憲法ゼロから憲法 論文

職業の自由(中編)

印刷用PDFを開く

ゼロから憲法 論文/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。

前編の型

前編の型|入口、制約の評価、目的の位置づけ、基準の定立、目的と手段のあてはめ 図:前編の型|入口、制約の評価、目的の位置づけ、基準の定立、目的と手段のあてはめ

前編では、K県のラフティング事業の許可制で、答案を一本書きました。入口で、川下り事業を営む自由を、22条1項で押さえます。制約の評価で、許可の条件が本人の努力で満たせるかを、実態で見ます。規制の目的を位置づけて、基準を立てて、目的と手段を当てます。物差しは、許可制は職業の自由に対する強力な制限で、重要な公共の利益のために必要かつ合理的であることを要する、でした。型がそのまま通らない場面が、二つあります。許可制ではない規制。そして、目的が、消極にも積極にも入らない規制。この二つの場面で、型のどこが動くのかを見ます。先に答えを言うと、型そのものは変わりません。動くのは、目盛りを決める事情です。設例は、場面ごとに別です。人物の字も、場面ごとに割り直します。Aはいつも、規制を受けて争う人。Bは、規制する公権力です。

参入を止めない規制

場面1の事実|W県の火災事故、対象製品の割合、Aの提案と費用 図:場面1の事実|W県の火災事故、対象製品の割合、Aの提案と費用

一つ目は、売り方だけを決める規制です。W県で、2年間に、電動アシスト自転車の充電中の発火による住宅火災が4件起きました。そのうち1件では、住人が亡くなっています。4件とも、購入者は別売りの充電器を使っていて、説明書を読んでいませんでした。県が購入者に調べたところ、同梱の説明書を読んだ人は、およそ3割でした。そこでW県議会は、電動アシスト自転車安全販売条例を作りました。条文を板に出します。

場面1の条例|1条の目的、2条の対面説明の義務、3条の販売停止命令、4条の罰金、附則の3年後の見直し

1条は、発火事故を防いで、県民の生命と身体の安全を確保する、という目的です。中心は2条です。リチウムイオン蓄電池を積んだ対象製品を売るときは、販売店舗で、整備の資格を持つ人が、対面で、充電の方法と注意事項を説明して、購入者の署名をもらう。3条は、違反すると販売の停止を命じられること、4条は、命令に違反すると20万円以下の罰金です。附則で、施行から3年後に見直します。数字を二つ、押さえます。県内の自転車の販売額のうち、対象製品は約12%です。Aの販売額のうちでは、約15%です。Aは、倉庫だけを持って、店舗は持たず、インターネットだけで自転車を売る業者です。Aは、ビデオ通話で、購入者の手元の充電器を映しながら説明して、同意をもらう方法を提案しましたが、県は、対面にあたらないとして認めませんでした。ただ、県の運用指針では、ほかの販売業者の店舗に頼んで、資格のある人に説明させる方法も、2条の販売店舗にあたります。Aが提携先の店頭で説明を頼むと、対象製品1台あたり、約3000円の追加費用がかかります。平均販売価格は、約15万円です。

関係図|BがAに対面説明を義務付ける 図:関係図|BがAに対面説明を義務付ける

関係は、BからAへの、義務付けの一本です。Bは、W県です。Aは、2条は店舗を持たない業者の営業を妨げて、22条1項に違反する、と主張しています。問いは一つ。条例2条は、憲法に違反するか。骨格は、総論の型のままです。入口、制約、形式的正当化、実質的正当化。今回の本番は、実質的正当化の手前の、制約の評価です。

条文日本国憲法22条1項

憲法第22条第1項 第二十二条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

入口です。Aの具体的自由は、店舗を持たずに、インターネットだけで電動アシスト自転車を売る自由です。22条1項は、職業選択の自由だけでなく、職業活動の自由、つまり営業の自由も保障します。販売の方法を自分で決めることは、職業活動の自由に含まれます。前編で通した理由づけを、答案には一言で書いて、先へ進みます。制約です。2条は、対象製品を売るときに、販売店舗での対面説明を義務付けます。守らなければ、販売の停止命令と、罰金です。自前の店舗も、提携先の店舗も通さずに、対象製品を売ることは、できなくなります。形式的正当化は、議会が作った条例で、何を義務付けるかも明確です。論点にしません。ここで、前回の内容を思い出してください。許可制の審査で、制約の強さを評価するとき、まず何を確かめましたか?

