固有必要的共同訴訟の判断基準の書き方
伯母から贈与された共有の土地に不動産業者Wが偽造書類で登記を取り、共有者X・Yは訴えたいのにZが同調しない事例を素材に、固有必要的共同訴訟の判断基準、共有権の確認にZが要るか、持分権の確認と不実の登記の抹消は単独でできるか、同調しないZを被告に加えて訴えられるか、Zを欠いたときの扱い、入会権の確認という別件を、答案の順に確かめます。
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事例
図:共有者X・Y・Zと業者Wの関係
登場するのは4人です。伯母のQから、土地の贈与を受けた甥が3人。X、Y、Zです。そして、その土地に、偽造書類で登記を取った不動産業者の、Wです。Qは、贈与のときにだけ登場します。上の図は、X、Y、Zの3人が贈与を受けた土地の全部について、Wが自分の名義の登記を持っている、という関係を表しています。X、Y、Zは誰も、Wには売っていません。時間の順に見ていきます。
図:時系列:贈与から提訴の予定まで
令和3年4月10日です。Qが、甥のX、Y、Zの3人に、甲土地を書面で贈与しました。甲は、市内の月極駐車場の敷地で、面積は480平方メートルです。持分は、Qが指定しました。Xが2分の1を持ち、Yが4分の1を持ち、Zが4分の1を持ちます。令和3年5月17日に、この持分で、Qから3人への所有権移転登記を経由しました。共有名義です。以後、3人は、甲を月極駐車場として貸して、収益を持分で分けています。令和7年3月18日です。不動産業者のWが、3人から甲を買った、と言って、甲の全部について、売買を原因とする所有権移転登記を、W名義で経由しました。X、Yの署名押印のある売買契約書と登記の書類は、偽造です。XもYも、売買をしていません。Zも、自分は売っていない、と言っています。令和7年4月21日に、Xが登記簿を取って、W名義の登記が分かりました。Wは、3人から買った、と主張して、駐車場の利用者に、賃料をWへ払うよう通知しました。X、Yは、Wを相手に、裁判で取り戻したいと考えています。提訴の予定は、令和7年7月8日です。ところが、Zは、Wとは仕事で付き合いがあり、争い事に巻き込まれたくない、裁判には加わらない、と言っています。X、Yの提訴に、同調しません。ただし、Zは、持分を売ったとは言っていませんし、X、Yと争ってもいません。
図:事実の整理:ア・イ・ウ・エ・オ
記号で整理します。事実アは、甲が、Xが2分の1を、Yが4分の1を、Zが4分の1を持つ共有で、書面による贈与で、共有登記も済んでいることです。事実イは、W名義の甲全部の登記で、X、Yの署名押印は偽造、Zも売っていないことです。事実ウは、X、Yは訴えたいけれど、Zは関わりたくないと言って、同調しないこと。Zは、争ってはいません。事実エは、X、Yの持分の合計が4分の3で、Zが4分の1であること。事実オは、提訴の予定が、令和7年7月8日であることです。
図:3つの訴えと問い
X、Yは、Wを被告として、3つの訴えを起こしたいと考えています。訴え①は、甲がX、Y、Zの共有であることの確認です。共有関係そのものの確認なので、共有権の確認と呼びます。訴え②は、Xが甲について、持分2分の1を有すること、Yが甲について持分4分の1を有することの確認です。各自の持分権の確認です。訴え③は、W名義の所有権移転登記の抹消登記手続です。持分権に基づく、不実の登記の抹消です。問うのは3つです。Zを加えなくても、適法に訴えられるのは、どれか。Zが要るのは、どれか。そして、Zが乗らないときは、どうすればよいか。次の3つは、論じません。確認の利益、請求を1つの訴えにまとめられるか、当事者能力です。当事者適格は、原告が主張する権利関係を前提に判断します。Wが本当に権利を持たないかは、本案の問題です。
条文と検討の順番
図:検討の順番
検討の順番は7つです。1つめは、何を求める訴えか、つまり訴訟物を特定することです。2つめは、判断基準を立てること。3つめが訴え①、4つめが訴え②と③です。5つめは、同調しない者の処理。6つめは、欠けたときの扱いです。最後に、別件で、総有の場面を当てます。以下の節では、1つめと2つめを第1で、3つめを第2で、4つめを第3で、5つめを第4で、6つめを第5で、最後の別件を第6で扱います。この順番にする理由は、固有必要的かどうかが、請求ごとに決まるからです。何を求めるかを先に固定しないと、基準を当てられません。基準を立てたら、全員が要る訴え①から見ます。その結論が、訴え②と③との違いと、Zが乗らない問題の前提になるからです。最初に確かめる条文は、訴えが固有必要的共同訴訟かを決める場面の、出発点になる、40条1項です。
条文民事訴訟法40条1項
民事訴訟法40条1項(必要的共同訴訟)
訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合には、その一人の訴訟行為は、全員の利益においてのみその効力を生ずる。
この条文は、合一にのみ確定すべき場合、としか書いていません。合一に確定するとは、全員に同じ結論を出す、ということです。そのため、1人の訴訟行為は、全員の利益になる限りでしか、効力を持ちません。けれども、どの訴えがそれに当たるかは、書いていません。ですから、固有必要的共同訴訟にあたるかの基準は、解釈で立てる必要があります。条文を音読すれば出てくる内容は、成立要件です。条文番号を添えて書けば足ります。条文に書いていない基準を、判例や解釈で立てるものが、規範です。この回の規範は4つです。判断基準(第1)、共有権の確認(第2)、持分権に基づく訴え(第3)、そして同調しない者を被告に加える処理(第4)です。
第1 問いの形と判断基準
図:第1の確認:通常共同訴訟で1人の自白は他に及ぶか
第1は、問いの形と、判断基準です。先に、共同訴訟人独立の原則の回で見たことを、1つ思い出します。通常共同訴訟の共同被告の1人が、相手方の主張する事実を認めたとき、その自白は、ほかの共同被告にも及ぶでしょうか?及びません。通常共同訴訟では、39条により、共同訴訟人の一人の訴訟行為は、他の共同訴訟人に影響を及ぼさないからです。各自が独立です。ところが、固有必要的共同訴訟なら、40条により、1人の訴訟行為は全員の利益になる限りでしか効力を持たず、全員に同じ結論が出ます。この分かれ道が、本題の入口です。問題の所在です。X、YだけでWを訴えて、Zを欠いても、当事者適格、つまり、この訴訟を起こす資格を、失わないか。資格を欠けば、訴えは不適法です。Zを欠くと適格を欠くのは、その訴えが固有必要的共同訴訟にあたるときだけです。通常共同訴訟なら、各自が単独で訴えられるので、Zを欠いても構いません。つまり、固有か通常かで、全員が要るかどうかが変わります。なお、全員が要る固有必要的共同訴訟とは別に、全員でなくても訴えられるけれど、共同で訴えれば合一に確定する類型があり、類似必要的共同訴訟と呼びます。ただ、この事例で問うのは、全員が要るかどうかです。ですから、3つの訴えのそれぞれについて、固有必要的共同訴訟にあたるかを決めます。そこで、判断基準が要ります。
図:規範と答案の型|固有必要的共同訴訟の判断基準
規範は、最高裁の個別の判決の理由を積み上げて立てます。ある訴えが固有必要的共同訴訟にあたるかどうかは、その訴えの訴訟物たる権利関係についての実体法上の管理処分権が誰にどう帰属するかを基本としつつ、紛争の一回的解決と、判決の矛盾の回避と、提訴する側と応訴する側の負担という訴訟法的観点を加えて決する。管理処分権とは、訴訟物になっている権利関係を、誰が、誰と共同して処分できるか、ということです。答案での扱いに注意があります。いま示した定式は、最高裁の判決の言葉ではありません。答案に引ける最高裁判決で、この一般の定式そのものを述べたものは無いからです。共有権の確認の事件や、入会権の確認の事件、建物収去土地明渡しの事件で、それぞれ理由を述べています。その積み上げから、管理処分権を基本に、訴訟法的観点を加える、と整理するのが、答案の定式です。ですから、判例はこう述べた、とは書きません。決め手は、2つあります。1つめは、実体法上の管理処分権から出発する理由です。全員で処分しなければならない権利なのに、全員ではない者の判決で権利関係が決まると、他の者の権利を処分したのと、同じ結果になります。2つめは、実体法だけで決めない理由です。全員を被告にしなければならないとすると、争う気のない者まで被告にして、無用の手続を重ねることになります。訴え方の負担や、手続の不安定が出るのです。判決の言葉で確かめます。
判例最判昭和43・3・15 民集22巻3号607頁
最高裁判所判決(土地所有者が、地上の建物の所有者の共同相続人に、建物収去と土地明渡しを求める訴えが、固有必要的共同訴訟かが争われた事件)
土地の所有者がその所有権に基づいて地上の建物の所有者である共同相続人を相手方とし、建物収去土地明渡を請求する訴訟は、いわゆる固有必要的共同訴訟ではないと解すべきである。
……原告は、建物収去土地明渡の義務あることについて争う意思を全く有しない共同相続人をも被告としなければならないわけであり
……これを必要的共同訴訟と解するならば、手続上の不経済と不安定を招来するおそれなしとしないのであつて
この事件は、甲の事例とは別の事件です。土地の所有者が、土地の上の建物の所有者の共同相続人に、建物の収去と土地の明渡しを求めました。最高裁は、この訴えは固有必要的共同訴訟ではない、としました。理由は2つの面にあります。実体法の面では、建物収去土地明渡しの義務は、不可分債務です。分けられない1つの義務を、各自が全部負う形なので、各自に順次履行を求められます。そして訴訟法的観点では、全員を被告にしなければ当事者適格がないとすると、争う意思のない者まで被告に加えなければならず、手続上の不経済と不安定を招きます。通常共同訴訟でも、被告の権利保護に欠けません。実体法の性質だけでなく、訴訟法的観点が、結論を決めています。
