逮捕④逮捕後の手続
問い:逮捕した後、誰が、いつまでに、何をしなければならないか。逮捕されている間、被疑者は何ができるか。
骨組み
- 1合流:緊急逮捕()・現行犯逮捕()も通常逮捕の規定を準用 → 逮捕の種類で逮捕後の手続は変わらない(現行犯でも弁解の機会が要る)
- 2引致():検察事務官→検察官/司法巡査→司法警察員へ直ちに。留置の要否を決めるのは司法警察員・検察官だけ(司法巡査は自分で釈放できない)。自ら逮捕した司法警察員・検察官に引致は無い
- 33点セット(・):直ちに①犯罪事実の要旨②弁護人を選任できる旨を告げ、③弁解の機会。逮捕状を示していても要旨は告げる。勾留状の執行後には3点セットの定めは無い。逮捕の時に弁護人・親族へ通知する定めは無い
- 4選任権の告げ方(〜):弁護人の有無を尋ね、あれば告げなくてよい/申出先の教示(3項)/引き続き勾留を請求された場合の国選の教示(4項)=国選は勾留の段階から
- 5憲法とのつながり:要旨の告知・弁護人依頼=憲の文言/弁解の機会はの文言に無い=の適正手続に結びつける整理。その例として引かれるのが最大判昭37=告知・弁解・防御の機会なしに奪うのは憲法の容認しないところとした(逮捕ではなく第三者所有物の没収の事件・違反とした条文は・)
- 6弁解録取≠取調べ:主体=検察官・司法警察員だけ(司法巡査は不可)/対象=逮捕された被疑者だけ/黙秘権の告知は条文上の定めが無い(解説書:実務では告げている)。録取書を作る規定は刑訴法には無い(警察は犯罪捜査規範130条1項4号)
- 7留置の要否:弁解を聞いて、必要が無ければ直ちに釈放(送致しない・緊急逮捕でも同じ)。検察官の釈放に裁判官の裁判は要らない
- 848時間():起算=身体を拘束された時(引致・受取・逮捕状発付の時ではない)。終点=送致する手続(届くことまでは要らない)
- 924時間():起算=検察官が受け取った時。送致を受けた検察官が与えるのは弁解の機会(告知の定めは無い)
- 1072時間():24時間の制限にかぶせる上限(身体を拘束された時から)。期限=受理+24時間と拘束+72時間の早い方。受理が48時間を越えた分だけ短くなる
- 11公訴提起で代える(・ただし書):制限内に起訴すれば勾留請求は要らない=逮捕中のまま起訴できる(釈放してからでなくてよい)
- 12検察官のもとにいる場合():検察官が自ら逮捕/検察事務官が逮捕し引致/私人から引渡し 等 → 拘束から48時間で勾留請求か起訴。送致の段も72時間も無い。勾留を請求できるのは検察官だけ
- 13私人の現行犯逮捕(〜):直ちに検察官か司法警察職員へ引渡し(司法巡査が受け取れば司法警察員へ引致)。逮捕状の請求は無い。48時間は私人が捕まえた時から(受け取った時からではない)
- 14守れなかったら(・・):直ちに釈放。例外はのやむを得ない事情だけ(疎明・裁判官が正当と認めなければ勾留状は出ない)=狭い(解説書:天変地異・事故等に限られ、ほぼ認められない)
- 15接見():弁護人となろうとする者とも、立会人なく接見できる。書類・物の授受もできる。逮捕の段階から
- 16準抗告(最一小決昭57):逮捕に関する裁判・処分はの準抗告の対象外(決定は理由を述べていない)。決定の外(解説書):勾留請求の審査で逮捕の違法も問われ、勾留の裁判には準抗告ができる
色の札は出どころ:条文 判例 学説。条文番号は押すと条文、丸い札(出題)は押すと過去問の肢と正答が出ます。短答は「判例の立場」を問うので、判例と学説を混ぜない。
13つの入り口が1本に合流する条文
- :前条の規定により被疑者が逮捕された場合(緊急逮捕)には、第199条の規定により被疑者が逮捕された場合に関する規定を準用する。:現行犯人が逮捕された場合には、第199条の規定により被疑者が逮捕された場合に関する規定を準用する。
- だから、どの入り口から入っても、逮捕後の手続(〜)は同じ形になる=逮捕の種類で異なるところはない。
