行政法ゼロから行政法#125

不開示決定の争い方②(立証責任と公文書管理)

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第9章 情報公開・個人情報保護 #125/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。

文書を見せずに、誰が何を示すのか

今日の問い(①「不開示情報に当たる」と言うのは誰か/②「その文書は保有していません」と言われたとき「保有していた」と言うのは誰か/裁判所は不開示とされた文書を見られない→示し方が問われる/今日の道筋=①不開示情報→②保有→③文書を作って残す公文書管理法→④独立行政法人等) 図:今日の問い

  • ①「不開示情報に当たる」と言うのは誰か
  • ②「その文書は保有していません」と言われたとき「保有していた」と言うのは誰か/裁判所は不開示とされた文書を見られない→示し方が問われる/今日の道筋=①不開示情報→②保有→③文書を作って残す公文書管理法→④独立行政法人等

前回の最後に、予告をしました。行政は、文書を見せずに、理由を説明します。では、不開示の理由や、文書の有無を、誰が示すのでしょうか。今日は、その続きです。前回の結論を、一言で言います。裁判所は、不開示とされた文書を、見て判断できません。審査会なら見られますが、取消訴訟の裁判官は見られないのでした。文書を見られない裁判で、行政は何を、どうやって示すのか。そこが、今日の問いです。2つに割ります。1つ目。黒塗りにした行政が、不開示情報に当たる、と言うとき、その根拠を示すのは誰か。2つ目。「その文書は保有していません」と言われたとき、「保有していた」と示すのは誰か。ここで、立証責任という言葉を、最小限だけ定義します。裁判で、ある事実が本当かどうか、最後まで分からなかったとき、どちらの当事者が不利に扱われるか、という決まりです。この一般論は、別の回で見ます。今日は、この2つの場面で、誰が示す側になるかに絞ります。答えを先に言います。1つ目は、不開示にした行政が、具体的な事実で示します。2つ目は、保有していたことを、請求者が示します。逆向きに見えますが、争点の位置づけで説明できます。順に見ましょう。

不開示情報に当たることは、行政が具体的に示す

争点と「誰が示すか」(B→A:開示請求/A→B:①検討資料の一部を5条5号で不開示→取消訴訟で争う→裁判所は文書を見られない→A が具体的な事実で示す/A→B:②選定会議の議事録は「保有していない」として不開示→B が決定時の保有を示す/アクターは A=乙省の長・B=請求者のみ・裁判所は役割名) 図:争点と「誰が示すか」

  • B→A:開示請求
  • A→B:①検討資料の一部を5条5号で不開示→取消訴訟で争う→裁判所は文書を見られない→A が具体的な事実で示す
  • A→B:②選定会議の議事録は「保有していない」として不開示→B が決定時の保有を示す
  • アクターは A=乙省の長・B=請求者のみ・裁判所は役割名

前回の設例を引き継ぎます。架空の乙省の長をA、請求者をBとします。Bは、2つの請求をしました。1つ目は、補助事業の検討資料一式です。Aは、一部を、審議や検討に関する情報だとして、5条5号を理由に不開示にし、Bは、取消訴訟で争います。2つ目は、同じ事業の選定会議の議事録です。こちらは、Aが、保有していない、として不開示にしました。ここで、前回の要点を1問。裁判所が、不開示とされた文書を見て判断できないのは、なぜでしたか?できません。当事者が吟味して反論できない証拠で判断するのは、民事訴訟の基本原則に反するからで、見てよいという明文もありません。では1つ目の場面です。Aは文書を見せられません。それでも、5号に当たる、と言いたい。何を言えばよいのかに答えたのが、最高裁の判決です。ただし、これは情報公開法ではなく、大阪府の公文書公開等条例の事件です。部分開示の回で見た、知事の交際費の判決と同じ条例ですが、別の事件です。事案です。府の水道部が、外部の飲食店で行った会議や懇談会の支出伝票、経費の支出伺を、本件文書と呼びます。条例には、事務の公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすおそれがある情報を公開しないことができる、という定めがありました。府の実施機関は、本件文書がそれに当たるとして、公開しない決定をしました。実施機関とは、条例で決定をする府の側の機関で、国の行政機関の長にあたる立場です。請求者が取消訴訟を起こし、原審は決定を取り消し、最高裁は、府の上告を棄却しました。府が負けています。

府の言い分は、懇談会の相手方が分かると、以後の交渉がやりにくくなる、というものでした。判決は、そこを分けて考えます。本件文書の記録は、開催場所、日、人数などの外形的な事実が中心で、相手方の氏名はほとんど含まれていません。その公開が、直ちに支障を及ぼすおそれがあるとは断じ難い。ただし、他の情報と照らし合わせて、相手方や目的、内容が分かる場合はありえます。そこで、懇談会を2つに分けます。1つ目は、事業の施行のために必要な事項について、関係者と内密に協議するもの。たとえば、水道事業の買収予定地について、地権者に事前に意向を打診する会合です。公開されると、相手方が不快や不信を抱き、以後の会合を断るおそれは、否定できません。2つ目は、それ以外の、単純な事務の打合せなどです。こちらは、そのようなおそれは考え難い。以上を受けた判旨が、これです。

