損害賠償の範囲①(416条・通常損害と特別損害)
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ゼロから民法 論文/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。
事例

買った機械が約束の日に届かず、困った買主が、売主にどこまで払わせられるか、を見ます。登場人物は4人です。Aは建設機械の販売業者で、売主です。Bは造園や土木の工事をしていて、買主です。Cは市で、Bに公園の工事を頼んだ人です。Dは機械のリース会社です。3月4日、AはBに、新品の小型油圧ショベルを1台、480万円で売りました。引渡期日は5月10日で、代金は引渡しと引換えに払う約束です。メーカーの標準仕様の、ありふれた機械です。Bは自分の工事に使います。Aも、それを知っています。AとBの取引は、これが初めてです。4月20日、BはCから、公園の造成工事を900万円で受注しました。着工は5月15日、完成は7月10日です。完成が遅れたら、1日につき5万円の遅延違約金をCに払う約束です。Bは、同じ型のショベルを持っていません。

ところが、5月10日、Bは代金480万円を用意して、Aの店に受け取りに行きましたが、Aはショベルを引き渡しませんでした。仕入先に発注するのを、忘れていたからです。Bはすぐにリース会社を探しましたが、同じ型の機械を借りられたのは、5月27日でした。Dからショベルを1日1万5,000円で借りて、やっと工事に着手しました。借りたのは6月19日までの24日間で、賃料は合計36万円です。Aは6月19日にショベルを引き渡し、Bは代金480万円を払いました。工事の着工は、予定の5月15日から12日遅れ、完成は7月22日になりました。BはCに、遅延違約金を、5万円の12日分、60万円払いました。時間の順に見てください。3月4日の売買より、4月20日の受注のほうが、あとです。この順番が、今日の後半で効いてきます。Bの損害は、2つです。リース料36万円と、違約金60万円。どちらも、Aが5月10日に引き渡していれば、生じませんでした。事実としては、つながっています。
それなら、合わせて96万円、Aに払ってもらえるんじゃないですか。そこが今日の問いです。つながっているからといって、全部は払わせません。どこかで線を引きます。その線を引く条文が、416条です。
設問1

設問1です。問題文の続きを読みます。Aは、3月4日の売買の当時も、5月10日までも、Bの受注した公園工事の話や、違約金の約束を、Bから一切聞いていませんでした。知る手段もありませんでした。BはAに、引渡しが遅れたことによる損害として、リース料36万円と、違約金60万円の賠償を請求しました。問いは、この請求は、どの範囲で認められるか。変形は、あとで読みます。
図:設問1の請求——415条1項の要件を先に並べる
答案は、請求の根拠から始めます。Bは、Aが期日に引き渡さなかったことを理由に、損害賠償を求めています。債務不履行のうち、履行が遅れた、履行遅滞です。遅れによる損害の賠償なので、遅延賠償とも呼ばれます。根拠は、415条1項です。全文で読みます。
条文民法415条1項
民法第415条第1項 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
前半は、債務者が債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求できる、という定めです。本旨に従った履行とは、約束どおりの内容、期日どおりの履行のことです。後半のただし書は、不履行が、債務者の責めに帰することができない事由によるものなら、この限りでない、つまり賠償は認められない、という定めです。答案では、最初に、検討する要件を並べます。債務があること。その不履行があること。損害が生じていること。その損害が不履行によって生じたこと、つまり因果関係。この4つです。そこに、ただし書の、免責事由がないことが加わります。先に並べてから、順に当てていきます。
5つ全部、同じ厚さで書くんですか。違います。ここが、答案の配分です。債務と不履行は、条文どおりに当てるだけなので、一文ずつ、端的に流します。免責事由も、一文です。厚く書くのは、因果関係の、後半です。今日の山は、そこにあります。流す所から行きます。1つめは、債務です。3月4日に、AとBの間で、ショベル1台を480万円、引渡期日を5月10日とする売買契約が成立しています。売主のAは、買主のBに、ショベルを引き渡す債務を負います。555条です。2つめは、不履行です。引渡期日の5月10日は、確定期限です。確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した時から、遅滞の責任を負います。412条1項です。Aは、5月10日を過ぎても引き渡さず、6月19日に、ようやく引き渡しました。債務の本旨に従った履行をしていません。債務と不履行は、満たします。代金は引換えの約束ですが、Bは5月10日に代金を用意して、受け取りに行っています。相手が自分の分を出すまで、自分の分を拒める権利を、同時履行の抗弁権といい、533条に定めがあります。ただ、Bは自分の分を提供済みなので、Aは、この権利を理由に、遅れを正当化できません。3つめは、損害です。ここは、解釈の要る所です。
解説の動画では、損害を金額で把握する、差額説で整理しました。判例の考え方です。ただ、差額説だと、損害が生じたという事実の把握と、それを、いくらと見積もるかという金銭的な評価の作業が、区別できなくなります。区別しておくと、どの損害が賠償の範囲に入るか、という問いと、それをいくらと見るか、という問いを、別々の段で検討できます。今日の416条が決めるのは、前のほうの問いです。そこで、要件としての損害は、事実としての損害と考えます。実際に出ていった、失われた、という事実そのものです。いくらかは、別の段で数えます。答案で、差額説に立って金額で書いても構いません。このあとの416条の当てはめの運びは、どちらでも同じです。今日は、範囲と金額を分けて見やすい、事実としての損害で組みます。

