行政契約の統制と民間委託
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第6章 行政契約・行政指導・行政計画 #73/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。
住宅地の取り決めは新しい所有者を縛るか
図:今日の問い
- F町の新興住宅地
- 最初の住民たちの取り決め=①屋根の色は赤茶にそろえる②建物の高さは二階建てまで
- 全員が署名
- 5年後に空き区画を買った人=三階建て・青い屋根・「署名していない」
- 問い=取り決めは新しい所有者を縛るか
今日は、あとから来た人も、署名していない取り決めに縛られるのか、という疑問から始めます。設例は、架空のF町です。F町の海沿いに、新しい住宅地ができました。最初に入居した住民たちは、話し合って取り決めを作りました。屋根の色は、落ち着いた赤茶にそろえる。建物の高さは、二階建てまで。住民全員が署名しました。5年後、空いていた区画を、ある人が買いました。建て始めた家は、三階建てで、屋根は真っ青です。住民たちが抗議すると、その人は言います。そんな取り決めは聞いていない。私は署名していない、と、この人は、取り決めに縛られるでしょうか。民法の原則は、はっきりしています。契約は、結んだ当事者だけを縛ります。あとから来た人は、当事者ではありません。署名していない新しい所有者を、取り決めで縛ることはできません。
契約は当事者しか縛れない。この限界が、今日の出発点です。行政も、事業のために、たくさんの契約を結びます。そのとき、契約という道具には弱点がある。当事者しか縛れないことです。この弱点を、法律がどう補うのか。そして、道具として使われる契約を、誰がどう見張るのか。そこまで、一本の筋で通します。
図:設例の関係図
- A=F町の最初の住民たち
- B=5年後に土地を買った人
- A⇄B=取り決め〔合意=当事者だけを縛る〕
- B=取り決めの当事者ではない
関係を整理します。取り決めの線は、最初の住民たちの間にだけ引かれています。新しい所有者は、その線の外にいます。
図:今日の道順
- 1 行政の契約に民法は使えるか
- 2 違法な契約は無効か
- 3 第三者に効かせる仕組み
- 4 仕事を契約で任せてよいか
- 5 だれが見張るか
道順は、五つの問いです。まず一つ目、行政の契約に、民法は使えるのか。二つ目、違法な契約は、無効になるのか。三つ目、当事者でない人にまで効かせる仕組みは何か。四つ目、仕事そのものを、契約で他人に任せてよいのか。五つ目、こうした契約を、誰が見張るのか。順に答えます。
行政の契約にも民法が使われる
図:双方代理の関係図
- A=ある市〔長が代表〕
- B=博覧会のための財団
- C=市長〔A の代表かつ B の代表〕
- D=議会
- A⇄B=売買契約〔約50件・約10億円〕
- D→A=追認〔効果が A に帰属〕
一つ目の問いです。行政の契約に、民法は使えるのか。使えます。行政が事業のために契約を結ぶとき、個別の行政法規のほかに、民法などの私法の規定が、適用されたり類推適用されたりします。類推適用とは、条文が直接想定した場面ではないけれど、似た場面なので、同じ考え方を当てはめることです。代表と代理のところです。市長や町長は、自治体を代表して契約します。代表とは、その人の行為が、そのまま自治体の行為になる、機関としての立場です。民法の代理は、本人とは別の人が、本人のために契約する仕組みです。ですから、長は代理人ではありません。それでも、代理と同じ危うさが生まれる場面があります。F町で考えます。町長が、地域振興協会という団体の理事長を兼ねているとします。町が、この協会から備品を買うことになりました。町長は、買い手の町を代表して契約書に署名し、売り手の協会も代表して署名します。同じ人が、売り手と買い手の両側に座っている。値段を高くすれば協会が得をして、町が損をします。私人どうしでも、同じ形があります。一人の人が、売り手の代理人と買い手の代理人を、両方務める。双方代理です。民法は、これを原則として認めません。条文です。
条文民法108条1項
民法第108条第1項 同一の法律行為について、相手方の代理人として、又は当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。
双方代理は、代理権を有しない者がした行為、つまり無権代理とみなされます。民法113条1項は、無権代理の契約は、本人が追認しなければ、本人に対してその効力を生じない、と定めています。追認とは、本人が、あとからその契約を認めることです。例外が、ただし書です。債務の履行や、本人があらかじめ許諾した行為は別です。判決の事案を見ます。ある市が、市制百周年の事業として博覧会を開き、そのために、期間を限って財団を作りました。会長は市長、副会長は市の助役で、運営の中心も市の職員です。ところが、入場者が見込みに届かず、財団は赤字になりそうでした。そこで市は、赤字を避ける目的で、財団から、会場の施設や物品を買い取りました。契約は50件で、総額は約10億円です。契約書が作られた主な契約では、市長は、市を代表すると同時に、財団の会長として財団も代表しています。住民が、これは双方代理の禁止に反して違法だと主張して、住民訴訟を起こしました。
