行政法ゼロから行政法#82

計画と許可の連動(一般廃棄物処理計画・業の許可)

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第6章 行政契約・行政指導・行政計画 #82/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。

設備も人もそろっているのに、不許可

今日の問い(ある市でごみ収集運搬の許可を申請した会社/設備も人もそろっている/結果は不許可/理由=この市の計画では、今の業者で足りている/法律のどこにも「足りているなら断ってよい」とは書いていない) 図:今日の問い

  • ある市でごみ収集運搬の許可を申請した会社
  • 設備も人もそろっている
  • 結果は不許可
  • 理由=この市の計画では、今の業者で足りている
  • 法律のどこにも「足りているなら断ってよい」とは書いていない

設例を置きます。ある市で、ひとつの会社が、ごみの収集運搬の許可を申請しました。トラックも作業員もそろい、書類にも問題がありません。ところが、市長の答えは不許可でした。理由は、この市の計画では、今の業者で足りている、というものです。ここで不思議なことがあります。ごみの収集運搬の許可を定める条文を読んでも、足りているなら断ってよい、とは、どこにも書いていません。それなのに、断れるのか。断れるとすれば、何を根拠にするのか。今日の答えを先に言います。ごみの処理は、もともと市町村の仕事です。市町村は、その仕事の計画を作ります。そして、許可の要件の一つが、計画に合っていること。だから、計画を作るときの判断が、許可の判断に流れ込みます。この一本の線で、設例を最後に解きます。

今日の道順(1 ごみの処理は誰の仕事か/2 処理計画/3 業の許可と「計画に適合」/4 この許可はどの型か/5 最高裁の判断/6 条文に無いのになぜ断れるか/7 既存の業者は争えるか/8 設例を解く) 図:今日の道順

  • 1 ごみの処理は誰の仕事か
  • 2 処理計画
  • 3 業の許可と「計画に適合」
  • 4 この許可はどの型か
  • 5 最高裁の判断
  • 6 条文に無いのになぜ断れるか
  • 7 既存の業者は争えるか
  • 8 設例を解く

道順です。まず、ごみの処理の担い手を、条文で確かめます。次に処理計画、そして許可の条文。そのあと、この許可がどんな型の許可かを見て、最高裁の判断を読みます。最後に、条文に無いのになぜ断れるのかを整理して、設例を解きます。

ごみの処理は、誰の仕事か

一般廃棄物の処理の担い手(廃棄物=一般廃棄物+産業廃棄物/一般廃棄物=産業廃棄物以外の廃棄物〔家庭ごみ・事業所から出る事業系ごみも入る〕/6条の2第1項=市町村が計画に従って収集・運搬・処分する/民間業者=その仕事を手伝う立場) 図:一般廃棄物の処理の担い手

  • 廃棄物=一般廃棄物+産業廃棄物
  • 一般廃棄物=産業廃棄物以外の廃棄物〔家庭ごみ・事業所から出る事業系ごみも入る〕
  • 6条の2第1項=市町村が計画に従って収集・運搬・処分する
  • 民間業者=その仕事を手伝う立場

最初に、言葉を一つ決めます。一般廃棄物とは、産業廃棄物に当たらない廃棄物のことです。家庭から出るごみが代表です。ただ、お店や事務所から出る事業系のごみも、産業廃棄物に当たらなければ、一般廃棄物に入ります。今日の設例も、このあとの判決も、この一般廃棄物の話です。では、その処理は誰の仕事でしょうか。条文です。

条文廃棄物の処理及び清掃に関する法律6条の2第1項

廃棄物の処理及び清掃に関する法律第6条の2第1項 市町村は、一般廃棄物処理計画に従つて、その区域内における一般廃棄物を生活環境の保全上支障が生じないうちに収集し、これを運搬し、及び処分(再生することを含む。…以下同じ。)をしなければならない。

骨格です。市町村は、一般廃棄物処理計画に従って、区域内の一般廃棄物を、生活環境の保全上支障が生じないうちに、収集し、運搬し、処分しなければならない。主語は市町村、義務の書き方です。民間の会社は、市町村の仕事を手伝う立場です。実際、家庭ごみの収集を、民間の会社に委託している市は多くあります。市町村が自分で集める、委託する、許可を受けた業者が集める。どれも、市町村の仕事を果たす方法です。今日のすべての話は、この一点、本来は市町村の仕事、から出てきます。

