処分等の求め
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第8章 行政手続 #114/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。
隣の施設が基準を破っている
図:今日の問い
- 架空の資材保管場法
- 保管場の設置は知事Aの許可制
- 12条=基準に適合させる義務
- 13条=不適合なら知事は改善命令を出せる〔法律が根拠〕
- 14条=知事は勧告〔行政指導〕もできる
- 事業者Bの保管場が基準違反らしい
- 隣の住民Cは許可を申請する立場にない
- Cは役所に何ができ、役所は何をしなければならないのか
前回は、届出を見ました。最後に、処分等の求めを見ます、と予告しました。行政指導の回で、位置だけ紹介した36条の3です。今日が、その中身を読む回です。設例です。架空の資材保管場法があります。保管場を設ける事業者は、知事の許可が要ります。12条は、保管場の設置者に、基準に適合させる義務を課します。13条は、基準に適合しないとき、知事は改善命令を出せると定めます。14条は、知事は勧告もできると定めます。知事をA、基準を破っているらしい事業者をB、隣に住む住民をCとします。申請権の無いCが役所に求めたら、役所は返事をしなければならないのか。今日の問いはそこです。結論から言います。Cは、言えます。ただし、役所には、Cへ返事をする義務はありません。この差が、どこから出るのか。そこを、条文から組み立てます。順番は4つです。1つ目、条文の36条の3を部品に分けて読む。2つ目、申出は、申請ではない。3つ目、判例と、申請権がある場合との対比。最後の4つ目は、役所が動かないときの道です。
想起——申請権がある人は何を持っていたか
図:想起
- 2条3号 申請=法令に基づき許認可等を求める行為で、行政庁が諾否の応答をすべきこととされているもの
- 申請権=審査を受けて諾否の応答を受ける手続的な権利
- Dは許可を申請する立場=申請権あり
- Cの求めに諾否を応答せよという法令の定めは無い=申請ではない
先に、申請の回を思い出します。2条3号は、申請を、行政庁が諾否の応答をすべきこととされているもの、と定めていました。ここで問いです。前回までの申請の回を思い出してください。申請権とは、何を求める権利だったでしょうか?許可をもらう権利ではなく、審査を受けて、認めるか断るかの返事を受ける権利でした。設例で、許可を申請した事業者をDとします。Dには、この申請権があります。ところが、Cが役所に言う内容には、返事をせよ、という法令の定めがありません。ですから、Cの求めは、申請ではありません。応答義務の回で見た、広場にベンチを置いてほしいという要望と、同じ形です。申請権が無い側から、今日は同じ仕組みを裏返して見ます。
36条の3を全文で読む
図:36条の3の部品
- 誰が=何人も
- どんなとき=法令に違反する事実がある場合において、是正のためにされるべき処分または行政指導〔根拠規定が法律にあるものに限る〕がされていないと思料するとき
- 誰に=その処分をする権限を有する行政庁
- その行政指導をする権限を有する行政機関
- 何を=その旨を申し出て、処分または行政指導をすることを求める
- 設例のC→知事A:基準不適合の事実・13条の改善命令〔14条の勧告は次の節=対象外〕
条文を、全文で読みます。
条文行政手続法36条の3第1項
行政手続法 第三十六条の三(処分等の求め)(1項) 何人も、法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分又は行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)がされていないと思料するときは、当該処分をする権限を有する行政庁又は当該行政指導をする権限を有する行政機関に対し、その旨を申し出て、当該処分又は行政指導をすることを求めることができる。
