刑事訴訟法ゼロから刑事訴訟法#30

勾留④勾留理由開示・取消し・準抗告

刑事訴訟法の復習ノートを1ページで通して読む(この回から)→

問い:勾留された被疑者は、何を使って勾留を争い、どうすれば外へ出られるか。

骨組み

  1. 1逮捕と勾留の違い:逮捕に関する裁判は準抗告の対象外(判例=最決昭57・8・27。条文でもの列挙に逮捕が無い)=逮捕そのものを直接争う不服申立ては無い。逮捕の違法は勾留の段階で審査される(解説書:勾留請求の却下・勾留の裁判への準抗告・勾留の取消請求)。勾留には法定の手段がある
  2. 2勾留の裁判の前と後:前=法定の手段なし → 検察官・裁判官への事実上の働きかけ。後=理由開示・取消し・準抗告・執行停止。被疑者の勾留では、理由開示・取消し・執行停止をで裁判官が使う(準抗告は)。この4つは被疑者・被告人の両方にある(被告人の準抗告は第1回公判期日前まで・その後は抗告)
  3. 3勾留理由開示とは():後段の具体化=公開の法廷で理由を示す。不服申立てそのものではなく、その準備。勾留だけ(逮捕の理由開示は無い)
  4. 4開示の請求と法廷:請求=本人+弁護人・法定代理人・保佐人・配偶者・直系の親族・兄弟姉妹・その他利害関係人。被疑者と弁護人が出頭しないと開廷できない(検察官は要件でない)。裁判官が勾留の理由を告げ、検察官(勾留を請求した側)・被疑者・弁護人・請求者は意見を述べられる
  5. 5開示の限り:同じ勾留について最初の請求の1回だけ()。勾留されている間だけ=釈放後・執行停止中は請求できない。請求の後に取消し・執行停止があれば請求は効力を失う
  6. 6勾留の取消し():勾留の理由又は必要がなくなつたときは取り消さなければならない(義務)。請求=検察官・被疑者・弁護人ら(その他利害関係人は無い)+職権。不当に長い拘禁も(・請求はの者=検察官は入らない)
  7. 7準抗告の対象と申立人(2号「勾留…に関する裁判」):対象=勾留状の発付・延長・取消しを認めた裁判・これらの請求の却下。勾留場所の変更を求める場合にも使われる(解説書)。申立人=「不服がある者」=被疑者・弁護人に限らず検察官も
  8. 8準抗告の申立先と審理:簡裁の裁判官の裁判 → 管轄地方裁判所/その他 → その裁判官所属の裁判所(高裁ではない)。合議体で決定()。各号に当たる裁判官の裁判には準抗告、裁判所の決定には抗告
  9. 9嫌疑が無いことは理由にできない:「勾留に対しては」犯罪の嫌疑がないことを理由として抗告できない()→ 準抗告に準用()。嫌疑は本案で審判する事項。制限は勾留を認める裁判(発付・延長・更新など)への不服だけ=勾留請求の却下への検察官の準抗告には及ばない
  10. 10取消しと準抗告の区別:解説書は、取消し=勾留の裁判の後の事情の変化(理由・必要が消えた)/準抗告=勾留の裁判の時点の判断の誤り、を根拠にすると説明する。もっとも解説書は、逮捕・勾留手続の違法を理由に取消しを請求する場合もあるとする=時点の区別は使い分けの目安で、どちらかに限られるわけではない
  11. 11勾留の執行停止():勾留の効力を残したまま、親族等への委託・住居の制限で一時的に外へ。職権のみ=申立ては職権の発動を促すだけ。検察官にはできない。刑事施設への収容に戻るのは、期間満了か執行停止の取消し()のとき()
  12. 12接見等禁止の決定への対応:決定そのものは準抗告(勾留に関する裁判として扱われる)/範囲を狭めるなら一部解除の職権発動を促す申立て
  13. 13被疑者には保釈が無い(但書):保釈は起訴後の被告人だけ。被疑者側から申し立てて外へ出る手段は、取消し・準抗告で勾留を終わらせるか、執行停止(職権の発動を促す)で一時的に出るか