判例最判平6・2・8 民集48巻2号255頁(平成2年(行ツ)第149号)

懇談会等の支出文書の公開と、不開示事由の主張立証(大阪府公文書公開等条例の事件・上告人は条例の実施機関) そうすると、本件文書を公開することにより右のようなおそれがあるというためには、上告人の側で、当該懇談会等が企画調整等事務又は交渉等事務に当たり、しかも、それが事業の施行のために必要な事項についての関係者との内密の協議を目的として行われたものであり、かつ、本件文書に記録された情報について、その記録内容自体から、あるいは他の関連情報と照合することにより、懇談会等の相手方等が了知される可能性があることを主張、立証する必要があるのであって、上告人において、右に示した各点についての判断を可能とする程度に具体的な事実を主張、立証しない限り、本件文書の公開による前記のようなおそれがあると断ずることはできない筋合いである。 ところが、本件において、上告人は、右の各点について具体的に主張するところがない。

平6の判旨の整理(判決が言ったこと=実施機関の側で、判断を可能とする程度に具体的な事実を主張・立証する必要/本件は具体的な主張なし→取消しを是認/判決が言っていないこと=理由づけ・「責任」の語・情報公開法の判断/説明の側の2つ=開示が原則で不開示は例外・文書は行政の手元/設例①=どの協議で・誰が・何のために・なぜ妨げられるか) 図:平6の判旨の整理

  • 判決が言ったこと=実施機関の側で、判断を可能とする程度に具体的な事実を主張・立証する必要
  • 本件は具体的な主張なし→取消しを是認
  • 判決が言っていないこと=理由づけ・「責任」の語・情報公開法の判断
  • 説明の側の2つ=開示が原則で不開示は例外・文書は行政の手元
  • 設例①=どの協議で・誰が・何のために・なぜ妨げられるか

言葉を補います。上告人は、府の実施機関です。企画調整等事務と交渉等事務は、条例の4号と5号が挙げる事務の呼び名で、府の中で企画や調整をする事務と、外の相手との交渉や渉外、争訟などの事務のことです。判旨の骨は、おそれがあると言うには、実施機関の側で、各点について、判断を可能とする程度に具体的な事実を、主張し、立証する必要がある、です。本件では、府は、その具体的な主張をしていないので、決定を取り消した原審が、結論において正当とされました。ここで、判決が言っていないことを、はっきり分けます。判決は、主張、立証する必要がある、と言うだけで、その理由は書いていません。責任を負う、という語も、判決にはありません。

なぜ行政の側が示すのか、その理由は、判決の外にあります。学説や実務が、この結論を説明するときに挙げる考え方で、ここからは、説明の側、と呼びます。1つ目。情報公開は、開示が原則で、不開示は例外だからです。例外を主張する側が、その根拠を示す、という整理です。2つ目。文書は、行政の手元にあります。中身を知っているのは行政だけで、請求者は知りようがありません。ですから、示せるほうが、示すのが公平です。この2つは、判決の理由ではなく、結論をうまく説明する考え方です。なお、この判決は条例の事件です。情報公開法の不開示決定にも、同じ考え方を当てはめるのが、学説と実務の位置づけです。判決自身が、情報公開法を判断したわけではありません。ただし、3号と4号は書きぶりが違い、行政機関の長が認めることにつき相当の理由があるか、が争われます。長の判断を尊重する枠組みで、詳しくは、国の安全などの不開示情報の回で見たとおりです。前回とつなげます。裁判所は文書を見られません。だから、行政は、文書を見せずに、公にしたら何が起きるのかを、具体的な事実で説明するしかないのです。設例①です。Aが、検討資料の一部を、5号を理由に不開示にしたとします。「率直な意見交換が妨げられる」と言うだけでは足りません。どの協議で、誰が、何のために、何を話し、公にすると、なぜ妨げられるのか。そこまで示す必要がある、という方向です。たとえるなら、通報で、「危ない」とだけ言っても、警察は動けません。いつ、どこで、何が、どう危ないのか、まで言って、はじめて、受け付けられるのと同じです。

文書が無いという決定では、保有の立証は請求者

平26の事案(請求=沖縄の返還に関する協定の締結に至る日米の財政負担等をめぐる交渉の内容に関する文書/外務大臣・財務大臣=「いずれも保有していない」として不開示→取消し+開示決定の義務付けを求める/事案の法令=改正前の情報公開法) 図:平26の事案

