刑法 ゼロから刑法#59

詐欺罪②後編——クレジットカード詐欺〔論証36〕/電子計算機使用詐欺246の2/準詐欺248

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第12章 財産に対する罪 ⑨/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。

クレカ詐欺・総論——三者がからむ取引 〔論文の骨格〕

1. クレジットカード詐欺・総論(信販会社・加盟店・会員の三者関係)。カード取引は三者で動く=①会員A(カード利用者)が②加盟店Cで商品購入→③加盟店Cは代金を信販会社B(カード会社)から立替払いで受領→④信販会社Bが後日 会員Aから代金を回収。🔴 回収に失敗しても損をかぶるのは信販会社B=加盟店Cは責任を負わない。だから「加盟店は立替払いを受けて損していない/錯誤もない=詐欺不成立では?」という疑問が出発点になる。答えの軸=詐欺は「人(加盟店)を欺いて処分(商品交付)させた」点を捉える罪=何を偽ったか=加盟店が取引に応じるか否かを決める"重要事項"を偽ったかで考える。不正使用は①自己名義(支払意思・能力なき使用)と②他人名義(名義人になりすまし)で場合分けする。

一つ目、クレジットカード詐欺の総論です。そこを解くには、カードの仕組みを知る必要があります。登場人物は三人。会員、加盟店、カード会社です。会員が、お店で商品を買う。これが加盟店ですね。そのお店は、代金を誰からもらいますか。カード会社が、お店に立替払いをします。そしてカード会社が、後で会員から回収する。損をかぶるのは、カード会社です。お店は、責任を負いません。立替払いを受けて終わり。そこなんです。だから「詐欺じゃないのでは」と。そこで軸に戻ります。詐欺は何を捉える罪でしたか。お店という人を欺いて、商品を渡させた点です。お店が取引するか決める”重要事項”を偽ったか。それを、自己名義と他人名義で分けて見ます。

クレカ三者関係図 〔論文の骨格〕

🔴 クレジットカード取引の三者関係(会員A・加盟店C・信販会社B)。会員A →①商品購入→ 加盟店C / 加盟店C ←②立替払い← 信販会社B / 信販会社B ←③代金回収← 会員A。注記=回収失敗の負担=信販会社B(加盟店Cは責任を負わない)。自前の喩え=カードは「お店が銀行に出す保証付き小切手」=お店(加盟店C)は「この小切手はちゃんと決済される=この客は本人で払える」と信じて品物を渡す。払う気のない自分のカードを切る=「不渡りになる小切手」を渡すのと同じ/他人名義カード=「他人の名前のサインで切った小切手」=なりすまし。自己名義/他人名義どちらの議論も、この三者関係を共通の土台とする。

関係図です。AがCで買い、BがCに立替払い。回収に失敗しても、損はBがかぶる。喩えると、カードは保証付き小切手です。お店は「この小切手は決済される」と信じて渡す。不渡りになる小切手を、渡すのと同じです。他人の名前のサインで切った小切手=なりすまし。

自己名義クレカ——支払意思なく使う 〔論文の骨格〕

2. 自己名義クレカの不正使用(1項詐欺説/2項詐欺説)。事例=Aが代金を支払う意思も能力もないのに、自己名義のカードで加盟店Cから商品を購入。多数説=詐欺成立を肯定。問題は理論構成。🔴①1項詐欺説(下級審多数・答案はこれで十分)=支払意思・能力がないと知れば加盟店は取引を拒絶した→加盟店に錯誤あり・商品交付=処分行為→加盟店を被欺罔者・処分行為者・被害者とする1項詐欺(福岡高判昭56・9・21/東京高判昭59・11・19)。難点=加盟店は立替払いを受けるので実質的財産的損害があるといえるか。②2項詐欺説(有力・補充)=被欺罔者・処分者は加盟店だが、実質的損害を被るのは信販会社=三角詐欺の一類型(#59前の道具)。加盟店の商品交付により信販会社が加盟店に立替払債務を負う=それが財産的損害/欺罔者は信販会社に対する財産上の利益を得た→商品交付時に2項詐欺。★規範の核=「支払の意思・能力の有無は、加盟店が取引に応じるか否かの判断の基礎となる重要事項であり、これを偽って商品を交付させた以上、1項詐欺罪が成立する」。

