憲法 30条
日本国憲法 第三十条 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。
ここで、一つ確かめたいことがあります。たとえば、外国人が日本で働いて、給料をもらったとします。所得税は、どうなるでしょうか。引かれますよね。働いている以上。外国人技能実習生でも、日本で働けば、所得税が天引きされます。条文が「国民」と書いているかどうかだけでは決まりません。そこが、以前見た性質説と、同じ話です。覚えていますか。「国民は」「何人も」という条文の書き分けだけでは、決まらない、という話でしたね。所得税法を見てみましょう。
条文所得税法 5条1項・2項柱書
所得税法 第五条第一項・第二項柱書 居住者は、この法律により、所得税を納める義務がある。 非居住者は、次に掲げる場合には、この法律により、所得税を納める義務がある。
国籍ではなく、日本に住んでいるかどうかで切っています。三十条の「国民」も、文言どおりに、国籍だけで区切られているわけではありません。以前、人権享有主体性の回で見た構図と、同じです。
⭐ 論文で書く規範:国民に向けられた三つの条文 二十六条二項前段——保護者に普通教育を受けさせる義務。具体化する法律は、学校教育法。 二十七条一項後段——勤労の義務。具体化する法律は、生活保護法。 三十条——納税の義務。具体化する法律は、所得税法など。 いずれも、条文だけでは国民を動かさない。法律を通して、はじめて働く。 (通説の理解(判例が正面から述べたものではない))
さて、ここで、大きな問いを立てましょう。なぜ、この三つの条文は、それだけでは私たちを動かさないのでしょうか。この三つの条文があるからといって、いきなり国民に義務が生じるわけではありません。必ず、法律を通す必要があります。ここで、いちばん最初に見た条文を、思い出してください。九十九条です。「国民」は、その名宛人リストに入っていませんでしたね。国家を縛るための文書の中に、国民に向けた条文が、三つだけ混じっている。この形自体が、実は異例なんです。憲法上の義務の条文は、法律で国民に課せる義務のうち、憲法が特に重いと見たものを、あらかじめ書き出しておいたもの。そう説明されています。それ以上の働きは持ちません。
この説明も、判例が正面から述べたものではありません。ここも、通説の理解です。実際に私たちを動かすのは、憲法の下に置かれた法律のほうです。学校教育法であり、生活保護法であり、所得税法です。土台であって、それ自体が私たちに直接、命令しているわけではありません。
今日の地図(保存版)
図:今日の到達点
- 公務員の労働基本権が制限される理由は身分ではなく勤務条件の決め方にある
- 代償措置が制限を支える条件
- 三度の答えは同じ問いへの道のりだった
- 国民の義務は憲法だけでは動かず法律を必要とする
今日の内容を、まとめましょう。冒頭の問いは、公務員は、なぜストライキができないのか、でした。目の前の相手に、決める権限が無い。この一点が、すべての出発点でした。最高裁は、同じ問いに、三度、違う答えを出しました。第一期は、標語。第二期は、職務の公共性。第三期は、勤務条件の決め方そのもの。そして、代償措置だけが、第二期から第三期へ、ずっと引き継がれています。到達点を、一文にします。公務員の労働基本権が制限される理由は、公務員という身分ではなく、勤務条件の決め方にあります。理由がそこにある以上、代わりの仕組みが働いていることが、制限を支える条件になります。
もう一つ、国民の義務も見ました。憲法だけでは私たちを動かしません。法律を通して、初めて働きます。さて、今日で、人権の分野は、いったん終わりになります。
図:人権編を貫いていた一本の問い
- 出発点=個人の尊重/繰り返し問うてきたのは「どこまで制限してよいか」=制約の物差し
- ①標語だけで切る=目盛りが無い
- ②身分でひとまとめにせず、関係ごとに根拠と限度を問う
- ③今日=制限の理由を「身分」ではなく「勤務条件の決め方」に置く/最後の答えも、同じ一本の問いへの答えだった
その道のりに、一本だけ筋が通っていました。一枚の図にしておきましょう。一つずつ別の話に見えて、実はつながっています。いちばん最初の個人の尊重から始めて、毎回問うてきたのは、どこまで制限してよいかという一点です。公務員の政治活動という、もう一つの制約もありましたね。あちらは、すでに扱った回に譲ります。議会制民主主義や、租税法律主義の中身は、統治の分野で、あらためて扱います。国会や内閣が、どう作られ、どう動くのか。それでは、また、お会いしましょう。
参照条文
- 国家公務員法 108条の2第5項
- 国家公務員法 108条の5第2項
- 国家公務員法 98条2項
- 行政執行法人の労働関係に関する法律 17条
- 日本国憲法 15条2項
- 地方公務員法 37条1項
- 国家公務員法 86条
- 日本国憲法 31条
- 生活保護法 4条1項
- 日本国憲法 30条
- 所得税法 5条1項・2項柱書