行政法ゼロから行政法#110

聴聞の流れと弁明の機会の付与

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第8章 行政手続 #110/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。

相手の手札が見えないまま、何を言えばいいのか

今日の問い(許可を取り消される前に言い分を述べる場がある/でも相手がどんな証拠を持っているか分からなければ何を言えばよいか/①聴聞は何段階で進むか②弁明は聴聞から何が抜けるか③個別法が手続を置くときは何が残るか/前回=13条1項の振り分け〔取消し等=聴聞・それ以外=弁明〕) 図:今日の問い

  • 許可を取り消される前に言い分を述べる場がある
  • でも相手がどんな証拠を持っているか分からなければ何を言えばよいか
  • ①聴聞は何段階で進むか②弁明は聴聞から何が抜けるか③個別法が手続を置くときは何が残るか
  • 前回=13条1項の振り分け〔取消し等=聴聞・それ以外=弁明〕

民泊の仲介業者が、登録を取り消されそうになっています。役所には、取り消す理由として、違反の証拠がそろっています。ところが、業者はその証拠を見たことがありません。この状態で、役所に出向いて言い分を述べなさいと言われたら、何を言えばよいでしょうか。何を疑われているのか分からないまま話しても、的外れになってしまいそうです。言い分を聞く場があるだけでは足りません。相手の手札が見えて初めて、反論の焦点が定まります。聴聞は、この考え方で作られています。前回は、13条1項の振り分けを見ました。許可の取消しなど、地位を奪う処分は聴聞、それ以外は弁明の機会の付与でした。今回は、振り分けたあとの中身です。今日は3つを見ます。1つ目、聴聞はどんな順序で進むのか。2つ目、弁明の機会の付与は、聴聞から何が抜けているのか。3つ目、個別の法律が独自の手続を置いたとき、行政手続法のどこが残るのか。中心は、聴聞と弁明を並べた比較表です。

聴聞の地図——7つのステップ

聴聞の時系列(①通知〔15条〕→②当事者・代理人・参加人〔16・17条〕→③文書閲覧〔18条〕→④主宰者〔19条〕→⑤期日の審理〔20〜23条〕→⑥調書と報告書〔24条〕→⑦十分に参酌して決定〔26条〕/軸=反論するには相手の手札が見えること) 図:聴聞の時系列

  • ①通知〔15条〕→②当事者・代理人・参加人〔16・17条〕→③文書閲覧〔18条〕→④主宰者〔19条〕→⑤期日の審理〔20〜23条〕→⑥調書と報告書〔24条〕→⑦十分に参酌して決定〔26条〕
  • 軸=反論するには相手の手札が見えること

まず全体の地図です。聴聞は、次の7つのステップで進みます。1つ目、通知。15条です。2つ目、当事者と参加人。16条と17条です。3つ目、文書の閲覧。18条です。4つ目、主宰者。19条です。5つ目、期日の審理。20条から23条です。6つ目、調書と報告書。24条です。最後の7つ目、十分に参酌して決定する。26条です。順番に意味があるので、暗記ではありません。通知で、何をされるのかを知ります。閲覧で、相手の証拠を見ます。期日で、口頭で反論します。調書と報告書で、その反論が記録に残り、主宰者が評価します。最後に、行政庁がその記録を踏まえて決めます。全部、反論を実のあるものにするための並びです。今日は、民泊の仲介業の登録を定めた、架空の個別の法律で追います。行政庁をA、登録を受けた仲介業者をB、近隣に住む住民をC、聴聞を取り仕切る職員をDとします。AがBの登録を取り消そうとしている場面です。

ステップ1 通知——何を理由に何をされるのか

15条の通知(書面で・相当な期間をおいて/1項の4事項=①予定される不利益処分の内容と根拠条項②原因となる事実③期日と場所④事務を所掌する組織の名称と所在地/2項の教示=期日に出頭して意見・証拠/出頭に代えて陳述書・証拠書類/終結までの資料の閲覧/3・4項=所在不明のときは公示) 図:15条の通知

  • 書面で・相当な期間をおいて
  • 1項の4事項=①予定される不利益処分の内容と根拠条項②原因となる事実③期日と場所④事務を所掌する組織の名称と所在地
  • 2項の教示=期日に出頭して意見・証拠
  • 出頭に代えて陳述書・証拠書類
  • 終結までの資料の閲覧
  • 3・4項=所在不明のときは公示

最初は15条の通知です。1項と2項を読みます。

条文行政手続法15条1項・2項

行政手続法 第十五条(聴聞の通知の方式)(1項・2項)   行政庁は、聴聞を行うに当たっては、聴聞を行うべき期日までに相当な期間をおいて、不利益処分の名宛人となるべき者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。  一 予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項  二 不利益処分の原因となる事実  三 聴聞の期日及び場所  四 聴聞に関する事務を所掌する組織の名称及び所在地 2 前項の書面においては、次に掲げる事項を教示しなければならない。  一 聴聞の期日に出頭して意見を述べ、及び証拠書類又は証拠物(以下「証拠書類等」という。)を提出し、又は聴聞の期日への出頭に代えて陳述書及び証拠書類等を提出することができること。  二 聴聞が終結する時までの間、当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができること。

