177条の第三者①(不法占有者・不法行為者・抵当権者)
登記のない買主Bが、同じ土地をめぐる3人の相手(何の権利もなく居座る占有者C・土地を汚した不法行為者D・登記を備えた抵当権者E)に何を請求できるかを、1本の物差しで書き分ける論文回。177条の「第三者」を条文どおりに読むと広すぎるため、判例は「当事者およびその包括承継人以外の者で、登記の欠缺を主張する正当な利益を有する者」に絞る。この規範をC・D・Eに順に当て、CとDは正当な利益を欠くので登記なしで勝ち、Eは両立しない物権を取得した者として第三者に当たるので登記なしでは負ける、という結論を答案の形で示す。
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事例
図:【事例】問題文——甲土地をめぐるA・B・C・D・Eの事案
今日は、その知識を答案に書ける形にする回です。先に、今日の見どころを言います。同じ「登記がない」買主が、ある相手には勝ち、別の相手には負けます。勝つ相手と負ける相手の分かれ目を、1本の物差しで説明します。まず、問題文を読みます。Aは甲土地を所有し、登記名義もAである。4月1日、AはBに甲土地を代金1200万円で売った。Bは同日、代金全額を支払い、甲土地の引渡しを受けた。ただし、所有権移転登記は未了で、登記名義はAのままである。Bは甲土地を資材置場にするつもりで、入口に鎖を張って管理していた。6月10日、Cが鎖を外して甲土地に入り、廃車を並べて置場として使い始めた。CはAともBとも契約を結んだことがなく、甲土地について何の権利も持たない。Bが退去を求めると、Cは言った。「Bは登記を持っていないのだから、Bの土地とは認めない」。
続けます。7月5日、Dが甲土地に建築廃材を大量に捨て、土壌を汚した。Dは、甲土地が他人の所有地であることを知っていた。Bは、廃材の撤去と土壌の入替えに300万円を支払った。Dも言います。「Bは登記を持っていない。所有権を主張できない者に賠償する義務はない」。最後です。8月1日、AはEから800万円を借りました。その担保として、甲土地にEのための抵当権を設定し、同日、抵当権設定登記がされました。Eは、AB間の売買を知りませんでした。設問は3つです。設問1、BはCに対し、甲土地の明渡しを請求できるか。設問2、BはDに対し、300万円の損害の賠償を請求できるか。設問3、BはEに対し、所有権に基づき、抵当権設定登記の抹消を請求できるか。
図:事案の見取り図——AからBへ売買、AからEへ抵当権、Cの占有とDの廃材捨て
図にします。登場人物はAからEの5人です。上段にAがいて、Bへ売買の矢印が伸びています。Bの横には「登記なし」と書いてあります。Aからは、もう1本、Eへ抵当権の矢印が出ています。こちらは「登記あり」です。そして、甲土地には、CとDが入り込んでいます。

時間の並びも見ておきます。4月1日に売買と引渡し。ここでBは所有者になります。6月10日にCが占有を始め、7月5日にDが廃材を捨てます。8月1日に、Eの抵当権が設定され、登記されます。Eが出てくるのは、Bが買ったあとなんです。そこがあとで効いてきます。覚えておいてください。登記がないからといって、Bが全員に負けるわけではありません。結論を先に言います。CとDには、Bは登記なくして勝てます。Eには、登記がないと負けます。今日はその理由を、答案の書き方として見ていきます。
設問1の入口
図:設問1の入口——所有権に基づく返還請求と、Cの言い分が行き着く先
まず設問1です。BはCに、明渡しを請求したい。何を根拠に請求しますか。所有権に基づく返還請求です。この請求は、Bが甲土地を所有していること、Cが甲土地を占有していることで根拠づけられます。そして、Cに占有権原がなければ、認められます。Cが占有権原を出してくれば、それは抗弁、つまり要件を認めたうえでの反論でした。借りているとか、買ったとか、そういう理由です。Cはそれを持っていません。AともBとも契約がないからです。では、Bは所有者でしょうか。4月1日に売買をして、代金も払いました。物権の移転は、当事者の意思表示だけで効力を生じます。176条です。ですからBは、4月1日に所有権を取得しています。
