民訴ゼロから民訴#45

申立権と責問権・期日の指定と変更

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第2章 訴訟の審理 ㊺/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。

意見を聴かれないまま決められた手続は、無効と言えるのか

冒頭事案の関係図(Xが被告Yに対して訴えを提起・裁判所が「この事件は弁論準備手続に付します」と告げる・当事者双方への意見聴取が一度も行われていない) 図:冒頭事案の関係図

前回、手続の進行を握っているのは裁判所だ、という職権進行主義を見ました。最後に、気になることを言っていました。裁判所の指揮が間違っていたら、黙って従うしかないのか、と。裁判所の指揮が間違っていたら、当事者は黙って従うしかないのか。今日は、そこから始めます。事案を1つ出します。XさんがYさんを訴えました。ある日、裁判所から、この事件は弁論準備手続に付します、と告げられます。ところが、この付託について、XさんにもYさんにも、一度も意見を聴かれていませんでした。ここで、今日いちばん最初の問いです。この手続で決まったことを、あとから「無効だ」と言えるでしょうか。

先に答えの形だけ言っておきます。この手続が無効になるかどうかは、当事者が争ったかどうかで決まります。なぜそうなるのか、そこを今日、探っていきます。前回は、当事者が動かなかったときに、裁判所が手続を前へ進める場面を見ました。今日は逆です。当事者が黙っていなかったとき、あるいは黙っていたとき、当事者の側に何ができるのか。そこを見ていきます。

当事者の武器①——申立権は「求める」武器

職権進行主義の裏返しの板(前回=手続の進行を握るのは裁判所・職権進行主義/今回=進行の仕方で当事者の受ける不利益が大きく変わる場面では当事者の意向も汲む=申立権と責問権) 図:職権進行主義の裏返しの板

  • 前回=手続の進行を握るのは裁判所・職権進行主義
  • 今回=進行の仕方で当事者の受ける不利益が大きく変わる場面では当事者の意向も汲む=申立権と責問権

少しだけ、前回を思い出してください。手続をいつ、どう進めるか。その主導権は誰にありましたか?裁判所です。それが職権進行主義でした。ただ、これは「当事者には何の関与もできない」という意味ではありません。進行の仕方ひとつで、当事者の受ける不利益が大きく変わってしまう場面があります。そういう場面では、当事者の意向も汲まなければなりません。そこで、当事者に2つの働きかけの手段が与えられています。1つ目が、申立権です。進行や訴訟指揮について、こう扱ってほしいと裁判所に求められる権能、これを申立権と呼びます。すでに見た例では、17条・18条の裁量移送がこれにあたります。裁判所の判断で事件を他の裁判所へ移すのが裁量移送で、17条は、著しい遅滞を避けるため、あるいは当事者間の衡平を図るための移送でした。18条は、簡易裁判所が相当と認めたときに、自分の事件を所在地の地方裁判所へ渡す移送です。理由は別ですが、どちらも、当事者が移送を申し立てられます。

ただ、今日いちばん押さえてほしいのは、定義ではなく効果です。申立権があるとき、何が起きるのか。

応答義務の板(法定の申立権に基づく申立てがあれば裁判所は放置することが許されない・必ず裁判によって許否を明らかにしなければならない=応答義務) 図:応答義務の板

法定の申立権に基づく申立てがされた場合、裁判所はこれを放置することが許されません。必ず、裁判によって、認めるか却下するか、その許否を明らかにしなければなりません。「申立てができる」の中身は、裁判所に応答義務が生じる、ということです。ここが答案でいちばん効く部分です。単に「申立権がある」と書くだけでは弱く、「だから裁判所は放置できず、応答義務を負う」まで書けて、はじめて使える知識になります。冒頭の事案で考えてみましょう。Xさんが、弁論準備手続に付すこと自体はもう争わないけれど、指定された次の期日はどうしても都合が悪いので日を変えてほしい、と申し立てたとします。これは93条1項の、期日の変更の申立てです。法定の申立権ですから、裁判所はこれを机の上に置いたままにはできません。認めるか、却下するか、どちらかを裁判で示さなければならない。これが、応答義務が生じる、ということの中身です。