通知は書面で、相当な期間をおいて行います。載せる事項は4つです。処分の内容と根拠条項、原因となる事実、期日と場所、事務を担当する組織です。さらに2項で、出頭して意見や証拠を出せること、出頭の代わりに書面を出せること、そして資料の閲覧を求められることを、教えなければなりません。原因となる事実まで書かせるのは、なぜですか。Bが防御の準備をするためです。何を理由に、どの条文で、何をされようとしているのか。ここが通知に書かれていれば、Bは何を争えばよいかが分かります。逆に言うと、通知に書かれた原因事実と根拠条項が、この聴聞の対象を決めます。この点は、あとで使います。Bの所在が分からないときの定めが、3項と4項です。

条文行政手続法15条3項・4項

行政手続法 第十五条(聴聞の通知の方式)(3項・4項) 3 行政庁は、不利益処分の名宛人となるべき者の所在が判明しない場合においては、第一項の規定による通知を、公示の方法によって行うことができる。 4 前項の公示の方法による通知は、不利益処分の名宛人となるべき者の氏名、第一項第三号及び第四号に掲げる事項並びに当該行政庁が同項各号に掲げる事項を記載した書面をいつでもその者に交付する旨(以下この項において「公示事項」という。)を総務省令で定める方法により不特定多数の者が閲覧することができる状態に置くとともに、公示事項が記載された書面を当該行政庁の事務所の掲示場に掲示し、又は公示事項を当該事務所に設置した電子計算機の映像面に表示したものの閲覧をすることができる状態に置く措置をとることによって行うものとする。この場合においては、当該措置を開始した日から二週間を経過したときに、当該通知がその者に到達したものとみなす。

所在不明のときは、公示で通知できます。ウェブ上などで、誰でも見られる状態にして、あわせて役所の掲示場にも掲示します。この措置を始めてから2週間たつと、通知が届いたものとみなされます。公示の中身は、氏名、期日と場所、そして処分の内容などを書いた書面は、いつでも渡しますという旨です。細かな中身まで公示に載せるわけではない、と押さえておけば足ります。

ステップ2 当事者・代理人・参加人

当事者と参加人(当事者=15条1項の通知を受けた者〔到達とみなされる者を含む〕/代理人=聴聞に関する一切の行為ができる・資格は書面で証明〔16条〕/参加人=利害関係を有する当事者以外の者・参加を求めるのも許可するのも主宰者〔17条1項〕・参加人も代理人を選任できる/設例=B当事者・C近隣住民が参加人の候補・D主宰者) 図:当事者と参加人

  • 当事者=15条1項の通知を受けた者〔到達とみなされる者を含む〕
  • 代理人=聴聞に関する一切の行為ができる・資格は書面で証明〔16条〕
  • 参加人=利害関係を有する当事者以外の者・参加を求めるのも許可するのも主宰者〔17条1項〕・参加人も代理人を選任できる
  • 設例=B当事者・C近隣住民が参加人の候補・D主宰者

通知を受けた者が、当事者です。通知が届いたとみなされる人も含みます。当事者は代理人を選べます。代理人は、聴聞に関する一切の行為ができ、資格は書面で証明します。16条です。参加人は、17条の制度です。1項を読みます。

条文行政手続法17条1項

行政手続法 第十七条(参加人)(1項)   第十九条の規定により聴聞を主宰する者(以下「主宰者」という。)は、必要があると認めるときは、当事者以外の者であって当該不利益処分の根拠となる法令に照らし当該不利益処分につき利害関係を有するものと認められる者(同条第二項第六号において「関係人」という。)に対し、当該聴聞に関する手続に参加することを求め、又は当該聴聞に関する手続に参加することを許可することができる。

設例で考えます。Bの民泊が違法だとして、騒音に悩む近隣住民のCがいたとします。Cは当事者ではありませんが、この処分に利害関係があります。こういう人を、主宰者が参加させることができます。決めるのは主宰者です。期日の審理を取り仕切るのが主宰者なので、誰を加えるかも、主宰者が決めます。短答で、行政庁が許可すると書かれていたら誤りです。参加人も代理人を選任できます。

ステップ3 文書閲覧——聴聞を中身のあるものにする核

18条の文書閲覧(求められる者=当事者・処分で自己の利益を害される参加人〔参加人は全員ではない〕/時期=通知があった時から聴聞が終結する時まで/対象=調査の結果に係る調書その他原因となる事実を証する資料/拒める場合=第三者の利益を害するおそれ・その他正当な理由があるときだけ/2項=審理の進行で必要になった資料を更に求められる/3項=日時・場所は行政庁が指定) 図:18条の文書閲覧

  • 求められる者=当事者・処分で自己の利益を害される参加人〔参加人は全員ではない〕
  • 時期=通知があった時から聴聞が終結する時まで
  • 対象=調査の結果に係る調書その他原因となる事実を証する資料
  • 拒める場合=第三者の利益を害するおそれ・その他正当な理由があるときだけ
  • 2項=審理の進行で必要になった資料を更に求められる
  • 3項=日時・場所は行政庁が指定

ここが聴聞の核心です。18条を読みます。

条文行政手続法18条

行政手続法 第十八条(文書等の閲覧)   当事者及び当該不利益処分がされた場合に自己の利益を害されることとなる参加人(以下この条及び第二十四条第三項において「当事者等」という。)は、聴聞の通知があった時から聴聞が終結する時までの間、行政庁に対し、当該事案についてした調査の結果に係る調書その他の当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができる。この場合において、行政庁は、第三者の利益を害するおそれがあるときその他正当な理由があるときでなければ、その閲覧を拒むことができない。 2 前項の規定は、当事者等が聴聞の期日における審理の進行に応じて必要となった資料の閲覧を更に求めることを妨げない。 3 行政庁は、前二項の閲覧について日時及び場所を指定することができる。

