刑法 ゼロから刑法#57

強盗罪②後編——強盗致死傷240(死傷の原因=機会説/強盗殺人240後段/既遂時期)・強盗不同意性交等241

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第12章 財産に対する罪 ⑥/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。

強盗致死傷240の意義・主体 〔短答・論文共通〕

強盗致死傷240の意義・主体。240条=強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の拘禁刑/死亡させたときは死刑又は無期拘禁刑。強盗罪の加重類型=結果的加重犯(過失)+故意犯(故意)の複合。前段=負傷/後段=死亡で法定刑が分かれる。主体「強盗」=236の強盗(1項・2項)だけでなく、事後強盗238・昏酔強盗239の犯人も含む(#57前で「強盗として論ずる」とした連中=前編接続)。さらに「強盗」は既遂・未遂を問わない(最判昭23・6・12=既遂時期で再出)=強盗未遂犯が死傷を生じさせても240成立。趣旨=強盗の現場では犯人が人を死傷させる場合が犯罪学的に多い→その実態に着目した重罰の特別類型。軸=240が第一に守るのは財物でなく人の生命・身体。この1点から死傷の原因・殺意ある場合・既遂時期が全部導ける。

まず240。条文を読みます。

刑法240条(強盗致死傷)。強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の拘禁刑に処し、死亡させたときは死刑又は無期拘禁刑に処する。→主体=強盗(236+事後強盗238+昏酔強盗239・既遂未遂問わず)/前段=負傷=無期又は六年以上の拘禁刑/後段=死亡=死刑又は無期拘禁刑。結果的加重犯(過失)と故意犯(故意)の複合。生命・身体を第一次的な保護法益とする。e-Gov現行(2025年6月施行の改正後表記=拘禁刑に統一)。

負傷で無期か6年以上。死亡で死刑か無期です。強盗の中でも最も重い類型です。まず主体を見てください。236の正面の強盗だけではありません。「強盗として論ずる」連中も、240の主体に入る。しかも「強盗」は既遂・未遂を問いません。ここが詰まり③につながる。後で詰めます。強盗の現場では、人を死傷させる事件が犯罪学的に多い。だから240が第一に守るのは、財物でなく生命・身体。

240の全体地図(過失列+故意列) 〔短答・論文共通〕

240の全体地図(過失列+故意列の複合)。240の罪=〔前段=負傷〕→(ア)強盗致傷(過失=結果的加重犯)/(イ)強盗傷人(故意=故意犯)。〔後段=死亡〕→(ウ)強盗致死(過失=結果的加重犯)/(エ)強盗殺人(故意=故意犯)。★240は「結果的加重犯(過失列)+故意犯(故意列)」の複合=4マス全部が240に入る。死傷につき故意がない場合(致傷・致死)に240が成立するのは当然。問題は故意がある場合(傷人・殺人)も240に入るか=論証28。手がかり=240が結果的加重犯の合言葉「よって」(205条参照)を使っていない=単なる結果的加重犯でない。軸=過失も故意も、死傷という結果で見れば同じ「強盗が人を死傷させた」=1条文に束ねる。

240の全体像を、地図で見ます。縦に前段と後段。横に、過失と故意で分かれます。前段だと、過失=強盗致傷。故意=強盗傷人。過失=強盗致死。故意=強盗殺人。4マスです。そこが論証28。過失列が240なのは当然です。後で詰めます。手がかりは、条文の文言です。240は「よって」を使っていない。205条の傷害致死と違う。それが無い=単なる結果的加重犯ではない、の伏線です。

核心①=死傷の原因=手段説 vs 機会説(論証29・後編の山) 〔論文の骨格〕

核心①=死傷の原因=手段説 vs 機会説(論証29・後編の山)。死傷が①強盗の手段たる暴行・脅迫から生じた場合に240成立は争いなし。問題は手段以外の行為(逃走中・追跡者への暴行・口封じ等)から死傷が生じた場合。手段説=死傷は強盗の手段としての暴行・脅迫から生じた場合に限る。機会説(判例・通説/呉採用)=死傷は強盗の機会に行われた行為から生じれば足りる。手段説への批判=240の主体に事後強盗238が含まれる→事後強盗は奪取後の暴行(手段でない)→手段説だと事後強盗に240が使えず不当。また240は「よって」を使わず、強盗の機会の死傷多発に着目した類型。🔴無限定の回避=機会説でも「強盗を契機の死傷すべて」は含まない。死傷が強盗行為と密接な関連性を有する行為から生じた場合に限る=(a)財物奪取・利益取得に関わる行為/(b)発覚・抵抗・追跡の障害除去に関わる行為。自前イメージ=240が拾う死傷は「強盗事件の現場テープの内側」。手段の暴行=ど真ん中/逃走・追跡・口封じ=まだ内側/私怨・無関係の通行人・数時間後=テープの外。

