行政法ゼロから行政法#68

裁量基準と裁量審査②(基準どおりの処分・個別事情考慮義務)

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第5章 行政裁量 #68/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。

基準どおりにした処分は、いつでも適法か

今日の問い(前回と同じ架空の県条例=知事は遊漁船業者が安全基準に違反したとき180日以内の営業停止を命じられる/知事が公表した基準=救命胴衣の不備で死傷者なしなら標準は停止30日/C社は基準どおり30日/C社の事情=検査の日に新品の納品が1日間に合わなかっただけ・過去に違反なし・死傷者なし・説明しようとしたが聞かれなかった/問い=役所は自分の基準どおりにした、それでも違法か) 図:今日の問い

  • 前回と同じ架空の県条例=知事は遊漁船業者が安全基準に違反したとき180日以内の営業停止を命じられる
  • 知事が公表した基準=救命胴衣の不備で死傷者なしなら標準は停止30日
  • C社は基準どおり30日
  • C社の事情=検査の日に新品の納品が1日間に合わなかっただけ・過去に違反なし・死傷者なし・説明しようとしたが聞かれなかった
  • 問い=役所は自分の基準どおりにした、それでも違法か

前回の最後に予告した問いですね。そこから始めます。前回と同じ、架空の県条例の設例です。実在の条例ではありません。知事は、遊漁船業者が安全基準に違反したときは、180日以内の期間を定めて営業の停止を命ずることができます。知事が公表した基準では、救命胴衣の不備で死傷者が出ていない場合の標準は、停止30日です。今日の主役は、基準どおり30日を受けたC社です。C社の救命胴衣の不備は、検査の日に、注文した新品の納品が1日だけ間に合わなかったためでした。過去に違反はなく、死傷者もいません。C社は検査のとき、担当者にその事情を説明しようとしました。ところが、何も聞かれないまま、基準どおり30日、と通知されたのです。

役所が基準に従った、というだけでは、適法の理由として足りません。今日は、その理由を二段階で確かめます。最後には、この章の総まとめとして、これまでの審査の道具を使い分ける問題も出します。

今日の道順(1 二段階の想起と今日の位置〔場面B=基準どおり〕/2 第1段階:基準そのものが不合理なら従っても違法/3 第2段階:個別事情考慮義務〔運賃の判決・懲戒の判決〕/4 基準の二面性と二段階の連動/5 A社とC社を並べて通す/6 章末の問題:どの審査が当たるか) 図:今日の道順

  • 1 二段階の想起と今日の位置〔場面B=基準どおり〕
  • 2 第1段階:基準そのものが不合理なら従っても違法
  • 3 第2段階:個別事情考慮義務〔運賃の判決・懲戒の判決〕
  • 4 基準の二面性と二段階の連動
  • 5 A社とC社を並べて通す
  • 6 章末の問題:どの審査が当たるか

道順です。まず前回の二段階を一問で思い出して、今日の位置を確かめます。次に第一段階、基準そのものが不合理な場合。そして第二段階、個別の事情を見る義務です。そのあと、二つの段階のつながりと、A社とC社を並べた整理をして、最後に章末の問題に進みます。

二段階の想起と、今日の位置

裁量基準の審査は二段階(第1段階=基準そのものは合理的か/第2段階=その一件への当てはめは合理的か〔基準が想定しない個別事情を考慮したか〕/場面A=基準から外れた処分〔前回〕/場面B=基準どおりの処分〔今日〕) 図:裁量基準の審査は二段階

  • 第1段階=基準そのものは合理的か
  • 第2段階=その一件への当てはめは合理的か〔基準が想定しない個別事情を考慮したか〕
  • 場面A=基準から外れた処分〔前回〕
  • 場面B=基準どおりの処分〔今日〕

ここで1問です。裁量基準が使われた処分を、裁判所は何段階で、何と何を見るでしょうか?二段階です。一つ目が、基準そのものが合理的か。二つ目が、その基準の当てはめが合理的か、です。なぜ二つに分けるのか。基準そのものが理にかなっていても、その基準が、目の前の一件に合うとは限らないからです。基準を作るところの誤りと、個々の件に使うところの誤りは、別の場所で起きます。前回は、基準から外れた処分を見ました。これが場面Aで、A社の90日です。今日は場面B、基準どおりにした処分です。場面Bには、落ちる場所が二つあります。第一段階で落ちる型と、第二段階で落ちる型です。前提を一つ確かめます。C社の営業停止は、停止を命じるかどうか、何日にするかに、知事の判断の幅がある処分です。裁量のある処分ですから、30日の基準は裁量基準です。通達という名前かどうかでは決まらない、という見分けは前回のとおりです。今日は、この二段階の審査にそのまま入ります。