閲覧を求められるのは、当事者と、処分がされると自分の利益を害される参加人です。参加人は全員ではありません。対象は、行政庁が調査した結果の調書など、原因となる事実を証明する資料です。行政庁は、第三者の利益を害するおそれがあるなど正当な理由がなければ、断れません。原則は応じる、が出発点です。Aが、どんな調査で、どんな証拠をつかんだのか。それを見て初めて、Bは、事実が違うのか、事実は認めるが処分が重すぎるのかを、組み立てられます。審理が進んで、新しく必要になった資料も、2項で重ねて求められます。日時や場所の指定は、3項で、行政庁ができます。たとえば、Aの調書に、苦情を寄せたCの名前や連絡先が書かれていれば、その部分は見せないことができます。Cの利益を害するおそれがあるからです。それでも、Bの違反を示す記録そのものは、断れません。ここで、先の問いを置いておきます。弁明の機会の付与でも、資料の閲覧は求められるでしょうか。答えは、弁明の節で出します。

ステップ4 主宰者——誰が取り仕切るのか

19条の主宰者(1項=行政庁が指名する職員その他政令で定める者/2項の除斥=①当事者・参加人②その配偶者・四親等内の親族・同居の親族③代理人・補佐人④①〜③であった者⑤後見人等⑥参加人以外の関係人/外されるのは当事者側の人間関係/処分の調査・担当に関わった職員を外す明文は無い〔審理員との違いは審理員の回で扱う〕) 図:19条の主宰者

  • 1項=行政庁が指名する職員その他政令で定める者
  • 2項の除斥=①当事者・参加人②その配偶者・四親等内の親族・同居の親族③代理人・補佐人④①〜③であった者⑤後見人等⑥参加人以外の関係人
  • 外されるのは当事者側の人間関係
  • 処分の調査・担当に関わった職員を外す明文は無い〔審理員との違いは審理員の回で扱う〕

次は主宰者です。19条です。

条文行政手続法19条

行政手続法 第十九条(聴聞の主宰)   聴聞は、行政庁が指名する職員その他政令で定める者が主宰する。 2 次の各号のいずれかに該当する者は、聴聞を主宰することができない。  一 当該聴聞の当事者又は参加人  二 前号に規定する者の配偶者、四親等内の親族又は同居の親族  三 第一号に規定する者の代理人又は次条第三項に規定する補佐人  四 前三号に規定する者であった者  五 第一号に規定する者の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人  六 参加人以外の関係人

主宰者は、行政庁が指名する職員などです。2項は、主宰できない人の定めです。当事者や参加人本人、その配偶者や親族、代理人、後見人などです。つまり、当事者側の人間関係で、公正さを疑われる人を外しています。処分の調査や担当に関わった職員を外す明文は、19条にはありません。これが、短答でよく問われる点です。主宰者は処分の担当職員を必ず外すか、という問いの答えは、いいえです。設例で言えば、Bの違反を調べたAの職員が、そのままDに指名されても、19条には反しません。外れるのは、たとえば、Aの職員のなかにBの配偶者がいた場合の、その職員です。対比として、審査請求で審理を担当する審理員は、審査請求の対象になった処分に関与した人を外す定めがあります。同じように中立の人を置く仕組みでも、聴聞は、そこまで徹底していません。審理員の中身は、第10章で見ます。

ステップ5 期日の審理——口頭で反論し、質問する

20条の期日の審理(1項=冒頭に行政庁の職員が予定される処分の内容・根拠条項・原因事実を説明/2項=意見・証拠提出・主宰者の許可を得て行政庁の職員に質問/3項=補佐人・許可制/4項=主宰者からも質問・促し・説明要求/5項=一部不出頭でも審理できる/6項=原則非公開〔行政庁が相当と認めれば公開〕/21条=出頭に代え陳述書・22条=続行・23条=正当な理由なく不出頭なら終結できる) 図:20条の期日の審理

  • 1項=冒頭に行政庁の職員が予定される処分の内容・根拠条項・原因事実を説明
  • 2項=意見・証拠提出・主宰者の許可を得て行政庁の職員に質問
  • 3項=補佐人・許可制
  • 4項=主宰者からも質問・促し・説明要求
  • 5項=一部不出頭でも審理できる
  • 6項=原則非公開〔行政庁が相当と認めれば公開〕
  • 21条=出頭に代え陳述書・22条=続行・23条=正当な理由なく不出頭なら終結できる

期日の審理です。20条の前半を読みます。

条文行政手続法20条1項〜3項

行政手続法 第二十条(聴聞の期日における審理の方式)(1項〜3項)   主宰者は、最初の聴聞の期日の冒頭において、行政庁の職員に、予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項並びにその原因となる事実を聴聞の期日に出頭した者に対し説明させなければならない。 2 当事者又は参加人は、聴聞の期日に出頭して、意見を述べ、及び証拠書類等を提出し、並びに主宰者の許可を得て行政庁の職員に対し質問を発することができる。 3 前項の場合において、当事者又は参加人は、主宰者の許可を得て、補佐人とともに出頭することができる。