損害の意義を、板で確かめます。並べた要件は、415条1項の文言どおりです。解釈で立てているのは、損害は事実としての損害、という所と、因果関係の二段です。一番下の段は、次の所で使います。今は、損害まで当てます。あてはめです。Bは、代わりのショベルを借りるために、リース料を支出しました。また、工事の着工が遅れて、Cに違約金を支払いました。どちらも、Bに実際に生じた、事実としての損害です。損害の要件は、満たします。
設問1

次は、因果関係です。その前に、少し思い出してみましょう。解説の動画で見ました。あれなければこれなし、という関係で認められる因果関係を、何といいましたか。それが認められたら、損害は全部、賠償の対象になるのでしょうか?事実的因果関係です。でも、それが認められても、全部が賠償の対象になるわけではなかったと思います。今日は、その2段目を、答案の中で使います。まず、事実的因果関係から当てます。Aが5月10日にショベルを引き渡していれば、Bは5月15日に着工できました。代わりの機械を借りる必要も、工事の遅れで違約金を払うことも、ありませんでした。ですから、リース料も違約金も、Aの履行遅滞との間に、事実的因果関係があります。
やっぱり両方、賠償の対象になりませんか。そこが、分かれ道です。事実としてつながっているだけなら、つながりは、どこまでも伸ばせてしまうからです。仮に、違約金を払ってBの資金が足りなくなり、別の取引も流れた、とします。それも、たどれば、Aの遅れにつながります。全部を払わせたら、際限がありません。そこで、どこかで線を引きます。その線を引く条文が、416条です。全文で読みます。
条文民法416条
民法第416条 債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。 2 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求することができる。
1項です。損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることを目的とする。その種類の不履行から、一般に生ずると考えられる損害を、通常損害と言います。通常損害は、当然に、賠償の範囲に入ります。2項です。特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求できる。特別の事情によって生じた損害を、特別損害と言います。ここで、言葉の置き場所に注意してください。予見するのは、損害そのものではありません。その損害を生んだ、特別の事情です。今回なら、BがCと工事を請け負い、遅れたら違約金を払う約束をしていた、という事情です。
通常損害は当然に、特別損害は条件つき、という仕分けは、条文の文言どおりです。もう1つ、答案の語の選び方です。解説の動画では、416条を、判例と通説に従って、事実的因果関係のある損害のうち相当な範囲に限る、相当因果関係の規定と読みました。債務者にどこまで負担させるかを決める、保護範囲の規定と読む立場もあります。どちらで読んでも、通常損害か、特別損害で予見すべきだったか、という当てはめの運びは同じです。違うのは呼び方だけなので、答案では、覚えた相当因果関係の言い方で書いて構いません。
設問1