では、原告の側でも、同じように訴えやすさを考えて、全員は要らない、とならないでしょうか。原告側は、事情が違います。甲の事例のように、共有者は登記で分かるので、全員をそろえる負担は、重くないことが多いです。ですから、訴訟法的観点で固有必要的を否定する理由には、なりにくいです。これは、判例の整理ではなく、答案での論じ方です。
図:判断基準の2つの観点
図に、2つの観点を整理しました。左が実体法的観点で、管理処分権が誰にあるか。右が訴訟法的観点で、一回的解決と、矛盾の回避と、提訴する側と応訴する側の負担です。第1の結論です。各訴えについて、実体法的観点と訴訟法的観点で、固有必要的かどうかを決めます。次に、訴え①から当てます。
第2 訴え①:共有権の確認
図:第2の確認:共有権の確認と持分権の確認は全員が要るか
第2は、訴え①、つまり共有権の確認です。共有の土地について、共有者の全員が共有権の確認を求める訴えと、1人が自分の持分権の確認を求める訴え。どちらも、全員がそろわないと訴えられないのでしょうか?先に答えを言うと、共有の土地でも、何の確認を求めるかで分かれます。共有権の確認は全員が要り、持分権の確認は1人でできます。理由を、第2と第3で順に書きます。まず、訴え①です。問題の所在です。X、Yは、甲がX、Y、Zの共有であることの確認を求めたい。Zを欠いて、X、Yだけで訴えられるか。訴え①は、固有必要的共同訴訟にあたるか、が問題です。
図:規範と答案の型|共有権の確認は固有必要的
規範は、最高裁の判決で立てます。一個の物を共有する数名の者全員が、共同原告となり、いわゆる共有権、数人が共同して有する一個の所有権に基づき、その共有権を争う第三者を相手方として、共有権の確認を求めているときは、その訴訟の形態はいわゆる固有必要的共同訴訟と解するのが相当である。理由は、共有者の全員が有する一個の所有権そのものが紛争の対象になっていて、判決による解決は、全員に矛盾なくなされる必要があるから、です。ここにも、答案での注意があります。判旨は、全員が共同原告となって確認を求めているときは固有必要的共同訴訟だ、と述べています。一部の者だけの訴えは不適法、という結論は、判旨の文言ではなく、固有必要的共同訴訟の意味から導きます。全員がそろわなければ当事者適格を欠く、のが固有必要的共同訴訟だからです。ですから答案は、固有必要的共同訴訟である、したがってZを欠いたX、Yだけの訴えは当事者適格を欠く、と2段で書きます。決め手は、3つあります。1つめは、訴訟物が、3人が共同して持つ1つの所有権だということです。共有物に変更を加えるには、他の共有者の同意が要ります。売却などの処分も、変更に含めて読む見解が一般的です。含めない見解でも、共有物全体を売ることは各共有者の持分を処分することなので、全員の同意が要る、という結論は変わりません。条文を開きます。
条文民法251条1項
民法251条1項(共有物の変更)
各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。
全員の同意が要ります。X、Yの持分の合計は4分の3ですが、全員の同意の代わりにはなりません。持分の大小は関係がありません。管理処分権は、3人に共同であります。これが実体法的観点です。2つめは、Zを除いて判決すると、Zとの関係では、共有かどうかが決まらないまま残り、矛盾する判決も出うることです。3つめは、共有者は登記で明らかなので、全員をそろえる負担も重くないことです。2つめと3つめは、訴訟法的観点です。判決の言葉で確かめます。
判例最判昭和46・10・7 民集25巻7号885頁
最高裁判所判決(共有者全員が共同原告となって、共有権の確認と移転登記を求めた事件)
一個の物を共有する数名の者全員が、共同原告となり、いわゆる共有権(数人が共同して有する一個の所有権)に基づき、その共有権を争う第三者を相手方として、共有権の確認を求めているときは、その訴訟の形態はいわゆる固有必要的共同訴訟と解するのが相当である
……けだし、この場合には、共有者全員の有する一個の所有権そのものが紛争の対象となつているのであつて、共有者全員が共同して訴訟追行権を有し、その紛争の解決いかんについては共有者全員が法律上利害関係を有するから、その判決による解決は全員に矛盾なくなされることが要請され、かつ、紛争の合理的解決をはかるべき訴訟制度のたてまえからするも、共有者全員につき合一に確定する必要があるというべきだからである