後半です。

条文行政手続法20条4項〜6項

行政手続法 第二十条(聴聞の期日における審理の方式)(4項〜6項) 4 主宰者は、聴聞の期日において必要があると認めるときは、当事者若しくは参加人に対し質問を発し、意見の陳述若しくは証拠書類等の提出を促し、又は行政庁の職員に対し説明を求めることができる。 5 主宰者は、当事者又は参加人の一部が出頭しないときであっても、聴聞の期日における審理を行うことができる。 6 聴聞の期日における審理は、行政庁が公開することを相当と認めるときを除き、公開しない。

流れを設例で追います。最初の期日の冒頭で、Aの職員が、Bの登録を取り消す予定であること、根拠の条項、そして原因となる事実を説明します。次に、Bが意見を述べ、証拠を出します。Bは、主宰者のDの許可を得て、Aの職員に質問もできます。Aが持っている調査の穴を、その場で突けるわけです。Dも、必要があれば、BにもAの職員にも質問できます。専門の知識でBを助ける補佐人を連れて行くことも、Dの許可があればできます。短答の落とし穴が、6項です。聴聞の期日の審理は、公開が原則か、非公開が原則か。非公開が原則です。審理では、当事者の名誉や、営業上の秘密に触れる事実が出てくるからです。行政庁が公開を相当と認めたときだけ、公開します。公開が原則と書かれていたら、誤りです。周辺の3条も、軽く押さえます。21条は、出頭の代わりに、期日までに陳述書と証拠書類を出せる、という定めです。22条は、まだ続ける必要があるとき、主宰者が続きの期日を決められる、という定めです。23条は、正当な理由なく出頭せず、陳述書も出さない当事者がいる場合、主宰者が、改めて意見を述べる機会を与えずに、聴聞を終えられる、という定めです。出ないで引き延ばすことは、できません。

ステップ6・7 調書と報告書、そして十分に参酌

24条と26条(24条=主宰者が調書〔審理の経過・陳述の要旨〕を作成/聴聞の終結後速やかに報告書〔主張に理由があるかの主宰者の意見〕を作成し調書とともに行政庁へ提出/当事者・参加人は調書と報告書を閲覧できる/26条=行政庁は調書の内容と報告書の主宰者の意見を十分に参酌して決定/拘束はされない・聞き流しも許されない) 図:24条と26条

  • 24条=主宰者が調書〔審理の経過・陳述の要旨〕を作成
  • 聴聞の終結後速やかに報告書〔主張に理由があるかの主宰者の意見〕を作成し調書とともに行政庁へ提出
  • 当事者・参加人は調書と報告書を閲覧できる
  • 26条=行政庁は調書の内容と報告書の主宰者の意見を十分に参酌して決定
  • 拘束はされない・聞き流しも許されない

審理が終わると、記録を作ります。24条です。

条文行政手続法24条

行政手続法 第二十四条(聴聞調書及び報告書)   主宰者は、聴聞の審理の経過を記載した調書を作成し、当該調書において、不利益処分の原因となる事実に対する当事者及び参加人の陳述の要旨を明らかにしておかなければならない。 2 前項の調書は、聴聞の期日における審理が行われた場合には各期日ごとに、当該審理が行われなかった場合には聴聞の終結後速やかに作成しなければならない。 3 主宰者は、聴聞の終結後速やかに、不利益処分の原因となる事実に対する当事者等の主張に理由があるかどうかについての意見を記載した報告書を作成し、第一項の調書とともに行政庁に提出しなければならない。 4 当事者又は参加人は、第一項の調書及び前項の報告書の閲覧を求めることができる。

調書は、審理の経過とBやCの陳述の要旨を記録したものです。報告書は、Bの主張に理由があるかどうかについての、主宰者Dの意見です。調書とあわせて、Aに出されます。当事者と参加人は、どちらも閲覧できます。そして、決める段階です。26条です。

条文行政手続法26条

行政手続法 第二十六条(聴聞を経てされる不利益処分の決定)   行政庁は、不利益処分の決定をするときは、第二十四条第一項の調書の内容及び同条第三項の報告書に記載された主宰者の意見を十分に参酌してこれをしなければならない。

参酌ということは、報告書の意見に従わなければいけないのですか。違います。拘束はされません。報告書がBに理由があると言っていても、Aが違う結論を出すことは、法律上は可能です。ただし、聞き流してよいわけでもありません。調書と報告書を十分に踏まえて決める義務があります。拘束はされないが、無視もできない。この中間が、十分に参酌です。短答では、行政庁は報告書の意見に拘束されるか、と問われます。答えは、拘束されない、です。ここまでで、聴聞の7ステップが終わりました。

聴聞の三者の構図と、中立性の限界

聴聞の三者構図(主宰者D〔行政庁が指名する職員〕の前で、A〔行政庁の職員〕とB〔当事者〕が口頭でやり取り/C〔参加人〕は主宰者の許可で加わる/言い分を聞き置くだけの場ではない/ただし主宰者は行政庁の職員でもよく裁判ほどの中立性は無い〔審理員=#10-4・行政審判=#10-7〕) 図:聴聞の三者構図

  • 主宰者D〔行政庁が指名する職員〕の前で、A〔行政庁の職員〕とB〔当事者〕が口頭でやり取り
  • C〔参加人〕は主宰者の許可で加わる
  • 言い分を聞き置くだけの場ではない
  • ただし主宰者は行政庁の職員でもよく裁判ほどの中立性は無い〔審理員=#10-4・行政審判=#10-7〕