処理計画——見込みと、誰がやるか

処理計画と3段の図(目標=生活環境を守る適正な処理/手段①市町村が自分で処理〔事実行為〕②委託〔行政契約〕③許可業者の処理〔許可=行政処分〕/計画に定める事項=発生量・処理量の見込み/適正な処理とこれを実施する者に関する基本的事項) 図:処理計画と3段の図

  • 目標=生活環境を守る適正な処理
  • 手段①市町村が自分で処理〔事実行為〕②委託〔行政契約〕③許可業者の処理〔許可=行政処分〕
  • 計画に定める事項=発生量・処理量の見込み
  • 適正な処理とこれを実施する者に関する基本的事項

市町村は、その仕事のために、計画を作ります。条文です。

条文廃棄物の処理及び清掃に関する法律6条1項・2項

廃棄物の処理及び清掃に関する法律第6条第1項・第2項 1 市町村は、当該市町村の区域内の一般廃棄物の処理に関する計画(以下「一般廃棄物処理計画」という。)を定めなければならない。 2 一般廃棄物処理計画には、環境省令で定めるところにより、当該市町村の区域内の一般廃棄物の処理に関し、次に掲げる事項を定めるものとする。 一 一般廃棄物の発生量及び処理量の見込み 二 一般廃棄物の排出の抑制のための方策に関する事項 三 分別して収集するものとした一般廃棄物の種類及び分別の区分 四 一般廃棄物の適正な処理及びこれを実施する者に関する基本的事項 五 一般廃棄物の処理施設の整備に関する事項 六 非常災害時における前二号に掲げる事項に関する施策に関する事項

骨格です。1項、市町村は、一般廃棄物処理計画を定めなければならない。作るかどうかを選ぶのではなく、作る義務です。2項、計画には、次の事項を定める。六つの号のうち、今日使うのは二つだけです。まず一号、発生量と処理量の見込み。四号、適正な処理と、これを実施する者に関する基本的事項。見込みと、実施する者。このふたつが、あとで効きます。ごみがどれだけ出るかを見積もり、それを誰が処理するかを決める。これが処理計画の中身です。設例の市で言えば、事業所から出るごみは一年に約一万トンの見込みで、それを今の許可業者二社が集める、と計画に書く形です。

前々回、行政計画の定義で見たとおり、計画は、目標を立て、その達成の手段を総合的に示すものでした。ここに当てはめます。目標は、生活環境を守る適正な処理。手段は三つあります。一つ目、市町村が自分で集める。これは事実行為です。二つ目、業者に委託する。これは契約です。三つ目、許可を受けた業者が集める。この許可が、行政処分です。三つ目の手段が、今日の主役です。許可は、計画の外から来る別物ではありません。市町村の仕事を果たす手段のひとつとして、計画の中に位置づけられています。この一枚を、頭に置いておいてください。

処理業の許可と「計画に適合」

業の許可の条文の構造(7条1項=収集・運搬を業として行うには市町村長の許可〔例外あり〕/7条5項=次の各号のいずれにも適合と認めるときでなければ許可してはならない:1号 市町村による収集運搬が困難/2号 申請の内容が一般廃棄物処理計画に適合/3号 施設と能力が環境省令の基準に適合/4号 欠格事由がない) 図:業の許可の条文の構造

  • 7条1項=収集・運搬を業として行うには市町村長の許可〔例外あり〕
  • 7条5項=次の各号のいずれにも適合と認めるときでなければ許可してはならない:1号 市町村による収集運搬が困難
  • 2号 申請の内容が一般廃棄物処理計画に適合
  • 3号 施設と能力が環境省令の基準に適合
  • 4号 欠格事由がない

いよいよ許可の条文です。まず、許可が要る場面から。

条文廃棄物の処理及び清掃に関する法律7条1項

廃棄物の処理及び清掃に関する法律第7条第1項 一般廃棄物の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域(運搬のみを業として行う場合にあつては、一般廃棄物の積卸しを行う区域に限る。)を管轄する市町村長の許可を受けなければならない。ただし、事業者(自らその一般廃棄物を運搬する場合に限る。)、専ら再生利用の目的となる一般廃棄物のみの収集又は運搬を業として行う者その他環境省令で定める者については、この限りでない。

