民訴ゼロから民事訴訟法 論文

独立当事者参加の審判の書き方(後編)

絵画の甲を買ったと主張するXが、甲を預かる修復工房のYに引渡しを求め、同じ甲を別に買ったと主張するZが参加した三面訴訟を素材に、XとYだけの和解がZを抜きに効力を生じるか、Yが脱退したときXとZの間で確定した判決がYにどんな効力を生じるか、Yだけの認諾は効くかを、答案の順に確かめます。

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ゼロから民事訴訟法 論文/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。

事例

原告X・被告Y・参加人Zと請求の向き 図:原告X・被告Y・参加人Zと請求の向き

前編と同じ、絵画の甲の話です。前編は、判決のあとの、上訴の場面でした。後編は、判決の前に、二人だけで訴訟を終わらせたい、一人だけ抜けたい、と言い出す場面です。登場するのは3人です。甲を買ったと主張する、原告のX。甲を預かって修復している、修復工房の被告のY。同じ甲を、別に買ったと主張する、参加人のZ。美術商のQが、甲を売った人です。上の図は、3人の間の3本の請求と、その向きを表しています。請求①は、XからYへ、甲を引き渡せ。請求②は、ZからXへ、甲はZの所有だという確認。請求③は、ZからYへ、甲をZに引き渡せ。三者の請求がぶつかる、三面訴訟です。

時系列:売買から参加まで 図:時系列:売買から参加まで

令和5年4月3日に、美術商のQが、油彩画の甲を、Xに売りました。これは、Xの主張です。令和5年6月12日に、Qは、同じ甲を、Zにも売りました。これは、Zの主張です。XもZも、自分が所有者だと言って、互いに認めません。甲は、売買の前から、修復のために、Yの手元にあります。令和6年2月19日に、Xが、所有権に基づいて、Yに甲の引渡しを求めて、訴えました。これが請求①です。令和6年6月10日に、Zが、XとY、双方を相手方として参加しました。Xに対して、甲がZの所有であることの確認、これが請求②。Yに対して、甲をZに引き渡せ、これが請求③です。Zの請求とXの請求は、甲の所有者が誰かをめぐって、両立しえません。ですから、前編で確かめたとおり、Zの参加は適法です。

判決の前の3つの場面 図:判決の前の3つの場面

判決の前に、3つの場面を考えます。この3つは、続けて起きたことではなく、別々の場面です。場面の1つめです。令和6年10月7日に、XとYの二人が、Zを抜きにして、訴訟上の和解を成立させたい、と言い出しました。Zは同意しておらず、甲は自分の所有だ、と争い続けています。場面の2つめです。令和6年10月21日に、Yが、所有者がXでもZでも構わない、と述べて、訴訟から脱退したい、と申し出ました。X、Zともに承諾しました。以後は、XとZの間で審理が続いて、判決が確定します。場面の3つめです。令和6年11月5日に、口頭弁論の期日で、Yが、請求①を認めます、と述べました。認諾です。Zは、争っています。

和解案の3項目 図:和解案の3項目

場面の1つめの和解案は、3項目です。1つめは、甲がXの所有であることを、XとYが確認する。2つめは、Yが、甲をXに引き渡す。3つめは、Xが、Yに、預かり中の保管の実費として、30万円を支払う。当事者は、XとYだけです。Zは入っていません。

事実の整理 図:事実の整理

事実を、記号で整理します。事実アは、XとZが、甲を別々にQから買ったと主張して、互いの所有を争っていて、請求①、②、③の三面訴訟になっていること。事実イは、和解案の中身で、当事者がXとYだけであること。事実ウは、Zが和解に同意せず、争い続けていること。事実エは、Yが参加前の被告で、所有者がXでもZでも構わない、と述べて脱退を申し出て、XとZが承諾したこと。事実オは、XとZの間の判決で、所有者がXと判断される場合イと、Zと判断される場合ロがあって、どちらも確定すること。事実カは、別の場面で、Yが請求①を認諾して、Zが争っていることです。

この事例で問うこと 図:この事例で問うこと

問うのは、2つです。1つめは、XとYだけで、Zを抜きに和解して、訴訟を終わらせられるか。2つめは、Yが脱退したとき、XとZの間で確定した判決は、Yとの関係で、どんな効力を生じるか、です。そのあと、別の場面として、Yの認諾も当てはめます。