申立権が無い事柄について「こうしてほしい」と言ったら、どうなるんですか。それは、単なる職権発動を促す申出にとどまります。裁判所に応答義務は生じません。同じXさんが、たとえば、準備書面をまとめる時間が足りないので、提出の期限をもう少し延ばしてほしい、と言ったとします。期間を伸ばしたり縮めたりするのは、96条1項で裁判所の裁量とされていて、当事者に申立権も不服申立ても認められていません。ですから、裁判所がこれに何も答えないまま手続を進めても、それ自体が違法になるわけではないのです。同じ「お願い」でも、返事が返ってくるかどうかが変わる。

この応答義務という効果は、あとで期日指定の場面でも、もう一度出てきます。

当事者の武器②——責問権は「争う」武器

2つの武器の対比板(申立権=当事者から裁判所へ処置を求める矢印・裁判所は応答義務を負い許否を返す/責問権=裁判所の手続違背または相手方の訴訟行為の違背に対して当事者が異議を述べて効力を争う・向きが逆) 図:2つの武器の対比板

  • 申立権=当事者から裁判所へ処置を求める矢印・裁判所は応答義務を負い許否を返す
  • 責問権=裁判所の手続違背または相手方の訴訟行為の違背に対して当事者が異議を述べて効力を争う・向きが逆

ここから、今日の本体に入ります。武器の2つ目、責問権です。申立権とは、向きが逆になります。申立権は、まだ起きていない処置を、前もって求める権利でした。手続を前に進めるための武器です。これに対して責問権は、すでに起きてしまった手続の違背に対して、異議を述べてその効力を争う権能です。すでに起きたことを、後から争う武器です。そして、責問権の対象は2つあります。裁判所の訴訟手続の違背と、相手方の訴訟行為の違背です。裁判所の側だけではないところに、注意してください。裁判所の側の例なら、以前、釈明権の回で名前だけ出した、150条の、訴訟指揮に対する異議がこれにあたります。裁判長が口頭弁論の進め方について出した命令に対して、当事者がその場で異議を述べると、裁判所が決定でその異議について判断する、という仕組みです。相手方の側の例なら、たとえば、Yさんが、法律の定める方式を守らないまま証拠の申出をしたのに、Xさんがその場で何も言わなかった、という場面です。裁判所に対しても、相手方に対しても、同じ責問権という枠組みで争うことになります。なぜ、こんな権利が当事者に認められているのか。当事者は訴訟の主体として、裁判所が手続を適法に進めているかを監視し、自分の手続的な利益を守る必要があるからです。

冒頭事案の板(裁判所が弁論準備手続に付することを決める際、当事者の意見を聴かなければならない規定があるが冒頭事案では一度も聴かれていない) 図:冒頭事案の板

ここで、冒頭の事案に戻ります。弁論準備手続に付するには、当事者の意見を聴かなければならない、という規定があります。冒頭の事案では、これが守られていませんでした。ただ、答えを出す前に、責問権そのものの中身を、もう一段深く見る必要があります。争えるかどうかは、いつまでも争えるわけではないからです。

喪失放棄治癒の板(強行規定違反を除く・違反を知りまたは知ることができたのに遅滞なく異議を述べないと責問権を失う=喪失・意識的に行使しないのが放棄・喪失または放棄が起きるとその手続の瑕疵は治癒される) 図:喪失放棄治癒の板

こちらが、責問権のいちばん重要な部分です。まず、強行規定、つまり当事者の意思では動かせない、訴訟制度そのものの骨組みを定めた規定、これに違反した場合は別扱いになります。それを除いて、当事者が違反を知り、または知ることができたのに、遅滞なく異議を述べなかった場合、その当事者は、もう責問権を述べられなくなります。これを喪失と呼びます。似た言葉に放棄があります。喪失は、気づいていたのに機を逃した結果として権利を失うことです。放棄は、意識的に、あえて責問権を行使しないと決めることです。どちらにしても、結果は同じです。責問権の喪失、または放棄が起きると、その訴訟手続の瑕疵は治癒されます。以後、問題にされなくなる、ということです。

90条の趣旨の板(任意規定違反を常に無効にすると手続の安定性を害し訴訟不経済をもたらす・当事者が甘受するなら無効にする必要はない・だから失権させる) 図:90条の趣旨の板