| 入り口 | 逮捕後の手続に入る経路 |
|---|---|
| 通常逮捕() | の逮捕そのもの |
| 緊急逮捕() | で準用 |
| 現行犯逮捕() | で準用 |
- この回の3つの層:①告知と弁解(項目2〜7)、②時間の制限(項目8〜13)、③時間を守れなかったときの効果(項目14)。
- この回の行き着く先の勾留=検察官の請求を受けた裁判官が勾留状を出して続ける身体拘束()。逮捕は捜査機関の手元での短い拘束(48・24・72時間)、勾留は裁判官の判断を経た拘束で、請求の日から10日以内に起訴しなければ釈放(・延長は通じて10日まで=同2項)。
出題緊急逮捕された者には弁解の機会が要るが、現行犯逮捕された者には要らない(×)
- 「引致を受けた司法警察員は、緊急逮捕された甲には弁解の機会を与える必要があるが、現行犯逮捕された乙には与える必要がない」
2引致:判断できる人の元へ、直ちに()条文
- :検察事務官又は司法巡査が逮捕状により被疑者を逮捕したときは、直ちに、検察事務官はこれを検察官に、司法巡査はこれを司法警察員に引致しなければならない。
- 引致=身体の自由を拘束した人を、決められた場所へ強制的に連れて行くこと。
- 登場する人:司法警察職員=司法警察員と司法巡査をまとめた呼び名(のかっこ書)。警察官は司法警察職員として職務を行う()。検察事務官=検察官の指揮を受けて捜査する()。この回で留置の要否を判断するのは、司法警察職員のうち司法警察員と、検察官。
- 弁解を聞いて留置の要否を決めるのは、・で司法警察員と検察官に割り当てられている。検察事務官・司法巡査は、その判断をする人の元へ直ちに連れて行く。
- 引致が要るのは検察事務官・司法巡査が逮捕したときだけ。司法警察員・検察官が自ら逮捕したときは引致は無く、そのまま自分で3点セット(項目3)に進む。
- の文言は「逮捕状により」だが、緊急逮捕・現行犯逮捕も準用(項目1)で同じ=司法巡査はどの逮捕でも直ちに司法警察員へ引致する。
- 司法巡査は、自分で留置の要否を判断して釈放することはできない。
出題司法巡査は、逮捕状による逮捕に限らず、直ちに司法警察員に引致する(○)
出題司法巡査が、現行犯逮捕した被疑者を留置の必要がないと考えてすぐに釈放した(×)
- 「司法巡査が、現行犯人として逮捕した後、留置の必要がないと考え、すぐに釈放した」(適法とする形)
33点セット:告知と弁解の機会(・)条文
- :司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、又は逮捕状により逮捕された被疑者を受け取つたときは、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から四十八時間以内に書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければならない。
- 直ちに告げる2つ:①犯罪事実の要旨(何を疑われているか)②弁護人を選任することができる旨。その上で③弁解の機会(言い分を言える場)。
- 逮捕状により逮捕したときも、①を省けない(は「逮捕状により被疑者を逮捕したとき」に3つとも求める)。
- 検察官が自ら逮捕したとき・逮捕された被疑者を(送致によらず)受け取ったとき()も、同じ3点。
- 3点セットは逮捕の後の手続。勾留状を執行した後に、同じ告知と弁解の機会を求める定めは無い。
- 逮捕したとき直ちに弁護人や親族へ逮捕を通知しなければならない、とする肢は×(〜にそうした定めは無い)。
| 誰が | ①要旨 | ②選任権 | ③弁解の機会 |
|---|---|---|---|
| 司法警察員() | 告げる | 告げる | 与える |
| 検察官が自ら逮捕・受取() | 告げる | 告げる | 与える |