検討の順番

検討の順番 図:検討の順番

検討の順番は、和解、脱退、そのあとに、別件で認諾です。三面訴訟は、三者の結論をそろえる制度です。ですから、原則として、一部の者だけで、訴訟を終わらせることはできません。まず、この原則を、和解で確かめます。そのうえで、条文が認めた抜け方が、脱退です。抜けた者にも、結論は及びます。これが、2つめの問いです。最後に、和解の仲間である認諾に、同じ物差しを当てます。開く条文は、3つです。40条1項と、267条1項と、48条です。どれも、音読すれば出てくる内容なので、成立要件です。条文番号を添えて書けば足ります。条文に書いていないのは、二人だけの和解が効くかと、脱退した者に及ぶ判決の効力の中身は何か、の2か所です。この2つは、規範で立てます。どちらも、学説の整理で立てる規範です。

第1 二当事者間のみの和解

第1の確認 図:第1の確認

第1に入る前に、前編の内容を1つ確かめます。前編で確かめたのは、三面訴訟では、三人のうち1人が控訴すれば、控訴しなかった者の部分も含めて、訴訟の全部が動く、ということでした。控訴しなかった者の部分まで動くのは、なぜでしょうか。三人の結論を、そろえる必要があるからです。1人の控訴で、全部が動かないと、結論がばらばらになってしまいます。三人の間で合一にのみ確定する要請がある、ということです。独立当事者参加について定める47条4項が、40条を借りているのも、1人を除け者にして、他の二人だけで、訴訟を動かさせないためです。この、除け者にさせない働きを、前編では、対立牽制と呼びました。この要請が、和解にも働くのかを、見ます。XとYの二人が、Zを抜きに和解して、訴訟を終わらせようとしています。Zの請求は、どうなってしまうのでしょうか?

和解は、XとYの間の約束で、Zには関係ないのだから、二人が納得していれば成立する、とも思えます。和解が当事者間の約束にとどまるなら、二人が納得すれば成り立ちます。ところが、訴訟上の和解は、約束で終わりません。267条1項を開きます。

条文民事訴訟法267条1項

民事訴訟法267条1項(和解等に係る電子調書の効力)
裁判所書記官が、和解又は請求の放棄若しくは認諾について電子調書を作成し、これをファイルに記録したときは、その記録は、確定判決と同一の効力を有する。

和解が電子調書に記録されると、確定判決と同一の効力を持ちます。XとYの間で、甲はXの所有、と固まるわけです。Zは争っているのに、Zを置き去りにして、二人だけで結論が決まってしまう。これを許してよいか、が問題の所在です。条文には、和解の可否は、明示されていません。もう1つ、40条1項を開きます。47条4項で、独立当事者参加に、準用される条文です。

条文民事訴訟法40条1項

民事訴訟法40条1項(必要的共同訴訟)
訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合には、その一人の訴訟行為は、全員の利益においてのみその効力を生ずる。

1人の訴訟行為は、全員の利益になるときだけ、効きます。では、規範です。

規範と答案の型|二当事者間のみの和解 図:規範と答案の型|二当事者間のみの和解

独立当事者参加の訴訟では、47条4項で40条1項が準用されて、三者を合一にのみ確定する要請があります。そこで、二当事者間のみの和解は、他の一人の請求と抵触して、その者に不利益が及ぶ内容であるときは、その者が関与しない限り、効力を生じません。これは、条文に書いてある成立要件ではなく、学説の整理で立てる規範です。言い換えます。三人の争いは、三人で決める。二人で決めた結論が、残る一人の請求をつぶすなら、その一人が加わらない限り、効かない、ということです。

決め手と、不利益が及ばない和解との境目 図:決め手と、不利益が及ばない和解との境目

二人だけの和解が効力を生じない決め手を、整理します。1つめは、和解が、確定判決と同一の効力を持つことです。残る一人を置き去りにしたまま、二人だけで結論が決まります。それは、47条4項が、40条を借りた、対立牽制の趣旨に反します。2つめは、40条1項です。1人の訴訟行為は、全員の利益になるときだけ効きます。和解は、互いに譲り合う行為です。和解に加わっていない他の一人に不利益が及ぶなら、不利益を受けるその一人には、効きません。効く和解と効かない和解の境目も、確認します。この設例の和解案のうち、甲はXの所有と確認し、YがXに引き渡す部分は、効きません。Zの請求の前提を、つぶすからです。では、もし和解の内容が、Xの30万円の保管実費の精算だけだったら、どうでしょうか。この場合は、他の一人に不利益が及ばないと考えて、二人だけでできるとする見解もあります。ただ、公表された下級審の裁判例には、二人だけでできるとするこの見解に反対して、二人だけの和解を許さないとするものもあり、断定はできません。ですから、答案は、二人だけの和解を一律に無効と言い切らずに、不利益が及ぶ内容かを、当てはめます。

