刑法 ゼロから刑法#48

略取・誘拐罪と人身売買罪——「連れ去り」の体系と解放減軽

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第10章 自由・私生活の平穏に対する罪 ③/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。

略取・誘拐とは何か(総説) 〔短答・論文共通〕

略取・誘拐とは何か(総説)。略取・誘拐=人を保護された生活環境から離脱させ、自己または第三者の事実的支配下に移す罪。略取=暴行または脅迫を手段(力ずく)/誘拐=欺罔または誘惑を手段(だます・釣る)。両者を合わせて=拐取。手段が違うだけで、引き離す効果はほぼ同じ。イメージ=人を生活圏という「土」から根ごと引き抜き、自分の支配下の「鉢」に移し替える。自前例=略取:路上で羽交い締めにして車に押し込む/誘拐:嘘で誘って連れ出す。保護法益=①本人の自由+②監護権者の監護権(通説・次のセクション)。

まず総説。略取・誘拐の罪とは何かを定義します。人を、保護された生活環境から離脱させて、自分や第三者の支配下に移す罪です。たとえで言うと、植え替えのイメージです。人を、生活圏という土から根ごと引き抜いて、自分の鉢に移し替える。その引き抜き方が二通りある。略取と誘拐です。略取は、暴行または脅迫を手段にする。つまり力ずく。まさにそれ。一方、誘拐は、欺罔または誘惑が手段。嘘で誘ったり、甘い話で釣ったりして連れ出す。そして両者を合わせて、拐取と呼びます。手段は違っても、引き離す効果はほぼ同じ。ここを押さえてください。

🔴 連れ去りの罪の全体像——行為×目的マトリクス 〔短答頻出〕

🔴 連れ去りの罪の全体像=行為(どう連れ去ったか)×目的(何のために)のマトリクス。縦軸=目的の段階:目的なし=224未成年者略取誘拐(3月以上7年以下・客体は未成年者18歳未満)/営利・わいせつ・結婚・加害=225(1年以上10年以下・客体は人)/身代金=225の2第1項(無期又は3年以上)/所在国外移送=226(2年以上の有期)/人身売買買受け=226の2第1項(3月以上5年以下)。横軸はどの行でも共通=略取(暴行脅迫)/誘拐(欺罔誘惑)。目的が悪質になるほど刑が重い。

全体像のマトリクスです。でも見方は簡単。横は連れ去り方、縦は何のために、です。横軸は、どの行でも共通。略取か、誘拐か。それだけ。差がつくのは縦軸、目的です。上から下へ、だんだん悪質に。一番上、224条は目的が要らない基本類型。客体は未成年者。その下、225条は目的犯。営利・わいせつ・結婚・加害の目的。さらに下、225条の2は身代金目的。一気に重くなって無期もある。そして国外移送が226、人身売買が226の2。下ほど重い。この一枚を頭に入れれば、多すぎる条文がただの表になります。

🔴 核①——保護法益は2つ(本人の自由+監護権) 〔短答・論文共通〕

🔴 核① 保護法益は2つ=本人の自由+監護権者の監護権(二元・通説)。被拐取者本人の自由(生活環境・移動の自由)に加え、親権者等の監護権をも保護法益とする。拐取者は、本人の自由を侵害すると同時に、親などの監護権も侵害する。客体が未成年者なら法益は二元(自由+監護権)。だから本人が同意しても、親の監護権を侵害すれば成立しうる。成年者が客体なら自由のみ。

では核①。なぜ本人が同意しても誘拐になるのか。鍵は保護法益です。この罪が守るものは、実は2つあります。一つ目は、連れ去られた本人の自由。生活環境や移動の自由ですね。そして二つ目。親などの、監護権です。親が子を監護する権利。これも守られているんです。図を見てください。拐取者は、子の自由を侵害する。これが一つ目。それと同時に、親の監護権も侵害している。これが二つ目。そこです。だから法益は二元、つまり2つあると言われる。だから本人が同意しても、親の監護権を侵害すれば成立しうる。なお、客体が成年者なら、守るのは本人の自由だけです。