  • 請求=沖縄の返還に関する協定の締結に至る日米の財政負担等をめぐる交渉の内容に関する文書
  • 外務大臣・財務大臣=「いずれも保有していない」として不開示→取消し+開示決定の義務付けを求める
  • 事案の法令=改正前の情報公開法

次は、文書が無い、という場面です。ここで1度止めます。乙省が、議事録について、「保有していません」と答えました。この返事も、開示をしない旨の決定なので、取消訴訟で争えるのでした。取消訴訟で、「決定の時に持っていた」と示すのは、Aでしょうか、Bでしょうか。行政の中の話なので、Aが、持っていないことを示すのでは、ないでしょうか。実は、Bです。これを言ったのが、沖縄返還をめぐる最高裁の判決です。情報公開の全体を見た回で、名前と結論の一言だけ出して、あとに回した判決です。請求者らが、外務大臣と財務大臣に、沖縄の返還に関する協定の締結に至る、日米の財政負担などをめぐる交渉の内容が分かる文書を請求しました。両大臣は、いずれも保有していない、として不開示にしました。請求者らは、その取消しと、開示決定をするよう命じることを求めました。この事件は、通称で、密約の文書の請求と呼ばれます。事案の法令は改正前の情報公開法ですが、保有を定める2条2項の本文と3条は、今の法律でも同じなので、結論は今もそのまま使えます。判旨は3段です。1段目、誰が保有を示すか。2段目、作ったことから、持っていたことを推せるか。3段目、この事件への当てはめです。カードは、1段目と2段目です。

判例最判平26・7・14 集民247号63頁(平成24年(行ヒ)第33号)

保有していないことを理由とする不開示決定の取消訴訟と、決定時の保有の主張立証(事案の法令=改正前の情報公開法) 開示請求の対象とされた行政文書を行政機関が保有していないことを理由とする不開示決定の取消訴訟においては,その取消しを求める者が,当該不開示決定時に当該行政機関が当該行政文書を保有していたことについて主張立証責任を負うものと解するのが相当である。 そして,ある時点において当該行政機関の職員が当該行政文書を作成し,又は取得したことが立証された場合において,不開示決定時においても当該行政機関が当該行政文書を保有していたことを直接立証することができないときに,これを推認することができるか否かについては,当該行政文書の内容や性質,その作成又は取得の経緯や上記決定時までの期間,その保管の体制や状況等に応じて,その可否を個別具体的に検討すべきものであり,特に,他国との外交交渉の過程で作成される行政文書に関しては,公にすることにより他国との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国との交渉上不利益を被るおそれがあるもの(情報公開法5条3号参照)等につき,その保管の体制や状況等が通常と異なる場合も想定されることを踏まえて,その可否の検討をすべきものというべきである。

平26の判旨3段(①保有は成立要件→取消しを求める者が決定時の保有を示す〔2条2項・3条〕/②作成・取得から推認できるかは個別具体的に〔内容・性質/経緯・期間/保管の体制〕/③本件は推認に足りず→上告棄却/一律に推認できないとは言っていない) 図:平26の判旨3段

  • ①保有は成立要件→取消しを求める者が決定時の保有を示す〔2条2項・3条〕
  • ②作成・取得から推認できるかは個別具体的に〔内容・性質/経緯・期間/保管の体制〕
  • ③本件は推認に足りず→上告棄却/一律に推認できないとは言っていない

1段目。保有していないことを理由とする不開示決定の取消訴訟では、取消しを求める者が、不開示決定の時に保有していたことについて、主張立証責任を負う。ここには、責任という語が、判決に出てきます。理由は、判決自身が述べています。開示請求権が成り立つ条件が、行政機関が、その文書を保有していることだからです。条文でいえば、情報公開法の2条2項が、行政文書を、行政機関が保有しているもの、と定め、これは、行政文書の3つの要素の3つ目でした。そして、3条が、保有する行政文書の開示を請求できる、と定めています。保有は、請求権の成立要件なのです。

請求者は、行政の中の保管状況を知らないのに、決定の時に持っていた、と示さなければならないのですか。重い負担です。そこで2段目が働きます。議事録を作ったことは、示せた。でも、決定の時にまだ持っていたことは、直接は示せない。そのとき、作った、取得した、という事実から、持っていたはずだと、推認してよいか。判決は、一律に答えず、文書の内容や性質、作成や取得の経緯、決定時までの期間、保管の体制や状況などに応じて、個別具体的に検討せよ、と言います。外交交渉の文書は、公にすると信頼関係が損なわれるおそれがあるため、保管の体制が通常と異なる場合も想定して検討する、とも言っています。3段目、本件の当てはめです。文書の内容や性質、作成の経緯、決定の時までに経過した年数、外務省と財務省の保管の体制や状況についての調査の結果など、原審が確定した事情の下では、交渉の過程で職員が文書を作成したとしても、決定の時に省が保有していたことを推認するには、足りない、としました。決定は適法で、取消請求は棄却、義務付けの訴えは却下を是認し、上告を棄却しています。全員一致です。注意があります。作成や取得が立証されても保有は推認できない、と一般論で言ったのではありません。推認の可否は個別具体的に検討する、と言い、この事件では、推認するには足りなかった、と判断したのです。