許可の条件が、本人の努力で満たせるか、でした。今回は、その問いの手前に、もう一つ問いが立ちます。この規制は、許可制のように、営業を始められるかどうかを決めるものなのか。

場面1の問い|営業のやり方だけを決める規制は許可制と同じ強さの制約と言ってよいか 図:場面1の問い|営業のやり方だけを決める規制は許可制と同じ強さの制約と言ってよいか

問いです。営業のやり方だけを決める規制は、許可制と同じ強さの制約と言ってよいでしょうか。少し考えてみてください。

場面1の制約の評価|参入を止めるか止めないか、制限の程度を広がり、負担、期間の三つで量る

答えです。許可制は、売る商品や売る人を限って、営業を始めることそのものを止めます。ところが2条は、売る場面でのやり方を決めるだけです。Aは、営業を始めることも、続けることもできます。参入を止めません。だから、前編の、許可制は強力な制限、という評価は、そのままは当てはまりません。売り方の規制なら、いつも緩く見ていいんですか。違います。弱いと一言で決めずに、制限の程度を、事実で量ります。板の三つの軸です。広がり、負担、期間。広がりは、対象製品が占める割合です。県内の販売額の約12%、Aの販売額の約15%で、Aの中心の商品ではありません。負担は、1台あたりの費用です。提携先の店頭で説明を頼むと約3000円で、平均販売価格の約2%にとどまります。期間は、附則です。3年後に見直されますから、ずっと続く規制ではありません。この三つを拾うと、制限の程度は大きくない、と評価できます。反対に、もしこれが事業の中心の商品に及んで、1台ごとの負担が売値の大半に達するなら、評価は変わります。境目は、事実で決まります。制約の評価が決まったので、物差しを立てます。板を映します。

規範と答案の型|職業活動の内容と態様の規制(比較考量、参入そのものは妨げられない、合理的裁量の範囲、中心部分に及ぶ場合) 図:規範と答案の型|職業活動の内容と態様の規制

一番上の問いは、参入を妨げず、営業のやり方だけを規制するとき、審査は前編の許可制と同じ厳しさでよいか、です。真ん中の規範を、四つに区切って読み解きます。最初の区切りは、「一律に論ずることができず」の流れです。職業の自由への規制は、事情に応じて、いろいろな形をとります。だから、規制の目的、必要性、内容、制限される自由の性質と内容、そして制限の程度を挙げて、比較考量する。審査の物差しを、はじめから一つに決め打ちしない、という出発点です。前編で目盛りを動かした理由も、ここにあります。二つ目は、「職業選択の自由そのものに制限を加えるものであるとはいえず、職業活動の内容及び態様に対する規制にとどまる」です。これが、場面1の分かれ目です。板の文は、続けて、参入そのものは妨げられない、と書いています。許可制のように、入口を閉ざす規制ではない、ということです。三つ目は、「立法府の判断がその合理的裁量の範囲にとどまる限り」です。規制の目的が公共の福祉に合致していれば、必要性と合理性の判断は、立法府の裁量の範囲にとどまる限り、尊重されます。許可制の、必要かつ合理的か、を裁判所が見る場面より、入り込む幅が狭くなります。最後の一文は、緩めすぎないための備えです。規制が事業の中心部分にまで及んで、制限の程度が大きいときは、手段の必要性を、具体的な事実に照らして見ます。ここで一点、注意があります。場面1の目的は、人の生命と身体の安全です。前編なら、厳しく見る側の目的でした。それでも、態様が弱ければ、前編のような厳しい目盛りにはなりません。目的が消極だから厳しく、と一行で当てはめてはいけません。目盛りは、目的と態様の両方で動きます。

判決の文で、通して見ておきます。

判例最判令3・3・18 民集75巻3号552頁

医薬品の対面販売の義務付け事件(職業の自由の判断枠組み) 「憲法22条1項は,狭義における職業選択の自由のみならず,職業活動の自由も保障しているところ,職業の自由に対する規制措置は事情に応じて各種各様の形をとるため,その同項適合性を一律に論ずることはできず,その適合性は,具体的な規制措置について,規制の目的,必要性,内容,これによって制限される職業の自由の性質,内容及び制限の程度を検討し,これらを比較考量した上で慎重に決定されなければならない。」……「裁判所としては,規制の目的が公共の福祉に合致するものと認められる以上,そのための規制措置の具体的内容及び必要性と合理性については,立法府の判断がその合理的裁量の範囲にとどまる限り,立法政策上の問題としてこれを尊重すべきものであるところ,その合理的裁量の範囲については事の性質上おのずから広狭があり得る」