この事件は、甲の事例とは別の事件です。2人が共同して買った土地の登記名義が、相手方になっていたため、2人が共同原告となって、共有権の確認と移転登記を求めました。最高裁は、共有権の確認は固有必要的共同訴訟だとしました。
図:あてはめ:訴え①の共有権の確認
あてはめます。事実の記号は、事例で整理したアからオまでです。まず、事実アとエです。甲は、Xが2分の1を、Yが4分の1を、Zが4分の1を持つ共有で、X、Yの持分の合計は4分の3です。共有物全体の処分には、全員の同意が要るので、管理処分権は3人に共同で帰属します。持分が多数でも、代わりにはなりません。実体法的観点から、全員が要ります。事実アとウです。訴え①は、甲が3人の共有であること、そのものの確認です。Zを除いて判決すると、Zとの関係では、共有かどうかが残り、矛盾する判決もありえます。共有者は登記で明らかです。訴訟法的観点からも、全員が要ります。事実ウです。Zは、訴えに加わりません。結論です。訴え①は、固有必要的共同訴訟です。X、Yだけでは、当事者適格を欠き、不適法です。Zが、原告か被告として加わる必要があります。審理は、40条で合一に確定します。Zが乗らない点の処理は、第4で書きます。
X、Yの持分は、合わせて4分の3もあります。それでも足りないのか、という疑問が残ります。答えは、足りない、です。全員の同意が要る、というのは、持分の多数決ではないからです。
第3 訴え②③:持分権に基づく訴え
図:第3の問題:Zを加えずにできる訴えはないか
第3です。では、X、Yが、Zを加えずに、できる訴えはないのでしょうか。訴え②の、持分権の確認と、訴え③の、W名義の登記の抹消です。この2つは、固有必要的共同訴訟にあたるか、が問題です。
図:規範と答案の型|持分権に基づく訴えは単独で
規範は、最高裁の判決で立てます。不動産の共有者の1人は、その持分権に基づき、共有不動産に対して加えられた妨害を排除することができる。判決は続けて、不実の持分移転登記がされている場合に、全く実体上の権利を有しないのに登記を経由している者に対し、単独で、その抹消登記手続を請求できる、としています。答案での注意が、2つあります。1つめは、判旨に、通常共同訴訟という言葉も、保存行為という言葉も、ないことです。判旨が述べたのは、妨害の排除と、抹消登記手続の請求までです。持分権の確認が単独でできる、という点は、判旨が述べたものではなく、第1で立てた判断基準から、答案が導くものです。持分は、自分の持分だけなら、ほかの共有者の同意なく、売ったり譲ったりできます。民法の共有の管理の回で見たとおりです。持分は単独で処分できるので、持分権に基づく請求も、各自が単独でできます。ですから、固有必要的共同訴訟ではありません。共同で訴えれば、通常共同訴訟で、39条が当たります。2つめは、事案の差です。判旨の事案は、訴えた共有者自身の持分ではなく、ほかの共有者の持分について、移転登記が不実だった場合です。甲の事例の訴え③は、甲の全部の移転登記が不実で、X、Y自身の持分権が妨害されています。規範の前半、持分権に基づき妨害を排除できる、が、そのまま当たります。全部の抹消まで1人で請求できるのは、共有物全体に及ぶ妨害の排除なので、次に見る保存行為として説明できます。これは、答案の書き方です。保存行為の条文を開きます。
条文民法252条5項
民法252条5項(共有物の管理)
各共有者は、前各項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる。
各共有者が、単独で、保存行為をすることができます。保存行為は、共有物の現状を守るだけの行為です。ほかの共有者の不利益にならないので、1人でできます。不実の登記を消すのは、X、Y、Zの共有という、もとの登記に戻すだけで、Zの不利益にもなりません。ですから、不実の登記の抹消は、この保存行為にあたる、と説明します。決め手は、3つあります。1つめは、持分権は、各共有者が、自分の持分として単独で処分できることです。管理処分権は各自にあって、全員で共同しなければ処分できない権利ではありません。これが実体法的観点です。2つめは、判決の効力が、X、YとWの間だけで、他の共有者の権利関係に及ばないことです。Zを除いても、矛盾は生じません。3つめは、不実の登記を放置して、全員がそろうまで何もできないとすると、1人の無関心で、他の共有者の権利が、侵害されたままになることです。2つめと3つめが、訴訟法的観点です。判決の言葉で確かめます。
判例最判平成15・7・11 民集57巻7号787頁
最高裁判所判決(共有者の1人が、不実の持分移転登記の抹消を求めた事件)
不動産の共有者の1人は,その持分権に基づき,共有不動産に対して加えられた妨害を排除することができるところ,不実の持分移転登記がされている場合には,その登記によって共有不動産に対する妨害状態が生じているということができるから,共有不動産について全く実体上の権利を有しないのに持分移転登記を経由している者に対し,単独でその持分移転登記の抹消登記手続を請求することができる