一律ではなく、個別に見る、という点を、設例②で確かめます。議事録が作られたことは分かっても、決定の時にまだ持っていたことを示すのは、Bです。選定会議の開催や、議事録の作成が分かった場合でも、持っていたと推認できるかは、文書の性質や、保管の状況などで、個別に検討されます。この判決には、批判もあります。行政の内部の保管状況を知らない請求者が、決定時の保有を示さなければならないこと、行政が記録を残さず、あるいは、こっそり廃棄すると、救われにくいこと、です。なお、保有していない、という返事は、文書がないと答えたうえでの不開示です。文書があるかないかを、そもそも答えない、存否応答拒否の決定とは違います。審査会や裁判所へ進む道は同じですが、そちらは、答えること自体が不開示情報を明かすか、が争点でした。

二つの立証の分かれ目

対比表(①不開示情報に当たる=判決の言い方「実施機関の側で、判断を可能とする程度に具体的な事実を主張・立証する必要」〔条例の事件〕・位置づけ〔説明側〕=請求権が成り立った後に行政が拒む例外・示す側=行政/②保有していない=判決の言い方「取消しを求める者が決定時の保有について主張立証責任」・保有の推認は個別具体的に検討・位置づけ〔判決の理由〕=請求権の成立要件(2条2項・3条)・示す側=請求者/位置づけの行の対比づけは説明) 図:対比表

  • ①不開示情報に当たる=判決の言い方「実施機関の側で、判断を可能とする程度に具体的な事実を主張・立証する必要」〔条例の事件〕・位置づけ〔説明側〕=請求権が成り立った後に行政が拒む例外・示す側=行政
  • ②保有していない=判決の言い方「取消しを求める者が決定時の保有について主張立証責任」・保有の推認は個別具体的に検討・位置づけ〔判決の理由〕=請求権の成立要件(2条2項・3条)・示す側=請求者/位置づけの行の対比づけは説明

2つを並べます。1つ目、不開示情報に当たる。判決の言い方は、実施機関の側で、判断を可能とする程度に具体的な事実を、主張、立証する必要がある、です。2つ目、保有していない。判決の言い方は、取消しを求める者が、決定時の保有について、主張立証責任を負う、です。保有の推認は、個別具体的に検討します。分かれ目は、争点の位置づけです。保有は、開示請求権が成り立つための前提の事実で、請求する側が示す。これは、判決自身が、2つ目で述べた理由です。一方、不開示情報に当たるかは、請求権が成り立ったうえで、行政が拒む例外の事実で、行政が示す。この対にして整理するのは、説明の側で、判決自身は、1つ目の場面では、対比を述べていません。

答案で、判例は、と書いてよいのは、判決が言ったことだけです。水道部の懇談会の判決が言ったのは、行政が具体的な事実を示さない限り、おそれがあるとは言えない、までです。示せなければ行政が負けるので、働きは、行政が立証責任を負うのと同じ向きです。ただ、なぜ行政なのかは、判決に書かれていません。ですから、開示が原則、文書は行政の手元、という理由は、判例の理由ではなく、説明として書きます。そして、2つ目の場面が重いとすれば、そもそも、文書が作られ、残されていなければ、始まりません。ここから、情報公開法の全体像の回で、別の法律がある、とだけ言った公文書管理法に入ります。

文書が無ければ空振り——公文書管理法の位置づけ

公文書管理法の位置づけ(情報公開法=作られ残された行政文書を見せる制度/文書が作られない・廃棄されたら開示請求は空振り/2009年に公文書管理法=公文書等を「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」と位置づけ作成から整理・保存・移管または廃棄までを規律する一般法/対象=行政文書・法人文書・特定歴史公文書等) 図:公文書管理法の位置づけ

  • 情報公開法=作られ残された行政文書を見せる制度
  • 文書が作られない・廃棄されたら開示請求は空振り
  • 2009年に公文書管理法=公文書等を「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」と位置づけ作成から整理・保存・移管または廃棄までを規律する一般法
  • 対象=行政文書・法人文書・特定歴史公文書等

情報公開法は、行政文書の開示請求権を定めています。でも、文書が作られていなければ、あるいは廃棄されていれば、開示請求は空振りです。見せる制度の前に、作って残す制度が要ります。それが、公文書管理法です。公文書等の管理に関する法律という名前で、2009年に成立しました。作成から、整理、保存、移管または廃棄までを、規律する一般法で、対象は3つです。各省の行政文書。独立行政法人などが持つ、法人文書。そして、保存期間が終わって、国立公文書館等に移す、つまり、移管された、歴史資料として大事な文書で、特定歴史公文書等と呼びます。国の行政文書の、統一的なルールです。1条を、骨格で読みます。個別法なので、暗記の対象ではありません。目的の柱だけ、つかんでください。

