行政手続法の適用除外と地方公共団体
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第8章 行政手続 #105/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。
市役所の処分なら関係ない?
図:今日の問い
- 市役所の処分だから行政手続法は関係ない→そう思い込むと答案の最初の1行で適用条文を間違える
- 地方公共団体のする処分でも行政手続法が及ぶものがある
- 線はどこに引かれているのか
- 今日の道筋=①外す理由で3群に分ける②3条3項の2段の線③46条と行政手続条例④4条1項の固有の資格
市役所がする処分だから、行政手続法は関係ない。そう思い込むと、答案の最初の1行で、適用する条文を間違えます。地方公共団体のする処分でも、行政手続法が及ぶものがあるからです。処分を、主体が自治体かどうかで一括りにする覚え方が、今日の最大の落とし穴です。答えを先に一言だけ言うと、処分なら、線は主体ではなく、その根拠の規定が法律にあるか、条例や規則にあるかで引かれています。なぜそうなるのかを、条文から読みます。前回、個別の法律を読む3つの手順を見ました。その2つ目は、何を探す手順でしたか?適用除外の規定を探す手順でした。探す先は2つ、個別の法律の中と、行政手続法自身です。前回は、法律で適用除外を書かない限り、行政手続法が及ぶ、共通の最低線だと見ました。今日は、行政手続法自身が置いている適用除外の中身を見ます。
除外は「理由」で3群に分ける
図:適用除外の3群
- 行政手続法が自分で置く適用除外=①行政分野の特殊性など〔3条1項・2項〕②地方自治の尊重〔3条3項〕③相手方が国・地方公共団体等で一般の私人とは立場が違う〔4条〕
- 何が外れるか=3条1項は処分と行政指導
- 3条2項は命令等を定める手続
- 3条3項は処分・行政指導・届出・命令等
- 号の暗記より「なぜ外すか」
適用除外の規定は、3条と4条にあります。条文の数は多いのですが、暗記の仕方は、号を順番に並べることではありません。なぜ外すのか、という理由で並べます。理由は3つです。1つ目は、行政の分野に特殊性があるから。3条の1項と2項です。2つ目は、地方自治を尊重するから。3条3項です。3つ目は、相手方が国や地方公共団体で、一般の私人とは立場が違うから。4条です。しかも、何が外れるのかも、条文ごとに違います。3条1項は、処分と行政指導が外れます。3条2項は、命令等を定める手続です。3条3項は、処分、行政指導、届出、命令等を定める行為が、条件つきで外れます。ここは、後で一つずつ確かめます。ここで先に1つだけ。3条1項は、届出と命令等を外しません。柱書に、次章から第四章の二までとあるからです。第2章が申請に対する処分、第3章が不利益処分、第4章が行政指導、第4章の2が処分等の求めで、届出は第5章、命令等を定める手続は第6章です。処分の章と行政指導の章が外れる、という読み方になります。
3条1項——特殊性を、性質で3つにまとめる
図:3条1項の柱書と各号の性質分け
- 柱書=次に掲げる処分及び行政指導については次章から第四章の二までの規定は適用しない
- ア他の手続で処理されるもの=1〜6号〔議会の議決・裁判・刑事手続・犯則事件など〕
- イ特別な関係・領域=7号学校等・8号刑務所等・9号公務員・10号外国人の出入国など
- ウ性質上なじまないもの=11号試験・検定、12号相反する利害を有する者の間の裁定、13号現場での処分、14号情報収集を直接の目的とする処分、15号不服申立てへの裁決等、16号その手続の過程でされる処分
3条1項には、16の号が並んでいます。全部の番号を覚える必要はありません。性質で3つにまとめます。1つ目は、ほかの手続で処理されるものです。1号から6号です。国会や議会の議決、裁判、刑事事件の手続、犯則事件の調査などがここに入ります。すでに、別の厳格な手続の中にあるので、行政手続法を重ねる必要がありません。2つ目は、特別な関係や特別な領域です。7号が学校、8号が刑務所など、9号が公務員、10号が外国人の出入国や難民の認定です。3つ目は、性質上、事前の手続になじまないものです。試験の結果、利害が対立する者どうしの間の裁定、現場で行う処分、情報収集が目的の処分、不服申立てへの裁決、そして、不服申立てや聴聞などの手続の途中でする処分です。条文を、確かめます。まず柱書と、押さえたい号です。
