行政法ゼロから行政法#80

行政計画とは何か

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第6章 行政契約・行政指導・行政計画 #80/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。

条文どおりなのにちぐはぐ

今日の問い(浜市「10年後に、歩いて暮らせる港町をつくる」/手段=①港沿いの建物の高さをそろえる規制 ②建て替える所有者への補助金 ③空き店舗を市が借りて開業者に貸す契約 ④商店街への営業時間の調整の働きかけ/問い=この計画は、私たちを縛るのか) 図:今日の問い

  • 浜市「10年後に、歩いて暮らせる港町をつくる」/手段=①港沿いの建物の高さをそろえる規制
  • ②建て替える所有者への補助金
  • ③空き店舗を市が借りて開業者に貸す契約
  • ④商店街への営業時間の調整の働きかけ/問い=この計画は、私たちを縛るのか

条文どおりの許可を、一つずつ積み上げても、町全体の向きは揃わないことがあります。設例を置きます。海沿いの浜市が、10年後に、歩いて暮らせる港町をつくる、という計画を立てました。実現のために、市は四つの手を打ちます。一つ目、港沿いの建物の高さをそろえる規制。二つ目、古い建物を建て替える所有者への補助金。三つ目、空き店舗を市が借り上げて、開業したい人に貸す契約。四つ目、商店街に営業時間の調整を働きかける行政指導です。市民から見ると、この四つは性質が違います。高さの規制は、縛られる。補助金は、誘われる。歩いて暮らせる港町という看板そのものは、方向を示すだけです。今日の問いは、計画は私たちを縛るのか、です。先に答えの形を言うと、縛る部分も、誘うだけの部分も、方向を示すだけの部分もあります。そして、計画を定める条文は、行政に任せる幅が広い作りになっています。

今日の道順(1 なぜ計画が要るか/2 計画とは何か/3 条文の作りが違う/4 ほかの型を束ねる位置/5 分類 期間・区域・上位下位/6 分類 法律の根拠・縛る誘う示す/7 行政基準との比べ・社会保障の計画/8 設例への当てはめ) 図:今日の道順

  • 1 なぜ計画が要るか
  • 2 計画とは何か
  • 3 条文の作りが違う
  • 4 ほかの型を束ねる位置
  • 5 分類 期間・区域・上位下位
  • 6 分類 法律の根拠・縛る誘う示す
  • 7 行政基準との比べ・社会保障の計画
  • 8 設例への当てはめ

道順です。まず、なぜ計画が要るのか。次に、計画とは何か。三つ目が山場で、計画を定める条文は、これまでの条文と作りが違います。その後、ほかの型との関係と、計画の分類の五つの軸を見て、最後に、設例に当てはめます。

なぜ計画が要るのか

計画が要る理由(個別の許可・補助だけだと→方向がばらける/背景=①対象が広がる ②利害が複雑になる ③予算・土地・時間が限られる ④効果が出るまで長い/→先に目標と道筋を置く) 図:計画が要る理由

  • 個別の許可・補助だけだと→方向がばらける/背景=①対象が広がる
  • ②利害が複雑になる
  • ③予算・土地・時間が限られる
  • ④効果が出るまで長い/→先に目標と道筋を置く

浜市で考えます。計画が無いまま、高さの許可を一件ずつ出し、補助金を一件ずつ出したとします。どの判断も、手続としては正しい。それでも、できあがるのは、高さも用途もばらばらの町かもしれません。切符を何枚持っていても、行程表が無ければ旅にならない、というのと同じです。理由は四つあります。一つ目、行政の対象が広がり、一つの判断で町の一部しか見えません。二つ目、考えるべき事柄が多く、利害が複雑に絡みます。三つ目、予算も土地も時間も限られていて、どこに先に使うかを決める必要があります。四つ目、道路や街並みは、効果が出るまで何年もかかります。だから行政は、先に目標と道筋を示し、状況に応じて見直しながら進めます。こうした行政の進め方を、計画による行政と呼びます。

計画とは何か——名前ではなく中身で決まる

行政計画の定義(行政計画=行政上の目標を立て、その達成のための手段を総合的・体系的に示すもの/二つの要素=①目標 ②手段の総合性/名前では決まらない:基本構想・方針・プラン・ビジョンでも中身が目標+手段なら計画/「計画」と付いても目標も手段の組合せも無ければ計画でない) 図:行政計画の定義