二つ目、自己名義のカードを不正に使う場合。ただし、支払う意思も能力もないのに使う。これは多数説が、詐欺成立を認めます。問題は、どう構成するか。説が二つあります。一つ目が、1項詐欺説。下級審の多数です。加盟店が、被欺罔者で処分者で、被害者。払えないと知れば、お店は取引を断ったはず。商品を渡したのが処分行為=1項詐欺成立です。1項詐欺説で書けば足ります。そこが難点。お店に実質的な損害があるか。そこで二つ目、2項詐欺説が出ます。実質的に損するのは、カード会社だと考える。だまされたのは加盟店、損するのはカード会社。商品交付でカード会社が立替払債務を負う。だから商品交付時に、2項詐欺と構成します。原則1項詐欺説。損害論に触れたければ2項を補充です。支払の意思・能力は、お店が取引を決める重要事項。

他人名義クレカ——承諾を問わず1項詐欺 〔論文の骨格〕

3. 他人名義クレカの不正使用(承諾を問わず1項詐欺・最決平16・2・9)。事例=Aが他人B名義のカードを、Bになりすまして加盟店Cで使用。①承諾なし(窃取カード等)も②承諾あり(名義人に許可された)も、加盟店は他人名義と知れば取引を拒否するはず→錯誤+商品交付(処分行為)あり→1項詐欺成立。核心=加盟店は「名義人本人による正当な利用」を取引の判断の基礎とする=重要事項を偽った。🔴 名義人の承諾があっても結論は左右されない。★規範の核(最決平16・2・9)=「クレジットカードの利用は名義人本人による正当な利用であることを前提とするから、他人名義のカードを名義人本人に成りすまして使用する行為は、加盟店が交付の判断の基礎とする重要事項を偽るものである。仮にカードの名義人から使用を許され、かつ利用代金が会員規約に従い名義人において決済されるものと誤信していたとしても、詐欺罪の成立は左右されない(最決平16・2・9・刑集58巻2号89頁)」。付随=売上票へのサイン=私文書偽造罪・同行使罪(牽連犯)/共有名義カードで約束の範囲を超えて使用=名義人との関係で背任罪も検討。

三つ目、他人名義のカードを不正に使う場合。これは1項詐欺成立で、争いが少ない。ところが、ここに引っかけがあります。名義人本人が「使っていいよ」と許していた場合。多くの人がそう思います。でも、結論は変わりません。承諾があっても、1項詐欺は成立します。加盟店が判断の基礎にするのは何か、を考えます。名義人本人による、正当な利用かどうか、です。他人がなりすませば、それを偽っています。お店の窓口では、見えません。関係ないんです。だから本人性という重要事項を、偽っている。これが最決平16・2・9です。規約どおり決済されると誤信していても、同じ。売上票へのサイン=私文書偽造と、その行使です。名義人との関係では、背任も検討対象です。

クレカ詐欺 場合分けフロー 〔論文の骨格〕

🔴 クレジットカード詐欺 場合分けフロー(論証36の全体像)。前提=相手は人(加盟店の店員)=詐欺の射程内(機械でない)。カードの「不正使用」→【自己名義】支払意思・能力なし→重要事項を偽る→詐欺肯定=①1項詐欺説〔加盟店が被欺罔者・処分者・被害者・答案はこれで十分〕/②2項詐欺説〔実質損害は信販会社=三角詐欺構成・補充〕。【他人名義】名義人になりすまし→「名義人本人による正当な利用」という重要事項を偽る→承諾の有無を問わず1項詐欺(最決平16・2・9)+売上票サイン=私文書偽造(牽連犯)。★共通の軸=加盟店が取引に応じるか否かを決める"重要事項"(自己名義=支払意思・能力/他人名義=名義人本人性)を偽ったか。だまされるのは人(加盟店)=詐欺の射程内の応用。

