憲法ゼロから憲法 論文

部分社会の法理の書き方

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ゼロから憲法 論文/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。

論文の型

規範と答案の型|部分社会の法理(政党の内部処分と司法審査) 図:規範と答案の型|部分社会の法理(政党の内部処分と司法審査)

まず、今日組み立てる答案の骨格を一枚で見ておきます。問題提起、規範、あてはめと結論、この3段です。型は同じ。埋める中身が違うだけです。今日の設例では、この訴えはすでに法律上の争訟(裁判所法3条1項)の入り口には立っています。具体的な権利義務の争いで、法の適用で終局的に決着がつくからです。入り口の2要件そのものは、別の論文回で実演しました。今日はその先だけを扱います。問題はその先、司法審査がどこまで及ぶか、という範囲の話です。では、規範から埋めていきます。

土台から政党への上乗せ

土台(一般論)→政党への上乗せ|自律の根拠は団体の性質で変わる 図:土台(一般論)→政党への上乗せ|自律の根拠は団体の性質で変わる

本編に入る前に、1つ聞かせてください。前の回で見た、部分社会の法理の一般論はどんな内容でしたか? 「一般市民法秩序と直接関連しない純然たる内部紛争」は対象外、でしたね。今日はそこに政党だけの上乗せが加わります。まず土台を1文で確認します。自律的な法規範をもつ団体の内部紛争は、一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、司法審査が及ばない。これが一般論です。今日の枠組みは、団体ごとに、目的や性質と、自律を支える憲法上の根拠と、争われている権利の重さを見て、どこまで審査するかを個別に決める。今日はその「団体ごと」の中身が政党です。ここからが今日の中心です。政党には、これに加えてもう1つ理由があります。結社の自由、21条1項です。

政党は、国民が政治的意思を国政に反映させるための最も有効な媒体で、議会制民主主義を支える上できわめて重要な存在だから、高度の自主性と自律性を保障すべきだ、という理由づけです。この上乗せがあるせいで、政党だけ、審査の範囲がさらに絞られます。そこを、これから規範の逐語で確認しましょう。

規範を逐語で言えるようにする

規範を立てる——条文は結社の自由(21条1項)を保障するだけ、基準は判例が作った 図:規範を立てる——条文は結社の自由(21条1項)を保障するだけ、基準は判例が作った

まず、政党の自律性を支える条文を見ます。

条文日本国憲法21条1項

結社の自由 第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

政党は、この結社の自由が保障する結社の1つです。ただし、この条文自体は「結社の自由を保障する」としか書いていません。政党の内部処分にどこまで裁判所が踏み込めるか、という基準はここには書かれていません。では、規範を立てます。

規範と答案の型|部分社会の法理(政党の内部処分と司法審査) 図:規範と答案の型|部分社会の法理(政党の内部処分と司法審査)

⭐ 論文で書く規範:部分社会の法理(政党) 政党は、結社の自由(21条1項)に支えられ、国民がその政治的意思を国政に反映させ実現させるための最も有効な媒体であって、議会制民主主義を支える上においてきわめて重要な存在である。そうであれば、政党に対しては、高度の自主性と自律性を与えて自主的に組織運営をなしうる自由を保障すべきであり、政党の内部的自律権に属する行為は、法律に特別の定めのない限り尊重すべきである。したがって、政党が党員に対してした処分が一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、裁判所の審判権は及ばない。他方、その処分が一般市民としての権利利益を侵害する場合であっても、処分の当否は、当該政党が自律的に定めた規範が公序良俗に反するなどの特段の事情のない限りその規範に照らし、規範を有しないときは条理に基づき、適正な手続に則ってされたか否かによって決すべきであり、その審理もこの点に限られる、と解する。 (規範(最判昭63・12・20 共産党袴田事件))

太字は4か所です。1つめが「議会制民主主義を支える上においてきわめて重要な存在」、2つめが「高度の自主性と自律性」、3つめが「一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題」、4つめが「適正な手続に則ってされたか否かによって決すべきであり、その審理もこの点に限られる」、という部分です。この規範は逐語で言えるようにしてください。本番で、その場から言葉を組み立て直している時間はありません。ただし、丸暗記ではありません。太字は「一字も崩せない場所」という意味です。理由を分からないまま押し込んだ言葉は、緊張すると出てきません。