第一段階——基準そのものが不合理なら、従っても違法

第1段階(基準そのものが不合理→その基準に従った処分も違法/「基準に従っただけ」は適法の理由にならない/基準が合理的→その基準に沿った処分は原則適法/例=基準が「死傷者の有無を問わず救命胴衣の不備は一律180日」→違反の重さに釣り合わず重すぎる基準) 図:第1段階

  • 基準そのものが不合理→その基準に従った処分も違法
  • 「基準に従っただけ」は適法の理由にならない
  • 基準が合理的→その基準に沿った処分は原則適法
  • 例=基準が「死傷者の有無を問わず救命胴衣の不備は一律180日」→違反の重さに釣り合わず重すぎる基準

第一段階から。裁量基準を使った処分を見るときは、まず基準そのものが合理的かを見ます。基準が不合理なら、それに従った処分も違法です。従っただけ、は理由になりません。設例を変えてみます。知事の基準が、死傷者の有無にかかわらず、救命胴衣の不備は一律180日、つまり条例の上限、だったとします。設備の不備だけで何も起きていない業者と、死傷者を出した業者が、同じ上限に置かれます。違反の重さに釣り合わない、重すぎる基準です。比例原則の回で見た物差しですね。こういう基準どおりに180日を命じても、従ったことを理由に適法にはなりません。

合理的な基準に沿った処分は、原則として適法と判断されます。基準に従うこと自体は、裁量権の適切な行使だからです。この点は、あとで読む運賃の判決の言い方から、はっきり確かめます。判決の名前を一つだけ思い出しておきます。判断過程審査の回で見た、原子炉の設置許可の判決です。そこでは、国が用いた具体的な審査基準に不合理な点がないか、その基準に適合するとした判断の過程に、看過し難い過誤や欠落がないかを見る、と述べられました。基準そのものと、基準の当てはめの過程。この二つを見る形は、今日の二段階と同じです。設例の30日は、死傷者なしの標準としては合理的、と仮定して進めます。次が、今日の中心です。

第二段階——個別事情考慮義務

第2段階=個別事情考慮義務(基準が合理的でも基準は「標準」「原則」/基準が想定しない個別事情があるのに見ずに機械的に当てはめる→当てはめの合理性を欠き違法になりうる/個別審査義務ともいう/事情を見たうえで基準どおりが相当なら基準どおりでよい=軽くする義務ではない)

基準が合理的でも、基準は標準であり原則です。基準が想定していない個別の事情があるのに、それを見ずに、機械的に当てはめたらどうなるか。当てはめの合理性を欠いて、違法になりうる。これが、個別事情考慮義務です。個別審査義務とも呼ばれます。なぜか。法律が知事に幅を与えたのは、一件ごとの事情に応じて決めさせるためです。基準はその幅を使うための目安で、一件ごとに考えることまで、基準が肩代わりはできません。基準は、救命胴衣の不備で、死傷者なし、という典型を想定して30日と定めています。納品の遅れが原因で、過去の違反もないという事情は、その典型の標準に、必ずしも収まりません。この事情を聞かないまま、基準だから30日、と通知すれば、当てはめが不合理になりうるのです。

事情を考えたら、30日より短くしなければいけないんですか。そこは誤解しやすいところです。個別事情考慮義務は、必ず基準より軽くする義務ではありません。事情を見たうえで、なお基準どおりが相当だと判断したなら、基準どおりでかまいません。問われるのは、見たかどうか、考えたかどうか、です。日常の例にします。町の自転車置き場に、駐輪違反は1回目でも撤去、という掲示があるとします。掲示は合理的です。でも、救急搬送で駆け込んだ人の自転車まで、事情を聞かずに撤去すれば、掲示を読む係が、考えるのをやめた、ということになります。基準は、考えるための起点であって、考えなくてよい理由ではありません。判決を二つ見ます。一つ目は、専門技術的裁量の回で、裁量がある例として見た、タクシー運賃の認可の判決です。今日は、同じ判決の、基準の使い方を述べた部分を読みます。

運賃の判決の事案(タクシー事業者らが消費税の転嫁のため3パーセントの値上げの運賃変更認可を申請/地方運輸局長は原価計算書などを求めたが事業者は「消費税の転嫁」と述べるのみで算定の根拠を説明せず/局長は判断に足りる資料の提出がないとして申請を却下/通達が同一地域の標準事業者の原価を平均する平均原価方式を定め運輸局はそれに従っていた/事業者らが却下は違法として国家賠償を請求) 図:運賃の判決の事案

  • タクシー事業者らが消費税の転嫁のため3パーセントの値上げの運賃変更認可を申請
  • 地方運輸局長は原価計算書などを求めたが事業者は「消費税の転嫁」と述べるのみで算定の根拠を説明せず
  • 局長は判断に足りる資料の提出がないとして申請を却下
  • 通達が同一地域の標準事業者の原価を平均する平均原価方式を定め運輸局はそれに従っていた
  • 事業者らが却下は違法として国家賠償を請求