後編の山、死傷の原因です。詰まり①の答え。そこに争いはありません。問題はその外側です。手段でない行為から死傷が出た場合、240か。二つの考え方があります。まず手段説。死傷は、強盗の手段の暴行脅迫から生じた場合に限る。次に機会説。これが判例・通説です。死傷は、強盗の機会に行われた行為から生じれば足りる。思い出してください。240の主体に、事後強盗238が入る。事後強盗の暴行は、もう奪取の手段ではない。それは不当ですよね。だから手段に限らない、と。240が「よって」を使わないのも、その表れです。いい疑問です。そこが詰まり①の本丸。無限定は避けます。死傷が、強盗行為と密接な関連性を有する行為から生じた場合。中身は二つ。財物奪取に関わる行為。発覚・追跡の障害除去。240が拾う死傷は、強盗事件の現場テープの内側、です。警察が事件現場に張る、黄色いテープを思ってください。ど真ん中。当然テープの内側です。逃走や追跡や口封じは。強盗事件が地続きで続いている。だから240で拾う。私怨で殺す。帰り道で無関係の通行人を殴る。数時間後の殺害。距離や時間そのものでなく、この強盗事件の一部かで決まる。

密接関連性フロー(肯定例/否定例) 〔論文の骨格〕

🔴 密接関連性フロー(論証29)。死傷の原因行為 →(強盗行為と密接な関連性あり?=(a)財物奪取・利益取得に関わる/(b)発覚・抵抗・追跡の障害除去に関わるか)→ Yes=240成立/No(無関係な私怨・帰り道の通行人・数時間後の口封じ・乳児踏みつけ)=240不成立(別罪)。肯定例(判例の事案イメージ)=追跡してきた家人を突き刺し殺害/拳銃を突きつけ金を要求し約6km走らせた後、逃走のため降車させ射殺/被害者が逃げ出し第三者運転の自動車にひかれ死亡。否定例(判例の事案イメージ)=強盗の過程で誤って乳児を踏みつけ死亡(密接関連性なし)/強盗殺人後、犯行を知る者の殺害を共謀し約5時間後に誘い出して殺害/私怨を晴らすため強盗の機会を利用して殺害/共犯者が逃走の際に仲間割れし他の共犯者を殺害。★死傷の結果は強盗の機会に行われた行為によって生じたもので足りる。ただし強盗行為と密接な関連性を有する行為により生じたことを要する(論証29)。

フローで整理します。死傷の原因行為から、判断へ。(a)財物奪取/(b)発覚・追跡の障害除去か、を問う。240成立。Noなら、240不成立で別罪です。肯定例。追跡してきた家人を突き刺し殺害。6km走らせた後、逃走のため降車させて射殺。被害者が逃げ出し、第三者の車にひかれ死亡も肯定例。誤って乳児を踏みつけ死亡。密接関連性なし、とされます。否定。一度 落ち着いた後の別行動=テープの外です。強盗を口実にしただけ。仲間割れの殺害も外です。なお、これらの判例は事案のイメージで覚えてください。機会説の代表は最判昭24・5・28。これは押さえます。

📝 論文の型

★コア規範|240条の死傷の原因(手段説 vs 機会説)。240条は、犯罪学的にみて強盗の機会に犯人が死傷結果を生じさせる場合が多いことに着目して規定された犯罪類型である。とすれば、死傷の結果は、強盗の機会に行われた行為によって生じたもので足りると解する。ただし、強盗の機会の死傷の結果といえるためには、それが強盗行為と密接な関連性を有する行為により生じたことを要する。復元キー=①240は強盗の機会の死傷多発に着目した類型②死傷は手段の暴行脅迫から生じたものに限らない(機会説)③ただし無限定回避=強盗行為と「密接な関連性」を有する行為に限定④密接関連=(a)財物奪取・利益取得/(b)発覚・抵抗・追跡の障害除去に関わる行為⑤手段説への批判=240の主体に事後強盗238が含まれる(奪取後の暴行=手段でない)ので手段説だと不当。圧縮根拠=逐語固定は採点キーワード(強盗の機会/密接な関連性を有する行為)のみ。