ここまでは、そうなんです。ここまでの運びは、これまでの回で何度も通ってきました。ところが、Cが反論します。「Bは登記がない。だから所有権の取得を、私には対抗できない」。これは何条の話でしょうか。177条ですね。登記がなければ第三者に対抗できない、というやつです。答案の分かれ目はここです。「Cは177条の第三者にあたるか」という問いが、ここで立ちます。
「第三者」の意義
図:177条:登記がなければ「第三者」に対抗できない
ここで、少し立ち止まって思い出しましょう。177条の「第三者」にあたらない者として、どんな人を挙げましたか。解説では……不動産登記法5条の、詐欺や強迫で登記を妨げた人とか。そうでした。ほかにも、あたらない人がいます。今日はそれを、答案の中で理由を付けて言えるようにします。まず、条文を全文で読みます。
条文民法177条
不動産に関する物権の変動の対抗要件
第百七十七条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
条文は、「第三者」とだけ書いています。何の限定もありません。AB間の売買の当事者と、その相続人のような包括承継人。この人たち以外は、全員が第三者です。包括承継人というのは、相続のように、権利義務を丸ごと引き継ぐ人のことです。鎖を外して入り込んだCにも、「登記を持って来い」と言えてしまいます。どこがおかしいと感じますか。Bは代金を払って、引渡しも受けた本当の所有者です。それなのに、勝手に入った人にまで負けるのは。その感覚が大事です。それを理屈にします。登記は、何のためにあるのでしょうか。登記簿を見て、「この土地の所有者はAだ」と確かめてから取引に入る人がいます。その人が、あとで思わぬ権利者に出てこられて損をしないように、登記があるのです。入場券のチェックに、たとえてみます。入口で券を確かめるのは、券を見て席を譲る人たちの信頼を守るためです。券と無関係に忍び込んだ人は、券の有無で立場が変わりません。守る信頼が、そもそもありません。
177条は、すでに所有者になっている人に、「登記しなければ主張できない」という負担を課す規定です。その負担は、登記を見て取引に入る人の信頼を守るための対価です。それなら、守るべき信頼のない相手に、真の権利者を負けさせる理由はありません。絞りは2つ出てきます。
図:「第三者」の絞り——当事者と包括承継人を外し、さらに正当な利益で絞る
1つめは、当事者と包括承継人を外すことです。自分で物権変動をした本人は、登記簿を信頼して取引に入る余地がありません。その地位を引き継ぐ包括承継人も、同じです。2つめが、今日の中心です。残った人の中でも、守るべき信頼があるのは、登記の有無で自分の法的地位が変わる立場の人だけです。登記を見て取引に入る人は、登記しだいで自分の立場が変わる人でもあるからです。答案の本体は、立場が変わるか、のほうです。取引に入ったかは、その裏づけに添えます。解説の回の言い方でいえば、登記をめぐるレースに実際に参加しているか、という問いです。「欠缺」という言葉が出てきますが、「登記がないこと」と読んでください。登記がないことを主張する正当な利益のある人だけを、第三者とするわけです。
図:規範:177条の「第三者」の意義
この導き方を、規範としてまとめます。
⭐ 論文で書く規範:177条の「第三者」の意義
177条の趣旨は、物権変動に登記による公示を要求することで、取引の安全を図る点にある。そこで、177条の「第三者」とは、当事者およびその包括承継人以外の者であって、登記の欠缺を主張する正当な利益を有する者をいうと解する。
(規範(大連判明治41・12・15))
趣旨は、取引の安全です。だから、登記を信頼して取引に入る人を守る。そこから、当事者と包括承継人以外の者であって、正当な利益を有する者、と絞りが出ます。「正当な利益」という言葉は、条文にはありません。趣旨から導いて、この形で書きます。次の問いに戻ります。「この人は、登記がなければ困る立場か」。今日の3人にも、この問いを当てます。Cは、AB間の売買の当事者でも、その包括承継人でもありません。それでも、Cは第三者にあたるでしょうか。あたるなら、Bは明渡しを請求できません。どうでしょう。では、確かめましょう。