構図を整理します。主宰者のDの前で、行政庁側のAの職員と、当事者のBが、口頭でやり取りします。Cは、Dの許可で加わります。言い分を聞き置くだけの場ではなく、質問と反論の場です。裁判ほどの公正さは、ありません。Dは、行政庁が指名する職員でよく、処分の担当者を外す明文もありません。中立性は、裁判より弱い設計です。審理員や、準司法的な手続を行う行政審判との段差は、後の第10章で見ます。ここでは、聴聞は、手続としては厚いが、決めるのはあくまで行政庁、と押さえておいてください。

聴聞のあとの論点——どこまで処分できるか

聴聞後の分岐(原則=聴聞の対象は通知された原因事実・根拠条項〔取り上げていない事実を基礎にできない=不意打ち〕/①同じ原因事実に新証拠→25条で聴聞の再開/②原因事実がすげ替わり根拠条項も変わる→改めて聴聞/③取消しから営業停止へ軽くなるだけ→改めて弁明を付与するまでもないと考えられる〔聴聞は弁明を上回る・13条1項1号ニ〕/逆〔弁明のうえ取消し〕→聴聞が必要〔13条1項1号イ〕) 図:聴聞後の分岐

  • 原則=聴聞の対象は通知された原因事実・根拠条項〔取り上げていない事実を基礎にできない=不意打ち〕
  • ①同じ原因事実に新証拠→25条で聴聞の再開
  • ②原因事実がすげ替わり根拠条項も変わる→改めて聴聞
  • ③取消しから営業停止へ軽くなるだけ→改めて弁明を付与するまでもないと考えられる〔聴聞は弁明を上回る・13条1項1号ニ〕/逆〔弁明のうえ取消し〕→聴聞が必要〔13条1項1号イ〕

ここから、論文で使える論点です。聴聞が終わったあと、Aは、聴聞で取り上げていない事実を理由に、Bを処分できるでしょうか。聴聞で取り上げていない事実を使うと、不意打ちになります。聴聞は、通知で特定された原因事実について、Bに防御させる手続でした。26条も、聴聞で出た調書と報告書を踏まえて決めることを求めます。聴聞の俎上に載っていない事実を基礎にすれば、Bは、それについて一度も反論できていません。ですから、できないと解されています。場合分けします。1つ目。聴聞の終結後に、同じ原因事実について、新しい証拠が出てきたとします。この場合のために、25条があります。

条文行政手続法25条

行政手続法 第二十五条(聴聞の再開)   行政庁は、聴聞の終結後に生じた事情にかんがみ必要があると認めるときは、主宰者に対し、前条第三項の規定により提出された報告書を返戻して聴聞の再開を命ずることができる。第二十二条第二項本文及び第三項の規定は、この場合について準用する。

行政庁は、報告書を返して、聴聞を再開させます。再開せずに、新証拠をそのまま使って処分すると、手続の瑕疵になる、と解されています。Bは、その新証拠には、まだ反論できていないからです。2つ目。設例で、Aが、聴聞の通知で示した無許可営業の事実ではなく、別の違反の事実を理由にしたくなったとします。根拠条項も変わります。これは再開では足りません。変更後の原因事実で、改めて聴聞が必要だと解されています。原因事実がすげ替わったのですから、一から防御させる必要があるのです。3つ目。結論が軽くなる場合です。聴聞で取消しを予定していたのを、営業停止に切り替える。この場合は、改めて弁明の機会を付与するまでもない、と考えられます。聴聞は弁明を上回る手続で、弁明で足りる処分でも、行政庁が相当と認めれば聴聞で行えるからです。

弁明のあとで重い取消しに切り替える場合は、弁明では手続が足りないので、改めて聴聞が必要だと解されています。聴聞を受けた者は、弁明よりも多くの防御の機会を得ています。だから、軽くなるのは問題ないと考えられます。ただ、逆は足りないのです。なお、聴聞や弁明を欠いた処分が取り消されるかどうかは、後の回で扱います。

弁明の機会の付与——聴聞から何が抜けるか

弁明の機会の付与(29条=原則は弁明書の提出・行政庁が認めたときだけ口頭・証拠書類等も出せる/30条=通知3事項〔内容と根拠条項・原因事実・弁明書の提出先と期限〕/31条=準用は15条3項・4項〔公示〕と16条〔代理人〕だけ) 図:弁明の機会の付与

  • 29条=原則は弁明書の提出・行政庁が認めたときだけ口頭・証拠書類等も出せる
  • 30条=通知3事項〔内容と根拠条項・原因事実・弁明書の提出先と期限〕
  • 31条=準用は15条3項・4項〔公示〕と16条〔代理人〕だけ

ここで、問いを一つ置きます。前回の13条で、取消しは聴聞でした。では、同じ違反で30日の営業停止にするときは、聴聞でしょうか、弁明でしょうか?弁明です。地位を失わせる処分ではないからです。行政庁が、特に聴聞を相当と認めない限り、弁明です。その弁明の機会の付与を、29条から読みます。

条文行政手続法29条

行政手続法 第二十九条(弁明の機会の付与の方式)   弁明は、行政庁が口頭ですることを認めたときを除き、弁明を記載した書面(以下「弁明書」という。)を提出してするものとする。 2 弁明をするときは、証拠書類等を提出することができる。

