刑法 ゼロから刑法#64

盗品等に関する罪——追求権説/客体の3類型/行為5類型〔論証54〕・故意〔論証55〕・本犯の共犯と併合罪・親族特例257〔論証56〕(256・257)

⬇ 印刷用PDF

第12章 財産に対する罪 ⑯/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。

総説①——保護法益=追求権説 〔短答・論文〕

1-a. 🔴 総説①=保護法益は追求権(追求権説)。本罪の保護法益=財産犯の被害者が被害財物に対して有する回復請求権=追求権(判例・通説。大判大11・7・12、最決昭34・2・9)。被害者は盗まれた物を取り戻す権利を持っており、本罪はこの追求権の行使を困難にする行為を処罰する。🔴 これが本罪の全論点を貫く軸=①客体論も「追求権が残っているか」で決まる/②論証54(被害者のもとへの運搬)も「追求権侵害があるか」で決まる/③親族特例257の趣旨(後述)にもつながる。★軸=保護法益=被害者の回復請求権(追求権)。この一本を据えれば、あとの論点は当てはめで解ける。

総説の一つ目。保護法益です。被害者が、盗まれた物を取り戻す権利。本罪は、この追求権の行使を、困難にする罪。判例・通説が、この追求権説です。そして、ここが大事。これが軸なんです。客体も、論証54も、親族特例も。だから、ここだけは絶対に、外さないでください。

総説②——事後従犯的性格 〔短答〕

1-b. 総説②=事後従犯的性格。本罪の行為は、本犯者による盗品の保持・換金を事後的に援助する性質をもつ=事後従犯的性格。ただし、本罪が問題となる場面では本犯者の実行行為はすでに終了している=🔴共犯(従犯)そのものにはならない(共犯は実行行為の終了前の関与だから)。あくまで「事後従犯的"性格"」であって、従犯ではない点が肝。この性格が、後の論点の伏線になる=①有償処分あっせん罪の成立時期(あっせん行為時に成立)/②親族特例257の趣旨(期待可能性の減少)。★軸=本犯を事後的に援助する性質だが、実行終了後ゆえ共犯そのものではない。

総説の二つ目。事後従犯的性格です。本犯者の盗品の保持や、換金を、助ける性質。だから「事後」従犯的、というんです。いい疑問。でも、共犯には、ならないんです。共犯は、実行行為が終わる前の関与でしょう。本罪は、実行が終わった後の関与。あくまで、事後従犯的「性格」。性格止まり。この性格が、後で2回、効いてきます。あっせん罪の成立時期と、親族特例の趣旨。

256条——盗品譲受け等の罪 全文カード 〔短答・論文〕

🔴 約束③ 条文全文|刑法256条(盗品譲受け等)。1項「盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、三年以下の拘禁刑に処する。」2項「前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、十年以下の拘禁刑及び五十万円以下の罰金に処する。」🔴 1項=無償譲受けのみ(3年以下)/2項=運搬・保管・有償譲受け・有償処分あっせんの4類型(10年以下+罰金)=関与度の重い行為が2項で重く処罰される。🔴 法定刑は拘禁刑。e-Gov現行(140AC0000000045)と一字一致。★軸=客体の定義(1項前段)+行為5類型(1項・2項)が、この1条に全部書いてある。

ここで、条文を全文で出します。256条。1項。盗品その他、財産に対する罪に当たる行為。それを、無償で譲り受けた者は。懲役じゃなくて、拘禁刑。覚え直しを。古い表記です。今は、拘禁刑が正しい。運搬し、保管し、有償で譲り受け、有償処分あっせん。これらは、十年以下の拘禁刑、及び罰金。無償でもらうより、運んだり売ったりは関与が重い。この1条に、客体の定義も、行為5類型も全部入ってる。

客体——「盗品等」+追求権を喪失する3類型 〔短答・論文〕

2. 🔴 客体=盗品等/追求権を喪失する3類型。客体=256条1項前段の「盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物」=講学上盗品等。盗品(窃盗品)に限らず詐取物・横領物等も含むゆえ「盗品"等"」。🔴 本犯(財産犯)は構成要件該当・違法で足り、有責は不要(大判明44・12・18)=本犯者が責任無能力でも本罪は成立する。そして、追求権を喪失すると客体性が消える3類型=①同一性喪失(例:窃取した金銭を他の金銭と混和し同一性を欠いた→追求権も消える)/②善意取得(民192で第三者が善意無過失取得→追求権喪失。🔴ただし盗品・遺失物は民193で盗難・遺失の時から2年間は追求可=なお客体・最決昭34・2・9)/③不法原因給付(本犯の構成要件該当性が否定される場合は客体でない・#59/#61で既出=結論のみ)。★軸=追求権が残っていれば客体/消えれば客体でない。