図:行政手続法3条1項
- 柱書+7号・8号・9号・11号・13号を抜粋
- 他の号は要旨で性質分けのとおり
条文行政手続法 3条1項(柱書・7号・8号)
行政手続法 第三条(適用除外)(1項・柱書と7号・8号) 次に掲げる処分及び行政指導については、次章から第四章の二までの規定は、適用しない。 七 学校、講習所、訓練所又は研修所において、教育、講習、訓練又は研修の目的を達成するために、学生、生徒、児童若しくは幼児若しくはこれらの保護者、講習生、訓練生又は研修生に対してされる処分及び行政指導 八 刑務所、少年刑務所、拘置所、留置施設、海上保安留置施設、少年院又は少年鑑別所において、収容の目的を達成するためにされる処分及び行政指導
続けて、9号、11号、13号です。
条文行政手続法 3条1項(9号・11号・13号/他の号は性質分けの板のとおり)
行政手続法 第三条(適用除外)(1項9号・11号・13号) 九 公務員(国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第二条第一項に規定する国家公務員及び地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第三条第一項に規定する地方公務員をいう。以下同じ。)又は公務員であった者に対してその職務又は身分に関してされる処分及び行政指導 十一 専ら人の学識技能に関する試験又は検定の結果についての処分 十三 公衆衛生、環境保全、防疫、保安その他の公益に関わる事象が発生し又は発生する可能性のある現場において警察官若しくは海上保安官又はこれらの公益を確保するために行使すべき権限を法律上直接に与えられたその他の職員によってされる処分及び行政指導
7号から9号は、読み方に注意が要ります。学校の生徒に対する処分や、受刑者への処分、公務員への処分が外れている。これを見て、これらの人には手続の保障がいらない、と読んではいけません。保障がいらないのではなく、それぞれの場に合った手続の整え方を、個別の法律に委ねた、という趣旨です。たとえば、公務員の懲戒には、公務員の法律の中に、独自の手続があります。かつては、学校や刑務所や役所の内部は、法の外にある特別な関係だ、という考え方がありました。しかし、それを理由に、保障を不要としたわけではありません。もう一つ、13号です。要件は、現場において、という言葉です。公衆衛生や保安などの公益に関わる事象が、起きている、または起きそうな現場で、警察官などが、その場でする処分です。例で考えます。道路で事故が起きて、警察官が、その場で通行を止める。これは、現場で臨機に判断して行う措置で、事前に言い分を聴いている暇はありません。13号の典型です。これに対して、保健所が、事務所で時間をかけて調査し、検討を重ねたうえで、営業停止を書面で出す場合は、どうでしょうか。
現場で、その場でする処分ではないので、13号には当たりません。短答では、公益に関わる処分だから13号で適用除外、という肢が出ますが、役所で検討して書面で出す処分は、現場において、という要件を満たしません。11号の試験の結果にも触れておきます。専ら人の学識技能に関する試験の結果は、採点して合否を決める性質のもので、事前に言い分を聴く手続になじみません。なお、3条2項は、命令等を定める手続の除外で、法律の施行期日を定める政令や恩赦など、6つの類型です。ここは、条文で確認できれば足ります。
3条3項——地方自治の尊重(核心)

ここが、今日の核心です。条文を、全文で読みます。
条文行政手続法 3条3項
行政手続法 第三条(適用除外)(3項) 第一項各号及び前項各号に掲げるもののほか、地方公共団体の機関がする処分(その根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)及び行政指導、地方公共団体の機関に対する届出(前条第七号の通知の根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)並びに地方公共団体の機関が命令等を定める行為については、次章から第六章までの規定は、適用しない。
