行政法ゼロから行政法#109

処分基準と聴聞・弁明の振り分け

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第8章 行政手続 #109/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。

同じ違反なのに、取消しは聴聞・停止は弁明

今日の問い(同じ違反でも/許可の取消し→役所に出向いて口頭で言い分を述べられる=聴聞/30日の営業停止→紙一枚で言い分を出すだけ=弁明/この差は何で決まるのか/今日の道筋=①不利益処分の手続の骨組み②処分基準③13条1項の振り分け④13条2項の省ける場合⑤取り違えと当てはめ) 図:今日の問い

  • 同じ違反でも
  • 許可の取消し→役所に出向いて口頭で言い分を述べられる=聴聞
  • 30日の営業停止→紙一枚で言い分を出すだけ=弁明
  • この差は何で決まるのか
  • 今日の道筋=①不利益処分の手続の骨組み②処分基準③13条1項の振り分け④13条2項の省ける場合⑤取り違えと当てはめ

同じ法律に違反した事業者が2人います。1人は許可を取り消されます。もう1人は、30日の営業停止を命じられます。取り消される人は、役所に出向いて、口頭で言い分を述べることができます。営業停止の人は、紙1枚で言い分を出すだけです。どちらも重い処分なのに、なぜ手続に差がつくのでしょうか。営業停止も重い処分ですから、差に納得できないのは自然です。差は、奪われるものの大きさで決まります。前回は、申請を受けた側、つまり申請に対する処分の手続を見ました。今回は、行政庁が先に動いて相手の権利を削る、不利益処分の側に移ります。今日は、3つを見ます。1つ目、どんな基準で処分するか。つまり処分基準です。2つ目、処分の前に、言い分をどの方式で聞くか。聴聞か、弁明の機会の付与か。3つ目、そもそも聞かなくてよい場合です。以前の回で、処分基準を定める条文を読んだとき、努力義務になっている理由は後の回で見ます、とお約束しました。その回収も、今日です。

不利益処分の手続の骨組みと、意見陳述がある理由

骨組み(流れ=予定の処分の通知→相手方の反論→行政庁の決定/どの不利益処分にも共通の3つ=処分基準〔12条・努力義務〕/通知〔聴聞15条・弁明30条・義務〕/理由の提示〔14条・義務〕/意見陳述の手続は2種類=聴聞〔厚い〕・弁明の機会の付与〔略式〕/申請に対する処分には意見陳述の手続なし=審査基準を見て申請書に書ける/不利益処分は行政庁が先に動く=不意打ちになる) 図:骨組み

  • 流れ=予定の処分の通知→相手方の反論→行政庁の決定
  • どの不利益処分にも共通の3つ=処分基準〔12条・努力義務〕
  • 通知〔聴聞15条・弁明30条・義務〕
  • 理由の提示〔14条・義務〕
  • 意見陳述の手続は2種類=聴聞〔厚い〕・弁明の機会の付与〔略式〕
  • 申請に対する処分には意見陳述の手続なし=審査基準を見て申請書に書ける
  • 不利益処分は行政庁が先に動く=不意打ちになる

まず骨組みです。不利益処分の定義は、2条4号でした。行政庁が、法令に基づいて、特定の人を名あて人として、直接に義務を課し、またはその権利を制限する処分です。申請を拒否する処分は、ここに入らないと、以前に見ました。手続の流れは3段です。行政庁が、こういう処分をする予定だと、相手に知らせます。相手が、反論します。そのうえで、行政庁が決めます。どの不利益処分にも共通して、3つの仕組みが関わります。1つ目は、処分の基準です。12条で、努力義務です。2つ目は、予定する処分の通知です。聴聞なら15条、弁明の機会の付与なら30条で、書面で通知する義務があります。3つ目は、処分と同時に理由を示すことで、14条の義務です。理由の提示は、後の回で扱います。反論を聞く手続には、2種類あります。厚い手続の聴聞と、略式の弁明の機会の付与です。この振り分けが、今日の中心です。ここで、前回までに見た点を思い出します。審査基準を定めることと、公にすることは、義務でしょうか?