設問1
図:設問1のあてはめ——Cは登記がなければ困る立場か
所有権に基づく返還請求で、相手が占有権原を持っていると言ってきたら、どうなりましたか。権原がなければ請求は通る、という形でした。Cは権原がない。ですから、残る問題は177条だけです。あてはめは、規範の順に書きます。まず1つめの絞り。Cは、当事者でも包括承継人でもありません。ここはこれで足ります。次に2つめ。Cに、登記がなければ困る関係があるか。拾う事実はどれでしょうか。CはAともBとも契約していなくて、甲土地について何の権利もない。鎖を外して廃車を並べた。この事実が、Cの立場を決めます。これを評価します。甲土地の所有者が、Aであっても、Bであっても、Cは明渡しを求められます。Cには、居座っていい理由が、どちらに対してもないからです。
登記がAの名義のままでも、Bに移っても、Cの地位は何も変わりません。もう1つ。Cは、登記簿を見て甲土地の取引に入った人ですか。ですから、登記の公示を信頼して守られるべき人でもありません。ここまでを、規範に当てます。Cは登記がなければ困る立場にない。登記の欠缺を主張する正当な利益を有しない。よって、Cは177条の第三者にあたりません。ここでの決め手は、判例だからではありません。登記がどちら名義でもCの地位が変わらず、信頼して取引に入ったのでもない、という事実です。判例も、この結論を述べています。
判例最判昭和25年12月19日
不法占有者と177条
不法占有者は民法第一七七条にいう「第三者」に該当せず、これに対しては登記がなくても所有権の取得を対抗し得るものであること大審院の不変の判例で、当裁判所も是認する処である。
判旨は、不法占有者と一般の形で述べています。事案は家屋でしたが、土地でも同じ形で当てはまります。Bは登記がなくても、所有権の取得をCに対抗できます。Bの所有とCの占有が認められ、Cに占有権原はありません。よって、BはCに、甲土地の明渡しを請求できます。ここで、境界のすぐ外も考えてみます。もしCが、Aから甲土地を借りて占有していたらどうでしょう。権原のある賃借人は、Bが所有者として認められると、Bから明渡しを求められうる立場になります。登記がどちらかで立場が変わりうるので、事情が違ってきます。この違いは、あとの設問3で、もう一度使います。今は、無権原で居座るCと、権原のある賃借人は違う、とだけ押さえてください。
設問2
図:設問2の請求——不法行為に基づく損害賠償請求とDの言い分
設問2です。BはDに、300万円の賠償を請求します。契約はありません。何を根拠にしますか。条文を全文で読みます。
条文民法709条
不法行為による損害賠償
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
要件は、条文に書いてあるとおりです。故意または過失。権利または法律上保護される利益の侵害。損害の発生。そして、これらの間の因果関係です。709条の要件は、条文を音読すれば出てきます。ですから、覚える対象ではありません。条文から拾えば足ります。厚く書くのは、Dの言い分への答えだけです。Dは何と言っていましたか。これを論理にするとこうなります。Bが登記なくして対抗できないなら、Bは所有者として扱われません。そうなると、侵害される権利がありません。ここでの権利は、Bの甲土地の所有権です。だから、ここでも177条の問いが立ちます。Dは第三者か。今度は、さっきの物差しを、自分で当ててみてください。問いを出します。Dは、登記がなければ困る立場でしょうか。動画を止めて、Cのときと同じ順で、考えてみてください。では、答え合わせです。1つめの絞り。Dは当事者でも包括承継人でもありません。2つめの絞り。拾う事実は、Dが甲土地についてAからもBからも何の権利も得ていないことです。そして、他人の所有地と知りながら廃材を捨てて、土壌を汚したことです。評価します。Dが負う賠償責任は、Dが廃材を違法に捨てたことから生じています。Dが賠償を負うこと自体は、所有者がAでもBでも変わりません。変わるのは、誰が請求できるかだけです。
