盗品等に関する罪——追求権説/客体の3類型/行為5類型〔論証54〕・故意〔論証55〕・本犯の共犯と併合罪・親族特例257〔論証56〕(256・257)
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第12章 財産に対する罪 ⑯/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。
総説①——保護法益=追求権説 〔短答・論文〕

総説の一つ目。保護法益です。被害者が、盗まれた物を取り戻す権利。本罪は、この追求権の行使を、困難にする罪。判例・通説が、この追求権説です。そして、ここが大事。これが軸なんです。客体も、論証54も、親族特例も。だから、ここだけは絶対に、外さないでください。
総説②——事後従犯的性格 〔短答〕

総説の二つ目。事後従犯的性格です。本犯者の盗品の保持や、換金を、助ける性質。だから「事後」従犯的、というんです。いい疑問。でも、共犯には、ならないんです。共犯は、実行行為が終わる前の関与でしょう。本罪は、実行が終わった後の関与。あくまで、事後従犯的「性格」。性格止まり。この性格が、後で2回、効いてきます。あっせん罪の成立時期と、親族特例の趣旨。
256条——盗品譲受け等の罪 全文カード 〔短答・論文〕

ここで、条文を全文で出します。256条。1項。盗品その他、財産に対する罪に当たる行為。それを、無償で譲り受けた者は。懲役じゃなくて、拘禁刑。覚え直しを。古い表記です。今は、拘禁刑が正しい。運搬し、保管し、有償で譲り受け、有償処分あっせん。これらは、十年以下の拘禁刑、及び罰金。無償でもらうより、運んだり売ったりは関与が重い。この1条に、客体の定義も、行為5類型も全部入ってる。
客体——「盗品等」+追求権を喪失する3類型 〔短答・論文〕

二つ目のテーマ、客体です。何が「盗品等」か。盗品に、限りません。詐取物も、横領物も含む。財産犯で、領得された物、ぜんぶ。いい質問。それでも、本罪は成立します。本犯は、構成要件該当と違法で足りる。有責は不要。さて、ここからが本番。3類型です。消えると、客体じゃなくなる。一つ目、同一性喪失。盗んだ現金を、他の金と混ぜて、見分けがつかなくなった。追求権も、消えます。二つ目、善意取得。善意無過失で買った第三者は、所有権を取得。ただし、例外。盗品と遺失物は、2年間は取り戻せる。三つ目、不法原因給付。これは結論だけ。深掘りはしません。全部、追求権で判断。
行為(5類型)——256条が定める5つの関与 〔短答〕

三つ目のテーマ、行為。5つの類型です。一つ、無償譲受け。タダでもらう。これだけ1項。二つ、運搬。委託を受けて、場所を移す。三つ、保管。預かる。四つ、有償譲受け。買い受ける。有償処分あっせん。売買などの、仲介です。ポイントは一つ。“処分が”有償なら、成立。タダで引き取る人の紹介は、あっせんに当たらない。紹介料をもらわなくても、あっせんに当たります。もう一つ。あっせんは、いつ成立すると思いますか。違うんです。あっせん行為をした、その時に成立。最判昭和26・1・30。事後従犯的性格の、帰結です。
論証54——被害者のもとへの運搬は運搬罪か 〔論文の骨格〕

行為の、論点です。論証54。設例。Aが、盗品をX宅へ運びました。ただし、返還を条件に、Xから金を得る目的で。ここで疑問。被害者のもとへ運ぶのに、運搬罪?それが、否定説。被害者方向なら、追求権侵害がない。でも、判例は、肯定します。返還を口実に金を取る目的の運搬は。そこです。タダで返すんじゃなく、金と引き換え。だから、追求権侵害があると見て、運搬罪成立。試験は、どちらでも可。軸さえ外さなければ、結論はどっちでもいい。
📝 論文の型

論文の型です。論証54。逐語は、どこを覚える?盗品の正常な回復を困難にした、と、成立する。①保護法益は、追求権。③でも、金と引き換えの運搬は、正常な回復を妨げる。この四ステップで、組み立てます。その場合は、③で侵害なしと評価して、不成立に。

答案の型です。設例は、さっきのX宅への運搬。被害者方向でも、追求権の侵害が、認められるか。あてはめは、条件付きという点を突く。だから、正常な回復を、困難にしてる。
故意——盗品等の認識は未必で足りる 〔短答・論文〕

四つ目のテーマ、故意です。ただ、その認識の程度が、ゆるいんです。未必で、足りる。盗品かもしれない、で十分。最判昭和23・3・16。これが、次の論証55の、前提になります。
論証55——保管の途中で盗品と知った場合 〔論文の骨格〕