代表と代理の違いという壁を、判決は類推で越えました。決め手は、害される構造が同じことです。長が市を代表して契約するときでも、相手方まで代表したり代理したりすれば、私人間の双方代理と同じように、市の利益が害されるおそれがある。害される構造が同じなら、同じ規制を及ぼす。判決の答えは二つです。108条を類推すること。議会が追認すれば、市に効果が帰属すること。判旨を読みます。
判例最判平16・7・13 民集58巻5号1368頁
長が市を代表する契約にも108条が類推適用され、議会が追認すれば116条の類推適用で市に効果が帰属する 普通地方公共団体の長が当該普通地方公共団体を代表して行う契約の締結には,民法108条が類推適用されると解するのが相当である。そして,普通地方公共団体の長が当該普通地方公共団体を代表するとともに相手方を代理ないし代表して契約を締結した場合であっても同法116条が類推適用され,議会が長による上記双方代理行為を追認したときには,同条の類推適用により,議会の意思に沿って本人である普通地方公共団体に法律効果が帰属するものと解するのが相当である。
図:追認の層
- D=議会が長の双方代理行為を追認
- D→A=追認〔116条の類推適用〕
- 契約の時にさかのぼって A=市に法律効果が帰属
- 追認の有無=契約を十分に認識したうえでの予算審議・決算認定などの事実認定
二つ目は、次の疑問に答えています。双方代理は、無権代理とみなされるのでした。ならば、契約はそれで終わりなのか。そうではありません。本人が追認すれば、効力が生じます。この場合の本人は市で、市の意思は議会が決めます。判決は、議会が長の双方代理行為を追認したときは、116条が類推適用されて、議会の意思に沿って、市に法律効果が帰属する、としました。116条を読みます。
条文民法116条
民法第116条 追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。
追認があったかどうかは、事案ごとの事実認定です。この事件では、議会が、契約の存在を十分に認識したうえで、予算の審議や決算の認定を行っていました。そこで、追認があったと判断されました。輪郭を確かめます。F町で、町長が理事長を兼ねる協会と町が契約するなら、108条の類推の問題です。町長が、まったく関係のない業者と、町の代表として契約するだけなら、両側に立っていないので、この問題は出てきません。分かれ目は、同じ人が、相手方の側にも立っているかどうかです。
図:準委任の層
- A=市
- B=財団
- A→B=博覧会の具体的な準備・開催運営をゆだねる〔市の事業・市の基本計画の下〕→準委任的な関係の余地
- ゆだねた範囲の赤字の補てん=不合理とは限らない・法的義務の余地
- 裁量権の逸脱・濫用を考える重要な考慮要素
- 原審は未確定→破棄・差戻し
判決は、もう一点を指摘しました。博覧会は、市の事業でした。ならば、市は、財団に、具体的な準備と運営をゆだねたと見る余地がある。
判例最判平16・7・13 民集58巻5号1368頁
市と財団の間には準委任的な関係が存した余地がある ……は市の事業として行われたのであって,市は,……の設立に際し,……に市の基本的な計画の下で……の具体的な準備及び開催運営を行うことをゆだねたものと解することも可能であり,両者の間には実質的にみて準委任的な関係が存したものと解する余地がある。
準委任とは、民法の委任、つまり第2章で見た、人に仕事を頼む契約の仲間で、契約のような法律行為ではない事務を頼む関係です。市がゆだねたと見るなら、財団の赤字のうち、ゆだねた範囲の費用を、市が補てんすることは、不合理とは限りません。市に法的な義務があると解する余地さえあります。これは、契約を結んだ判断に、裁量権の逸脱や濫用があったかを考えるときの、重要な考慮要素になります。原審は、この点を確定しないまま判断したので、この部分は破棄されて、差し戻されました。結論の押さえ方です。双方代理に当たるから、契約は当然に無効、ではありません。議会が追認すれば、市に帰属します。そして、最高裁が、契約を適法と確定したのでもありません。差戻しですから、裁量権の逸脱や濫用があったかどうかの点は、まだ決着が付いていません。もう一つ。この事件は、住民が起こした住民訴訟でした。契約を見張る実際の網として、住民訴訟が働いている。この追認の筋道は、論文でも論点になりえます。
⭐ 論文で書く規範:判例の規範:長が自治体を代表して行う契約にも、民法108条が類推適用される。ただし議会が追認すれば、116条の類推適用で、自治体に法律効果が帰属する。双方代理でも当然無効ではなく、最高裁は適法とも確定していない(差戻し) (短答・論文共通)