長い一文ですが、構造は二段です。かっこ書きの位置を、見てください。処分には、かっこ書きがあります。その根拠となる規定が、条例または規則に置かれているものに限る。根拠となる規定とは、その処分をしてよい、と行政に権限を与えている規定のことです。つまり、処分は、根拠が条例か規則にあるものだけが外れます。根拠が法律にある処分は、外れません。届出も同じ形です。かっこ書きが付いています。条文の、前条第七号の通知とは、届出の定義の規定のことで、届出そのものを指します。地方公共団体の機関に対する届出は、その届出の根拠となる規定が条例か規則にあるものだけが外れます。法律が定めた届出は、外れません。これに対して、行政指導には、かっこ書きがありません。命令等を定める行為にも、ありません。地方公共団体の機関がするものは、根拠を問わず、全部が外れます。
趣旨は、地方自治の尊重です。自分たちで条例や規則を作って始めた仕事の手続は、各団体の判断に委ねる。他方、国の法律が作った制度に基づく処分は、全国で共通の最低線を保つ。この考えから、処分は根拠で線が引かれました。行政指導だけが全部外れる理由は、行政指導が、法律の根拠なしでもできるからです。根拠がないものも多く、根拠がどこにあるのかを確かめにくいので、根拠で線を引けません。そこで、地方公共団体の機関がするものは、まとめて外しました。命令等を定める行為も、同じく全部外れます。地方公共団体の機関が自分でルールを定める手続は、自治の中身そのものなので、各団体に委ねました。行政指導については、前に見ました。地方公共団体の機関がする行政指導には、行政手続法の行政指導の章が適用されず、その団体の行政手続条例による。それが、この3条3項でした。今日、その仕組みの全体が見えます。決め手は、主体が地方公共団体かどうか、ではありません。処分と届出なら、根拠規定がどこにあるか。行政指導と命令等なら、地方公共団体の機関がするか。これが線です。
仕分け演習——根拠はどこにあるか
図:仕分けの手順
- 地方公共団体の機関の行為→処分か届出か
- 行政指導・命令等か→行政指導・命令等なら直ちに行政手続条例
- 処分・届出なら根拠は法律か条例・規則か→法律なら行手法
- 条例・規則なら行政手続条例
手を動かします。その前に、問いです。市が出す決定は、行政手続法の対象でしょうか。何を見て決めますか。市がする決定なら、その決定の根拠がどこに置かれているかを見ます。次の手順で仕分けます。まず、処分か行政指導か。行政指導なら、そこで終わりで、行政手続条例です。処分なら、根拠が法律か、条例か規則かを見ます。設例を4つ用意しました。1つ目と2つ目は、県の設例です。
図:設例1・2
- A=県知事、B=事業者、C=法律
- 設例1=AがCに基づく事業の許可を拒否→根拠は法律→3条3項に当たらず行手法の申請に対する処分の規定が及ぶ
- 設例2=許可の基準の一部は法律の委任を受けた県条例が定め、その基準を理由に拒否→処分の根拠は法律→及ぶ
設例1です。県知事Aが、ある法律に基づいて、事業者Bの事業の許可を拒否します。処分の根拠は、法律です。3条3項の除外に当たらず、行政手続法の申請に対する処分の規定が及びます。たとえば、拒否するなら理由を示す義務があります。設例2です。同じ許可で、基準の一部を、法律の委任を受けた県の条例が定めています。知事は、その条例の基準に当てはまらないという理由で、拒否しました。この場合はどうでしょうか。基準を条例が定めていても、それだけでは、処分の根拠が条例になるわけではありません。3条3項のかっこ書きが問うているのは、処分の根拠となる規定です。許可という処分の根拠規定は、法律にあります。条例は、法律の委任を受けて、基準を埋めているだけです。ですから、処分の根拠は法律で、行政手続法が及びます。基準がどこに書かれているかと、処分の根拠規定がどこにあるかは、別の問いです。次は、市の設例です。
図:設例3・4
- D=市、E=申請者
- 設例3=Dが市の情報公開条例に基づき開示を拒む決定→根拠は条例→3条3項で除外→市の行政手続条例を見る
- 設例4=D職員が法律に根拠のある事務について業者に行政指導→行政指導は根拠を問わず除外→市の行政手続条例を見る
設例3です。市Dが、市の情報公開条例に基づいて、申請者Eに、開示しないという決定をします。この決定の根拠は、条例です。3条3項で除外されます。見るべきは、市の行政手続条例です。設例4です。市の職員が、法律に根拠のある事務について、業者に行政指導をします。根拠が法律にあっても、行政指導は、地方公共団体の機関がするものは全部外れます。ここでも、見るべきは市の行政手続条例です。設例1と2は、県の処分でも、行政手続法です。設例3と4は、市が主体で、行政手続条例です。分かれ目は、県か市か、ではありません。処分の根拠が法律か条例か、そして、行政指導かどうかです。