争えたはずのことが、争えなくなってしまうんですね。なぜ、そんな厳しい扱いをするんですか。ここは、趣旨から考えると腑に落ちます。今回問題になっている規定は、任意規定、とくに当事者の利益を保護するための規定です。もし、こうした規定への違反を、いつでも無効だと主張できることにしてしまうと、どうなるでしょうか。手続の安定性を害しますし、訴訟不経済ももたらします。逆に、当事者本人が違反に気づいていながら、あえてそれを争わずに手続を進めたのなら、その当事者自身が違反を甘受した、と見てよいはずです。甘受した以上、あとになって無効だと蒸し返す必要はありません。だから、失権させます。

90条全文の板(90条=当事者が訴訟手続に関する規定の違反を知り又は知ることができた場合において遅滞なく異議を述べないときはこれを述べる権利を失う・ただし放棄することができないものについてはこの限りでない) 図:90条全文の板

ここで、条文そのものを確認します。

条文民事訴訟法90条

民事訴訟法第90条(訴訟手続に関する異議権の喪失) 当事者が訴訟手続に関する規定の違反を知り、又は知ることができた場合において、遅滞なく異議を述べないときは、これを述べる権利を失う。ただし、放棄することができないものについては、この限りでない。

この「遅滞なく」という言葉は、そのまま覚えてください。「直ちに」と要約されることもありますが、条文の言葉は「遅滞なく」です。答案でも、この言葉のまま使ってください。強行規定に関する違反がこれにあたります。ここで、2つの規定を区別しておきます。任意規定は、その当事者の利益を守るために置かれた規定です。守られなかったことを、当事者本人が受け入れるなら、それでよい、という性質のものです。これに対して強行規定は、当事者が受け入れようがどうしようが動かせない、訴訟制度そのものを支えている規定です。誰の利益のために置かれた規定か、当事者が手放せる性質のものか。そこで分かれます。ここが、今日いちばんの罠です。責問権の喪失は、あくまで任意規定違反についての話であって、強行規定違反には及びません。

強行規定は治癒されないの板(強行規定違反は異議を述べなくても治癒されない・裁判所の構成の違法・専属管轄違反・公開主義違反など・絶対的上告理由312条2項や再審事由338条1項に連なる重大な瑕疵) 図:強行規定は治癒されないの板

強行規定に違反した手続は、当事者が異議を述べなかったとしても、治癒されません。いつまでも、その違法を主張できます。ここを線引きせずに90条本文だけを覚えると、危険な誤解になります。どこまでが失権し、どこからが失権しないか。この線が本体です。強行規定違反の例としては、裁判所の構成の違法、専属管轄違反、公開主義違反などがあります。これらは訴訟制度の根幹に関わる規定への違反であり、絶対的上告理由、312条2項や、再審事由、338条1項につながる、重大な瑕疵です。この2つの条文の中身は、また別の回で扱います。今日は、責問権では救えないほど重い瑕疵の受け皿として、名前だけ覚えておいてください。

では、手続に違反があったときは、こう順番に考えればいいです。まず、破られたのが強行規定か、任意規定か。強行規定ならそこで終わりで、いつまでも主張できる。任意規定なら、次に、その違反を知っていたか、知ることができたか。知り得たのなら、最後に、遅滞なく異議を述べたか。述べていれば争える、述べていなければ責問権を失って、瑕疵は治癒される。強行規定か任意規定か、知り得たか、遅滞なく異議を述べたか。この3段が、答案でそのまま使える順番です。では、この順番を持って、冒頭の事案に戻ります。

冒頭事案回収の板(弁論準備手続に付する際の意見聴取義務違反=当事者の利益保護のための任意規定違反・遅滞なく異議を述べていれば争えたが述べずに手続を進めれば責問権を失い瑕疵は治癒される) 図:冒頭事案回収の板

弁論準備手続に付するときに当事者の意見を聴かなければならない、という規定は、当事者の利益を保護するための規定です。裁判所の構成のような、訴訟制度の根幹に関わるものではありません。つまり、任意規定違反にあたります。もし、Yさんが、意見を聴かれなかったことに気づいて、遅滞なく異議を述べていれば、この違背を争うことができました。ですが、気づいていながら、あるいは気づくことができたのに、そのまま何も言わずに手続を進めてしまったなら、責問権を失い、その瑕疵は治癒されます。これが、冒頭の問いの答えです。手続の瑕疵が、それだけで自動的に無効になるわけではありません。当事者が争ったかどうかが、結論を左右します。