事案です。大阪のタクシー事業者らが、消費税を運賃に転嫁するため、3パーセントの値上げの運賃変更認可を申請しました。地方運輸局長は、値上げ幅がわずかなのに、同業他社との運賃の差が大きいことなどから、原価計算書などの提出を求めました。ところが、事業者は、運賃変更の理由は消費税の転嫁だ、と述べるだけで、算定の根拠を説明しませんでした。局長は、基準に適合するか判断できるだけの資料がないとして、申請を却下しました。事業者らは、却下は違法だとして、国に損害賠償を求めました。運賃の認可には基準があります。判決当時の道路運送法の条文は、能率的な経営の下における適正な原価を償い、かつ、適正な利潤を含むもの、というものでした。判決当時の条文で、現在は書き方が変わっています。この基準は抽象的ですから、運輸局は、通達で、同じ地域の標準的な事業者の原価を平均して額を決める、平均原価方式を定めて、それに従っていました。最高裁の判断は、三つの段に分かれます。基準の合理性、基準どおりの申請の扱い、基準と違う額の申請の扱いです。読みます。

判例最判平11・7・19 集民193号571頁

平均原価方式の合理性と個別審査——① 本件通達の定める運賃原価算定基準に示された原価計算の方法は、法九条二項一号の基準に適合するか否かの具体的判断基準として合理性を有するといえる。そして、タクシー事業は運賃原価を構成する要素がほぼ共通と考えられる上、その中でも人件費が原価の相当部分を占めるものであり、また、同じ地域では賃金水準や一般物価水準といった経済情勢はほぼ同じであると考えられるから、当該同一地域内では、同号にいう「能率的な経営の下における適正な原価」は各事業者にとってほぼ同じようなものになると考えられる。したがって、平均原価方式に従って算定された額をもって当該同一地域内のタクシー事業者に対する運賃の設定又は変更の認可の基準とし、右の額を変更後の運賃の額とする運賃変更の認可申請については、特段の事情のない限り同号の基準に適合しているものと判断することも、地方運輸局長の前記裁量権の行使として是認し得るところである。

ここまでが、基準の合理性と、基準どおりの申請の扱いです。続けて、基準と違う額で申請した場合の部分を読みます。

判例最判平11・7・19 集民193号571頁

平均原価方式の合理性と個別審査——② もっとも、タクシー事業者が平均原価方式により算定された額と異なる運賃額を内容とする運賃の設定又は変更の認可申請をし、右運賃額が同号の基準に適合することを明らかにするため道路運送法施行規則(平成七年運輸省令第一四号による改正前のもの)一〇条二項所定の原価計算書その他運賃の額の算出の基礎を記載した書類を提出した場合には、地方運輸局長は、当該申請について法九条二項一号の基準に適合しているか否かを右提出書類に基づいて個別に審査判断すべきであることはいうまでもない。

一つ目、平均原価方式という基準は、具体的な判断基準として合理性がある。これが第一段階です。二つ目、だから、その額どおりの申請は、特段の事情がない限り、基準に適合すると判断してよい。合理的な基準に沿った処理は適法、という先ほどの原則の、実際の言葉です。三つ目、もっとも、平均と違う額で申請し、算出の基礎を書いた書類を出した事業者には、局長は、その書類に基づいて個別に審査すべきだ。これが、個別事情考慮義務、個別審査の義務の元になる部分です。法律が求めているのは、その事業者の運賃が適正な原価を償うかどうかで、平均はその目安にすぎないからです。

ここは、結論の取り違えに注意してください。この事件の結論は、却下は適法で、国家賠償の請求は認められない、です。局長は、基準の額に達しないことだけを理由に却下したのではありません。提出書類に基づいて個別に審査しようとして、説明を求めました。しかし事業者が算定の根拠を明らかにしなかった。だから、判断するだけの資料がないとした却下は、裁量権の逸脱でも濫用でもない、とされたのです。ですから、この判決は、個別審査をする義務を規範として示した判決です。個別審査を怠ったから違法とした判決ではありません。短答では、ここを狙われます。

運賃の判決の整理(第1段階=平均原価方式は合理的→その額どおりの申請は特段の事情がない限り基準に適合と判断してよい/第2段階=違う額で算出の基礎を示した申請には提出書類に基づき個別に審査判断すべき/結論=事業者が根拠を示さず却下は適法・国家賠償は認められない/規範は示したが個別審査の懈怠を違法とした事件ではない) 図:運賃の判決の整理

  • 第1段階=平均原価方式は合理的→その額どおりの申請は特段の事情がない限り基準に適合と判断してよい
  • 第2段階=違う額で算出の基礎を示した申請には提出書類に基づき個別に審査判断すべき
  • 結論=事業者が根拠を示さず却下は適法・国家賠償は認められない
  • 規範は示したが個別審査の懈怠を違法とした事件ではない