問いを立てます。事実的因果関係のあるリース料36万円と違約金60万円は、いずれも賠償の範囲に含まれるか。416条は、そのうち、どこまでを賠償の対象にするのか。さらに、2項の「当事者」が誰で、予見すべきかを、いつの時点で見るのかは、条文に書かれていません。段落ごとに見ます。1つめは、事実的因果関係があっても、全部は払わせない、という入口です。2つめは、通常損害は、当然に入る、という1項です。3つめが、条文に書いていない所です。特別損害は、債務者が、債務不履行時に、その事情を予見すべきであったときに限って、入る。「誰が」は債務者、「いつ」は債務不履行時、です。ここは、次の節で厚く見ます。4つめは、通常損害か特別損害かの、仕分けの物差しです。当事者の立場や、目的物の性質に従って、事案ごとに判断します。
個々のケースの珍しさではなく、その売買の遅れから、世間一般に生ずるか、で見ます。誰が、どんな物を売り買いしたかで、答えが変わります。具体的に、問いにします。Bが借りた同型機のリース料36万円と、市に払った違約金60万円。売主のAから見て、通常生ずる損害は、どちらでしょうか?考えてみてください。答え合わせです。リース料です。リース料から、事実を拾って当てます。拾う事実は4つです。Aは建設機械の販売業者であること。Bは工事業者で、その機械を、自分の工事に使うこと。ショベルは、メーカー標準仕様の汎用機で、市場で同型機を借りられること。Bは、代わりの機械を、24日間、1日1万5,000円で借りたこと。評価します。工事に使う汎用機が期日に届かなければ、同型機を借りて工事を続けるのは、この種の売買の遅れから、一般に生ずることです。機械の販売業者のAの立場からも、想定できる範囲です。当てます。リース料36万円は、履行遅滞によって通常生ずべき損害、通常損害です。当然に、賠償の範囲に含まれます。416条1項です。境界のすぐ外も見ます。違約金60万円です。同じ遅れから生じた損害でも、この違約金は、BがCと工事の請負契約を結び、遅れたら1日5万円払う、と約束していたことから生じています。
決め手は、特別の事情が間に入っているかどうかです。Cとの請負契約は、Bの個別の事情で、機械の売買の遅れから一般に生ずる損害の外にあります。ですから、違約金は、特別損害で、2項の問題です。
設問1
図:予見の主体と時期——見るのは債務者A、見る時点は引渡期日の5月10日
今日の一番厚い所です。違約金は特別損害ですから、2項により、予見すべきであったときに限って、賠償の範囲に入ります。では、誰が、いつ、予見すべきだったのか。ここで、問いです。Bは、工事のことも、違約金の約束のことも、もちろん知っていました。それでも、違約金が賠償の範囲に入るかどうかを見るとき、見ているのは、誰の予見でしょうか?考えてみてください。答え合わせです。債務者、つまりAの予見です。条文は、「当事者」としか書いていません。債権者か債務者かも、いつの時点かも、書いていません。ですから、解釈で置きます。予見すべきかを見るのは、債務者のAです。見る時点は、債務不履行時、つまり、引渡期日の5月10日です。
どうして、債務者の、不履行のときなんですか。債務者は、履行すれば、この損害を避けられたからです。期日までに、その事情を予見すべきだったのに、履行しなかったのなら、その結果のリスクを、債務者に負わせてよい。この筋で、主体は債務者、時期は債務不履行時、と置きます。つまずきやすい所が、2つあります。1つめは、主体です。Bは、違約金の約束を、当然知っています。でも、予見すべきかを見るのは、債権者のBではなく、債務者のAです。Bが知っていたことは、答えに入りません。2つめは、時期です。もし、契約を結んだ3月4日を基準にしたら、どうなるか。その時、Bは、まだCから工事を受注していません。受注は、4月20日です。契約の時を基準にすると、契約のあとに生まれた事情は、どれだけ早く知らされても、予見の対象になりません。この違いは、設問2ではっきり出ます。もう1つ。「予見すべきであった」は、Aが現実に予見したかどうか、ではありません。契約の趣旨や取引の流れに照らして、予見すべきだったと評価できるか、という規範的な評価です。現実に聞いていなかったことは、そのための材料の1つにとどまります。あてはめます。拾う事実は、5つです。Aは、3月4日の契約の当時、Bの工事の受注を知らなかったこと。受注は4月20日で、契約の当時には、存在しなかったこと。Aは、5月10日までに、Bから、工事の受注も、違約金の約束も、一切聞いていないこと。Aには、それを知る手段もなかったこと。Aが知っていたのは、Bが工事業者で、機械を自分の工事に使うことまで、であること。
評価します。機械を工事に使うこと自体は、ごく普通の使い道です。でも、特定の公園工事を受注したことと、1日5万円の違約金の約束は、Bの個別の事情です。売主が当然に想定する事情ではありません。Aが、5月10日までに、その事情を予見すべきだった、とはいえません。当てます。違約金60万円は、特別損害で、Aが予見すべきであったとはいえません。賠償の範囲には、含まれません。聞いていないことまで負わせるのは、無理があります。だからこそ、2項は、Aが予見すべきだったときに限っています。Aは、受注のことも、違約金の約束のことも、聞いておらず、知る手段もありませんでした。この事情を、Aに負わせるのは、重すぎます。逆に、Aが具体的に聞いて承知していたなら、話は変わります。それが設問2です。
設問1

