行政法ゼロから行政法#100

行政刑罰と反則金・通告処分

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第7章 行政調査・義務履行確保・行政罰 #100/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。

罰則はあるのに動かない

今日の5つの問い(問い1=行政上の義務違反に罰を科す手段は何種類か/問い2=直罰と間接罰はどう違うか/問い3=刑罰はなぜ動かないのか/問い4=刑事手続に乗せない迂回路とは何か/問い5=反則金の通告に不服があるとき取消訴訟で争えるか/設例=自転車で一時停止を無視して青い紙を渡された大学生A) 図:今日の5つの問い

  • 問い1=行政上の義務違反に罰を科す手段は何種類か
  • 問い2=直罰と間接罰はどう違うか
  • 問い3=刑罰はなぜ動かないのか
  • 問い4=刑事手続に乗せない迂回路とは何か
  • 問い5=反則金の通告に不服があるとき取消訴訟で争えるか
  • 設例=自転車で一時停止を無視して青い紙を渡された大学生A

法律には、罰則の条文がずらりと並んでいます。ところが、行政上の義務に違反して、実際に刑事裁判まで行くものは、ごくわずかです。では、違反は野放しなのでしょうか。設例から入ります。大学生のAが、自転車で、一時停止の標識のある交差点を、止まらずに通過しました。警察官に呼び止められて、青い紙を渡されます。反則金5,000円を納めれば、それで終わりだ、と言われました。止まったつもりの人が、青い紙の言うままに納めると、あとから争えなくなりかねません。そこが今日の中心です。納めるべきか、争うべきか。そして、納めたあとで、やはり納得できないと思ったら、裁判所で争えるのか。問いは、全部で5つです。1つ目、行政上の義務違反に罰を科す手段は、何種類あるか。2つ目、直罰と間接罰は、どう違うのか。3つ目、刑罰は、なぜ動かないのか。4つ目は、刑事手続に乗せない迂回路とは、何か。5つ目、反則金の通告に不服があるとき、取消訴訟で争えるか。5つ目だけ、先に方向を言います。納付したあとの取消訴訟は、認められません。その理由と、争いたいときの道を、最後まで通して見ます。ほかの答えは、最後に回収します。

行政罰の2本立て

行政罰の2本立て(行政罰=行政上の義務違反に対する制裁/行政刑罰=刑法に刑名のある刑罰〔主刑=死刑・拘禁刑・罰金・拘留・科料/付加刑=没収〕・刑法総則が適用される・科すのは裁判所で手続は刑事訴訟/秩序罰=刑罰以外の制裁〔過料〕=次回) 図:行政罰の2本立て

  • 行政罰=行政上の義務違反に対する制裁
  • 行政刑罰=刑法に刑名のある刑罰〔主刑=死刑・拘禁刑・罰金・拘留・科料/付加刑=没収〕・刑法総則が適用される・科すのは裁判所で手続は刑事訴訟
  • 秩序罰=刑罰以外の制裁〔過料〕=次回

守らせる手段の地図を思い出してください。過去の違反を罰して、将来の違反を抑える手段が、Bでした。見分ける問いは、これからやらせるのか、やったことを罰するのか、です。今日は、そのBの中の、刑罰の本体を見ます。定義です。行政罰とは、行政上の義務の違反に対する制裁です。種類は2つあります。刑罰を科す行政刑罰と、刑罰以外の過料を科す秩序罰です。前に見た、将来の履行を促して繰り返す執行罰の過料とは、別物でしたね。行政刑罰の刑は、刑法9条にある刑です。主な刑が、死刑、拘禁刑、罰金、拘留、科料。付け加える刑が、没収です。刑罰とは、前に見たとおり、反社会性、反道義性に着目した制裁でした。

同じ扱いの部分が、大きいです。刑法8条を読みます。

条文刑法8条

刑法第8条 この編の規定は、他の法令の罪についても、適用する。ただし、その法令に特別の規定があるときは、この限りでない。

刑法の総則は、他の法律の罪にも、適用されるという定めです。たとえば、わざとやったのか、うっかりか、という犯意の問題。未遂を罰するかどうか。複数でおこなった場合の共犯。時効。こうした一般のルールが、行政上の罪にも及びます。ただし、その法律に特別の定めがあれば、そちらが優先します。詳しくは刑法の領域ですので、ここでは、適用される、までを押さえてください。もう1つ大事なのは、手続です。行政刑罰は、刑事訴訟法の手続で科します。行政庁は、自分では科せません。この点が、あとで全部に効いてきます。設例のAの一時停止の違反も、本来は、道路交通法の罰則が定める罪です。罰するとすれば行政刑罰で、警察官がその場で罰金を取ることはできず、刑事裁判を経ます。問いです。行政罰の2種類を挙げてください。そして、刑法の総則は、行政刑罰に適用されるでしょうか。

行政刑罰と、秩序罰です。刑法総則は、刑法8条で、適用されます。なお、行政上の義務違反の罪、つまり行政犯は、刑法犯より比較的軽微で、義務に違反したこと自体を罰する色が濃い、とされます。