違法な契約は当然に無効か
図:無効の線
- 違法でも原則は私法上有効
- 無効=①市の判断に裁量権の著しい逸脱・濫用+②無効としなければ自治法2条14項・地方財政法4条1項の趣旨を没却する特段の事情
- 無効でなくても=取消権・解除権があるとき・著しく合理性を欠き〔予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵〕かつ客観的に解消できる特殊な事情があるとき→漫然と買い取れば違法
二つ目の問いです。前に見た随意契約の回を思い出します。1問です。随意契約の制限に反して結ばれた契約は、当然に無効でしたか?当然には無効になりません。違法と無効は別で、無効としなければ法令の趣旨を没却する、特段の事情がある場合に限って、無効になりました。随意契約は、入札をせずに相手を選ぶ契約でした。特段の事情の例は、違反が誰の目にも明らかな場合や、相手方がそれを知っていた、または知り得た場合でした。今日の判決は、同じ型の考え方を、別の契約に当てます。委託契約です。用語を二つ。先行取得とは、将来の公共事業に備えて、前もって土地を買っておくことです。土地開発公社とは、自治体が出資して作る法人で、自治体に代わって土地を取得する役目を担います。
図:事案の関係図
- A=ある市
- B=土地開発公社
- C=住民
- A⇄B=①先行取得の委託契約②のちの買取りの売買契約
- C→A=住民訴訟〔市長への損害賠償請求〕
事案です。ある市が、土地開発公社に、土地の先行取得を委託しました。これが委託契約です。公社が土地を取得し、数年後、市は、委託契約に基づいて、公社から土地を、利息込みの額で買い取りました。買取りの売買契約です。住民が、土地は取得の必要がなく価格も高すぎる、委託契約は地方財政法などに違反するし、それに基づく買取りも違法だとして、市長に損害賠償を求める住民訴訟を起こしました。原審は、こう考えました。委託契約が違法でも、私法上当然に無効にはならない。市は、委託契約に基づいて買い取る義務を負っていた。だから、買取りの契約を結んだことは違法ではない。請求は棄却、でした。最高裁は、この筋道に、二つの層で答えます。まず、委託契約が無効になる場合。次に、無効でない場合です。物差しになる条文を、先に二つ読みます。
条文地方自治法2条14項
地方自治法第2条第14項 地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。
条文地方財政法4条1項
地方財政法第4条第1項 地方公共団体の経費は、その目的を達成するための必要且つ最少の限度をこえて、これを支出してはならない。
どちらも、お金の使い方の基本の線です。
図:無効の線・一つ目の層
- 違法でも原則は私法上有効
- 無効=①市の判断に裁量権の著しい逸脱・濫用+②無効としなければ自治法2条14項・地方財政法4条1項の趣旨を没却する特段の事情
一つ目の層です。委託契約が私法上無効なら、契約を結ぶ権限を持つ市長は、無効な契約に基づく義務の履行として、買取りの契約を結んではなりません。では、いつ無効なのか。判旨を読みます。
判例最判平20・1・18 民集62巻1号1頁
委託契約が私法上無効になる場合 ……仮に,本件土地につき代金……で先行取得を行うことを本件公社に委託した市の判断に裁量権の範囲の著しい逸脱又は濫用があり,本件委託契約を無効としなければ地方自治法2条14項,地方財政法4条1項の趣旨を没却する結果となる特段の事情が認められるという場合には,本件委託契約は私法上無効になる……
本件公社は土地開発公社、本件委託契約は、いま見た委託契約のことです。条件は二段構えです。一つ、市の判断に、裁量権の範囲の著しい逸脱または濫用があること。二つ、無効としなければ、2条14項と地方財政法4条1項の趣旨を没却する結果になる、特段の事情があること。違法なだけでは、無効にならないのです。契約を無効にすると、相手方が築いた取引まで崩れてしまいます。これが、無効を絞る背景にあると考えられます。ですから、お金の使い方の線が骨抜きになるほどの場合に、絞ります。輪郭を置きます。相場の何倍もする土地を、必要もないのに買わせる委託なら、趣旨を没却するほどの逸脱として、無効に近づきます。見通しが外れて、少し割高になった。この程度なら、違法の余地はあっても、無効には届きません。
図:無効の線・二つ目の層
二つ目の層です。委託契約が、無効とまでは言えない場合です。ここでも、契約が違法に結ばれていて、市に取消しや解除の道があるとき。あるいは、契約が著しく合理性を欠き、そのため予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵があって、しかも、客観的に見て市が契約を解消できる特殊な事情があるとき。この場合は、事情が変わります。判旨を読みます。
判例最判平20・1・18 民集62巻1号1頁