弁明は、原則として書面です。口頭は、行政庁が認めたときだけです。短答で、弁明は口頭が原則か、と問われたら、誤りです。30条の通知です。

条文行政手続法30条

行政手続法 第三十条(弁明の機会の付与の通知の方式)   行政庁は、弁明書の提出期限(口頭による弁明の機会の付与を行う場合には、その日時)までに相当な期間をおいて、不利益処分の名あて人となるべき者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。  一 予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項  二 不利益処分の原因となる事実  三 弁明書の提出先及び提出期限(口頭による弁明の機会の付与を行う場合には、その旨並びに出頭すべき日時及び場所)

通知する事項は3つです。聴聞の15条1項にあった、事務を担当する組織は、ありません。2項にあたる教示も、ありません。そして、聴聞の規定のうち、何が弁明に使われるのかを定めるのが、31条です。

条文行政手続法31条

行政手続法 第三十一条(聴聞に関する手続の準用)   第十五条第三項及び第四項並びに第十六条の規定は、弁明の機会の付与について準用する。この場合において、第十五条第三項中「第一項」とあるのは「第三十条」と、同条第四項中「第一項第三号及び第四号」とあるのは「第三十条第三号」と、第十六条第一項中「前条第一項」とあるのは「第三十条」と、「同条第四項後段」とあるのは「第三十一条において準用する第十五条第四項後段」と読み替えるものとする。

準用されるのは、15条3項と4項、つまり所在不明のときの公示と、16条、つまり代理人だけです。それ以外は準用されません。ですから、弁明には、参加人も、文書の閲覧も、主宰者も、調書と報告書も、期日の審理もありません。さきほどの問いに戻ります。弁明でも資料の閲覧は求められるか。答えは、求められません。31条は閲覧の18条を準用していないからです。

聴聞と弁明の対比表(方式=聴聞は口頭の審理・弁明は原則書面/通知=聴聞は4事項と教示・弁明は3事項/代理人=どちらも○/参加人=聴聞○・弁明×/文書閲覧=聴聞○〔18条〕・弁明×/主宰者=聴聞○〔19条〕・弁明×/調書と報告書=聴聞○〔24条〕・弁明×/公開性=聴聞は原則非公開〔20条6項〕・弁明は期日の審理自体が無い/公示=どちらも○) 図:聴聞と弁明の対比表

  • 方式=聴聞は口頭の審理・弁明は原則書面
  • 通知=聴聞は4事項と教示・弁明は3事項
  • 代理人=どちらも○
  • 参加人=聴聞○・弁明×
  • 文書閲覧=聴聞○〔18条〕・弁明×
  • 主宰者=聴聞○〔19条〕・弁明×
  • 調書と報告書=聴聞○〔24条〕・弁明×
  • 公開性=聴聞は原則非公開〔20条6項〕・弁明は期日の審理自体が無い
  • 公示=どちらも○

表に並べます。方式は、聴聞は口頭の審理、弁明は原則書面です。通知は、聴聞が4事項に教示つき、弁明は3事項です。代理人と所在不明のときの公示は、どちらにもあります。ここまでが共通です。参加人、文書閲覧、主宰者、調書と報告書は、聴聞だけにあります。弁明は、言い分を書いた紙を出して終わりです。取消しのように大きな不利益には聴聞、営業停止のように、地位は残る処分には弁明という差は、この手続の厚みの差になって現れます。

個別法の手続——3つの手順で読む

3つの手順の実演(①行手法第3章が原則適用される②適用除外の規定を探す③除外された部分に個別法の独自手続があるか/道路交通法113条の2=第三章の規定は適用しない〔第十二条及び第十四条を除く〕=処分基準と理由の提示は生きる/代わりに104条の公開による意見の聴取/建築基準法9条15項=1項・7項・10項の命令について同じ除外〔12条・14条を除く〕=代わりに2項〜6項の意見書・意見の聴取) 図:3つの手順の実演

  • ①行手法第3章が原則適用される②適用除外の規定を探す③除外された部分に個別法の独自手続があるか
  • 道路交通法113条の2=第三章の規定は適用しない〔第十二条及び第十四条を除く〕=処分基準と理由の提示は生きる
  • 代わりに104条の公開による意見の聴取
  • 建築基準法9条15項=1項・7項・10項の命令について同じ除外〔12条・14条を除く〕=代わりに2項〜6項の意見書・意見の聴取

次に、個別の法律が、独自の手続を置く場合です。以前、個別法を読む3つの手順を見ました。1つ目、行政手続法の第3章が原則適用される。2つ目、適用除外の規定を探す。3つ目、除外された部分に、個別法の独自の手続があるか。これを、以前に5つの段で見た、道路交通法と建築基準法の2つで実演します。1つ目は、道路交通法です。113条の2は、点数制度に基づく免許の取消しや停止など、自分で列挙した処分について、行政手続法の第三章の規定は、適用しない、と定めています。ただし、12条と14条は除かれています。つまり、処分基準と、理由の提示は、適用が残ります。道路交通法が自前で置いたのは、言い分を聴く手続のほうだけだからです。処分基準と理由の提示には、代わりの定めがありません。

