刑法 ゼロから刑法#65

毀棄・隠匿の罪——「効用侵害説」という一本の軸/258-261の客体棲み分け/親告罪は259・261・263だけ〔kiki_sonkai〕

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第12章 財産に対する罪 ⑰/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。

総説——領得罪との対比/なぜ法定刑が軽いか 〔短答〕

0. 総説=領得罪との対比。窃盗・詐欺・横領・盗品等は、物を自分のものにする=🔴領得罪(利欲犯)。これに対し毀棄・損壊の罪は、物を領得せず効用を害するだけ=🔴不法領得の意思を欠く。利得を目的としない分、行為者の利欲性がなく、非難が類型的に軽い。だから法定刑が他の財産犯より軽め(窃盗235「10年以下の拘禁刑」↔器物損壊261「3年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金若しくは科料」)。財産犯の最後に置かれ手薄になりがちだが、🔴261器物損壊が原則的規定として試験では最重要。なお「不法領得の意思」「利用処分意思」自体は#54窃盗①で扱った=ここでは対比でのみ触れる。★軸=領得しない=不法領得の意思を欠く=だから軽い。本罪の処罰根拠は、物の効用の侵害。

総説です。まず、なぜ法定刑が軽いのか。窃盗や詐欺は、物を自分のものにする。これを、領得罪といいます。でも本罪は。自分の得にはならない。利得目的が、ない。だから、非難が類型的に、軽い。法定刑も軽め。同じ財産犯でも、こんなに違う。#54窃盗①で。ここでは、対比だけ。深掘りはしません。そして手薄になりがちですが。特に261器物損壊が、原則的規定で最重要。後で厚くやります。

「損壊」「毀棄」の意義——効用侵害説 〔論文の骨格〕

1. 🔴 中核|「損壊」「毀棄」の意義=効用侵害説。条文の「損壊」「毀棄」をどう解するか。🔴効用侵害説(通説・判例)=物理的に損壊する場合に限らず、物の効用を害する一切の行為をいう。物理的破壊だけでなく、①汚損(皿に汚物・落書き)/②隠匿(隠す)/③心理的に使用不能にする行為も「損壊」に含む。↔🔴物理的毀損説(少数説)=「損壊」は物の物理的損壊に限り、隠匿は含まない。🔴 この定義は確実に暗記(「この定義はしっかり覚えておいてほしい」)。そして、この対立は後の信書隠匿罪(263)の存在意義に直結する(論点8の伏線)=効用侵害説に立つと隠匿も「損壊」に含まれ本来261に当たるはずなのに、263がそれを軽く処罰する意味が問われる。★軸=物理的に壊れていなくても、効用を害せば「損壊」(効用侵害説)。隠匿も含む。

損壊・毀棄の、意味。それが、物理的に壊すだけ、じゃないんです。効用侵害説。物の効用を害する、一切の行為。物理的に割らなくても、効用を害せば「損壊」。お皿に、汚物をかける。割れてはいないけど。効用を、害してる。だから「損壊」。落書きも、隠すのも、同じ。効用を害せば損壊。そこが、効用侵害説の、肝です。隠匿も含む。物理的毀損説。損壊は、物理的に壊すことに限る、と。少数説です。判例・通説は、効用侵害説。絶対に。そして、この説の対立が、後で263で効いてきます。

258条——公用文書等毀棄罪 全文カード 〔短答〕

🔴 約束③ 条文全文|刑法258条(公用文書等毀棄)。「公務所の用に供する文書又は電磁的記録を毀棄した者は、三月以上七年以下の拘禁刑に処する。」🔴 客体=公用文書=公務所が事務処理上保管・使用する文書なら、公文書・私文書を問わず全て客体(公務員が作った文書に限らない/私人が作って役所に提出・保管された文書も含む)。🔴 文書偽造罪(155等)の「公文書」と混同しない=偽造罪の公文書は「公務所・公務員が作成する文書」(作成主体で画する)/本罪の公用文書は「公務所が用に供する文書」(用途・保管で画する)=視点が違う。法定刑は他の毀棄罪より重い(公務の保護)。非親告罪(264の列挙外)。🔴 法定刑は拘禁刑。e-Gov現行(140AC0000000045)と一字一致。★軸=「公務所が使う文書」なら公私問わず客体/作る人で決める偽造罪の公文書とは別。