定めるのは義務で、公にするのも義務です。ただ、公にするのは、行政上特別の支障があるときは除かれます。では、申請側には、意見陳述の手続が無いのはなぜか。以前の回でも見ました。不利益処分との分かれ目なので、確かめ直します。申請する人は、審査基準を見て、許可に必要なことを調べられます。そして、申請書に、自分の主張を書いて出せます。もう言い分を出す場が、手続の最初にあるわけです。不利益処分は、行政庁のほうから先に動きます。基準を満たしていると考えている相手が、何も知らないまま黙っていれば、いきなり処分を受けることになります。不意打ちです。それを防ぐために、処分の前に、言い分を述べる機会を置いています。同じ理由で、申請を拒否されたときは、弁明の機会は要りません。申請を拒否する処分は不利益処分でなく、申請者は、すでに申請書で言い分を出しているからです。

処分基準——定義と、審査基準との対比

2軸の表(縦=申請側〔審査基準・2条8号ロ・5条〕/不利益側〔処分基準・2条8号ハ・12条〕×横=定める/公にする/審査基準=定める義務・公にする義務〔行政上特別の支障があるときを除く〕/処分基準=定め公にしておく努力義務〔12条1項〕・定めるなら具体的に=義務〔12条2項〕/注意=処分基準は不利益処分の基準だけ) 図:2軸の表

  • 縦=申請側〔審査基準・2条8号ロ・5条〕
  • 不利益側〔処分基準・2条8号ハ・12条〕×横=定める
  • 公にする
  • 審査基準=定める義務・公にする義務〔行政上特別の支障があるときを除く〕
  • 処分基準=定め公にしておく努力義務〔12条1項〕・定めるなら具体的に=義務〔12条2項〕
  • 注意=処分基準は不利益処分の基準だけ

処分基準の定義を、2条8号ハで読みます。

条文行政手続法2条8号ハ

行政手続法 第二条(定義)(8号ハ)   ハ 処分基準(不利益処分をするかどうか又はどのような不利益処分とするかについてその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準をいう。以下同じ。)

不利益処分をするかどうか、するならどんな処分にするか。その判断の物差しです。申請に対する処分の物差しが審査基準で、2条8号ロでした。注意してください。処分基準は、不利益処分の基準だけを指します。審査基準と混ぜないでください。以前の回で、処分基準は行政手続法での呼び名で、裁量があれば、中身は多くは裁量基準、と見ました。呼び名の分け方と、中身の分け方は、別の軸です。12条を読みます。以前の回で全文を読んでいます。今回は、手続の側から読み直します。

条文行政手続法12条

行政手続法 第十二条(処分の基準)   行政庁は、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない。 2 行政庁は、処分基準を定めるに当たっては、不利益処分の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。

1項は、定めて公にしておくよう努める、つまり努力義務です。2項は、定めるなら、できる限り具体的に、という義務です。表にすると、審査基準は、定めることも公にすることも義務です。以前の回で、一言だけ触れました。今日は、例で確かめます。理由は2つあります。1つ目は、不利益処分は、違反の中身によって、判断がまるで違うからです。たとえば、同じ無届けでも、うっかりの1回と、悪質な繰り返しでは、処分は同じにできません。事前に画一的な基準を作ると、かえって不合理な結果になる場合があります。2つ目は、基準を細かく公にし過ぎると、基準ぎりぎりの違反は処分されない、と受け取られるおそれがあることです。基準が、違反の手引きになってしまいます。たとえば、行政庁が、無届けの営業は3回目から停止、と細かく公にしたとします。すると、2回までなら処分されない、と読む事業者が出てきます。以上の2つで、努力義務にとどめています。ただし、定めるなら具体的に、と2項が縛ります。短答では、処分基準の設定と公表は義務か、と問われます。答えは、努力義務です。

最高裁も、ぱちんこ店の営業停止の基準が問題になった事件で、処分基準の趣旨に触れました。前に処分を受けた者には、次の処分を重くする、という基準でした。判断の過程を公正にして、透明にすること。そして、相手方の権利利益を守ること。これが、処分基準が定められる目的です。同じ判決は、公にした処分基準と違う扱いをするには、特段の事情が要る、とも述べました。行政が自分の基準に縛られる、自己拘束です。この判決は、以前の回で読んでいます。

13条1項——聴聞になる4つ、あとは弁明

13条1項の振り分け(flow=不利益処分をしようとする→13条2項の例外に当たる?〔当たる→意見陳述なし〕→1号イ〜ニに当たる?〔当たる→聴聞/当たらない→弁明の機会の付与〕/聴聞=イ許認可等の取消し/ロ資格・地位の直接のはく奪/ハ役員の解任・業務従事者の解任・会員の除名を命ずる/ニ行政庁が相当と認めるとき/基本形=許可の取消しは聴聞・営業停止は弁明) 図:13条1項の振り分け