最後の部分に、合理的裁量の範囲には、事の性質上おのずから広狭がある、とあります。広い狭いは、事の性質で、おのずから変わります。この場面では、参入を止めない規制ですから、広い側です。次の文は、制限の程度をどう評価したかを示します。

判例最判令3・3・18 民集75巻3号552頁

医薬品の対面販売の義務付け事件(制限の程度の評価) 「一般用医薬品等のうち薬剤師の対面による販売又は授与が義務付けられているのは,法4条5項3号所定の要指導医薬品のみであるところ,その市場規模は,要指導医薬品と一般用医薬品を合わせたもののうち,1%に満たない僅かな程度にとどまっており,毒薬及び劇薬以外のものは,一定の期間内に一般用医薬品として販売することの可否の評価を行い,問題がなければ一般用医薬品に移行することとされているのであって,本件各規定による規制の期間も限定されている。」「このような要指導医薬品の市場規模やその規制の期間に照らすと,要指導医薬品について薬剤師の対面による販売又は授与を義務付ける本件各規定は,職業選択の自由そのものに制限を加えるものであるとはいえず,職業活動の内容及び態様に対する規制にとどまるものであることはもとより,その制限の程度が大きいということもできない。」

この判決は、一部の医薬品について、薬剤師の対面による販売を義務付けた規定を扱いました。市場規模が1%に満たないこと、規制の期間が限られていることを拾って、制限の程度は大きくない、としています。この判決の事実は、Aの事実のどこを拾うかの手本として使います。市場に占める割合は、Aの12%と15%。規制の期間は、附則の3年。拾う場所が、そのまま対応します。判決の物差しの言い回しは、前編の許可制の物差しには写しません。

場面1のあてはめ|目的の重要性、対面の効果、他の手段である同梱の書面とビデオ通話、制限の程度

あてはめです。目的から。発火事故の防止です。2年間に住宅火災が4件、うち1件で人が亡くなっています。生命と身体を守る、重要な目的です。手段の効果です。対面なら、購入者の反応を見ながら、理解したかどうかを確かめられます。4件の事故は、どれも説明書が読まれていませんでした。直接注意を伝える対面は、目的に資します。他の手段は、効き具合まで言います。同梱の書面は、県の調査で読む人がおよそ3割です。届かなかった実績がありますから、足りません。ビデオ通話は、購入者が手元の充電器と差込口が合うかを確かめにくく、画面越しでは反応も見えにくくて、理解の確認が対面に劣ります。制限の程度は、先ほど量ったとおり、大きくありません。必要性と合理性があるとした立法府の判断は、合理的裁量の範囲にとどまります。結論は、合憲です。合憲ですから、違憲とする対象の選択は、問題になりません。

財政目的の許可制

場面2の事実|特定燃料税の特別徴収、保証金の条件、15年前と直近5年の滞納の年表 図:場面2の事実|特定燃料税の特別徴収、保証金の条件、15年前と直近5年の滞納の年表

場面1では、規制の形が、目盛りを動かしました。二つ目は、目的のほうが、消極と積極の二つの箱に入らない場面です。国は、特定燃料税法で、特定燃料に税を課しました。小売業者が、購入者から税額を預かって、国に納める方式です。特別徴収といいます。15年前に制度が始まったころは、小売業者の滞納が多くて、徴収漏れが、年間の税収の約1割に達しました。そこで法は、特定燃料の小売業を許可制にしました。許可基準の一つが、納付を担保するため、見込みの年間納付額の1割にあたる保証金を供託できること、つまり国の窓口に預けておけること、です。その後、納付は電子申告で、即日把握できるようになりました。直近5年の滞納は、年間納付額の0.1%未満です。国は、許可制を置くことで、確実な徴収ができている、と説明しています。