では、条文を全文で。258条、公用文書毀棄。公務所の用に供する、文書又は電磁的記録。三月以上、七年以下の拘禁刑。公務を守るからです。さて、客体が、ポイント。そこが、ひっかけ。作った人は、関係ないんです。公務所が、使ったり保管したりする文書なら、全部。役所に提出して、保管されていれば、客体です。「公務所が使うか」で、決まる。いい質問。違います。偽造罪の公文書は。作る人で、決める。でも258は、使う人で決める。ここは混同しやすい。作成主体か、用途か。公務の保護だから。後の対比表で、整理します。

259条——私用文書等毀棄罪 全文カード 〔短答〕

🔴 約束③ 条文全文|刑法259条(私用文書等毀棄)。「権利又は義務に関する他人の文書又は電磁的記録を毀棄した者は、五年以下の拘禁刑に処する。」🔴 客体=私用文書=「権利又は義務に関する」他人の文書(権利・義務の発生・変更・消滅を証する文書)。🔴単なる事実証明に関する文書は含まない=私文書偽造罪(159)が「権利義務文書」+「事実証明文書」の両方を対象とするのに対し、毀棄罪は権利義務文書だけ=偽造罪より客体が狭い。「他人の」=他人の所有に属する文書(自己所有でも262条の対象物なら客体)。親告罪(264)=私的財産に関わるため被害者の意思を尊重。法定刑=拘禁刑(呉「懲役」は旧表記)。e-Gov現行と一字一致。★軸=259は権利義務文書だけ/事実証明文書は含まない(偽造罪より狭い)/親告罪。

次、259条。私用文書毀棄です。権利又は義務に関する、他人の文書。客体が「権利又は義務に関する」文書。権利義務の、発生や消滅を証する文書。単なる事実証明の文書は、含まないんです。履歴書や、推薦状のような、事実を証する文書。原則、そうです。偽造罪と、比べてみてください。159は、権利義務文書も、事実証明文書も。偽造罪より、客体が狭いんです。ここ、短答で問われます。259は、親告罪。259は親告罪、と覚えておいてください。

客体の棲み分け——258公用文書/259私用文書/260建造物/261その他全部 〔短答〕

🔴 客体の棲み分け(258-261)。毀棄・損壊の罪は、客体で4つに分かれる=順に当てはめて消していくと、残り全部が261になる。①258 公用文書=公務所が用に供する文書・電磁的記録(公私問わず)/②259 私用文書=権利義務に関する他人の文書・電磁的記録(事実証明文書は×)/③260 建造物・艦船=他人の建造物・艦船(玄関ドアも含む・後述)/④🔴261 その他の物すべて=前三条に当たらない他人の物の全部(=原則的規定)。考え方=「文書か?→公務所が使う文書なら258/権利義務文書なら259/建造物・艦船なら260/そのどれでもない他人の物は、残らず261」。261が受け皿=だから原則的規定で最重要。★軸=上から客体を消していく/残り全部が261=原則的規定。

ここで、客体の棲み分けを、整理します。考え方は、上から消していく、です。まず、文書か?公務所が使う文書なら、258。権利義務に関する、他人の文書なら、259。建造物や、艦船なら、260。そして、そのどれでもない、他人の物は。261です。前3条に当たらない、他人の物すべて。261が、受け皿なんです。一番大事な条文が、最後の受け皿になってる。この棲み分けが、毀棄罪の、背骨です。

260条——建造物等損壊罪・同致死傷罪 全文カード 〔短答・論文共通〕

🔴 約束③ 条文全文|刑法260条(建造物等損壊及び同致死傷)。「他人の建造物又は艦船を損壊した者は、五年以下の拘禁刑に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。」🔴 客体=他人の建造物・艦船。論点は3つ=①建造物の一体性(建具が建造物の一部か)/②損壊=効用侵害(ビラ・ラッカーも損壊)/③致死傷(後段)=結果的加重犯(「傷害の罪と比較して、重い刑により処断」=致傷は傷害罪204と、致死は傷害致死205と比較して重い刑で処断。処断刑の組立は総論既出=結論のみ)。非親告罪(264の列挙外)。法定刑=拘禁刑(呉「懲役」は旧表記)。e-Gov現行と一字一致。★軸=建造物・艦船/損壊は効用侵害/致死傷は結果的加重犯/非親告罪。