  • 行政計画=行政上の目標を立て、その達成のための手段を総合的・体系的に示すもの
  • 二つの要素=①目標 ②手段の総合性
  • 名前では決まらない:基本構想・方針・プラン・ビジョンでも中身が目標+手段なら計画
  • 「計画」と付いても目標も手段の組合せも無ければ計画でない

行為形式の地図、つまり行政の活動を五つの型に分けた表で、計画を一言で言いました。将来の目標と、そこへ行く手段をまとめた方針です。ここで少し厚くします。行政計画とは、行政上の目標を立てて、その達成のための手段を総合的・体系的に示すものです。要素は二つです。一つは、目標を立てること。もう一つは、手段が一つでなく、組み合わせて示されていること。この二つが揃っているかが決め手です。ここで、つまずきやすい点があります。計画かどうかは、名前では決まりません。基本構想、方針、プラン、ビジョン、見通し。どんな名前でも、中身が目標と手段の組合せなら、計画にあたります。逆に、計画と名前が付いていても、目標も手段の組合せも無い書類は、ここでいう計画ではありません。浜市で言えば、港町の看板が、ビジョンという名前でも、目標と四つの手を組み合わせているので、計画です。反対に、計画と題した書類でも、市の行事の日付を並べただけの予定表なら、目標に向けて手段を組む中身が無いので、ここでいう計画ではありません。行政計画一般を定義する法律は、ありません。学問上の定義だということも、覚えておいてください。覚える一文は、目標を立て、その達成の手段を総合的に示すもの。名前ではなく中身で決まる、です。

条文の作りが違う——要件→効果と目標→手段

二つの作り(医療法29条1項=要件→効果型/30条の4=目標→手段型/これまで読んできた許可・取消しの条文は左の作り) 図:二つの作り

  • 医療法29条1項=要件→効果型
  • 30条の4=目標→手段型
  • これまで読んできた許可・取消しの条文は左の作り

ここが今日の山場です。これまで読んできた条文と、計画を定める条文は、作りが違います。同じ法律、医療法から、二つの条文を並べます。まず、病院の許可の取消しです。

条文医療法29条1項

医療法第29条第1項 都道府県知事は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、病院、診療所若しくは助産所の開設の許可を取り消し、又はその開設者若しくはオンライン診療受診施設の設置者に対し、期間を定めて、その閉鎖を命ずることができる。 一 開設の許可を受けた後、正当な理由がなく、六月以上その業務を開始しないとき。 二 病院、診療所(第八条第一項の届出をして開設したものを除く。)、助産所(同項の届出をして開設したものを除く。)又はオンライン診療受診施設が、休止した後、正当な理由がなく、一年以上業務を再開しないとき。 三 開設者が第六条の三第八項、第二十四条第一項又は前条の規定に基づく命令又は処分に違反したとき。 四 開設者又は設置者が第二十四条の二第二項の規定に基づく命令に違反したとき。 五 開設者又は設置者に犯罪又は医事に関する不正の行為があつたとき。

号の細部は暗記不要です。骨格だけ見てください。次の各号のいずれかに該当する場合には、許可を取り消し、閉鎖を命ずることができる。要件があり、効果があります。知事の仕事は、事実を確かめて、要件に当てはめることです。自動販売機に似ています。硬貨を入れてボタンを押せば、決まった品が出ます。この作りを、条件プログラムと呼びます。次に、計画の条文です。

条文医療法30条の4第1項

医療法第30条の4第1項 都道府県は、基本方針に即して、かつ、地域の実情に応じて、当該都道府県における医療提供体制の確保を図るための計画(以下「医療計画」という。)を定めるものとする。

要件が見当たりません。書いてあるのは、目標、つまり医療提供体制の確保、そして、そのための計画を定めるということだけです。第2項には、計画に定める事項が並びます。医療計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする、とあって、達成すべき事業の目標、救急医療、医師の確保、基準病床数など、十七号まで事項が並びます。条文が書いているのは、結論ではなく、目標と、計画に入れる事項のメニューです。どの事項をどう組み合わせるかは、都道府県が選びます。献立づくりに似ています。栄養を整えるという目標は決まっていても、何を何日目に出すかは、作り手が選びます。この作りを、目標プログラムと呼びます。

