民法ゼロから民法 論文

取消しと第三者③(取消しの前と後が重なるとき)

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ゼロから民法 論文/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。

事例

【事例】取消しの前に現れたCと、取消しのあとに現れたDが、同じ物をめぐってぶつかる

これまでの二つで、型は二つ見ました。一つめ。取消しの前に現れた人は、条文で守られます。詐欺なら96条3項、錯誤なら95条4項で、善意でかつ過失がない第三者であれば、登記が無くても守られました。二つめ。取消しのあとに現れた人は、条文の外にいます。取消しで所有権がAに戻る復帰的物権変動を前提にして、先に対抗要件を備えた方が勝ちます。この二つが、同じ物をめぐって重なる場面です。山は2か所あります。1か所め。守る条文が無い取消しでは、取消し前の人はどうなるのか。制限行為能力の取消しが、その例です。2か所め。取消し前の人Cが条文で守られたあとに、取消し後の人Dが現れたら、誰が勝つのか。この場面は、司法試験でも出題されています。今日は規範を新しく覚える回ではありません。これまでの規範を使って、答案をどう組むかを見ます。

設問1

設問1の関係図——AがBに売り、BがCに売り、そのあとでAが取り消す 図:設問1の関係図——AがBに売り、BがCに売り、そのあとでAが取り消す

設問1です。問題文を読みます。Aは、6月3日、17歳のとき、親権者の同意を得ないまま、自分のヴァイオリンを、楽器商のBに40万円で売りました。時価は約90万円で、同じ日に、ヴァイオリンはBに引き渡されています。6月25日、BはCに、このヴァイオリンを85万円で売りました。Cは代金を全額払い、同じ日に、Bから現実の引渡しを受けました。Cは、このヴァイオリンがもとAの物だったことも、Aが未成年のときに売ったことも知りません。Bは楽器商として、店でこれを売っていたので、Bが持ち主であることを疑う事情もありませんでした。Aは8月1日に18歳になり、8月10日、Bに、未成年のときにした売買だから取り消す、と通知しました。9月2日、AはCに、所有権に基づいて、ヴァイオリンの返還を請求しました。Aの代金返還の問題は、考えません。問いは、AはCにヴァイオリンの返還を請求できるか。変形は、あとで読みます。

設問1の時系列——6月3日にAがBへ売却、6月25日にBがCへ売却、8月10日にAが取消し

時間の順に見ます。Cが買ったのは6月25日。Aが取り消したのは、そのあとの8月10日です。Cは、取消しの前に現れた人です。取消しの前の人なら、96条3項が出てくる形です。ところが、今回の取消しの原因は、詐欺ではありません。ここが一つめの山です。

請求の根拠から取消しまで——Aは未成年のとき同意なしに売った、取り消せる 図:請求の根拠から取消しまで——Aは未成年のとき同意なしに売った、取り消せる

答案は、請求の根拠から始めます。Aは、所有権に基づく返還請求をしています。認められるには、Aが今もヴァイオリンの所有者でなければなりません。Aは6月3日に、いったんBに売って、所有権を手放しています。ただ、売ったとき17歳で、親権者の同意がありませんでした。条文を、全文で読みます。

条文民法5条

未成年者の法律行為(1項・2項) 第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。 2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。

1項は、未成年者が法律行為をするには、親権者などの同意が要る、という原則です。2項が、同意なしにした行為は、取り消せる、という効果です。Aは、取り消すときには、もう18歳ですよね。取り消せるんですか。取り消せます。取り消せるかどうかは、行為をしたときに未成年者だったかで決まります。取り消す時点の年齢ではありません。その売買を取り消せるのは、制限行為能力者だったA本人です。根拠は、120条1項です。取り消した行為は、121条のとおり、初めから無効だったものとして扱われます。遡及効です。するとBは、最初からヴァイオリンの持ち主ではなく、6月25日にCに売った時点でも、無権利者でした。無権利者から買っても、原則として所有権は取れません。持っていない権利は、渡せないからです。ここまでは、Aの勝ちです。

