公開会社と大会社・定款自治と3つの利害対立
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第1章 総論・会社法総則 ⑤/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。
上場していないのに「公開会社」
図:兄弟3人の会社
- A・B・C=兄弟の株主・D=会社
- 取引所に出していない・定款に譲渡制限なし→「公開会社」と言われる
Aさん、Bさん、Cさんの3人の兄弟が、小さな株式会社を作りました。株式は証券取引所に出していません。定款に、株式の譲渡の制限も書いていません。ところが、専門家からこう言われます。「御社は公開会社ですから、取締役会を置かなければなりません」。間違いとは限りません。会社法の公開会社は、上場しているかどうかでは決まりません。定款で株式の譲渡に制限を付けているかどうかで決まります。譲渡の制限が付いていない株式が1種類でもあれば、家族の会社でも公開会社です。今日の1問は、会社法の言葉はなぜ日常の言葉とずれるのか、です。答えを先に言います。会社法は、3つの利害対立を手当てするために言葉を定義しています。言葉が分かれば、規制が厚くなる場所が見えてきます。
図:この回の地図
- 1.会社法が手当てする3つの対立
- 2.定款と定款自治
- 3.開示
- 4.資本制度
- 5.公開会社と非公開会社
- 6.大会社
- 7.定款でどこまで変えられるか
地図はこの7つです。まず3つの対立という見取り図を作り、そこに5つの言葉を1つずつぶら下げます。最後に、定款でどこまでルールを変えられるかを考えます。冒頭の兄弟の会社の答え合わせも、最後にします。
会社法が手当てする3つの利害対立
図:3つの利害対立
- ①経営者と株主
- ②株主どうし=株式数の多数決
- ③株主と会社債権者=有限責任/A・B・C=株主(A=多数派)・D=経営者・E=債権者
前回、株式会社の特徴を見ました。所有と経営の分離、有限責任、株式の譲渡性、そして株主総会や取締役に役割を分ける機関の分化です。これらは便利な作りですが、同時に、対立の原因にもなります。1つ目の対立は、経営者と株主です。前回見たとおり、経営を任された取締役が、株主の利益どおりに動くとは限りません。この対立への手当ては、取締役の選任と解任、監督する機関、取締役の責任などです。中身は後の章で見ます。今日は、残りの2つを厚く見ます。2つ目は、株主どうしの対立です。株主総会の多数決は、頭数ではなく、株式の数で数えます。総会で賛否を投じる権利を議決権といい、一株につき一個の議決権があるからです。308条1項です。会社の成否に利害が大きい人ほど、議決権が大きい。これは合理的です。ただし、意見が割れたときには、少数派に不利に働きます。たとえば工務店の株式会社で、Aさんが60パーセント、Bさんが30パーセント、Cさんが10パーセントの株式を持っているとします。取締役の選任は、出席した議決権の過半数で決まる普通決議です。
Bさんは3割を持っていても、通常の選び方では取締役を1人も送れません。会社の方針は、Aさんの一存になります。そこで会社法は、少数派にも認められた権利や、定款で多数決を修正する仕組みを用意します。これも名前だけで、後の回に回します。3つ目は、株主と会社債権者の対立です。株主は有限責任で、出す額に上限があります。だから広く出資を集められます。一方で、株主が債権者を犠牲にして得をしようとする動機も生まれます。たとえば部品工場の株式会社に、借入と仕入先への未払いが合わせて5,000万円あり、預金が3,000万円あるとします。返済期日の前に、預金の全部を配当として株主に分けてしまったら、どうなるでしょう。
会社に何も残らないから、債権者は回収できません。でも株主は、追加でお金を出す義務がないんです。もう1つの型として、残りの資金を当たり外れの大きい事業に賭ける場合もあります。当たれば株主の利益、外れても株主は出資額を失うだけで、損を被るのは債権者です。大口の債権者なら、保証や担保を求められます。しかし小口の取引先や、会社の不法行為の被害者のように、契約で守りを固められない債権者もいます。だから、会社法が手当てします。見取り図を持ち帰ってください。会社法の規制は、①経営者と株主、②株主どうし、③株主と債権者のどれかへの手当てです。ここから5つの言葉を、順にぶら下げます。