故意の、論点です。論証55。設例。Aは、物を預かり始めた時は、善意。でも途中で、盗品だと気づいた。それでも、預かり続けたんです。さて、保管罪は、成立するでしょうか。それが、否定説。占有移転の時に、故意が要る、と。でも、判例は、肯定します。知った後も、預かり続けてるでしょう。それは、発覚を防いで、本犯者の処分を、容易にしてる。だから、知った以後は、保管罪が成立。軸は同じ。知った後の保管が、追求権侵害。
論文の型:保管と途中知情(論証55) 〔論文〕

論文の型です。論証55。逐語は。発覚を防止し本犯者の処分を容易にする。あとは、趣旨から復元。②否定説は、占有移転時に故意が要る、と言うけど。④事後従犯的性格にも、合う。この五ステップです。

答案の型です。設例は、途中知情の保管。開始時に故意がなく、途中から故意を生じた場合。あてはめは、知った後も継続した点を突く。よって、知情後の保管に、保管罪成立。
他罪との関係・罪数——詐欺/恐喝/本犯の共犯と併合罪 〔短答〕

五つ目のテーマ、他罪と罪数です。4つ。まず詐欺。あっせんで、情を知らない相手から代金受領。ならないんです。あっせんの、当然の行為だから。次、恐喝。盗品の所持者を、恐喝して取った。盗品等譲受罪と、恐喝罪の、観念的競合。三つ目。本犯者自身が、保管したら。そして四つ目。これが、短答の山です。本犯の教唆犯・幇助犯と、本罪の関係。AがBに、窃盗を教唆。後日、AがBから盗品を買った。その二つの、関係は。そこが、引っかけ。牽連犯じゃ、ないんです。併合罪です。最判昭和24・7・30。ここは理屈より、結論を丸暗記。併合罪。
257条——親族等の間の特例 全文カード 〔短答・論文〕

最後のテーマの前に、条文を。257条。1項。配偶者との間、直系血族、同居の親族。前条の罪、つまり256条を犯した者は。必要的免除です。「できる」じゃなくて「する」。2項。親族でない共犯には、適用しない。そこ、大事。基礎本は「共犯者」だけど、誤り。e-Gov現行と、一字一致で。では、なぜ免除されるのか、中身へ。
親族間の特例(257)——趣旨と論証56 〔短答・論文〕

最後のテーマ。親族の特例257です。思い出してください。事後従犯的性格。本犯者と、親族関係にある人が。本罪を犯した。それを、強く責められますか。期待可能性が、減る。責任が、減る。ここで論点。誰と誰の、親族関係が要るか。本犯者と、関与者か。それとも、被害者も絡むのか。続けて。本犯者の情。だから。被害者との関係は、要りません。257は、本犯者と関与者を、見る。
論文の型:親族特例の範囲(論証56) 〔論文〕

論文の型です。論証56。逐語は。事後従犯的性格、期待可能性の減少。復元キー。①効果は、刑の免除。③その減少は、本犯者との情から生じる。⑤244とは、関係の向きが、逆。

答案の型です。AとBが兄弟、Xとは無関係。本犯者と関与者で足りるか、被害者も要るか。あてはめは、AとBが親族、という点。被害者Xとの関係は、不要。
244 親族相盗例 vs 257 親族特例 対比表 〔短答・論文〕

ここで、最重要の対比を、表で。どちらも「親族なら刑を免除」ですが。そこが狙い目。決定的に違うのは、関係の向き。244は、誰と誰の親族関係を、見ますか。犯人⇄被害者。趣旨は、法は家庭に入らず。じゃあ257は。被害者との関係は、不問。趣旨は。同じ「親族なら免除」でも、向きが正反対。そこを、この一枚で、押さえてください。
短答ひっかけ

整理します。①保護法益は、追求権。②客体は、盗品等。3類型で消える。③行為は、5類型。論証54。④故意は、未必で足る。論証55。⑤他罪。本犯の共犯と本罪は。⑥親族特例257。向きが、逆でしたね。これで、盗品等が、完結です。
今日の地図(保存版)

まとめます。盗品等は、登場人物が3人。①保護法益は、追求権。事後従犯的性格。③行為は5類型。論証54。⑤他罪。本犯の共犯と本罪は、併合罪。⑥親族特例257。本犯者と関与者で足りる。これで、盗品等に関する罪が、完結です。残りは、あと一つ。毀棄・隠匿の罪、258条からです。それで、長い財産罪の章が、締めくくり。お会いしましょう。