条例にも刑罰を置ける

条例の罰則(地方自治法14条3項/条例中に置ける=2年以下の拘禁刑・100万円以下の罰金・拘留・科料・没収/5万円以下の過料/刑罰は条例まで・規則には置けない/法律の授権が相当程度に具体的で限定されていれば足りる/刑罰を科すのは刑事訴訟の手続・長が科すのは過料) 図:条例の罰則

  • 地方自治法14条3項
  • 条例中に置ける=2年以下の拘禁刑・100万円以下の罰金・拘留・科料・没収
  • 5万円以下の過料
  • 刑罰は条例まで・規則には置けない
  • 法律の授権が相当程度に具体的で限定されていれば足りる
  • 刑罰を科すのは刑事訴訟の手続・長が科すのは過料

前に、条例と罰則を見ました。地方自治法14条3項は、条例の中に、違反者への罰を置けると定めています。2年以下の拘禁刑、100万円以下の罰金、拘留、科料、没収。または、5万円以下の過料です。刑罰は、条例までで、規則には置けませんでした。規則は、長や委員会が、議会を通さずに決めるものだからです。刑罰は、人の自由や財産を奪う、いちばん重い制裁ですから、議会の議決を通る条例に限られます。もう1つ。何が犯罪で、どんな刑かを、先に法で定めておく、という罪刑法定主義がありました。ですから、条例で刑罰を定めるには、法律の授権、つまり、法律が条例に任せることが要ります。ただ、その授権は、相当な程度に具体的で限定されていれば足りる、というのが判例でした。14条3項は、刑の種類と上限を先に決めていますから、まさにその授権にあたると読めます。注意点です。条例の刑罰も、行政刑罰です。ですから、科すのは、長ではなく、刑事訴訟の手続です。長が自分で科せるのは、過料のほうです。たとえば、ある町が、条例で、公園への車の乗り入れに罰金を定めたとします。違反した人に罰金を科すのは、町長ではなく、刑事裁判の裁判所です。

直罰と間接罰

直罰と間接罰の比較・区別(直罰=義務違反→直ちに罰/間接罰=義務違反→是正の命令〔行政行為〕→命令に違反→罰/どちらにするかで「命令という段を挟むか」が変わる) 図:直罰と間接罰の比較・区別

  • 直罰=義務違反→直ちに罰
  • 間接罰=義務違反→是正の命令〔行政行為〕→命令に違反→罰
  • どちらにするかで「命令という段を挟むか」が変わる

罰則の置き方には、2つの型があります。直罰と間接罰です。直罰とは、義務に違反すれば、命令などの行政行為を介さずに、直ちに罰則がかかる型です。間接罰とは、まず、是正の命令を出し、その命令に従わないときに、罰則がかかる型です。選び方で、行政の関わり方が変わります。命令という段を挟むか、挟まないか、です。型が分かれる理由は、あとで見ます。まず、同じ法律の中に、両方が入っている例を見ましょう。建築基準法です。

設例Bの建築(A=建築主/B=特定行政庁/A→確認を受けずに着工/B→工事停止を命令/A→命令を無視して続行/直罰=確認なしの着工〔6条1項違反〕/間接罰=停止命令の無視) 図:設例Bの建築

  • A=建築主
  • B=特定行政庁
  • A→確認を受けずに着工
  • B→工事停止を命令
  • A→命令を無視して続行
  • 直罰=確認なしの着工〔6条1項違反〕
  • 間接罰=停止命令の無視

建築主が、建築の確認を受けずに、工事に着手しました。特定行政庁、つまり違反建築物への命令など建築の規制を担う市町村長や知事が、工事の停止を命じたのに、建築主は続行しました。設例にします。確認を受けずに建築することは、6条1項の違反です。これには、99条1項1号で、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金が定められています。命令を介さずに、違反そのものに罰がかかる。直罰です。一方、特定行政庁は、違反建築物について、9条1項で、工事の施工の停止、除却、使用禁止などを命じられます。この命令に違反すると、98条1項1号で、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金です。命令を挟んだ型ですから、間接罰です。

建築基準法の2つの罰(直罰=6条1項違反〔確認を受けずに建築〕→99条1項1号=1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金/間接罰=9条1項の是正命令に違反→98条1項1号=3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金/命令を無視したほうが一段重い) 図:建築基準法の2つの罰

  • 直罰=6条1項違反〔確認を受けずに建築〕→99条1項1号=1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金
  • 間接罰=9条1項の是正命令に違反→98条1項1号=3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金
  • 命令を無視したほうが一段重い

数字を並べます。直罰が1年以下、間接罰が3年以下です。命令を無視した行為のほうが、悪質とされ、重い刑が定められています。問いです。確認を受けずに建築した罪と、是正命令に違反した罪は、どちらが重いでしょうか。それぞれ、直罰か間接罰か。命令違反のほうが重くて、間接罰です。確認なしの建築は直罰で、軽いほうです。ただ、いつも命令違反のほうが重いわけではありません。廃棄物処理法を見ます。

