刑事訴訟法ゼロから刑事訴訟法#1

刑事訴訟法とは何か

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骨格刑事訴訟法は、何を定め、何のためにあるのか

  • 1 何を定める法か:刑法=何が罪か/刑事訴訟法=どう確かめるか(捜査・裁判・執行の手続)。
  • 2 何のためか(1条):人権保障=適正手続主義/真相の解明=実体的真実主義/+迅速。
  • 3 適正手続主義:根拠は憲法31条以下。31条の「法律の定める手続」=適正な手続(多数説)。
  • 4 実体的真実主義:解明すべき「事案の真相」=刑罰権の有無と量(核心司法)。事実は証拠から法廷で組み立てる。
  • 5 迅速:遅延で権利が害された異常な事態(被告人側が主因でない)→ 判例は憲法37条1項から免訴で打ち切り(条文に無い救済)。
  • 6 2つの理念の関係:両立(強制された自白を証拠にしない)/衝突(違法な捜索で得た証拠)。
  • 7 法源:憲法 → 刑事訴訟法 → 刑事訴訟規則の三層+特別法・条約。判例は事実上重要。

⚠ 公共の福祉≠人権保障の言い換え/「真実」≠事件のあらゆる事実/どちらの理念を重視するかだけでは答えは出ない

刑法と刑事訴訟法

刑法は「何が罪か」を、刑事訴訟法は「それをどう確かめるか」を決めます。同じ事件でも、問いそのものが違います。

刑法(実体法)刑事訴訟法(手続法)
決めることどんな行為に、どんな犯罪が成立し、どんな刑罰が科されるか刑法を現実の行為に当てはめるための手続(捜査・裁判・確定した裁判の執行)
自転車盗の問い窃盗罪が成立するか警察は家の中を見てよいか。何で立証するか
答えの出し方条文の要件に事実を当てはめれば、犯罪が成立するかの答えが出る捜査 → 起訴 → 裁判と段階が進むごとに、次へ進んでよいかを、憲法と刑事訴訟法の定める条件(例:家を捜索する前に令状)で確かめる
  • 刑事訴訟法が扱う範囲:捜査(裁判の準備)、裁判(刑罰を科すかの判断)、確定した裁判の執行の3つです。
    • 例:自転車盗で有罪判決が確定した → その刑の執行も刑事訴訟法が定めます(裁判は確定した後に執行する=471条)。
  • 手続なくして刑罰なし:どれだけ疑わしくても、決められた手続を踏まなければ、刑罰は科せません。
    • 刑事訴訟法は、憲法31条の「法律の定める手続」を具体化する法律です。
  • 起訴:検察官が裁判所に「この人を裁いてほしい」と求めることです(公訴の提起)。
  • 被疑者/被告人:起訴される前/起訴された後の呼び名です。同じ人でも、起訴の前後で呼び名が変わります。
  • 令状:住居の捜索のように、相手の意思に反してでも、住居・身体などに強い制約を加える処分(強制処分。どこからが強制処分かの基準は、捜査の場面で詳しく問題になります)には、2つの関門があります。①その処分が法律に定められていること(197条1項ただし書。定めが無ければできない)②実際に行うときに、原則として裁判官の令状があること(憲法33条・35条)。令状は、その処分を裁判官があらかじめ許可する書面です。警察の判断だけで踏み込めないよう、第三者の裁判官のチェックを挟みます。
    • 例:令状を持たない警察官に「家の中を見せてほしい」と頼まれた → 住居の捜索には、原則として令状が要ります(憲法35条1項・218条1項)。例外は、被疑者を逮捕する場面で、必要があれば令状なしで住居に入り被疑者を捜したり、逮捕の現場で捜索したりできます(220条1項・3項)。令状も無く、逮捕の場面でもないなら、これは任意の協力の求めで、応じるかどうかは頼まれた人が決めます。なお警察の内部規則では、住居の捜索は、住人が任意に承諾すると認められる場合でも令状を取って行うことになっています(犯罪捜査規範108条)。
  • 少年法:20歳未満の少年の事件も、捜査は原則として刑事訴訟法によりますが、その後は原則として少年法の手続に移ります。少年は成長の途中で、立ち直る余地が大きい(可塑性)からです。
    • 例:同じ自転車盗でも、犯人が19歳なら → 捜査の後は原則として家庭裁判所に送られ、成人と違う手続に乗ります。
  • 民事訴訟法:私人どうしのもめ事を解決する手続です。刑事訴訟法は、国家が人を罰してよいかを扱います。