1項を、部品に分けます。誰が。何人も、です。どんなとき。法令に違反する事実があって、その是正のための処分や行政指導がされていないと、思うときです。誰に。その処分をする権限のある行政庁です。何を。その旨を申し出て、処分や行政指導をするよう求めます。設例に当てはめます。Cは、何人もに入ります。違反する事実は、基準に適合しない保管場です。求める処分は、13条の改善命令です。相手は、知事のAです。14条の勧告のほうは、次の節で見るとおり、対象から外れます。思料するとは、違反があると考えることです。違反があると考えれば足ります。証拠をそろえて確信する必要はありません。調べるのは役所の仕事だからです。
条文行政手続法36条の3第2項・第3項
行政手続法 第三十六条の三(処分等の求め)(2項・3項) 2 前項の申出は、次に掲げる事項を記載した申出書を提出してしなければならない。 一 申出をする者の氏名又は名称及び住所又は居所 二 法令に違反する事実の内容 三 当該処分又は行政指導の内容 四 当該処分又は行政指導の根拠となる法令の条項 五 当該処分又は行政指導がされるべきであると思料する理由 六 その他参考となる事項 3 当該行政庁又は行政機関は、第一項の規定による申出があったときは、必要な調査を行い、その結果に基づき必要があると認めるときは、当該処分又は行政指導をしなければならない。
2項は、申出が書面だと定めます。記載するのは6つ。申出人の氏名と住所、違反する事実の内容、求める処分や指導の内容、その根拠の条項、されるべきだと考える理由、参考になる事項です。ここは、条文を読めば出る、構造の話です。覚える規範ではありません。3項が、役所の義務です。申出があったら、必要な調査を行い、その結果に基づいて、必要があると認めるときは、処分や行政指導をしなければなりません。
地方の機関がする処分と指導の扱い
図:括弧書きの限定
- 1項=その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る
- 3条3項=地方公共団体の機関がする処分は根拠が条例・規則にあるものだけ
- 地方公共団体の機関がする行政指導は根拠が法律でもすべて→第2章から第6章まで適用しない→行政手続条例の問題
- 設例の13条改善命令=法律が根拠の処分→知事がする処分でも36条の3の対象
- 14条の勧告=知事がする行政指導→対象外
1項の括弧書きに注意してください。根拠となる規定が、法律に置かれているものに限る。知事がする処分でも、対象にならないことがありますか。あります。3条3項です。条文を、全文で読みます。
条文行政手続法3条3項
行政手続法 第三条(適用除外)(3項) 3 第一項各号及び前項各号に掲げるもののほか、地方公共団体の機関がする処分(その根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)及び行政指導、地方公共団体の機関に対する届出(前条第七号の通知の根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)並びに地方公共団体の機関が命令等を定める行為については、次章から第六章までの規定は、適用しない。
骨格だけ見ます。地方公共団体の機関がする処分は、根拠が条例や規則にあるものだけ、次章から第6章までが適用されません。行政指導は、根拠を問わず、すべて外れます。第2章から第6章は、申請、不利益処分、行政指導、処分等の求め、届出、意見公募の手続を定めた部分です。今日の処分等の求めも、ここに入っています。外す理由は、適用除外の回で見た、地方自治の尊重です。自治体が自分で条例を作って始めた仕事の手続は、その自治体に任せます。外れた部分は、各自治体の行政手続条例の問題です。設例に当てはめます。改善命令は、13条、つまり法律が根拠の処分です。知事がする処分でも、36条の3の対象になります。ところが、14条の勧告は、知事がする行政指導なので、36条の3では求められません。行政指導の回で見た、適用範囲の線と同じです。
制度の位置づけ——裁判の前に置かれた入口
図:位置づけ
- 2014年の行手法改正で36条の2と同時に導入
- 行訴法3条6項1号の非申請型義務付け訴訟に対応する手続を裁判の前の行政の段階に置いたもの
- 手続段階の求め=何人も
- 訴訟=37条の2第3項で法律上の利益を有する者に限る=原告適格
- 範囲が違う