定款と定款自治
図:定款自治
- 内側=会社が自分で決める内部ルール
- 外枠=法律に反しない・外の人を守る規定は動かせない
- 作る26条1項・変える466条・書ける事項29条
1つ目の言葉は、定款です。会社の組織と運営の根本のルールでした。27条の、定款に必ず書く絶対的記載事項に、目的がありました。持分会社では、内部のルールは基本的に定款で決まる、とも見ました。これを定款自治と呼ぶのでした。今日は、株式会社の定款自治と、その外枠を見ます。株式会社では細かいルールを法律が決めると見ましたが、その中にも、定款で決めてよい部分があります。会社と株主、株主どうしの関係がここに入ります。つまり、①と②の対立を、会社ごとに調整する道具です。定款自治を3つの場面で見ます。作る、変える、何を書けるか、です。作るのは設立のときです。株式会社を設立するには、会社を作る中心になる発起人が定款を作り、全員が署名または記名押印します。26条1項です。作り方の手続は、後の回で扱います。変えるのは、成立の後です。
条文会社法466条
会社法第466条 株式会社は、その成立後、株主総会の決議によって、定款を変更することができる。
株主総会の決議で、定款を変えられます。決議の要件は特別決議です。取締役の選任のような普通決議より重く、原則として、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成が要ります。後から変えられるという点は、この回の終わりで効いてきます。最後に、何を書けるかです。29条です。
条文会社法29条
会社法第29条 第二十七条各号及び前条各号に掲げる事項のほか、株式会社の定款には、この法律の規定により定款の定めがなければその効力を生じない事項及びその他の事項でこの法律の規定に違反しないものを記載し、又は記録することができる。
3つの層に分けると読みやすくなります。1つ目は、必ず書く事項です。27条の目的や商号です。2つ目は、書いて初めて効く事項です。たとえば、株式に譲渡の制限を付けることや、取締役会を置くことは、定款に定めて初めて、その会社に採り入れられます。3つ目は、書いてもよい事項です。たとえば事業年度の定めです。ここで大事なのは、3つ目に外枠があることです。法律の規定に違反しない事項に限ります。法律に反する条項は、書いても効きません。定款自治は、無制限ではありません。分類の名前や個別の事項は、後の回で扱います。
開示
図:開示の三層
- 登記=基本事項を公的な帳簿に載せる
- 計算書類の公告=440条
- 金融商品取引法の開示=上場会社など
- 目的=債権者・取引相手が会社の財産状態を知る
2つ目の言葉は、開示です。会社の外の人に情報を出す仕組みです。なぜ要るのでしょう。③の対立の手当てだからです。債権者や取引相手は、会社の財産しか当てにできません。会社の財産状態を知らなければ、貸すか、取引するかを決められません。開示には三層あります。1つ目は登記です。法人の回で見た設立の登記と同じく、会社の基本事項を法務局の公の帳簿に載せ、事実関係を明確にして、外部の人に伝えます。何が載るのかや、効力は、後の回で扱います。2つ目は、計算書類の公告です。持分会社には無い、株式会社の義務です。440条1項です。
条文会社法440条1項
会社法第440条(1項) 1 株式会社は、法務省令で定めるところにより、定時株主総会の終結後遅滞なく、貸借対照表(大会社にあっては、貸借対照表及び損益計算書)を公告しなければならない。