それなら、今回の和解案から30万円の部分だけを切り離して扱えないか、という疑問が残ります。今回の和解案は、甲の所有の確認と、引渡しと、30万円が、セットで合意されています。所有の確認と引渡しの部分が、Zの請求と抵触するので、案全体として、Zに不利益が及ぶ内容です。ですから、答案は、所有の確認と引渡しの部分がZの請求と抵触することを拾います。

あてはめ:二当事者間のみの和解 図:あてはめ:二当事者間のみの和解

あてはめます。まず、事実イ、和解案の中身です。和解案は、甲はXの所有と確認し、YはXに甲を引き渡す、というものでした。甲がXのものと決まれば、Zの所有の確認を求める請求②と、Zへの引渡しを求める請求③の前提が、否定されます。Zの請求と、正面から抵触します。Zに、不利益が及ぶ内容です。次に、事実ウ、Zの態度です。Zは同意せずに、争い続けています。Zの請求を置き去りにして、XとYだけで、結論が決まってしまいます。対立牽制に反します。結論です。XとYだけの和解は、効力を生じません。Zが関与する三者間の和解にするか、Zの同意を得れば、別です。Zが参加を取り下げたうえで、XとYが和解する道もあります。

第2 訴訟脱退と、脱退者に及ぶ判決の効力

第2の確認 図:第2の確認

第2です。第1で、一部の者だけでは、訴訟を終わらせられない、と確かめました。そこで、条文が認めた抜け方が、脱退です。Yが脱退しても、XとZの間で確定した判決は、Yに及ぶのでしょうか。脱退は、訴えの取下げと、どこが違うのでしょうか?脱退したら、もう当事者ではないので、判決は関係がなく、取下げとあまり変わらない、とも思えます。条文を開きます。

条文民事訴訟法48条

民事訴訟法48条(訴訟脱退)
前条第一項の規定により自己の権利を主張するため訴訟に参加した者がある場合には、参加前の原告又は被告は、相手方の承諾を得て訴訟から脱退することができる。この場合において、判決は、脱退した当事者に対してもその効力を有する。

要件は、3つです。1つめは、自己の権利を主張するために、訴訟に参加した者があること。つまり、権利主張参加が、あることです。2つめは、脱退できるのが、参加前の原告または被告であること。参加人は、脱退できません。3つめは、相手方の承諾を得ることです。承諾は、条文では、相手方の承諾と書かれているだけです。この設例では、XとZの両方が承諾しているので、誰の承諾が要るかは問題にしません。効果が、後段です。判決は、脱退した当事者に対しても、その効力を有する。ここが、取下げとの違いです。対比のために挙げると、261条の訴えの取下げは、訴訟が初めからなかったことになる行為です。脱退は、取下げではありません。抜けた者にも、残る二人の判決の効力が及びます。ですから、脱退した者は、勝ち負けを二人に任せて抜けても、あとで、もう一度、請求されずに済みます。これが、脱退が使われる典型的な場面です。

あてはめ:48条の要件 図:あてはめ:48条の要件

要件をあてはめます。使うのは事実エ、Yの脱退の申出と、XとZの承諾です。Zは、XとYの双方を相手方として参加しているので、権利主張参加があります。Yは、Zの参加前から被告ですから、参加前の被告です。XとZは、承諾しています。3つとも、満たします。問題は、効果の中身です。判決は、脱退した当事者に対しても、その効力を有する。この、効力とは、何でしょうか。XとZのどちらが勝ったかで、Yに、何の効力が生じるのか。これが、問題の所在です。脱退の性質を、どう見るかで決まります。学説の見方を、整理します。脱退した者に及ぶ効力の中身は、答案では、複数の見方があることを押さえて、自分の立場を、1つ立てて、理由を書く論点です。