この制度は、2014年の行手法の改正で、行政指導の回で読んだ36条の2と、一緒に入りました。狙いは、行政事件訴訟法の、非申請型の義務付け訴訟に対応する手続を、裁判の前の行政の段階に置くことです。その訴訟の条文を、骨格で見ます。行訴法3条6項1号は、行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらず、これがされないとき、に義務付けの訴えを認めます。そして、37条の2第3項は、この訴えは、法律上の利益を有する者に限る、と定めます。手続の段階の求めは、役所が動くきっかけにすぎないので、誰でもできます。訴訟は、裁判所に命じてもらう場面なので、原告適格、つまり訴えを起こせる資格が要ります。法律上の利益とは、おおまかには、その処分の根拠の法律が守っている、自分の利益のことです。設例のCは、申出なら、それだけでできます。訴訟になると、粉じんで暮らしを害されるCの利益まで、資材保管場法が守っているかが問われます。答案では、この範囲の違いが効きます。
申出は申請ではない——3項の義務の向き
図:義務の向き
- 申請=審査して諾否を応答する義務〔求めた人への義務〕
- 申出=調査し、必要があると認めるときは処分等をする義務〔結果を申出人へ応答する義務の条文は無い〕
- 申出は2条3号の「諾否の応答をすべきこととされているもの」に当たらない
- 喩え=注文票と意見箱
- 知事が「改善命令は出さないこととした」とCに伝えた→事実上の通知=処分でない→取消訴訟の対象外
3項に、しなければならない、と書いてあります。それなら、Cに返事をする義務があるのではないですか。そこが、いちばん間違えやすい点です。3項の、しなければならないは、何をする義務か。必要な調査を行い、必要があると認めるときは、処分や指導をする義務です。Cへ結果を知らせる義務は、条文のどこにもありません。たとえます。申請は、注文票です。出した客には、できます、できませんの返事が来ます。申出は、店の前の意見箱です。店は、中身を読んで、直すかもしれません。でも、投函した人に、返事をする決まりはありません。義務の向きが違うのです。申請の義務は、求めた本人への義務。申出の義務は、違反を正す、という行政自身の仕事の義務です。だから、2条3号の、諾否の応答をすべきこととされているもの、に当たりません。申出は、申請ではないのです。ここで問いです。知事が、Cに、調査の結果、改善命令は出さないこととしました、と伝えました。この通知は、取消訴訟の対象になるでしょうか?
返事をする義務が無いなら、この通知は法令に基づく行為ではなく、事実上の通知です。権利義務を決める処分ではないので、取消訴訟の対象になりません。役所が申出人に結果を知らせることは望ましいですが、義務ではありません。知らせても、それは処分ではありません。なお、申出を受けて、知事が実際に改善命令を出せば、その命令は、Bあての処分です。Cへの処分ではありません。申出が実っても、処分を受けるのはBで、Cは、その結果として粉じんが減るのを受け取るだけです。
判例——住民票の記載を求める申出への応答
図:事案の流れ
- 父が区長に、事実上の夫婦の子について住民票の記載を求める申出
- 出生届は不備〔嫡出子か否かの欄が空欄・届出人が届出義務者の母でなく父〕のため区長が不受理
- 区長は「記載をしない」旨を応答
- 父らが応答の取消し等を求めた
- 結論=不適法として却下
- 対比=住民基本台帳法の届出があった場合は市町村長に応答義務〔令11条参照〕・申出には無い
事案です。事実上の夫婦の間に子が生まれ、父が、区長に、その子の住民票の記載を求めて申出をしました。出生届は、嫡出子かどうかの欄が空欄で、届出人も、届出義務のある母ではなく父だったので、区長が受け付けていませんでした。区長は、記載をしない、と応答しました。父らは、この応答の取消しなどを求めました。判旨を、全文で読みます。
判例最判平21・4・17 民集63巻4号638頁
住民票の記載を求める申出への応答の事件——事実上の応答 ……申出に対する応答義務が課されておらず,住民票の記載に係る職権の発動を促す法14条2項所定の申出とみるほかないものである。したがって,本件応答は,法令に根拠のない事実上の応答にすぎず,これにより上告人子又は上告人父の権利義務ないし法律上の地位に直接影響を及ぼすものではないから,抗告訴訟の対象となる行政処分に該当しないと解される。