一つ目の型、死傷の原因です。論証29。強盗の機会。密接な関連性を有する行為。この二つ。240は、強盗の機会の死傷多発に着目した類型。でも無限定は避けて、密接な関連性で絞る。手段説への批判も書ければ完璧です。その筋で、機会説が導けます。

答案の型|240条の死傷の原因。【事例】甲は乙宅で乙を脅して金品を奪い逃走したが、追跡してきた乙の家人Xを振り切るため、所持していた刃物でXを突き刺し死亡させた。甲に強盗致死罪(240条後段)が成立するか。【問題提起】Xの死亡は、強盗の手段たる暴行・脅迫からではなく、逃走中の行為から生じている。死傷の結果が手段以外の行為から生じた場合にも240条が成立するか(死傷の原因)が問題となる。【規範】240は強盗の機会の死傷多発に着目した類型=死傷は強盗の機会の行為から生じれば足りる。ただし強盗行為と密接な関連性を有する行為から生じたことを要する。【あてはめ】Xへの刺突は、追跡という強盗の発覚・逮捕という障害を除去する行為であり、強盗行為と密接な関連性を有する。よってXの死亡は強盗の機会に生じたといえ、甲に強盗致死罪(240条後段)が成立する。

答案の型です。追跡してきた家人を刺し殺した設例。規範で、機会説と密接関連性を立てる。密接な関連性ありで、強盗致死成立。

核心②=殺意ある場合=強盗殺人240後段(論証28) 〔論文の骨格〕

核心②=殺意ある場合=強盗殺人240後段(論証28)。死傷につき故意がない場合(結果的加重犯)に240成立は当然。問題は犯人に傷害・殺人の故意がある場合も240(特に後段=死亡)が成立するか=故意の殺害(強盗殺人)を含むか。旧判例(否定説)=240は純粋な結果的加重犯であり、故意の傷害・殺人は含まない。判例・通説(肯定説/呉採用)=240は故意がある場合も含む。理由=①犯罪学的に故意ある死傷も多発する類型なのに適用外は不当/②結果的加重犯の典型文言「よって」(205条参照)を使っていない=単なる結果的加重犯でない。帰結=240後段=(ア)強盗致死(殺意なし=結果的加重犯)+(イ)強盗殺人(殺意あり=故意犯)を1つに包含。前段も強盗致傷+強盗傷人を包含。罪数(一言)=強盗殺人として処理する場合、行為が物取りに向けられていれば強盗罪と殺人罪は240に包括される(独立して殺人罪・強盗罪を立てない)=詳細は総論。軸=詰まり②の不安(二重評価)は、240が両方を呑み込むことで解消。

核心②、殺意ある場合です。詰まり②の答え。問題は、最初から殺すつもりで殺した場合です。そう思いますよね。でも判例・通説は240に含めます。240後段に、故意の強盗殺人も入る。理由は二つ。まず、故意ある死傷も犯罪学的に多発します。もう一つ。240は「よって」を使っていない。だから単なる結果的加重犯ではない=故意も呑み込む。前段も、致傷と傷人を両方含みます。240が両方を呑み込むので、解消します。物取りに向けた行為なら、240に包括される。総論領域なので、深入りしません。結論だけで足ります。

240後段の射程図(旧判例 vs 現判例) 〔論文の骨格〕

🔴 240後段の射程図(論証28)。240後段(死亡)=〔強盗致死(殺意なし=結果的加重犯)〕+〔強盗殺人(殺意あり=故意犯)〕を1つの円に包含。旧判例(否定説)=240は純粋な結果的加重犯→故意の殺人を円の外に置き、別途 強盗罪+殺人罪で処理。現判例・通説(肯定説/呉採用)=故意の殺人を円の中に取り込む。理由=①故意ある死傷も犯罪学的に多発/②「よって」を用いていない=単なる結果的加重犯でない。★240条は、傷害・殺人の故意がある場合をも含むと解する。前段=強盗致傷(過失)+強盗傷人(故意)/後段=強盗致死(過失)+強盗殺人(故意)。強盗殺人未遂=殺意があったが死亡しなかった場合=240後段の未遂(243条)。