条文のある取消しと、ない取消し——詐欺と錯誤は取消し前の第三者を守る条文あり、制限行為能力は条文なし

そこで、Cを守る条文を探します。取消し前の人を守る条文は、詐欺の96条3項です。確認のために、3項を、全文で読みます。

条文民法96条

詐欺又は強迫(3項) 3 前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。

文言を見てください。「詐欺による意思表示の取消し」、と書いてあります。錯誤の95条4項も同じ形でした。制限行為能力の取消しには、これに当たる条文が、ありません。強迫も、守る条文が無い側です。3項が書いているのは、詐欺による取消しだけで、強迫は入っていません。ですから、詐欺と錯誤は条文で守る。強迫と制限行為能力は、守る条文が無い。この線は、押さえておきましょう。守る条文が無いと、遡及効がそのまま及びます。Cは、善意でも過失が無くても、この条文では守られません。ここで問いです。Cは、取消しの前に、店で、ヴァイオリンを受け取って買いました。守る条文は無い。それでも、Cが勝つ道は、あるでしょうか。考えてみてください。答え合わせです。道はあります。ヴァイオリンが動産だからです。

設問1

192条の入口——現実の引渡しなら即時取得、占有改定だけなら占有を始めたにあたらない

その前に、一つ思い出しておきます。前の動画で、178条の引渡しは、占有改定でもよいと見ました。ところが、この先の192条の「占有を始めた」は、占有改定では足りません。なぜ、違うのでしょうか。理由は、すぐあとで答えます。条文を、全文で読みます。

条文民法192条

即時取得 第百九十二条 取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。

動産の取引では、取引行為で、平穏に、公然と、占有を始めた人が、善意で無過失なら、その物の権利を即時に取得します。前の持ち主が無権利でも、この条文で、Cは取れる可能性があります。拾う事実から当てます。6月25日の売買という、取引行為があります。Cは、Bから現実の引渡しを受けています。代金は、時価約90万円に近い85万円です。Bは楽器商で、店で売っていました。Cは、Aのことも、未成年のときの売買も、知りませんでした。評価します。売買で、現実の引渡しを受けたのですから、平穏、公然に、占有を始めています。店で楽器商から、相場に近い値段で買ったのですから、Bが持ち主だと信じるのが自然で、疑うべき事情は、ありません。善意で、過失もありません。当てます。Cは、ヴァイオリンの所有権を即時取得しました。Aは所有権を失っているので、Aの請求は、認められません。

ただし、動産だから、です。変形を二つ見ます。

変形1と変形2——占有改定だけなら即時取得できない、不動産は192条の外 図:変形1と変形2——占有改定だけなら即時取得できない、不動産は192条の外

変形1です。Cが6月25日に受けたのが、「ヴァイオリンは7月末にCへ持っていく。それまではBが預かっておく」、という約束だけだったとします。ヴァイオリンは、そのままBのもとにあります。占有改定です。この場合、「占有を始めた」にあたりません。さきほどの問いの答えです。192条は、本当の持ち主から権利を奪うことを、正当化する条文です。だから、外から見て、それまでの占有の状態が変わるほどの、占有の取得が要ります。占有改定では、ヴァイオリンは終始Bのもとにあり、外から見た様子は変わりません。178条は、持ち主が誰かを争う者同士の勝ち負けを決める条文です。192条は、無関係の本当の持ち主から奪う条文です。求める重さが、違うのです。ですから、Cは即時取得できず、Aの請求は認められます。変形2です。売買の目的が、ヴァイオリンではなく、A名義の建物で、Bが6月3日にB名義の登記を備え、Cが6月25日に買って、C名義の登記を備えたとします。日付と当事者は同じで、AはCに、明渡しを請求します。

取消し前の人を守る条文が、制限行為能力には無い。そして、192条は動産だけの条文で、不動産には使えません。登記には、公信力がありません。したがって、他にCを守る根拠が無い限り、Cは守られず、Aの請求が認められます。別の守り方はありますが、今日は触れません。同じ制限行為能力の取消しでも、動産か不動産かで、結論が変わります。設問1は、ここまでです。原則を書く、守る条文を探す、無ければ別の道を探す。この運びを、覚えてください。