1条:目的を1文にまとめた条文

1条からは、適正手続主義と実体的真実主義の2つの柱と、3つ目の要請である迅速が導かれます。

  • 1条の役割:刑事訴訟法の目的を1つの文で定めた条文です。要素に分けると次の4つです。
1条の要素対応する理念節
① 公共の福祉の維持②と衡量される相手方(社会の側の利益。例:犯罪を捜査して犯人を罰し、社会の秩序を保つこと)第3節
② 個人の基本的人権の保障適正手続主義第3節
③ 事案の真相を明らかにし実体的真実主義第4節
④ 適正且つ迅速に「適正」は②と重なる。「迅速」が独立した3つ目の要請第5節
  • ①と②は別の利益:1条は①と②を「…と…とを全うしつつ」と並べています。①は社会の側の利益で、②と釣り合わせる相手方です。
    • 例:犯人を見つけて罰するには、関係者の家を調べたい(①)。しかし調べれば、住人の住居の権利が制約されます(②)。2つが反対を向くので、どこまで調べてよいかを量る必要があります。
    • 例:「①公共の福祉の維持は、②人権保障の言い換え」は誤りです。上の例のとおり別の向きの利益で、憲法31条以下も、公共の福祉と衡量したうえで、刑事手続での人権保障のあり方を定めています。
  • 1条に無いもの:被害者の救済:被害の回復は、理念的には民事訴訟で実現することが想定されています。刑事手続は、被害者の利益を守る制度を設けるにとどまります。
    • 例:被害者が法廷で、被害についての心情や意見を述べる制度があります(292条の2)。
    • 理由:刑事裁判には、破られた「してはならない」というルールを、刑罰で確認し直す役割があります。被害者の意向は事件ごとに違います(厳しい処罰を望む人も、望まない人もいる)。救済を正面に置いてその意向で結論が動くと、同じ罪でも処罰が揺れ、ルールの確認が働かなくなるおそれがあるからです。
    • 例:「被害者の救済も刑事訴訟法の直接の目的」は誤りです。1条には書かれていません。

1条|刑事訴訟法 第一編 総則(1〜188条の7)この法律は、刑事事件につき、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現することを目的とする。

適正手続主義

刑事手続は個人の権利を強く制約するので、その制約は正しいやり方で行わなければなりません。根拠は憲法31条以下です。

  • なぜ必要か:刑事手続は、国家が個人の権利・自由を強く制約する場面を前提にしているからです。
    • 例:被疑者の逮捕・勾留(身体の拘束)、事件の関係者の家の捜索・押収
  • 意味:そこで、被疑者・被告人や一般市民の人権を保障しながら、手続を全うすることを重視する理念です。
    • 例:盗品が友人の家に隠されているとして、犯罪に関わっていない友人の家を捜索する → 友人の住居の権利も制約されます。守る相手は、被疑者・被告人だけではありません。
  • 根拠:憲法31条以下です。公共の福祉と衡量したうえで、刑事手続での人権保障のあり方を定めています。
    • 31条:文言は「法律の定める手続」だけです。それでも多数説(学者の多くが支持する解釈)は、これを適正な手続の意味に読みます(デュー・プロセスの保障)。手続が法律に書いてあるだけでなく、中身が適正であることまで求める読み方です。
      • 例:言い分を述べる機会を全く与えずに刑罰を科す手続は、たとえ法律に書いてあっても、この読み方では31条に反します。
    • 33条以下:逮捕・捜索の令状主義(33条・35条)、拷問の禁止(36条)、自己に不利益な供述の強要の禁止(38条1項)などの個別の保障です。

31条|日本国憲法 第三章 国民の権利及び義務(10〜40条)何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。