条文公文書等の管理に関する法律1条

公文書等の管理に関する法律 第一条   この法律は、国及び独立行政法人等の諸活動や歴史的事実の記録である公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであることにかんがみ、国民主権の理念にのっとり、公文書等の管理に関する基本的事項を定めること等により、行政文書等の適正な管理、歴史公文書等の適切な保存及び利用等を図り、もって行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とする。

読み方です。公文書は、行政のものというより、国民共有の知的資源だ、という位置づけです。そして、行政が、現在と将来の国民に、説明する責務を果たすために、管理する、というのです。たとえるなら、家計簿です。つけない、ばらばらに放る、勝手に捨てる、が揃うと、後から検証できません。

作る——文書作成の義務(4条)

4条(行政機関の職員は意思決定に至る過程・事務及び事業の実績を合理的に跡付け検証できるよう→処理に係る事案が軽微なものである場合を除き→文書を作成/例示=①法令の制定改廃とその経緯②閣議・関係行政機関の長で構成される会議・省議の決定または了解とその経緯③複数の行政機関による申合せ・他の行政機関または地方公共団体に示す基準の設定とその経緯④個人または法人の権利義務の得喪とその経緯⑤職員の人事) 図:4条

  • 行政機関の職員は意思決定に至る過程・事務及び事業の実績を合理的に跡付け検証できるよう→処理に係る事案が軽微なものである場合を除き→文書を作成
  • 例示=①法令の制定改廃とその経緯②閣議・関係行政機関の長で構成される会議・省議の決定または了解とその経緯③複数の行政機関による申合せ・他の行政機関または地方公共団体に示す基準の設定とその経緯④個人または法人の権利義務の得喪とその経緯⑤職員の人事

最初は、作る、です。4条の柱書を読みます。

条文公文書等の管理に関する法律4条

公文書等の管理に関する法律 第四条(柱書)   行政機関の職員は、第一条の目的の達成に資するため、当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、次に掲げる事項その他の事項について、文書を作成しなければならない。

読み方です。意思決定に至る過程と、事務や事業の実績を、後から合理的に跡付けて検証できるように、文書を作らなければなりません。ただし、軽微な事案は除きます。例示は5つで、法令の制定改廃とその経緯、閣議や省議の決定とその経緯、複数の行政機関の申合せや基準の設定とその経緯、個人や法人の権利義務の得喪とその経緯、職員の人事です。設例の議事録に、必ず作成義務があるとは限りません。4条は、軽微な事案を除いていますし、すべての議事録を作成義務の対象にしているわけではありません。例示のどれに当たるかも、事案ごとの判断なので、ここでは断定しません。

整理・保存・管理簿(5条・6条・7条)

5条・6条・7条の分担(5条=整理:分類・名称・保存期間と満了日〔1項〕/密接に関連する文書を行政文書ファイルに集約〔2項・3項〕/保存期間の延長〔4項〕/満了前のできる限り早い時期に満了時の措置=歴史公文書等は国立公文書館等へ移管・それ以外は廃棄を定める〔5項〕|6条=保存:満了日まで適切な場所・記録媒体で保存|7条=行政文書ファイル管理簿:分類・名称・保存期間・満了日・満了時の措置・保存場所などを記載〔1項〕・事務所に備えて閲覧に供し電子的方法で公表〔2項〕) 図:5条・6条・7条の分担

  • 5条=整理:分類・名称・保存期間と満了日〔1項〕
  • 密接に関連する文書を行政文書ファイルに集約〔2項・3項〕
  • 保存期間の延長〔4項〕
  • 満了前のできる限り早い時期に満了時の措置=歴史公文書等は国立公文書館等へ移管・それ以外は廃棄を定める〔5項〕|6条=保存:満了日まで適切な場所・記録媒体で保存|7条=行政文書ファイル管理簿:分類・名称・保存期間・満了日・満了時の措置・保存場所などを記載〔1項〕・事務所に備えて閲覧に供し電子的方法で公表〔2項〕

次は、整理して、保存して、見えるようにする、です。3つの条の分担を、図に出しました。5条は、整理の条です。文書に、分類と名称をつけ、保存期間と、満了する日を定めます。相互に密接に関連する文書は、行政文書ファイルというまとまりに集約します。ファイルにまとめる条が、5条です。そして、5条の5項が、大事です。保存期間が満了する前の、できる限り早い時期に、満了したときの措置を、あらかじめ定めます。歴史公文書等、つまり、歴史資料として重要な公文書に当たるものは、国立公文書館等へ移管し、それ以外は廃棄する、という措置です。先に決めておくことで、満了した後で、恣意的に捨てる、あるいは移さない、ということを防ぐ狙いと言えます。6条は、保存の条です。保存期間の満了する日まで、適切な場所と記録媒体で保存します。7条は、管理簿の条です。ファイルの分類、名称、保存期間、満了日、満了時の措置、保存場所などを、帳簿に記載して、事務所に備えて一般の閲覧に供し、電子的な方法で公表します。管理簿は、国民が行政文書にたどり着きやすくするための、目次のようなものです。