脱退の見方の比較 図:脱退の見方の比較

1つめは、脱退を、自分の立場を残る二人の勝ち負けに任せ、判決を条件として、あらかじめ請求の放棄や認諾をする行為、とみる立場です。席を立つときに、勝負の結果に従います、という念書を置いていく、というイメージです。これなら、判決の効力が脱退者に及ぶ理由を、脱退者が自分で請求に決着を付けた、という処分の性質から説明できます。放棄や認諾は、第1で開いた267条1項で、確定判決と同一の効力を持つからです。この見方なら、執行力も導きやすいと言われます。ただし、批判があります。空白が生じる、という批判です。具体的に、所有者がXと判断される場合イで考えます。XZ間の判決で、甲の所有者はX、と判断されました。Yは、念書どおり、Xの請求①を認諾したことになります。では、ZのYに対する請求③、つまり甲をZに引き渡せという請求は、どうなるか。認諾の効果が出るのは、Xの請求①です。Zの請求③には、棄却という決着が付きません。ですから、Yは、Zから、もう一度、請求される余地が残ります。放棄・認諾の効果としては説明できない、この決着の付かない部分が、批判のいう空白です。2つめは、脱退を、当事者として防御する権限を放棄するにすぎない、とみる立場です。脱退者に対する請求は、審判の対象として残りますから、空白は生じません。3つめが、両方を合わせる整理です。条件付きの放棄・認諾の効果と、制度として合理的な効果の二面から、説明します。答案では、この3つめの整理で立てます。

規範と答案の型|脱退者に及ぶ判決の効力 図:規範と答案の型|脱退者に及ぶ判決の効力

規範です。脱退は、自分の立場を、残る当事者間の勝敗に任せ、判決を条件として、あらかじめ請求の放棄や認諾をする行為である。もっとも、それだけでは、放棄・認諾の効果として説明できない部分に、空白が生じるので、その部分には、制度上合理的な効果が及ぶ。よって、効力は、条件付きの放棄・認諾の効果と、制度上合理的な効果の二面からなる。これも、学説の整理で立てる規範です。判決の言葉ではありません。制度上合理的な効果とは、判決の論理的な帰結を貫き、紛争を一回で統一的に解決するための効果、という意味です。たとえば場合イでは、所有者がXと決まれば、Zの請求③も成り立たない、という帰結を、Yとの間でも貫きます。この規範を採る決め手は、3つです。1つめ。放棄や認諾だけで説明すると、場合イで、Zが所有者でないと決まっても、認諾の効果が出るのはXの請求①だけなので、ZからYへの請求③が、決着の付かないまま残ります。Yを、二重の請求から守る、という脱退が使われる典型的な場面に合いません。2つめ。この空白を、制度上合理的な効果で埋めれば、紛争を、一回で、統一的に解決できます。3つめ。放棄・認諾の効果は残しますから、執行力など、処分的な性質に基づく効果も導けます。

では、2つめの見方である防御権の放棄だけで、規範を立てることはできないのでしょうか。防御権の放棄だけでも、空白は生じません。ですから、その立て方も、ありえます。ただ、答案では、自分の立場を、1つ決めて、理由を書くことが要ります。ここでは、処分の性質から、判決の効力と執行力まで説明できる点を、重くみて、両方を合わせる整理で立てます。

あてはめ:判決の効力(場合イ・場合ロ) 図:あてはめ:判決の効力(場合イ・場合ロ)

あてはめます。使うのは、Yの脱退の事実エと、XとZの間の判決の結論である事実オです。Yは、参加前の被告で、脱退しました。まず、場合イです。XとZの間で、所有者はX、と判断されました。Yには、Xの請求①、つまり甲をXに引き渡せという請求を認諾した効力が生じます。さらに、空白の部分に、制度上合理的な効果として、Zの請求③は、棄却された効力が生じます。次に、場合ロです。所有者はZ、と判断されました。Yには、Zの請求③、つまり甲をZに引き渡せという請求を認諾した効力が生じます。そして、空白の部分に、Xの請求①は、棄却された効力が生じます。結論です。Yが脱退しても、XとZの間で確定した判決は、Yに対しても、その効力を有します。XとZのどちらが勝ったかに応じて、場合イ、場合ロで見た2通りの効力が生じます。脱退する者が被告でなく原告の場合と、48条が使われるほかの場面について、補足を2つ置きます。この設例のYは被告なので、XとZのどちらが勝っても、Yに生じるのは認諾の効力でした。脱退するのが原告なら、参加人が勝てば参加人の請求の認諾、被告が勝てば自分の請求の放棄の効果になります。また、48条は、参加承継、引受承継にも準用されますが、その中身には、ここでは入りません。

第3 別件 Yが認諾したら

別件の設例 図:別件の設例

別件です。和解や脱退とは別の、場面の3つめを考えます。令和6年11月5日に、Yが、請求①を認めます、と認諾しました。Zは争っています。Yの認諾は、効力を生じるでしょうか。物差しは、第1と同じ、40条1項です。47条4項で準用されて、1人の訴訟行為は、全員の利益になるときだけ、効力を生じます。認諾は、Y一人がする訴訟行為ですから、条文の、その一人の訴訟行為に、そのまま当たります。ここは、条文どおり当てます。認諾は、確定判決と同一の効力を持ちます。XとYの間で、Yは甲をXに引き渡す、と決まります。甲は、1つしかありません。YがXに引き渡す義務が決まれば、同じ甲をZに引き渡せ、という請求③と、正面からぶつかります。請求③の前提を、損なうわけです。Zが、争っているのに、です。Zにとって、不利益です。