比較表(観点|条件プログラム〔医療法29条1項〕|目標プログラム〔医療法30条の4〕/条文に書いてあること|要件と効果|目標と、定める事項の並び/行政機関の仕事|事実の認定と当てはめ|手段の選択と組合せ/裁量の出どころ|「できる」の幅|目標に向かう手段選択の幅) 図:比較表

  • 観点|条件プログラム〔医療法29条1項〕|目標プログラム〔医療法30条の4〕
  • 条文に書いてあること|要件と効果|目標と、定める事項の並び
  • 行政機関の仕事|事実の認定と当てはめ|手段の選択と組合せ
  • 裁量の出どころ|「できる」の幅|目標に向かう手段選択の幅

比べます。条文に書いてあることは、要件と効果か、目標と事項の並びか。行政機関の仕事は、当てはめか、手段の選択と組合せか。そして、裁量の出どころ。裁量とは、前に見たとおり、法律が行政に与えた判断の幅のことです。許可の側では、できる、という言葉の幅です。計画の側では、目標に向かって手段を選ぶ幅です。計画の中身は、要件と効果の形では書き切れないからです。計画は、目標が大きく、使える手段が多く、関わる利害も多い。要件として書き切れる量ではありません。だから条文は、目標と、定める事項のメニューしか書かない作りになります。計画で裁量が広くなる根っこは、この作りにあります。この広い裁量を、裁判所がどう審査するか、計画をどう作らせるか、計画を作るのに法律の根拠は要るのか。これらは、後の回で扱います。今日は、裁量が広いのは条文の作りの帰結だ、というところまでです。確認です。次の二つの条文のうち、行政機関が事実を当てはめて結論を出す作りなのは、どちらでしょうか。

取消しのほうです。要件があって、当てはまれば効果が出るからです。もう一方は、目標とメニューを置いて、手段の選び方を行政に任せています。

行為形式の中での位置——手段を束ねる

計画が手段を束ねる(A=計画 →束ねる→ B=処分〔高さの規制〕・C=契約〔空き店舗の賃貸〕・D=指導〔営業時間の働きかけ〕・E=補助〔建替え補助〕/表では横並びの型だが、計画は上に立つ面がある) 図:計画が手段を束ねる

  • A=計画 →束ねる→ B=処分〔高さの規制〕・C=契約〔空き店舗の賃貸〕・D=指導〔営業時間の働きかけ〕・E=補助〔建替え補助〕
  • 表では横並びの型だが、計画は上に立つ面がある

行為形式の地図では、五つの型が横に並んでいました。個別の相手の権利や義務を一方的に決める処分、一般的なルールを定める行政基準、計画、私人と合意で結ぶ契約、任意の協力を求める行政指導です。ただ、浜市の姿をもう一度見てください。計画が目標を示し、その下で、規制という処分、空き店舗の契約、営業時間の指導、補助が動きます。計画は、ほかの型を、計画実現の手段として束ねる面を持っています。手段を束ねる面があるからといって、計画だけを別格の型と決めつけるのも違います。計画は、一般的な目標と手段を定める点で、一般的なルールを定める型に近く見える局面があります。市民に方向を知らせて、協力を促す点では、行政指導に近い局面もあります。逆に、計画の一部が、個別の人の権利に直接かかわる局面では、処分にあたるかが問題になります。浜市で言えば、港町の看板を掲げて商店街に協力を呼びかける面は、指導に近い。高さの規制のように、特定の土地の持ち主を直接縛る部分では、処分にあたるかが問題になります。計画を、既成の型のどれか一つに押し込めない。計画の法的な効果は、計画ごとに同じではありません。場面ごとに見る、という見方が基本です。そこで次の、分類の話につながります。

分類——期間・区域・上位と下位

分類の五つの軸(①期間=長期・中期・短期/②対象区域=全国・地方・地域/③上位計画と下位計画=下位は上位に合わせる/④法定計画と事実上の計画/⑤拘束的計画・誘導的計画・指針的計画/一つの計画が複数の軸で同時に読める) 図:分類の五つの軸

  • ①期間=長期・中期・短期
  • ②対象区域=全国・地方・地域
  • ③上位計画と下位計画=下位は上位に合わせる
  • ④法定計画と事実上の計画
  • ⑤拘束的計画・誘導的計画・指針的計画/一つの計画が複数の軸で同時に読める