  • flow=不利益処分をしようとする→13条2項の例外に当たる?〔当たる→意見陳述なし〕→1号イ〜ニに当たる?〔当たる→聴聞/当たらない→弁明の機会の付与〕
  • 聴聞=イ許認可等の取消し
  • ロ資格・地位の直接のはく奪
  • ハ役員の解任・業務従事者の解任・会員の除名を命ずる
  • ニ行政庁が相当と認めるとき
  • 基本形=許可の取消しは聴聞・営業停止は弁明

13条1項を全文で読みます。

条文行政手続法13条1項

行政手続法 第十三条(不利益処分をしようとする場合の手続)(1項 柱書・1号イ)   行政庁は、不利益処分をしようとする場合には、次の各号の区分に従い、この章の定めるところにより、当該不利益処分の名あて人となるべき者について、当該各号に定める意見陳述のための手続を執らなければならない。  一 次のいずれかに該当するとき 聴聞   イ 許認可等を取り消す不利益処分をしようとするとき。

1号のロとハです。

条文行政手続法13条1項

行政手続法 第十三条(不利益処分をしようとする場合の手続)(1項1号ロ・ハ)   ロ イに規定するもののほか、名あて人の資格又は地位を直接にはく奪する不利益処分をしようとするとき。   ハ 名あて人が法人である場合におけるその役員の解任を命ずる不利益処分、名あて人の業務に従事する者の解任を命ずる不利益処分又は名あて人の会員である者の除名を命ずる不利益処分をしようとするとき。

1号のニと、2号です。

条文行政手続法13条1項

行政手続法 第十三条(不利益処分をしようとする場合の手続)(1項1号ニ・2号)   ニ イからハまでに掲げる場合以外の場合であって行政庁が相当と認めるとき。  二 前号イからニまでのいずれにも該当しないとき 弁明の機会の付与

読み方は単純です。1号のイからニに当たれば聴聞。当たらなければ、2号で弁明の機会の付与です。基本形は、許可の取消しは聴聞、営業停止は弁明です。冒頭の問いに答えます。取消しは、許可という地位そのものを失わせます。営業停止は、地位は残ります。一定期間、使えなくなるだけです。地位そのものを失わせる処分ほど、不利益が大きいので、口頭で争える厚い手続を置いています。イは、許認可等の取消しです。ロは、取消しではないけれど、資格や地位を直接にはく奪するもの、という受け皿です。効力の停止は、はく奪ではないので、ロには入りません。ハは、法人の役員を外せ、従業員を外せ、会員を除名せよ、と命じる処分です。人の立場を奪う処分だからです。ニは、行政庁が相当と認めるときです。イからハに当たらない処分でも、行政庁の判断で聴聞にできます。これは格上げだけで、イからハに当たるものを弁明に下げることは、できません。もう1点。イの取消しは、職権取消しだけではありません。以前の回で、2つを区別しました。職権取消しは、成立した時から瑕疵のある処分を、さかのぼって失わせること。撤回は、適法に出た処分を、あとの事情を理由に、将来に向かって失わせることでした。そして、この1号イの、取り消す、には、その両方が含まれる、とも見ました。冒頭の1人目も、許可のあとの違反で許可を失うので、学問上は撤回です。

許可の撤回でも、弁明では足りません。撤回も、許認可等を失わせる点で変わりません。だから、聴聞です。短答の定番の罠です。取消しでも撤回でも、許可という地位そのものを奪います。奪うものが大きいから、厚い手続になります。

13条2項——意見陳述を省ける場合

13条2項の5号(①公益上緊急=手続を執る余裕がない/②法令上必要な資格がない・失われた事実が判決書等の客観的資料で直接証明され必ずする処分=結論が動かない/③技術的基準の不充足が計測・実験等で確認され基準に従うよう命じる処分/④金銭の額の確定・納付命令・給付決定の取消し等=事後に回復できる/⑤義務の内容が著しく軽微で政令で定める処分/注意=省けるのは意見陳述の手続・14条の理由の提示は残る) 図:13条2項の5号

  • ①公益上緊急=手続を執る余裕がない
  • ②法令上必要な資格がない・失われた事実が判決書等の客観的資料で直接証明され必ずする処分=結論が動かない
  • ③技術的基準の不充足が計測・実験等で確認され基準に従うよう命じる処分
  • ④金銭の額の確定・納付命令・給付決定の取消し等=事後に回復できる
  • ⑤義務の内容が著しく軽微で政令で定める処分/注意=省けるのは意見陳述の手続・14条の理由の提示は残る