整理します。第一段階と第二段階が、一つの判決の中に並んでいます。ここで1問、思い出してください。比例原則は、何と何の釣り合いを見るのでしたか?処分の目的と、処分で課される不利益の釣り合い、でした。二つ目の判決は、その釣り合いが、基準に従った処分でも問題になる例です。公立学校の教職員が、卒業式などの式典で、起立しなかったことに対する、懲戒処分の判決です。

懲戒の判決の事案(都の教育委員会は「過去に非違行為で懲戒処分を受けたのに同様の非違行為を再び行った場合は量定を加重する」という処分量定の方針を採り各処分をした/X2=過去2年度に3回の不起立による懲戒処分だけ・積極的な妨害なし→停職1月/X1=過去に積極的に式典や研修の進行を妨害する行為による処分を含む懲戒5回と文書訓告2回→停職3月/同じ日の別判決=過去に戒告1回のみの者への減給は違法・処分歴のない者への戒告は適法) 図:懲戒の判決の事案

  • 都の教育委員会は「過去に非違行為で懲戒処分を受けたのに同様の非違行為を再び行った場合は量定を加重する」という処分量定の方針を採り各処分をした
  • X2=過去2年度に3回の不起立による懲戒処分だけ・積極的な妨害なし→停職1月
  • X1=過去に積極的に式典や研修の進行を妨害する行為による処分を含む懲戒5回と文書訓告2回→停職3月
  • 同じ日の別判決=過去に戒告1回のみの者への減給は違法・処分歴のない者への戒告は適法

事案です。教育委員会は、過去に懲戒処分を受けたのに、同じ種類の非違行為、つまり処分の理由になる非行を、また繰り返した場合は、処分の重さを加重する、という方針を持っていました。その方針に従って、何人かの教職員に処分をしました。X2さんは、過去の2年度に、3回、起立しなかったことによる懲戒処分を受けていて、今回は停職1か月。X1さんは、過去に、式典や研修の進行を積極的に妨害したことによる処分を含む、懲戒5回と、文書訓告2回があって、今回は停職3か月でした。比例原則の回で読んだ減給の判決は、同じ日に出た別の判決です。今日は停職の事件を読みます。判決は、停職を選べる条件を述べる段と、それをX2さんとX1さんに当てはめる段に分かれます。まず、規範の段です。

判例最判平24・1・16 集民239号1頁

停職を選ぶための条件——① 他方,同イにおいてみた事情によれば,不起立行為に対する懲戒において戒告を超えてより重い減給以上の処分を選択することについては,本件事案の性質等を踏まえた慎重な考慮が必要となるものといえる。そして,停職処分は,処分それ自体によって教職員の法的地位に一定の期間における職務の停止及び給与の全額の不支給という直接の職務上及び給与上の不利益が及び,将来の昇給等にも相応の影響が及ぶ上,本件各通達を踏まえて毎年度2回以上の卒業式や入学式等の式典のたびに懲戒処分が累積して加重されると短期間で反復継続的に不利益が拡大していくこと等を勘案すると,上記のような考慮の下で不起立行為に対する懲戒において戒告,減給を超えて停職の処分を選択することが許容されるのは,過去の非違行為による懲戒処分等の処分歴や不起立行為の前後における態度等(以下,併せて「過去の処分歴等」という。)に鑑み,学校の規律や秩序の保持等の必要性と処分による不利益の内容との権衡の観点から当該処分を選択することの相当性を基礎付ける具体的な事情が認められる場合であることを要すると解すべきである。

ここまでが、停職を選べる場合の一般的な条件です。続けて、その条件から導かれる、処分歴だけでは足りないという部分を読みます。

判例最判平24・1・16 集民239号1頁

停職を選ぶための条件——② したがって,不起立行為に対する懲戒において停職処分を選択することについて,上記の相当性を基礎付ける具体的な事情が認められるためには,例えば過去の1,2年度に数回の卒業式等における不起立行為による懲戒処分の処分歴がある場合に,これのみをもって直ちにその相当性を基礎付けるには足りず,上記の場合に比べて過去の処分歴に係る非違行為がその内容や頻度等において規律や秩序を害する程度の相応に大きいものであるなど,過去の処分歴等が停職処分による不利益の内容との権衡を勘案してもなお規律や秩序の保持等の必要性の高さを十分に基礎付けるものであることを要するというべきである。

骨組みだけ取り出します。判決の言う権衡は、比例原則の回で見たとおり、釣り合いのことです。停職を選べるのは、処分歴や、前後の態度などに照らして、学校の規律や秩序を保つ必要性と、処分の不利益との釣り合いから、停職を選ぶことが相当だと言える具体的な事情がある場合だけ、です。過去の1、2年度に数回の不起立の処分歴がある、というだけでは足りません。次が、X2さんのあてはめです。