争点整理に当事者はどう関わるか——申立権と責問権が条文の形で現れる場所

争点整理関与の板(168条=弁論準備手続に付するには当事者の意見を聴かなければならない/172条ただし書=当事者双方から取消しの申立てがあれば裁判所は取り消さなければならない/147条の3第1項=審理計画は裁判所と両当事者の協議で策定) 図:争点整理関与の板

  • 168条=弁論準備手続に付するには当事者の意見を聴かなければならない
  • 172条ただし書=当事者双方から取消しの申立てがあれば裁判所は取り消さなければならない
  • 147条の3第1項=審理計画は裁判所と両当事者の協議で策定

今、見た168条の意見聴取義務は、実は、争点整理の手続そのものに、当事者の関与が組み込まれている一例です。ここをもう少し広げて見ます。裁判所が事件を弁論準備手続に付するには、当事者の意見を聴かなければなりません。168条です。同じように、書面による準備手続に付する場合も、当事者の意見を聴かなければなりません。175条です。そして、ここに、今日いちばん強い申立権の効果が出てきます。172条のただし書です。ここは、それよりさらに強い効果です。弁論準備手続に付する裁判は、原則として、裁判所の裁量で取り消すことができます。ここまでは裁量です。ですが、当事者双方から取消しの申立てがあったときは、裁判所は取り消さなければなりません。

応答義務どころか、裁判所に裁量そのものが残らなくなります。なぜそこまで強いのか。弁論準備手続は、当事者が手持ちの主張と証拠を出し合って、はじめて争点の整理が進む手続だからです。その両方の当事者が、この手続ではやりたくない、と言っているなら、裁判所が続けさせても整理は進みません。裁量を残しておく意味がないわけです。これが、申立権の効果として、いちばん強い形です。もう1つ、審理計画についても触れておきます。事件が複雑な場合などには、審理計画を定めますが、これは裁判所と両当事者が協議をし、その結果を踏まえて定められます。147条の3第1項です。ここでも、当事者の関与が組み込まれています。

ただ、争点整理の手続そのものの中身、3つの種類の使い分けや効果は、別の回で扱います。今日見たのは、当事者がどう関わるか、その局面だけです。

期日とは何か——誰が「いつ会うか」を決めるのか

期日の定義の板(期日=裁判所と当事者、その他の訴訟関係者が集まり、訴訟上の行為をするものとして定められた時間帯・種類=口頭弁論期日・証拠調べ期日・和解期日・弁論準備手続期日) 図:期日の定義の板

ここから後半です。申立権と責問権という、2つの武器を見てきました。ここからは、申立権が具体的に働く、いちばん身近な場面を見ます。期日です。期日を正確に言うと、裁判所と当事者、それに証人などの訴訟関係者が集まって、訴訟上の行為をするものとして定められた時間帯のことを、期日と呼びます。種類はいくつかあります。口頭弁論期日、証拠調べ期日。それに和解期日や、弁論準備手続の期日もあります。では、この「いつ会うか」は、誰が決めるのでしょうか。

期日の指定——認めるのは裁判長、却下するのは裁判所

93条1項の板(期日の指定及び変更は申立てによりまたは職権で裁判長が行う・原則として職権進行主義の現れ) 図:93条1項の板

期日の指定は、原則として、裁判長が、職権で、命令によって行います。93条1項です。なお、受命裁判官や受託裁判官が行う手続の期日は、その裁判官が指定します。これは、民事訴訟法ではなく、民事訴訟規則の35条に書かれています。ここは、職権進行主義がそのまま現れている場面です。ただし、当事者が何もできないわけではありません。当事者は、期日指定の申立てによって、裁判所を促すことができます。ここで、さきほどの申立権が、具体的な条文として出てきます。そして、ここに今日いちばんの罠があります。この申立てを、裁判所がどう扱うか。認める場合と、却下する場合とで、対応する主体が入れ替わります。

主体の入れ替え板(申立てを認めるとき=裁判長等が期日を指定する/申立てを却下するとき=裁判所が決定で行う・理由=当事者の権能を否定する判断だから合議体が担う) 図:主体の入れ替え板