廃棄物処理法の2つの罰(直罰=みだりに廃棄物を捨てる〔16条〕→25条1項14号=5年以下の拘禁刑若しくは1000万円以下の罰金・併科あり/間接罰=基準に適合しない産業廃棄物の処理で生活環境の保全上支障が生じ、又は生ずるおそれがあるとき→都道府県知事が期限を定め措置を命令〔19条の5第1項〕→違反→25条1項5号=同じ法定刑) 図:廃棄物処理法の2つの罰

  • 直罰=みだりに廃棄物を捨てる〔16条〕→25条1項14号=5年以下の拘禁刑若しくは1000万円以下の罰金・併科あり
  • 間接罰=基準に適合しない産業廃棄物の処理で生活環境の保全上支障が生じ、又は生ずるおそれがあるとき→都道府県知事が期限を定め措置を命令〔19条の5第1項〕→違反→25条1項5号=同じ法定刑

みだりに廃棄物を捨てることは、16条で禁じられ、25条1項14号で、5年以下の拘禁刑若しくは1000万円以下の罰金です。これは直罰です。一方、基準に適合しない産業廃棄物の処理で、生活環境の保全上支障が生じ、又は生ずるおそれがあるとき、都道府県知事は、期限を定めて、措置を命じられます。19条の5第1項です。この命令に違反すると、25条1項5号の罰則で、法定刑、つまり、条文が定める刑の幅は、捨てた場合と同じです。こちらは間接罰です。法定刑は同じでも、型は違います。では、型の違いは、何をもたらすのでしょうか。まず間接罰から見ます。間接罰には、命令という是正の段が挟まります。違反した人は、命令を受けて、そこで改める機会を得ますし、命令を出すかどうかの行政側の判断も挟まります。刑事裁判では、命令が出て、従わなかった、と立証すれば足ります。故意の証明も、命令の通知で、容易になります。命令を受け取っていれば、違反と知りながら続けた、と言いやすいからです。反面、建築基準法9条2項の意見書提出の機会のような、命令の手続を踏む手間がかかります。これに対して直罰は、行政の手間が少なく、違反に直ちに罰が向きます。ただ、命令という是正の段は、法律上は挟まれません。立証の中身も違います。刑事裁判では、違反行為そのもの、たとえば、設例でいえば、確認を受けずに着工したという事実を、検察官が立証します。もう1つ。1つの行為に、直罰と間接罰の両方が定められていることも多いです。設例の建築主は、確認なしの着工という直罰と、停止命令の無視という間接罰の、両方に当たりえます。

公定力の限界の回で見た問題です。命令に違反して起訴された者が、刑事裁判で、命令の違法を言えるか。命令違反を罰する規定を、命令が違法でも罰する趣旨と読むか、違法なら罰しない趣旨と読むか、という解釈の問題でした。余目町の事件は、命令違反の罪ではありませんでしたが、罪の条件にかかわる知事の認可が、営業を規制しうる効力を持たないとされ、無罪になりました。間接罰では、命令の違法が、刑事裁判で問題になりえます。

行政刑罰が動かない理由

刑罰が動かない3つの理由(違反→告発→警察・検察→起訴→刑事裁判の列車/詰まる箇所=①警察・検察を動かさなければならない②件数が多すぎる③軽い違反に前科を付けるためらい) 図:刑罰が動かない3つの理由

  • 違反→告発→警察・検察→起訴→刑事裁判の列車
  • 詰まる箇所=①警察・検察を動かさなければならない②件数が多すぎる③軽い違反に前科を付けるためらい

戦前の旧行政執行法による強制執行は、戦後、国家が人権を侵すために使われたとして、強く反省されました。そのため、行政が自分の力で義務を実現する手段は絞られ、義務を守らせる役目は、もっぱら行政刑罰に頼られてきました。刑罰の威嚇によって、行為者の心理に抑止を働かせる、という期待です。けれども、実際には、あまり動きません。理由は3つあります。1つ目。科すのに、警察と検察を動かさなければなりません。行政庁は、自分では科せないからです。前に見た告発、つまり、検察官に処罰を求めて知らせること、から始まり、検察官が起訴して、刑事裁判です。刑罰権を発動するかは、警察と検察の判断に委ねられます。

行政庁が自分で罰金を取ることは、できません。刑罰を科せるのは、刑事裁判をおこなう裁判所だけだからです。では2つ目の理由です。件数が多すぎることです。交通違反や脱税のように、膨大な数に上ります。捜査当局は、重大な犯罪の処理で手一杯になり、行政上の罪までは、手が回りません。3つ目。軽い違反に、前科を付けるためらいです。行政犯は、刑法犯ほど反社会性が重くありません。刑罰は、制裁として重すぎる印象を与えます。

略式手続の枠(刑事訴訟法461条/検察官の請求により簡易裁判所が略式命令で科せる=100万円以下の罰金・科料/異議がなければ正式な裁判は開かれない/本来重い刑罰の手続が形式に流れている面) 図:略式手続の枠

  • 刑事訴訟法461条
  • 検察官の請求により簡易裁判所が略式命令で科せる=100万円以下の罰金・科料
  • 異議がなければ正式な裁判は開かれない
  • 本来重い刑罰の手続が形式に流れている面