ここも個別法なので、条番号を覚える必要はありません。作って、残して、見えるようにする、という型をつかめば足ります。

捨てる場面の歯止め——移管か廃棄と、総理大臣の同意(8条)

公文書のライフサイクル(作成〔4条〕→整理・ファイルにまとめる=保存期間・満了時の措置を定める〔5条〕→保存〔6条〕→管理簿に記載し公表〔7条〕→満了時:移管〔8条1項→特定歴史公文書等:永久保存15条・利用請求16条・不服21条〕/廃棄〔8条2項=内閣総理大臣の同意〕/監督=総理大臣〔9条・10条3項・31条〕・公文書管理委員会〔28条・29条〕) 図:公文書のライフサイクル

  • 作成〔4条〕→整理・ファイルにまとめる=保存期間・満了時の措置を定める〔5条〕→保存〔6条〕→管理簿に記載し公表〔7条〕→満了時:移管〔8条1項→特定歴史公文書等:永久保存15条・利用請求16条・不服21条〕
  • 廃棄〔8条2項=内閣総理大臣の同意〕
  • 監督=総理大臣〔9条・10条3項・31条〕・公文書管理委員会〔28条・29条〕

ここまでの流れを、1枚で見ます。作る、整理する、保存する、管理簿で見えるようにする。そして、保存期間が満了したときに、移管するか、廃棄するか、に分かれます。8条が、その場面です。1項は、行政機関の長が、保存期間が満了したファイルを、5条5項の定めに基づいて、国立公文書館等に移管するか、廃棄しなければならない、と定めます。肝は、2項です。

条文公文書等の管理に関する法律8条2項

公文書等の管理に関する法律 第八条(2項)   行政機関(会計検査院を除く。以下この項、第四項、次条第三項、第十条第三項、第三十条及び第三十一条において同じ。)の長は、前項の規定により、保存期間が満了した行政文書ファイル等を廃棄しようとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣に協議し、その同意を得なければならない。この場合において、内閣総理大臣の同意が得られないときは、当該行政機関の長は、当該行政文書ファイル等について、新たに保存期間及び保存期間の満了する日を設定しなければならない。

読み方です。廃棄するときは、あらかじめ、内閣総理大臣に協議して、同意を得なければなりません。同意が得られなければ、新たに保存期間と満了日を設定します。つまり、各省が、自分の判断だけで捨てることはできません。4項では、総理大臣が、特に保存の必要があると認めるときは、廃棄の措置をとらないよう求めることもできます。保存期間の満了で廃棄されたのなら、手順を踏んでいる限り、廃棄の前に総理の同意があるはずです。同意の手順が働いていれば、「保有していません」という返事は、簡単には出にくくなります。ただし、切り分けがあります。作成義務は軽微な事案を除きますし、廃棄が適法なら、「保有していない」は、適法な不開示になりえます。公文書管理法は、不開示決定の立証責任を動かす法律ではありません。文書が作られ、残る可能性を高める仕組みです。

監督の仕組みと、移管された文書の利用

監督と特定歴史公文書等(監督=行政文書管理規則〔10条:作成・整理・保存・管理簿・移管または廃棄などを定める/制定・変更には総理大臣への協議と同意〕・管理状況の毎年度の報告〔9条1項〕・報告や資料の提出・実地調査〔9条3項〕・勧告〔31条〕/公文書管理委員会=内閣府〔28条1項〕・総理大臣が諮問〔29条:10条3項・25条・27条3項の同意をしようとするとき・31条の勧告をしようとするとき等〕=8条2項の廃棄の同意は29条の必須諮問に列挙なし/移管後=特定歴史公文書等:15条1項永久保存・16条1項利用請求・21条審査請求→原則として公文書管理委員会に諮問〔4項〕) 図:監督と特定歴史公文書等

  • 監督=行政文書管理規則〔10条:作成・整理・保存・管理簿・移管または廃棄などを定める/制定・変更には総理大臣への協議と同意〕・管理状況の毎年度の報告〔9条1項〕・報告や資料の提出・実地調査〔9条3項〕・勧告〔31条〕
  • 公文書管理委員会=内閣府〔28条1項〕・総理大臣が諮問〔29条:10条3項・25条・27条3項の同意をしようとするとき・31条の勧告をしようとするとき等〕=8条2項の廃棄の同意は29条の必須諮問に列挙なし
  • 移管後=特定歴史公文書等:15条1項永久保存・16条1項利用請求・21条審査請求→原則として公文書管理委員会に諮問〔4項〕