二つ目のテーマ、客体です。何が「盗品等」か。盗品に、限りません。詐取物も、横領物も含む。財産犯で、領得された物、ぜんぶ。いい質問。それでも、本罪は成立します。本犯は、構成要件該当と違法で足りる。有責は不要。さて、ここからが本番。3類型です。消えると、客体じゃなくなる。一つ目、同一性喪失。盗んだ現金を、他の金と混ぜて、見分けがつかなくなった。追求権も、消えます。二つ目、善意取得。善意無過失で買った第三者は、所有権を取得。ただし、例外。盗品と遺失物は、2年間は取り戻せる。三つ目、不法原因給付。これは結論だけ。深掘りはしません。全部、追求権で判断。

行為(5類型)——256条が定める5つの関与 〔短答〕

3. 🔴 行為5類型。256条が処罰する関与は5つ。①無償譲受け(1項)=無償で交付を受け取得/②運搬(2項)=委託を受けて盗品等を場所的に移転(有償・無償問わず)/③保管(2項)=委託を受けて盗品等を保管/④有償譲受け(2項)=有償で取得(買い受け)/⑤有償処分あっせん(2項)=盗品等の処分(売買・買入れ等)を仲介。🔴 あっせんのポイント="処分が有償"なら成立し、あっせん行為自体の有償・無償は不問(タダで引き取る人を紹介=あっせん非該当/有償で売れる先を紹介=紹介料の有無を問わずあっせん該当)。🔴 有償処分あっせん罪の成立時期=あっせん行為の時に成立(契約成立・盗品移転は不要・最判昭26・1・30=事後従犯的性格の帰結)。★軸=1項は無償譲受けだけ・残り4つは2項(重い)。

三つ目のテーマ、行為。5つの類型です。一つ、無償譲受け。タダでもらう。これだけ1項。二つ、運搬。委託を受けて、場所を移す。三つ、保管。預かる。四つ、有償譲受け。買い受ける。有償処分あっせん。売買などの、仲介です。ポイントは一つ。“処分が”有償なら、成立。タダで引き取る人の紹介は、あっせんに当たらない。紹介料をもらわなくても、あっせんに当たります。もう一つ。あっせんは、いつ成立すると思いますか。違うんです。あっせん行為をした、その時に成立。最判昭和26・1・30。事後従犯的性格の、帰結です。

論証54——被害者のもとへの運搬は運搬罪か 〔論文の骨格〕

🔴 行為の論点〔論証54〕=被害者のもとへの運搬。設例=Aが、盗品の返還を条件にXから金員を得る目的で、盗品をX(被害者)宅へ運搬した。盗品が被害者のもとへ戻る方向の運搬でも、運搬罪は成立するか?【否定説(有力)】被害者のもとへの運搬は、むしろ追求権の実現に資するから、追求権侵害がなく不成立。【肯定説(判例・最決昭27・7・10)】返還を口実に金員を得る目的の運搬は、本犯の利益のために盗品の正常な回復を困難にしたといえるから、運搬罪が成立する。🔴 試験はどちらの立場でも可。ただし軸(追求権侵害の有無)から論じることが必須。★軸=形式的に被害者方向でも、正常な回復を妨げる運搬は追求権侵害=運搬罪(判例)。

行為の、論点です。論証54。設例。Aが、盗品をX宅へ運びました。ただし、返還を条件に、Xから金を得る目的で。ここで疑問。被害者のもとへ運ぶのに、運搬罪?それが、否定説。被害者方向なら、追求権侵害がない。でも、判例は、肯定します。返還を口実に金を取る目的の運搬は。そこです。タダで返すんじゃなく、金と引き換え。だから、追求権侵害があると見て、運搬罪成立。試験は、どちらでも可。軸さえ外さなければ、結論はどっちでもいい。