🔴 核①の帰結——未成年者の同意と最決平17・12・6 〔短答・論文共通〕

🔴 核① 最決平17・12・6=別居中の親による連れ去り。事案=別居中で共同親権者である父が、母が監護中の2歳児を、母に無断で有形力を用いて連れ去り(国外移送目的略取が問題に)。判旨=共同親権者の一方であっても、他方の監護権を侵害する以上、未成年者略取罪の構成要件に該当する。そのうえで、親子という関係から行為の違法性が例外的に阻却されるかは別途判断(本件は阻却を否定)。「親だから自由」ではない。

核①の帰結を、有名な最高裁の判例で確かめます。最決平17・12・6です。事案はこう。両親が別居していて、子は母と暮らしている。父も母も、共同で親権を持っている。共同親権者です。その父が、母が監護している2歳の子を、無断で力ずくで連れ去った。そこが論点です。最高裁はこう言いました。共同親権者の一方でも――他方の監護権を侵害する以上、未成年者略取罪の構成要件に該当する。「親だから何をしてもいい」わけではない。いい疑問です。だから二段構えなんです。まず構成要件に該当する。そのうえで、親子という関係から違法性が阻却されるかを、別に検討する。ただし本件では、その違法性阻却は否定されました。本人の同意があっても、結論は変わりません。

条文を確認——224条(未成年者略取及び誘拐) 〔約束③(条文全文)〕

刑法224条(未成年者略取及び誘拐):未成年者を略取し、又は誘拐した者は、三月以上七年以下の拘禁刑に処する。客体=未成年者=18歳未満(民法4条・2022年改正後)。目的不要の基本類型。未遂罰(228条)。

では核心の条文を全文で確認します。まず224条。未成年者を略取し、又は誘拐した者は、三月以上七年以下の拘禁刑に処する。目的が要らない基本類型です。条件は「未成年者であること」だけ。18歳未満です。民法の改正で、20歳から18歳に下がりました。今は18歳未満が正解。ここは要注意です。

核②——225条 営利目的等略取・誘拐罪(目的犯) 〔短答頻出〕

225条=営利目的等略取・誘拐罪(目的犯)。客体=人(未成年者・成年の双方を含む)/一定の目的を要する目的犯。①営利の目的=自己または第三者の財産上の利益を得る目的。②わいせつの目的=被拐取者の性的自由を侵害する目的。③結婚の目的=自己または第三者と結婚させる目的(事実婚も含む)。④生命・身体に対する加害の目的=殺傷・暴行を加える目的。法定刑=1年以上10年以下の拘禁刑(224より重い)。罪数=この目的で未成年者を拐取すると、未成年者拐取罪(224)は本罪に吸収される。

次に核②。目的が悪質になると、罪が重くなる話です。まず225条。225条は目的犯。次の四つの目的のどれかが要ります。一つ目、営利の目的。自分や他人の、財産上の利益を得る目的。二つ目、わいせつの目的。性的自由を侵害する目的。三つ目、結婚の目的。結婚させる目的で、事実婚も含みます。四つ目、生命・身体への加害の目的。殺傷や暴行を加える目的。客体も「人」に広がる。未成年者でも成年者でも対象です。刑も1年以上10年以下と、224より重くなる。目的が悪質だから。いい質問。その場合、224は225に吸収されます。225一本で処理する。

条文を確認——225条(営利目的等略取及び誘拐) 〔約束③(条文全文)〕

刑法225条(営利目的等略取及び誘拐):営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、一年以上十年以下の拘禁刑に処する。四つの目的=営利・わいせつ・結婚・生命身体への加害。客体=人(成年含む)。

225条の条文も全文で見ます。営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で――人を略取し、又は誘拐した者は、一年以上十年以下の拘禁刑。さっきの四つが、ここに書いてある。客体は「人」。目的と客体、二点を224と対比して押さえてください。

核②——225条の2 身代金目的略取等罪 〔短答頻出〕

225条の2=身代金目的略取等罪(加重類型)。1項=身代金目的の拐取/2項=拐取後の身代金要求等。「安否を憂慮する者」=被拐取者の安否を身内として憂慮するのが社会通念上当然とみられる特殊な関係にある者(最決昭62・3・24)。例=銀行の頭取を拐取し、幹部に身代金を要求する場合も該当しうる(頭取の安否を身内として憂慮する関係)。実際に憂慮する者が存在しなくても、その目的があれば本罪は成立する(目的犯)。