無効でなくても、解消できる事情があるのに履行として買い取れば、買取りは違法になる 先行取得の委託契約が私法上無効ではないものの,これが違法に締結されたものであって,当該普通地方公共団体がその取消権又は解除権を有しているときや,当該委託契約が著しく合理性を欠きそのためその締結に予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存し,かつ,客観的にみて当該普通地方公共団体が当該委託契約を解消することができる特殊な事情があるときにも,当該普通地方公共団体の契約締結権者は,これらの事情を考慮することなく,漫然と違法な委託契約に基づく義務の履行として買取りのための売買契約を締結してはならないという財務会計法規上の義務を負っていると解すべきであり,契約締結権者がその義務に違反して買取りのための売買契約を締結すれば,その締結は違法なものになるというべきである。
財務会計法規上の義務とは、お金の支出や契約といった、財務の行為について、法令が課している義務のことです。F町で例を置きます。町が、相場よりずっと高くなる先行取得を、公社に委託したとします。契約には、町が一定の理由で解除できる条項があった。無効とまでは言えません。それでも、解除できる道があるのに、委託契約があるからと、漫然と買い取ってしまう。この買取りが、違法になりえます。なぜか。解除できる事情を考えずに払うのは、予算執行の適正確保を求める、財務会計法規上の義務に反するからです。結論です。原審の、委託契約に基づく義務だから買取りは違法にならない、という筋道は誤りだとされました。破棄して、差し戻しです。
図:随意契約の判決と並べる
- 枠は同じ=違法と無効は別/無効としなければ法令の趣旨を没却する特段の事情がある場合に限る
- 違い①法令の中身=随意契約の判決は随意契約を制限する規定/今回は自治法2条14項・地方財政法4条1項
- 違い②今回の判決は、特段の事情の前に裁量権の著しい逸脱・濫用を置く
随意契約の判決と、並べます。枠は同じです。違法と無効は別。無効にするのは、無効としなければ法令の趣旨を没却する特段の事情があるときだけ。違いは二つあります。一つは、法令の中身。随意契約を制限する規定と、2条14項、地方財政法4条1項。もう一つは、今回の判決が、特段の事情の前に、裁量権の著しい逸脱または濫用を置いていることです。ただし、今回の判決が、随意契約の判決を引用しているわけではありません。並べると、同じ型が見える、ということです。住民訴訟は、第2章で見た、住民監査請求を経て、違法な公金の使い方を裁判所で正させる訴えです。この事件では、市長に市の損害を賠償させる請求でした。それには、買取りが違法でなければなりません。契約が無効なら、それに基づく買取りも違法です。だから、契約の効力が勝負を分けます。
⭐ 論文で書く規範:判例の規範:違法でも当然には無効でない。無効になるのは、裁量権の著しい逸脱・濫用があり、無効としなければ自治法2条14項・地方財政法4条1項の趣旨を没却する特段の事情がある場合に限る。無効でなくても、取消権・解除権があるとき、または著しく合理性を欠き予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵があり、かつ客観的に解消できる特殊な事情があるときに、漫然と履行すれば、買取りは違法 (短答・論文共通)
契約は当事者しか縛らない——第三者に効く協定
図:民法の契約と建築協定の対比
- 民法の契約=当事者だけ〔署名していない新所有者には効かない〕
- 建築協定の型=条例の根拠→土地の所有者等の全員の合意→特定行政庁の認可・公告→公告の日以後に所有者となった人にも効く
三つ目の問いです。冒頭の設例に戻ります。1問です。F町の住民たちの取り決めは、署名していない新しい所有者に効きますか。民法の原則で答えてください。ここに、行政が契約を道具に使うときの限界があります。契約だけでは、あとから来る所有者や、周りの住民に、公益のための約束を及ぼせません。前回は、公害防止協定を見ました。合意で作れるのは約束まで、権力は作れない、でした。今日の場面は、権力を作るのではなく、合意そのものを、当事者でない人まで届かせたい、というものです。それを、個別の法律が用意しています。代表が、建築協定です。仕組みの型を、先に言います。段取りは四つです。条例で、協定を結べると定める。土地の所有者たちが、全員で合意する。特定行政庁、つまり第1章で見た、建築を受け持つ市町村長や知事が、認可して公告する。すると、公告のあとに所有者になった人にも効く。条文を順に読みます。
条文建築基準法69条