色の札は出どころ:条文 判例 学説。条文番号は押すと条文、丸い札(出題)は押すと過去問の肢と正答が出ます。短答は「判例の立場」を問うので、判例と学説を混ぜない。・・などの主語は「被告人」「裁判所」で、被疑者の勾留ではにより裁判官が同じ権限を持つ(項目2)。

勾留された被疑者の身柄を取り戻したい勾留の裁判はまだ出ていないか勾留請求の前/請求の後・裁判の前事実上の働きかけ検察官・裁判官へはいいいえ(裁判の後)勾留の理由が分かっているか裁判官が何を理由に勾留したか理由開示を請求82条・知ってから下へいいえはい目安:裁判の時点の判断の誤りか例:出した資料が見落とされた準抗告429条1項2号はいいいえ裁判の後に理由・必要がなくなったか例:身元引受人が後から現れた勾留の取消し87条1項はいいいえ一時的に外へ出る必要があるか例:手術のための入院執行停止95条・職権を促すはいいいえ勾留は続く
弁護人が打つ手の選び方(項目2・3・6・7・10・11)。理由開示で理由を知ってから、準抗告・取消しを考える。3段目・4段目の分け方は、解説書が示す根拠の時点による使い分けの目安で、どちらかに限られるわけではない(逮捕・勾留手続の違法を理由に取消しを請求する場合もある・項目10)。被疑者には保釈が無いので、この図に保釈は出てこない(項目13)。

1逮捕には準抗告が無い・勾留にはある条文判例学説

  • の準抗告=裁判官がした裁判に不服がある者が、その取消し・変更を裁判所に求める手続()。対象は1号〜5号に並べた裁判だけ。
  • 条文:2号は「勾留、保釈、押収…に関する裁判」。列挙に逮捕が入っていない。
  • 判例(最決昭57・8・27):逮捕に関する裁判及びこれに基づく処分は、各号の準抗告の対象となる裁判に含まれないとする(結論だけを述べる)。逮捕そのものを直接争う不服申立ては無い。
  • それでも逮捕の違法が争えなくなるわけではない。逮捕の違法は勾留の段階で審査される。解説書によると、①勾留請求を受けた裁判官が、逮捕手続の違法を理由に請求を却下する(検察官はこれに準抗告できる)②勾留の裁判への準抗告で勾留の裁判が取り消され、請求が却下される ③勾留の取消請求()で争う場合もある。
  • 勾留には、準抗告をはじめ法律に用意された手段がある(項目2)。
何を争うか準抗告
逮捕状の発付(逮捕に関する裁判)できない(不服申立ての手段が無い)
勾留状の発付(先行する逮捕の違法を理由に)できる

逮捕状が出たこと自体に準抗告はできない。ただ、逮捕の手続に重大な違法があったなら、続く勾留への準抗告の中でその違法を主張し、勾留の裁判の取消し・勾留請求の却下につながることがある。

出題逮捕状発付の裁判に対する準抗告には、法令上の根拠がある(×)

出題先行する逮捕手続の違法を理由に、勾留状発付の取消しを求めて準抗告できる(○)

出題逮捕と勾留のどちらも、刑訴法上、不服申立ての手段がない(×)

×にされやすい形
  • 「被疑者又は弁護人は、逮捕状を発付した裁判に対して準抗告をすることができる」
  • 「逮捕状による逮捕も起訴前の勾留も、刑事訴訟法上、不服申立ての手段がない」
  • 「逮捕には準抗告が無いので、逮捕手続の違法は勾留の段階でも争えない」