📝 論文の型

★コア規範|盗品等運搬罪と被害者のもとへの運搬(tohin_unpan)。「盗品等運搬罪の保護法益は被害者の追求権であるところ、盗品の返還を条件に被害者から金員を得る目的のもとで盗品を被害者宅へ運搬した場合は、本犯の利益のために盗品の正常な回復を困難にしたといえるから、盗品等運搬罪(256条2項)が成立する(最決昭27・7・10)」。逐語固定は太字(盗品の正常な回復を困難にした/成立する)のみ・あとは趣旨から復元。※否定説(被害者方向は追求権侵害なし)に立ってもよい。復元キー=①保護法益=追求権→②被害者のもとへの運搬は一見追求権侵害がない→③しかし返還を口実に金員を得る目的の運搬は正常な回復を困難にし追求権の実現を妨げる→④ゆえに運搬罪成立(肯定説)。プレースホルダ=tohin_unpan_kihan.png(compose_ronsho/visual-director が作成)。

論文の型です。論証54。逐語は、どこを覚える?盗品の正常な回復を困難にした、と、成立する。①保護法益は、追求権。③でも、金と引き換えの運搬は、正常な回復を妨げる。この四ステップで、組み立てます。その場合は、③で侵害なしと評価して、不成立に。

答案の型|被害者のもとへの運搬(tohin_unpan)。【事例】Aは、盗品の返還を条件にX(被害者)から金員を得る目的で、その盗品をX宅へ運搬した。Aに盗品等運搬罪が成立するか。【問題提起】盗品が被害者のもとへ戻る方向の運搬であっても、運搬罪の保護法益である追求権の侵害が認められるか。【規範】盗品等運搬罪の保護法益は追求権であり、返還を条件に被害者から金員を得る目的の運搬は、本犯の利益のため盗品の正常な回復を困難にするから、追求権を侵害し運搬罪が成立する。【あてはめ】Aの運搬は、Xに盗品を戻すように見えるが、金員と引き換えという条件付きであり、Xの正常な回復を困難にしている。よって追求権侵害が認められ、盗品等運搬罪が成立する。

答案の型です。設例は、さっきのX宅への運搬。被害者方向でも、追求権の侵害が、認められるか。あてはめは、条件付きという点を突く。だから、正常な回復を、困難にしてる。

故意——盗品等の認識は未必で足りる 〔短答・論文〕

4. 故意=盗品等の認識(未必で足りる)。本罪は故意犯ゆえ、客体が盗品等であることの認識が必要。ただしその認識は🔴未必的なもので足りる(最判昭23・3・16)=「盗品かもしれない」と思いつつ引き受ければ故意あり。確定的に「これは盗品だ」と知っている必要はない。これが次の論証55(途中で盗品と知った場合)の前提になる。★軸=盗品等の認識は未必で足りる=「かもしれない」で故意あり。

四つ目のテーマ、故意です。ただ、その認識の程度が、ゆるいんです。未必で、足りる。盗品かもしれない、で十分。最判昭和23・3・16。これが、次の論証55の、前提になります。

論証55——保管の途中で盗品と知った場合 〔論文の骨格〕

🔴 故意の論点〔論証55〕=保管と途中知情。設例=Aは、委託を受けて物を保管し始めた時点では善意(盗品と知らず)、保管の途中で盗品だと知り、それでも保管を継続した。Aに盗品等保管罪が成立するか?【否定説(有力)】保管罪の本質は占有移転にあり、占有移転時(保管開始時)に故意が必要だから、途中知情後の継続では不成立。【肯定説(判例・最決昭50・6・12)】事情を知った以後の保管も、盗品等の発覚を防止し本犯者の処分を容易にする行為であり追求権を侵害するから、🔴知情後は盗品等保管罪が成立する。★軸=知った後も預かり続けることが、新たに追求権を侵害する=知情以後は保管罪。

故意の、論点です。論証55。設例。Aは、物を預かり始めた時は、善意。でも途中で、盗品だと気づいた。それでも、預かり続けたんです。さて、保管罪は、成立するでしょうか。それが、否定説。占有移転の時に、故意が要る、と。でも、判例は、肯定します。知った後も、預かり続けてるでしょう。それは、発覚を防いで、本犯者の処分を、容易にしてる。だから、知った以後は、保管罪が成立。軸は同じ。知った後の保管が、追求権侵害。