残った要件が、免責事由です。一文で流します。Aが引き渡せなかったのは、仕入先に発注するのを忘れたからです。Aの責めに帰すべき事由です。契約その他の債務の発生原因や、取引上の社会通念に照らしても、責めに帰することができない事由とはいえません。Aは、免責されません。結論です。BのAに対する請求は、リース料36万円の限度で認められます。違約金60万円は、認められません。合計36万円です。つながっていることと、払わせる範囲は、別の問いです。範囲は、特別の事情が間に入っているか、入っているなら、債務者が、債務不履行時に予見すべきだったか、で決まります。
設問2

設問2です。設問1の事実に、1つ足します。5月3日、引渡期日の1週間前です。Bは電話でAに、こう伝えました。「4月20日に市から公園の造成工事を受注した。5月15日に着工する。完成が遅れると1日5万円の違約金を市に払う約定なので、5月10日の引渡しは必ず守ってほしい」。Aは「承知した」と答えました。問いは、違約金60万円の請求は認められるか。結論は、設問1と変わるのか、変わるなら、なぜか、です。ここで、問いです。契約のときには、市との工事は、まだ受注されていませんでした。それなのに、違約金が賠償の範囲に入りうるのは、予見をいつの時点で見るからでしょうか?考えてみてください。答え合わせです。債務不履行時、5月10日の時点で見るからです。運びは、設問1と同じです。どこが変わって、どこが変わらないかを、分けます。変わらないのは、事実的因果関係があること、そして、違約金が特別損害であることです。変わるのは、2項の、予見すべきであったか、という当てはめだけです。規範を、短く出します。
図:特別損害の範囲——債務者が債務不履行時にその事情を予見すべきであったときに限る
あてはめます。拾う事実は、3つです。5月3日、引渡期日の1週間前に、Bから、工事の受注、着工の日、遅れた場合の違約金の額を、具体的に聞いたこと。Aは「承知した」と答えたこと。3月4日の契約の当時は、受注の前で、予見しようがなかったこと。事実を拾うときは、いつ、何を、どの程度具体的に聞いたか、そして、どう応じたかまで、書きます。期日の1週間前に、金額まで聞いて、承知した。この具体さが、評価の材料になります。評価します。期日までに、具体的な内容を聞いて、承知していた以上、5月10日に引き渡さなければ、Bの工事が遅れ、違約金が生ずることは、Aが予見すべきでした。契約の当時に知らなかったことは、基準が債務不履行時である以上、妨げになりません。当てます。Aは、5月10日までに、この特別の事情を予見すべきでした。違約金60万円も、賠償の範囲に含まれます。結論です。BのAに対する請求は、リース料36万円と違約金60万円、合計96万円について認められます。