フローで、クレカ詐欺をまとめます。だます相手は、お店の人。機械ではない。不正使用を、自己名義と他人名義で分けます。支払意思・能力を偽る→1項詐欺説か2項詐欺説。他人名義は。プラス、サインの私文書偽造です。お店が取引を決める重要事項を、偽ったか。一枚で論証36の全体像が見えますね。

📝 論文の型

★コア規範|クレジットカード詐欺(自己名義+他人名義・論証36)。自己名義「支払の意思・能力の有無は、加盟店が取引に応じるか否かの判断の基礎となる重要事項であり、これを偽って商品を交付させた以上、加盟店を被欺罔者・処分行為者・被害者とする1項詐欺罪が成立する」。他人名義「クレジットカードの利用は名義人本人による正当な利用であることを前提とするから、これを偽る以上、仮に名義人の承諾があり規約どおり決済されると誤信していても、詐欺罪の成立は左右されない(最決平16・2・9)」。復元キー=①だます相手は加盟店(人)=詐欺の射程内②自己名義は「支払意思・能力」、他人名義は「名義人本人性」が加盟店の取引応否の判断の基礎=重要事項③これを偽る=欺罔④加盟店の錯誤+商品交付(処分行為)⑤1項詐欺成立(自己名義の実質的損害論は2項詐欺=三角詐欺構成で補充可・他人名義は名義人の承諾を問わない)。圧縮根拠=逐語固定は採点キーワード(取引に応じるか否かの判断の基礎となる重要事項/名義人本人による正当な利用/詐欺罪の成立は左右されない)のみ。

論文の型、クレジットカード詐欺。論証36です。取引に応じるか否かの判断の基礎となる重要事項。名義人本人による正当な利用、詐欺成立は左右されない。だます相手は加盟店=人=詐欺の射程内。それを偽って商品を交付させた以上、1項詐欺。2項詐欺、三角詐欺構成で補充できます。そこまで言えれば完璧です。

答案の型|クレジットカード詐欺。【事例】甲は、代金を支払う意思も能力もないのに、自己名義のクレジットカードを用いて加盟店Cから腕時計を購入し、交付を受けた。甲に詐欺罪が成立するか(応用=他人名義の場合、名義人の承諾があっても同様か)。【問題提起】加盟店は信販会社から立替払いを受け実質的損害がないとも思え、また自己のカードを使う行為が欺罔といえるかが問題となる。【規範】支払の意思・能力の有無は加盟店が取引に応じるか否かの判断の基礎となる重要事項であり、これを偽って商品を交付させた以上、加盟店を被欺罔者・処分者・被害者とする1項詐欺罪が成立する(実質的損害は信販会社とみる2項詐欺=三角詐欺構成も可)。他人名義の場合は、名義人本人による正当な利用という重要事項を偽る以上、名義人の承諾があっても詐欺の成立は左右されない(最決平16・2・9)。【あてはめ】甲は支払意思・能力がないのにこれを偽り、加盟店は払えると誤信して腕時計を交付した。重要事項を偽って商品を交付させたから、甲に1項詐欺罪が成立する。

答案の型です。自分のカードで腕時計を買った設例。規範で、支払意思は重要事項、と立てます。重要事項を偽って交付させた=1項詐欺成立です。応用として、添えておけば万全です。

電子計算機使用詐欺246の2——機械は錯誤しない 〔短答・論文〕

6. 電子計算機使用詐欺罪246の2(詐欺の「人」要件の穴を埋める罪)。趣旨=穴埋め。詐欺は「人」を欺く罪→機械(電子計算機)は錯誤に陥らない(#58の原理)→機械を不正操作しても詐欺は成立しない。では窃盗か→窃盗は財物(現金等の有体物)の占有を奪う罪→オンラインで口座残高を振り替えただけだと財物(現金)を取っていない=窃盗も不成立。例=Xが銀行システムを不正操作して他人の預金を自己口座へ振替送金させ、現金化前に自動振替で光熱費等に充当する→詐欺も窃盗も成立しない処罰の間隙。これを埋めるのが本罪。構成要件=(ア)不実の電磁的記録の作出=人の事務処理に使用する電子計算機に「虚偽の情報」または「不正な指令」を与え、「財産権の得喪・変更に係る不実の電磁的記録」を作る(例=入金がないのに入金があったように入力)/(イ)虚偽の電磁的記録の供用=「財産権の得喪・変更に係る虚偽の電磁的記録」を人の事務処理の用に供する(例=内容虚偽のプリペイドカードを使用)。+財産上不法の利益を得る/他人に得させる。法定刑=十年以下の拘禁刑(詐欺246と同じ)。未遂は250で処罰。