論文の型:保管と途中知情(論証55) 〔論文〕

★コア規範|盗品等保管罪と途中知情(tohin_tochi)。「盗品等保管罪の保護法益は追求権であるところ、保管開始後に盗品等であることを知り保管を継続した場合、知情後の保管も盗品等の発覚を防止し本犯者の処分を容易にする行為であって追求権を侵害するから、事情を知った以後は盗品等保管罪(256条2項)が成立する(最決昭50・6・12)」。逐語固定は太字(発覚を防止し本犯者の処分を容易にする/事情を知った以後は盗品等保管罪が成立する)のみ・あとは趣旨から復元。復元キー=①保護法益=追求権→②否定説は占有移転時に故意必要とするが→③知情後の保管継続も発覚防止・処分容易化で追求権を侵害し続ける→④事後従犯的性格にも合致→⑤ゆえに知情以後は保管罪成立。プレースホルダ=tohin_tochi_kihan.png(compose_ronsho/visual-director が作成)。

論文の型です。論証55。逐語は。発覚を防止し本犯者の処分を容易にする。あとは、趣旨から復元。②否定説は、占有移転時に故意が要る、と言うけど。④事後従犯的性格にも、合う。この五ステップです。

答案の型|保管と途中知情(tohin_tochi)。【事例】Aは、委託を受けて物の保管を開始した時点では盗品と知らなかったが、途中で盗品と知り、なお保管を継続した。Aに盗品等保管罪が成立するか。【問題提起】保管開始時に故意がなく、途中から故意を生じた場合に、盗品等保管罪が成立するかが問題となる。【規範】盗品等保管罪の保護法益は追求権であり、知情後の保管も盗品等の発覚を防止し本犯者の処分を容易にして追求権を侵害するから、事情を知った以後は盗品等保管罪が成立する。【あてはめ】Aは盗品と知った後も保管を継続しており、これは盗品の発覚を防止し本犯者の処分を容易にするものである。よって、知情後の保管につき盗品等保管罪が成立する。

答案の型です。設例は、途中知情の保管。開始時に故意がなく、途中から故意を生じた場合。あてはめは、知った後も継続した点を突く。よって、知情後の保管に、保管罪成立。

他罪との関係・罪数——詐欺/恐喝/本犯の共犯と併合罪 〔短答〕

5. 🔴 他罪との関係・罪数。(ア)詐欺=有償処分あっせんをした者が、情を知らない相手方から代金を受領しても、それはあっせんの当然の行為だから詐欺は成立しない(判例・通説)。(イ)恐喝=盗品の所持者を恐喝して交付を受けた場合は、盗品等譲受罪と恐喝罪が観念的競合(判例・通説)。(ウ)本犯者自身=本犯者が盗品の保管等をしても、不可罰的事後行為で本罪は成立しない(主体外)。(エ)🔴🔴本犯の教唆犯・幇助犯と本罪=併合罪(最判昭24・7・30)。例=AがBに窃盗を教唆し、後日AがBから盗品を買い受けた→Aには窃盗教唆+盗品等有償譲受罪が成立し、両者は牽連犯ではなく併合罪。★軸=(エ)が短答の山=本犯の共犯と本罪は牽連犯でなく併合罪。

五つ目のテーマ、他罪と罪数です。4つ。まず詐欺。あっせんで、情を知らない相手から代金受領。ならないんです。あっせんの、当然の行為だから。次、恐喝。盗品の所持者を、恐喝して取った。盗品等譲受罪と、恐喝罪の、観念的競合。三つ目。本犯者自身が、保管したら。そして四つ目。これが、短答の山です。本犯の教唆犯・幇助犯と、本罪の関係。AがBに、窃盗を教唆。後日、AがBから盗品を買った。その二つの、関係は。そこが、引っかけ。牽連犯じゃ、ないんです。併合罪です。最判昭和24・7・30。ここは理屈より、結論を丸暗記。併合罪。

257条——親族等の間の特例 全文カード 〔短答・論文〕

🔴 約束③ 条文全文|刑法257条(親族等の間の犯罪に関する特例)。1項「配偶者との間又は直系血族、同居の親族若しくはこれらの者の配偶者との間で前条の罪を犯した者は、その刑を免除する。」2項「前項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。」🔴 効果=一定の親族間で本罪(前条=256条)を犯した者は刑を免除(必要的免除)。2項=親族でない共犯には不適用。🔴 2項は「親族でない共犯」="者"を付けない。免除規定ゆえ刑期語はない。★軸=親族間なら刑の免除/ただし親族でない共犯には及ばない。