建築基準法第69条 市町村は、その区域の一部について、住宅地としての環境又は商店街としての利便を高度に維持増進する等建築物の利用を増進し、かつ、土地の環境を改善するために必要と認める場合においては、土地の所有者及び借地権を有する者(土地区画整理法第九十八条第一項(大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法第八十三条において準用する場合を含む。次条第三項、第七十四条の二第一項及び第二項並びに第七十五条の二第一項、第二項及び第五項において同じ。)の規定により仮換地として指定された土地にあつては、当該土地に対応する従前の土地の所有者及び借地権を有する者。以下「土地の所有者等」と総称する。)が当該土地について一定の区域を定め、その区域内における建築物の敷地、位置、構造、用途、形態、意匠又は建築設備に関する基準についての協定(以下「建築協定」という。)を締結することができる旨を、条例で、定めることができる。
骨格です。市町村は、住宅地の環境を高めるために必要と認める場合に、土地の所有者たちが、区域を定めて、建物の敷地、位置、構造、用途、形態、意匠、設備の基準を協定できると、条例で定めることができます。F町の屋根の色は意匠、高さは形態ですから、協定で定められる事項です。
条文建築基準法70条3項
建築基準法第70条第3項 第一項の建築協定書については、土地の所有者等の全員の合意がなければならない。ただし、当該建築協定区域内の土地(土地区画整理法第九十八条第一項の規定により仮換地として指定された土地にあつては、当該土地に対応する従前の土地)に借地権の目的となつている土地がある場合においては、当該借地権の目的となつている土地の所有者以外の土地の所有者等の全員の合意があれば足りる。
図:認可と公告の層
- 建築協定書=土地の所有者等の全員の合意〔70条3項〕→特定行政庁へ提出→認可〔利用を不当に制限しないなどの条件に当たれば認可しなければならない〕→公告→公告の日以後に所有者等となった人にも効力〔75条〕
- 括弧書き=合意しなかった人の土地の承継人は除く
協定書には、全員の合意が要ります。借地の土地があるときは、地主以外の全員の合意で足りる、という例外もありますが、型として押さえるのは、全員の合意です。協定書は特定行政庁に出して認可を受けます。特定行政庁は、土地や建築物の利用を不当に制限しないなどの条件に当たるときは、認可しなければなりません。認可したら、公告します。核心の条文です。
条文建築基準法75条
建築基準法第75条 第七十三条第二項又はこれを準用する第七十四条第二項の規定による認可の公告(次条において「建築協定の認可等の公告」という。)のあつた建築協定は、その公告のあつた日以後において当該建築協定区域内の土地の所有者等となつた者(当該建築協定について第七十条第三項又はこれを準用する第七十四条第二項の規定による合意をしなかつた者の有する土地の所有権を承継した者を除く。)に対しても、その効力があるものとする。
ただし、括弧書きがあります。協定に合意しなかった人の土地を引き継いだ人は、除かれます。署名していない新しい所有者まで縛るのは強すぎる、という疑問が出ます。そこは、公告と認可が支えになっていると整理できます。公告があれば、誰でも協定の存在を知り得る状態になります。さらに、認可で、利用を不当に制限しないかを、行政が確かめている。全員が合意した約束に、公告と認可という二つの手当てが付いているから、あとから来る人にまで及ぶ、と説明されます。境界を確かめます。F町で、条例があり、住民全員が合意し、認可と公告を経ていれば、5年後に土地を買った人にも効きます。一方、住民たちが、役所を通さず、署名だけで決めた申し合わせなら、当事者限りです。もう一つ。最初の住民のうち、協定に合意しなかった人がいて、その土地を5年後に買った人は、括弧書きのとおり、縛られません。つまずきどころを一つ。建築協定は、土地の所有者たちの合意、つまり契約です。行政処分で、土地の使い方を規制するものではありません。個別法が上乗せしたのは、条例の根拠と、認可と公告による第三者への効力の部分です。認可は、協定の中身が公益に合うかを、行政が確かめる役目です。
図:名前だけ触れる三つの協定
- ①一人協定=分譲前に所有者が一人→認可の日から3年以内に所有者が二人以上になった時から公告された協定と同じ効力
- ②緑地協定〔都市緑地法〕・景観協定〔景観法〕=全員の合意・認可・公告・承継人にも効く
- ③行政が当事者になる第三者効のある協定=雨水を貯める施設など
名前だけ、三つ触れます。まず一つ目、一人協定。分譲前で、土地の所有者が一人のとき、その人が協定を定めて認可を受けられます。認可の日から3年以内に所有者が二人以上になった時から、公告された協定と同じ効力になります。新興住宅地のF町には向きます。二つ目、緑地協定と景観協定です。緑地協定は都市緑地法の協定で、緑地の保全や緑化について定めます。景観協定は景観法の協定で、景観の形成について定めます。どちらも、土地所有者等の全員の合意と、認可、公告を経て、承継人にも効きます。この型は、建築協定と同じです。ただし、緑地協定と景観協定は、条例の根拠が要りません。認可するのも、特定行政庁ではなく、市町村長や景観行政団体の長です。三つ目に、雨水を貯める施設などで、行政が当事者になって、第三者にも効く協定が、個別法に置かれています。