射程図です。240後段の円を見てください。旧判例は、強盗殺人を円の外に置いていました。強盗罪+殺人罪で処理していた。現判例は。故意の殺人も240後段。before afterで見てください。多発と、「よって」不使用。前段も同じ構造です。ここを図で押さえれば、論証28は崩れません。

★コア規範|殺人・傷害の故意ある場合の240条の成否。240条は、犯罪学的にみて強盗の機会に犯人が死傷結果を生じさせる場合が多いことに着目した犯罪類型であり、犯人に傷害・殺人の故意がある場合も多発する。また、結果的加重犯に典型の「よって」という文言を用いていない。よって240条は、傷害・殺人の故意がある場合をも含むと解する。復元キー=①240の趣旨=強盗の機会の死傷の多発②故意ある死傷も犯罪学的に多発するのに適用外は不当③「よって」(205条参照)を使っていない=単なる結果的加重犯でない④240後段=強盗致死(過失)+強盗殺人(故意)を包含・前段=強盗致傷+強盗傷人を包含⑤旧判例(純粋結果的加重犯・故意は別罪)を変更。圧縮根拠=逐語固定は採点キーワード(故意がある場合をも含む/「よって」を用いていない)のみ。

二つ目の型、殺意ある場合です。論証28。故意がある場合をも含む。よってを用いていない。この二つ。まず趣旨=強盗の機会の死傷の多発。故意も多発する。そして「よって」不使用=単なる結果的加重犯でない。

答案の型|殺人・傷害の故意ある場合の240条の成否。【事例】甲は金品を奪う目的で乙宅に侵入し、乙を確実に黙らせるため当初から殺意をもって乙を刺殺し、金品を奪った。甲の罪責は(強盗罪と殺人罪の関係)。【問題提起】甲には殺人の故意がある。240条後段は、故意のない強盗致死だけでなく、故意ある強盗殺人をも含むか(殺意ある場合の240条の成否)が問題となる。【規範】240は強盗の機会の死傷多発に着目した類型=故意ある死傷も多発/「よって」を用いていない=単なる結果的加重犯でない。よって240条は傷害・殺人の故意がある場合をも含む。【あてはめ】甲は殺意をもって乙を刺殺し金品を奪っている。240条後段は故意の殺害を含むから、甲には強盗殺人罪(240条後段)が成立し、強盗罪と殺人罪は別途成立しない。

答案の型です。当初から殺意で刺殺し金品を奪った設例。規範で、多発と「よって」不使用を立てる。240後段に含むから、強盗殺人罪一本。二重評価の不安を、ここで打ち消します。

核心③=既遂時期と未遂(論証30・243条) 〔論文の骨格〕

核心③=既遂時期と未遂(論証30・243条)。240の既遂時期=死傷の結果が生じれば、強盗自体が未遂でも240は既遂(判例・通説・最判昭23・6・12)。理由=240は生命・身体を第一次的な保護法益とする→未遂既遂は死傷を基準に判断。財物奪取の成否は既遂時期と無関係。🔴240の未遂が成立するのは強盗殺人で犯人が死亡させられなかった1パターンのみ=(ア)強盗致傷・致死(過失)=結果が生じなければ基本犯(強盗)のみで240不成立/(イ)強盗傷人(故意)=傷害が生じなければ強盗(+暴行)どまり/(ウ)強盗殺人(故意)で死亡させられなかった場合=殺人未遂が240後段の未遂として残る=強盗殺人未遂(243条)。軸=「死傷結果=既遂のメルクマール」と「殺意の有無」を掛け合わせると、240の未遂は強盗殺人未遂の1パターンに収束。自前イメージ=普通の強盗は奪えた額で完成度を測るが、240は採点基準が違い「人を死傷させたか」で完成・未完成を測る競技。