| 送致を受けた検察官() | 定め無し | 定め無し | 与える |
コンビニの店員から現行犯人の引渡しを受けた司法警察員も、犯罪事実の要旨と弁護人を選任できることを告げた上で、弁解の機会を与える。
出題司法警察員は直ちに犯罪事実の要旨と弁護人選任権を告げる(現行犯人の引致を受けたときも)(○)
出題逮捕状で逮捕したときは要旨を告げなくてよい/弁解の機会を与えることは規定上求められていない(×)
出題逮捕状も勾留状も、執行後に要旨と選任権を告げて弁解の機会を与えなければならない(×)
出題逮捕したら直ちに弁護人(いなければ親族等の指定する1人)に通知しなければならない(×)
- 「逮捕状により被疑者を逮捕したときは、逮捕状を被疑者に示しているから犯罪事実の要旨を告げる必要はない」
- 「刑事訴訟法の規定上、司法警察員は、被疑者に弁解の機会を与えるように求められていない」
- 「逮捕状による逮捕も起訴前の勾留も、令状を執行した後、直ちに犯罪事実の要旨等を告げて弁解の機会を与えなければならない」
- 「司法警察員は、被疑者を逮捕したときは、直ちに、弁護人にその旨を通知しなければならない」
4弁護人を選任できることの告げ方(〜)条文
- :被疑者に弁護人の有無を尋ね、弁護人があるときは、選任できる旨は告げなくてよい=尋ねること自体は省けない。検察官にも準用()。
- :弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨と、その申出先を教示する(検察官は)。
- :引き続き勾留を請求された場合に、貧困その他の事由により自ら弁護人を選任できないときは裁判官に弁護人の選任を請求できる旨、請求には資力申告書を出す旨、資力が基準額以上ならあらかじめ弁護士会に選任の申出をしていなければならない旨を教示する(検察官は)。
- 教える時は逮捕直後(1項で選任権を告げるとき)。教える中身が「引き続き勾留を請求されたら、裁判官に国選弁護人を頼める」=被疑者の国選弁護人は勾留の段階の制度。逮捕されているだけの段階で、裁判官が国選弁護人を付けるのではない。
家族がすでに弁護士を頼んでいたと分かれば、選任できる旨は告げなくてよい。ただし、弁護人の有無を尋ねることは省けない。
出題国選の請求に関する3つの事項(4項)の教示は、規定上求められていない(×)
出題逮捕段階も含め、重い事件なら身体拘束中いつでも裁判官は国選弁護人を付せる(×)
- 「刑事訴訟法の規定上、司法警察員は、国選弁護人の選任請求に関する事項を教示するように求められていない」
- 「逮捕状による逮捕も起訴前の勾留も、一定の重い事件なら、裁判官は身体拘束中いつでも国選弁護人を付すことができる」
53点セットと憲法:と(最大判昭37・11・28)条文判例学説
- 憲(前段):何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。
- 憲:何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。
| の3点 | 憲法とのつながり |
|---|---|
| 犯罪事実の要旨の告知 | 「理由を直ちに告げられ」 |
| 弁護人選任権の告知 | 「直ちに弁護人に依頼する権利」 |
| 弁解の機会 | の文言には無い。告知・弁解・防御の機会を与えることをの適正手続に結びつける整理(解説書) |
- 解説書は、告知・弁解・防御の機会を与えることを憲に基づく適正手続の根幹といえるとして、次の大法廷判決を引く。「根幹」は解説書の評価で、判決の言葉ではない。
- 判決は逮捕の場面ではなく、関税法により第三者の所有物を没収する場面の判断:
- 第三者の所有物を没収する場合において、その没収に関して当該所有者に対し、何ら告知、弁解、防禦の機会を与えることなく、その所有権を奪うことは、著しく不合理であつて、憲法の容認しないところであるといわなければならない。