計画は、五つの角度から分類できます。この節では、前の三つです。その前に、確認です。行為形式の地図で見た、計画の一言定義は、どんなものだったでしょうか?将来の目標と、そこへ行く手段をまとめた方針、でした。では、一つ目、期間です。長期、中期、短期。十年先を見る計画もあれば、およそ三年の計画も、単年度の計画もあります。では二つ目、対象区域です。全国を対象にするもの、地方、ある地域だけのもの。三つ目、上位計画と下位計画です。下位の計画は、上位の計画に合わせて作ります。整合性が要求される、と言います。介護保険で見ます。国の厚生労働大臣が、保険給付を円滑に進めるための基本的な方針として、基本指針を定めます。

上位と下位(国の基本指針→都道府県介護保険事業支援計画〔118条1項「基本指針に即して」・3年を一期〕→市町村介護保険事業計画〔117条1項「基本指針に即して」・3年を一期〕/下位は上位に「即して」作る=整合) 図:上位と下位

  • 国の基本指針→都道府県介護保険事業支援計画〔118条1項「基本指針に即して」・3年を一期〕→市町村介護保険事業計画〔117条1項「基本指針に即して」・3年を一期〕
  • 下位は上位に「即して」作る=整合

条文介護保険法117条1項

介護保険法第117条第1項 市町村は、基本指針に即して、三年を一期とする当該市町村が行う介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施に関する計画(以下「市町村介護保険事業計画」という。)を定めるものとする。

都道府県の計画も、市町村の計画も、この基本指針に即して作る、と条文にあります。下位は上位を前提に、これと整合的に作ります。しかも、三年を一期、と期間も決まっています。市町村介護保険事業計画を、最初の三つの軸で読みます。三年を一期だから、中期。市町村の区域だから、地域。基本指針の下に置かれるから、下位。浜市の港町の計画なら、十年先を見るので長期、市の中だけが対象なので地域です。一つの計画が、複数の軸で同時に読めます。

分類——法律の根拠と、縛る・誘う・示す

分類④⑤(④法定計画=法律に根拠がある/事実上の計画=根拠なく役所が自分で作る〔例=浜市の10年ビジョン〕/⑤拘束的計画=私人の権利・自由を直接縛る〔例=区域区分〕/誘導的計画=補助金・融資・税の優遇で誘う〔例=建替え補助〕/指針的計画=方向を示すだけ/後の問い→法律の根拠は?/→取消訴訟で争えるか?) 図:分類④⑤

  • ④法定計画=法律に根拠がある/事実上の計画=根拠なく役所が自分で作る〔例=浜市の10年ビジョン〕
  • ⑤拘束的計画=私人の権利・自由を直接縛る〔例=区域区分〕/誘導的計画=補助金・融資・税の優遇で誘う〔例=建替え補助〕/指針的計画=方向を示すだけ/後の問い→法律の根拠は?/→取消訴訟で争えるか?

残りの二つが、後の論点に直結する軸です。四つ目、法律の根拠があるか。法律に根拠がある計画を、法定計画と呼びます。医療計画も介護保険事業計画も、法定計画です。法律に根拠なく、役所が自分で作るものは、事実上の計画です。浜市の10年ビジョンが、これにあたります。五つ目、市民をどう動かすかで、三つに分けます。一つ目は、拘束的計画。私人の権利や自由を直接縛るもの。例は、都市計画の区域区分です。名前だけ出しておきます。二つ目は、誘導的計画。補助金や融資、税の優遇などの給付で、計画に沿った行為へ誘うものです。浜市の建替え補助が、その例です。三つ目は、指針的計画。具体的な規制も給付も伴わず、ビジョンや専門的な指針で、方向を示すだけのものです。

一つの計画が、部分ごとに違うことがあります。高さの規制の部分は縛る、建替え補助の部分は誘う、看板の部分は示すだけです。計画ごと、部分ごとに見る、が大事です。この二つの軸が、後の問いの入口になります。市民を縛る計画を、法律の根拠なしに作ってよいのか。縛られた人は、その計画を取消訴訟で争えるのか。前に、型ごとの争い方の表で、計画は、処分と認められれば取消訴訟、と見ました。どの計画がそれにあたるかの答えは、今は言いません。分類が、その問いの入口になる、と覚えておいてください。

行政基準との比べ・社会保障の計画

基準と計画の見分け(行政基準=要件効果型のルール〔例=大気汚染防止法3条1項:排出基準は環境省令で定める→省令の中身が許容限度の数値〕/計画=目標と手段の設計図〔法律は定める事項のメニューや策定手続を書く〕/見分けの一言=当てはまればこうなるルールか/何をいつどう組むかの設計図か) 図:基準と計画の見分け