あてはめ:認諾 図:あてはめ:認諾

あてはめます。使うのは事実カ、Yの認諾です。Yが請求①を認諾しましたが、Zは争っています。Zにとって不利益ですから、40条1項で、認諾は効力を生じません。それでも、Yが自分で認めたのだから、認諾したYにだけは効く、と考えることはできないでしょうか。Yにだけ効くとすると、XとYの間では、甲はXのもの、と決まります。一方で、ZとYの間では、甲はZのもの、と決まるかもしれません。結論が、割れます。三者の結論をそろえる、という制度に、反します。ですから、Yの認諾は、認諾したY自身とXの間でも、Zとの関係でも、効力を生じません。結論です。Yの認諾は、効力を生じません。他の1人に不利益が及ばない認諾なら、第1で見た、不利益が及ばない和解と同じく、別論です。この設例の認諾は、それに当たりません。

まとめ

完成答案:第1 二当事者間のみの和解 図:完成答案:第1 二当事者間のみの和解

こちらが、完成答案です。第1の、二当事者間のみの和解です。図と同じ文面を、本文でも置きます。

第1 二当事者間のみの和解

1 問題の所在

 XとYは、Zを抜きに和解して、三面訴訟を終えようとしている。和解は確定判決と同一の効力を有する(民事訴訟法267条1項)から、Zを関与させずに和解を成立させられるかが問題となる。

2 規範

 独立当事者参加の訴訟では、47条4項により40条1項が準用され、三者を合一にのみ確定する要請がある。そこで、二当事者間のみの和解は、他の一人の請求と抵触して、その者に不利益が及ぶ内容であるときは、その者が関与しない限り、効力を生じないと解する。

3 あてはめ

 和解案は、甲はXの所有と確認し、YはXに甲を引き渡すものである。これは、Zの請求②③の前提を否定し、Zの請求と抵触する。Zは同意していない。

4 結論

 よって、XとYだけの和解は、効力を生じない。

完成答案:第2 脱退した者に及ぶ判決の効力 図:完成答案:第2 脱退した者に及ぶ判決の効力

第2の、脱退した者に及ぶ判決の効力です。規範の3つの文と、場合ごとのあてはめを、確かめてください。

第2 脱退した者に及ぶ判決の効力

1 問題の所在

 Yは参加前の被告で、Zは権利主張参加をした者であり、X・Zの承諾もあるから、Yは48条により脱退できる。XZ間の確定判決は、Yとの関係でいかなる効力を生じるか。48条後段の「効力」の中身が問題となる。

2 規範

 脱退は、自分の立場を残る当事者間の勝敗に任せ、判決を条件として、あらかじめ請求の放棄・認諾をする行為である。もっとも、それだけでは、放棄・認諾の効果として説明できない部分に空白が生じるので、その部分には、判決の論理的な帰結を貫き、紛争を一回で統一的に解決するための、制度上合理的な効果が及ぶ。よって、効力は、条件付きの放棄・認諾の効果と、制度上合理的な効果の二面からなると解する。

3 あてはめ

 甲の所有者がXと判断された場合、Yは請求①を認諾した効力が生じ、請求③は棄却された効力が生じる。所有者がZと判断された場合、Yは請求③を認諾した効力が生じ、請求①は棄却された効力が生じる。

4 結論

 よって、Yにも判決の効力が及び、勝者に応じて上の効力が生じる。

完成答案:第3 別件(認諾) 図:完成答案:第3 別件(認諾)

第3の、別件の認諾です。短い所ですが、確かめてください。

第3 別件(認諾)

1 問題の所在

 Yが請求①を認諾したが、Zは争っている。Yの認諾は、効力を生じるか。

2 規範

 47条4項により40条1項が準用され、1人の訴訟行為は、全員の利益においてのみ効力を生ずる。

3 あてはめ

 Yの認諾により、YがXに甲を引き渡す義務が決まれば、Zの請求③の前提を損なう。Zは争っているから、Zにとって不利益である。

4 結論

 よって、Yの認諾は、効力を生じない。

参照条文

  • 民事訴訟法267条1項
  • 民事訴訟法40条1項
  • 民事訴訟法48条

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