- 判決が違反するとしたのは・(ではない):
- 前記関税法一一八条一項によつて第三者の所有物を没収することは、憲法三一条、二九条に違反するものと断ぜざるをえない。
- 解説書の整理では、奪われるものが持ち物でも身体の自由でも、国が一方的に奪う前に理由を知らせ、言い分を聞くという筋は同じで、逮捕については憲が告知と弁護人依頼を直接書き、弁解の機会はこのの筋で説明される(判決は没収についての判断で、身体の拘束には触れていない)。
- 「の弁解の機会は、憲が文言で直接保障している」
- 「最高裁大法廷は、告知・弁解・防御の機会を与えることが適正手続の根幹であると述べた」(「根幹」は判決の言葉ではない)
- 「昭37大法廷判決は、逮捕された被疑者への告知と弁解について判断した」(第三者所有物の没収の事件)
6弁解録取と被疑者取調べは別の手続条文学説
- 弁解録取=弁解を聞いて、その内容を書面(弁解録取書)にまとめて残すこと。刑訴法が定めるのは弁解の機会を与えることまで=書面を作る・読み聞かせる・閲覧させる規定は無い(警察では犯罪捜査規範130条1項4号が「弁解の機会を与え、その結果を弁解録取書に記載すること」と定める)。
| 弁解の機会(弁解録取) | 被疑者取調べ() | |
|---|---|---|
| 主体 | 検察官・司法警察員だけ | 検察官・検察事務官・司法警察職員 |
| 対象 | 逮捕された被疑者だけ | 在宅の被疑者にも |
| 黙秘権の告知 | 条文上の定めは無い(解説書:実務では弁解録取時にも告げている) | で義務 |
- :前項の取調に際しては、被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない。
- 弁解録取は、留置の要否を判断するための手続と見れば黙秘権の告知は不要と考えられる。ただ、実際には問いかけが要り、取調べと区別しにくいので、実務上は告げている。
- 司法巡査は弁解録取の主体ではない(取調べならできる)。
弁解を聞くうちに、司法警察員が「なぜ持ち去ろうとしたのか」と動機まで問いただし始めた → 中身は取調べで、の告知の問題になる方向(名前ではなく中身で見る)。
出題弁解録取書の作成・読み聞かせ・閲覧は、刑訴法の規定上求められている(×)
出題司法巡査が、被疑者を逮捕した後に弁解録取手続を行った(×)
- 「刑事訴訟法の規定上、司法警察員は、弁解録取書を作成して、これを読み聞かせた上で、閲覧させることが求められている」
- 「司法巡査が、被疑者を逮捕した後、弁解録取手続を行った」(適法とする形)
- 「弁解の機会を与えるに当たっても、条文上、黙秘権を告げなければならない」
7弁解を聞いた後の分かれ道:留置の要否条文
| 判断 | 司法警察員() | 検察官(・) |
|---|---|---|
| 留置の必要なし | 直ちに釈放 | |
| 留置の必要あり | 拘束から48時間以内に送致する手続 | 時間内に裁判官へ勾留を請求(または起訴) |
- 留置の必要が無ければ、検察官に送致せずに直ちに釈放する。緊急逮捕でも同じ(で準用)。
- 見る時点の違い:逮捕の必要性=逮捕状を出すときに、捕まえてよいかを見る/留置の必要=弁解を聞いた今も、拘束を続ける必要があるかを見直す。
- 検察官が、受け取った被疑者を勾留請求せずに釈放するのは検察官の判断=裁判官の裁判は要らない。
出題留置の必要がないと判断したら、送致せずに直ちに釈放(○)
出題留置の必要がないと思料しても、釈放せず検察官に送致しなければならない(緊急逮捕でも)(×)
出題検察官が勾留請求せずに釈放するには、裁判官の裁判が要る(×)
- 「司法警察員は、留置の必要がないと思料するときでも、緊急逮捕した被疑者を釈放することは許されず、検察官に送致する手続をしなければならない」
- 「検察官が、逮捕された者を受け取った後、勾留請求せずに釈放するには、裁判官の裁判が必要である」