では、各省が、作って残すルールを守っているかを、誰が見張るのか。まず、監督です。各行政機関の長は、行政文書管理規則を定めます。作成、整理、保存、管理簿、移管または廃棄などの基準で、制定や変更には、内閣総理大臣への協議と同意が要ります。10条です。管理状況は、毎年度、総理大臣に報告し、総理は、報告や資料の提出を求め、実地調査もできます。9条です。必要なときは、勧告もします。31条です。内閣府には、公文書管理委員会が置かれます。28条です。総理大臣が、一定の場合に諮問します。29条です。政令の制定改廃の立案、規則の同意をしようとするとき、31条の勧告をしようとするとき、などです。ここで、落とし穴があります。8条2項の廃棄の同意は、29条の必須の諮問事項に、列挙されていません。ですから、廃棄の同意のたびに委員会に諮問する、とは言えません。次に、移管されたあとです。8条1項に基づいて国立公文書館等に移管された歴史公文書等は、特定歴史公文書等と呼ばれます。15条1項で、国立公文書館等の長は、これを、永久に保存します。16条1項で、目録の記載に従って利用の請求があれば、個人情報などの列挙された場合を除いて、利用させなければなりません。たとえば、設例の議事録が、歴史公文書等として国立公文書館等に移管されていたら、もう行政文書ではありません。行政文書から除かれるもの、として、前に名前だけ見た文書です。Bは、情報公開法の開示請求ではなく、この利用請求で見ることになります。21条1項で、その処分や不作為に不服がある人は、国立公文書館等の長に審査請求ができます。審理員は置かず、原則として公文書管理委員会に諮問します。却下の場合と、全部を利用させる場合は除きます。

21条の、審理員を置かずに諮問する作りは、前回の情報公開法と同じです。前回の18条は、審理員を置かないこと、19条は、審査会への諮問でした。審理員は、処分に関わっていない職員が審理する仕組みです。それを置かない代わりに、外部の委員会に意見を聞く、つまり諮問して、判断の公正さを担います。

独立行政法人等の情報公開法

独立行政法人等情報公開法(情報公開法の請求先=行政機関の長/独立行政法人・国立大学法人など同法別表に列記された法人が保有する文書=別の法律/1条=国民主権の理念に基づき法人文書の開示請求権+独立行政法人等の諸活動に関する情報の提供を定める/3条=何人も独立行政法人等に対し当該法人の保有する法人文書の開示を請求できる/審査請求→同じ情報公開・個人情報保護審査会に諮問〔19条〕/特色=22条の情報提供〔組織・業務・財務の基礎的な情報などを適時に国民が利用しやすい方法で提供〕) 図:独立行政法人等情報公開法

  • 情報公開法の請求先=行政機関の長
  • 独立行政法人・国立大学法人など同法別表に列記された法人が保有する文書=別の法律
  • 1条=国民主権の理念に基づき法人文書の開示請求権+独立行政法人等の諸活動に関する情報の提供を定める
  • 3条=何人も独立行政法人等に対し当該法人の保有する法人文書の開示を請求できる
  • 審査請求→同じ情報公開・個人情報保護審査会に諮問〔19条〕
  • 特色=22条の情報提供〔組織・業務・財務の基礎的な情報などを適時に国民が利用しやすい方法で提供〕

最後の一覧です。情報公開法の請求先は、行政機関の長です。では、独立行政法人や国立大学法人が持つ文書は、どうなるのでしょうか。別の法律があります。独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律です。この法律の3条を読みます。

条文独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律3条

独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律 第三条   何人も、この法律の定めるところにより、独立行政法人等に対し、当該独立行政法人等の保有する法人文書の開示を請求することができる。

読み方です。請求先が、行政機関の長から、独立行政法人等に変わり、対象が、行政文書から、法人文書に変わります。開示決定等の審査請求は、同じ情報公開・個人情報保護審査会に諮問します。19条で、情報公開法の19条と同じ形です。却下と、全部を開示する場合は除き、諮問した旨の通知があり、反対意見書の扱いがあります。特色は、22条の情報提供です。組織、業務、財務に関する基礎的な情報などを記録した文書などを作成して、適時に、国民が利用しやすい方法で提供します。開示請求を待たずに、積極的に出す制度です。対象が違うだけで、型は同じです。

設例の通し——1つの請求を、最初から最後まで追う

設例の通し(乙省 A・請求者 B/①検討資料の一部を5条5号で不開示→取消訴訟→誰が文書を見る=裁判所は見られない→誰が何を示す=A が判断を可能とする程度に具体的な事実で〔条例の事件〕/②議事録は「保有していない」→取消訴訟→B が決定時の保有を示す・作成の立証があっても推認は個別具体的に検討〔改正前の情報公開法の事件〕/③前提の道具=4条作る・5条保存期間と満了時の措置・7条管理簿で見える・8条捨てるには総理の同意/④A が独立行政法人等なら請求先は法人〔独法等情報公開法3条〕・型は同じ) 図:設例の通し