補足です。刑事訴訟法461条により、検察官が請求すれば、簡易裁判所は、100万円以下の罰金や科料を、略式命令で科せます。被疑者が異議を出さなければ、正式な裁判は開かれません。ただ、本来重いはずの刑罰の手続が、これでは形式に流れている面がある、と言われます。たとえるなら、刑罰を科す手続は、警察、検察、裁判所の順に進む、重くて遅い列車です。罰を科すには、違反をこの列車に乗せるしかありません。設例のAのような一時停止の違反まで、1件ずつ乗せていたら、列車は止まってしまいます。ここまでを、行政刑罰の機能不全と呼びます。あるのに使われない、ということです。そこで、刑事手続に乗せずに処理する仕組みが、生まれました。問いです。行政刑罰が動かない理由を、3つ挙げてください。

迂回路その1——通告処分

前回までの確認(問い=告発とは何か。通告処分とは何か/告発=検察官に処罰を求めて知らせること/通告処分=罰金に当たる金額を納めるよう知らせ、納めれば刑事裁判に進まない仕組み) 図:前回までの確認

  • 問い=告発とは何か。通告処分とは何か
  • 告発=検察官に処罰を求めて知らせること
  • 通告処分=罰金に当たる金額を納めるよう知らせ、納めれば刑事裁判に進まない仕組み

話を進める前に、確認です。告発とは何か。通告処分とは何か。前に、間接国税の調査のところで、触れました。今日は、その中身を回収します。刑事手続に乗せずに処理することを、犯罪の非刑罰的処理と言います。ダイバージョンとも呼ばれます。さっきの列車でいえば、乗せる手前の窓口で、払えば乗らずに済む仕組みです。代表が2つあり、1つ目が、この通告処分です。

通告処分の流れ(調査→犯則の心証→通告〔理由を明示して罰金に相当する金額などを書面で〕→履行=公訴を提起されない/不履行=翌日から20日以内に履行しないと告発→検察官の公訴→刑事手続/拘禁刑相当・資力なしは通告せず直ちに告発) 図:通告処分の流れ

  • 調査→犯則の心証→通告〔理由を明示して罰金に相当する金額などを書面で〕→履行=公訴を提起されない
  • 不履行=翌日から20日以内に履行しないと告発→検察官の公訴→刑事手続
  • 拘禁刑相当・資力なしは通告せず直ちに告発

国税通則法157条1項です。国税局長や税務署長は、間接国税に関する犯則事件の調査で、犯則の心証、つまり、罰則のある違反があったという確信を得たときは、理由を明示して、罰金に相当する金額などを、指定の場所に納めるよう、書面で通告します。間接国税とは、国税通則法135条1項の定義で、消費税法の、引取りに係る課税貨物に課される消費税など、つまり、外国から引き取る品物にかかる消費税などです。個別の法律ですので、骨格だけ読みます。5項が中心です。

条文国税通則法157条5項

国税通則法第157条第5項(間接国税に関する犯則事件についての通告処分等) 5 犯則者は、第一項の通告の旨(第三項の規定による更正があつた場合には、当該更正後の通告の旨。次項及び次条第一項において同じ。)を履行した場合においては、同一事件について公訴を提起されない。

犯則者が、通告の旨を履行した場合は、同一事件について、公訴を提起されません。納めれば、訴追されないということです。納めなければどうなるか。158条1項で、通告を受けた日の翌日から20日以内に履行しないときは、検察官に告発しなければなりません。また、157条2項で、情状が拘禁刑に処すべきものであるときや、犯則者に履行する資力がないときは、通告せずに、直ちに告発します。関税法にも、同じ仕組みがあります。146条が税関長の通告処分、147条が、不履行と告発です。

設例C(C=海外旅行帰りの人/B=税関長/D=検察官/C→申告せずに貨物を持ち込もうとする/B→調査して犯則の心証→金額を通告/C→納付=刑事事件にならない/C→不納付=BがDに告発) 図:設例C

  • C=海外旅行帰りの人
  • B=税関長
  • D=検察官
  • C→申告せずに貨物を持ち込もうとする
  • B→調査して犯則の心証→金額を通告
  • C→納付=刑事事件にならない
  • C→不納付=BがDに告発

設例です。海外旅行帰りのCが、申告すべき貨物を申告せずに、持ち込もうとして、税関の調査を受けました。税関長が、犯則の心証を得て、金額を通告します。Cが納めれば、刑事事件になりません。納めなければ、税関長が、検察官に告発します。骨格は、調査、犯則の心証、通告、そして、納めれば訴追されない、納めなければ、告発して公訴、刑事手続です。刑罰が背後にあることが、納付の間接的な担保になっています。強制ではありません。ここが次の節につながります。通告を受けた者は、履行するかどうかを、自由意思で決められます。納付を、強制されません。この点について、関税法の通告処分で、最高裁判所が、通告の取消訴訟を認めませんでした。判旨は、あとで読みます。