848時間:拘束の時から、送致の手続まで()条文
- 起算点=「被疑者が身体を拘束された時」。条文の言葉は「逮捕の時」でも「受け取つた時」でもない=実際に拘束が始まった時から数える。
- だから、引致の時から・受け取った時から・(緊急逮捕の)逮捕状の発付を受けた時から、ではない。
- 終点=「検察官に送致する手続」。検察官の手元に届くことまでは求められていない=48時間以内に送る手続を終えればよい。届くまでの移動・事務の時間は48時間に入らない。
- 刑事訴訟規則148条1項1号:勾留を請求するときに出す逮捕状には、逮捕・引致の年月日時と並んで、送致する手続をした年月日時と送致を受けた年月日時が別々に書かれる=「手続」と「受理」は別の時刻。
| 事例(過去問) | 拘束 | 送致の手続の期限 |
|---|---|---|
| 司法警察員が逮捕状で逮捕(司法H22問22) | 6日 午後3時45分 | 8日 午後3時45分までに「送致する」手続(送致した上で受け取らせる、ではない) |
| 司法巡査が現行犯逮捕し、40分後に引致(予備H25問15) | 1日 午後9時20分 | 3日 午後9時20分(引致の午後10時からではない) |
送致の手続が49時間目にずれ込んだ → 受理がすぐでも、72時間に余裕があっても、48時間に反する=直ちに釈放()。検察官の残り時間で埋め合わせはできない。
出題逮捕から48時間=翌々日の同じ時刻まで。「送致する」手続(○)
出題48時間は、被疑者を受け取った時・引致の時・逮捕状の発付を受けた時から数える(×)
- 「司法警察員は、司法巡査が逮捕した被疑者を受け取ったときは、被疑者を受け取った時から48時間以内に送致する手続をしなければならない」
- 「緊急逮捕した被疑者を検察官に送致する手続は、逮捕状の発付を受けた時から48時間以内にしなければならない」
- 「48時間以内に、送致した上で検察官に受け取らせなければならない」
924時間:検察官が受け取った時から()条文
- :検察官は、第二百三条の規定により送致された被疑者を受け取つたときは、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者を受け取つた時から二十四時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。
- 起算点=検察官が受け取った時(送致の手続をした時ではない)。ここだけ起算点が違う。
- 送致を受けた検察官に定められているのは弁解の機会だけ。・と違い、要旨と選任権を告げることは定められていない。
出題受け取った検察官は「弁解」の機会。受け取った時から「24時間」(○)
出題検察官は、送致された被疑者を受け取った時から48時間以内に勾留請求すればよい(×)
- 「検察官は、司法警察員から送致された被疑者を受け取ったときは、受け取った時から48時間以内に勾留を請求しなければならない」
- 「受け取った検察官は、接見の機会を与え」(弁解の機会)
1072時間:24時間の制限にかぶせる上限()条文
- :前項の時間の制限は、被疑者が身体を拘束された時から七十二時間を超えることができない。
- 72時間は、の24時間の制限の上限。48時間・24時間と並ぶ別の3本目の時計ではない(だから検察官が自ら逮捕したのルートには72時間は無い=項目12)。
- 48時間と24時間をそのまま足せるのは、48時間ぎりぎりで送致の手続を終え、検察官が受け取るまでの時間がゼロだったときだけ。実際には移動や事務の時間がかかる。
- 勾留請求の期限=「受け取った時+24時間」と「拘束の時+72時間」の早い方。受理が48時間の線を越えれば、越えた分だけ検察官の時間が24時間より短くなる。越えなければ24時間まるまる使える。
- なぜ上限を置くか:送致から受理までに手間取った分だけ、本人の拘束が延びることを止めるため。