理由づけから結論に至る道筋を、何度も自分でたどることです。政党は、国民がその政治的意思を国政に反映させ実現させるための最も有効な媒体であり、議会制民主主義を支える上できわめて重要な存在だから、高度の自主性と自律性を保障すべきだ。だから、内部的な問題にとどまる限り、裁判所の審判権は及ばない。一般市民としての権利利益を侵害する場合でも、特段の事情がない限り、審査するのは適正な手続に則ったかどうかだけ。審理もその点に限られる。この順番を繰り返したどれば、結論の言葉のほうが自然と染み込みます。1つ、たとえで持っておくと道筋がたどりやすくなります。団体の内部処分の審査は、税関の検査レーンに似ています。

まず、そもそもレーンに並ぶ必要があるか——これが、内部的な問題にとどまるか、それとも権利利益を侵害するかの判定です。内輪の話は素通りします。次に、その団体の検査基準そのものが不正でないか——これが「特段の事情」の有無です。最後に、検査の「やり方」が正しかったか——これが「適正な手続の有無」です。政党の検査官は、荷物の中身、つまり除名の理由が正しいかどうかまでは開けて調べません。検査の手順だけを見る、という権限の絞り方です。境界を、たとえばで2つ並べておきます。たとえば、党が本人に言い分を述べる場を設けたうえで除名したなら、手順は踏まれていますから、審査はそこで終わります。除名の理由が妥当かどうかには立ち入りません。逆に、言い分を述べる場をまったく設けずに除名したなら、手順そのものが欠けていますから、そこは審査の対象になります。

手順を踏んだかどうかで裁判所の出番が変わる。そこが分かれ目です。では、実際の設例でこの規範を使ってみましょう。

設例

事例——党員Yの除名処分(政治団体「明日の会」・弁明の機会の欠如) 図:事例——党員Yの除名処分(政治団体「明日の会」・弁明の機会の欠如)

今日使う設例を読みます。政治団体「明日の会」の党則には、「党員が党の綱領に著しく反する言動をした場合、中央委員会の議決により除名できる」との規定がある。党員Yが記者会見で党綱領を公然と批判したところ、中央委員会は事前にYへの弁明の機会を与えないまま除名を議決した。Yは、除名は無効であるとして、党員たる地位の確認を求めて出訴した。裁判所はこの訴えを審理・判断できるか。これが設問です。そこで立ち止まれるかどうかが分かれ目です。なぜ立ち止まるのかというと、政党に高度の自律性を認めた趣旨が、ここで効いてくるからです。裁判所が党の判断をそのまま引き取って良し悪しを決めてしまえば、政党が自分たちのことを自分たちで決めるという自律そのものが崩れます。だから、いきなり中身を判断せず、まず「どこまでなら裁いてよいか」を規範で区切る。その区切りを設問に当てるのが、今日の作業です。

上に、Yが求めている中身があります。党員たる地位の確認、これが訴訟物です。下を見てください。この結論を決める前提として、2つの判断が挟まっています。1つは、除名という処分が、内部的な問題にとどまるか、それとも一般市民としての権利利益を侵害するかどうか。もう1つは、その処分が、適正な手続に則ってされたかどうかです。この形を、今日ずっと使います。では、規範の順番どおり、1段ずつ当てていきましょう。

内部的な問題か権利侵害かの判定

あてはめ①——内部的な問題にとどまるか、一般市民としての権利利益を侵害するか(身分の得喪と内輪の評価の区別) 図:あてはめ①——内部的な問題にとどまるか、一般市民としての権利利益を侵害するか

まず1段目です。除名という処分は、内部的な問題にとどまるでしょうか、それとも一般市民としての権利利益を侵害するでしょうか。党員という立場そのものを失う、という点がそのまま決め手になります。除名によってYは党員たる地位を失います。これは特定の個人の法的地位、つまり身分の得喪に関わる事項です。文章で書くと——本件除名によりYは党員たる地位を失う。これは特定の個人の法的地位の得喪に関わる事項であり、内輪の評価にとどまらないから、一般市民としての権利利益を侵害する場合にあたる。党内の役職から外されただけなら、身分そのものの得喪ではなく、内輪の評価にとどまるので、内部的な問題にとどまることになりえます。身分に響くか、内輪の評価にとどまるか。ここが振り分けの軸です。