次は260条。建造物損壊と、その致死傷です。他人の建造物、又は艦船を損壊した者。後段に、よって人を死傷させた者は。ここ、論点が3つあります。一つ、何が「建造物」か。二つ、損壊とは。致死傷。結果的加重犯です。順に見ましょう。

建造物の一体性——玄関ドアも建造物(最決平19・3・20) 〔短答・論文共通〕

🔴 260|建造物の一体性(玄関ドア)。問題=ドア・雨戸・畳などの建具が「建造物」の一部にあたるか。一部なら260建造物損壊、そうでなければ261器物損壊=260か261かが分かれる。🔴 判断基準(最決平19・3・20)=建造物への接合の程度および機能上の重要性を総合して判断する。🔴 結論=玄関ドアは、適切な工具で損壊せずに取り外せたとしても、外界との遮断という機能上重要な役割を果たし建物との接合度も高いから、建造物の一部=玄関ドアの損壊は261でなく260建造物損壊罪。↔取り外しが容易で機能も軽微な備品(例:はめ込み式の網戸など)は建造物の一部とはいえず261器物損壊。★軸=接合の程度+機能上の重要性で判断/玄関ドアは建造物(最決平19・3・20)。

一つ目の論点。何が「建造物」か。建物本体は、当然そう。問題は、ドアや雨戸。玄関ドアは、建造物の一部でしょうか。そこが、論点。判例は、こう判断します。接合の程度と、機能上の重要性。この2つで総合判断。どれだけしっかり、くっついているか。その建具が、建物にとってどれだけ重要か。外界を遮断する、重要な役割。接合度も高い。最決平成19・3・20。玄関ドアは、建造物。関係ありません。機能と接合で、判断します。261器物損壊じゃなくて、260建造物損壊。そこが、この論点の、勝負どころです。

損壊=効用侵害——ビラ貼付・ラッカー落書き 〔短答・論文共通〕

🔴 260|損壊=効用侵害(ビラ・ラッカー)。建造物の「損壊」も効用侵害説で判断=物理的破壊に限らない。①ビラ多数貼付(最決昭41・6・10)=建物の壁・窓等に多数のビラを密集して貼り付け、原状回復に相当の費用・労力を要する状態にした=建物の効用を害し「損壊」にあたる。②ラッカー落書き(最決平18・1・17)=公衆便所の外壁にラッカースプレーで「反戦」等と大書し美観を著しく汚損、原状回復に相当の費用・労力を要する=建物の効用を減損し「損壊」にあたる。🔴 いずれも物理的に建物を破壊していないが、美観・利用価値という効用を害した点で損壊=効用侵害説の典型適用。★軸=壁を壊さなくても、効用(美観・利用価値)を害せば「損壊」(最決昭41・6・10/最決平18・1・17)。

二つ目の論点。建造物の「損壊」とは。建造物でも、物理的破壊に限りません。壁に、ビラを大量に、びっしり貼る。でも、はがすのに、相当な手間と費用がかかる。だから「損壊」。最決昭和41・6・10。もう一つ。外壁に、ラッカーで落書き。公衆便所の外壁に、スプレーで大書した事案です。でも、美観を著しく汚損して、原状回復に費用がかかる。最決平成18・1・17。これも、損壊。効用を害すれば、損壊。効用侵害説の、典型です。

致死傷(260後段)——結果的加重犯 〔短答〕

260後段|建造物等損壊致死傷罪=結果的加重犯。建造物・艦船を損壊し、よって人を死傷させた場合=「傷害の罪と比較して、重い刑により処断」。🔴 構造=基本犯(建造物損壊)+重い結果(死傷)の結果的加重犯。処断=致傷なら傷害罪(204)と比較して重い刑で/致死なら傷害致死罪(205)と比較して重い刑で処断する(建造物損壊罪の刑と、傷害・傷害致死の刑とを比べ、重い方の刑で処断)。死傷の結果について故意は不要だが、損壊行為と死傷との間に因果関係が必要(結果的加重犯一般の枠組みは総論既出=ここは当てはめ・処断の仕組みのみ)。★軸=建造物損壊+死傷=結果的加重犯/傷害の罪と比較して重い刑で処断。

三つ目。260の後段、致死傷です。傷害の罪と比較して、重い刑により処断。基本犯が建造物損壊、重い結果が死傷。要りません。結果的加重犯ですから。致傷なら、傷害罪204と比べて、重い方。傷害致死205と比べて、重い方で処断します。重い方の刑で、処断する。処断刑の作り方は、総論でやりました。ここは結論だけ。