実体的真実主義と「真実」の範囲

真相を明らかにしますが、対象は刑罰法令の適用に必要な事実だけで、訴訟法の制限を経た証拠から組み立てます。

(1) 意味と理由

  • 意味:犯罪事実の有無と中身を、正確に明らかにすべきだとする理念です。
  • なぜ必要か:刑罰権の行使は、事実に基づかなければ正当化されないからです。事実を誤ったまま罰すれば、それ自体が不正義になります。
    • 例:自転車を盗んでいない人が「なんとなく怪しい」だけで有罪にされれば、何もしていないのに自由を奪われます。

(2) 民事訴訟との違い

民事訴訟刑事訴訟
理念形式的真実主義実体的真実主義
当事者が認めた事実証明なしに認定できる(民事訴訟法179条・159条1項)自白だけでは有罪にしない。補強証拠が要る(319条2項・3項)
争いの終わらせ方和解など、当事者の合意で決められる有罪かどうかを当事者の合意で決めることは認めない
理由私人どうしのもめ事なので、当事者が争わない以上、踏み込む必要がない1条が事案の真相の解明を掲げる。国家が人を罰する重い判断を合意に委ねると、事実に基づかない処罰が起きうる
  • 形式的真実主義:当事者が争わない事実は、証明が無くてもそのまま事実として扱う考え方です。
  • 補強証拠:自白のほかに、その自白が本当だと裏づける証拠です。被告人の自白(犯罪をした事実を認める供述)が唯一の証拠なら、有罪にできません(319条2項)。何をしたかは語らず、起訴された罪について「有罪です」と認めた場合(有罪の自認)も同じです(同条3項)。
    • 例:貸金の裁判で、借主が法廷で「借りました」と認めた → その事実は証明がいりません。刑事で被告人が法廷で「盗みました」と認めても、それが唯一の証拠なら有罪にできません。
    • 例:法廷の冒頭で被告人が「起訴された罪について、私は有罪です」とだけ述べた → これも自白と同じ扱いで、ほかに裏づけの証拠が無ければ有罪にできません。
  • 根拠は憲法か刑事訴訟法か:憲法38条3項も「自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ」ないと定めます。ただし判例は、この「本人の自白」に法廷(公判廷)での自白を含めません。法廷の自白にまで補強を求めているのは、刑事訴訟法(319条2項の「公判廷における自白であると否とを問わず」)です。
    • 例:「法廷の自白にも補強が要るのは、憲法38条3項の要求」は誤りです。憲法の要求でないので、法律を変えて、法廷で罪を認めればそれだけで有罪にできる制度を作っても、憲法上は許されうると解されています。

(3) 範囲:核心司法(有無と量)

  • 核心司法:解明すべき「事案の真相」は、次の2つを確定することに尽きます。
    1. 刑罰権の有無:刑罰法令の定める犯罪事実を、被告人が行ったか
    2. 刑罰権の範囲(量):行ったのなら、刑を決めるうえで重要な事実(情状)
  • なぜ絞るのか:刑事裁判は、刑罰法令を適用してよいか、どれだけの刑を科すかを決める場です。そのために必要な事実が明らかにされるにとどまります。
    • 例:「刑事裁判は事件の真相を全部明らかにする場所」は誤りです。
  • 注意:裁判所が判断する事実が2つしかない、という意味ではありません。自白が任意にされたか(強制された自白などは証拠にできない=319条1項)など、訴訟手続上の事実も判断します。
  • 自転車盗に当てはめると、次のように分かれます。
自転車盗の例「真実」に含まれるか
本当に盗んだか含まれる(有無)
初犯か常習か、反省しているか、弁償したか含まれる(量刑にかかわる事情)
交友関係の全て、事件と関係のない生い立ち、無関係な借金トラブル含まれない(量刑に直接かかわらない限り)