| 過去問の事例 | 拘束 | 受理 | 受理+24時間 | 拘束+72時間 | 期限 |
|---|---|---|---|---|---|
| 予備H23問17・司法H23問25 | 1日 午前10時 | 3日 午前10時30分 | 4日 午前10時30分 | 4日 午前10時 | 4日 午前10時 |
| 予備H27問16 | 3日 午後2時10分 | 5日 午後2時35分 | 6日 午後2時35分 | 6日 午後2時10分 | 6日 午後2時10分 |
| 予備R7問19 | 15日 午後1時15分 | 17日 午後1時30分 | 18日 午後1時30分 | 18日 午後1時15分 | 18日 午後1時15分 |
どれも受理が48時間の線を少し越えている(15〜30分)=その分だけ72時間の側が早く来る。「受け取った時から24時間で足りる」は全部×。
出題受け取った時から24時間以内「かつ」逮捕の時から「72時間」以内(○)
出題勾留請求の期限は、受け取った時から24時間だけで数えた時刻まででよい(×)
関連起算点を実質的な逮捕の時点(任意同行の開始)に置いて数え直しても、48・24・72時間が守られていた(○)
- 「検察官は、甲を勾留請求する場合、受け取った時から24時間後までに行えば足りる」(72時間の上限を落とす)
- 「72時間は、48時間・24時間とは別に、どのルートにもかかる独立の時間制限である」
11勾留請求の代わりに起訴してもよい(・ただし書)条文
- :前二項の時間の制限内に公訴を提起したときは、勾留の請求をすることを要しない。検察官が自ら逮捕した場合も同じ(ただし書)。
- だから、検察官は逮捕中の被疑者を、逮捕中のまま起訴できる。勾留状が出ていないからといって、釈放してから起訴する必要は無い。
- 逮捕中に起訴された者を引き続き勾留するには、裁判官の裁判が要る(予備H25問16オ=○)。:まだ勾留されていない被疑者について、・の時間の制限内に公訴の提起があった場合には、裁判官は、速やかに、被告事件を告げ、陳述を聴き、勾留状を発しないときは、直ちにその釈放を命じなければならない。
受け取ってから10時間で起訴できる見込みが立った → 勾留請求をせず、そのまま起訴してよい(24時間・72時間の内側で)。
出題検察官は、逮捕中の被疑者について公訴を提起できない(×)
出題勾留状が無いので、逮捕中の被疑者は釈放した上で公判請求しなければならない(×)
- 「検察官は、逮捕した被疑者につき、逮捕中に公訴を提起することはできず、勾留を請求するか、又は釈放しなければならない」
- 「逮捕中の被疑者を公判請求する場合、勾留状が発付されていないので、釈放した上で公判請求しなければならない」
12検察官のもとにいる場合:48時間だけ()条文
- :検察官は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、又は逮捕状により逮捕された被疑者(前条の規定により送致された被疑者を除く。)を受け取つたときは、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から四十八時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。但し、その時間の制限内に公訴を提起したときは、勾留の請求をすることを要しない。
- 入るのは、検察官が自ら逮捕したときと、検察事務官が逮捕してで引致されたときなど(「逮捕された被疑者…を受け取つたとき」)。私人から現行犯人の引渡しを受けた検察官も、の準用でここに入る(項目13)。
- 被疑者はもう検察官の手元にいるので、送致の段が無い。持ち時間は拘束から全体で48時間で、24時間も72時間も続かない。
- 弁護人の頼み方・国選の教示はと同じ(・)。