261条——器物損壊罪 全文カード 〔短答・論文の骨格〕

🔴 約束③ 条文全文|刑法261条(器物損壊等)。「前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。」🔴 客体=前三条(258公用文書・259私用文書・260建造物・艦船)に当たらない他人の物すべて=毀棄・損壊の罪の原則的規定で、試験対策上最重要。損壊=効用侵害説の典型=物理的破壊に限らず、心理的・事実的に使用不能にする行為も含む。🔴 条文の「傷害」=動物(生き物)を殺傷して効用を害する行為も本罪にあたる(動物傷害罪とよばれる。生物の傷害=物の効用侵害の一態様)。親告罪(264)。法定刑=拘禁刑(呉「懲役」は旧表記)。e-Gov現行と一字一致。★軸=前3条以外の他人の物すべて(原則的規定)/損壊=効用侵害/動物の殺傷も「傷害」/親告罪。

さあ、261条。器物損壊罪です。前三条に規定するもののほか、他人の物。三年以下の拘禁刑、又は三十万円以下の罰金。受け皿、でしたね。だから原則的規定。損壊は、もちろん効用侵害。物理的破壊に限らない。そして、条文に「傷害」って、ありますよね。生き物の話です。動物を殺傷して、効用を害する。それも、261の「傷害」。動物傷害罪、と呼びます。生き物も、財産としては「物」ですからね。259と261と263が、親告罪。後でまとめます。効用侵害説の、論文の型。次でいきます。

📝 論文の型

★コア規範|器物損壊罪における「損壊」の意義(kiki_sonkai)。「『損壊』とは、物理的損壊に限らず、物の効用を害する一切の行為をいう(効用侵害説)。したがって、物理的破壊を伴わなくても、物の本来の効用を害すれば『損壊』にあたる」。逐語固定は太字(物理的損壊に限らず、物の効用を害する一切の行為/効用侵害説)のみ・あとは趣旨から復元。※物理的毀損説(損壊は物理的損壊に限り隠匿を含まない)に立ってもよいが、判例・通説は効用侵害説。復元キー=①毀棄罪は領得罪と異なり物の効用の保護を目的とする→②ゆえに物理的損壊がなくても効用を害せば可罰とすべき→③隠匿・汚損・心理的使用不能も「損壊」に含む→④当該行為が物の本来の効用を害したかを当てはめる。プレースホルダ=kiki_sonkai_kihan.png(compose_ronsho/visual-director が作成)。

論文の型です。効用侵害説。逐語は、どこを覚える?物理的損壊に限らず、物の効用を害する一切の行為。あとは、趣旨から復元します。領得罪と違って、効用を守る罪。効用を害せば、可罰とすべき。④あとは、効用を害したか、当てはめる。物理的毀損説に立っても、いいんですが。そこを、自説に据えるのが、無難です。

答案の型|「損壊」の意義=効用侵害説(kiki_sonkai)。【事例】Xは、Aが日常使用する食器に汚物をかけ、物理的には破損させなかったが、Aがその食器を二度と使えない状態にした。Xに器物損壊罪が成立するか。【問題提起】物理的破壊を伴わない行為が、261条の「損壊」にあたるかが問題となる。【規範】器物損壊罪は物の効用の保護を目的とするから、「損壊」とは物理的損壊に限らず、物の効用を害する一切の行為をいう(効用侵害説)。【あてはめ】Xの行為は食器を物理的に破損させていないが、汚物の付着により、Aが本来の用途で使用することを事実上不可能にしており、食器の効用を害している。よって「損壊」にあたり、器物損壊罪が成立する。

答案の型です。設例は、食器に汚物。問題提起は。規範は、コア規範。効用侵害説。汚物が付いて、二度と食器として使えない。だから「損壊」にあたり、器物損壊罪が成立。

262条——自己の物の損壊等の特例 〔短答〕

刑法262条(自己の物の損壊等)|自己物の特例。「自己の物であっても、差押えを受け、物権を負担し、賃貸し、又は配偶者居住権が設定されたものを損壊し、又は傷害したときは、前三条の例による。」🔴 趣旨=自己の物でも、差押債権者・物権者・賃借人・配偶者居住権者という第三者の権利が及ぶ物は、その権利保護のため、他人物と同様に毀棄罪(259・260・261)の客体に取り込む=258-261の「他人の」を拡張する根拠条文。🔴 注意=「配偶者居住権が設定された」は2020年民法改正で追加された文言。e-Gov現行と一字一致。★軸=自己物でも第三者の権利が及べば、前3条の例による(他人物と同様処罰)。

