刑事訴訟法ゼロから刑事訴訟法#23

逮捕①通常逮捕

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逮捕状の4段

「疑わしい」というだけでは、人は逮捕できません。捕まえる前に、裁判官が先に許可(逮捕状)を出しています。

  • 逮捕状の4段:逮捕状は、請求 → 発付 → 提示 → 逮捕の順に進みます。
    • 段が変わるたびに、縛りをかける人と、縛りの中身が変わります。
段誰が何を縛るか
①請求検察官・司法警察員(警察官は、指定を受けた警部以上)言い出せる人を絞る(第4節)
②発付裁判官逮捕の理由と逮捕の必要性の2つを審査する(第5節・第6節)
③提示逮捕する捜査機関原則として、逮捕状を見せてから逮捕する(第8節)
④逮捕同上逮捕に付いてくる処分と、実力行使の限界(第9節)

令状主義と逮捕の3類型(憲法33条)

逮捕のいちばん上の根拠は、憲法33条です。

  • 司法官憲:裁判官のことです。
  • 令状主義:現行犯の場合を除き、裁判官が出した令状がなければ、人を逮捕できないという原則です。
  • なぜ警察官の判断だけで逮捕させないのか:逮捕は、身体の自由という重要な権利・利益を侵害する強制処分だからです。
    • 強制処分:相手の意思を制圧して、身体・住居・財産などに制約を加える処分です。
    • 捜査機関とは別の、中立な第三者(裁判官)に先に審査させる。この考え方を司法的抑制といい、憲法33条はその現れです。

(1) 逮捕の3類型:原則と例外

「現行犯として逮捕される場合を除いては」という一文から、逮捕の見取り図が読み取れます。

  • 原則:通常逮捕(199条):裁判官が前もって出した逮捕状で逮捕します。この回で扱うのは、この原則型です。
    • 例外① 現行犯逮捕:いま罪を行っている者などを、令状なしで逮捕します。
    • 例外② 緊急逮捕(210条):令状がまだ無いまま先に逮捕し、直ちに逮捕状を請求します。

33条|日本国憲法 第三章 国民の権利及び義務(10〜40条)何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。

通常逮捕の骨格(199条1項)

199条1項の本文は、通常逮捕を「誰が・どんなときに・何によって」の3点で定めています。

  • 誰が:検察官・検察事務官・司法警察職員が、逮捕できます。
  • どんなときに:被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときです。この部分を逮捕の理由と呼びます(第5節)。
  • 何によって:裁判官があらかじめ発する逮捕状によります。
  • ただし書き:軽い罪については、さらに制限がかかります(軽微事件の特則・第6節)。

199条(抜粋)|刑事訴訟法 第二編 第一審 第一章 捜査(189〜246条)1項:検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。ただし、三十万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、二万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪については、被疑者が定まつた住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。

①請求:誰が言い出せるか

逮捕状は、誰でも請求できるわけではありません。「言い出せる人」と「実際に逮捕する人」は別です。

請求できる請求できない(ただし逮捕の執行はできる)
検察側検察官検察事務官(検察官の指揮を受けて捜査する職員)
警察側司法警察員(警察官である司法警察員は、公安委員会が指定する警部以上の者に限る)司法巡査(司法警察員のもとで捜査する警察官)/指定を受けていない司法警察員(警部補など)
  • 執行:実際に逮捕する行為です。司法巡査も検察事務官も、出された逮捕状で逮捕できます。
    • 「請求できない=執行もできない」ではありません。
  • 司法警察員でも請求できない人がいる:警察官の場合、司法警察員であるだけでは足りません。公安委員会の指定を受けた警部以上の者だけが請求できます(199条2項の括弧書き)。
  • なぜ請求だけ絞るのか:逮捕状は、人の身体を拘束する令状なので、特に慎重に考えられているからです。
    • 証拠物を探すための捜索差押許可状には、この「警部以上」の限定がありません。

199条(抜粋)|刑事訴訟法 第二編 第一審 第一章 捜査(189〜246条)2項:裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、検察官又は司法警察員(警察官たる司法警察員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限る。次項及び第二百一条の二第一項において同じ。)の請求により、前項の逮捕状を発する。ただし、明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、この限りでない。

(1) 請求は書面で(刑事訴訟規則139条1項・142条1項)