  • 乙省 A・請求者 B
  • ①検討資料の一部を5条5号で不開示→取消訴訟→誰が文書を見る=裁判所は見られない→誰が何を示す=A が判断を可能とする程度に具体的な事実で〔条例の事件〕
  • ②議事録は「保有していない」→取消訴訟→B が決定時の保有を示す・作成の立証があっても推認は個別具体的に検討〔改正前の情報公開法の事件〕
  • ③前提の道具=4条作る・5条保存期間と満了時の措置・7条管理簿で見える・8条捨てるには総理の同意
  • ④A が独立行政法人等なら請求先は法人〔独法等情報公開法3条〕・型は同じ

今日の内容を、設例で通します。各場面で、3つを言います。どの条文や判例の話か。誰が文書を見るか。誰が何を示すか。1つ目。Bが、検討資料の一部を5条5号で不開示にされ、取消訴訟を起こします。裁判所は、文書を見られません。示すのは、Aです。抽象的に、支障がある、と言うだけでは足りず、判断を可能とする程度に具体的な事実で示します。これが、条例の事件の判決です。2つ目。Bが、議事録を請求し、Aは、保有していない、と答えます。取消訴訟では、決定の時の保有を、Bが示します。会議の開催や、議事録の作成が分かっても、決定の時の保有の推認は、個別具体的に検討されます。これが、改正前の情報公開法の事件の判決です。3つ目。だから、前提の道具として、公文書管理法があります。4条で作る。5条で保存期間と満了時の措置を定める。7条で、管理簿で見えるようにする。8条で、捨てるには総理大臣の同意を得る。4つ目。もしAが独立行政法人等なら、請求先は法人で、独立行政法人等情報公開法の3条です。型は同じです。

今日の地図(保存版)

今日の地図(①不開示情報に当たること=不開示にした側が判断を可能とする程度に具体的な事実を主張、立証する必要〔条例の事件〕/②保有していないという決定=決定時の保有は請求者・推認は個別具体的に〔本件では推認するには足りず〕/③公文書管理法=作る〔4条〕・整理〔5条〕・保存〔6条〕・管理簿〔7条〕・移管または廃棄〔8条・廃棄には総理の同意〕/④特定歴史公文書等=永久保存・利用請求・諮問/⑤独法等情報公開法=対象が独立行政法人等になるだけで型は同じ〔3条〕/次回=個人情報保護制度①) 図:今日の地図

  • ①不開示情報に当たること=不開示にした側が判断を可能とする程度に具体的な事実を主張、立証する必要〔条例の事件〕
  • ②保有していないという決定=決定時の保有は請求者・推認は個別具体的に〔本件では推認するには足りず〕
  • ③公文書管理法=作る〔4条〕・整理〔5条〕・保存〔6条〕・管理簿〔7条〕・移管または廃棄〔8条・廃棄には総理の同意〕
  • ④特定歴史公文書等=永久保存・利用請求・諮問
  • ⑤独法等情報公開法=対象が独立行政法人等になるだけで型は同じ〔3条〕/次回=個人情報保護制度①

最初の問いに戻ります。不開示の理由を示すのは誰か。文書の有無を示すのは誰か。答えは、場面で変わる、です。持ち帰るのは、5点です。1つ目。不開示情報に当たることは、不開示にした行政が、判断を可能とする程度に具体的な事実を、主張、立証する必要があります。これは、条例の事件の判決で、理由づけは判決に書かれておらず、開示が原則、文書は行政の手元、というのは、説明の側の考え方です。2つ目。保有していないという決定では、決定の時の保有は、請求者が示します。作成や取得が立証されても、推認は個別具体的に検討され、この事件では推認するには足りませんでした。3つ目。公文書管理法は、作る4条、整理5条、保存6条、管理簿7条、移管または廃棄8条を規律し、廃棄には総理大臣の同意が要ります。ただし、立証責任を動かす法律ではありません。4つ目。移管された特定歴史公文書等は、永久保存、利用請求、不服は委員会への諮問、という作りです。5つ目。独立行政法人等情報公開法は、対象が独立行政法人等になるだけで、型は同じです。論文でも論点になりうるところです。裁判所が文書を見られない前提で、行政が、どう示すのか。そこを、判決の言い方と、説明の考え方を分けて言えるようにしておいてください。情報公開は、みんなに見せる制度でした。個人情報保護は、本人以外には見せず、本人には見せる制度です。法制の一元化と、行政機関等の義務を見ます。

参照条文

  • 公文書等の管理に関する法律1条
  • 公文書等の管理に関する法律4条
  • 公文書等の管理に関する法律8条2項
  • 独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律3条

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