⭐ 論文で書く規範:合意だけなら当事者限り(民法)。建築協定は、条例の根拠・土地の所有者等の全員の合意・認可と公告を経て、公告後に所有者となった人にも効く。協定は契約であって処分ではなく、個別法が上乗せするのは、条例の根拠と、認可・公告による第三者効 (短答)
事務の委託と民間委託
図:比較表
- 事務の委託=団体と団体・権限が移る〔受託団体の長が管理・執行〕・自治法252条の14・例=小学校の教育事務の委託
- 連携協約=団体と団体・移らない〔基本方針と役割分担を定める協約〕・252条の2
- 事務の代替執行=団体と団体・相手団体の名において執行・252条の16の2
- 民間委託=団体と民間・移らない〔契約で足りる範囲〕・根拠は契約・例=ごみ収集の委託
- 指定管理者=団体と民間・別枠〔法律の根拠があるので使用許可など一定の権力的業務まで自分の名で行える〕・244条の2・例=公民館の管理
四つ目の問いです。仕事そのものを、契約で他人に任せてよいか。その前に、第2章で見た権限の委任から1問です。権限の委任では、権限は誰のものになるのでしたか?受任庁に移ります。だから、法律の根拠が要りました。今日の事務の委託は、その地方公共団体版です。第2章で見た民法の委任は、頼んだ側が、自分の権利を失いません。一つ目の問いの準委任も同じです。窓口の掃除を頼んでも、窓口の鍵は手元にあります。これに対して、地方自治法の事務の委託は、窓口の鍵そのものを、隣の家に渡す形です。権限が、受託した側に移ります。条文です。
条文地方自治法252条の14第1項
地方自治法第252条の14第1項 普通地方公共団体は、協議により規約を定め、普通地方公共団体の事務の一部を、他の普通地方公共団体に委託して、当該他の普通地方公共団体の長又は同種の委員会若しくは委員をして管理し及び執行させることができる。
F町が、隣の市に、ある事務の一部を委託したとします。協議して規約を定めると、その事務は、隣の市の長が管理し、執行します。F町の長は、その事務については、手を離します。法律の定めた権限の配分を動かすので、法律の根拠が要ります。それが、この条文です。学校教育法にも例があります。市町村が、小学校を自分で設置する代わりに、学齢児童の教育の事務を、他の市町村などに委託できます。民間への委託は、別物です。一般廃棄物の処理は、市町村の事務です。ごみの収集を、民間の業者に委託することは可能です。ここで、権限は市町村にあります。業者は、作業を請け負うだけです。権限が移らないので、行政契約の回で見たとおり、法律の根拠は原則要りません。線は、ここにあります。事務の委託は、権限が移るから、法律の根拠が要る。民間委託は、権限が移らないから、契約で足りる範囲です。
図:比較表の民間委託と指定管理者の行
- 団体と民間
- 民間委託=移らない〔契約で足りる範囲〕・法律の根拠は契約・例=ごみ収集の委託
- 指定管理者=別枠〔法律の根拠があるので使用許可など一定の権力的業務まで自分の名で行える〕・244条の2・例=公民館の管理
民間に任せる例を、もう一つ。指定管理者です。条文を読みます。
条文地方自治法244条の2第3項
地方自治法第244条の2第3項 普通地方公共団体は、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときは、条例の定めるところにより、法人その他の団体であつて当該普通地方公共団体が指定するもの(以下本条及び第二百四十四条の四において「指定管理者」という。)に、当該公の施設の管理を行わせることができる。
指定管理者は、第4章で、公民館の会議室の使用許可を出す団体として見ました。公の施設とは、住民が利用する公民館や体育館のような施設です。たとえば、公民館の管理運営を、NPO法人に任せる。指定は議会の議決を経て、期間を定めて行います。そして、この指定は、契約ではなく行政処分です。ごみ収集を契約で頼むのとは、ここが違います。指定管理者は、法律が認めた範囲で、施設の使用許可のような、権力的な業務まで、自分の名で行えます。これは、この条文に、法律の根拠があるからです。ただし、何でも任せられるわけではなく、たとえば使用料の強制徴収のように、法律が長にだけ認めた権限は任せられません。このあと、この点を使います。
図:比較表の団体どうしの行
- 事務の委託=移る〔受託団体の長が管理・執行〕・自治法252条の14・例=小学校の教育事務の委託
- 連携協約=移らない〔基本方針と役割分担を定める協約〕・252条の2
- 事務の代替執行=相手団体の名において執行・252条の16の2
最後に、名前だけ二つ。連携協約は、団体どうしが連携して事務を処理するための、基本方針と役割分担を定める協約です。議会の議決を経て、告示し、届出をします。事務の代替執行は、他の団体の求めに応じて、その事務の一部を、相手団体の名において管理し、執行する仕組みです。どちらも団体間の仕組みで、権限が移る事務の委託とは違います。代替執行は、相手団体の名において行う点が、特徴です。共同処理の全体は、別の回で扱います。