(4) 方法:法廷で組み立てる

  • 訴訟的真実:裁判所は過去に直接触れられず、訴訟法上の制限を経て法廷で取り調べた証拠から事実を認定します。そのため事実は「構築される」といわれます。
    • 例:違法な捜索で見つかった証拠物が、証拠から排除された → 被告人が実際にそれを持っていたとしても、残りの証拠で証明できなければ、その事実は認定されません。
  • 当事者主義:起訴の後、法廷で事実を主張し証拠を出す(主張・立証)のを主導するのは、検察官と被告人(当事者)で、その結果の責任も当事者が負う、という考え方です。弁護人は被告人を助ける立場で、当事者ではありません。
    • 対になるのが職権主義=裁判所が事実の究明を主導し、その責任も負う考え方です。
    • 当事者主義のもとでは、裁判所は、当事者双方の主張・立証を通じて事実を組み立てます。現行法はこの型を大きく取り入れています。ただ、証拠を出す役は当事者でも、有罪かどうかは合意では決めず((2)の表)、法廷で取り調べた証拠から裁判所が判断します。
  • 公判:起訴の後、法廷で行う審理のことです。法廷は「公判廷」ともいいます。
  • 公判中心主義:事案の真相は、取調室よりも法廷で解明すべきだという考え方です。核心司法(何を明らかにするか)を、どこで明らかにするか(法廷)の面から実質的に支えます。
    • なぜ法廷か:捜査段階の書面が裁判の結論を事実上決めてしまうと、法廷は捜査の結果を確認してなぞるだけの場になるからです。そうなると、裁判官が証人の話を法廷で直接聞き、当事者が問いただして確かめる機会が、結論に生きなくなります。
    • 心証:裁判官が証拠から得る「この事実はあった(なかった)」という判断のことです。
    • 中身①:捜査段階の供述調書(取調べで話した内容を書き取った書面)に頼りきらず、法廷の証人尋問などで結論を決める
    • 中身②:心証は、裁判官が執務室で書面を読んでとるのではなく、当事者双方が立ち会う法廷でとる

迅速の要請

「迅速」は独立した要請です。刑事訴訟法に打ち切りの規定は無いものの、判例は憲法37条1項を根拠に免訴で打ち切りました。

  • 1条の「迅速」の理由:被告人を早く手続から解放し、犯人を罰して破られたルールを実効的に確認し直す(規範の回復)ためです。
  • 憲法37条1項:被告人に迅速な裁判を受ける権利を保障します。趣旨は次の2つです。
    • 被告人の負担:身柄の拘束や不安定な立場を、過剰に長く負わせない
    • 証拠の劣化:記憶が薄れ、証拠が散逸して、立証が難しくなるのを避ける

37条(抜粋)|日本国憲法 第三章 国民の権利及び義務(10〜40条)1項:すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。

事実高田事件(最大判昭47・12・20)

  • 検察官の立証の途中で、第一審の審理が15年余り事実上止まりました。きっかけは、別の事件との併合を望み、その事件の終わりを待ってほしいという弁護人側の要望を、裁判所が受け入れたことでした。
  • 最高裁は、逃亡・出廷拒否・引き延ばしなど遅れの主な原因が被告人側にあれば、権利を自ら放棄したとみます。本件では、別の事件が予想外に長引く間、裁判所は再開せず、検察官も被告人側も促しませんでしたが、被告人側に逃亡や引き延ばしの様子はうかがわれません。当初の要望を受け入れたことだけで、主な原因が被告人側にあるとただちに推認するのは相当でない、とされました。
  • さらに、有利な証拠の喪失や記憶の減退のおそれなどから、被告人の利益が実際に害されたとも認めました。
  • 最高裁は、憲法37条1項は、審理の著しい遅延で被告人の権利が害された異常な事態には、具体的な規定がなくても審理を打ち切る非常救済手段を認める趣旨だとしました。打ち切り方の明文の規定は無いが、本件では免訴の判決が相当としました。
  • 結論:第一審の免訴判決を、高裁が取り消して第一審に差し戻していました。最高裁はその高裁判決を破棄し(取り消し)、第一審の免訴判決を結論において正当として(検察官の控訴を棄却)、手続は打ち切られました。
  • 打ち切りの道具は免訴:刑事訴訟法には、審理の遅れを理由に手続を打ち切る規定がありません。判例は、憲法37条1項から直接、免訴で打ち切る道を認めました。
    • 免訴:有罪か無罪かを判断しないまま、手続を打ち切る判決です。無罪(罪を犯したと証明されなかった)とは違い、罪を犯したかどうかには立ち入りません。
    • 例:「最高裁は、免訴の条文(337条)を当てはめた」は誤りです。337条の免訴の事由は確定判決・刑の廃止・大赦・時効で、遅延はありません。最高裁は、明文の規定は無いとして、憲法37条1項から導きました。
  • どんな遅延なら当たるか:遅れた期間だけで一律に決めず、遅れた原因・理由からみてその遅れがやむをえないものか、守られるべき利益がどれだけ害されたかを合わせて判断します。
    • 例:事件が複雑で、結果として長くかかった → 当たりません。判例は、やむをえない遅れの例として、これを「該当しないこともちろん」とします。