2勾留の裁判の前は働きかけ・後は4つの道具条文学説

  • 流れ:逮捕 → 検察官の勾留請求 → 裁判官の勾留の裁判。警察が逮捕した人は、留置の必要があれば48時間以内に検察官へ送られ()、検察官は受け取ってから24時間以内に勾留を請求するかを決める()。
  • 勾留の裁判の前:逮捕を争う手続も、勾留を止める手続も法律に無い。使えるのは事実上の働きかけだけ=①請求の前に検察官へ「勾留を請求しないでほしい」②請求の後・裁判の前に裁判官へ「勾留を認めないでほしい」。材料は身元を引き受ける人・定まった住居・逃げる心配が薄いこと。資料・意見書の提出や面談で伝える。法定の手段が無い段階なので、ここで勾留を防げるかが大事になる。
  • 勾留の裁判の後:不服申立ての手続(準抗告)が法定されているほか、事情の変化に応じた手続(取消し・執行停止)がある。理由開示はその準備。裁判の前より、法定の手段は多い。
  • 被疑者にも使える理由:・・の主語は「被告人」と「裁判所」。が、勾留の請求を受けた裁判官に裁判所・裁判長と同一の権限を与える。被疑者の勾留では、これらを裁判官が使う(保釈は除く=項目13)。
道具何のためか被疑者の勾留被告人の勾留
①勾留理由開示()勾留の理由を知るあるある
②勾留の取消し()勾留の理由・必要がなくなった → 勾留を終わらせるあるある
③準抗告(2号)勾留の裁判の取消し・変更を求めるある第1回公判期日前の裁判官の裁判なら(項目8)
④勾留の執行停止()効力を残したまま一時的に外へあるある
保釈—無い(項目13)ある

出題取消し・理由開示・執行停止は、被疑者・被告人のどちらの勾留にもある(○)

出題勾留の取消し請求・勾留理由開示の請求は、起訴前だけにある(×)

出題勾留理由の開示は被告人の勾留に限られる/被告人の勾留では開示を請求できない(×)

出題起訴後の勾留の取消請求には法令上の根拠がある(○)

×にされやすい形
  • 「勾留の裁判が出てしまうと、使える手段は裁判の前より限られる」(裁判の後のほうが法定の手段がある)
  • 「勾留理由開示は、勾留期間が長期に及ぶ可能性がある被告人の勾留に限って認められている」
  • 「勾留の取消しの請求は、起訴前は認められているが、起訴後は認められていない」

3勾留理由開示とは(後段)条文学説

  • :何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。
  • :勾留されている被告人は、裁判所に勾留の理由の開示を請求することができる。=後段を刑事訴訟法で具体化した制度。
  • 不服申立てそのものではない:理由を知り、意見を述べる場。開示の請求は取消しを求める手続ではない(取消しはの請求・職権で別に)。勾留の裁判の取消し・変更を求めるのは準抗告。理由が分からなければ何を争うかも分からない=後の不服申立ての準備。
  • 実際の姿(解説書が述べる実務):捜査を続ける都合から、裁判官は理由の具体的な中身まで告げないのが一般。それでも法廷で意見を述べて記録に残せる(開示期日の手続は調書に残る=刑事訴訟規則86条)。接見等禁止(家族などとの面会を止める決定・項目12)中の被疑者について、解説書は、実質的には法廷で親族等に姿を見せる機会にとどまることもある、とする。
  • 開示があるのは勾留だけ。逮捕の理由の開示を請求する規定は無い。

開示の法廷で裁判官は「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある」とだけ述べ、どの証拠のどんな事情かまでは言わなかった → 理由の中身が全部分かるわけではない。ただ、弁護人が述べた意見は調書に残り、後の準抗告・取消しの請求を考える材料になる。

出題逮捕の理由の開示請求には、法令上の根拠がある(×)

×にされやすい形
  • 「逮捕された被疑者の弁護人は、裁判官に逮捕の理由の開示を請求できる」
  • 「勾留理由開示の請求は、勾留の取消しを求める手続である」(理由を告げ意見を聴く場。取消しはの請求・職権で別に)