関係図|国がAの許可を拒否する 図:関係図|国がAの許可を拒否する

関係は、国からAへの、不許可の一本です。Aは、新規参入を希望する燃料小売業者です。Bは、国です。見込みの年間納付額は、およそ1500万円で、保証金は150万円。Aは用意できず、不許可になりました。Aは、許可制が22条1項に違反し、保証金の条件も違反する、と主張します。問いは、特定燃料の小売業の許可制は、憲法に違反するか。入口は、燃料小売業を営む自由で、営業の自由です。制約は、許可がなければ営業できない、強い制約です。形式的正当化は、法律の定めで、論点にしません。本番は、物差しの置き方です。

場面2の目的|税の確実な徴収は、生命や健康を守る目的でも、弱者保護や産業の調整でもない

この許可制の目的は、税の確実な徴収、つまり国の財政です。人の生命や健康を危険から守る目的ではありません。弱い立場の事業者を守ったり、産業を調整したりする目的でもありません。どちらも使いません。消極にも積極にも入れにくい目的だからです。ここでは、無理にどちらかの箱に入れずに、立法府の判断がどういう性質のものかから、物差しを置きます。この目的を、国家の財政目的、と呼びます。許可制であることは、変わりません。板を映します。

規範と答案の型|財政目的の許可制(強力な制限、政策的技術的な判断、著しく不合理なものでない限り、許可基準でも必要性と合理性) 図:規範と答案の型|財政目的の許可制

一番上の問いは、租税の確実な賦課徴収、つまり税を課して確実に取り立てる、という財政目的の許可制を、どの物差しで審査するか、です。規範を、四つに区切って読み解きます。最初の区切りは、「許可制は職業の自由に対する強力な制限である」です。前編の認識が、ここでも最初に来ます。この認識は、答案の二か所で働きます。一つは、制約の段です。許可がなければ営業できない、強い制約だと書いたうえで、物差しが緩むのは、制約が弱いからではなく、税という分野の判断の性質からだ、と分けて書けます。もう一つは、四つ目の区切りです。強い制約ですから、許可制を是認したあとも、許可基準を一つずつ見ます。二つ目は、「租税法の定立は、国家財政、社会経済、国民所得、国民生活等の実態についての正確な資料を基礎とする立法府の政策的、技術的な判断にゆだねるほかはない」です。理由の部分です。税の制度を作るには、国の政治全体を見渡した総合的な政策判断と、とても専門的、技術的な判断が要ります。だから、立法府に任せるほかない。目的の箱ではなく、立法府の判断の性質から、裁量の広さを導いています。三つ目は、「政策的、技術的な裁量の範囲を逸脱するもので、著しく不合理なものでない限り」です。違憲になるのは、裁量の範囲を逸脱して、しかも著しく不合理な場合に限られる。裁判所が入る幅は、狭いです。四つ目は、見落としやすい部分です。「もっとも、当該許可制の下における具体的な許可基準との関係においても、その必要性と合理性が認められなければならない」。許可制が是認されても、そこで終わりではありません。許可基準についても、必要性と合理性を見ます。このあと見る、保証金の条件が、その許可基準です。

判決の文を、見ていきます。

判例最判平4・12・15 民集46巻9号2829頁

酒類販売免許制事件(法廷意見=財政目的の許可制の物差し) 「租税法の定立については、国家財政、社会経済、国民所得、国民生活等の実態についての正確な資料を基礎とする立法府の政策的、技術的な判断にゆだねるほかはなく、裁判所は、基本的にはその裁量的判断を尊重せざるを得ないものというべきである」……「以上のことからすると、租税の適正かつ確実な賦課徴収を図るという国家の財政目的のための職業の許可制による規制については、その必要性と合理性についての立法府の判断が、右の政策的、技術的な裁量の範囲を逸脱するもので、著しく不合理なものでない限り、これを憲法二二条一項の規定に違反するものということはできない。」

許可制の合憲性を、立法府の判断が著しく不合理かどうか、で見る。これが、この場面の物差しです。次の文は、結論を支えた部分の一つです。

判例最判平4・12・15 民集46巻9号2829頁

酒類販売免許制事件(法廷意見=存置の判断と許可基準) 「酒類販売業について免許制度を存置しておくことの必要性及び合理性については、議論の余地があることは否定できないとしても、前記のような酒税の賦課徴収に関する仕組みがいまだ合理性を失うに至っているとはいえないと考えられること」……「もっとも、右のような職業選択の自由に対する規制措置については、当該免許制度の下における具体的な免許基準との関係においても、その必要性と合理性が認められるものでなければならないことはいうまでもないところである。」