変わったのは、Aが、不履行の時までに、その事情を知らされていたか、という事実だけです。基準が、契約の時でなく、債務不履行時だから、契約の後に生まれた事情でも、期日の前に知らされていれば、効いてきます。分かれ道も、言っておきます。基準の時を、契約を結んだ時とみる立場もあります。その立場では、本問の事情は、契約の時に存在しないので、予見は否定され、結論が反対になります。契約を結ぶときに、当事者がどこまでのリスクを引き受けたか、を重く見るからです。どちらの立場でも、理由を示して、一貫して書けばよい、と考えられています。今日は、債務不履行時で組みました。もう1つ。もし、事情を知らされたのが、履行期を過ぎて、遅れが続いている最中だったら、どうでしょう。たとえば5月20日です。この場合は、知ったあとも遅れ続けた分について、予見すべきだったかを見ます。知らされたあとも引き渡さなければ、そこから先の遅れは、事情を知りながら続けた不履行になるからです。知る前の遅れと、知ったあとの遅れを、分けて見る、ということです。違約金を日割りで割り振る計算には、決まった物差しが無いので、ここでは扱いません。
完成答案
図:完成答案① 第1 設問1——BのAに対する損害賠償請求(問題の所在と要件①②)
ここまでを、答案の形にしました。動画を止めて、見てみてください。まず、設問1の前半です。要件を先に並べて、債務と不履行を端的に流しているところを、確かめてください。
図:完成答案①の続き 第1 設問1——BのAに対する損害賠償請求(要件③損害)
続きです。損害を、事実としての損害で当てているところを、確かめてください。
図:完成答案② 第1 設問1——BのAに対する損害賠償請求
設問1の、因果関係の所です。事実的因果関係を当てたあと、416条で範囲を限定する規範に入る流れを、確かめてください。
図:完成答案②の続き 第1 設問1——BのAに対する損害賠償請求
続きです。リース料を通常損害、違約金を特別損害と仕分けて、違約金では、債務者のAが、5月10日までに予見すべきだったかを、事実から当てているところを、確かめてください。
図:完成答案③ 第1 設問1の免責事由と結論、第2 設問2——違約金60万円の請求
設問1の免責事由と結論、そして設問2の前半です。免責事由を端的に流して、設問1の結論を36万円と置き、設問2では、5月3日に知らされたことを、事実として拾っているところを、確かめてください。
図:完成答案③の続き 第2 設問2——違約金60万円の請求(あてはめと結論)
設問2の後半です。5月3日に知らされたことが、債務不履行時に予見すべきだった、という当てはめに効いているところと、結論が96万円になるところを、確かめてください。
今日の地図(保存版)

最後に、答案の運びを、1枚の図で確かめます。請求は、履行遅滞に基づく損害賠償で、根拠は415条1項です。要件を先に並べて、債務と不履行、免責事由は、端的に流します。損害は、事実としての損害です。厚く書くのは、因果関係です。まず、事実的因果関係を当てます。次に、416条で範囲を限定します。通常損害は、当然に入ります。特別の事情が間に入る損害は、特別損害として、債務者が、債務不履行時に予見すべきだったか、を事実から当てます。結論は、設問1で36万円、設問2で96万円でした。同じ違約金でも、不履行の時までに、債務者に事情が知らされていたかで、分かれます。ここまでは、事実としてつながった損害のうち、どれが賠償の範囲に入るか、という話でした。では、範囲に入った損害を、いくらで払わせるのか。そこは、別の段の話になります。続きの動画で、見ていきましょう。
参照条文
- 民法415条1項
- 民法416条