この事件は、甲の事例とは別の事件です。亡くなった人の土地を、子ら4人が共同相続して、それぞれ4分の1の持分で相続登記がされました。そのあと、うち1人の持分が、代物弁済を原因として、別の人に移転する登記がされました。他の相続人が、その持分の譲渡は無効だとして、持分移転登記の抹消登記手続を求めました。原審は、持分権が侵害されていないとして、請求を棄却しました。最高裁は、原判決を破棄して、差し戻しました。
図:3つの訴えの比較
3つの訴えを、並べます。訴え①は、訴訟物が、3人が共同して持つ1つの所有権で、管理処分権は3人に共同です。固有必要的で、Zが要ります。訴え②は、X、Yそれぞれの持分権で、管理処分権は各自にあります。固有必要的ではなく、単独でできます。訴え③は、持分権に基づく妨害排除で、各共有者が単独でできます。固有必要的ではありません。同じ共有の土地でも、何を求める訴えかで、結論が分かれます。共有だから全員、ではありません。
図:あてはめ:訴え②と訴え③
あてはめます。事実アです。Xの持分は2分の1で、Yの持分は4分の1です。訴え②は、それぞれの持分権の確認です。持分は、各共有者が単独で処分できるので、管理処分権は各自にあります。実体法的観点から、全員は要りません。事実ウです。Zを除いても、X、YとWの間の判決は、Zの権利に及びません。矛盾は生じません。訴訟法的観点からも、全員は要りません。訴え②は、固有必要的ではありません。事実イです。W名義の甲全部の登記は、X、Yの署名押印が偽造で、不実です。X、Yの持分権が、妨害されています。共有者の1人は、持分権に基づいて、妨害を排除できます。保存行為でもあります。訴え③は、XもYも、単独で請求できるので、固有必要的ではありません。結論です。訴え②と訴え③は、固有必要的共同訴訟ではありません。X、Yは、Zを加えなくても、それぞれ単独で訴えられます。共同で訴えれば、通常共同訴訟です。
訴え③では、Xの持分は2分の1、Yの持分は4分の1にすぎないのに、X、Yがそれぞれ、甲の全部の登記の抹消を請求できるのか、も問題になります。全部の抹消まで請求できます。W名義の登記は、甲の全部に付いていて、妨害は、共有物全体に及んでいます。その排除は、保存行為として、各共有者が単独でできる、と書きます。
第4 同調しない者を被告に加える
図:第4の問題:Zが乗らないとき訴え①は諦めるしかないか
第4です。訴え①は、全員がそろわないと訴えられません。では、Zが乗らないと、X、Yは、訴え①を諦めるしかないのでしょうか?Zを説得できなければ、そうなってしまうようにも見えます。しかし、それでは困ります。訴え②と③では、甲の共有関係そのものは、確定しません。X、Yが共有関係を確定したいなら、訴え①が要ります。問題の所在です。全員が原告になれないとき、X、Yは、訴え①を起こせないのか、です。
図:規範と答案の型|同調しない者を被告に加えて訴える
規範は、最高裁の判決で立てます。入会集団の構成員のうちに入会権確認の訴えを提起することに同調しない者がいる場合には、入会権の存在を主張する構成員が原告となり、同訴えを提起することに同調しない者を被告に加えて、同訴えを提起することも許される。理由は、入会権の存否に争いがあれば、民事訴訟で確定する必要があり、訴えを起こして裁判を求める権利、つまり訴権は、保護されなければならないこと。そして、全員が当事者として関与するので、判決の効力が全員に及んでも、同調しない者の利益は害されないこと、です。ここで、射程に注意します。同調しない者を被告に加えるこの道は、全員がそろわなければ訴えられない、という困難をやわらげるものです。必要的共同訴訟の回では、規律の弾力化として見ました。判旨は、入会権確認の訴えについての判示です。共有権の確認に及ぶかは、判例が明示していません。判例が言うのは、そこまでです。答案は、そこから一歩進めて、理由の共通性で論じます。決め手は、3つあります。1つめは、共有権の確認も、固有必要的で、全員の合一確定が要ることです。入会権確認と同じ構造です。2つめは、Zを被告に加えれば、3人全員が当事者として関与して、判決がZにも及ぶことです。Zの利益は、害されません。3つめは、X、Yの訴権を保護する要請が、共有でも変わらないことです。全員が原告でなければ訴えられない、と解すると、1人の不同調で、ほかの者の裁判を受ける権利が、事実上奪われます。憲法32条の、裁判を受ける権利です。