図:比較表の全体
- 見る列は「権限そのものが移るか」=移るのは事務の委託だけ/民間委託は移らない/指定管理者は別枠
表で見ると、暗記する列は一つです。権限そのものが移るか。団体どうしの仕組みで、権限が移るのは、事務の委託だけです。民間への委託では、権限は移りません。指定管理者は、法律、つまり自治法244条の2の根拠があるので、使用許可などの権力的な業務まで、自分の名で行える、別枠です。
⭐ 論文で書く規範:事務の委託(自治法252条の14)は、権限が受託団体に移る→法律の根拠が要る。団体どうしの仕組みで権限そのものが移るのは、事務の委託だけ。民法の委任や民間委託では権限は移らず、契約で足りる範囲。指定管理者は別枠で、指定は処分。法律(244条の2)の根拠があるので、使用許可など一定の権力的業務まで自分の名で行える (短答)
公権力の行使を民間に任せる線
図:任せる線
四つ目の問いの続きです。仕事を任せるとして、公権力の行使にあたる事務まで、民間に任せられるのか。ここで1問です。放置車両の確認と標章の取付け、放置違反金の納付命令。公権力の行使にあたるのは、どちらでしょうか?納付命令だと考えるのが自然です。お金を払えと、一方的に命じるからです。方向は合っています。順にほどきます。公権力の行使にあたる事務は、公的な主体が行うべきだという、伝統的な考えがあります。相手に一方的に義務を負わせる力は、国民の代表である議会が、法律で与えた者だけが持つべきだ、という発想があると考えられます。行政改革や規制改革で、民間委託が進むほど、この考えとの関係が問われます。線の引き方は二つです。一つ目。法律の根拠がある場合に限って、民間の法人も、公権力の行使を担えます。指定管理者の使用許可がそうです。前に見た指定確認検査機関のような、指定法人もそうです。二つ目。事実行為にとどまり、公権力の行使にあたらないと整理される部分は、民間への委託の対象にできます。放置車両の確認と標章の取付けが、その例で、法律が登録法人への委託を定めています。条文です。
条文道路交通法51条の8第1項
道路交通法第51条の8第1項 警察署長は、第五十一条の四第一項に規定する放置車両の確認及び標章の取付け(以下「放置車両の確認等」という。)に関する事務(以下「確認事務」という。)の全部又は一部を、公安委員会の登録を受けた法人に委託することができる。
骨格です。警察署長は、放置車両の確認と、標章の取付けに関する事務を、公安委員会の登録を受けた法人に、委託できます。違法駐車の車を見つけて、確認し、ステッカーのような標章を取り付ける。これは、事実を確かめて知らせる作業です。相手に、新しい義務を、一方的に生じさせる決定ではありません。だから、事実行為にとどまり、公権力の行使にあたらないと整理されます。そこで法律、つまり51条の8が、民間の登録法人への委託を定めているのです。一方、放置違反金の納付命令は、公安委員会が行います。放置車両と認めて、使用者に、放置違反金の納付を命ずる。お金を払う義務を、一方的に生じさせる。これが公権力の行使で、登録法人には任せません。
公権力の行使でも、法律の根拠があれば、民間に任せられます。指定管理者の使用許可は、その例です。ただし、民間への委託で権限そのものが移るわけではありません。指定管理者は、法律の根拠によって、使用許可などを自分の名で行える別枠です。法律の根拠がないときは、任せられるのは、公権力の行使にあたらない事実行為の部分に限られます。民間に任せた仕事で損害が出たとき、誰が賠償するのかは、別の回で扱います。
⭐ 論文で書く規範:公権力の行使にあたる事務は、法律の根拠があれば民間も担える(指定管理者の使用許可など)。公権力の行使にあたらない事実行為の部分は委託の対象になる(放置車両の確認・標章の取付け。51条の8が登録法人への委託を定める)。放置違反金の納付命令は公安委員会が行う公権力の行使 (短答・論文共通)
行政契約はだれが見張るか
図:見張りの地図
五つ目の問いです。こうした契約を、誰が、どう見張るのか。出発点を一つ確認します。行政手続法が対象にしているのは、処分、行政指導、届出、命令等の手続です。第3章で見たとおり、行政の法律は、処分を中心に整えられ、そこから行政指導などへ広げられてきました。行政契約は、その広がりに、まだ入っていません。契約についての法的な枠組みは、まだ整っているとは言えません。契約を見張る仕組みは、ないわけではありません。別の網が、四つあります。一つ目、情報公開です。契約の関連情報は、説明責任と透明性の面から、公開されるべきです。F町が誰といくらで契約したかを、住民が開示を求めて確かめられれば、高すぎる契約は表に出ます。続いて二つ目、契約を結ぶ手続を、法律で定めようという議論です。処分には行政手続法があるのに、契約には、それに当たる法律がありません。法律が無いこと自体が、見張りの穴です。この議論は、その穴をふさごうとする動きです。三つ目、公共サービス改革法です。官民競争入札とは、役所の仕事を、役所と民間が同じ土俵で入札して、よい条件のほうに任せる仕組みです。この法律は、公正性、透明性、公開性に配慮して、公共サービスを民間事業者に委託する手続を定めます。条件を比べて、公開の手続で選ぶので、なぜその相手に任せたのかが、外から確かめられます。この法律の対象の公共サービスは、原則として、行政処分を除く業務です。法律の特例を置いた特定公共サービスという例外の含みはありますが、民間に任せる中心は、処分以外の業務です。さきほどの公権力の線と、つながっています。