設問2

設問2の時系列——4月2日にAがBへ売却、4月20日にBがCへ売却、5月15日にAが取消し、5月28日にAがDへ売却

設問2です。ここから、二つめの山です。令和6年、略してR6の司法試験で出題された形の、別の事案で、A、B、C、Dが出てきます。問題文を読みます。Aは、丁建物を所有しています。時価は約1,800万円です。4月2日、Bは、Aにこう告げました。「隣の空き地に来年、大きな高層マンションが建つことが決まった。丁建物は日当たりを失って、値が下がる。いまなら私が買う」。そのような計画は無く、Bは知りながら嘘を言いました。Aはこれを信じて、同じ日に、丁建物をBに1,000万円で売り、B名義の所有権移転登記がされました。4月20日、BはCに、丁建物を1,700万円で売りました。Cは代金全額を払いました。引渡しと登記は6月末にする約束で、まだ受けていません。Cは、買う前に、登記簿でBが所有者であることを確かめ、近隣の相場の約1,800万円と比べました。地元で長く商売をしているBの話を、疑う理由もありませんでした。Cは、AB間の経緯を知りません。5月15日、Aは、高層マンションの話が嘘だと知り、AB間の売買を取り消す旨を、Bに通知しました。5月28日、AはDに、丁建物を1,600万円で売りました。Dは代金全額を払い、同じ日に引渡しを受けて、住み始めました。Dは、Aから「Bとの売買は取り消したから、建物は私に戻っている」と聞かされていて、BC間の売買は知りません。登記は、B名義のままです。6月5日、CはDに、所有権に基づいて、丁建物の明渡しを請求しました。問いは、CはDに明渡しを請求できるか。Cが96条3項で保護されることは、これまでと同じ結論を使います。

設問2の関係図——Bに詐欺、Cは取消しの前、Dは取消しのあと 図:設問2の関係図——Bに詐欺、Cは取消しの前、Dは取消しのあと

図を見てください。Cは、取消しの前にBから買った人です。Dは、取消しのあとに、Aから買った人です。二つめの動画で、取消しのあとに現れた人は、相手方のBから買った人でした。Dは反対に、取り消したAから買っています。同じ取消し後の人でも、立ち位置が逆なのです。まず、Cの保護を、答案の一文で置きます。Cは、取消しの前に買った第三者です。詐欺を知らず、登記簿でBの名義を確かめ、相場に近い代金で、地元で長く商売をしているBから買っています。疑う事情は無く、善意でかつ過失がありません。ですから、Cは96条3項で守られ、Aは取消しをCに対抗できません。ここまでは、一つめの動画の結論、そのままです。では、Cの請求は、Dに通るでしょうか。

設問2

守られたあとの所有権の動き——AからB、BからCか、AからC直接か 図:守られたあとの所有権の動き——AからB、BからCか、AからC直接か

その前に、一つめの動画を、少し思い出しましょう。取消しの前に現れたCが、96条3項で守られるには、善意でかつ過失がないことのほかに、登記は要りましたか?要りませんでした。理由は、二段に分けて考えました。1段目。Cは、Aの持っていた権利を、Bを通して受け継いだ人で、AとCは、前主と後主の関係です。同じ物を取り合う二人ではないので、対抗要件としての登記は要りません。2段目。だまされた人にも少なからず落ち度があり、Cは、善意でかつ過失がない人に、すでに絞られています。だから、権利保護資格要件としての登記も要りません。さて、問題の所在です。96条3項は、取消しを「対抗することができない」と書いています。取消しの効力そのものを消すのではなく、Cに向かっては、取消しを言えない、という定めです。ここで問いです。Cは守られました。では、そのあと、丁建物の所有権は、AからB、BからCへと動いたのでしょうか。それとも、AからCへ、直接動いたのでしょうか。