4開示の請求と法廷(〜)条文

  • 請求できる人:勾留されている本人()のほか、弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹その他利害関係人()。被疑者と弁護人に限られない。
  • :勾留の理由の開示は、公開の法廷でこれをしなければならない。:法廷は、裁判官及び裁判所書記が列席してこれを開く。
  • :被告人及びその弁護人が出頭しないときは、開廷することはできない(病気等で出頭できず本人に異議がないとき等の例外あり)。開廷の要件に検察官の出頭は入っていない。=開示の法廷は、原則として被告人(被疑者)と弁護人がそろって出頭して開く。過去問の「弁護人が立会いを求めることができる」(○)は、弁護人の出頭が開廷の要件とされていること()による。
  • :法廷では、裁判長(被疑者の勾留では裁判官)が勾留の理由を告げなければならない。告げるのは「勾留の理由」で、勾留の理由は嫌疑に加えて各号(住居不定・罪証隠滅・逃亡)の事由を含む → 「犯罪事実と嫌疑を告げれば足りる」は誤り(過去問の正答)。嫌疑は開示では告げられるが、勾留への不服の理由にはできない(項目9)。
  • :検察官又は被告人及び弁護人並びにこれらの者以外の請求者は、意見を述べることができる。裁判長は相当と認めるときは、意見を書面で差し出させることができる。検察官も、勾留を請求した側として意見を述べられる(「できる」)。
  • 刑事訴訟規則84条:勾留の理由の開示をすべき期日とその請求があつた日との間には、五日以上を置くことはできない(但書でやむを得ない事情があるときの例外)。規則85条の3第1項(要約):意見を述べる時間は、各十分を超えることができない。
段階中身条文
請求本人・弁護人・法定代理人・保佐人・配偶者・直系の親族・兄弟姉妹・その他利害関係人
公開の法廷裁判官・書記が列席。被疑者と弁護人が出頭しないと開けない(検察官は要件でない)
理由を告げる勾留の理由(嫌疑+各号の事由)
意見を述べる検察官・被疑者・弁護人・それ以外の請求者(述べることができる)

出題勾留の理由の開示は、被疑者とその弁護人に限り請求できる(×)

出題勾留されている被疑者の弁護人は、開示を請求できる(○)

出題開示は公開の法廷でしなければならない(○)

出題検察官が出頭しないときは、勾留理由開示の法廷を開くことができない(×)

出題公開の法廷での理由開示には、弁護人が立会いを求めることができる(○)

出題勾留の理由の開示は、犯罪事実と罪を犯したと疑うに足りる相当な理由を告げれば足りる(×)

出題開示の法廷に出頭した被疑者・弁護人は、意見を述べることができる(○)

出題被疑者は、開示の期日に勾留の理由について意見を述べることができない(×)

×にされやすい形
  • 「勾留の理由の開示は、被疑者及びその弁護人に限り請求することができる」
  • 「検察官が出頭しないときは、勾留理由開示の法廷を開くことはできない」
  • 「勾留の理由を開示するには、勾留の基礎となっている犯罪事実と、罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由を告げれば足りる」
  • 「被疑者は、勾留の理由を開示する期日において、意見を述べることはできない」

5開示は1回だけ・勾留されている間だけ条文

  • :同一の勾留についての請求が二以上ある場合には、勾留の理由の開示は、最初の請求についてこれを行う。その他の請求は、勾留の理由の開示が終つた後、決定でこれを却下しなければならない。
  • 請求できるのは「勾留されている」人とその関係者。勾留が取り消されて釈放された後は請求できない。執行停止で外に出ている間も請求できない。
  • :請求は、保釈、勾留の執行停止若しくは勾留の取消があつたとき、又は勾留状の効力が消滅したときは、その効力を失う。
勾留理由開示の請求いま勾留されているか釈放の後・執行停止で外にいる間は当たらない請求できない請求の後なら効力を失う(82条3項)いいえはい同じ勾留について先の請求があるか開示は最初の請求についてだけ(86条)開示の後に却下はいいいえ公開の法廷で開示理由を告げ、意見を聴く(83条・84条)
開示が開かれるかの判断(項目4・5)。どの枠も条文の言葉。

家族が開示を請求して公開の法廷が開かれた後、弁護人が改めて同じ勾留について開示を求めても、却下される。勾留が取り消されて釈放された後に「なぜ勾留されたのか」を聞くために請求しても、もう勾留されていないので請求できない。

出題釈放後でも、弁護人の選任の効力が残っていれば、弁護人は勾留理由の開示を請求できる(×)

出題勾留の執行停止で釈放されている被疑者も、勾留の理由の開示を請求できる(×)

×にされやすい形
  • 「被疑者の弁護人は、勾留されていた被疑者が釈放された後でも、勾留の理由の開示を請求できる」
  • 「勾留の執行停止により釈放されている被疑者であっても、勾留の理由の開示を請求することができる」
  • 「同じ勾留について、請求者ごとに何度でも開示を受けられる」(最初の請求の1回だけ)