1段目はあっさり通ります。問題はここからです。

特段の事情・適正手続へのあてはめ

あてはめ②——三点セット:生の事実→評価→要件に当てる(特段の事情の有無・適正手続の有無) 図:あてはめ②——三点セット:生の事実→評価→要件に当てる

除名によってYの地位が失われる以上、一般市民としての権利利益を侵害する場合でしたね。では、党則にない「弁明の機会」を与えなかったことは、審査の対象になりますか?そこが、今日いちばんの分かれ道です。権利利益を侵害する場合にあたるからといって、除名の理由——Yの言動が本当に「綱領に著しく反する」かどうかという中身までは審査しません。審査するのは、手続が適正だったかどうか、それだけです。ここも、思いつきで結論を書いてはいけません。3つの手順を踏みます。1つめ、生の事実を拾う。2つめ、それを評価する。3つめ、要件に当てる。

今日も同じ三点セットで、最後まで埋めていきます。

三点セット①——生の事実を拾う(党則の定めと実際に何がされたか) 図:三点セット①——生の事実を拾う(党則の定めと実際に何がされたか)

まず、生の事実を拾います。「明日の会」の党則は、除名の要件として「中央委員会の議決」を定めるのみで、除名前にYへ弁明の機会を与える手続を明示していません。そして、中央委員会は実際に、Yへの弁明の機会を与えないまま除名を議決しています。ここまでが、生の事実です。

三点セット②——評価する(特段の事情はあるか、条理上の最小限の手続は要るか) 図:三点セット②——評価する(特段の事情はあるか、条理上の最小限の手続は要るか)

次に、これを評価します。まず、党則そのものが公序良俗に反する事情はうかがえません。ですから、審査は党則、またはこれを補う条理に照らした手続面に限られます。条理とは、明文の決まりが無いときに、ものごとの筋道からこれだけは必要だと導かれる最低限のルールのことです。規範にも「規範を有しないときは条理に基づき」と入っていましたね。そのうえで、重い不利益を一方的に課すときは、決める前に相手の言い分を聞く——これは手続の公正さとして法が広く求めている筋道です。条理の中身として、まずこれが入ってきます。もっとも、党員という重大な地位を剥奪する処分において、対象者に弁明の機会を一切与えないことはどうでしょうか。

党則に書いていないなら与えなくてよいか——そこが評価の見せどころです。党則に明文の定めがなくても、これほど重大な処分であれば、条理上、最小限の弁明の機会は要求されるはずです。だから、党則に明文が無いことは、弁明の機会を与えなかったことを正当化しません。ここまでが、評価です。

三点セット③——要件に当てる(「適正な手続に則って」されたか) 図:三点セット③——要件に当てる(「適正な手続に則って」されたか)

最後に、要件に当てます。党員という重大な地位を剥奪する処分において、対象者に弁明の機会を一切与えないことは、党則に明文の定めがなくとも、条理上要求される最小限の適正手続を欠くものと評価できる。よって、本件除名は「適正な手続に則って」されたとはいえません。文章で書くと——本件除名は、党則に明文の定めがないとしても、党員たる地位を剥奪する重大な処分であることに照らせば、条理上、対象者に弁明の機会を与えることが要求される。しかるに中央委員会は、Yに弁明の機会を与えないまま除名を議決しており、本件除名は「適正な手続に則って」されたものとはいえない。よって、本件除名処分は司法審査の対象となり、その適正手続の欠如ゆえに違法というべきである。

「著しく反する言動」にあたるかどうかは審査しません。そこは規範がはっきり線を引いている場所です。審査は手続面のみ、実体には立ち入りません。この区切りを飛ばして「除名の理由が正しいかどうか」まで書いてしまうのが、いちばん多い誤りです。