判例最判平24・1・16 集民239号1頁

処分歴だけを理由にした停職——① これを本件についてみるに,前記第1の2(4)イのとおり,上告人X2については,都教委において,過去の懲戒処分の対象とされた非違行為と同様の非違行為を再び行った場合には量定を加重するという処分量定の方針に従い,過去に同様の非違行為による懲戒処分を繰り返し受けているとして,量定を加重して1月の停職処分がされたものである。しかし,過去の懲戒処分の対象は,いずれも不起立行為であって積極的に式典の進行を妨害する内容の非違行為は含まれておらず,いまだ過去2年度の3回の卒業式等に係るものにとどまり,本件の不起立行為の前後における態度において特に処分の加重を根拠付けるべき事情もうかがわれないこと等に鑑みると,同上告人については,上記(1)において説示したところに照らし,学校の規律や秩序の保持等の必要性と処分による不利益の内容との権衡の観点から,なお停職処分を選択することの相当性を基礎付ける具体的な事情があったとは認め難いというべきである。

ここまでが、X2さんに停職を選ぶ相当性があったかの検討です。続けて、そこから出た結論の部分を読みます。

判例最判平24・1・16 集民239号1頁

処分歴だけを理由にした停職——② そうすると,上記のように過去2年度の3回の卒業式等における不起立行為による懲戒処分を受けていることのみを理由に同上告人に対する懲戒処分として停職処分を選択した都教委の判断は,停職期間の長短にかかわらず,処分の選択が重きに失するものとして社会観念上著しく妥当を欠き,上記停職処分は懲戒権者としての裁量権の範囲を超えるものとして違法の評価を免れないと解するのが相当である。

X2さんは、方針に従って量定を加重された停職1か月が、重きに失する、つまり重すぎるとして違法とされました。一方、X1さんは、過去の一連の非違行為の内容や頻度に照らして、停職を選ぶことの相当性を基礎付ける具体的な事情がある、とされ、停職3か月でも違法ではありません。同じ方針に従った処分でも、事実が違えば、結論が割れました。

懲戒の判決の整理(共通=都教委の処分量定の方針〔過去の処分で同様の行為なら加重〕に従った/X2=過去2年度3回の不起立のみ・積極的な妨害なし→処分歴のみを理由とした停職1月は重きに失し違法/X1=積極的な妨害を含む懲戒5回と文書訓告2回→停職3月は違法でない/判決は「個別事情考慮義務」の語を使っていない・学説上の整理) 図:懲戒の判決の整理

  • 共通=都教委の処分量定の方針〔過去の処分で同様の行為なら加重〕に従った
  • X2=過去2年度3回の不起立のみ・積極的な妨害なし→処分歴のみを理由とした停職1月は重きに失し違法
  • X1=積極的な妨害を含む懲戒5回と文書訓告2回→停職3月は違法でない
  • 判決は「個別事情考慮義務」の語を使っていない・学説上の整理

慎重に言います。判決が明言したのは、処分歴だけを理由に重い処分を選ぶのは重きに失して違法、という裁量権の範囲の判断です。方針の機械的な適用が違法だ、とは直接には言っていませんし、個別事情考慮義務という言葉も使っていません。この判決を、個別事情考慮義務の例として位置付けるのは、学説上の整理です。なぜそう整理されるのか。X2さんとX1さんは同じ方針に当たるのに、妨害の有無や回数という一人ずつの事情で結論が分かれました。方針の当てはめだけで決めず、その人の事情を見よ、という点が、個別事情考慮義務と同じだからです。結果が重すぎるかを問う点では、比例原則とも重なります。答案では、判決の言葉と、自分の整理を、分けて書くと安全です。二つの判決に共通する方向は同じです。基準は出発点であって、終点ではない。基準に乗らない事情を出した人には個別に審査し、方針に従った処分も、中身の事情に照らして見直す。

基準の二面性と、二段階のつながり

基準の二面性(一方=公にした基準には原則として従うことが求められる〔前回の自己拘束・平等・信頼〕/他方=基準があっても一件ごとの事情を見る必要は消えず、機械的に当てはめれば違法になりうる/二つの要請は両立する) 図:基準の二面性

  • 一方=公にした基準には原則として従うことが求められる〔前回の自己拘束・平等・信頼〕
  • 他方=基準があっても一件ごとの事情を見る必要は消えず、機械的に当てはめれば違法になりうる
  • 二つの要請は両立する

前回と今日を合わせると、基準には二つの顔があります。一つ目、基準を決めて公にしたなら、原則としてその基準どおりに判断することが求められます。前回の、自己拘束、平等、信頼の話です。二つ目、基準があっても、一件ごとの事情を見て判断する必要は消えません。場合によっては、基準を機械的に当てはめたことが違法になります。両方を満たす動き方があります。基準に従うことを出発点にして、その一件に基準が想定しない事情があるかを見る。ある場合には、その事情を考えたうえで判断し、基準から外れるなら、その理由を示す。ない場合には、基準どおりにする。これなら、二つの要請が両立します。