行政指導は、根拠が法律にあっても外れます。ここを処分と同じ見方で扱って取り違えると、短答で落とします。処分は根拠で見る。行政指導は、根拠を見ずに、地方公共団体の機関かどうかで見る。この対比を、答案の最初の1行に反映させます。論文では、本件処分の根拠は法律か条例か、したがって行政手続法か行政手続条例か、から書き出します。
46条と行政手続条例
図:46条と行政手続条例
- 3条3項で外れた処分・行政指導・届出・命令等を定める行為に関する手続について、地方公共団体は行手法の趣旨にのっとり必要な措置を講ずるよう努めなければならない=努力義務
- 現実にはほぼ全ての自治体が行政手続条例を制定
- 内容は行手法に準じるものが多いが適用される条文は別
- 最初に決める=行手法か、行政手続条例か
外れた部分は、どうなるのでしょうか。何も定めなくてよいのか。そこで、46条があります。
条文行政手続法 46条
行政手続法 第四十六条(地方公共団体の措置) 地方公共団体は、第三条第三項において第二章から前章までの規定を適用しないこととされた処分、行政指導及び届出並びに命令等を定める行為に関する手続について、この法律の規定の趣旨にのっとり、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
努めなければならない。つまり、努力義務です。必ず作れ、ではありません。ただ、現実には、ほぼ全ての地方公共団体が、行政手続条例を定めています。内容は、行政手続法に準じるものが多いです。結論が似ることはあります。ただ、適用される条文は別です。答案に書く条文が違えば、誤りになります。ですから、最初に決めます。この場面に適用されるのは、行政手続法か、行政手続条例か。内容を論じるのは、その後です。
4条1項——「固有の資格」で受ける処分だけ
図:4条1項の問い
- 市がバス事業を営むために、国から事業の許可を受ける場合も、適用除外になるのか
- 処分・届出→固有の資格の場合だけ除外
- 行政指導→すべて除外
- 私人と同じ立場〔市営バスの許可〕→行手法が及ぶ
3つ目の群、4条です。問いから始めます。市が、市営バスを走らせるために、国から事業の許可を受けるとします。相手が地方公共団体の場合でも、行政手続法は適用除外になるのでしょうか。
条文行政手続法 4条1項
行政手続法 第四条(国の機関等に対する処分等の適用除外)(1項) 国の機関又は地方公共団体若しくはその機関に対する処分(これらの機関又は団体がその固有の資格において当該処分の名あて人となるものに限る。)及び行政指導並びにこれらの機関又は団体がする届出(これらの機関又は団体がその固有の資格においてすべきこととされているものに限る。)については、この法律の規定は、適用しない。
かっこ書きに、固有の資格という言葉があります。固有の資格とは、国や地方公共団体だけが立てる立場、つまり一般の私人が立つことのない立場です。この立場で名あて人になる場合だけが、外れます。かっこ書きの位置は、3条3項と同じ読み方をします。処分と届出にはかっこ書きがあり、行政指導にはありません。国や地方公共団体に対する行政指導は、固有の資格かどうかを問わず外れます。行政指導は、従うかどうかが相手に任されていて、法的な効果を持ちません。国や地方公共団体を相手にする行政指導は、固有の資格かどうかで分けず、まとめて外されています。3条3項は自治体がする指導、4条1項は国や自治体が受ける指導で、向きが逆です。国と国民の関係を規律するのが、行政手続法です。国や地方公共団体は、その国家の側に属する、という考えが基にあります。市営バスの例に戻ります。市が、バスを走らせる事業の許可を受けます。これは、民間のバス会社も、同じ許可を受けます。市は、私企業と同じ立場で、許可の名あて人になっています。固有の資格には、当たりません。ですから、行政手続法が及びます。
地方自治法の関与の定義にも、固有の資格という言葉がありました。私人でも立ちうる立場で相手にされる行為は、関与に当たらない、という整理です。行政手続法の4条1項も、この線の引き方を共有しています。反対に、固有の資格にあたるのは、地方公共団体であるからこそ名あて人になる処分です。前に見た是正の要求、つまり、国のほうが、自治体の事務の処理が法令に違反しているなどとして、直す措置を求めるものは、自治体だからこそ受けるものでした。私人がその立場に立つことはありません。決め手は、一般の私人でも立てる立場かどうか、の一点です。具体的に当たるかどうかは、個別の事案で、この一点から判断します。