Zを被告に回す道を共有に広げることには、反対方向の考慮もあります。確かに、共有では、訴え②と③という代わりの道があるので、広げる必要は小さい、とも言えます。けれども、訴え①の目的は、3人の共有関係そのものの確定です。訴え②と③では、Zとの間の共有関係は未確定のままです。この、目的が代替できない場合に限って認める、と書きます。これは、答案の論証です。判例の言葉として、書いてはいけません。もう1点、広げすぎないための注意です。入会権確認の訴えのほかに、境界確定の訴えでも、同調しない共有者を被告に回す道を、最高裁は認めました。ただし、その判決の補足意見は、これは境界確定の訴えの特殊性による便法であって、他の必要的共同訴訟へ直ちに当てはめられるものではない、という趣旨を述べています。広げて言い切らないことです。判決の言葉で確かめます。
判例最判平成20・7・17 民集62巻7号1994頁
最高裁判所判決(入会集団の一部の構成員が、同調しない構成員を被告に加えて、入会権確認の訴えを提起した事件)
入会権の存否について争いのあるときは,民事訴訟を通じてこれを確定する必要があることは否定することができず,入会権の存在を主張する構成員の訴権は保護されなければならない。そこで,入会集団の構成員のうちに入会権確認の訴えを提起することに同調しない者がいる場合には,入会権の存在を主張する構成員が原告となり,同訴えを提起することに同調しない者を被告に加えて,同訴えを提起することも許されるものと解するのが相当である。このような訴えの提起を認めて,判決の効力を入会集団の構成員全員に及ぼしても,構成員全員が訴訟の当事者として関与するのであるから,構成員の利益が害されることはないというべきである。
この事件は、甲の事例とは別の事件です。集落の住民を構成員とする入会集団の一部の構成員が、土地は入会地だと主張して、登記名義人から土地を買い受けた会社と、同調しない他の構成員を被告にして、入会権の確認を求めました。原審は、構成員の一部による訴えだとして、当事者適格を欠き不適法としました。最高裁は、同調しない者を被告に加えて訴えることも許されるとして、原判決を破棄して、第一審に差し戻しました。
図:同調しない者を被告に加える図
当事者の並びを、図で確かめます。原告はX、Y。被告はWとZです。Zは、同調しない者として、被告の側に入ります。3人全員が当事者として関与するので、判決はZにも及び、合一確定は保たれます。
図:あてはめ:同調しない者を被告に加える
あてはめます。事実ウです。Zは、提訴に同調しません。Zは、争ってはいません。全員が原告では、そろいません。同調しないだけで訴えを封じるのは、訴権の保護に欠けます。規範の前提を満たします。事実アとウです。X、Yが原告、WとZが被告です。Zは、当事者として関与して、判決の効力を受けます。3人全員が当事者として関与するので、合一確定は保たれ、Zの利益は害されません。入会権確認と同じ理由です。訴え①は、Zを被告に加えれば、当事者適格があります。事実アです。訴え①の目的は、X、Y、Zの共有関係そのものの確定で、訴え②と③では達せられません。目的が代替できない場合、という射程の限定も、満たします。結論です。X、Yは、WとZを被告として、訴え①を提起できます。当事者適格を欠きません。訴状の書き方は、原告がX、Y、被告がW、Zです。
第5 欠けたときの扱い
図:欠けたときの3つの扱い
第5は、欠けたときの扱いです。X、YがZを加えないまま、訴え①を起こすと、どうなるか。固有必要的共同訴訟で、全員がそろっていないと、当事者適格を欠き、訴えは却下されます。当事者適格は、訴訟要件の問題です。では、却下されたら、それで終わりでしょうか。訴訟要件が備わっているかを見る基準時は、事実審の口頭弁論の終結時です。事実審の口頭弁論の終結は、新しい主張や証拠を出せる、最後の時点です。ですから、訴えを起こした時に欠けていても、それまでにそろえば足ります。そろえる道が2つあります。1つめは、Zが共同訴訟人として参加することです。Zの気持ちが変われば、できます。条文は、こうです。
条文民事訴訟法52条1項
民事訴訟法52条1項(共同訴訟参加)
訴訟の目的が当事者の一方及び第三者について合一にのみ確定すべき場合には、その第三者は、共同訴訟人としてその訴訟に参加することができる。
2つめは、Zを被告として別の訴えを起こして、弁論の併合を求めることです。併合の条文を開きます。
条文民事訴訟法152条1項
民事訴訟法152条1項(口頭弁論の併合等)
裁判所は、口頭弁論の制限、分離若しくは併合を命じ、又はその命令を取り消すことができる。
弁論の併合は、2つの訴訟を、まとめて1つの手続にすることです。まとめれば、X、Y、Zの全員が、同じ手続の当事者になり、そろいます。併合は、152条1項の定めです。同じ訴訟の中に、あとからZを被告として加える、追加的併合は、明文がなく、判例は認めていません。学説には、認める見解もあります。ですから、答案は、最初からZを被告にして訴えるか、別訴と併合で書きます。もう1つ。共同原告の1人が亡くなったときも、同じ問いが立ちます。固有必要的共同訴訟かどうかで、残った原告だけの訴えが、適法かどうかが変わります。受継の手続は、別の回で扱います。固有必要的かどうかは、この回の基準で決めます。