二段階のつながり(第1段階で「例外を認めない基準なら不合理だが、事情に応じて例外を認める基準と読めるので合理的」と判断→第2段階でその例外を使っていなければ当てはめで落ちる/例=標準30日を「事情によって幅をもたせる基準」と読むから合理的→C社の事情を聞かず一律30日は読みと運用が食い違い当てはめで落ちる/事情を聞いたうえで30日なら適法に傾く) 図:二段階のつながり

  • 第1段階で「例外を認めない基準なら不合理だが、事情に応じて例外を認める基準と読めるので合理的」と判断→第2段階でその例外を使っていなければ当てはめで落ちる
  • 例=標準30日を「事情によって幅をもたせる基準」と読むから合理的→C社の事情を聞かず一律30日は読みと運用が食い違い当てはめで落ちる
  • 事情を聞いたうえで30日なら適法に傾く

もう一つ、二つの段階はつながっています。第一段階で、基準を、画一的で硬直的なものと読めば不合理だけれど、個別の事情を考えて、柔軟に例外を認める基準と読めるから、その限りで合理的だ、と判断することがあります。なぜ読み方で変わるのか。例外を一切認めない基準だと、法律が知事に与えた、一件ごとに決める幅を、基準が丸ごと消してしまいます。それでは法律の趣旨に合いません。例外を認める基準と読めるなら、その幅は残るので、合理的と言えるのです。そう判断した以上、第二段階で、個別の事情を考えていなければ、当てはめは不合理になります。例外を認める基準だから合理的、と言ったのに、その例外を使わない運用は、許されないからです。設例で言うと、知事の標準30日を、死傷者なしの標準であって、事情によって幅をもたせる基準、と読むから合理的なのです。それなのに、C社の事情を聞かず、一律30日にしたなら、読みと運用が食い違い、当てはめで落ちます。逆に、事情を聞いたうえで、納品の遅れは理由にならない、救命胴衣の備え付けは検査の前に済ませておく義務だ、と判断を示して30日にしたなら、基準どおりでも、適法に傾きます。

A社とC社を並べて通す

A社とC社(知事=行政庁/A社=基準30日のところ90日〔場面A〕・理由は「厳正に対処するため」だけ/C社=基準どおり30日〔場面B〕・事情を聞かれていない/遺族=被害を受けた乗客/B社=同じ違反で5日/同じ基準について A社は「基準より重い」ことを手がかりに争い・C社は「基準どおりでも事情を見ていない」ことで争う=争い方が逆向き) 図:A社とC社

  • 知事=行政庁
  • A社=基準30日のところ90日〔場面A〕・理由は「厳正に対処するため」だけ
  • C社=基準どおり30日〔場面B〕・事情を聞かれていない
  • 遺族=被害を受けた乗客
  • B社=同じ違反で5日
  • 同じ基準について A社は「基準より重い」ことを手がかりに争い・C社は「基準どおりでも事情を見ていない」ことで争う=争い方が逆向き

同じ設例で、場面Aと場面Bを並べます。A社は、基準の30日より重い90日で、理由は、厳正に対処するため、だけでした。争点は、外れる特段の事情があるか、そしてその90日が重すぎないか。基準との開きが、手がかりになります。C社は、基準どおりの30日です。争点は、一つ目、基準そのものが合理的か。二つ目、納品の遅れと過去違反なしという事情を、見たか。同じ基準なのに、A社とC社で、争い方が逆向きなんですね。A社は、基準より重い、と言って争い、C社は、基準どおりでも事情を見ていない、と言って争います。ここで一つ、はっきり言っておきます。C社が必ず勝つ、とは言えません。通るか通らないかは、事情の中身と、知事が考えたかどうかで決まります。聞かずに機械的なら、取消しに傾きます。聞いたうえで理由を示したなら、適法に傾きます。もう一点。基準どおりでも、重すぎないかは、比例原則で別に問えます。個別事情考慮義務は、事情を見たかどうか。比例原則は、結果が釣り合っているかどうか。問いが違います。この区別は、次の章末の問題で効いてきます。

章末の問題——どの審査が当たるか

章末の問題の事案(架空のX市の条例=市長は公の秩序を乱すおそれがある場合その他市長が不適当と認める場合を除き市民会館の使用を許可する〔市長に裁量がある〕/市が公表した内部の許可基準=使用団体の代表者は市内に住所を有すること/団体Qの代表P氏は市外在住/Qの実態=会員の9割が市内在住・P氏は転勤で半年前に隣の市へ移ったばかり・過去の使用に問題なし/市長は「代表者が市内在住でない」ことだけを理由に不許可) 図:章末の問題の事案