最後のテーマの前に、条文を。257条。1項。配偶者との間、直系血族、同居の親族。前条の罪、つまり256条を犯した者は。必要的免除です。「できる」じゃなくて「する」。2項。親族でない共犯には、適用しない。そこ、大事。基礎本は「共犯者」だけど、誤り。e-Gov現行と、一字一致で。では、なぜ免除されるのか、中身へ。

親族間の特例(257)——趣旨と論証56 〔短答・論文〕

6. 🔴 親族特例257の趣旨/論証56。趣旨=盗品等罪の事後従犯的性格ゆえ、本犯者と一定の親族関係にある者が親族の情から本罪を犯した場合は、🔴期待可能性の減少=責任の減少が認められる(責任減少型。244条の親族相盗例=政策的処罰阻却とは性質が異なる)。〔論証56〕適用範囲=本条が適用されるには誰と誰の間に親族関係が必要か?【判例・通説(最決昭38・11・8)】257条の趣旨は関与者の期待可能性の減少にあるから、🔴本犯者と盗品等関与者との間に親族関係があれば足り、かつそれで足りる(被害者との親族関係は不要)。★軸=257は「本犯者⇄関与者」を見る/趣旨は期待可能性の減少(責任減少)。

最後のテーマ。親族の特例257です。思い出してください。事後従犯的性格。本犯者と、親族関係にある人が。本罪を犯した。それを、強く責められますか。期待可能性が、減る。責任が、減る。ここで論点。誰と誰の、親族関係が要るか。本犯者と、関与者か。それとも、被害者も絡むのか。続けて。本犯者の情。だから。被害者との関係は、要りません。257は、本犯者と関与者を、見る。

論文の型:親族特例の範囲(論証56) 〔論文〕

★コア規範|親族特例257の適用範囲(tohin_shinzoku)。「257条の趣旨は、盗品等罪の事後従犯的性格ゆえ、親族の情から本罪を犯した関与者の期待可能性の減少(責任の減少)にあるから、本条の適用には本犯者と盗品等関与者との間に親族関係があれば足り、かつそれで足りる(被害者との親族関係は不要。最決昭38・11・8)」。逐語固定は太字(事後従犯的性格/期待可能性の減少/本犯者と盗品等関与者との間に親族関係があれば足り)のみ・あとは趣旨から復元。復元キー=①257の効果=刑の免除→②趣旨=関与者の期待可能性の減少(事後従犯的性格+親族の情)→③減少は関与者と本犯者の間の情から生じる→④ゆえに本犯者⇄関与者の親族関係があれば足り被害者との関係は不問→⑤244(犯人⇄被害者)と関係の向きが異なる。プレースホルダ=tohin_shinzoku_kihan.png(compose_ronsho/visual-director が作成)。

論文の型です。論証56。逐語は。事後従犯的性格、期待可能性の減少。復元キー。①効果は、刑の免除。③その減少は、本犯者との情から生じる。⑤244とは、関係の向きが、逆。

答案の型|親族特例257の範囲(tohin_shinzoku)。【事例】関与者Aは、本犯者Bから盗品を譲り受けた。AとBは親族(兄弟)だが、Aは被害者Xとは何の関係もない。Aに257条が適用されるか。【問題提起】257条の適用には、本犯者と関与者の親族関係で足りるか、被害者との親族関係も必要かが問題となる。【規範】257条の趣旨は、関与者が親族の情から本罪を犯した場合の期待可能性の減少にあるから、本犯者と関与者の間に親族関係があれば足り、被害者との親族関係は不要である。【あてはめ】AとBは親族であり、Aは本犯者Bの情から盗品を譲り受けたといえる。被害者Xとの関係は不要であるから、Aには257条が適用され、その刑は免除される。