核心③、既遂時期です。詰まり③の答え。判例・通説は、240既遂とします。理由は、240が守るのは財物でなく生命・身体だから。だから既遂未遂は、死傷を基準に判断します。既遂時期と無関係です。自前のイメージで言うと。普通の強盗は、奪えた額で完成度を測ります。採点基準が違う。人を死傷させたかで、完成を測る競技。ここで一つ、パズルがあります。240の未遂って、どんな時に成立すると思いますか。死傷が出れば既遂ですからね。場合分けします。致傷・致死=過失。結果が出なければ、基本犯の強盗だけ。強盗傷人=故意。傷害が出なければ、強盗どまり。残るのは一つ。強盗殺人で、被害者が死ななかった場合。これが殺人未遂=240後段の未遂として残る。死傷結果と殺意を掛け合わせると、ここに収束します。

既遂時期マトリクス 〔論文の骨格〕

🔴 既遂時期マトリクス(論証30)。縦軸=強盗(既遂/未遂)×横軸=死傷結果(あり/なし)。死傷ありの2マス=240既遂(強盗が既遂でも未遂でも240既遂)/死傷なしの2マス=240不成立(基本犯=強盗罪のみ)。★240は生命・身体を第一次的保護法益とする=死傷の結果が生じた時点で既遂(最判昭23・6・12)。財物奪取の成否は既遂時期と無関係。別枠=240の未遂が成立するのは強盗殺人で被害者を死亡させられなかった1パターンのみ(致傷・致死=結果がなければ基本犯のみ/強盗傷人=傷害がなければ強盗どまり/強盗殺人未遂=殺意ありで死亡せず=240後段の未遂・243条)。

マトリクスで整理します。縦が強盗、横が死傷結果。強盗が既遂でも未遂でも、240既遂です。240不成立。基本犯の強盗罪だけ、になります。右下の別枠が、さっきのパズルの答え。このマトリクスで、論証30は完成です。

★コア規範|240条の既遂時期。240条は生命・身体を第一次的な保護法益とする。とすれば、240条は、死傷の結果が生じた時点で既遂となると解する。したがって、強盗(財物奪取)が未遂であっても、死傷の結果が生じれば240条は既遂となる。復元キー=①240の第一次的保護法益=生命・身体②未遂既遂は死傷を基準に判断③財物奪取の成否は既遂時期と無関係④240の未遂が成立するのは強盗殺人で被害者を死亡させられなかった1パターンのみ(致傷・致死=結果がなければ基本犯のみ/強盗傷人=傷害がなければ強盗どまり)。圧縮根拠=逐語固定は採点キーワード(死傷の結果が生じた時点で既遂)のみ。

三つ目の型、既遂時期です。論証30。死傷の結果が生じた時点で既遂。ここだけ固定。第一次的保護法益=生命・身体。だから死傷で判断。240未遂は、強盗殺人で死ななかった1パターンのみ。

答案の型|240条の既遂時期。【事例】甲は乙を脅して金品を奪おうとしたが、乙が激しく抵抗したため金品は奪えなかった。もみ合いの際、甲は乙に全治2週間の傷害を負わせた。甲の罪責は。【問題提起】甲は財物を奪取できておらず強盗は未遂である。それでも240条前段(強盗致傷)が既遂となるか(240条の既遂時期)が問題となる。【規範】240は生命・身体を第一次的保護法益とする=死傷の結果が生じた時点で既遂。財物奪取が未遂でも死傷が生じれば240は既遂。【あてはめ】甲は財物を奪取できていないが、乙に傷害を負わせている。死傷の結果が生じている以上、強盗が未遂でも240条前段(強盗致傷罪)が既遂として成立する。

答案の型です。金品は奪えず、傷害だけ負わせた設例。規範で、第一次的保護法益と死傷基準を立てる。死傷が生じた以上、240前段が既遂で成立。

枝葉(脅迫による死傷/傷害の程度/併発事例) 〔短答〕

枝葉(薄く触れる)。①脅迫による死傷=手段が暴行でなく脅迫でも、被害者が驚愕して危険な行動に出て死傷を招けば240成立(判例にこの趣旨の事案がある)。死傷の手段は暴行に限らない。②傷害の程度=平成16年改正で致傷の有期刑下限が7年→6年に下がり、現在は傷害罪と同様の意義(医師の加療を要する程度に限定しない)と解する見解が有力=短答知識。③併発事例=殺意で発射した弾がB(標的)とC(通行人)を貫通→Bへの強盗殺人未遂+Cへの強盗殺人未遂(観念的競合)。錯誤論(方法の錯誤)は総論既出=送り。いずれも枝葉=深く扱わない。