結論

結論——一般市民としての権利利益を侵害するが、審査は適正手続の有無に限られ、本件は手続を欠き違法

では、結論を書きます。本件除名処分は、一般市民としての権利利益を侵害する場合にあたり、司法審査の対象となる。もっとも、党則に公序良俗違反等の特段の事情はないため、審査は適正手続の有無に限られる。本件は弁明の機会を欠き、適正な手続に則ったとはいえないため、除名処分は違法(無効)である。実体的当否、つまりYの言動が綱領に著しく反するかどうかは、審査しない。ここを取り違えないでください。除名は裁ける。でも、誰を除名するかの中身には踏み込めない。冒頭で言ったねじれた結論の正体は、これです。では、ここまでを答案の言葉で、頭から通して読みます。本件除名処分に司法審査は及ぶか。及ぶとして、その範囲はどこまでか。政党は、結社の自由(21条1項)に支えられ、国民がその政治的意思を国政に反映させ実現させるための最も有効な媒体であって、議会制民主主義を支える上においてきわめて重要な存在である。そうであれば、政党に対しては、高度の自主性と自律性を与えて自主的に組織運営をなしうる自由を保障すべきであり、政党の内部的自律権に属する行為は、法律に特別の定めのない限り尊重すべきである。したがって、政党が党員に対してした処分が一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、裁判所の審判権は及ばない。他方、その処分が一般市民としての権利利益を侵害する場合であっても、処分の当否は、当該政党が自律的に定めた規範が公序良俗に反するなどの特段の事情のない限りその規範に照らし、規範を有しないときは条理に基づき、適正な手続に則ってされたか否かによって決すべきであり、その審理もこの点に限られる、と解する。

本件除名によりYは党員たる地位を失う。これは特定の個人の法的地位の得喪に関わる事項であり、内輪の評価にとどまらないから、一般市民としての権利利益を侵害する場合にあたる。もっとも、明日の会の党則が公序良俗に反する事情はうかがえない。党則は中央委員会の議決を要件とするのみで、弁明の機会を与えることを定めていないところ、党員たる地位を剥奪する重大な処分において対象者に弁明の機会を一切与えないことは、条理上要求される最小限の適正手続を欠くものといえる。よって本件除名は「適正な手続に則って」されたとはいえない。よって本件除名処分は司法審査の対象となるが、審査は適正手続の有無に限られ、本件はこれを欠くから違法である。実体的当否、すなわちYの言動が綱領に著しく反するかは審査しない。

大学との対比

対比①——政党は手続のみ、大学は実体まで及ぶ(ただし単位認定は対象外・専攻科修了は対象) 図:対比①——政党は手続のみ、大学は実体まで及ぶ

ここで、混同しやすい型を1つ、比べておきます。政党は、権利利益を侵害する場合でも手続のみ審査でした。ところが、同じように権利利益の侵害にあたる場合でも、実体まで審査する団体があります。大学です。

判例最高裁判所第三小法廷判決・昭和52年3月15日(同日・別事件)

専攻科修了不認定事件 「国公立の大学において…専攻科修了の認定をしないことは、実質的にみて、一般市民としての学生の国公立大学の利用を拒否することにほかならない」のであり、学生が「一般市民として有する公の施設を利用する権利を侵害するもの」というべきである。

ここでは、専攻科修了の認定をしないことが、公の施設を利用する権利の侵害とされました。この事件では、実体、つまり不認定の理由そのものの当否まで審査が及びます。政党が除名の理由の当否に立ち入らないのに対し、大学は実体まで及ぶ。そこが違いです。ただし、大学なら何でも裁けるわけでもありません。同じ大学でも、単位の不認定は特段の事情がない限り対象外、専攻科修了の不認定は対象、と線が引かれています。大学の自律の根拠は、学問の自由と大学の自治です。教育と研究の中身を自分で決めるための自律ですから、単位の認定のような内輪の判断には及びます。でも、学生が一般市民として持つ権利——公の施設を利用する権利まで奪う場面には、その自律は届きません。

政党は結社の自由の上乗せがあるぶん、審査の範囲が手続だけに絞られる。一方、大学にはその上乗せが働かない場面があり、争われている権利が「公の施設を利用する権利」という重い権利であれば、実体にも及びます。だから「部分社会だから対象外」でも「侵害するから全部審査する」でもなく、団体の性質と、争われている権利の重さを見て、そのつど組み立て直す必要があります。