6勾留の取消し(・)条文学説

  • 勾留の理由=罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由(柱書)+同項各号(住居不定・罪証隠滅・逃亡)のどれか。勾留の必要=理由とは別に問われるもの(が「理由又は勾留の必要」と分けて書く)。解説書は、諸事情を総合的に考慮して、被疑者を勾留することが実質的に相当かを判断するもの、とする。
  • :勾留の理由又は勾留の必要がなくなつたときは、裁判所は、検察官、勾留されている被告人若しくはその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消さなければならない。
  • 解説書は、取消しは勾留された後の事情の変化で理由・必要が消えたことを根拠にする、と説明する(あわせて、逮捕・勾留手続の違法を理由に取消しを請求する場合もあるとする・項目10)。取り消せば将来に向けて勾留が終わる。
  • 要件がそろえば「取り消さなければならない」=取り消す義務。請求が無くても職権で取り消せる。
  • 請求できる人に検察官が入る。開示の請求()と違い、「その他利害関係人」は入らない。
  • :勾留による拘禁が不当に長くなつたときは、裁判所は、第に規定する者の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消し、又は保釈を許さなければならない。の者=本人・弁護人・法定代理人・保佐人・配偶者・直系の親族・兄弟姉妹(検察官は入らない)。被疑者には保釈が無いので(項目13)、被疑者の勾留では取消し。
請求できる人開示()取消し()
本人・弁護人・法定代理人・保佐人・配偶者・直系の親族・兄弟姉妹できるできる
その他利害関係人できる入っていない
検察官請求者に無い(法廷で意見は述べられる)できる
職権—できる

共犯者の供述と物証が出そろい、口裏を合わせる相手も証拠ももう残っていない状態になった → 罪証隠滅のおそれ(2号=勾留の理由の中身)が消えたとして、弁護人が勾留の取消しを請求する筋になる。

出題勾留の必要がなくなったとき、検察官も取消しを請求できる(○)

×にされやすい形
  • 「勾留の取消しは、被疑者側の請求があったときに限り、することができる」(検察官の請求・職権でも)
  • 「勾留の理由がなくなっても、裁判官は勾留を取り消すかどうかを裁量で決められる」(取り消さなければならない)
  • 「勾留の理由開示と同じく、その他利害関係人も取消しを請求できる」

7準抗告の対象と申立人(2号)条文学説

  • 柱書:裁判官が次に掲げる裁判をした場合において、不服がある者は、簡易裁判所の裁判官がした裁判に対しては管轄地方裁判所に、その他の裁判官がした裁判に対してはその裁判官所属の裁判所にその裁判の取消し又は変更を請求することができる。
  • 2号:勾留、保釈、押収(…)、押収物の還付、電磁的記録提供命令(…)又は…複写に関する裁判。
  • 「勾留に関する裁判」の例(解説書):勾留状を発した裁判、延長を認めた裁判、取消しを認めた裁判、これらの請求を却下した裁判。どれも対象。
  • 準抗告に理由があれば、原裁判を取り消し、必要がある場合には更に裁判をする(→)。
  • 解説書は、勾留場所の変更(警察の留置施設から拘置所へ)を求める場合、少年の被疑者の勾留を勾留に代わる観護措置へ変えるよう求める場合、接見等禁止の決定(項目12)を争う場合にも準抗告が用いられる、とする。
  • 申立人は「不服がある者」。被疑者側に限らない。勾留請求・延長請求を却下した裁判、取消しを認めた裁判には、検察官が準抗告する。
裁判官の裁判主に争うのは
勾留状の発付被疑者・弁護人
延長を認めた裁判被疑者・弁護人
勾留請求・延長請求の却下検察官
取消しを認めた裁判検察官

裁判官が「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がない」として勾留請求を却下し、釈放を命じた → 検察官は、この却下の裁判に不服があるとして、その裁判官所属の地方裁判所に準抗告できる。

出題罪証隠滅のおそれが無いとして勾留請求が却下されたとき、検察官は準抗告できない(×)

出題勾留状を発した裁判に不服がある被疑者は、その裁判官所属の地方裁判所に準抗告できる(○)

出題弁護人は、勾留期間を延長する裁判に準抗告できる(○)。「やむを得ない事由」が無いことを理由にしてよい

出題勾留場所を警察署の留置施設から拘置所に変えるよう求めて準抗告できる(○)