骨格です。一般廃棄物の収集または運搬を、仕事として行う者は、その区域を管轄する市町村長の許可を受けなければならない。例外が細かく並びますが、設例の会社のように、他人のごみを集めて運ぶ業者は許可が要る、と押さえれば足ります。次が、許可の要件です。

条文廃棄物の処理及び清掃に関する法律7条5項

廃棄物の処理及び清掃に関する法律第7条第5項 市町村長は、第一項の許可の申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。 一 当該市町村による一般廃棄物の収集又は運搬が困難であること。 二 その申請の内容が一般廃棄物処理計画に適合するものであること。 三 その事業の用に供する施設及び申請者の能力がその事業を的確に、かつ、継続して行うに足りるものとして環境省令で定める基準に適合するものであること。 四 申請者が次のいずれにも該当しないこと。

骨格です。市町村長は、申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。一号、市町村による収集運搬が困難であること。二号、申請の内容が、一般廃棄物処理計画に適合すること。三号、施設と能力が、環境省令の基準に適合すること。四号は欠格事由で、細部は暗記しません。書きぶりに注意します。要件を満たしたら許可しなければならない、ではなく、すべてに適合していると認めるときでなければ許可してはならない、です。拒否の方向の書きぶりで、四つのうち一つでも欠ければ、許可はできません。

三号は満たしている、とします。設例の会社が引っかかるのは、二号です。申請の内容が、市の処理計画に適合するか。計画は、ごみの量の見込みと、処理を実施する者を定めていました。その計画と、新しい業者の参入が合うのか、を市長は見るわけです。もう一つ、一号の読み方を、先に仕込みます。市町村による収集運搬が困難、というときの市町村による、とは、市町村が自分で、または委託で行うもののことです。許可を受けた業者が行うものは、ここに含まれません。この点は、判決のところでもう一度出てきます。

この許可は、どの型の許可か

許可の型の対比(警察許可=もともとの営業の自由を危険防止のためにいったん禁止して回復する型/公企業の特許に近い型=本来は市町村の仕事を、代わりに担わせる型/この許可=後者に近い→判断の幅が広い/産業廃棄物の処理業の許可は警察許可型と整理される) 図:許可の型の対比

  • 警察許可=もともとの営業の自由を危険防止のためにいったん禁止して回復する型
  • 公企業の特許に近い型=本来は市町村の仕事を、代わりに担わせる型
  • この許可=後者に近い→判断の幅が広い
  • 産業廃棄物の処理業の許可は警察許可型と整理される

確認です。第4章で、許可と特許の違いを見ました。警察許可と特許は、何が違いましたか?許可は、もともとある自由を、いったん禁止して、条件を満たした人に戻すものです。特許は、もともと自由に無い地位を、行政庁が与えるものでした。許可の一般の型、たとえば食品の営業許可は、衛生を守るためにいったん禁じた営業の自由を、基準を満たした人に戻します。だから、基準を満たしたら許可しなければならない、という形になりやすい。では、一般廃棄物の収集運搬は、どちらでしょう。さきほどの6条の2に戻ります。この仕事は、もともと市町村が、自分の事業として行うものです。民間の業者に、ごみを集めて業にする自由が、最初からあるわけではありません。市町村が自分でできない部分を、代わりに担わせる。7条5項一号が、市町村による収集運搬が困難であること、を許可の要件にしているのは、このためです。市町村が自分でできるなら、民間に担わせる必要がないからです。だから、この許可は、公企業の特許に近い型だと言われます。対比として、産業廃棄物の処理業の許可は、警察許可の型と整理されます。産業廃棄物は、排出した事業者に処理の責任があるので、市町村の仕事を肩代わりする形になっていないからです。一つ、区別しておくことがあります。特許という言葉は、判決には出てきません。判決が言っているのは、本来市町村が自らの事業として実施すべきもの、という前提です。特許に近い、という整理は学説の読みで、裁判所が言ったこととしては語りません。

型が分かると、行政庁の判断の幅も分かります。第5章で、この二つの型を、裁量の幅を測る目安にしました。もともとの自由を戻す型なら、基準を満たした人に戻すだけです。市町村の仕事を担わせる型では、誰に任せれば、ごみの収集が安定して続くかを、行政庁が考えなければなりません。だから、判断の幅が広くなります。