3つに分けます。前半。申出には、応答の義務が課されておらず、職権の発動を促す申出にすぎない。職権の発動とは、誰かの求めを待たずに、役所が自分の判断で動くことです。中盤。だから、区長の応答は、法令に根拠のない、事実上の応答にすぎず、権利義務に直接影響しない。後半。したがって、処分ではなく、抗告訴訟、つまり処分を争う訴訟の対象にならない。取消しを求める訴えは、不適法として却下されました。決め手は、応答義務があるかどうかです。法14条2項、つまり住民基本台帳法の14条2項は、住民基本台帳に記録されている人が、自分や同じ世帯の人の住民票に、誤記や記載漏れがあると知ったとき、市町村長にその旨を申し出ることができる、という規定です。出生届が受理されていないので、届出に基づいて記載される道はありません。父の求めは、記載漏れを知らせて職権での記載を促す、この申出とみるほかなかったのです。住民基本台帳法の届出があった場合は、市町村長に応答義務が課されています。ところが、この申出には、それが無い。応答義務が無いから、応答は事実上のものにとどまり、処分にならないのです。さきほどの意見箱と同じ型です。同じ型の判例は、もう一つあります。独占禁止法の報告や措置の要求に対する応答の事件です。求めは職権の発動を促すきっかけにすぎず、応答義務を伴わない、という結論でした。名前と、この一文だけ覚えれば足ります。
申請権がある場合と無い場合の対比
図:対比表
- Dは許可の申請者=申請権あり
- Cは住民=申出のみ:①行政の義務=審査して諾否を応答
- 調査し、必要なら処分等〔申出人への応答義務なし〕②応答の性格=処分
- 事実上の通知③手続法の保障=審査基準・標準処理期間・拒否の理由提示が付く
- 付かない④応答への不服=審査請求・取消訴訟が可能
- どちらも不可⑤応答が無いとき=不作為についての審査請求・不作為の違法確認訴訟・申請型義務付け訴訟が可能
- どれも不可⑥残る道=—
- 処分等の求め・非申請型義務付け訴訟・国家賠償
ここまでを、1枚の表に並べます。左がDの許可申請、右がCの申出です。1つ目、行政の義務。Dには、審査して諾否を応答する義務。Cには、調査して必要なら処分する義務だけです。2つ目、応答の性格。Dへの応答は処分。Cへの通知は、事実上のものです。3つ目、手続法の保障。Dには、申請の回で見た、審査基準や標準処理期間、拒否のときの理由の提示が付きます。Cには付きません。4つ目、応答への不服。Dは、拒否に対して審査請求も取消訴訟もできます。Cは、どちらもできません。5つ目、応答が無いとき。Dは、不作為についての審査請求や、不作為の違法確認の訴え、つまり返事をしないことが違法だと確認してもらう訴えができます。Cは、どれも使えません。ここでいう不作為とは、法令に基づく申請に対して、何の処分もしないことだからです。申請が無ければ、放っておかれても、不作為になりません。6つ目、残る道。Dは別の道を探す必要がありません。Cに残るのが、処分等の求めと、次に見る義務付け訴訟、そして国家賠償です。
動かないとき——残る道
図:動かないときの流れ
- 申出→調査→必要あり=処分〔Bあて〕
- 必要なし=何もしない→争うなら非申請型義務付け訴訟〔行訴法3条6項1号〕
- 37条の2第1項=一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれ+損害を避けるため他に適当な方法がない〔補充性〕
- 3項=法律上の利益を有する者に限る
- 申出を経ることは条文の要件に入っていない
- Cが求める「一定の処分」=Bへの13条の改善命令
- 規制権限の不行使と国家賠償は別の回
Cが申出をしても、知事が動かないとします。あるいは、調査の結果、必要なしとして何もしません。Cは、どうするか。取消訴訟は、取り消す処分がありません。審査請求も、不作為の違法確認の訴えも、申請が前提なので使えません。残るのが、非申請型の義務付け訴訟です。37条の2第1項を、骨格で読みます。義務付けの訴えは、一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり、かつ、その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り、提起することができます。重大な損害と、補充性です。3項は、法律上の利益を有する者に限る、でした。設例で言えば、Cが求める一定の処分は、Bへの13条の改善命令です。ここで大切なのは、申出を先にしておくことが、条文の要件には入っていない点です。ですから、申出をせずに、いきなり訴えることもできます。申出は行手法の道、義務付け訴訟は行訴法の道で、行訴法には、先に申出を経よという定めが無いからです。答案で、申出をしていないことを理由に、訴えを退けてはいけません。重大な損害や補充性、原告適格をどう判断するかは、義務付け訴訟の回で見ます。