後半に入ります。電子計算機使用詐欺、246の2。いい疑問です。まず詐欺になるか、を考えます。詐欺は「人」を欺く罪でしたね。機械は。#58の原理です。だから詐欺は成立しません。窃盗は、財物の占有を奪う罪です。でも口座の残高を振り替えただけだと。財物の移転がない=窃盗も成立しないんです。そこに穴が空きます。例を出しましょう。システムを操作して、他人の預金を自分の口座へ振替。そして現金化する前に、自動引落しで光熱費に充てる。だから詐欺も窃盗も、捕まえられない。条文を読みます。中身は二つの行為です。一つ目、機械に虚偽の情報や不正な指令を与える。入金がないのに、入金があったように入力する。二つ目は、虚偽の電磁的記録を供する。例えば、残高を改ざんしたプリペイドカードを使う。法定刑は、詐欺と同じ十年以下の拘禁刑です。

刑法246条の2(電子計算機使用詐欺)条文全文 〔短答・論文〕

刑法246条の2(電子計算機使用詐欺)=「前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、十年以下の拘禁刑に処する。」→ハイライト=電子計算機/虚偽の情報若しくは不正な指令/財産権の得喪若しくは変更/不実の電磁的記録/財産上不法の利益/十年以下の拘禁刑。「前条に規定するもののほか」=詐欺246では捕捉できない場合の補充規定(=穴埋め)。e-Gov現行(2025年6月施行の拘禁刑統一後表記)。

条文です。少し長いので、区切って読みます。「前条に規定するもののほか」。前条は、詐欺246です。穴埋めだという宣言です。人の事務処理に使う電子計算機に、と続きます。虚偽の情報、若しくは不正な指令を与えて。財産権の得喪、若しくは変更に係る。不実の電磁的記録を作り、が一つ目の行為。二つ目が、虚偽の電磁的記録を、用に供して。そして財産上不法の利益を得、又は得させる。十年以下の拘禁刑です。詐欺と同じ重さ。「得喪」です。「侵害」ではありません。古い教材だと「侵害」と書いてあることがある。あと刑は拘禁刑=懲役ではない。現行はこちらです。

詐欺246/電子計算機使用詐欺246の2 役割分担図 〔短答・論文〕

🔴 詐欺246/電子計算機使用詐欺246の2 役割分担図(だます相手は人か機械か)。出発点=機械は錯誤しない(#58の原理)。問=だます相手は?→【人】→人を欺いて処分させた→246(詐欺)。→【機械】を直接操作→さらに分岐=財物(現金)を取った→窃盗235/利益だけ・財物なし(口座振替→自動引落しで充当等)→246の2で穴埋め。★整理=「人を欺けば246/人を介さず機械を直接操作なら、財物を取れば窃盗・利益だけなら246の2」。自前の喩え=246の2は「自動化された世界のための、詐欺の替え玉」=昔は窓口の人をだまして金を動かした(詐欺)/いまはシステムに嘘のデータを食わせて金を動かす=だまされる人がいない→詐欺と同じ重さ(十年以下)の穴埋め条文を別に用意した。法定刑=詐欺246と同じ十年以下の拘禁刑。

役割分担図です。問いは一つ。だます相手は。人なら、欺いて処分させて=246の詐欺。さらに分岐。財物を取ったか、利益だけか。窃盗です。財物の占有を奪っている。246の2で穴埋め。口座振替だけ、みたいな場合。246の2は、詐欺の替え玉です。昔は人をだまして金を動かした。いまはシステムに嘘。だから詐欺と同じ重さの条文を、別に作った。