答案の型です。AとBが兄弟、Xとは無関係。本犯者と関与者で足りるか、被害者も要るか。あてはめは、AとBが親族、という点。被害者Xとの関係は、不要。

244 親族相盗例 vs 257 親族特例 対比表 〔短答・論文〕

🔴🔴 244 親族相盗例 vs 257 親族特例 対比表(最重要対比)。行=244(窃盗等)/257(盗品等)。列=「親族関係の向き」「趣旨」「効果」。244=親族関係は🔴犯人⇄被害者(占有者・本権者との関係)/趣旨=「法は家庭に入らず」=政策的処罰阻却/効果=刑の免除等(一定範囲)。257=親族関係は🔴本犯者⇄関与者(被害者との関係は不問)/趣旨=期待可能性の減少(責任減少)/効果=刑の免除。🔴 違いの核=関係の「向き」が逆=244は被害者を見る/257は本犯者を見る。同じ「親族なら刑を免除」でも、誰と誰の関係を見るかが正反対。★軸=244=犯人⇄被害者・政策/257=本犯者⇄関与者・責任減少。

ここで、最重要の対比を、表で。どちらも「親族なら刑を免除」ですが。そこが狙い目。決定的に違うのは、関係の向き。244は、誰と誰の親族関係を、見ますか。犯人⇄被害者。趣旨は、法は家庭に入らず。じゃあ257は。被害者との関係は、不問。趣旨は。同じ「親族なら免除」でも、向きが正反対。そこを、この一枚で、押さえてください。

短答ひっかけ

ここはひっかかる(盗品等に関する罪のまとめ)。①🔴保護法益=追求権(全論点の軸・大判大11・7・12/最決昭34・2・9)/事後従犯的性格(共犯そのものではない)。②客体=盗品等(詐取物・横領物も含む/本犯は有責不要・大判明44・12・18)・追求権喪失3類型(同一性喪失/善意取得〔民193で2年なお客体〕/不法原因給付)。③行為5類型(無償譲受け=1項/運搬・保管・有償譲受け・有償処分あっせん=2項/あっせんは処分が有償なら成立・あっせん行為時に成立)+〔論証54〕被害者のもとへの運搬は正常な回復を困難にし運搬罪成立(最決昭27・7・10)。④故意=未必で足る(最判昭23・3・16)+〔論証55〕知情後の保管も追求権侵害で保管罪成立(最決昭50・6・12)。⑤🔴他罪=詐欺不成立/恐喝は観念的競合/本犯の共犯と本罪=併合罪(牽連犯でない・最判昭24・7・30)。⑥🔴親族特例257=刑の免除(期待可能性の減少)+〔論証56〕本犯者⇄関与者で足りる(最決昭38・11・8)+244は犯人⇄被害者で向きが逆。★全体の軸=すべては追求権/併合罪と244対比だけは丸暗記。

整理します。①保護法益は、追求権。②客体は、盗品等。3類型で消える。③行為は、5類型。論証54。④故意は、未必で足る。論証55。⑤他罪。本犯の共犯と本罪は。⑥親族特例257。向きが、逆でしたね。これで、盗品等が、完結です。

今日の地図(保存版)

#64 盗品等に関する罪 まとめ。登場人物は3人=被害者X・本犯者B・関与者A。処罰されるのは③関与者A(本犯者Bは主体外)。①🔴保護法益=追求権(全論点の軸)・事後従犯的性格。②客体=盗品等(詐取物・横領物も含む・本犯は有責不要)・追求権喪失3類型。③行為5類型(無償譲受け=1項/運搬・保管・有償譲受け・有償処分あっせん=2項)+論証54(被害者のもとへの運搬=正常な回復を困難にし運搬罪成立・最決昭27・7・10)。④故意=未必で足る(最判昭23・3・16)+論証55(知情後の保管も成立・最決昭50・6・12)。⑤🔴他罪=詐欺不成立/恐喝は観念的競合/本犯の共犯と本罪=併合罪(牽連犯でない・最判昭24・7・30)。⑥🔴親族特例257=刑の免除(期待可能性の減少)+論証56(本犯者⇄関与者で足りる・最決昭38・11・8)+244対比(244は犯人⇄被害者・向きが逆)。→次回#65=毀棄・隠匿の罪(258〜264)で、第12章 財産に対する罪を締めます。

まとめます。盗品等は、登場人物が3人。①保護法益は、追求権。事後従犯的性格。③行為は5類型。論証54。⑤他罪。本犯の共犯と本罪は、併合罪。⑥親族特例257。本犯者と関与者で足りる。これで、盗品等に関する罪が、完結です。残りは、あと一つ。毀棄・隠匿の罪、258条からです。それで、長い財産罪の章が、締めくくり。お会いしましょう。

刑法 全体ロードマップへ →