核②の頂点が、225条の2。身代金目的です。1項は身代金目的の連れ去り、2項は連れ去った後の要求行為。ここで一つ、特殊な言葉が出ます。「安否を憂慮する者」。被拐取者の安否を、身内として心配するのが当然な、特殊な関係の人。でも判例、最決昭62・3・24は、もう少し広げました。たとえば、銀行の頭取を連れ去り、幹部に身代金を要求する場合。でも、幹部が頭取の安否を身内のように憂慮するのは社会通念上当然。家族に限らない。そこが押さえどころです。それでも成立します。これは「目的」の問題だから。目的犯なので、犯人の主観の中身が問題になるんです。

条文を確認——225条の2第1項(身の代金目的略取等) 〔約束③(条文全文)〕

刑法225条の2第1項(身の代金目的略取等):近親者その他略取され又は誘拐された者の安否を憂慮する者の憂慮に乗じてその財物を交付させる目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、無期又は三年以上の拘禁刑に処する。※2項=当初は身代金目的でなく拐取した者が、後に財物を交付させ、又は要求する行為をしたときも同様。

225条の2、1項の条文を全文で確認します。近親者その他、安否を憂慮する者の憂慮に乗じて、財物を交付させる目的で――人を略取し、又は誘拐した者は、無期又は三年以上の拘禁刑。人質の生命を危険にさらす、極めて悪質な罪だからです。なお2項は、最初は身代金目的でなく連れ去った後、要求した場合も同様。1項が連れ去り型、2項が後発の要求型、と整理してください。

226〜227——人身売買・事後従犯(マトリクスの残り) 〔短答〕

226〜227(マトリクスの残りの行)。226=所在国外移送目的略取・誘拐罪(国外に送り出す目的での連れ去り)。226の2=人身売買罪(人を買い受ける・売り渡す=別表で詳細)。226の3=被略取者等所在国外移送罪(拐取・売買された者を実際に国外へ移送)。227=被略取者等引渡し等罪=あとで犯人を幇助する目的で引渡し・収受・輸送・蔵匿・隠避(事後従犯)。227は拐取そのものでなく「あとで犯人を助ける人」を罰する事後従犯。本犯の目的(身代金・営利等)が重いほど刑も加重。

残りの条文を、表でまとめて見渡します。226は、国外に送り出す目的での連れ去り。拉致のイメージです。226の2が人身売買罪。これは次の表で詳しく見ます。226の3は、連れ去ったり売買した人を、実際に国外へ移送する罪。そして227。これは少し毛色が違います。事後従犯です。連れ去った犯人を助ける目的で、被害者を引き渡したり匿ったり。本犯の目的が身代金や営利だと、227の刑も重くなります。

226条の2——人身売買罪の項構造 〔短答〕

226条の2 人身売買罪の項構造(短答用)。1項=人を買い受けた(基本類型・3月以上5年以下)。2項=未成年者を買い受けた(加重・3月以上7年以下)。3項=営利・わいせつ・結婚・加害の目的で買い受けた(1年以上10年以下)。4項=人を売り渡した(1年以上10年以下)。5項=所在国外に移送する目的で買い受けた(2年以上の有期)。基本=買受け(1項)。客体が未成年・目的が悪質・売り渡す・国外移送目的になるほど加重。条文構造は短答で問われうる。

人身売買罪、226の2の項構造を表で見ます。でも考え方は一つ。基本は1項、人を買い受けること。そこから、悪質さに応じて加重されます。2項、客体が未成年者なら重くなる。3項、悪質な目的があれば、さらに重く。4項は、買うほうでなく売り渡すほう。5項は国外移送目的の買受け。基本の呉先生の本だと重要性は低いとされますが――条文構造そのものは短答で問われうる。だから表で整理しておきます。

🔴 核③——解放減軽(228条の2) 〔短答頻出・論文共通〕

🔴 核③ 解放減軽(228条の2)=後戻りの道を作って人質の生命を守る。①対象の罪を犯す=225条の2(身代金)/227条2項・4項の罪(224・225・226は対象外=重要な引っかけ)。②公訴が提起される前に、被拐取者を「安全な場所」に解放=救出までに具体的・実質的な危険にさらされるおそれのない場所(最決昭54・6・26)。③効果=その刑を必ず減軽する(必要的減軽)。趣旨=犯人に後戻りの道を与え、被拐取者の生命の安全を図る。