- 被疑者の勾留を請求できるのは検察官だけ。司法警察員は勾留を請求できない。
検察官が自ら逮捕して、50時間目に勾留を請求した → の48時間を超えている=直ちに釈放()。「警察が逮捕していれば72時間あった」は使えない。
検察事務官が逮捕し、2時間後に検察官へ引致した → 48時間は引致の時からではなく、取り押さえた時から数える。
出題検察官が逮捕状で逮捕したら、拘束時から□時間以内に勾留請求(正答:48)
出題検察官が自ら逮捕状で逮捕したときは、拘束時から24時間以内に勾留請求する(×)
出題司法警察員も、被疑者の勾留を請求できる(×)
- 「検察官は、逮捕状により被疑者を逮捕した場合、身体を拘束された時から24時間以内に勾留を請求し、又は公訴を提起しなければならない」
- 「被疑者の勾留を請求することは、検察官も司法警察員もできる」
13私人が現行犯人を捕まえた場合(〜)条文
- :検察官、検察事務官及び司法警察職員以外の者は、現行犯人を逮捕したときは、直ちにこれを地方検察庁若しくは区検察庁の検察官又は司法警察職員に引き渡さなければならない=私人は自分で留め置かない。
- :司法巡査が現行犯人を受け取ったときは、速やかに司法警察員に引致する。:逮捕者の氏名・住居・逮捕の事由を聴き取る。
- 引き渡された後はの準用で、受け取った人が司法警察員なら、検察官ならのルートに乗る。
- 現行犯逮捕なので、逮捕状を求める手続は無い(逮捕状を請求し、出なければ釈放、というのは緊急逮捕の仕組み=)。
- 48時間の起算点=私人が捕まえた時。準用される・が「身体を拘束された時」から数えると書くので、条文の文言からはそう読める。店員が取り押さえた時点で拘束はもう始まっている。警察官が受け取った時からではない(過去問でも、受け取った時から、とする肢は×)。
店員が22時に取り押さえ、警察官が受け取ったのは23時半 → 48時間は22時から数える。受け取りが遅れた分も、警察の48時間から減っている。
出題私人は、直ちに地検・区検の検察官又は司法警察職員に引き渡す(○)
出題私人からの引渡しは検察官も司法警察員も受けられる。司法巡査が受け取って司法警察員に引致するのは適法(○)
出題私人から現行犯人の引渡しを受けた司法警察員は、直ちに逮捕状を求める手続をしなければならない(×)
出題私人から引渡しを受けた現行犯人の48時間は、受け取った時から数える(×)
- 「司法警察員は、私人から現行犯人の引渡しを受けた場合、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならず、逮捕状が発せられないときは、直ちに釈放しなければならない」
- 「司法警察員は、私人から現行犯人の引渡しを受けた場合、逮捕された時からではなく、その者を受け取った時から、48時間以内に送致する手続をしなければならない」
14時間を守れなかったら:直ちに釈放条文学説
| 場面 | 守れなかったこと | 効果 |
|---|---|---|
| 48時間の制限内に送致の手続をしない | 直ちに釈放 | |
| 48時間の制限内に勾留の請求又は公訴の提起をしない | 直ちに釈放 | |
| 第1項及び第2項(24時間・72時間)の制限内に勾留の請求又は公訴の提起をしない | 直ちに釈放 |
- 時間の区切りは、拘束を続けてよいかを次の判断者に確かめさせるためのもの。区切りまでに渡せなければ、拘束を続ける根拠がなくなる。
- :検察官又は司法警察員がやむを得ない事情によって前三条の時間の制限に従えなかったときは、検察官は、裁判官にその事由を疎明して、勾留を請求できる。
- :裁判官は、その遅延がやむを得ない事由に基く正当なものと認める場合でなければ、勾留状を発することができない。認めなければ、ただし書により、勾留状を発しないで直ちに被疑者の釈放を命じる。
- 刑事訴訟規則148条2項:この場合、やむを得ない事情を認めるべき資料も出す。