×にされやすい形
  • 「検察官は、勾留請求を却下する裁判に不服があっても、その取消しを請求することは許されない」
  • 「準抗告は、勾留された被疑者の側だけが使える手段である」(「不服がある者」=検察官も)
  • 「勾留期間の延長の裁判は、準抗告の対象にならない」

8準抗告の申立先と審理・抗告との区別条文

  • 申立先:簡易裁判所の裁判官がした裁判 → 管轄地方裁判所/その他の裁判官がした裁判 → その裁判官所属の裁判所(柱書)。地方裁判所の裁判官の勾留の裁判なら、その地方裁判所。高等裁判所ではない。
  • :第1項の請求を受けた地方裁判所又は家庭裁判所は、合議体で決定をしなければならない。単独の裁判官の裁判を、合議体(複数の裁判官)が見直す。改正で項が繰り下がり、合議体の定めは現行4項(古い本の「3項」)。
  • 抗告=裁判所がした決定への不服申立て。裁判官がした裁判には、抗告ではなく準抗告を使う。
  • 被告人の勾留でも、公訴の提起の後第1回の公判期日までは、勾留に関する処分を裁判官が行う()→ その裁判には準抗告。第1回公判期日の後は受訴裁判所の決定 → 抗告(どちらも過去問の正答から)。
身柄の拘束についての裁判に不服逮捕に関する裁判か逮捕状の発付など不服申立てなし429条1項に無い(項目1)はいいいえ裁判官がした裁判か被疑者の勾留・第1回公判期日前の被告人の勾留など準抗告所属の裁判所の合議体(簡裁なら管轄地裁)はいいいえ(裁判所の決定)抗告例:第1回公判期日後の保釈請求の却下・勾留の更新
不服申立ての種類の見分け方(項目1・8)。1段目は判例、2段目は条文(429条1項・280条1項)。

出題地方裁判所の裁判官がした勾留請求却下の裁判に、検察官は高等裁判所へ準抗告できる(×)

出題起訴当日に発付された勾留状(第1回公判期日前)の取消しは準抗告で求める(○)

関連第1回公判期日後の保釈請求の却下は、抗告で取消しを求める(○)

関連第1回公判期日後の保釈請求を却下する裁判に準抗告できる(×)

×にされやすい形
  • 「検察官は、地方裁判所の裁判官がした勾留請求を却下する裁判に対して、高等裁判所に準抗告をすることができる」
  • 「準抗告は、勾留の裁判をした裁判官が自ら判断し直す」(合議体で決定)
  • 「第1回公判期日後の保釈請求を却下する裁判に対して、準抗告をすることができる」

9嫌疑が無いことは理由にできない(・)条文学説

  • :勾留に対しては、前項の規定にかかわらず、犯罪の嫌疑がないことを理由として抗告をすることはできない。
  • :第第3項の規定は、前項の請求について準用する。=準抗告でも同じ。
  • 「前項」=:管轄・訴訟手続に関し判決前にした決定には原則として抗告できない(1項)が、勾留・保釈・押収等に関する決定にはこの制限を適用しない=勾留に関する決定には抗告できる。3項はそのうえで、勾留に対しては嫌疑なしを理由にできない、と絞る。
  • 制限は「勾留に対しては」に限る。抗告一般の制限ではない。制限されるのは嫌疑が無いことを理由にする場合だけ。
  • 趣旨:嫌疑の有無は本案の裁判(有罪か無罪かを決める裁判)で審判すべき事項。勾留の理由には嫌疑が含まれ、理由開示では告げられる(項目4)が、勾留への不服の理由からは外した。勾留の手続の中で、犯罪の有無まで決着させない。
  • 「勾留に対しては」=勾留を認める裁判(勾留状の発付・延長・更新など)への不服に限る。裁判官が犯罪の嫌疑が認められないとして勾留請求を却下した場合、検察官のこの却下の裁判への準抗告は、勾留に対する不服ではないので制限に当たらない(過去問の正答も同じ)。

勾留された被疑者が「自分は現場にいなかった」と言い、それだけを理由に勾留への準抗告を申し立てる → 犯罪の嫌疑がないことを理由にした準抗告はできない。

出題第1回公判期日後の勾留状発付の取消しを、犯罪の嫌疑がないことを理由に求めることは許されない(○)