迂回路その2——交通反則金

反則金制度の趣旨(大量に発生する道路交通法違反について、事案の軽重に応じた合理的な処理と処理の迅速化を図る/反則行為は本来は犯罪/反則者が任意に反則金を納めれば刑事手続によらず事案を終える/反則金は刑罰ではなく行政手続としての納付) 図:反則金制度の趣旨

  • 大量に発生する道路交通法違反について、事案の軽重に応じた合理的な処理と処理の迅速化を図る
  • 反則行為は本来は犯罪
  • 反則者が任意に反則金を納めれば刑事手続によらず事案を終える
  • 反則金は刑罰ではなく行政手続としての納付

2つ目の迂回路が、交通反則金です。大量に発生する道路交通法違反について、事案の軽重に応じた合理的な処理と、処理の迅速化を図る制度です。反則行為は、本来は犯罪に当たる行為です。耳で聞くと、さっきの税の「はんそく」と同じ音ですが、字が違う別の言葉です。税や関税のほうは、犯罪の「はん」の字、道路交通法のほうは、反対の「はん」の字を書きます。そのうえで、反則者が任意に反則金を納めれば、刑事手続によらずに、事案を終えます。注意です。反則金は、刑罰ではありません。行政手続としての納付です。過料や課徴金のように、納める義務を負わせる制裁とも違います。反則金は、納めるかどうかを本人が選べ、納めなければ、本来の刑事手続に戻るだけです。納めれば、刑事訴追されません。条文の順に、5つの段で追います。

反則金の5段(反則行為〔125条1項〕→反則者〔125条2項〕→告知〔126条1項・警察官・青切符〕→通告〔127条1項・警察本部長〕→納付〔128条1項・翌日から10日以内〕/納付→公訴を提起されない〔128条2項〕/不納付→本来の刑事手続へ) 図:反則金の5段

  • 反則行為〔125条1項〕→反則者〔125条2項〕→告知〔126条1項・警察官・青切符〕→通告〔127条1項・警察本部長〕→納付〔128条1項・翌日から10日以内〕
  • 納付→公訴を提起されない〔128条2項〕
  • 不納付→本来の刑事手続へ

1段目は、反則行為です。125条1項です。罰則の章の罪に当たる行為のうち、別表第二に掲げるもので、車両等の運転者がしたもの。比較的軽微で、警察官がその場で確認でき、明白で定型的なものです。種別は政令で定められます。2段目は、反則者です。125条2項です。反則行為をした者のうち、次の者を除きます。無免許運転など。酒に酔った状態などでの運転。反則行為をして、交通事故を起こした者。16歳未満の者。除かれた者は、通常の刑事手続です。3段目は、告知です。126条1項です。警察官が、反則者があると認めるときは、速やかに、反則行為となるべき事実の要旨、種別、出頭の期日と場所を、書面で告知します。これが、いわゆる青切符です。4段目は、通告です。127条1項です。警察本部長が、反則者であると認めるときは、理由を明示して、反則金の納付を、書面で通告します。反則者でないと認めるときは、2項で、理由を明示して、その旨を通知します。5段目が、納付です。128条です。通告を受けた日の翌日から10日以内に、国に納付できます。そして、2項が決め手です。個別の法律ですので、骨格だけ読みます。

条文道路交通法128条2項

道路交通法第128条第2項(反則金の納付) 2 前項の規定により反則金を納付した者は、当該通告の理由となつた行為に係る事件について、公訴を提起されず、又は家庭裁判所の審判に付されない。

納付した者は、その事件について、公訴を提起されません。少年の事件で使われる、家庭裁判所の審判にも付されません。130条は逆の方向から、通告を受け、かつ、10日の期間が経過した後でなければ、公訴を提起されない、と定めます。なお、告知の翌日から7日以内に、反則金に相当する額を仮に納める、仮納付の仕組みも129条にあります。名前だけ覚えておけば足ります。本来の刑事手続に戻ります。検察官が、起訴するかを決め、起訴されれば、刑事裁判で、反則行為の成否を争えます。

設例Aの青切符(A=運転者/官=警察官/長=警察本部長/①Aが一時停止の標識を無視/官→青切符を告知/長→反則金5,000円の納付を通告/A→10日以内に納付=公訴されない) 図:設例Aの青切符

  • A=運転者
  • 官=警察官
  • 長=警察本部長
  • ①Aが一時停止の標識を無視
  • 官→青切符を告知
  • 長→反則金5,000円の納付を通告
  • A→10日以内に納付=公訴されない

設例のAに戻します。一時停止の標識を無視した、という扱いで、警察官が青切符を告知し、警察本部長が、反則金の納付を通告します。納めれば終わり、納めなければ刑事手続です。

自転車の青切符(2026年4月1日から16歳以上の自転車の運転者も対象/125条1項で軽車両を除いていた除外が外れ、反則行為に自転車が入った/16歳未満は対象外〔125条2項4号〕/酒酔い・交通事故は反則者から除かれ刑事手続/指定場所の一時不停止〔43条〕=本来は3月以下の拘禁刑又は5万円以下の罰金〔119条1項5号〕・反則金5,000円/携帯電話の保持12,000円・信号無視6,000円など) 図:自転車の青切符