第6 別件:総有の場面
図:別件の設例:S集落の入会地T山
第6は、別件です。ここまでの甲の件とは別の件で、総有の場面を当てます。人物も土地も、別物です。山あいのS集落の12世帯があります。構成員は、各世帯の世帯主、12名です。古くから、集落共有の雑木林のT山、約6ヘクタールを、薪や山菜の採取のために、共同で使ってきました。入会地です。登記名義は、昭和の初めの集落の総代だった人のままです。その孫のPが、T山は祖父名義の自分の土地だ、と言って、令和7年10月6日から、立木を切って、業者に売りました。世帯主のうち8名、原告のLらは、T山が12名全員の入会地であることの確認を求めたい。ところが、4名のMらは、Pとは親戚だから関わりたくない、と言って、同調しません。Lらは、令和7年11月10日に訴える予定です。確認の利益は、論じません。検討します。訴訟物は、T山が入会地であること、つまり入会権の確認です。入会権は、構成員全員に総有的に帰属します。総有とは、構成員全員が共同で持つ形で、各自が持分として自由に処分することはできません。管理処分は、全員でなければできません。これが実体法的観点です。構成員の一部の判決で、入会権の有無を決めると、他の構成員の権利を処分したのと、同じです。判決の言葉で確かめます。
判例最判昭和41・11・25 民集20巻9号1921頁
最高裁判所判決(入会権の確認を求める訴えが、固有必要的共同訴訟かが争われた事件)
入会権は権利者である一定の部落民に総有的に帰属するものであるから、入会権の確認を求める訴は、権利者全員が共同してのみ提起しうる固有必要的共同訴訟というべきである
この事件は、甲の事例とも、T山の別件とも別の事件です。集落の住民の一部の者が、土地について入会権を有することの確認を求めました。最高裁は、この請求は当事者適格を欠き不適法だとして、請求を却下しました。入会権の確認は、固有必要的共同訴訟です。Lら8名だけでは、当事者適格を欠き、不適法です。では、同調しない4名はどうか。第4の規範が、直接当たります。最高裁の判決が、入会権確認の事案だからです。Lらが原告、PとMら4名を被告にして、提起できます。全員が当事者になるので、判決の効力が及んでも、Mらの利益は害されません。当事者適格があります。
では、構成員が、自分の薪の採取を邪魔されたときも、全員が要るのでしょうか。構成員が、自分の使用収益権、たとえば薪の採取に基づいて求める確認や、妨害の排除は、各自が単独でできます。必要的共同訴訟の回で見た、最高裁の判決も、そう述べています。入会権そのものの確認が全員で、使用収益権は各自、という違いは、管理処分権の違いです。なお、入会集団が社団としての実体を備えているときは、社団自身が原告になる道もあります。社団の当事者適格の回で見たとおりです。ここでは、構成員が原告になる場合を見ました。
図:あてはめ:別件の入会権確認
あてはめます。入会権の確認は、構成員全員に総有的に帰属する権利なので、管理処分は全員でなければできません。固有必要的共同訴訟で、Lら8名だけでは、当事者適格を欠きます。同調しないMら4名は、被告に加えます。入会権確認なので、規範が直接当たります。Lらが原告、PとMら4名が被告で、訴えられます。
まとめ
図:完成答案:第1 固有必要的共同訴訟の成否
こちらが、完成答案です。第1の、固有必要的共同訴訟の成否です。図と同じ文面を、本文でも置きます。
第1 固有必要的共同訴訟の成否
1 問題の所在
X・YがWを訴えるにあたり、Zを欠いても、当事者適格を失わないか。Zを欠くと適格を欠くのは、その訴えが固有必要的共同訴訟にあたるときに限られるから、訴え①②③のそれぞれについて、固有必要的共同訴訟にあたるかが問題となる。
2 規範
ある訴えが固有必要的共同訴訟にあたるかどうかは、その訴えの訴訟物たる権利関係についての実体法上の管理処分権が誰にどう帰属するかを基本としつつ、紛争の一回的解決・判決の矛盾の回避・提訴する側と応訴する側の負担という訴訟法的観点を加えて決する(最判昭和46・10・7、最判昭和43・3・15ほか参照)。
全員で処分しなければならない権利を、全員でない者の判決で決めれば、他の者の権利を処分したのと同じ結果となるから、管理処分権を基本とし、他方で、全員をそろえることが無用の手続や不安定を招くときは、訴訟法的観点で修正する。
3 あてはめ
訴えごとに、第2・第3で検討する。
図:完成答案:第2 訴え①の共有権の確認
第2の、訴え①の共有権の確認です。規範からあてはめへの運びを、読んでみてください。
第2 訴え①(共有権の確認)
1 問題の所在