  • 書面:令状の請求は、口頭ではできず、書面でしなければなりません(刑事訴訟規則139条1項)。
  • 請求書の記載事項:書く項目は8つです(同142条1項)。4つのまとまりに分けると、次のとおりです。
    • 被疑者と事件:①被疑者の氏名・年齢・職業・住居、②罪名及び被疑事実の要旨、③被疑者の逮捕を必要とする事由
    • 請求した人:④請求者の官公職氏名、⑤警部以上の指定を受けた者である旨
    • 逮捕状の出し方:⑥有効期間を7日より長くするときは、その旨と事由、⑦逮捕状を数通(2通以上)必要とするときは、その旨と事由
    • 前の請求:⑧同じ犯罪事実か、いま捜査中の別の犯罪事実で、前に逮捕状の請求・発付があったときは、その旨とその犯罪事実
  • 中心は②:誰が、何をしたかが、この書面から読み取れなければなりません。

②発付:逮捕の理由と逮捕の必要性

発付の段では、裁判官が2つの要件を審査します。逮捕の理由と逮捕の必要性です。

(1) 逮捕の理由

  • 逮捕の理由:199条1項の「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」のことです。
    • 漠然と「誰かが怪しい」では足りません。
    • この人が、この犯罪をしたというところまで対象が絞られたうえで、疑いに理由があることです。
  • 証拠の裏づけ:単なる噂や見込みでは足りず、具体的な証拠に裏づけられた嫌疑が必要です。

(2) 逮捕の必要性(199条2項ただし書・刑事訴訟規則143条の3)

  • 中身:逃亡のおそれか罪証隠滅のおそれがあることです。
    • 被疑者の年齢・境遇、犯罪の軽重・態様、その他諸般の事情に照らして判断します。
  • 根拠:法律上の根拠は、刑事訴訟法199条2項ただし書きです。「明らかに逮捕の必要がないと認めるとき」は、裁判官は逮捕状を発しません(第4節の条文)。
    • 中身を具体的に定めているのが、刑事訴訟規則143条の3です。刑事訴訟法143条ではありません(別の法令です)。

2つの要件は、条文の書き方が違います。

逮捕の理由逮捕の必要性
条文199条2項本文199条2項ただし書き(規則143条の3)
書き方相当な理由があると認めるときに、逮捕状を発する明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、逮捕状を発しない(請求を却下する)
  • 必要性も発付の要件:書き方は「無いときは発しない」形でも、必要性は理由と並ぶ2つ目の要件です。
    • 請求する側は、逃亡・罪証隠滅のおそれがあることも資料で示さなければなりません(下の(4)・規則143条)。
    • この書き方から「消極的な形の要件」と呼ぶことがありますが、必要性の検討が要らないという意味ではありません。
  • 却下の基準:却下するのは、必要がないことが「明らか」なときです(199条2項ただし書き)。
  • 検討のしかた:199条2項ただし書きを根拠に挙げ、被疑者の年齢・境遇や事件の軽重・態様などの具体的な事情から、逃亡・罪証隠滅のおそれを検討します。
  • 例:勤め先も住まいも転々として、連絡が取れなくなっている場合は、逃亡のおそれがうかがわれます。
    • 共犯者や目撃者と口裏を合わせようとしている場合は、罪証隠滅のおそれがうかがわれます。
  • 注意(同じ言葉、別の中身):任意捜査の限界で天秤に乗せる「捜査の必要性」とは別物です。
    • 逮捕の必要性が測るのは、逃亡と罪証隠滅のおそれです。

(3) 必要性が否定される場面(実務の運用)

「明らかに必要がない」の線引きは、条文にも判例にも書かれていません。実務では、比較的軽微な事案で、次の3つの型に必要性が否定される傾向があります。

型どんな場合か
①時間の経過事件が発覚してからかなり経っているのに、その間、逃げも証拠隠しもしなかった
②高齢・年少被疑者が高齢か年少で、身柄を取る負担が大きい
③生活の安定勤め先があり、家族のもとに帰る生活をしている
  • 共通点:どれも「逃げそうにない」「証拠を消しそうにない」方向の事情です。
  • 注意:条文ではなく、実務の運用です。

(4) 疎明資料(刑事訴訟規則143条)

  • 疎明資料:逮捕状を請求する側は、逮捕の理由だけでなく、逮捕の必要があることも、資料で裏づけなければなりません。
    • 令状の請求は、いつも「資料で裏づける」作業です。
  • 2つの要件が別物である根拠:規則143条は、括弧書きで「逮捕の理由」を「逮捕の必要を除く逮捕状発付の要件」と定義しています。
    • 条文自身が、理由と必要性を書き分けています。