2つの理念の関係

2つの理念は両立も衝突もします。どちらを重視するかだけでは答えは出ず、制度ごとの趣旨と具体的な利益で考えます。

実体的真実主義適正手続主義
たとえアクセル:真相を明らかにしようと前に進む力ブレーキ:行き過ぎを止める力
振り切ると拷問してでも自白させる → 冤罪と人権侵害少しの手続の問題で証拠が一切使えない → 処罰の空洞化
  • 両立する場面:強制・拷問で得た自白を、証拠として使わせない(憲法38条2項・319条1項)。
    • 嘘の自白が判決に紛れ込むのを防ぎ(真実)、黙秘権(話したくないことを話さなくてよい権利。憲法38条1項の供述の強要の禁止とつながる)の保障にもつながりえます(適正)。
  • ぶつかる場面:違法な捜索で見つかった重要な証拠物を、裁判で使ってよいか。違法収集証拠排除法則の問題です。
    • 例:「違法な捜索で見つかった証拠は、必ず使えない」は誤りです。判例は、令状主義の精神を没却する(台無しにする)ような重大な違法があり、証拠として許すことが将来の違法な捜査の抑制の見地から相当でないときに、証拠能力(証拠として使える資格)を否定します。1条を引き、真相の究明と適正な手続の両方を踏まえて立てた基準です。
  • 考え方:どちらの理念を重視するかを決めるだけでは、個々の問題は解けません。制度ごとの趣旨に応じて、より具体的な利益を検討します。上の違法収集証拠の基準は、「違法の重さ」と「将来の違法捜査を抑える必要」という具体的な物差しで線を引いた例です。

法源

刑事手続の根拠になる法(法源)は、憲法 → 刑事訴訟法 → 刑事訴訟規則の三層が骨組みです。

位置法源内容
三層①憲法最上位。31〜40条の10か条を刑事手続に割く
三層②刑事訴訟法手続の中核となる法典。憲法31条以下を具体化する
三層③刑事訴訟規則国会ではなく最高裁判所が自分で作る規則(憲法77条1項の規則制定権)。細目・補充的な事項を置く
その他特別法例:警察官職務執行法(職務質問)、通信傍受法、裁判員法
その他条約日本で別に法律を作らなくても、そのまま適用できる条約の内容。例:外交官の刑事裁判権の免除(外交官は原則として日本の刑事裁判にかけられない)
その他判例法源かは議論がある。判例違反は上告理由なので、事実上重要
  • 上告・破棄:上告=高等裁判所の判決などに不服がある側が、最高裁判所に審理を求めることです。破棄=上の裁判所が、下の裁判所の判決を取り消すことです。
  • 判例が事実上重要な理由:判例と相反する判断は、それ自体が上告の理由になります(405条2号・3号)。最高裁の判例が無い論点では、大審院などの判例と違う判断も上告の理由です(3号)。だから判決を予測するうえで判例は重要で、法律家の行動を大きく左右します。
    • 例:高裁が最高裁の判例と違う判断をした → 上告できます(405条2号)。ただし判決に影響しないことが明らかなら破棄されず(410条1項ただし書)、最高裁が判例を変えて高裁の判断を維持することもあります(410条2項)。

405条(抜粋)|刑事訴訟法 第三編 上訴 第三章 上告(405〜418条)高等裁判所がした第一審又は第二審の判決に対しては、左の事由があることを理由として上告の申立をすることができる。二 最高裁判所の判例と相反する判断をしたこと。三 最高裁判所の判例がない場合に、大審院若しくは上告裁判所たる高等裁判所の判例又はこの法律施行後の控訴裁判所たる高等裁判所の判例と相反する判断をしたこと。

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