不法占有者のCと同じく、登記がAのままでも、Bに移っても、Dの地位は変わりません。さらに、Dは登記簿を見て取引に入った人ではありません。よって、Dは登記の欠缺を主張する正当な利益を有しません。Dは、177条の第三者にあたらないのです。ここで、Bは登記なくして所有権の取得をDに対抗できることになります。
図:設問2のあてはめ——同じ物差しで、709条の要件を1つずつ流す
そこから、709条の要件を1つずつ流します。他人の権利の侵害。Bは登記なくして対抗できるので、甲土地の所有者はBです。廃材を捨てて土壌を汚した行為は、Bの所有権を侵害します。次に、故意。Dは、甲土地が他人の所有地であることを知っていました。故意が認められます。損害。Bは、撤去と土壌の入替えに300万円を支払いました。これは損害にあたります。最後に因果関係。Dが捨てて汚さなければ、Bが300万円を支払う必要はありませんでした。よって、因果関係もあります。ここで時間をかける場所ではありません。結論です。709条の要件はすべて充たされます。BはDに、300万円の損害賠償を請求できます。設問1と比べると、違いは1点だけです。Cには占有の返還、Dには損害賠償。請求の形が違うだけです。177条の物差しは、まったく同じでした。ここで、また問いです。CもDも、同じ結論になりました。では、Eもこの2人と同じ結論になるでしょうか。違うなら、何が違うでしょう。
Eは、登記を備えています。それに抵当権という、権利も持っています。気づきましたね。次はそこを見ます。
設問3
図:設問3の請求——抵当権設定登記の抹消請求と、Eの言い分
設問3です。BはEに、抵当権設定登記の抹消を請求したい。根拠は、所有権に基づく妨害排除請求です。Bが甲土地を所有し、E名義の抵当権設定登記が存在する。Eに登記を保持する権原がなければ、認められます。Bは、4月1日の売買で所有者になっています。Eはこう言います。「私の抵当権は有効だ。Bは登記を持っていないから、私には対抗できない」。またEは第三者か、という問いになります。CとDは、登記を基準にする利益がない側でした。ここからは、逆側です。登記を基準にする利益がある側を見ます。人ごとに、ゼロから悩まなくていいやり方があります。まず類型で見る、という進め方です。
図:規範:「正当な利益」の判断は、まず類型で見る
規範にします。
⭐ 論文で書く規範:「正当な利益」の判断
登記の欠缺を主張する正当な利益の有無は、まず一般的・類型的にみて判断する。
すなわち、問題となる物権変動の対象である不動産について物権を取得した者、差押債権者、賃借人など、その物権変動を対抗されると自らの法的地位が危うくなる者は、原則として正当な利益を有する。
(規範(大連判明治41・12・15 参照))
まず、類型で見る。その不動産について、物権を取得した者。差押債権者。賃借人。こうした人は、その物権変動を対抗されると、自分の法的地位が危うくなります。だから原則として、正当な利益があります。原則ですから、例外があります。その話は、次の回で扱います。今日は、類型に当てはまれば、原則として正当な利益がある、まででいいです。賃借人は、設問1で考えた、Aから甲土地を借りていたCです。所有者がAかBかで、借り続けられるかが変わります。ですから、この類型に入ります。差押債権者は、解説の回で見た、Aの土地を差し押さえた債権者です。甲土地がまだAのものかで、差し押さえが空振りになるかが決まります。今日使うのは、物権を取得した者です。解説の回の二重譲受人も、この類型に入ります。では、Eのあてはめです。まず、Bが登記なくして対抗できるとしたら、Eはどうなるでしょう。考えてみてください。順に見ましょう。1つめの絞りです。Eは、AB間の売買の当事者でも、包括承継人でもありません。2つめの絞り。拾う事実は、8月1日にAから甲土地に抵当権の設定を受け、登記を備えたことです。抵当権は、369条1項が定める物権です。ですから、Eは、甲土地について物権を取得した者にあたります。類型に当てはまりますから、原則として、正当な利益があります。