  • 申立てを認めるとき=裁判長等が期日を指定する
  • 申立てを却下するとき=裁判所が決定で行う・理由=当事者の権能を否定する判断だから合議体が担う

申立てを認めるときは、裁判長等が、期日を指定するという形で応じます。これは、進行そのものの話ですから、単独で決めて構いません。形式は命令です。前回見たとおり、命令は裁判官個人が出す裁判、決定は裁判所が出す裁判でしたね。ところが、申立てを却下するときは、裁判所が、決定によって行います。認めるのと却下するのとで、主体そのものが変わるんです。裁判長個人から、裁判所全体へ。なぜでしょうか。申立てを却下するというのは、当事者に認められた申立権そのものを否定する判断です。当事者の権能を否定する重い判断だからこそ、裁判長1人の職権ではなく、合議体である裁判所が担うべきだ、という考え方です。

ここは、条文の文言そのものというより、この場面の性質から導かれる整理です。「認めるのは裁判長、却下するのは裁判所」、この対比で覚えてください。丸暗記ではなく、当事者の権能を否定する判断だから重い機関が担う、という理由から導けるようにしておくと、忘れません。

呼出しと期日の変更

呼出しの3類型の板(94条1項=①電子呼出状の送達②出頭した者への期日の告知③その他相当と認める方法=簡易な呼出し) 図:呼出しの3類型の板

期日が決まったら、当事者に知らせなければなりません。この知らせ方を、呼出しと呼びます。94条1項に、3つの類型があります。1つ目は、電子呼出状の送達です。以前、送達の回で見た、正式な知らせ方です。2つ目は、出頭した者に対する期日の告知です。今、法廷に来ている人に、次の期日をその場で告げる方法です。3つ目は、その他相当と認める方法、いわゆる簡易な呼出しです。たとえば、Xさんの代理人が今日の期日に現に出てきているなら、裁判長がその場で、次は来月の第2週です、と告げれば、それで呼出しは済みます。すでに目の前にいる人に、わざわざ正式な送達を毎回するのは、かえって手間ですから、最後に、期日が決まったあと、その期日を変更できるかどうかです。

期日変更の板(期日を変えられるのは決められた事由があるときだけ93条3項4項・理由=いったん決まった期日が理由もなく何度も動くと裁判所の事務も関係者の予定も回らなくなるから) 図:期日変更の板

期日を変えられるのは、決められた事由があるときだけです。93条3項と4項ですね。理由は単純です。いったん決まった期日が、これといった理由もなく何度も動いてしまうと、裁判所の事務も、ほかの関係者の予定も、たちまち回らなくなるからです。ここで、今日の最初に見た問いを、思い出してください。弁論準備手続への付託について、意見を聴かれなかったYさんは、その場で、遅滞なく異議を述べていたでしょうか。もし述べていれば、争う道が残ります。述べていなければ、責問権を失い、瑕疵は治癒されます。

今日の地図(保存版)

2つの武器の対比板(申立権=当事者から裁判所へ処置を求める矢印・裁判所は応答義務を負い許否を返す/責問権=裁判所の手続違背または相手方の訴訟行為の違背に対して当事者が異議を述べて効力を争う・向きが逆) 図:2つの武器の対比板

  • 申立権=当事者から裁判所へ処置を求める矢印・裁判所は応答義務を負い許否を返す
  • 責問権=裁判所の手続違背または相手方の訴訟行為の違背に対して当事者が異議を述べて効力を争う・向きが逆

今日は、当事者が裁判所の進行に対して何ができるのか、を見てきました。進行を握っているのは裁判所。でも、当事者は無力ではなかったんですね。当事者は2つの武器を持っています。求める武器、申立権。争う武器、責問権。申立権は、裁判所に応答義務を生じさせます。放置は許されません。責問権は、遅滞なく異議を述べなければ失われ、その手続の瑕疵は治癒されます。ただし、強行規定違反だけは、いつまでも治癒されません。冒頭の問い、答えが出ましたね。意見を聴かれなかっただけでは、自動的に無効になるわけではなくて、当事者が遅滞なく異議を述べたかどうかで結論が割れる、ということでした。そして、期日は、この2つの武器が具体的な条文として現れる場所でした。「いつ会うか」を決めるのは裁判所ですが、当事者は申立てでそれを促すことができました。

今日は「いつ会うか」の話でした。では、当事者は「いつまでにやらなければならないか」については、どこまで自由が利くのでしょうか。期間を守れなかったとき、手続はどうなるのか。そして、手続そのものが止まってしまう場面もあります。

参照条文

  • 民事訴訟法90条

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