最高裁の判断——計画を理由に断れるか

事案の図(A=市長/B=新規の申請者〔別の廃棄物処理業者〕/C=既存の許可業者〔D公社〕/事業系の一般廃棄物の収集運搬は、市が自らや委託でなく、許可を受けた唯一の業者Cが昭和54年から担ってきた/計画=事業系廃棄物は排出者が自己処理するか許可業者に委託して処理/BがAに許可を申請→不許可〔既存の許可業者で円滑に遂行されており、1号・2号に適合しない〕) 図:事案の図

  • A=市長
  • B=新規の申請者〔別の廃棄物処理業者〕
  • C=既存の許可業者〔D公社〕
  • 事業系の一般廃棄物の収集運搬は、市が自らや委託でなく、許可を受けた唯一の業者Cが昭和54年から担ってきた
  • 計画=事業系廃棄物は排出者が自己処理するか許可業者に委託して処理
  • BがAに許可を申請→不許可〔既存の許可業者で円滑に遂行されており、1号・2号に適合しない〕

設例と同じ形の事件が、最高裁にありました。石川県の松任市の事件です。事案から言います。ここは正確に押さえてください。この事件のごみは、家庭ごみではなく、事業活動に伴って出る一般廃棄物、事業系のごみです。市の事業系ごみの収集運搬は、市が自分でも委託でもなく、許可を受けた唯一の業者が、昭和54年から担ってきました。計画も、事業系のごみは、排出した事業者が自分で処理するか、許可業者に委託して処理する、という内容でした。そこへ、別の廃棄物処理業者が許可を申請しました。市長は、既存の許可業者で円滑に遂行されているので、新規の許可申請は、1号と2号に適合しない、として不許可にしました。判決は改正前の条文についてのものですが、中身は今の7条5項と同じで、号の番号も同じです。最高裁は、不許可を適法としました。判断は、三つに分けて読みます。計画の趣旨、二号の計画に適合するかの判断、そして一号の読み方です。まず、計画の趣旨です。

判例最判平16・1・15 判時1849号30頁

一般廃棄物処理計画の趣旨 廃棄物処理法は,上記のとおり,一般廃棄物の収集及び運搬は本来市町村が自らの事業として実施すべきものであるとして,市町村は当該市町村の区域内の一般廃棄物処理計画を定めなければならないと定めている。 ……これは,一般廃棄物の発生量及び処理量の見込みに基づいて,これを適正に処理する実施主体を定める趣旨のものと解される。

要点です。収集運搬は、本来、市町村が自らの事業として実施すべきもの。だから計画を定める。その計画は、ごみの量の見込みに基づいて、適正に処理する実施主体を定める趣旨だ、と言っています。先ほど見た、6条2項の、一号と四号そのものです。計画は、見込みと、誰がやるかを決める。ここが、次の判断の土台になります。

判旨の核心(既存の許可業者等によって適正な収集運搬が行われてきており/これを踏まえて処理計画が作成されているような場合には/市町村長は新規の許可申請の審査にあたり/適正な収集運搬を継続的かつ安定的に実施させるには既存の許可業者等のみに引き続き行わせることが相当として/申請の内容は計画に適合するとは認められないという判断をすることもできる) 図:判旨の核心

  • 既存の許可業者等によって適正な収集運搬が行われてきており
  • これを踏まえて処理計画が作成されているような場合には
  • 市町村長は新規の許可申請の審査にあたり
  • 適正な収集運搬を継続的かつ安定的に実施させるには既存の許可業者等のみに引き続き行わせることが相当として
  • 申請の内容は計画に適合するとは認められないという判断をすることもできる

そして、核心の判断です。

判例最判平16・1・15 判時1849号30頁

既存の許可業者を踏まえた計画適合性の判断 既存の許可業者等によって一般廃棄物の適正な収集及び運搬が行われてきており,これを踏まえて一般廃棄物処理計画が作成されているような場合には,市町村長は,これとは別にされた一般廃棄物収集運搬業の許可申請について審査するに当たり,一般廃棄物の適正な収集及び運搬を継続的かつ安定的に実施させるためには,既存の許可業者等のみに引き続きこれを行わせることが相当であるとして,当該申請の内容は一般廃棄物処理計画に適合するものであるとは認められないという判断をすることもできるものというべきである。