条文には、書かれていません。ですから、答案では、書き方が二つに分かれ、結論も分かれます。鍵の受け渡しに例えます。鍵が、Aの手から、Bの手を通って、Cに渡ったのか。それともBを通さずに、Aの手から、直接Cに渡ったのか。この道筋を、先に決めるのです。一つめ。構成アと呼びます。AからB、BからCへ、と動いたと書く構成です。考え方は、こうです。Cとの関係では、取消しが無かったものとして扱います。二つめの動画では、取り消すと所有権がBからAへ戻る、と見ました。その戻りが、Cとの関係では起きない、と書くのです。すると、AからBへ売買で所有権が動き、BからCへ、また動いた。この線では、Aは、4月2日にBに売った時点で、所有権を手放しています。しかも、Bは4月2日に、B名義の登記も備えています。AがBに売り、そのあとDにも売った、と並べて見ても、先に登記を備えたのはBです。ですから、Bの取得は、あとからAと取引した人に、もう覆されません。これを、所有権を確定的に取得した、と言います。ですから、5月28日にAがDに売った時点で、Aは無権利者です。Dは、無権利者から買ったことになり、取れません。Cの請求は、認められます。決め手は、Dが、登記名義人ではないAと、契約したことです。

そこがDの弱い所です。二つめ。構成イと呼びます。AからCへ、直接動いたと書く構成です。考え方は、こうです。AB間の売買が、有効になるわけではありません。取消しは有効で、Cに向かって言えないだけです。この線では、AからCへ移った、そして、AからDへも売られた、という形になります。同じAを起点とした、二つの取引が、並びます。同じ建物を取り合う、二つの取引に似た関係です。この関係に使うのが、177条です。条文を、全文で読みます。

条文民法177条

不動産に関する物権の変動の対抗要件 第百七十七条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

登記を先に備えた方が勝ちます。ところが、CもDも、登記は、まだ備えていません。Cは、登記なしでは対抗できず、Cの請求は、認められません。決め手は、AB間の売買が取り消されている以上、そのあとAから買ったDを、負けさせる理由が無いことです。Dを負けさせると、取り消した人から買おうとする人が、いなくなってしまいます。

構成アと構成イの比較——結論が反対になる 図:構成アと構成イの比較——結論が反対になる

並べます。構成アでは、Cの勝ち。構成イでは、Cの負けです。同じ事案で、結論が反対になります。補足を一つ。構成アでCが勝つのは、Bが4月2日に登記を備えていて、そのBからCが買ったからです。同じ構成アでも、Bの登記をCがDに主張することはできない、と見る書き方もあります。その場合、勝ち負けは、C自身の登記で決まります。CもDも登記が無いので、結論は構成イと同じになります。ですから、構成アで書くときは、Bの登記を、Cの勝ちの理由として、必ず書いてください。どちらで書いても、構わないのです。試験のあとに出題する側が公表する、出題の趣旨という文書でも、どちらの構成でも、筋がとおっていれば、評価される、という姿勢です。大切なのは、先に構成を決めて、最後まで同じ線で書き切ることです。

設問2

構成アのあてはめ——事実、評価、当て 図:構成アのあてはめ——事実、評価、当て

構成アから当てます。拾う事実は四つです。4月2日に、B名義の登記がされたこと。5月28日に、AがDに売ったこと。登記は、B名義のままだったこと。Dは、Aの言葉を信じて買ったこと。評価します。Bは登記を備えて、所有権を確定的に取得しています。Dは、登記名義人ではないAと、契約しました。当てます。Dは、無権利者から買ったことになります。丁建物は、Cのものです。Dには、占有する正当な権原が無いので、Cの請求は認められます。ここで問いです。構成イです。CもDも、まだ登記がありません。この場合、勝敗は何で決まるでしょうか。考えてみてください。答え合わせです。決まりません、登記では。そこで、Dが「第三者」にあたるかを、見ます。

構成イのあてはめ——CもDも未登記、Dは第三者にあたるか 図:構成イのあてはめ——CもDも未登記、Dは第三者にあたるか

拾う事実は、こうです。CもDも、登記は無いこと。Dは、引渡しを受けて、住んでいること。Dは、Aから「Bとの売買は取り消した」と聞いたこと。BC間の売買は、知らなかったこと。評価します。177条の「第三者」は、当事者とその包括承継人以外で、登記が無いことを主張する正当な利益がある人でした。事情を知っていても入りますが、相手を害する目的があるなど、自由競争の範囲を外れた人は、背信的悪意者として外れます。Dは、Aから買った者として、Cの登記が無いことを主張する、正当な利益があります。177条の「第三者」にあたります。Cを害する目的はなく、背信的悪意者にあたる事情も、ありません。当てます。Cは、登記なしでは、Dに所有権の取得を対抗できません。Cの請求は、認められません。