枝葉を、薄く三つ。まず脅迫による死傷。脅されて驚き、危険な行動で死傷を招けば成立します。二つ目、傷害の程度。平成16年改正で下限が下がった。今は傷害罪と同じ意義=軽い傷でもよい、が有力です。併発事例。弾が標的と通行人を貫通したら。観念的競合です。錯誤論は総論なので送ります。

核心④=強盗・不同意性交等241(結合犯) 〔短答・論文共通〕

核心④=強盗・不同意性交等241(結合犯)。241条1項=強盗の罪(その未遂罪を含む)を犯した者が不同意性交等罪(177条・その未遂罪を含む)を犯したとき、又はその逆=結合犯。前後関係を問わず(強盗→不同意性交等/不同意性交等→強盗のどちらも)、いずれが既遂・未遂でも本罪成立。趣旨=「強盗+不同意性交等」を別々の併合罪でなく1個の結合犯として重く処罰。🔴現行表記(最重要トラップ)=旧称は「強制性交等」だが、令和5年(2023年)改正で現行は「不同意性交等」。241条1項は「第177条の罪」を引用する形式で、177条が現行「不同意性交等罪」になったため罪名は強盗・不同意性交等罪。除外=監護者性交等罪(179条2項)は除外(強盗と同じ機会に行われることが想定しがたい)。不同意性交等罪そのものの構成要件(8類型・同意年齢16歳・性交等の定義)は#49(c10-4)既出=当てはめのみ。

最後、強盗・不同意性交等241です。詰まり④の答え。教科書は「強盗強制性交等」かもしれません。2023年改正で、現行は「不同意性交等」です。241条1項は「177条の罪」を引用しています。だから241も、自動的に強盗・不同意性交等罪。強盗と不同意性交等を、1個に束ねる結合犯です。別々の併合罪でなく、1個の重い罪として処罰する。強盗が先でも、不同意性交等が先でも成立します。どちらが未遂でも成立。前後も既遂未遂も問いません。監護者性交等=179条2項は、除外されます。強盗と同じ機会に行われることが、想定しがたいからです。#49でやりました。241では、結合だけ扱います。

241条文カード(1項・2項・3項) 〔短答・論文共通〕

241条文カード。条文を読みます。

刑法241条(強盗・不同意性交等/同致死)。1項=強盗の罪若しくはその未遂罪を犯した者が第百七十七条の罪若しくはその未遂罪をも犯したとき、又は同条の罪若しくはその未遂罪を犯した者が強盗の罪若しくはその未遂罪をも犯したときは、無期又は七年以上の拘禁刑に処する。2項=前項の場合のうち、その犯した罪がいずれも未遂罪であるときは、人を死傷させたときを除き、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思によりいずれかの犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。3項=第一項の罪に当たる行為により人を死亡させた者は、死刑又は無期拘禁刑に処する。→1項=結合犯(177引用=現行 不同意性交等・前後既遂未遂を問わず・無期又は七年以上の拘禁刑)/2項=両方未遂時の任意的減軽+中止の必要的減免/3項=致死=死刑又は無期拘禁刑。e-Gov現行(2025年6月施行の改正後表記=拘禁刑に統一)。

177条の罪=現行の不同意性交等です。1項が結合犯の本体です。2項を見てください。両方とも未遂なら、任意的に減軽できる。自己の意思でいずれかを中止したときは、減軽し又は免除。総論の中止犯43条但書の、延長線上の特則です。1項の行為で人を死亡させた者は、死刑又は無期拘禁刑。この3項致死、故意の殺害も含むんです。3項も「よって」を使っていない。240後段と同じ論法です。

241結合犯の構造図 〔短答・論文共通〕

🔴 241結合犯の構造図。①強盗(既遂/未遂)⇔②不同意性交等177(既遂/未遂)を双方向矢印で結合=1個の結合犯(241条1項)。前後関係を問わず(強盗→不同意性交等/不同意性交等→強盗のどちらも)・いずれが既遂・未遂でも成立。179条2項(監護者性交等)は除外(×印)=強盗と同じ機会が想定しがたい。枝=3項=致死=死刑又は無期拘禁刑(故意の殺害も含む=「よって」不使用)/2項=両方未遂時の任意的減軽+中止の必要的減免。法定刑=1項=無期又は七年以上の拘禁刑。★241条1項=強盗(未遂含む)×不同意性交等177(未遂含む)の結合犯。前後・既遂未遂を問わず1個の結合犯。監護者性交等179条2項は除外。罪数の一言=241条1項を犯して致傷にとどまった場合=241条3項と240条前段の観念的競合と解する見解が有力(総論領域=深入りしない)。