いよいよ核③。三つ目の軸、解放減軽です。228条の2。なぜこんな規定があるか。趣旨から入りましょう。身代金目的の犯人は、人質を、その後に殺害してしまうことが少なくない。そこで、犯人に「後戻りの道」を作るんです。今ならまだ間に合う、と。政策的な減軽です。流れは三段。図で見ましょう。①まず、対象の罪を犯すこと。225条の2、つまり身代金が中心。ここで重要な引っかけ。224・225・226は、対象外です。違います。身代金まわりの罪だけ。225の2と、227の2項・4項。②次に、公訴が提起される前に、安全な場所に解放すること。いえ、定義があります。最決昭54・6・26ですね。救出されるまでの間に、具体的・実質的な危険にさらされるおそれのない場所。たとえば、人通りのある交番の前で解放するような。③そして効果。その刑を、必ず減軽する。必要的減軽です。「公訴提起前・安全な場所・必要的減軽」。この三点セットです。

刑法228条の2(解放による刑の減軽):第二百二十五条の二又は第二百二十七条第二項若しくは第四項の罪を犯した者が、公訴が提起される前に、略取され又は誘拐された者を安全な場所に解放したときは、その刑を減軽する。対象=225の2・227②④に限る(224・225・226は対象外)。

228条の2の条文も全文で確認します。225条の2、又は227条2項・4項の罪を犯した者が――公訴が提起される前に、安全な場所に解放したときは、その刑を減軽する。条文に225の2、227の2項・4項と書いてある。それ以外は使えない。捕まって起訴される前なら、まだ間に合う。後戻りの道です。

予備・親告罪(締め) 〔短答〕

予備・親告罪(締め)。①未遂=広く処罰(228条)。②予備=身代金目的拐取の予備(228の3)=2年以下の拘禁刑。ただし実行に着手する前に自首すれば、刑は必要的に減免(228の3ただし書)。③🔴親告罪(229)=一部のみが親告罪(2017改正で範囲が縮小)。営利目的・身代金目的は非親告罪(被害が重大・公益性が高いため)。解放減軽(公訴提起前・必要的減軽)と、予備の自首減免(着手前・必要的減免)を混同しない。

締めに、未遂・予備・親告罪を確認します。未遂は広く処罰されます。228条で各類型をまとめて未遂罰。予備もあります。身代金目的の連れ去りの予備、228条の3。ただし、実行に着手する前に自首すれば、刑は必要的に減免。ここで一点、混同しやすい所。解放減軽と、この自首減免。解放減軽は、連れ去った後、公訴提起前に安全な場所へ解放して減軽。自首減免は、予備の段階で、実行に着手する前に自首して減免。最後に親告罪。229条です。連れ去りの罪のうち、一部だけが親告罪です。2017年の改正で範囲が縮みました。営利目的や身代金目的は、非親告罪。被害が重大で公益性が高いから。古い本だと範囲が違うので注意。逆に親告罪に残るのは、224の未成年者略取誘拐罪が中心です。それと、224を幇助する目的の227条1項、これらの未遂。ここだけ告訴が要る。

短答ひっかけ

ここはひっかかる(短答まとめ)。①全体=行為(略取=暴行脅迫/誘拐=欺罔誘惑)×目的のマトリクス。目的で刑が加重。②保護法益=本人の自由+監護権の二元(通説)。224は目的不要の基本類型。客体「未成年者」=18歳未満(民4・20歳未満は旧表記)。③🔴未成年者本人が同意しても、監護権を侵害すれば構成要件該当(最決平17・12・6)。親権者の連れ去りも該当、違法性阻却は別途判断。④225の2「安否を憂慮する者」=身内として憂慮が社会通念上当然の特殊関係者(最決昭62・3・24)。⑤🔴解放減軽(228の2)=対象は225の2・227②④のみ/公訴提起前・安全な場所→必要的減軽。