  • 行政基準=要件効果型のルール〔例=大気汚染防止法3条1項:排出基準は環境省令で定める→省令の中身が許容限度の数値〕
  • 計画=目標と手段の設計図〔法律は定める事項のメニューや策定手続を書く〕
  • 見分けの一言=当てはまればこうなるルールか
  • 何をいつどう組むかの設計図か

比べておくものがあります。その前に、確認です。行政基準の中で、外に向けたものと内に向けたものは、何でしたか?外向けが政令や省令で、内向けが通達でした。行政基準も計画も、個別の相手に向けた処分と違い、一般的な内容を定める点は同じです。ただ、中身の作りが違います。基準は、要件と効果のルールです。たとえば、ばい煙の排出基準は、法律が環境省令で定めると書き、省令が許容限度の数値を定めます。当てはまればこうなる、という形のルールです。計画は、何をいつどう組み合わせるかの設計図です。法律は、計画に入れる事項のメニューや、作り方を書くことが多い。見分け方の一言です。当てはまればこうなる、というルールか。目標に向けて、何をいつどう組み合わせるかの設計図か。先ほどの条文の作りの違いが、そのまま両者の違いになります。

社会保障の計画を五軸で読む(市町村介護保険事業計画=①3年=中期 ②市町村=地域 ③基本指針の下位 ④法定 ⑤主に指針的〜誘導的/医療計画・介護保険事業計画=目標・施策・見込みを並べる目標プログラム型) 図:社会保障の計画を五軸で読む

  • 市町村介護保険事業計画=①3年=中期
  • ②市町村=地域
  • ③基本指針の下位
  • ④法定
  • ⑤主に指針的〜誘導的/医療計画・介護保険事業計画=目標・施策・見込みを並べる目標プログラム型

社会保障の計画も、同じ枠で読めます。医療計画と介護保険事業計画は、目標、施策、必要量の見込みといった事項を並べる、目標プログラムの作りです。市町村介護保険事業計画なら、中期、地域、下位、法定、そして主に指針的から誘導的、と読めます。計画そのものは、市民に直接義務を課す定めを置かず、必要量の見込みと施策を並べて、方向を示し、整備を促すのが中心だからです。ただ、これらの計画には、後の手続につながる面があります。計画で定めた数や目標を理由に、病院の開設や介護事業者の指定に対して、拒否が出る仕組みがあるのです。行政指導の回で見た病院開設中止勧告の判決は、医療計画の側の一例でした。その点は、後の回で扱います。

設例への当てはめとまとめ

浜市の当てはめ(10年ビジョン=事実上の計画・指針的/高さの規制=拘束的/建替え補助=誘導的/空き店舗の賃貸契約・営業時間の働きかけ=計画を実現する手段/縛られる計画・誘われる計画・方向を示すだけの計画) 図:浜市の当てはめ

  • 10年ビジョン=事実上の計画・指針的
  • 高さの規制=拘束的
  • 建替え補助=誘導的
  • 空き店舗の賃貸契約・営業時間の働きかけ=計画を実現する手段
  • 縛られる計画・誘われる計画・方向を示すだけの計画

設例に戻ります。歩いて暮らせる港町、という10年ビジョンは、法律に根拠のない事実上の計画で、方向を示す指針的な計画です。高さをそろえる規制は、市民を直接縛る、拘束的な部分です。建替え補助は、給付で誘う、誘導的な部分です。空き店舗の契約と、営業時間の働きかけは、計画を実現するために束ねられた手段です。今日の問いに戻ります。計画は、私たちを縛るのか。縛る部分もあれば、誘うだけの部分も、方向を示すだけの部分もある、が答えです。計画ごとに、部分ごとに見る、が基本です。まとめます。計画は、目標を立て、その達成の手段を総合的に示すもの。名前ではなく中身で決まる。条文の作りは、要件と効果ではなく、目標と事項のメニュー。だから裁量が広い。五つの軸で分類でき、特に、法定か事実上か、縛る・誘う・示す、の二つは、後の問いの入口になります。

計画は、ほかの型を束ねる設計図で、条文の作りも違うから、これまでの条文と同じ読み方ではいけない、ということですね。

参照条文

  • 医療法29条1項
  • 医療法30条の4第1項
  • 介護保険法117条1項

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