構造図です。強盗と不同意性交等を、双方向の矢印で結ぶ。既遂でも未遂でも成立します。監護者性交等は除外。同じ機会が想定しがたいからです。3項が致死=死刑か無期。故意も含む。これで241の全体像が、一枚で見渡せます。観念的競合と見る説が有力ですが、総論なので深入りしません。

短答ひっかけ

ここはひっかかる(短答・論文まとめ)。①240の主体「強盗」=236+事後強盗238+昏酔強盗239・既遂未遂問わず(最判昭23・6・12)。②🔴死傷の原因=機会説(判例通説・最判昭24・5・28)=強盗の機会の行為からの死傷で足りる/ただし強盗行為と密接な関連性を有する行為に限定(手段説への批判=主体に事後強盗238が入る・論証29)。③🔴殺意ある場合=240後段に故意の殺害(強盗殺人)も含む(「よって」不使用・論証28)。前段も傷人を含む。④🔴既遂時期=死傷が生じれば既遂(強盗未遂でも240既遂・最判昭23・6・12)/240未遂=強盗殺人で死亡させられなかった1パターンのみ(論証30)。⑤枝葉=脅迫による死傷も240/傷害の程度=平16改正後は傷害罪と同義が有力/併発=観念的競合。⑥🔴241=強盗×不同意性交等177(現行表記)の結合犯/前後・既遂未遂を問わず/監護者性交等179条2項は除外/3項致死=死刑又は無期拘禁刑(故意含む)/2項=中止の減免。法定刑=240負傷=無期又は6年以上/死亡=死刑又は無期/241①=無期又は7年以上/③=死刑又は無期(拘禁刑)。243=240・241第3項の未遂を処罰。

整理します。①主体は236と、前編の238・239も含む。②死傷の原因は、機会説。密接な関連性で絞る。③殺意ある場合も、240後段に含む。④既遂時期は、死傷が生じれば既遂。⑤枝葉は、脅迫でも240、軽い傷でも240。前後も既遂未遂も問わず、179条2項は除外。

今日の地図(保存版)

#57後編 今日のまとめ。軸=240が見ているのは財物でなく人の生命・身体。だから死傷を中心に組み立てる。①強盗致死傷240=強盗の加重類型(結果的加重犯+故意犯の複合)/主体「強盗」=236+事後強盗238+昏酔強盗239・既遂未遂問わず/負傷=無期又は6年以上の拘禁刑・死亡=死刑又は無期拘禁刑。②🔴死傷の原因=機会説(最判昭24・5・28)=強盗の機会の行為からの死傷で足りる/ただし強盗行為と密接な関連性を有する行為に限定(論証29)。③🔴殺意ある場合=240後段に故意の殺害(強盗殺人)も含む(「よって」不使用・論証28)。④🔴既遂時期=死傷が生じれば既遂(強盗未遂でも240既遂・最判昭23・6・12)/240未遂=強盗殺人で死亡させられなかった1パターンのみ(論証30)。⑤🔴強盗・不同意性交等241=強盗×不同意性交等177(現行表記)の結合犯/前後・既遂未遂を問わず/監護者性交等179条2項除外/3項致死=死刑又は無期拘禁刑(故意含む)/2項=中止の減免。243=240・241第3項の未遂を処罰。→次は#58 詐欺罪①(欺罔・錯誤・交付行為)。

まとめます。軸は、240が守るのは財物でなく生命・身体。死傷の原因は、機会説。密接な関連性で絞る。「よって」を使っていないのが、決め手でした。240未遂は、強盗殺人で死ななかった1パターンだけ。名前は今、不同意性交等。179条2項は除外でした。#56から3本、#57は前後編で詰めました。#58、詐欺罪①。欺罔・錯誤・交付行為に入ります。お楽しみに。

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