4条2項から4項——要旨だけ
図:4条2項〜4項の要旨
- 2項=法律で直接・特別の設立行為で設立された法人(特殊法人など)と、政令で定める認可法人に対する監督処分で、その法人を監督する法律の特別の規定に基づくものは、第二章と第三章の規定が外れる〔解散命令・設立認可の取消し・役員解任命令の処分は除く〕
- 3項=行政事務を行わせるために指定され、職員が公務従事職員とみなされる指定法人に対する監督処分も同様〔指定取消し・役員解任命令等は除く〕
- 4項=命令等を定める行為の除外7類型〔組織・予算決算会計・国と自治体の関係など〕
4条の2項から4項は、要旨だけ押さえます。2項は、特殊法人や認可法人などです。これらの法人を監督する法律に、特別の規定があって、それに基づく監督の処分は、申請に対する処分と不利益処分の規定が外れます。ただし、解散命令や設立の認可の取消し、役員の解任を命じる処分は除かれますので、これらは外れません。理由は、これらの法人が、国の事務を担う、国に近い存在だからです。特殊法人は、前に見たとおり、特別の法律で国が主導してつくる法人でした。その業務への監督は、国の内部の関係に近いので、手続を持ち込みません。ただ、法人を解散させる、役員を辞めさせる、のように、法人そのものや人の地位を奪う重い処分には、行政手続法の手続を残しました。3項は、試験や検査などの事務を行わせるために指定され、その職員が公務に従事する職員とみなされる、指定法人への監督処分です。同じ形で外れますが、指定の取消しや役員の解任を命じる処分などは、外れません。4項は、命令等を定める行為の除外で、国の組織や、予算、決算、会計に関するもの、国と地方公共団体の関係に関するものなど、7つの類型です。短答で注意するのは、外れる範囲が広いほうに目が行きがちなところです。例外として、外れないものがある。この構造を、条文で確認できれば足ります。
個別の法律による除外
図:除外は2つの出どころ
- 行手法自身=3条・4条
- 個別の法律=1条2項の特別の定め
- 手順②では両方を探す
- 3群を見て終わりにしない
もう一つ、思い出してください。適用除外の規定は、行政手続法自身だけにあるわけではありません。前回、1条2項で見たとおり、個別の法律が、特別の定めとして置くこともあります。手順の2つ目は、両方を探すことでした。3条と4条で除外がなかったからといって、そこで探すのをやめないでください。個別の法律に、除外が書かれていないかを、もう一度確かめます。そして、除外が見つかったら、3つ目の手順です。個別の法律に、独自の手続がないかを確かめます。
今日の地図(保存版)
図:今日の地図
- 3群=①特殊性〔3条1項・2項〕②地方自治〔3条3項〕③国・自治体等が固有の資格で相手〔4条〕
- 3条3項=処分・届出は根拠が条例・規則のものだけ
- 行政指導・命令等は根拠を問わず全部
- 46条=努力義務→行政手続条例、適用条文を先に決める
- 4条1項=固有の資格だけ
冒頭の問いに戻ります。市役所の処分だから、行政手続法は関係ない。この覚え方は誤りでした。線は、主体ではなく、処分の根拠がどこにあるかに引かれています。持ち帰るのは5点です。1つ目。適用除外は、理由で3群に分けます。行政分野の特殊性、地方自治の尊重、相手方が国や地方公共団体で立場が違うこと。2つ目。3条3項は、処分と届出が、根拠が条例か規則のものだけ外れ、行政指導と命令等を定める行為が、根拠を問わず全部外れます。3つ目。地方公共団体の処分でも、根拠が法律なら、行政手続法が及びます。委任条例が基準を定めていても同じです。4つ目。46条は努力義務で、現実には行政手続条例が受け皿です。答案では、行政手続法か行政手続条例かを、最初に決めます。5つ目。4条1項は、固有の資格で名あて人になる場合だけ外れます。私人と同じ立場なら、行政手続法が及びます。
参照条文
- 行政手続法 3条1項(柱書・7号・8号)
- 行政手続法 3条1項(9号・11号・13号/他の号は性質分けの板のとおり)
- 行政手続法 3条3項
- 行政手続法 46条
- 行政手続法 4条1項