出題勾留の期間を更新した決定に、犯罪の嫌疑がないことを理由として抗告できる(×)

出題嫌疑が認められないとして勾留請求が却下されたとき、検察官は準抗告できない(×)

×にされやすい形
  • 「弁護人は、勾留の期間を更新した裁判所の決定に対して、被告人に犯罪の嫌疑がないことを理由として抗告をすることができる」
  • 「勾留請求が犯罪の嫌疑が無いとして却下された場合、検察官はこれに準抗告することは許されない」
  • 「抗告では、犯罪の嫌疑がないことを理由にすることは一切できない」(制限は勾留に対するものだけ)

10取消しと準抗告の区別:解説書の整理条文学説

  • どちらも「勾留に不服がある」ときの道具に見える。解説書は、それぞれが根拠にする時点を次のように説明する。
  • 取消し:勾留の裁判の後に事情が変わり、勾留の理由・必要が消えたことを根拠にする。
  • 準抗告:勾留の裁判をした時点の裁判官の判断に誤りがあったことを根拠にする。
  • 解説書は、開示で知った理由やその後の捜査の進み具合に照らして、取消しを考え、勾留の裁判そのものの適否は準抗告で争う、とつなぐ=開示 → 取消し/準抗告。
  • もっとも解説書は、逮捕・勾留手続の違法を理由に勾留の取消請求()がなされる場合もあるとする。時点の区別は使い分けの目安で、どちらかに限られるわけではない。
根拠にする時点(解説書の整理・目安) 開示(82条)で理由を知る → どちらを使うか考える 裁判前=働きかけ 勾留の効力が続く 勾留の裁判 事情が変わる 時間 準抗告 裁判の時点の判断の誤り 取消し 後から理由・必要が消えた 準抗告=目安は、裁判の時点の判断の誤り(429条1項2号) 取消し=目安は、裁判の後の事情の変化(87条1項)
矢印の先が、解説書の整理でそれぞれの道具が根拠にする時点(項目6・7・10)。使い分けの目安で、どちらかに限られるわけではない(逮捕・勾留手続の違法を理由に取消しを請求する場合もある)。同じ「身元引受人」でも、勾留の裁判の前からいたのか、後から現れたのかで、筋が変わる。
取消し()準抗告(2号)
根拠の目安(解説書)勾留の裁判の後に、勾留の理由・必要が消えた勾留の裁判の時点の判断の誤り(例:資料の見落とし)
請求できる人検察官・被疑者・弁護人など+職権不服がある者
判断する人裁判官()所属の裁判所の合議体
効果将来に向けて勾留を終わらせる理由があれば原裁判を取り消し、必要があれば更に裁判(→)

勾留の裁判の時点で既に身元引受人がいて、弁護人がその資料を出していたのに、裁判官が逃亡のおそれありとした → 裁判の時点の判断の誤りを言う準抗告の筋。裁判の後に初めて引受人が見つかった → 取消しの筋。

×にされやすい形
  • 「勾留の取消しを求めるには、勾留の裁判の時点で既に理由や必要が無かったことを示さなければならない」(は「なくなつたとき」=後から消えたことで足りる)

11勾留の執行停止()条文学説

  • :裁判所は、適当と認めるときは、決定で、勾留されている被告人を親族、保護団体その他の者に委託し、又は被告人の住居を制限して、勾留の執行を停止することができる。この場合においては、適当と認める条件を付することができる。
  • 勾留そのものには異議を述べず、一時的に外へ出る必要が生じたときの手段。取消しと違い、勾留の効力は失われない。執行を一時行わないだけ。
  • 職権による措置。弁護人ができるのは、職権の発動を促す申立てだけ=請求権ではない。申立てがあっても、停止するかどうかの裁判をしなければならないわけではない(過去問の正答)。
  • 停止するのは裁判官(被疑者の勾留では)。検察官が自らの裁量で停止することはできない。
  • 要件は「適当と認めるとき」。法定刑の重さで可否は変わらない(過去問の正答)。
  • 終わり方:停止の期間を指定することができ、そのときは終期の日時と出頭する場所を指定する(・)。期間が満了したとき、または執行停止が取り消されたとき()は、刑事施設に収容される()。勾留そのものは続いている。
取消し()執行停止()
勾留の効力失わせる残したまま、一時的に身柄だけ外へ
終わった後勾留そのものが終わる期間満了・執行停止の取消しで刑事施設に収容(勾留は続いている)
きっかけ請求または職権職権のみ(申立ては職権の発動を促すだけ)
要件理由又は必要がなくなった(義務)適当と認めるとき(裁量)