準詐欺248——だまさずに「つけ込む」 〔短答・論文〕

7. 準詐欺罪248(知慮浅薄/心神耗弱に乗じる=欺罔の周縁)。趣旨=詐欺は「積極的に嘘をついて相手を錯誤に陥れて」処分させる罪。だが、わざわざ嘘をつくまでもなく相手が初めから判断力不十分で、それに"つけ込む"だけで財産を取れてしまう場面がある。欺罔とまではいえないこの"つけ込み"を捕捉する罪。要件=「未成年者の知慮浅薄」または「人の心神耗弱」に乗じて、その財物を交付させ/財産上不法の利益を得る。定義=🔴未成年者=18歳未満の者(民4条・2022年4月1日施行の改正で成年年齢20歳→18歳に引下げ。条文本文に年齢の記載はなく解釈注)/知慮浅薄=知識が乏しく思慮の足りないこと/心神耗弱=精神の障害により通常の判断能力を備えていない状態(大判明45・7・16。※責任能力の心神耗弱〔39条2項=行為者側〕とは別=こちらは被害者側の判断力の話)/乗じて=誘惑にかかりやすい状態を利用すること。詐欺との区別=詐欺は新たに錯誤を作り出す/準詐欺は既に判断力が不十分な者にそのままつけ込む(新たな欺罔は不要)。欺罔があれば端的に詐欺罪。法定刑=十年以下の拘禁刑。未遂は250。

最後、準詐欺248。三つ目の詰まりです。詐欺は、積極的に嘘をついて錯誤に陥れる罪。でも、嘘をつくまでもない相手がいます。初めから判断力が、不十分な人です。幼い子どもや、認知症の高齢者。わざわざだまさなくても、つけ込むだけで取れてしまう。子どもに「お小遣い全部とこのおもちゃ交換ね」。でも判断力の不十分さに、つけ込んでいます。条文の言葉は二つの相手です。一つ目、未成年者の知慮浅薄。二つ目、人の心神耗弱。知慮浅薄は、知識が乏しく思慮が足りないこと。精神の障害で、通常の判断能力を備えていない状態。いい質問。違います。あれは行為者側、39条2項。被害者側の、判断力の話です。混同しないように。乗じて=誘惑にかかりやすい状態を利用する。

刑法248条(準詐欺)条文全文 〔短答・論文〕

刑法248条(準詐欺)=「未成年者の知慮浅薄又は人の心神耗弱に乗じて、その財物を交付させ、又は財産上不法の利益を得、若しくは他人にこれを得させた者は、十年以下の拘禁刑に処する。」→ハイライト=未成年者の知慮浅薄/人の心神耗弱/乗じて/財物を交付させ/財産上不法の利益/十年以下の拘禁刑。🔴 解釈注(条文本文に年齢の記載なし)=「未成年者」=18歳未満の者(民4条・2022年4月1日施行の改正で成年年齢20歳→18歳に引下げ。旧法前提の「20歳未満」は誤り)。e-Gov現行(2025年6月施行の拘禁刑統一後表記=旧「懲役」は使わない)。

条文です。これは短いので、一気に読みます。未成年者の知慮浅薄、又は人の心神耗弱に乗じて。その財物を交付させ、又は財産上不法の利益を得る。又は他人にこれを得させた者は。十年以下の拘禁刑です。未成年者=18歳未満です。古い教材だと「20歳未満」と書いてあります。2022年の民法改正で、20歳から18歳に。条文本文に年齢はなく、民4条からの解釈です。懲役ではなく、拘禁刑。現行で固めます。

準詐欺248 詐欺との区別図 〔短答・論文〕

🔴 準詐欺248 詐欺との区別図("作り出す"か"つけ込む"か)。【詐欺246】積極的に嘘をついて、相手を新たに錯誤に陥れて処分させる=錯誤を"作り出す"。【準詐欺248】既に判断力が不十分な者(未成年者の知慮浅薄/人の心神耗弱)に、そのまま"つけ込む"=新たな欺罔は不要。境界=欺罔があれば端的に詐欺罪/欺罔に至らない働きかけ=準詐欺。自前の喩え=詐欺=鍵のかかったドアを、合鍵(嘘)を作ってこじ開ける/準詐欺=もともと開いていたドア(判断力の不十分さ)に、そっと入り込む。どちらも他人の財産という"家"に入るが、嘘という"合鍵"を作ったかどうかが違い。🔴 未成年者=18歳未満(民4条・2022改正)。