  • 2026年4月1日から16歳以上の自転車の運転者も対象
  • 125条1項で軽車両を除いていた除外が外れ、反則行為に自転車が入った
  • 16歳未満は対象外〔125条2項4号〕
  • 酒酔い・交通事故は反則者から除かれ刑事手続
  • 指定場所の一時不停止〔43条〕=本来は3月以下の拘禁刑又は5万円以下の罰金〔119条1項5号〕・反則金5,000円
  • 携帯電話の保持12,000円・信号無視6,000円など

ここで、自転車の話に移ります。2026年4月1日から、16歳以上の自転車の運転者にも、この制度が適用されています。125条1項の車両等から、軽車両を外していた除外が外れ、反則行為に、自転車が入りました。ただし、16歳未満は対象外です。125条2項4号です。酒に酔った状態での運転や、交通事故を起こした場合も、反則者から除かれ、刑事手続です。設例のAの違反は、指定場所の一時不停止、43条違反です。本来は、119条1項5号で、3月以下の拘禁刑又は5万円以下の罰金の罪です。自転車の反則金は、5,000円です。ほかに、携帯電話の保持が12,000円、信号無視が6,000円などです。もう1つだけ。交通事件即決裁判手続法という特別法があり、簡易裁判所が、50万円以下の罰金や科料を、即決裁判で科せます。条文は今も残りますが、実務では、ほとんど使われていません。迅速化の役目は、反則金の制度が担っています。問いです。反則金を納付した者は、どうなるでしょうか。納付しなかったら。そして、反則者から除かれるのは、16歳未満、酒酔い運転、交通事故のうち、どれでしょう。

納付したら、公訴を提起されません。納付しなければ、本来の刑事手続です。除かれるのは、3つとも、です。

通告は取消訴訟で争えるか

前回までの確認(問い=処分の定式のうち、権利義務に直接関わるとはどういうことか/処分=公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているもの) 図:前回までの確認

  • 問い=処分の定式のうち、権利義務に直接関わるとはどういうことか
  • 処分=公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているもの

最後の問いに入ります。先に、前の回の確認です。処分の定式のうち、直接国民の権利義務を形成し、またはその範囲を確定する、とは、どういうことでしたか?その行為によって、国民の権利義務が、直接に生じたり、範囲が決まったりする、ということです。処分性は、取消訴訟の対象になる行為かどうか、でした。これを通告に当てます。設例のAです。Aは、止まったと信じています。警察本部長から、納付通告が来ました。Aは、刑事裁判にかけられるのが怖くて、いやいや納付しました。のちに、やはり一時不停止はしていない、と考えて、通告の取消訴訟を起こしました。通告は、取消訴訟の対象でしょうか。論点は、通告に、納付義務を生じさせる力があるか、です。最高裁判所の判決を読みます。反則金の納付の通告の事案です。反則金の納付による処理を選んだ者が、あとから、反則行為をしていないとして、通告の取消しを求めました。

判例最判昭和五十七年七月十五日 民集36巻6号1169頁

反則金の納付の通告と抗告訴訟 交通反則通告制度は、車両等の運転者がした道路交通法違反行為のうち、比較的軽微であつて、警察官が現認する明白で定型的なものを反則行為とし、反則行為をした者に対しては、警察本部長が定額の反則金の納付を通告し、その通告を受けた者が任意に反則金を納付したときは、その反則行為について刑事訴追をされず、一定の期間内に反則金の納付がなかつたときは、本来の刑事手続が進行するということを骨子とするものであり、これによつて、大量に発生する車両等の運転者の道路交通法違反事件について、事案の軽重に応じた合理的な処理方法をとるとともに、その処理の迅速化を図ろうとしたものである。 ……

まず、制度の骨子です。軽く定型的な違反を、反則金の納付で終わらせ、大量の事件を速く処理する、という狙いでした。続けて、通告にどんな力があるかを述べた部分です。

判例最判昭和五十七年七月十五日 民集36巻6号1169頁

反則金の納付の通告と抗告訴訟(通告の効果) …… 道路交通法一二七条一項の規定による警察本部長の反則金の納付の通告(以下「通告」という。)があつても、これにより通告を受けた者において通告に係る反則金を納付すべき法律上の義務が生ずるわけではなく、ただその者が任意に右反則金を納付したときは公訴が提起されないというにとどまり、納付しないときは、検察官の公訴の提起によつて刑事手続が開始され、その手続において通告の理由となつた反則行為となるべき事実の有無等が審判されることとなるものとされているが、これは上記の趣旨を示すものにほかならない。 ……

ここまでが、通告の仕組みと、納付義務が生じないという部分です。続けて、そこから導かれる結論の部分を読みます。判決に出る抗告訴訟は、前に見た、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴えで、取消訴訟はその代表です。