評価を書きます。Bが登記なくして、所有権の取得をEに対抗できるとしましょう。するとAは、4月1日に所有権を失っていたことになります。8月1日の抵当権の設定は、所有者でない者からされたものです。そうなれば、Eは抵当権を失います。Eは登記がなければ困る立場です。ここがCやDとの違いです。CやDは、登記が誰の名義でも、立場が変わりませんでした。これは、二重譲渡と同じ形なんです。さきほどの、Aが所有権を失っていた、というのは、Bが対抗できたら、の話でした。登記が移るまで、Bの所有権の取得は、第三者との関係では、まだ不完全です。Aのもとにも不完全な所有権が残り、Aは、まだ同じ土地を処分できる立場にあります。二重譲渡の回で見た、売ったAがもう一度売れてしまう理由と、同じです。AはBに売り、そのあと、同じ甲土地にEの抵当権をつけました。同じ土地に両立しない権利が2つ立ち、それを争う関係です。ですから、登記で決まります。よって、Eは登記の欠缺を主張する正当な利益を有する者です。Eは、原則として、177条の第三者にあたります。最後に、さきほどの「原則として」の例外にあたる事情がないか、確認します。Eは、AB間の売買を知りませんでした。物権変動を知りながら取得した人ではありません。登記がないことを主張するのが信義に反する事情も、見当たりません。今日は、答案にこの確認を一言書く、とだけ押さえてください。
Eは第三者にあたります。Bは登記を備えていませんから、抵当権の負担のない所有権を取得したことを、Eに対抗できません。Eの抵当権は存続します。よって、BのEに対する抵当権設定登記の抹消請求は、認められません。3人を分けたのは、1つの問いでした。この人は、登記がなければ困る立場か。ここで、1つ残る疑問があります。もしEが、AB間の売買を知っていたらどうなるでしょう。知っていただけなら、Eはなお第三者です。解説の回で見たとおりです。知っていたうえに、信義に反する事情まであったら?それを、次の回で扱います。
完成答案
図:完成答案① 第1 設問1——BのCに対する明渡請求
ここまでを、答案の形にしました。動画を止めて、じっくり見てください。まず設問1です。
図:完成答案①(続き) 第1 設問1——BのCに対する明渡請求
設問1の続きです。どの事実を拾って、どの理由で結論を出しているかを確かめてください。
図:完成答案② 第2 設問2——BのDに対する損害賠償請求
設問2です。止めて見てください。
図:完成答案②(続き) 第2 設問2——BのDに対する損害賠償請求
設問2の続きです。
図:完成答案③ 第3 設問3——BのEに対する抵当権設定登記の抹消請求
設問3です。同じく止めて見てください。
図:完成答案③(続き) 第3 設問3——BのEに対する抵当権設定登記の抹消請求
設問3の続きです。
まとめ
図:今日のまとめ——C、D、Eの3人を、登記がなければ困る立場かで仕分ける
まとめます。3人は、全員「Bは登記がない」と言いました。ですが、177条の第三者は、条文の字面どおりではありません。当事者およびその包括承継人以外の者であって、登記の欠缺を主張する正当な利益を有する者です。正当な利益の判断は、まず類型で見ます。物権を取得した者、差押債権者、賃借人は、原則として正当な利益があります。1人ずつ振り返ります。Cは、無権原で居座る人です。登記がどちら名義でも立場が変わりません。登記なくして、明渡請求ができます。Dは、廃材を違法に捨てた人です。責任が所有者の違いで左右されません。登記なくして、300万円の損害賠償を請求できます。Eは、抵当権という物権を取得した人です。Bが対抗できればEは抵当権を失います。ですから、登記がなければ対抗できません。
答案でも、この問いに戻ってください。ところが、登記を備えた相手が、第三者のはずなのに、登記がないことを主張できない場面があります。それが、先ほど残した疑問です。次の回で、見ていきましょう。
参照条文
- 民法177条
- 民法709条