軽微事件の特則と出頭拒否(199条1項ただし書き)

軽い罪については、通常逮捕にさらに制限がかかります。そこから、出頭を拒んだだけで逮捕できるか、という論点が出てきます。

(1) 軽微事件の特則

対象となる罪追加で必要な事情
30万円(刑法・暴力行為等処罰法・経済関係罰則整備法の罪以外は、当分の間2万円)以下の罰金・拘留・科料に当たる罪定まった住居を有しない場合か、正当な理由なく出頭の求めに応じない場合に限る
  • 確かめる順序:裁判官は、①逮捕の理由、②逮捕の必要性、③軽微事件に当たるなら住居不定か不出頭か、の順に確かめます。どこかで欠ければ、逮捕状は出ません。
  • 拘留・科料:どちらも軽い刑です。拘留は1日以上30日未満の刑事施設への拘置、科料は1000円以上1万円未満の金銭の刑です(刑法16条・17条)。
  • なぜ軽い罪だけ絞るのか:罰金や科料で終わる罪のために身体を拘束するのでは、釣り合いが取れないからです。
  • 「前条の規定による出頭の求め」:198条1項の出頭要求のことです。

(2) 出頭を拒んだだけで逮捕できるか

  • 出頭を拒む権利:逮捕・勾留されていない被疑者は、出頭を拒めますし、出頭した後もいつでも帰れます(198条1項ただし書き)。取調べに応じる義務はありません。
  • ぶつかる所:199条1項ただし書きを反対に読むと、「正当な理由なく出頭を拒み続ければ逮捕してよい」とも読めそうです。
    • 権利を使っただけで捕まるなら、その権利は無いのと同じになります。

不出頭だけで逮捕の必要性を認めてよいかは、見解が対立しています。

立場根拠
不出頭それ自体は、逮捕の必要性にあたらないそうでないと、198条1項ただし書きの権利が意味を失う
不出頭も、逮捕の必要性にあたる199条1項ただし書きの反対解釈
  • 実務の運用:上の対立(解釈の層)とは別の話です。出頭拒否が何度も繰り返されることで、結果として逃亡のおそれが認められる、という道筋で逮捕状が請求されることがあります。
  • 3つの層を混ぜない:①条文に書いてあること、②そう解されていること、③実務の運用、は別の話です。
    • どちらの立場が多数かには立ち入らず、対立の構造を押さえます。

198条(抜粋)|刑事訴訟法 第二編 第一審 第一章 捜査(189〜246条)1項:検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。但し、被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる。

逮捕状に書かれること(200条1項)

発付された逮捕状には、書くことが決まっています。事務的な項目に見えますが、令状主義を紙の上で実現する部品です。

  • 記載事項:被疑者の氏名及び住居、罪名、被疑事実の要旨、引致すべき場所、有効期間とその期間が過ぎたら逮捕できず令状を返す旨、発付の年月日などです。
    • 最後に、裁判官が記名押印します。
  • 有効期間の長さ:原則として、発付の日から7日です(刑事訴訟規則300条)。裁判官が相当と認めれば、7日より長くできます(請求書の⑥はこのためです)。
  • 引致:身体を拘束した人を、決められた場所へ強制的に連れて行くことです。
記載事項なぜ書くのか
罪名・被疑事実の要旨示された人が、何の容疑で捕まるのかをその場で分かるようにするためです。憲法33条の「理由となつてゐる犯罪を明示する」に直結します
有効期間一度出た許可を、いつまでも使えないようにするためです。裁判官が審査したのは請求の時点の事情で、時間が経てば逃亡や罪証隠滅のおそれも変わります
引致すべき場所捕まえた後にどこへ連れて行くかを、現場の判断ではなく事前に決めておくためです

200条(抜粋)|刑事訴訟法 第二編 第一審 第一章 捜査(189〜246条)1項:逮捕状には、被疑者の氏名及び住居、罪名、被疑事実の要旨、引致すべき官公署その他の場所、有効期間及びその期間経過後は逮捕をすることができず令状はこれを返還しなければならない旨並びに発付の年月日その他裁判所の規則で定める事項を記載し、裁判官が、これに記名押印しなければならない。

③提示:逮捕状は見せてから

逮捕状で逮捕するときは、原則として、逮捕状を被疑者に見せてから逮捕します。

(1) 原則:逮捕状を示す(201条1項)