設問2

答案の型——構成を先に宣言し、最後まで同じ線で書く 図:答案の型——構成を先に宣言し、最後まで同じ線で書く

型を言います。構成を、最初に宣言します。「保護後の所有権は、AからB、BからCへ移ったと構成する」、あるいは、「AからCへ直接移ったと構成する」、と。そのあと、最後まで同じ線で書きます。やってはいけないのは、途中で変えることです。アで、Bの登記でBが確定的に取得した、と書き始めて、途中で、CもDも登記が無いという話に引かれて、177条の勝負に持ち込む。これは、矛盾します。完成答案は、板を出します。両方の書き方を、載せてあります。

完成答案

完成答案① 第1 設問1——AのCに対する返還請求(問題の所在) 図:完成答案① 第1 設問1——AのCに対する返還請求(問題の所在)

ここまでを、答案の形にしました。動画を止めて、見てみてください。設問1の前半です。取消しで原則Cが取れない所と、守る条文が無い所を、確かめてください。

完成答案② 第1 設問1——AのCに対する返還請求(即時取得と結論) 図:完成答案② 第1 設問1——AのCに対する返還請求(即時取得と結論)

続きです。192条の当てはめと結論を、確かめてください。

完成答案③ 第1 設問1——変形(占有改定と不動産) 図:完成答案③ 第1 設問1——変形(占有改定と不動産)

設問1の変形です。占有を始めたにあたらない理由と、不動産が192条の外にある所を、確かめてください。

完成答案④ 第2 設問2——CのDに対する明渡請求(問題の所在) 図:完成答案④ 第2 設問2——CのDに対する明渡請求(問題の所在)

設問2です。Cが96条3項で保護される所と、そのあとの問題の立て方を、確かめてください。

完成答案⑤ 第2 設問2——構成アで書く場合 図:完成答案⑤ 第2 設問2——構成アで書く場合

構成を宣言して、構成アで最後まで書く所です。Dが無権利者から買ったことになる流れを、確かめてください。

完成答案⑥ 第2 設問2——構成イで書く場合 図:完成答案⑥ 第2 設問2——構成イで書く場合

構成イで書く場合です。177条で、CもDも未登記の所から、結論までを、確かめてください。

今日の地図(保存版)

対応表——取消し前の第三者と取消し後の第三者 図:対応表——取消し前の第三者と取消し後の第三者

最後に、取消しの前と後を、1枚の表で確かめます。一行め、遡及効です。取消し前の第三者は、遡及効を受けます。Bが無権利になるからです。取消し後の第三者は、受けません。取消しの時には、もう取消し済みだからです。二行め、守る根拠です。取消し前は条文、96条3項と95条4項。取消し後は対抗問題、177条と178条です。三行め、条文で守れる取消しです。取消し前は、詐欺と錯誤だけ。強迫と制限行為能力は、条文が無い。取消し後は、どの取消しでも、同じ枠組みです。四行め、要件です。取消し前は、善意でかつ過失がないこと。取消し後は、先に対抗要件を備えること。悪意でも、原則として勝てます。五行め、登記や引渡しの意味です。取消し前は、詐欺と錯誤なら、無くても守られます。取消し後は、それが勝敗を決めます。六行め、動産のときです。取消し前は、192条の即時取得で、占有改定では足りません。取消し後は、178条で、占有改定でも足ります。さきほどの問いの答えが、ここにもあります。七行め、取消しをした側の動きです。取消し前は、詐欺と錯誤なら、取消しを対抗できません。取消し後は、すぐに登記や引渡しを済ませる必要があります。

この表を見ると、取消しの前か後かで、考える道具が切り替わっているんですね。まず、時間の順を確かめます。取消しの前か、後か。前なら条文を探し、無ければ別の道を探す。後なら、先に対抗要件を備えたのが誰かを見る。そして、前と後が重なったときは、守られたあとの所有権の動きを先に決めて、最後まで書き切る。この順で、答案が組めます。

参照条文

  • 民法5条
  • 民法96条
  • 民法192条
  • 民法177条

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