区別図です。詐欺と準詐欺の境目。積極的に嘘をついて、錯誤を作り出す。既に判断力が不十分な人に、そのままつけ込む。喩えると、詐欺は合鍵でこじ開ける。もともと開いていたドアに、そっと入り込む。嘘という合鍵を作れば、端的に詐欺です。境界は、欺罔があるかどうかです。

短答ひっかけ

ここはひっかかる(後編まとめ)。①🔴クレカ自己名義=支払意思・能力(重要事項)を偽る→1項詐欺(答案)/実質損害は信販会社=2項詐欺=三角詐欺で補充。②🔴クレカ他人名義=名義人本人による正当な利用(重要事項)を偽る→承諾があっても1項詐欺は左右されない(最決平16・2・9)+売上票サイン=私文書偽造。③🔴電子計算機使用詐欺246の2=機械は錯誤しない→詐欺×/財物を取らなければ窃盗×=処罰の穴埋め。条文=「財産権の得喪若しくは変更」「十年以下の拘禁刑」(「侵害」「懲役」は誤り)。④詐欺246/窃盗235/246の2の役割分担=人を欺けば246・機械操作で財物なら窃盗・利益だけなら246の2。⑤🔴準詐欺248=知慮浅薄/心神耗弱に乗じる=つけ込む罪(欺罔は不要)。未成年者=18歳未満(民4条・2022改正・呉の20歳未満は誤り)/心神耗弱=被害者側の判断力(39条2項の責任能力とは別)/十年以下の拘禁刑。★全体の軸=詐欺は「人」を欺く罪。カードは三者関係の応用(射程内)/機械は錯誤しない穴埋め(246の2)/つけ込むのは欺罔の周縁(248)。

整理します。①クレカ自己名義は、支払意思を偽る。②他人名義は、本人性を偽る。最決平16・2・9でした。③246の2。条文は「得喪」「拘禁刑」。侵害・懲役は誤り。⑤準詐欺248は、つけ込む罪。呉の20歳未満は、旧法。注意してください。責任能力の心神耗弱とは、別物です。

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#59後編 まとめ。軸=詐欺は「人」を欺く罪=その射程の"穴"と"周縁"を3類型で埋める回。①クレジットカード詐欺(論証36)=だます相手は人(加盟店)=射程内の応用。自己名義=支払意思・能力(重要事項)を偽る→1項詐欺〔答案〕/実質損害は信販会社=2項詐欺(三角詐欺で補充)。他人名義=名義人本人による正当な利用(重要事項)を偽る→名義人の承諾があっても1項詐欺は左右されない(最決平16・2・9)+売上票サイン=私文書偽造。②電子計算機使用詐欺246の2=機械は錯誤しない→詐欺×・財物なし→窃盗×の処罰の穴埋め。条文=「財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録」「十年以下の拘禁刑」。役割分担=人を欺けば246/機械操作で財物なら窃盗・利益だけなら246の2。③準詐欺248=未成年者の知慮浅薄/人の心神耗弱に乗じる=欺罔に至らずつけ込む周縁罪。未成年者=18歳未満(民4条・2022改正)/心神耗弱=被害者側の判断力(39条2項とは別)/十年以下の拘禁刑。→これで詐欺罪クラスタは完結。次は#60=恐喝罪(畏怖させて交付させる罪)。

まとめます。軸は、詐欺は「人」を欺く罪。クレカは、だます相手が人=射程内の応用。他人名義は、承諾を問わず1項詐欺でした。機械は錯誤しない=詐欺も窃盗もダメな穴埋め。準詐欺248は。未成年者は18歳未満、でしたね。自分のカードで詐欺、ATMで穴埋め、つけ込んで準詐欺。基本構造から後編まで、全部終わりました。#60、恐喝罪です。畏怖させて、交付させる罪。詐欺の隣にあります。楽しみにしていてください。お疲れさまでした。

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