262条。自己の物の、特例です。原則は、罪じゃない。でも、例外があるんです。差押えを受けた物。物権を負担した物。賃貸した物。あと、配偶者居住権が、設定された物。前三条の例による。つまり、他人物と同様に処罰。第三者の権利を、守るためです。その人たちの権利が、及んでいるから。2020年の、民法改正で入りました。古い版だと、抜けてます。現行条文で、確認を。

262条の2——境界損壊罪 全文カード 〔短答〕

刑法262条の2(境界損壊)|保護法益が異質。「境界標を損壊し、移動し、若しくは除去し、又はその他の方法により、土地の境界を認識することができないようにした者は、五年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。」🔴 保護法益=土地の権利関係の明確性(財物の効用そのものでなく、土地境界の公示・明確性)=毀棄罪の中で異質。🔴 ゆえに、境界標を壊しても境界が依然認識可能なら本罪は不成立(「土地の境界を認識することができないようにした」=境界不明状態の惹起が要件)。試験上の重要性は低い。非親告罪(264の列挙外)。法定刑=拘禁刑(呉「懲役」は旧表記)。e-Gov現行と一字一致。★軸=境界を認識できなくする罪/保護法益=土地境界の明確性(財物の効用でない=異質)/境界が認識可能なままなら不成立。

262条の2。境界損壊罪です。境界標を、損壊・移動・除去したり。その他の方法で、土地の境界を分からなくする。ここ、保護法益が、ちょっと特殊なんです。物の効用、じゃないんです。土地の境界の、明確性。だから、毀棄罪の中では、異質。境界標を壊しても、境界がまだ分かるなら。境界が、分からなくなって、初めて成立。そこが、ポイント。試験では、重要性は低めですが。これは非親告罪。それで十分です。

263条——信書隠匿罪/効用侵害説の決め所 〔短答・論文共通〕

🔴 約束③ 条文全文|刑法263条(信書隠匿)。「他人の信書を隠匿した者は、六月以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。」🔴 法定刑は器物損壊罪(261・3年以下)より軽い。ここで論点1(効用侵害説 vs 物理的毀損説)が効いてくる=同じ263条が、採る説で意味が逆に見える。①効用侵害説(通説)から=隠匿も「損壊」に含まれる以上、信書の隠匿は本来261器物損壊罪に当たるはず。にもかかわらず263が軽く処罰するのは、信書の隠匿を器物損壊より軽く処罰する特別の趣旨(減軽的特別規定)。②物理的毀損説から=隠匿は「損壊」に含まれず本来不可罰のはず。263は信書に限り隠匿を例外的に処罰する規定(処罰拡張的特別規定)。親告罪(264)。🔴 法定刑は拘禁刑。e-Gov現行と一字一致。★軸=信書隠匿は261より軽い/効用侵害説=減軽規定/物理的毀損説=処罰拡張規定/親告罪。

263条。信書隠匿罪です。他人の信書を、隠匿した者。器物損壊の261より、軽いですよね。ここで、効用侵害説が、効いてきます。効用侵害説だと、隠匿も「損壊」に含まれる。本来は、261器物損壊に、当たるはず。なぜか。信書の隠匿を、特に軽く処罰する趣旨。でも、物理的毀損説だと、逆になるんです。物理的毀損説は、隠匿を「損壊」に含めない。不可罰のはず。なのに263があるのは。処罰を、拡張する規定。そこなんです。減軽規定にも、処罰拡張規定にも見える。だから、効用侵害説の理解を測る、いい素材なんです。259・261・263。次で、まとめます。

264条——親告罪/親告罪は259・261・263だけ 〔短答〕

🔴 約束③ 条文全文|刑法264条(親告罪)。「第二百五十九条、第二百六十一条及び前条の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。」🔴 親告罪は259(私用文書)・261(器物)・263(信書隠匿)のみ(「前条」=263)。🔴258(公用文書)・260(建造物・致死傷)・262の2(境界損壊)は非親告罪。区別の理由=259/261/263は個人の私的財産・私生活に関わり被害者の意思を尊重(親告罪)/258・260・262の2は公務・公共の安全・土地境界の公示という公的利益に関わるため被害者の告訴を待たず処罰(非親告罪)。e-Gov現行と一字一致。★軸=親告罪=259・261・263のみ/258・260・262の2は非親告罪(公的利益)。