訴え①は、甲がX・Y・Zの共有であることの確認を求めるものである。Zを欠いて、X・Yだけで訴えられるか。訴え①が固有必要的共同訴訟にあたるかが問題となる。
2 規範
一個の物を共有する数名の者全員が、共同原告となり、共有権に基づき、その共有権を争う第三者を相手方として、共有権の確認を求めているときは、その訴訟の形態は固有必要的共同訴訟と解する(最判昭和46・10・7)。共有者全員の有する一個の所有権そのものが紛争の対象となっており、全員に合一に確定する必要があるからである。
3 あてはめ
(1) 共有物に変更を加えるには他の共有者の同意が要り(民法251条1項)、X・Yの持分の合計が4分の3でも代わりにならないから、管理処分権は3人に共同で帰属する。
(2) Zを除いて判決すると、Zとの関係で共有かどうかが定まらず、矛盾する判決もありうる。共有者は登記で明らかであり、全員をそろえる負担も重くない。
4 結論
よって、訴え①は固有必要的共同訴訟であり、Zを欠くX・Yだけの訴えは、当事者適格を欠く。
図:完成答案:第3 訴え②③の持分権に基づく訴え
第3の、訴え②と訴え③の、持分権に基づく訴えです。規範とあてはめを、確かめてください。
第3 訴え②③(持分権に基づく訴え)
1 問題の所在
Zを加えずに、訴え②(持分権の確認)と訴え③(不実の登記の抹消)を求められるか。固有必要的共同訴訟にあたるかが問題となる。
2 規範
不動産の共有者の1人は、その持分権に基づき、共有不動産に対して加えられた妨害を排除することができ(最判平成15・7・11)、不実の持分移転登記がされている場合には、無権利の登記名義人に対し、単独でその抹消登記手続を請求できる(同判決)。持分は各共有者が単独で処分できるから、持分権に基づく請求は各自が単独でできる。
3 あてはめ
(1) 持分は各共有者が単独で処分できるから、管理処分権は各自にある。
(2) Zを除いても、X・YとWの間の判決はZの権利に及ばず、矛盾は生じない。
(3) W名義の登記は不実であり、X・Yの持分権が妨害されている。共有物全体に及ぶ妨害の排除は保存行為であり(民法252条5項)、X・Yは各自が単独で請求できる。
4 結論
よって、訴え②③は固有必要的共同訴訟でなく、X・Yは、Zを加えずに、各自が単独で訴えられる。共同で訴えれば通常共同訴訟である(民事訴訟法39条)。
図:完成答案:第4 同調しない者を被告に加える
第4の、同調しない者を被告に加える処理です。射程の限定の書き方まで、目で追ってください。
第4 同調しない者を被告に加える
1 問題の所在
訴え①は固有必要的共同訴訟であるが、Zは提訴に同調しない。X・Yは訴え①を起こせないのかが問題となる。
2 規範
入会集団の構成員のうちに入会権確認の訴えを提起することに同調しない者がいる場合には、入会権の存在を主張する構成員が原告となり、同調しない者を被告に加えて訴えを提起することも許される(最判平成20・7・17)。訴権は保護されなければならず、全員が当事者として関与すれば、判決の効力が及んでも同調しない者の利益は害されないからである。この理由は、共有権の確認にも当てはまる。ただし、訴え②③ではZとの間の共有関係が確定せず、訴え①の目的が代替できない場合に限る。
3 あてはめ
(1) Zは提訴に同調しない。
(2) Zを被告に加えれば、3人全員が当事者として関与し、判決はZにも及ぶから、合一確定は保たれ、Zの利益は害されない。
(3) 訴え①の目的は3人の共有関係そのものの確定であり、訴え②③では達せられない。
4 結論
よって、X・Yは、WとZを被告として訴え①を提起でき、当事者適格を欠かない。
図:完成答案:第5 欠けたときの扱いと第6 別件
第5の、欠けたときの扱いと、第6の別件です。最後の結論まで、目で追ってください。
第5 欠けたときの扱い
1 効果
固有必要的共同訴訟で全員がそろっていないと、当事者適格を欠き、訴えは却下される。X・YがZを加えずに訴え①を起こせば、却下となる。
2 そろえる道
当事者適格は事実審の口頭弁論の終結までに備われば足りる。Zが共同訴訟人として参加する(民事訴訟法52条1項)か、Zを被告として別の訴えを起こし、弁論の併合を求める(民事訴訟法152条1項)。もっとも、X・Yは、最初からWとZを被告として訴えればよい。
第6 別件(総有)
1 規範の当てはめ
入会権は構成員全員に総有的に帰属し、管理処分は全員でなければできないから、入会権の確認は固有必要的共同訴訟である(最判昭和41・11・25)。Lら8名だけでは、当事者適格を欠く。
2 同調しない者
Mら4名は提訴に同調しないが、入会権確認であるから、第4の規範が直接当たる。Lらは、PとMら4名を被告として訴えを提起でき、当事者適格を欠かない。
参照条文
- 民事訴訟法40条1項
- 民法251条1項
- 民法252条5項
- 民事訴訟法52条1項
- 民事訴訟法152条1項