長いので、骨組みにします。条件は二つです。一つ、既存の許可業者によって、適正な収集運搬が行われてきていること。二つ、それを踏まえて、計画が作られていること。この二つがそろう場合、市町村長は、適正な収集運搬を継続的かつ安定的に行わせるには、既存の業者だけに引き続き行わせるのが相当だ、として、新規の申請は計画に適合するとは認められない、と判断することもできる。なぜ、既存の業者だけでよい、と言えるのか。6条の2は、生活環境の保全上支障が生じないうちに処理することを、市町村に求めていました。ごみの収集は、途切れればすぐ町の衛生に響く仕事です。適正に回っている体制を、計画どおり安定して続けさせることも、市町村の仕事を果たすための判断だからです。結論は、そのような判断は許されないものとはいえないから、本件の不許可処分は適法、でした。

一号の、市町村による、の読み方が、さきほど仕込んだ点です。最高裁は、一号の市町村によるは、市町村が自ら、または委託で行うことをいい、許可を受けた業者が行うものは当たらない、と読みました。許可は、市町村が自分でできない部分を、代わりに担わせる仕組みでした。困難かどうかを市町村自身について見るのは、そのためです。だから、許可業者で適切に行われていても、市町村自身が自ら、または委託で行うことが困難なら、一号は満たされます。この事件の勝負は、一号ではなく二号、計画に適合するか、でした。言い過ぎに注意します。判決の言い方は、判断をすることもできる、です。この条件がそろう場合に、断ることが許される、という意味です。新規の申請は必ず不許可にできる、という意味ではありません。境界の例を置きます。既存の業者が適正におこなってきて、それを踏まえて計画ができている市。ここでは断れる場合があります。反対に、既存の業者の処理が滞っていたり、計画が現実のごみの量とずれていたりする市。このとき、断る理由の土台が崩れます。決め手は、既存の業者の適正な処理と、それを踏まえた計画、という二つの土台があるかどうかです。

条文に無いのに、なぜ断れるのか

需給が許可に入る道筋(問い=条文に「需給を調整してよい」とは書いていない/①計画は処理量の見込みと実施主体を定める〔6条2項1号・4号〕=需給の見通しを含む/②許可の要件に「計画に適合」〔7条5項2号〕/③だから計画を物差しにする限り、需給が許可の判断に入る/需給調整を直接の要件にしているのではなく、計画を経由して効く) 図:需給が許可に入る道筋

  • 問い=条文に「需給を調整してよい」とは書いていない
  • ①計画は処理量の見込みと実施主体を定める〔6条2項1号・4号〕=需給の見通しを含む
  • ②許可の要件に「計画に適合」〔7条5項2号〕
  • ③だから計画を物差しにする限り、需給が許可の判断に入る/需給調整を直接の要件にしているのではなく、計画を経由して効く

ここで、今日の最大のつまずきどころに戻ります。復習です。前々回、行政計画の最初の回で、条文の二つの作りを見ました。要件を満たせば効果が出る、条件プログラム。そして、目標を立てて手段を示す、目標プログラム。この区別は、いま何でしたか?条件プログラムは、自動販売機のように、要件を満たせば決まった結果が出ます。目標プログラムは、目標を掲げて、手段は計画の中で選ぶ作りでした。では、最初の問いです。需要と供給を調整してよい、とは条文のどこにも書いていないのに、なぜ、もう足りているから、を理由に断れるのでしょうか。三つの歩みで答えます。一歩目。処理計画は、処理量の見込みと、実施する者を定めます。6条2項の一号と四号です。設例の市なら、一年に約一万トン、今の二社で集める、という書き方でした。つまり計画は、ごみがどれだけ出て、誰がどれだけ処理するか、という需給の見通しを含んで作られます。二歩目。許可の要件に、計画に適合すること、があります。7条5項の二号です。三歩目。だから、計画を物差しにする限り、需給の見通しが、許可の判断に入ってきます。整理すると、需給調整を、許可の要件として直接に書いているのではありません。計画を経由して、効いてくるのです。条文に、足りているなら断れ、と書く代わりに、計画に適合すること、と書き、計画の中身は市町村が作る。そういう設計です。