判例最判昭和五十七年七月十五日 民集36巻6号1169頁

反則金の納付の通告と抗告訴訟(続き) …… してみると、道路交通法は、通告を受けた者が、その自由意思により、通告に係る反則金を納付し、これによる事案の終結の途を選んだときは、もはや当該通告の理由となつた反則行為の不成立等を主張して通告自体の適否を争い、これに対する抗告訴訟によつてその効果の覆滅を図ることはこれを許さず、右のような主張をしようとするのであれば、反則金を納付せず、後に公訴が提起されたときにこれによつて開始された刑事手続の中でこれを争い、これについて裁判所の審判を求める途を選ぶべきであるとしているものと解するのが相当である。 もしそうでなく、右のような抗告訴訟が許されるものとすると、本来刑事手続における審判対象として予定されている事項を行政訴訟手続で審判することとなり、また、刑事手続と行政訴訟手続との関係について複雑困難な問題を生ずるのであつて、同法がこのような結果を予想し、これを容認しているものとは到底考えられない。

結論は、通告に対する取消訴訟は不適法、というものでした。判決の言葉から、理由を、2つに整理できます。

取り出す規範(通告の取消訴訟は不適法の理由=①通告があっても反則金を納付すべき法律上の義務は生じない〔納めるかは本人の選択・納めれば公訴されないにとどまる〕②法は反則行為の不成立を争いたい者に「納付せず、起訴後の刑事手続の中で争う」道を用意している〔抗告訴訟を認めると本来刑事手続で審判される事項を行政訴訟で審判することになり、両手続の関係が複雑困難〕/→処分性なし・取消訴訟は不適法) 図:取り出す規範

  • 通告の取消訴訟は不適法の理由=①通告があっても反則金を納付すべき法律上の義務は生じない〔納めるかは本人の選択・納めれば公訴されないにとどまる〕②法は反則行為の不成立を争いたい者に「納付せず、起訴後の刑事手続の中で争う」道を用意している〔抗告訴訟を認めると本来刑事手続で審判される事項を行政訴訟で審判することになり、両手続の関係が複雑困難〕
  • →処分性なし・取消訴訟は不適法

1つ目。通告があっても、反則金を納付すべき法律上の義務は生じません。納めるかどうかは、本人の選択です。納めれば、公訴されない、にとどまります。2つ目。法は、反則行為の不成立を争いたい者には、納付せず、起訴されたときの刑事手続の中で争う道を、用意しています。抗告訴訟を認めると、本来、刑事手続で審判される事項を、行政訴訟で審判することになり、2つの手続の関係が、複雑困難になります。判決は、処分の定式を当てはめてはいません。ただ、第1の理由の、納付すべき法律上の義務は生じないという点は、処分の物差しで言えば、権利義務を直接形成しない方向の事情として読まれます。通告は、納めれば訴追されない、という扱いを告げるものです。さっきの列車のたとえに戻すなら、刑事裁判という重い列車に乗せない窓口で、払えば乗らずに済みますよ、と告げる請求書です。払う義務を生じさせる命令ではありません。争う中身は、列車の中、つまり刑事裁判で決着をつける、というのが法の設計です。関連する判例を、もう1つ読みます。関税法の通告処分の事案です。

判例最判昭和四十七年四月二十日 民集26巻3号507頁

関税法の通告処分と取消訴訟 通告処分は行政庁のなす行政行為ではあるが、通告処分を受けた犯則者は、通告処分の旨を履行するかどうかをその自由意思により決することができ、いかなる場合にも通告に定める納付を強制されることはないのであり、ただ、任意に履行したときは公訴は提起されず、履行しないときは、税関長の告発および検察官の公訴の提起をまつて刑事手続に移行し、通告の対象となつた犯則事実の有無等については刑事手続において争いうることとなるのである。 …… 関税法においては、犯則者が通告処分の旨を任意に履行する場合のほかは、通告処分の対象となつた犯則事案についての刑事手続において争わせ、右手続によつて最終的に決すべきものとし、通告処分については、それ自体を争わしめることなく、右処分はこれを行政事件訴訟の対象から除外することとしているものと解するのが相当である。したがつて、通告処分の取消訴訟は許されないものというべく……

注意してください。この判決は、通告処分は、行政庁のなす行政行為ではある、と述べています。法的な効果が無いから処分でない、とは言っていません。通告は納付を強制しない、事実の有無は刑事手続で争える、だから、法は、通告処分を、行政事件訴訟の対象から除外している、という筋です。言い方は違っても、納付は任意で、事実の有無は刑事手続で争わせる、という骨格は、反則金の通告と同じです。

争い方の分かれ道(通告→①納付する=公訴されない・取消訴訟は不適法/②納付しない=起訴→刑事裁判で反則行為の成否を争う/設例A=納付後の取消訴訟は却下・争いたいなら納付せず刑事裁判で) 図:争い方の分かれ道

  • 通告→①納付する=公訴されない・取消訴訟は不適法
  • ②納付しない=起訴→刑事裁判で反則行為の成否を争う
  • 設例A=納付後の取消訴訟は却下・争いたいなら納付せず刑事裁判で