  • 架空のX市の条例=市長は公の秩序を乱すおそれがある場合その他市長が不適当と認める場合を除き市民会館の使用を許可する〔市長に裁量がある〕
  • 市が公表した内部の許可基準=使用団体の代表者は市内に住所を有すること
  • 団体Qの代表P氏は市外在住
  • Qの実態=会員の9割が市内在住・P氏は転勤で半年前に隣の市へ移ったばかり・過去の使用に問題なし
  • 市長は「代表者が市内在住でない」ことだけを理由に不許可

第5章の最後の問題です。この章で見た道具を、使い分けます。架空のX市の設例です。実在の条例ではありません。X市の条例は、市長は、公の秩序を乱すおそれがある場合その他市長が不適当と認める場合を除き、市民会館の使用を許可する、と定めています。市長に裁量がある条文です。市は、内部の許可基準を公表していて、使用団体の代表者は、市内に住所を有すること、としています。市外に住むP氏が代表の団体Qが、市民会館の使用を申請しました。市長は、代表者が市内に住んでいないから、という理由だけで、不許可にしました。Qの実態は、会員の9割が市内在住で、P氏は転勤で半年前に隣の市へ移ったばかり、過去の使用で問題はありませんでした。ここで1問です。第5章で見た、裁量の有無の見分け、比例原則と平等原則、判断過程審査の考慮不尽と他事考慮、そして今日の個別事情考慮義務。どれが主軸として当たるでしょうか?

今日の個別事情考慮義務、だと思います。代表者の住所という基準自体は合理的かもしれないけれど、会員の大半が市民で、転居したばかりで、使用実績に問題もない、という事情を見ずに、基準の形式だけで不許可にしているからです。ほかが当たらない理由も、一言ずつ確かめます。裁量の有無は、条文上、市長に裁量があることに争いがないので、問題になりません。考慮不尽は、考慮すべき事項を考慮しないことでした。Qの事情を見なかった点は、これと重なります。ただ、基準を使った処分で、基準が想定しない事情を見なかった、という形なら、個別事情考慮義務として書くほうが、どこで誤ったかがはっきり伝わります。平等原則は、同じ基準が他の団体にも同じように適用されていて、別の扱いがないので当たりません。他事考慮は、不許可の理由に、基準の該当以外のものが入っていないので当たりません。比例原則は、効果が今回の使用の不許可だけで、結果の重さが問題にならないので当たりません。

事実を1つ入れ替えると(基本事案=個別事情考慮義務/1 条文が「次の各号に当たる場合を除き許可しなければならない」で住所要件が各号にない→裁量の有無〔内部の住所要件は解釈基準にすぎず裁判所が自分で解釈〕/2 市内に代表者がいない別の団体Rには許可していた→平等原則〔基準の適用の仕方がばらついた〕/3 不許可理由にQの会合で市の政策を批判した発言があった→他事考慮〔考慮してはならない事項〕/4 事情を聞いて例外を検討したうえで今後5年間市の施設の使用を一切認めないと決めた→比例原則〔個別事情は見たが結果が重すぎる〕) 図:事実を1つ入れ替えると

  • 基本事案=個別事情考慮義務
  • 1 条文が「次の各号に当たる場合を除き許可しなければならない」で住所要件が各号にない→裁量の有無〔内部の住所要件は解釈基準にすぎず裁判所が自分で解釈〕
  • 2 市内に代表者がいない別の団体Rには許可していた→平等原則〔基準の適用の仕方がばらついた〕
  • 3 不許可理由にQの会合で市の政策を批判した発言があった→他事考慮〔考慮してはならない事項〕
  • 4 事情を聞いて例外を検討したうえで今後5年間市の施設の使用を一切認めないと決めた→比例原則〔個別事情は見たが結果が重すぎる〕

事実を一つ入れ替えると、当たる審査が変わります。四つ、一つずつ聞きます。一つ目。条文が、次の各号に当たる場合を除き、許可しなければならない、という形で、代表者が市内在住でないことは、その各号にありません。裁量が認められない条文に入れ替えます。どの審査が当たるでしょうか?前回の、解釈基準と裁量基準の見分けが効く場面です。裁量のない処分では、条文の読み方は一つに決まり、それを最後に決めるのは裁判所です。内部の基準は行政の内側を縛るだけで、裁判所は縛りません。住所要件が各号に無いなら、それだけを理由にした不許可は、条文に反します。二つ目。同じ基準があるのに、市内在住の代表者を持たない別の団体Rには、許可していた、に入れ替えます。どの審査でしょうか?

平等原則だと思います。基準の適用の仕方が、団体ごとにばらついているからです。核心は、同じ基準を、団体によって違う形で使ったことです。平等原則の回の、見分けの問いを使います。Qが求めている扱いは、根拠の条例に照らして適法か。条例は許可を原則にしていますから、Rへの許可も、Qへの許可も、違法ではありません。適法な扱いを同じに求めるので、違法の平等は無い、には当たらず、平等原則が働きます。前回のB社への軽い扱いは、直すべき扱いでした。そこが違います。三つ目。不許可の理由に、Qの会合で、市の政策を批判する発言があった、が入っていたとします。どの審査でしょうか?