規制権限を行使しなかったことが違法だとして、国家賠償で争う道があります。
36条の2との並び
図:36条の2と36条の3
- 36条の2=やめてくれ:申出人は相手方だけ・対象は行政指導だけ・弁明等を経たものは除く
- 36条の3=やってくれ:申出人は何人も・対象は処分と行政指導
- どちらも法律に根拠があるものが対象
- 例:国の機関から法律に基づく行政指導を受けたBがやめてほしい=36条の2
- Cが知事に改善命令を求める=36条の3
- 知事の14条勧告=地方の機関の行政指導→どちらも対象外
36条の2との並びを、1枚で整理します。36条の2は、中止等の求めです。やめてくれ、という求めです。申し出られるのは、相手方だけで、対象は行政指導だけ。弁明など、言い分を述べる手続を経た指導は除かれます。すでに言い分を述べる機会があったからです。36条の3は、やってくれ、という求めです。申し出られるのは何人も、対象は処分と行政指導です。どちらも、申出は申請ではなく、役所の対応は処分ではありません。ここは共通です。向きを確かめます。国の役所から、法律に基づく行政指導を受けたBが、やめてほしいなら、36条の2。Cが、知事に改善命令を求めるなら、36条の3です。向きが逆の、対の制度です。なお、設例の知事の勧告は、地方の機関の行政指導なので、どちらの対象にもなりません。
演習——場面を仕分ける
図:演習の4場面
- i 保管場の許可の申請を知事に拒否されたD
- ii Cが知事に改善命令を求めたが返事が来ない
- iii Bが知事の勧告を不当と考える
- iv 条例だけが根拠の知事の処分を求めたい
- 判定の型=申請か申出か→応答は処分か→争う道
演習です。見るのは、申請か申出か、応答は処分か、争う道は何か、の3つです。1つ目。許可の申請を拒否されたDです。2つ目。Cが、知事に改善命令を求めたのに、返事が来ません。3つ目。Bが、知事の勧告を不当だと考えます。36条の2の、中止等の求めでしょうか。そこが落とし穴です。知事の勧告は、地方の機関の行政指導なので、3条3項で、36条の2も外れます。その自治体の行政手続条例を見ます。4つ目。条例だけが根拠の、知事の処分を、求めたい場合です。
図:演習の答え
- i 申請・拒否は処分→審査請求・取消訴訟
- ii 申出・応答義務なし→不作為の違法確認は不可・非申請型義務付け訴訟へ
- iii 知事の勧告=地方の機関の行政指導→3条3項で36条の2も対象外・行政手続条例の問題
- iv 根拠が条例のみの処分→行手法の対象外・行政手続条例の問題
答えは1枚に並べます。
今日の地図(保存版)
図:今日の地図
- 問い=申請権の無いCは役所に何を言え、役所は何をすべきか
- 36条の3=何人も申出ができる〔法律根拠の処分・行政指導/地方の機関の行政指導は除く〕
- 3項の義務=調査し必要なら処分等をする義務・申出人への応答義務は無い
- 申出は申請でない・応答は事実上の通知で処分でない〔最判平21・4・17〕
- 取消訴訟・不作為の違法確認は不可
- 動かないなら非申請型義務付け訴訟〔重大な損害・補充性・法律上の利益〕
- 国家賠償の道もある
- 36条の2=やめてくれ
冒頭の問いに戻ります。申請権の無いCは、役所に何を言えるのか。何人も、申出ができます。役所は、何をしなければならないのか。調査をして、必要があれば処分をする義務はあります。ただし、Cへ返事をする義務はありません。持ち帰るのは3点です。1つ目。36条の3は、何人もできる求めで、法律に根拠のある処分や行政指導が対象です。地方の機関がする行政指導は、外れます。2つ目。申出は申請ではなく、3項の義務は、調査して必要なら処分する義務です。応答は事実上のもので、処分ではなく、取消訴訟の対象になりません。3つ目。動かないときは、不作為の違法確認ではなく、非申請型の義務付け訴訟を考えます。
参照条文
- 行政手続法36条の3第1項
- 行政手続法36条の3第2項・第3項
- 行政手続法3条3項