設例のAの結論です。納付したあとの取消訴訟は、不適法で、却下されます。反則行為の成立を争いたいなら、納付せず、起訴されたら、刑事裁判で争います。論文の答案の型は、こうなります。通告に処分性はあるか。通告があっても、納付義務は生じない。不成立を争うなら、納付せず、刑事手続で争う道が、法に用意されている。抗告訴訟を認めると、刑事手続との関係が複雑困難になる。よって、処分性は否定され、取消訴訟は不適法です。前に見た、代執行に移る前の戒告は、実行前に止める他の手段が乏しいから、処分性が認められると解されました。通告は、争う道が、刑事手続として、別に法で用意されている点が違います。なお、通告に不服申立ての道が無くても、裁判を受ける権利を定めた憲法32条には反しない、と両方の判決が述べています。問いです。反則金の納付通告の取消訴訟は、許されるでしょうか。理由を2つ挙げてください。

批判と学説

批判と学説(批判=前科や裁判の負担を恐れ事実上は納付を強いられているのに争えないのか/判決の主眼=刑事手続で争う道があること/学説=任意に納付した場合に限り取消訴訟を認める見解〔訴追されないので複雑困難の懸念は生じない・ただ刑事手続の審判対象を行政訴訟で審判する問題は残る〕/立法論=非犯罪化し純粋な行政上の制裁金に/答えは判例=処分性否定) 図:批判と学説

  • 批判=前科や裁判の負担を恐れ事実上は納付を強いられているのに争えないのか
  • 判決の主眼=刑事手続で争う道があること
  • 学説=任意に納付した場合に限り取消訴訟を認める見解〔訴追されないので複雑困難の懸念は生じない・ただ刑事手続の審判対象を行政訴訟で審判する問題は残る〕
  • 立法論=非犯罪化し純粋な行政上の制裁金に
  • 答えは判例=処分性否定

実際に、その批判があります。通告を受けた者は、刑事裁判にかけられる負担や、前科を恐れて、事実上は納付を強いられているのではないか、という批判です。判決の主眼は、2つ目の理由、つまり、刑事手続で争う道があることにある、と考えられています。そこで、任意に反則金を納付した場合に限り、通告の取消訴訟を認める見解があります。理由は、納付した人は、もう刑事訴追されませんから、刑事手続とぶつかる心配がない、ということです。ただ、本来、刑事手続の審判対象になる事項を、行政訴訟で審判するという問題は、それでも残ります。立法論としては、反則行為を犯罪から外し、反則金を純粋な行政上の制裁金にする案もあります。試験の答えは、判例の立場、つまり、処分性を否定する筋です。批判と学説は、あることを知っていれば足ります。

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まとめ(①行政罰=行政刑罰〔刑法総則・刑事訴訟の手続〕+秩序罰〔過料=次回〕②条例にも刑罰〔地自14条3項〕③直罰〔命令を介さない〕/間接罰〔命令違反に罰〕④行政刑罰は機能不全〔警察・検察頼み・件数・前科のためらい〕⑤迂回路=通告処分〔国税通則法157条・関税法146条〕・交通反則金〔125条以下〕=納めれば公訴されない⑥通告・反則金の納付通告は取消訴訟で争えない/争うなら納付せず刑事手続で) 図:まとめ

  • ①行政罰=行政刑罰〔刑法総則・刑事訴訟の手続〕+秩序罰〔過料=次回〕②条例にも刑罰〔地自14条3項〕③直罰〔命令を介さない〕
  • 間接罰〔命令違反に罰〕④行政刑罰は機能不全〔警察・検察頼み・件数・前科のためらい〕⑤迂回路=通告処分〔国税通則法157条・関税法146条〕・交通反則金〔125条以下〕=納めれば公訴されない⑥通告・反則金の納付通告は取消訴訟で争えない
  • 争うなら納付せず刑事手続で

冒頭の5つの問いに、順に戻ります。まず1つ目。行政罰は、2種類です。刑罰を科す行政刑罰と、過料の秩序罰です。行政刑罰には刑法の総則が適用され、刑事訴訟の手続で科します。条例にも、刑罰を置けます。2つ目。直罰は、命令を介さずに罰がかかる型。間接罰は、是正の命令を出し、その命令違反に罰がかかる型です。建築基準法では、命令違反のほうが重く定められていました。3つ目。刑罰が動かないのは、警察と検察を動かさなければならないこと、件数が多いこと、軽い違反に前科を付けるためらいがあること、の3つが理由でした。4つ目。迂回路は、通告処分と、交通反則金です。国税通則法や関税法の通告、道路交通法125条以下の反則金のいずれも、納めれば、公訴を提起されません。納めなければ、本来の刑事手続です。2026年4月から、16歳以上の自転車も、青切符の対象です。5つ目。通告も反則金の納付通告も、取消訴訟では争えません。納付義務を生じさせないこと、争う道が刑事手続に用意されていることが、理由です。設例のAは、争うなら納付せず、起訴されたら刑事裁判で争います。行政罰は、もう1本あります。過料の手続と、刑罰との関係を見ます。

参照条文

  • 刑法8条
  • 国税通則法157条5項
  • 道路交通法128条2項

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