他事考慮です。考慮してはならない事項を考慮したからです。判断過程審査の話ですね。ここは、事情を見たか見なかったかではなく、見てはいけないものを見た、という点が核心です。四つ目。市長が事情を聞いて、基準の例外を認めるかどうか検討したうえで不許可とし、効果として、Qは今後5年間、市の施設の使用を一切認めない、と決めたとします。どの審査でしょうか?比例原則です。個別の事情は見ているけれど、結果が重すぎるからです。個別事情考慮義務は、見たかどうか。比例原則は、結果が釣り合っているか。先ほどの区別が、ここで使えます。注意が一つあります。現実の事案では、複数の審査が同時に当たることがあります。この練習は、どれを主軸にするかを決めるための練習で、主軸を一つに絞ってあります。

今日の地図(保存版)

今日の持ち帰り(1 基準どおりでも基準自体が不合理なら違法〔第1段階〕2 基準が合理的でも基準が想定しない個別事情を見ずに機械的に当てはめれば違法になりうる〔第2段階・個別事情考慮義務〕3 基準の二面性=定めた以上は従う・定めたから個別に考える義務は消えない 4 二つの段階は連動する 5 第5章の使い分け〔裁量の有無・比例/平等・考慮不尽/他事考慮・個別事情考慮義務〕) 図:今日の持ち帰り

  • 1 基準どおりでも基準自体が不合理なら違法〔第1段階〕
  • 2 基準が合理的でも基準が想定しない個別事情を見ずに機械的に当てはめれば違法になりうる〔第2段階・個別事情考慮義務〕
  • 3 基準の二面性=定めた以上は従う・定めたから個別に考える義務は消えない
  • 4 二つの段階は連動する
  • 5 第5章の使い分け〔裁量の有無・比例/平等・考慮不尽/他事考慮・個別事情考慮義務〕

冒頭の問いに答えます。役所が基準どおりに処分しても、違法になることはあります。基準自体が不合理なら、従っただけでは適法になりません。基準が合理的でも、基準が想定しない個別の事情を見ずに機械的に当てはめれば、当てはめの合理性を欠いて違法になりえます。持ち帰りの五点です。一点目と二点目は、いま答えた二つの段階です。三点目、基準には二つの顔がある。定めた以上は従う、でも、定めたから個別に考える義務が消えるわけではない。四点目、二つの段階はつながっていて、例外を認める基準と読んで合理的とした以上、その例外を使わない運用は不合理になる。五点目、章末の問題の使い分け。裁量の有無、比例原則と平等原則、考慮不尽と他事考慮、個別事情考慮義務。事実が一つ変われば、当たる審査も変わります。

今日の短答の誤り肢(裁量基準に従った処分は常に適法〔誤り〕/個別事情考慮義務は基準より軽い処分をする義務〔誤り〕/運賃の判決は個別審査を怠ったとして却下を違法とした〔誤り〕/懲戒の判決は処分歴のある教職員への停職は常に違法とした〔誤り〕/裁量基準が合理的ならその適用は審査されない〔誤り〕/個別事情考慮義務は判決が使った語〔誤り〕) 図:今日の短答の誤り肢

  • 裁量基準に従った処分は常に適法〔誤り〕
  • 個別事情考慮義務は基準より軽い処分をする義務〔誤り〕
  • 運賃の判決は個別審査を怠ったとして却下を違法とした〔誤り〕
  • 懲戒の判決は処分歴のある教職員への停職は常に違法とした〔誤り〕
  • 裁量基準が合理的ならその適用は審査されない〔誤り〕
  • 個別事情考慮義務は判決が使った語〔誤り〕

最後に、短答の誤り肢です。裁量基準に従った処分は、常に適法、は誤りです。二つの段階のどちらでも落ちえます。個別事情考慮義務は、基準より軽い処分をする義務、も誤りです。事情を考えたうえで、なお基準どおりが相当なら、基準どおりでかまいません。運賃の判決は、個別審査を怠ったとして、申請の却下を違法とした、も誤りです。却下は適法で、国家賠償は認められませんでした。懲戒の判決は、過去に懲戒処分歴のある教職員への停職は、常に違法とした、も誤りです。積極的な妨害を含む多数の処分歴がある人の停職3か月は、違法ではありませんでした。裁量基準が合理的なら、その適用は審査されない、も誤りです。第二段階があります。個別事情考慮義務は判決が使った言葉である、も誤りです。判決の言葉ではなく、学説上の整理の言葉です。第5章は、ここまでです。次の章から、行政が命令や処分という形によらずに動く場面を見ていきます。

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