- 解説書は、やむを得ない事情は天変地異や事故等に厳格に限定され、ほぼ認められることはないとし、実務もそれを前提に制限時間の遵守を徹底しているとする。
台風で道路が寸断され、受理が74時間目にずれた → 検察官は事由を疎明して勾留を請求できる。裁判官が正当と認めなければ、勾留状は出ず、直ちに釈放を命じる。
当直の人手が足りず、書類作りが遅れた → やむを得ない事情に当たらない方向。
- 「24時間以内に勾留を請求しなければ釈放」だけで覚える(72時間の上限と公訴提起の道が落ちている)
- 「やむを得ない事情があれば、司法警察員が裁判官に勾留を請求できる」(請求するのは検察官)
15接見交通権()条文
- :身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者(弁護士でない者にあつては、第三十一条第二項の許可があつた後に限る。)と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。
- 相手は、選任された弁護人に限られない=弁護人となろうとする者(まだ選任されていない弁護士)とも、立会人なしで会える。
- 会うだけでなく、書類や物の受け渡しもできる。
- 逮捕の段階から使える(勾留されてからではない)。
店員に取り押さえられたその夜、48時間の時計が動いている最中でも、家族に頼まれた弁護士が警察署に来れば、立会人なしで会える(捜査のための日時等の指定=は別の話)。
出題弁護人に選任される前の弁護士とは、立会人なく接見できない(×)
出題弁護人は、被疑者と物の授受をすることはできない(×)
- 「弁護士は、被疑者の弁護人に選任されない限り、逮捕又は勾留された被疑者と立会人なくして接見することはできない」
- 「物の授受は意思や情報の伝達とは関係ないので、弁護人は被疑者と物の授受をすることはできない」
16逮捕は準抗告の対象に含まれない(最一小決昭57・8・27)条文判例学説
- 準抗告():裁判官がした一定の裁判に不服がある者が、裁判所にその取消し・変更を求める手続。対象は各号に並べた裁判だけ(例:2号の勾留、保釈、押収などに関する裁判)。列挙に逮捕は入っていない。
- 最高裁(第一小法廷):
- 逮捕に関す裁判及びこれに基づく処分は、刑訴法四二九条一項各号所定の準抗告の対象となる裁判に含まれないと解するのが相当である
- 決定が示したのは結論だけで、理由は述べていない(実益が無い、明文が無い、などの理由づけは決定に無い)。
- 決定が言ったのは準抗告の対象外ということまで。逮捕の違法を争う道が一切無い、とは言っていない。
- 逮捕に続く勾留は、請求の段階で裁判官が審査し、その審査で先行する逮捕手続の重大な違法を理由に勾留請求が却下されうる(解説書)。勾留の裁判には準抗告もできる(2号)。
| 争いたいこと | 方法 |
|---|---|
| 逮捕状の発付そのものの取消し | 準抗告できない(現行法上、不服申立ては許されない) |
| 先行する逮捕手続の違法を理由に、勾留状の発付の取消し | 勾留の裁判への準抗告ができる |
出題逮捕状を発付した裁判に対して、準抗告できる(×)
出題先行する任意同行の違法を理由に逮捕状発付の取消しを求める → 現行法上、不服申立ては許されない
関連先行する逮捕手続の違法を理由に、勾留状発付の取消しを求める → 準抗告が可能
関連逮捕も勾留も、刑訴法上不服申立ての手段がない(×)
- 「被疑者又は弁護人は、逮捕状を発付した裁判に対して準抗告をすることができる」
- 「逮捕状による逮捕も起訴前の勾留も、刑事訴訟法上、不服申立ての手段がない」
- 「最高裁は、逮捕は短期間で終わり実益が無いから準抗告の対象外であると理由を述べた」(理由は述べていない)
- 「判例によれば、逮捕の違法は、その後の手続でも一切争えない」(決定は準抗告の対象外としただけ)