四つ目が、住民訴訟です。今日の二つの判決は、どちらも住民訴訟でした。契約の効力と、市長の財務の行為の違法を通じて、契約を統制する手段として、実際に働いています。F町の割高な買取りなら、住民は、町長に町の損害を賠償させる形で争えます。
⭐ 論文で書く規範:行政契約の締結手続は行政手続法の対象外。見張りは、情報公開・契約締結手続の法制化の議論・公共サービス改革法(官民競争入札)・住民訴訟の四層で働く (短答)
今日の地図(保存版)
図:今日の地図
五つの問いに、答えます。まず一つ目、行政の契約に民法は使えるか。使えます。長が両側に立つ契約には、108条が類推され、議会が追認すれば、116条の類推で市に帰属します。二つ目、違法な契約は無効か。当然には無効になりません。裁量権の著しい逸脱または濫用があり、無効としなければ趣旨を没却する特段の事情があるときだけです。三つ目、第三者に効かせる仕組みは何か。冒頭のF町の取り決めは、民法の原則では当事者限りでした。建築協定なら、条例、全員の合意、認可、公告を経て、あとから来た所有者にも効きます。四つ目、仕事を契約で任せてよいか。権限が移る事務の委託は、法律の根拠が要ります。民間委託は、権限が移らない範囲で、契約で足ります。公権力の行使は、法律の根拠があるか、事実行為にとどまる部分に限ります。五つ目、誰が見張るか。行政手続法の外で、情報公開と住民訴訟などが、網になっています。
図:今日の短答の誤り肢
- 長が相手方の財団も代表した契約は追認されても市に帰属しない〔誤り〕
- 違法な委託契約は当然に私法上無効〔誤り〕
- 無効でなければ履行としての買取りが違法になることはない〔誤り〕
- 建築協定は認可を受けなくても後から来た所有者に効く〔誤り〕
- 建築協定は行政処分で土地利用を規制する〔誤り〕
- 事務の委託は委託した団体が権限を失わない〔誤り〕
- 公権力の行使は法律の根拠があっても民間に任せられない〔誤り〕
- 放置車両の確認と標章の取付けは民間に委託できない〔誤り〕
- 行政契約の締結手続は行手法の規律を受ける〔誤り〕
- 住民訴訟が契約の統制手段として働く〔正しい〕
最後に、短答の肢を十個。一つ目。自治体の長が、相手方の財団の代表も兼ねて結んだ契約は、双方代理に当たるので、議会が追認しても、市に効果は帰属しない。誤りです。議会が追認すれば、116条の類推適用で、市に帰属します。二つ目。違法に結ばれた委託契約は、違法である以上、当然に私法上無効である。誤りです。裁量権の著しい逸脱または濫用があり、無効としなければ趣旨を没却する特段の事情がある場合に限られます。三つ目。委託契約が私法上無効でない場合、その履行としての買取り契約が違法になることはない。誤りです。取消権や解除権があるときや、著しく合理性を欠いて予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵があり、かつ解消できる特殊な事情があるときに、漫然と履行すれば、違法になりえます。四つ目。建築協定は、土地の所有者等の全員の合意があれば、認可を受けなくても、あとから来た所有者に効力が及ぶ。誤りです。認可と公告が必要です。五つ目。建築協定は、行政処分によって、区域内の土地利用を規制するものである。誤りです。土地の所有者等の合意、つまり契約で、個別法が認可と公告で第三者効を与えます。六つ目。地方自治法の事務の委託は、民法の委任と同じく、委託した団体が権限を失わない。誤りです。権限は受託団体に移るので、法律の根拠が要ります。七つ目。公権力の行使にあたる事務は、法律の根拠があっても、民間に任せられない。誤りです。法律の根拠があれば、任せられます。
八つ目。放置車両の確認と標章の取付けは、公権力の行使にあたるので、民間の法人に委託できない。誤りです。事実行為にとどまるとして、法律、つまり51条の8が、登録を受けた法人への委託を認めています。九つ目。行政契約の締結手続は、行政手続法の規律を受ける。誤りです。行政手続法の対象外です。十個目。行政契約の統制の手段として、住民訴訟が働くことがある。これは正しいです。今日の二つの判決が、どちらも住民訴訟でした。
参照条文
- 民法108条1項
- 民法116条
- 地方自治法2条14項
- 地方財政法4条1項
- 建築基準法69条
- 建築基準法70条3項
- 建築基準法75条
- 地方自治法252条の14第1項
- 地方自治法244条の2第3項
- 道路交通法51条の8第1項