食品の営業許可は、要件を満たせば許可、の形です。計画適合が要件になると、基準の内容を、計画が決めます。だから、満たせば必ず許可、という形にならない。同じ型は、前回の都市計画にもありました。区域区分で市街化を抑えると決めた区域、つまり市街化調整区域では、開発許可に追加の基準が掛かり、決められた場合に当たるときだけ許されます。計画が、個別の許可の基準になる仕組みです。ここから、構造を一つだけ指摘します。計画を作るときの広い判断が、許可の判断に流れ込む。この構造だけを、今日は押さえます。裏返しとして、一言だけ。不許可の理由は、計画に合わないこと、でした。その物差しの計画そのものが違法なら、それを前提にした不許可も、違法になりえます。設例に戻ります。ある市で、設備も人もそろった会社が不許可にされました。断れるでしょうか。計画が、適正な見込みに基づき、すでに適正におこなっている既存の業者を前提に作られているなら、断れる場合があります。ただし、計画が恣意的に作られていたり、現実とずれていたりすれば、問われるのは、その計画そのものです。

既存の許可業者は、他人への許可を争えるか

次の問い(最判平26・1・28=既存の許可業者が、他者への許可・更新を争った事件/問い:計画で需給をそろえる仕組みなら、既存業者の営業の利益も、法律が守っている利益と読めるか/銭湯の問い〔第4章〕と同じ形/答えは原告適格の回で扱う) 図:次の問い

  • 最判平26・1・28=既存の許可業者が、他者への許可・更新を争った事件
  • 問い:計画で需給をそろえる仕組みなら、既存業者の営業の利益も、法律が守っている利益と読めるか
  • 銭湯の問い〔第4章〕と同じ形
  • 答えは原告適格の回で扱う

もう一つ、問いだけ置きます。設例の、反対側の話です。新しい業者の許可を、既存の許可業者は、裁判で争えるでしょうか。一般廃棄物の許可を巡って、既存の許可業者が、他の業者への許可や更新を争った最高裁判決があります。第4章の銭湯では、法律が配置の適正を許可の理由にしていたので、既存の銭湯を濫立から守る面があるとして、その営業上の利益は、法律が守る利益とされました。学説が銭湯で、許可の中の特許的な要素、と呼んだのは、この、競争から守られる面でした。今日の、特許に近い型は、市町村の仕事を担わせる面を指していて、別の話です。今日の仕組みでも、計画で需給をそろえ、新しい業者を断ることで、既存の業者の営業が続いています。ならば、ごみの既存業者の営業の利益も、法律が守っている利益と読めるのか。問いは、そこにあります。答えと理由は、訴える資格、つまり原告適格を扱う回で出します。今日は、問いの形だけ持ち帰ってください。

設例を解く・まとめ

今日の持ち帰り(①市町村の仕事〔6条の2〕→計画〔6条〕→許可の要件に計画適合〔7条5項2号〕/②計画を作るときの判断が許可の判断に流れ込む=最高裁の判断/③本来は市町村の仕事を担わせる型=判断の幅が広い/設例=既存業者を踏まえた適正な計画なら断れる場合がある) 図:今日の持ち帰り

  • ①市町村の仕事〔6条の2〕→計画〔6条〕→許可の要件に計画適合〔7条5項2号〕
  • ②計画を作るときの判断が許可の判断に流れ込む=最高裁の判断
  • ③本来は市町村の仕事を担わせる型=判断の幅が広い/設例=既存業者を踏まえた適正な計画なら断れる場合がある

まとめます。持ち帰るのは三つです。一つ目、ごみの処理は市町村の仕事で、6条の2。その計画が6条、許可の要件に、計画に適合すること、7条5項二号がある。この一本の線です。二つ目、計画を作るときの判断が、許可の判断に流れ込みます。最高裁は、既存の許可業者で適正な収集運搬が行われ、それを踏まえて計画ができているなら、計画に適合しない、と判断することもできる、と言いました。ただし、できる、であって、常に断れるではありません。三つ目、この許可は、本来は市町村の仕事を、代わりに担わせる型です。だから、行政の判断の幅が広い。これは学説の整理で、判決の言葉ではない、ということも覚えておきます。最初の設例の答えです。足りているから、という理由は、条文に直接は書かれていません。でも、計画を経由して、許可の判断に入ってくる。計画が適正に作られている限り、断れる場合があります。

市町村の仕事、計画、計画適合という一本の線で、計画の判断が許可に流れ込む、と読めばいいんですね。

参照条文

  • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律6条の2第1項
  • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律6条1項・2項
  • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律7条1項
  • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律7条5項

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