短答でひっかかる所を整理します。①全体は行為×目的のマトリクス。②保護法益は本人の自由と監護権の二元。224は目的不要の基本類型。③本人が同意しても、監護権侵害で構成要件該当。平17・12・6。④225の2の「安否を憂慮する者」は、特殊な関係者。昭62・3・24。⑤解放減軽は、対象が225の2と227の2項4項のみ。224・225・226は対象外。この五つで、略取誘拐の短答はかなり戦えます。

📝 論文の型

論文の型|未成年者拐取罪の保護法益と未成年者の同意。★コア規範(逐語で覚えるのはここだけ)=未成年者略取・誘拐罪の保護法益は、被拐取者本人の自由のみならず、親権者等の監護権にも及ぶ(二元説)。したがって、被拐取者本人が同意していても、監護権を侵害する以上本罪の構成要件に該当し、親権者による連れ去り等につき行為の違法性が例外的に阻却されるかは別途判断する。復元キー=①保護法益=本人の自由+監護権の二元②本人同意でも監護権侵害で構成要件該当③共同親権者の一方の連れ去りも該当(平17・12・6)④「親だから自由」ではない→違法性阻却は別途⑤あてはめ=誰の監護権を同意なく侵害したか。

ここから論文の型です。核①を、答案で書ける形に落とします。逐語で覚えるのは、太字のキーワードだけ。あとは趣旨から復元します。核心はこう。本罪の保護法益は、本人の自由と、親権者等の監護権。だから本人が同意しても、監護権を侵害する以上、構成要件に該当する。そのうえで、親権者の連れ去りは、違法性阻却を別途判断する。復元の鎖はこう。まず保護法益が二元だと述べる。次に、だから本人同意でも監護権侵害で構成要件該当、と理由を述べる。butとして、親だから自由ではない、違法性阻却は別途、と限定する。

答案の型|未成年者拐取罪の保護法益と未成年者の同意。【事例】別居中で共同親権者である父甲が、母乙が監護する2歳児Aを乙に無断で有形力で連れ去った。【問題提起】親権者の一人である甲の連れ去りに、未成年者略取罪(224条)の構成要件該当性が認められるか。【規範】保護法益は本人の自由+監護権の二元/本人同意でも監護権侵害で構成要件該当/違法性阻却は別途。【あてはめ】本罪の保護法益には母乙の監護権も含まれる。甲は共同親権者の一人だが、現に子を監護する乙の監護権を同意なく有形力で侵害して連れ去った以上、構成要件に該当。違法性阻却は別途検討するが本件では否定され、同罪が成立。

答案の型で、流れを実演します。事例は平17・12・6型。まず問題提起。親権者の連れ去りに、224条の構成要件該当性が認められるか。次に規範。保護法益は二元、本人同意でも監護権侵害で構成要件該当。最後にあてはめ。甲は、母の監護権を同意なく侵害して連れ去った。そのうえで違法性阻却を別途検討するが、本件では否定される。

今日の地図(保存版)

#48 今日のまとめ。略取・誘拐=人を生活環境から離脱させ、事実的支配下に移す罪(略取=暴行脅迫/誘拐=欺罔誘惑)。全体=行為×目的のマトリクス。無目的224→営利等225→身代金225の2→国外移送226→人身売買226の2。🔴核①=保護法益は本人の自由+監護権の二元。本人が同意しても監護権侵害で成立(最決平17・12・6)。客体「未成年者」=18歳未満(民4)。224は目的不要の基本類型。核②=目的犯の段階的加重(225の4目的/225の2「憂慮する者」最決昭62・3・24)。🔴核③=解放減軽(228の2)=225の2・227②④を犯した者が公訴提起前に安全な場所へ解放→必要的減軽。次回#49=性的自由に対する罪。

まとめます。略取・誘拐は、人を生活環境から引き離して支配下に移す罪。略取は暴行脅迫、誘拐は欺罔誘惑。全体は行為×目的のマトリクスでした。核①、保護法益は本人の自由と監護権の二元。客体の未成年者は18歳未満。224は目的不要の基本類型。核②、目的犯の段階的加重。225の2の「憂慮する者」は特殊関係者。公訴提起前に安全な場所へ解放すれば、必要的減軽。第10章のつづき、性的自由に対する罪へ進みます。

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