次は2項です。聞かなくてよい場合です。

条文行政手続法13条2項

行政手続法 第十三条(不利益処分をしようとする場合の手続)(2項 柱書・1号・2号) 2 次の各号のいずれかに該当するときは、前項の規定は、適用しない。  一 公益上、緊急に不利益処分をする必要があるため、前項に規定する意見陳述のための手続を執ることができないとき。  二 法令上必要とされる資格がなかったこと又は失われるに至ったことが判明した場合に必ずすることとされている不利益処分であって、その資格の不存在又は喪失の事実が裁判所の判決書又は決定書、一定の職に就いたことを証する当該任命権者の書類その他の客観的な資料により直接証明されたものをしようとするとき。

3号から5号です。

条文行政手続法13条2項

行政手続法 第十三条(不利益処分をしようとする場合の手続)(2項3号〜5号)  三 施設若しくは設備の設置、維持若しくは管理又は物の製造、販売その他の取扱いについて遵守すべき事項が法令において技術的な基準をもって明確にされている場合において、専ら当該基準が充足されていないことを理由として当該基準に従うべきことを命ずる不利益処分であってその不充足の事実が計測、実験その他客観的な認定方法によって確認されたものをしようとするとき。  四 納付すべき金銭の額を確定し、一定の額の金銭の納付を命じ、又は金銭の給付決定の取消しその他の金銭の給付を制限する不利益処分をしようとするとき。  五 当該不利益処分の性質上、それによって課される義務の内容が著しく軽微なものであるため名あて人となるべき者の意見をあらかじめ聴くことを要しないものとして政令で定める処分をしようとするとき。

5つの号は、省ける理由で整理すると覚えやすくなります。1号は、緊急で間に合わない場合です。2号と3号は、客観的に明らかな場合。意見を聞いても、結論が動かないからです。4号は金銭の問題です。処分が誤っていても、あとで争って取り消されれば、お金を返してもらうなどして元に戻せます。5号は、義務が軽微なので、わざわざ聞くまでもない場合です。2号は、必要な資格を失ったと、裁判所の判決書で直接分かり、しかも法令が、その場合は必ず処分すると決めている場合です。たとえば、免許の欠格事由になる罰金刑の確定が、判決書で証明されている場面です。資格が無いことは動かないので、言い分を聞く意味が薄いのです。3号は、法令に数値で技術的な基準があり、計測でその不足が確認され、基準に従えと命じる場合です。たとえば、排水の濃度が法令の上限を超えたと、測定で出た場面です。大切な注意があります。省けるのは、聴聞や弁明といった意見陳述の手続です。処分と同時に理由を示す、14条の義務は残ります。

個別法との関係——13条は原則

個別法と13条(13条=原則の振り分け/個別法が聴聞を求める例・意見の聴取など別の名前の手続を置く例/中身と行手法との関係は次回) 図:個別法と13条

  • 13条=原則の振り分け
  • 個別法が聴聞を求める例・意見の聴取など別の名前の手続を置く例
  • 中身と行手法との関係は次回

13条は、あくまで原則の振り分けです。行政手続法は一般法で、1条2項により、他の法律に特別の定めがあれば、そちらによります。以前の回で見たとおりです。だから、個別の法律が、13条とは別の振り分けを置くことがあります。弁明で足りる処分に、聴聞を求める例や、別の名前の手続を置く例です。たとえば、道路交通法の、免許の取消しの前の意見の聴取です。以前の回で見た、言い分を聴く手続でした。

取り違えやすい点——4つの短答

取り違えやすい4点(①処分基準の設定・公表=努力義務〔12条1項〕②営業停止に聴聞は必要か=原則×弁明〔ただしニで聴聞にできる〕③申請拒否に弁明の機会は要るか=×〔不利益処分でない〕④許可の撤回は取消しに当たらず弁明でよいか=×聴聞〔イは撤回を含む〕/混ぜない=審査基準と処分基準) 図:取り違えやすい4点

  • ①処分基準の設定・公表=努力義務〔12条1項〕②営業停止に聴聞は必要か=原則×弁明〔ただしニで聴聞にできる〕③申請拒否に弁明の機会は要るか=×〔不利益処分でない〕④許可の撤回は取消しに当たらず弁明でよいか=×聴聞〔イは撤回を含む〕
  • 混ぜない=審査基準と処分基準