決算を公告する義務です。貸借対照表は、決算の日に会社が持つ財産と借金を並べた表です。損益計算書は、1年間のもうけと損を示す表です。大会社は、貸借対照表に加えて、損益計算書も公告します。大会社は後ほど説明します。官報や日刊新聞紙に載せる会社は、貸借対照表の要旨で足ります。2項です。ウェブ上で見られる状態に置く措置で代えることもできます。3項です。そして、4項です。上場会社などのように、金融商品取引法で有価証券報告書という詳しい決算の報告を出す義務がある会社は、この規定が適用されません。次の三層目で、より詳しい開示があるからです。3つ目は、金融商品取引法の開示です。上場会社など一定の会社は、株式や社債を発行するときと、流通している間、詳細な開示が義務づけられます。これも名前だけです。計算書類は、本店に備え置かれ、株主と債権者が営業時間内に閲覧を請求できます。442条3項です。作成と承認の手続は、後の回で扱います。
資本制度
図:資本は水位線
- 純資産=水の高さ
- 資本金・準備金=壁の線
- 線より上だけ株主へ汲み出せる
- 資本金は現金の額ではない
3つ目の言葉は、資本です。資本金と準備金のことです。準備金は、払い込まれたお金のうち資本金にしなかった分や、配当のときに積み立てる分などで、資本金と同じく、会社に残しておくべき額を示す数字です。これも③の対立の手当てです。先ほどの部品工場の会社を思い出してください。預金を全部、配当で株主に分けてしまうことが問題でした。会社から株主へ、配当や、会社が自分の株式を株主から買い取る自己株式の取得で、財産が流れ出ることを、無制限にさせないための物差しが、資本です。資本金は、会社が持っているお金の額、ではないんですか。そこが誤解の山です。資本金は、貸借対照表の純資産の部に載る、計算上の数字です。会社が実際に持っている現金や資産の額ではありません。純資産は、会社の財産から借金を引いた残りです。資本金の額の出発点は、445条1項です。
条文会社法445条1項
会社法第445条(1項) 1 株式会社の資本金の額は、この法律に別段の定めがある場合を除き、設立又は株式の発行に際して株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額とする。
資本金1,000万円で始めた会社が、仕入れや給料に使って、預金が300万円に減ったとします。それでも資本金は1,000万円のままです。資本金の分の金庫がある、わけではありません。たとえで言います。会社の純資産を水の高さ、資本金と準備金を壁に引いた線とします。線より上にある分だけを、株主へ汲み出せます。線の下には手を付けさせません。事業の失敗で水位が線を割れば、汲み出せる分はゼロです。この線の上の部分が、後の回で学ぶ、分配可能額の考え方につながります。資本金の額が大きいからといって、債権者が安全だとは限りません。最低資本金は廃止されたので、資本金が小さくても会社は作れます。資本金の大小と、会社の財産の実際は別のものです。債権者を守る道具は、資本制度だけではありません。分配可能額の規制、資本金を減らすときの債権者の異議手続、役員の対第三者責任などもあります。どれも、後の回で扱います。
公開会社と非公開会社
図:公開会社の読み方
- 定款の定めで決まる
- 株式の種類ごとに譲渡制限の有無を見る
- 1種類でも制限なしなら公開会社
4つ目の言葉は、冒頭の公開会社です。その前に、前の回で読んだ331条2項から1問。取締役を株主に限る旨を、定款に定められるのは、公開会社と、公開会社でない株式会社の、どちらでしょう?公開会社でない株式会社です。公開会社には、取締役会を置く義務もありました。327条1項1号です。取締役会は、前の回で見たとおり、取締役が集まって会社の業務を決め、代表取締役を監督する会議体です。では、公開会社とは何か。条文で確かめます。2条5号です。
条文会社法2条5号
会社法第2条(5号) 五 公開会社 その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社をいう。