被疑者が手術のため入院する → 裁判官が職権で、住居を病院に制限して執行を停止し、停止の終わりの日時と出頭場所を指定した → その日時が来れば、被疑者は刑事施設に収容される。勾留そのものは一度も終わっていない。

出題検察官は、適当と認めるときは自らの裁量で勾留の執行を停止できる(×)

出題被告人から執行停止の申立てがあれば、裁判所は停止するか否かの裁判をしなければならない(×)

出題勾留の執行停止の可否は、法定刑の軽重で異ならない(○)

×にされやすい形
  • 「検察官は、適当と認めるときは、検察官自らの裁量により、勾留の執行を停止することができる」
  • 「被告人から勾留執行停止の申立てがあった場合、裁判所は、勾留の執行を停止するか否かの裁判をしなければならない」
  • 「執行停止をすると勾留の効力は失われ、停止の事由が終われば改めて勾留される」(効力は残っている=刑事施設に収容されるだけ)

12接見等禁止の決定に不服があるとき条文学説

  • 接見等禁止():逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき、検察官の請求又は職権で、弁護人・弁護人となろうとする者以外の者との接見を禁じ、書類等を検閲し、授受を禁じ、差し押える決定(糧食は除く)。弁護人との接見は対象外。
  • 対応は2つ。①決定そのものを準抗告で争う(2号の「勾留に関する裁判」として扱われている)。②一部解除を求めて、裁判官の職権発動を促す申立て。
準抗告一部解除の申立て
対象決定そのもの決定の一部(例:特定の友人との面会だけ)
範囲決定を全部争う範囲を狭めてもらう
位置づけ「勾留に関する裁判」として扱われる裁判官の職権発動を促す申立て

接見等禁止中の被疑者について、弁護人が「子どもからの手紙だけは受け取らせてほしい」と、禁止の一部を解く職権の発動を促す。

×にされやすい形
  • 「接見等禁止の決定は、準抗告の対象にならない」
  • 「一部解除は、弁護人の請求によって認められる権利である」(裁判官の職権の発動を促す申立て)

13被疑者には保釈が無い(但書)条文

  • :前三条の規定による勾留の請求を受けた裁判官は、その処分に関し裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。但し、保釈については、この限りでない。
  • 但書=被疑者を勾留する裁判官には保釈を認める権限が無い。保釈が使えるのは、起訴された後の被告人だけ。
  • 被疑者側から申し立てて外へ出る手段は:取消し・準抗告で勾留を終わらせるか、執行停止(職権の発動を促す)で一時的に出るか。理由開示は理由を知る場で、それだけで外へ出られるわけではない。
  • 過去問の正答から:逮捕状による逮捕にも、起訴前の勾留にも、保釈は無い。
起訴前の被疑者起訴後の被告人
保釈が無い(請求もできない)保釈が使える

殺人の被疑事実で勾留中の被疑者が保釈を請求しても、勾留した裁判官には保釈の権限が無いので許されない。同じ事件でも、起訴されて被告人になった後は保釈が問題になる。

出題被疑者の保釈は法律上許されない・請求できない/保釈は被告人の勾留だけ(○)

出題逮捕にも起訴前の勾留にも、保釈は認められない(○)

出題保釈は、被疑者・被告人のどちらの勾留にもある/起訴前だけにある(×)

出題勾留の継続による不利益や犯罪の性質・情状により、条件を付けて被疑者を保釈でき、被疑者の弁護人も保釈を請求できる(×)

×にされやすい形
  • 「裁判官は、勾留の継続により被疑者が受ける健康上又は社会生活上の不利益がある場合、勾留中の被疑者を保釈することができる」
  • 「勾留されている被疑者の弁護人は、裁判官に保釈の請求をすることができる」
  • 「理由開示・取消し・準抗告・執行停止の4つが、そろって被疑者の保釈の代わりになる」(理由開示は外へ出る手段ではない)

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