判決は、免許制度を存置することには、議論の余地があると認めました。それでも、酒税の仕組みが、いまだ合理性を失っていない、として、合憲としました。時間がたって必要性が薄れた、というAの反論の筋は、ここにあります。もう一つ、補足意見があります。

判例最判平4・12・15 民集46巻9号2829頁(園部逸夫裁判官の補足意見)

酒類販売免許制事件(園部逸夫裁判官の補足意見) 「私は、財政目的による規制は、いわゆる警察的・消極的規制ともその性格を異にする面があり、また、いわゆる社会政策・経済政策的な積極的規制とも異なると考える。」

財政目的は、消極的規制とも積極的規制とも性格が異なる、という園部裁判官の補足意見です。反対意見も一つ。坂上裁判官の反対意見は、酒類の販売業まで免許制にしなければならない理由は強くない、と指摘しました。反論を立てる材料になります。

場面2のあてはめ|目的の重要性、導入時の必要性、電子申告後の滞納、時間の経過による必要性の薄れ、保証金の条件

あてはめです。目的は、税の確実な徴収で、国の財政を支える重要な公共の利益です。許可制の導入時は、滞納が多くて、徴収漏れが年間の税収の約1割に達しました。必要性と合理性は、ありました。問題は、今です。電子申告で即日把握できて、直近5年の滞納は0.1%未満。Aは、時間の経過で、許可制の必要性は薄れた、と反論します。反論を書く場所は、ここです。ただ、滞納の少なさは、許可制の下で確実な徴収ができている結果、とも言えます。存置する判断が、政策的、技術的な裁量の範囲を逸脱して、著しく不合理とまでは言えません。許可制は、合憲です。次に、許可基準です。保証金の条件を見ます。物差しは、許可制と同じ、著しく不合理なものでない限り、です。保証金の目的も、納付の担保、つまり同じ財政目的だからです。額は、見込みの年間納付額の1割。納付の担保として、目的と結びつきます。額も、過大とは言えません。裁量の範囲を逸脱して、著しく不合理とは言えませんから、保証金の条件も、合憲です。結論は合憲です。ただ、書き方の勘所は、結論の手前、必要性の薄れという反論を、立てるところにあります。

完成答案

完成答案 場面1 第1、入口の特定 図:完成答案 場面1 第1、入口の特定

ここまでを、答案の形にしました。場面1の答案です。動画を止めて見てみてください。最初の板は、場面1の入口です。具体的自由を、販売の方法まで特定して、職業活動の自由に結ぶ段です。

完成答案 場面1 第2の制約、第3の形式的正当化 図:完成答案 場面1 第2の制約、第3の形式的正当化

次は、制約と形式的正当化です。販売店舗での対面説明の義務付けが、店舗を持たない販売を不可能にすることを書く段です。

完成答案 場面1 第4の1と2、問題の所在と審査基準の定立 図:完成答案 場面1 第4の1と2、問題の所在と審査基準の定立

ここから実質的正当化です。参入を妨げないことを問題の所在に置いて、物差しを立てる段を見てください。

完成答案 場面1 第4の3の(1)と(2)、制限の程度を量る段と目的 図:完成答案 場面1 第4の3の(1)と(2)、制限の程度を量る段と目的

場面1の本番です。制限の程度を、割合と費用と期間で量る段を、板で指さしておきます。生命と身体という目的の重要性も、ここで置きます。

完成答案 場面1 第4の3の(3)と4、手段の必要性と合理性、結論 図:完成答案 場面1 第4の3の(3)と4、手段の必要性と合理性、結論

効果と他の手段を、書面とビデオ通話の効き具合まで書いて、合憲と結ぶ段です。

今日の地図(保存版)

中編のまとめ|型は同じ、動かすのは目盛りを決める事情、参入を止めるか、目的の性質 図:中編のまとめ|型は同じ、動かすのは目盛りを決める事情、参入を止めるか、目的の性質

中編をまとめます。型は、前編のままでした。動いたのは、目盛りを決める事情です。場面1は、参入を止めない規制で、制限の程度を事実で量りました。場面2は、目的を箱に入れずに、立法府の判断の性質から物差しを置きました。型は同じでも、目盛りを動かす事情を、設例の事実から拾えるかどうかで、答案は決まります。

参照条文

  • 日本国憲法22条1項

憲法 全体ロードマップへ →