読みにくい条文ですが、読み方は一つです。前の回で見たとおり、1つの会社は、権利の中身が違う何種類かの株式を出せます。その株式の種類ごとに、定款に譲渡制限の定めがあるかを見ます。譲渡制限の定めを設けていない株式が1種類でもあれば、公開会社です。基準は定款の定めです。実際に発行しているかどうかではありません。では、4つのパターンで確かめます。1つ目、株式が1種類で、譲渡制限がない会社。公開会社です。2つ目、株式が1種類で、譲渡制限がある会社。公開会社ではありません。3つ目、株式が2種類あって、片方だけ譲渡制限がある会社。制限のない種類があるので、公開会社です。4つ目、2種類とも譲渡制限がある会社。公開会社ではありません。ここで1問。株式が1種類だけで、定款に譲渡制限がなく、上場もしていない会社は、公開会社でしょうか。
1つ目のパターンだから、公開会社です。上場の有無は関係ありません。公開会社でない株式会社を、短く非公開会社とも呼びます。すべての株式に譲渡制限がある会社です。
図:上場会社と公開会社
- 上場会社⊂公開会社(通常)
- 非公開会社は公開会社の外
- 譲渡制限なしの家族会社=上場していなくても公開会社
上場会社との関係を整理します。上場は、取引所で株式が売買できるという事実です。公開会社は、定款の定めで決まる、会社法上の区分です。上場している株式は自由に売買できなければならないので、上場会社は通常、公開会社の一部です。逆は成り立ちません。譲渡制限を付けていない家族の会社は、上場していなくても公開会社です。公開会社は、株式が自由に売り買いされ、株主が入れ替わります。株主が分散すると、所有と経営が離れやすくなります。①や②の対立が深刻になるので、規制を上乗せします。さらに、株主が多く散らばっていると、株主総会を開くだけで手間と時間がかかります。そこで、総会を待たず、取締役会だけで迅速に決められるようにする面もあります。会社法は、非公開会社を基本形にして柔軟な規制を置き、公開会社に特則を置く作りです。例を挙げます。取締役会は、公開会社では必須で、非公開会社では原則として任意です。取締役の任期は原則2年ですが、多くの非公開会社は、定款で最長10年まで伸ばせます。332条です。株主総会の招集通知は、公開会社が2週間前、非公開会社は原則1週間前です。299条1項です。新株の発行の決定は、公開会社では取締役会が行い、非公開会社では原則として株主総会の特別決議です。
大会社
図:大会社の判定フロー
- 最終事業年度の貸借対照表
- 資本金5億円以上?→はい=大会社
- いいえ→負債の部の合計200億円以上?→はい=大会社
- いいえ=大会社でない
5つ目の言葉は、大会社です。2条6号です。
条文会社法2条6号
会社法第2条(6号) 六 大会社 次に掲げる要件のいずれかに該当する株式会社をいう。 イ 最終事業年度に係る貸借対照表(第四百三十九条前段に規定する場合にあっては、同条の規定により定時株主総会に報告された貸借対照表をいい、株式会社の成立後最初の定時株主総会までの間においては、第四百三十五条第一項の貸借対照表をいう。ロにおいて同じ。)に資本金として計上した額が五億円以上であること。 ロ 最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が二百億円以上であること。
括弧書きは、どの時点の貸借対照表を使うかを決める細かい定めです。覚えなくて構いません。大事なのは、判定の物差しが、貸借対照表にある2つの数字だけだということです。資本金が5億円以上か、負債の部の合計が200億円以上か。どちらかに当たれば大会社です。基準は直近の決算、つまり最終事業年度のものです。ここで1問。従業員3,000人、資本金1億円、負債の部の合計80億円の会社は、大会社でしょうか。資本金は5億円未満で、負債も200億円未満だから、大会社ではありません。従業員の数は関係ないんですね。逆に、従業員が10人の不動産会社でも、負債が250億円なら大会社です。従業員数も売上高も、基準ではありません。
負債の額が基準に入るのは、③の対立、つまり株主と会社債権者の対立があるからです。債権者が多く、金額も大きい会社ほど、計算が正しいかどうかが、多くの人に影響します。そこで会社法は、大会社でない会社を基本形にして、大会社に特則を置きます。特則の例が2つあります。1つ目は、決算公告で損益計算書も公告することです。440条1項で見ました。2つ目は、会計監査人を置く義務です。328条です。どの機関設計でも、大会社には会計監査人が必要です。機関の組合せは、後の回で扱います。