地方議会との対比

対比②——地方議会は「内部事項だから対象外」ではない(除名は一貫して対象・出席停止は令和2年に対象化) 図:対比②——地方議会は「内部事項だから対象外」ではない

もう1つだけ、正確に位置づけておきたい対比があります。地方議会です。ただ、ここで多くの人が間違えます。「地方議会の内部事項は対象外」という理解は誤りです。まず、除名処分は、古い判例の時点から一貫して司法審査の対象でした。山北村議会事件という判例が、「議員の身分の喪失に関する重大事項で、単なる内部規律の問題に止らない」として、除名を対象としていました。一方、出席停止のような懲罰は、当時「議員の権利行使の一時的制限に過ぎない」として対象外とされていました。ところが、この出席停止の扱いを、最高裁が自分で変えました。

判例最高裁判所大法廷判決・令和2年11月25日

岩沼市議会事件 出席停止の懲罰を科されると,議員は「議事に参与して議決に加わるなどの議員としての中核的な活動をすることができ」ず,「住民の負託を受けた議員としての責務を十分に果たすことができなくなる」。このような出席停止の懲罰の性質や議員活動に対する制約の程度に照らすと,「これが議員の権利行使の一時的制限にすぎないものとして,その適否が専ら議会の自主的,自律的な解決に委ねられるべきであるということはできない」。そうすると,出席停止の懲罰は,議会の自律的な権能に基づいてされたものとして,議会に一定の裁量が認められるべきであるものの,裁判所は,常にその適否を判断することができるというべきである。したがって,普通地方公共団体の議会の議員に対する出席停止の懲罰の適否は,司法審査の対象となるというべきである。

議事に参与できず、議決にも加われない。住民の負託を受けた議員としての責務を、十分に果たせなくなる。これはもう、一時的な制限にとどまらない、という判断です。この判断の土台には、条文もあります。

条文日本国憲法93条

日本国憲法 第九十三条 ①地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。 ②地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。

議員は、住民が直接選んでいます。93条2項です。その議員を議決の場から締め出すことは、住民の負託そのものを軽く扱うことになる。だから、単なる内部規律の問題では済みません。この対比の細部——愛知県議会や名張市議会の事件も含めた実演は、対の理解回に譲ります。今日は、政党・大学・地方議会という3枚看板を、正確に並べられれば十分です。

今日の地図(保存版)

規範と答案の型|部分社会の法理(政党の内部処分と司法審査) 図:規範と答案の型|部分社会の法理(政党の内部処分と司法審査)

最後に、型に戻ります。問題提起は、本件処分に司法審査は及ぶか、及ぶとしてその範囲はどこまでか、という定型でした。規範は、土台に政党の上乗せを重ねた1本。内部的な問題にとどまる限り対象外、一般市民としての権利利益を侵害する場合でも特段の事情がない限り適正手続の有無のみが対象です。あてはめは、まず身分か内輪の評価かで内部的な問題かどうかを見て、次に生の事実を拾い、評価し、要件に当てる。この三点セットでした。ここで一度、画面を止めて自分で答えてみてください。政党の内部処分が一般市民としての権利利益を侵害する場合にあたるとき、裁判所が審査するのはどこまでで、審査しないのはどこからですか?

審査するのは、適正な手続に則ってされたかどうか。審査しないのは、処分の理由そのものが正しいかどうか、です。そこが言えれば、今日の規範は身についています。手続のあてはめだけは、思いつきで書いてはいけません。弁明の機会という生の事実、それが条理上の最小限の手続を欠くという評価、そして「適正な手続に則って」いないという当てはめ。この3段を踏めば、今日と違う設例が出ても、同じ手順で書き切れます。政党は結社の自由の上乗せがあるぶん、「何を裁くか」まで団体の性質に応じて絞り込まれる。規範は逐語で言えるようにする。ただし、理由づけから結論への道筋を、何度もたどってください。それができれば、今日の答案は一人で書き切れます。

参照条文

  • 日本国憲法21条1項
  • 日本国憲法93条

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