外れるのは、聴聞や弁明の手続です。そのかわりに置かれているのが、104条の意見の聴取です。

条文道路交通法104条1項・2項

道路交通法 第百四条(意見の聴取)(1項・2項)   公安委員会は、第百三条第一項第五号の規定により免許を取り消し、若しくは免許の効力を九十日(公安委員会が九十日を超えない範囲内においてこれと異なる期間を定めたときは、その期間。次条第一項において同じ。)以上停止しようとするとき、第百三条第二項第一号から第四号までのいずれかの規定により免許を取り消そうとするとき、又は同条第三項(同条第五項において準用する場合を含む。)の処分移送通知書(同条第一項第五号又は第二項第一号から第四号までのいずれかに係るものに限る。)の送付を受けたときは、公開による意見の聴取を行わなければならない。この場合において、公安委員会は、意見の聴取の期日の一週間前までに、当該処分に係る者に対し、処分をしようとする理由並びに意見の聴取の期日及び場所を通知し、かつ、意見の聴取の期日及び場所を公示しなければならない。 2 意見の聴取に際しては、当該処分に係る者又はその代理人は、当該事案について意見を述べ、かつ、有利な証拠を提出することができる。

たとえば、違反を重ねて点数がたまったドライバーの免許を取り消すときや、90日以上停止するときは、公安委員会が、公開による意見の聴取を行います。期日の1週間前までに、理由と期日、場所を通知して、公示します。本人や代理人は、意見を述べ、有利な証拠を出せます。行政手続法の聴聞と比べると、違いは2つあります。まず、公開です。行政手続法は非公開が原則でした。もう1つ、文書の閲覧の定めが、この104条には見当たりません。2つ目は、建築基準法9条です。違反建築物に、是正を命じる処分です。まず2項と、3項、4項を読みます。

条文建築基準法9条2項

建築基準法 第九条(違反建築物に対する措置)(2項) 2 特定行政庁は、前項の措置を命じようとする場合においては、あらかじめ、その措置を命じようとする者に対して、その命じようとする措置及びその事由並びに意見書の提出先及び提出期限を記載した通知書を交付して、その措置を命じようとする者又はその代理人に意見書及び自己に有利な証拠を提出する機会を与えなければならない。

条文建築基準法9条3項・4項

建築基準法 第九条(違反建築物に対する措置)(3項・4項) 3 前項の通知書の交付を受けた者は、その交付を受けた日から三日以内に、特定行政庁に対して、意見書の提出に代えて公開による意見の聴取を行うことを請求することができる。 4 特定行政庁は、前項の規定による意見の聴取の請求があつた場合においては、第一項の措置を命じようとする者又はその代理人の出頭を求めて、公開による意見の聴取を行わなければならない。

違反建築物に是正を命じようとするときの定めです。たとえば、決められた広さを超えて増築した家の持ち主に、増築部分を取り壊すよう命じる場面です。特定行政庁は、命じる前に、内容と事由、意見書の提出先と期限を書いた通知書を渡して、意見書と有利な証拠を出す機会を与えます。通知書を受けた人は、3日以内に、意見書に代えて、公開の意見の聴取を請求できます。請求があれば、行わなければなりません。注意点は、15項です。

条文建築基準法9条15項

建築基準法 第九条(違反建築物に対する措置)(15項) 15 第一項、第七項又は第十項の規定による命令については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三章(第十二条及び第十四条を除く。)の規定は、適用しない。

15項は、1項、7項、10項の命令について、行政手続法の第3章を、12条と14条を除いて適用しない、と定めています。道路交通法と同じ構図です。是正命令は、許可や地位を奪う処分ではないので、行政手続法なら、原則は弁明の側です。書面の意見提出に加えて、請求があれば公開の意見聴取です。行政手続法の弁明より厚く手当てしてあります。個別法の手続は、行政手続法より薄いとは限りません。条文を読んで確かめる、というのが3つの手順の意味です。

「聴聞」という言葉の広い狭い

聴聞の3つの意味(①学説上の告知・聴聞=処分の前に内容と理由を知らせ言い分を聞くこと〔広い〕②行政手続法上の聴聞=15〜28条の手続が適用されるもの〔弁明は含まない〕③個別法が独自に置く手続〔意見の聴取など・旧道路運送法の聴聞のように同じ名のものもある〕=行手法の聴聞とは別) 図:聴聞の3つの意味

ここで、聴聞という言葉を整理します。広い順に3つあります。1つ目は、学説上の告知と聴聞です。処分の前に、内容と理由を知らせて、言い分を聞くこと全般を指します。2つ目は、行政手続法上の聴聞です。15条以下の手続が適用されるものだけで、弁明は含みません。3つ目は、個別の法律が独自に置く手続です。意見の聴取など、別の名前のことが多いのですが、以前に見た個人タクシー事件の聴聞のように、聴聞という名前のこともあります。どちらも、行政手続法の聴聞とは別の手続です。短答で聴聞という語が出たら、どの意味かを、まず確かめてください。混ぜると、弁明は聴聞に含まれるか、といった問いで足をすくわれます。

取り違えやすい点——5つの短答

取り違えやすい5点(①弁明でも文書閲覧を求められるか=×〔31条は準用しない〕②聴聞の主宰者は処分の担当職員を必ず外すか=×〔19条2項に明文なし〕③聴聞の期日は公開が原則か=×〔20条6項〕④行政庁は報告書の意見に拘束されるか=×〔十分に参酌〕⑤弁明は口頭が原則か=×〔書面が原則〕) 図:取り違えやすい5点

5つの短答を確認します。1つ目。弁明でも、文書閲覧を求められるか。求められません。31条は、閲覧の18条を準用していないからです。2つ目。聴聞の主宰者は、処分の担当職員を必ず外すか。3つ目。聴聞の期日の審理は公開が原則か。4つ目。行政庁は報告書の意見に拘束されるか。5つ目。弁明は口頭が原則か。5問とも、決め手を言えました。