定款でどこまで変えられるか
図:変えてよい理由と変えさせない理由
- 変えてよい=会社ごとに合ったルール
- 変えさせない=①外の人を守る規定②多数決で定款は変えられる③新しい株主が縛られる
- 現行法=別段の定め+強行法規
最後の問いです。会社法の規定は、定款で変えてよいのでしょうか。変えてよいなら、全部でしょうか。変えてよいという方向の理由から見ます。規制の便益と負担は、会社ごとに違います。3人の家族の会社に、大会社と同じ重い機関をそのまま課すのは、過大です。会社ごとに合わせて決められたほうが、その会社に合ったルールになります。変えさせないほうがよい理由が、3つ考えられます。1つ目は、定款に関わらない外の人を守る規定です。債権者を守る規定を、株主の取り決めである定款で緩められたら、意味がありません。定款に「当社は財産が尽きるまで配当できる」と書いても、債権者の保護は外せません。2つ目は、定款が多数決で変えられることです。466条で見ました。設立のときは「取締役の選任は全株主の同意」と定めていても、議決権の3分の2を持つ多数派が総会で「過半数でよい」に変更すれば、少数派の拒否権は消えます。株主が多数で分散していれば、個々の株主は、提案を吟味する時間と費用をかけにくいので、そのまま通りやすくなります。3つ目は、新しい株主です。株式を買った人は、すでにある定款の内容に当然に縛られます。会社ごとに内容が違いすぎると、買い手が読み切れません。
多くの規定は、「定款に別段の定めがある場合を除き」などと書いて、定款自治を認めます。その一方で、定款でも変えられない強行法規も多くあります。債権者の利益に関わる規定、たとえば分配可能額の規制は強行法規です。個別の規定が強行法規かどうかは、文言と趣旨で見ます。外の人を守る規定か、内部の関係の規定か、という見方です。これは考え方の地図として持ち帰ってください。公開会社と非公開会社でも、定款自治の幅は違います。非公開会社だけが使える仕組みがあります。たとえば、少数派に取締役を選ぶ権利を与える種類株式です。公開会社は株式が広く流通し、株主が分散するので、先ほどの2つ目と3つ目が深刻になるから、と説明できます。定款と似たものに、株主間の契約があります。定款は全株主を拘束し、違反は会社の行為の効力に影響します。株主間契約は当事者だけを拘束し、違反した人は、約束を破った責任として損害の賠償を負うのが原則です。たとえば、株主のAさんとBさんが「互いの同意なしに株式を売らない」と契約しても、縛られるのはその2人だけです。
今日の地図(保存版)
図:5つのキーワード×3つの対立
- 定款自治=①②の内部ルール・外の人を守る規定は動かせない
- 開示=③
- 資本制度=③
- 公開会社=①②
- 大会社=③と①
5つの言葉を、3つの対立に対応させます。主に効く場所です。定款自治は、①と②の内部ルールを会社ごとに決める道具です。ただし、③の外の人を守る規定は動かせません。開示は、債権者が財産状態を知るための③への手当てです。資本制度は、財産の流出への歯止めで、これも③です。公開会社は、株主が入れ替わって所有と経営が離れやすいので規制を上乗せする、①と②です。大会社は、債権者が多いという③と、経営者が作った計算書類を会計監査人が外から確かめ、株主も数字を信用できるという①です。言葉がずれるのは、日常の感覚ではなく、対立への手当てで定義されているからなんですね。会社法の役割は、取引相手を守ることと、参加者が安心して使えるルールを用意することです。ただし会社法だけで全部をまかなうわけではなく、上場会社では金融商品取引法などの規律も重要です。冒頭の兄弟の会社に戻ります。譲渡制限がなければ、上場していなくても公開会社です。取締役会も必須になります。「公開会社なので取締役会を置いてください」は、間違いではありませんでした。
次の回では、親会社と子会社の定義に進みます。
参照条文
- 会社法466条
- 会社法29条
- 会社法440条1項
- 会社法445条1項
- 会社法2条5号
- 会社法2条6号