最後、264条。親告罪の、規定です。第259条、第261条、及び前条の罪。つまり、親告罪は、259・261・263だけ。逆に、258・260・262の2は。なぜ、分かれるか、分かりますか。私的財産や、私生活に関わる。一方、258・260・262の2は。公務や、公共の安全、土地境界の公示。だから、被害者の告訴を待たずに、処罰する。ここ、短答で、よく問われます。○×表で、丸暗記を。

短答ひっかけ

ここはひっかかる(毀棄・隠匿の罪のまとめ)。①🔴効用侵害説=「損壊」「毀棄」は物理的損壊に限らず物の効用を害する一切の行為(隠匿も含む)=全論点の軸。②客体の棲み分け=258公用文書(公務所が使う文書・公私問わず/偽造罪の公文書は作成主体で画する=別概念)・259私用文書(権利義務文書のみ・事実証明文書×/偽造罪より狭い)・260建造物(玄関ドアも建造物=最決平19・3・20/ビラ・ラッカーも損壊=最決昭41・6・10・最決平18・1・17)・🔴261その他の物すべて(原則的規定・最重要/動物の殺傷も「傷害」)。③260後段致死傷=結果的加重犯(傷害の罪と比較して重い刑)。④262自己物の特例(差押え・物権・賃貸・配偶者居住権)/262の2境界(保護法益=土地境界の明確性=異質)。⑤🔴263信書隠匿=効用侵害説では減軽規定/物理的毀損説では処罰拡張規定=説で逆に見える。⑥🔴親告罪は259・261・263のみ(258・260・262の2は非親告罪)。★全体の軸=すべては効用侵害説/261が原則的規定/親告罪は3つだけ丸暗記。

整理します。①軸は、効用侵害説。②客体は、棲み分け。258は公用文書。259は、私用文書。権利義務文書だけ。260は、建造物。玄関ドアも、建造物。261は、その他の物すべて。原則的規定。③260後段の致死傷は、結果的加重犯。⑤263、信書隠匿。説で、逆に見える。⑥親告罪は。全部、効用侵害説で、つながりましたね。

今日の地図(保存版)

#65 毀棄・隠匿の罪 まとめ(258〜264)。本罪=物を領得せず壊す・隠す罪=不法領得の意思を欠く(だから法定刑が軽い)。①🔴効用侵害説=「損壊」「毀棄」は物理的損壊に限らず物の効用を害する一切の行為(隠匿も含む)=全論点の軸〔kiki_sonkai〕。②258公用文書(公務所が使う文書・公私問わず・非親告罪)/259私用文書(権利義務文書のみ・親告罪)。③260建造物(玄関ドアも建造物=最決平19・3・20/ビラ=最決昭41・6・10・ラッカー=最決平18・1・17も損壊/致死傷=結果的加重犯・非親告罪)。④🔴261器物損壊=前3条以外の他人の物すべて(原則的規定・最重要/動物傷害も「傷害」・親告罪)。⑤262自己物の特例(差押え・物権・賃貸・配偶者居住権)/262の2境界(保護法益=土地境界の明確性・非親告罪)。⑥🔴263信書隠匿=効用侵害説で減軽規定/物理的毀損説で処罰拡張規定(親告罪)。⑦🔴親告罪は259・261・263のみ。→これで第12章 財産に対する罪が完結。次回#66=放火罪①(第13章・第2編 社会的法益に対する罪スタート)。

まとめます。毀棄・隠匿は、領得しない財産犯。①軸は、効用侵害説。物の効用を害する一切の行為。②258は公用文書、259は私用文書。④261は、その他の物すべて。原則的規定で、最重要。⑥263、信書隠匿。説で、意味が逆に見える。これで、毀棄・隠匿の罪が、完結です。長かった、第12章 財産に対する罪も、完結。お疲れさまでした。これまでは、個人の財産や身体=個人的法益でした。第2編。社会的法益に対する罪に、入ります。その最初が、放火罪。新しい章で、お会いしましょう。

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