当てはめ演習——民泊の仲介業者B

当てはめ演習の設例(民泊の仲介業の登録を定める架空の個別法/A=行政庁・B=仲介業者・C=近隣住民・D=主宰者/①Bの登録取消しの聴聞で、Bは何を求められるか②近隣住民Cは参加できるか・閲覧できるか③同じBへの業務停止命令〔弁明〕で欠けるもの④聴聞の後、別の違反を理由にしたいとき) 図:当てはめ演習の設例

  • 民泊の仲介業の登録を定める架空の個別法
  • A=行政庁・B=仲介業者・C=近隣住民・D=主宰者
  • ①Bの登録取消しの聴聞で、Bは何を求められるか②近隣住民Cは参加できるか・閲覧できるか③同じBへの業務停止命令〔弁明〕で欠けるもの④聴聞の後、別の違反を理由にしたいとき

演習です。民泊の仲介業の登録を定めた、架空の個別の法律があります。行政庁をA、仲介業者をB、近隣住民をC、主宰者をDとします。1問目。AがBの登録を取り消すことにして、聴聞を開きます。Bは、Aの手持ちの証拠を見たいと考えています。どの条文で、どんなことができますか。2問目。近隣住民のCが、この聴聞に参加したいと考えています。Cは参加できますか。できるとして、Cも閲覧を求められますか。3問目。AがBに、登録の取消しではなく、30日の業務停止を命じようとします。弁明になるとして、Bに何が欠けますか。

4問目。聴聞が終わったあと、Aは、通知で示していない別の違反を理由に、Bを取り消したくなりました。そのまま取り消せますか。

演習の答え(①18条=通知から終結まで調書等の閲覧を求められる・正当な理由が無ければ拒めない②参加の許可は主宰者D〔17条〕・閲覧できるのは自己の利益を害される参加人だけ③弁明=原則書面・参加人・閲覧・主宰者・調書と報告書なし/準用は代理人と公示だけ〔31条〕④原因事実のすげ替え=改めて聴聞・同じ事実の新証拠なら25条で再開) 図:演習の答え

  • ①18条=通知から終結まで調書等の閲覧を求められる・正当な理由が無ければ拒めない②参加の許可は主宰者D〔17条〕・閲覧できるのは自己の利益を害される参加人だけ③弁明=原則書面・参加人・閲覧・主宰者・調書と報告書なし
  • 準用は代理人と公示だけ〔31条〕④原因事実のすげ替え=改めて聴聞・同じ事実の新証拠なら25条で再開

4問とも、決め手を言えました。答えは、1枚に並べておきます。

今日の地図(保存版)

今日の地図(聴聞の7ステップ=通知15・当事者参加人16/17・閲覧18・主宰者19・期日20〜23・調書報告書24・十分に参酌26/弁明=書面〔29〕・通知3事項〔30〕・準用は公示と代理人だけ〔31〕/聴聞後=同じ事実の新証拠は再開〔25〕・事実のすげ替えは改めて聴聞・軽い処分への切替えは改めて弁明するまでもないと考えられる/個別法=12条と14条は生きる〔道交法104・建基法9〕) 図:今日の地図

  • 聴聞の7ステップ=通知15・当事者参加人16/17・閲覧18・主宰者19・期日20〜23・調書報告書24・十分に参酌26
  • 弁明=書面〔29〕・通知3事項〔30〕・準用は公示と代理人だけ〔31〕
  • 聴聞後=同じ事実の新証拠は再開〔25〕・事実のすげ替えは改めて聴聞・軽い処分への切替えは改めて弁明するまでもないと考えられる
  • 個別法=12条と14条は生きる〔道交法104・建基法9〕

冒頭の問いに戻ります。相手の手札が見えないまま、何を言えばよいのか。聴聞は、閲覧で手札を見せ、期日で口頭の反論と質問を認め、調書と報告書で言い分を記録し、行政庁にそれを十分に参酌させる。ここまで組み立てた手続です。持ち帰るのは3点です。1つ目。聴聞は7ステップです。通知、当事者と参加人、閲覧、主宰者、期日、調書と報告書、十分に参酌。各段の条文を言えるようにしてください。主宰者は、処分の担当職員を外す明文はなく、報告書には拘束はされません。2つ目。弁明は、原則書面で、準用されるのは公示と代理人だけです。閲覧も参加人も主宰者もありません。3つ目。個別法が行政手続法の第3章を外しても、12条と14条は生きます。代わりに置かれた意見の聴取などは、条文を読んで確かめます。論文では、聴聞のあとに事実がすげ替わった場合や、軽い処分に切り替える場合が、手続の瑕疵を論じる土台になります。

参照条文

  • 行政手続法15条1項・2項
  • 行政手続法15条3項・4項
  • 行政手続法17条1項
  • 行政手続法18条
  • 行政手続法19条
  • 行政手続法20条1項〜3項
  • 行政手続法20条4項〜6項
  • 行政手続法24条
  • 行政手続法26条
  • 行政手続法25条
  • 行政手続法29条
  • 行政手続法30条
  • 行政手続法31条
  • 道路交通法104条1項・2項
  • 建築基準法9条2項
  • 建築基準法9条3項・4項
  • 建築基準法9条15項

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