問いを一つ置きます。30日の営業停止を命じたい。聴聞は必要でしょうか。理由とともに答えてください。決め手は、効力の停止は、地位を失わせるものではない、という点です。ただし、ニで、行政庁が相当と認めれば、聴聞にできます。弁明に決まるのは、行政庁が格上げしなかったときです。残りの短答も確認します。処分基準を定めて公にするのは、義務ではなく、努力義務。申請を拒否するのに、弁明の機会は要りません。不利益処分ではないからです。許可の撤回は、弁明ではなく、聴聞です。

当てはめ演習——聴聞・弁明・省略に仕分ける

当てはめ演習の設例(中古車の買取業の許可を定める架空の個別法/A=行政庁・B=事業者〔法人〕・C=Bの役員/①Bの許可の取消し②Bに30日の営業停止を命ずる③BにCの役員からの解任を命ずる④罰金刑の確定で必ず取り消す〔判決書で証明〕場合の許可の取消し⑤Bに手数料の納付を命ずる) 図:当てはめ演習の設例

  • 中古車の買取業の許可を定める架空の個別法
  • A=行政庁・B=事業者〔法人〕・C=Bの役員
  • ①Bの許可の取消し②Bに30日の営業停止を命ずる③BにCの役員からの解任を命ずる④罰金刑の確定で必ず取り消す〔判決書で証明〕場合の許可の取消し⑤Bに手数料の納付を命ずる

設例で仕分けます。中古車の買取業の許可を定めた、架空の個別の法律があるとします。行政庁をA、許可を受けた法人の事業者をB、Bの役員をCとします。5問です。聴聞、弁明、省略のどれかと、決め手を言ってください。1問目。AがBの許可を取り消します。2問目。AがBに、30日の営業停止を命じます。3問目。AがBに、役員Cを解任するよう命じます。4問目。この法律は、罰金刑が確定した事業者の許可を、必ず取り消すと定めています。Bの罰金刑の確定が、判決書で証明されています。Aは、許可を取り消します。5問目。AがBに、手数料の納付を命じます。

答えと決め手(①聴聞=1号イ許認可等の取消し②弁明=2号・取消しでもはく奪でもない〔ニで格上げ可〕③聴聞=1号ハ役員の解任を命ずる④省略可=2項2号〔判決書で直接証明+必ずする処分〕・14条の理由は残る⑤省略可=2項4号金銭の納付命令) 図:答えと決め手

5問とも、決め手を言えました。答えは、1枚に並べておきます。

今日の地図(保存版)

今日の地図(不利益処分=行政庁が先に動く→不意打ち防止の意見陳述/処分基準〔2条8号ハ・12条〕=定め公にする努力義務・定めるなら具体的に〔義務〕・審査基準と混ぜない/努力義務の理由=個別判断・違反の助長/13条1項=イ取消し〔撤回含む〕・ロはく奪・ハ役員解任等・ニ相当と認めるとき=聴聞、他は弁明/13条2項=緊急・客観的に明らか・金銭・軽微=省ける・14条の理由は残る) 図:今日の地図

  • 不利益処分=行政庁が先に動く→不意打ち防止の意見陳述
  • 処分基準〔2条8号ハ・12条〕=定め公にする努力義務・定めるなら具体的に〔義務〕・審査基準と混ぜない
  • 努力義務の理由=個別判断・違反の助長
  • 13条1項=イ取消し〔撤回含む〕・ロはく奪・ハ役員解任等・ニ相当と認めるとき=聴聞、他は弁明
  • 13条2項=緊急・客観的に明らか・金銭・軽微=省ける・14条の理由は残る

冒頭の問いに戻ります。許可の取消しは聴聞、営業停止は弁明。差は、奪うものの大きさです。地位そのものを失わせる処分ほど、厚い手続になります。持ち帰るのは3点です。1つ目。不利益処分は、行政庁が先に動くので、不意打ちを防ぐ意見陳述の手続があります。申請を拒否する場合には、ありません。2つ目。処分基準は、定めて公にするのは努力義務、定めるなら具体的に、が義務です。努力義務の理由は、個別判断が必要なことと、違反の助長を避けることです。最後に3つ目。13条1項は、取消し、はく奪、役員の解任等、行政庁が相当と認めるとき、が聴聞。それ以外は弁明です。2項の各号に当たれば省けますが、理由の提示は残ります。不利益処分の手続を論じる出発点として、論文でも使います。

参照条文

  • 行政手続法2条8号ハ
  • 行政手続法12条
  • 行政手続法13条1項
  • 行政手続法13条2項

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