  • 提示:逮捕状を被疑者に示さなければなりません。
  • なぜ見せるのか:逮捕される人が、何の容疑で、誰の判断で捕まるのかを知り、争える状態にするためです。
    • 第7節の「罪名・被疑事実の要旨」の記載と同じく、憲法33条の「犯罪を明示する」が、提示の段でも生きています。

(2) 例外:緊急執行(201条2項・73条3項の準用)

  • 緊急執行:逮捕状はもう出ているのに、手元に持っていないとき、見せずに逮捕できる仕組みです。
  • どんなときに:逮捕状を持っていないため示せず、しかも急速を要するときです。
  • 何をするか:被疑事実の要旨と、逮捕状が発せられている旨を告げて、逮捕します。
  • その後:逮捕状は、できる限り速やかに示さなければなりません。
  • 読み替え:73条3項は、もとは勾引状・勾留状の規定です。逮捕状に準用するときは、「被告人」を「被疑者」に、「公訴事実の要旨」を「被疑事実の要旨」に読み替えます。

201条|刑事訴訟法 第二編 第一審 第一章 捜査(189〜246条)1項:逮捕状により被疑者を逮捕するには、逮捕状を被疑者に示さなければならない。2項:第七十三条第三項の規定は、逮捕状により被疑者を逮捕する場合にこれを準用する。

73条(抜粋)|刑事訴訟法 第一編 総則 第八章 被告人の召喚、勾引及び勾留(57〜98条の11)3項:勾引状又は勾留状を所持しないためこれを示すことができない場合において、急速を要するときは、前二項の規定にかかわらず、被告人に対し公訴事実の要旨及び令状が発せられている旨を告げて、その執行をすることができる。但し、令状は、できる限り速やかにこれを示さなければならない。

(3) 緊急執行と緊急逮捕は別物

名前は似ていますが、中身は別です。令状がもう出ているかどうかで切り分けます。

緊急執行緊急逮捕
令状の有無もう出ている(手元に無いだけ)まだ無い
4段でいうと発付は終わっていて、提示の段だけが変則になる発付そのものがまだ
逮捕のときに告げること被疑事実の要旨+逮捕状が発せられている旨令状が無いので、告げる内容も違う(その理由を告げる・210条1項)
事後にすることできる限り速やかに逮捕状を示す逮捕の後、直ちに逮捕状を請求する。発せられなければ直ちに釈放する(210条1項)

④逮捕:付随する処分と実力行使の限界

逮捕する場面では、逮捕状に書かれていない権限が付いてきます。一方で、明文の無い限界もあります。

(1) 被疑者を探して住居に入る(220条1項1号・3項)

  • どんなときに・誰が・何を:検察官・検察事務官・司法警察職員は、被疑者を逮捕する場合に必要があれば、人の住居などに入って被疑者を捜索できます。
  • 令状は不要:この処分に、別の令状は要りません(3項)。
  • 目的:被疑者を見つけ出すことです。被疑者の家に限らず、逃げ込んだ先の他人の住居にも入れます。
    • 逮捕の現場で証拠を差し押さえ・捜索・検証する処分(2号)も、同じく令状は要りません(3項)。
  • 使える場面:通常逮捕(199条)だけでなく、現行犯逮捕と緊急逮捕(210条)のときにも使えます(1項)。
  • なぜ令状が要らないのか:憲法35条は、住居への侵入・捜索に令状を求めつつ、「第三十三条の場合を除いては」と例外を置いています。
    • 33条の場合=逮捕する場合は、住居に入って捜索することも、憲法自身が令状の例外として認めています。220条はこれを受けた規定です。
    • 逮捕状が無い現行犯逮捕・緊急逮捕にも使える処分なので、「逮捕状の効力に含まれる」という説明では足りません。

35条(抜粋)|日本国憲法 第三章 国民の権利及び義務(10〜40条)1項:何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十三条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。

220条(抜粋)|刑事訴訟法 第二編 第一審 第一章 捜査(189〜246条)1項:検察官、検察事務官又は司法警察職員は、第百九十九条の規定により被疑者を逮捕する場合又は現行犯人を逮捕する場合において必要があるときは、左の処分をすることができる。第二百十条の規定により被疑者を逮捕する場合において必要があるときも、同様である。一 人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内に入り被疑者の捜索をすること。二 逮捕の現場で差押、捜索又は検証をすること。3項:第一項の処分をするには、令状は、これを必要としない。

(2) 実力行使の限界(明文なし)

  • 有形力の行使:逮捕のときに、相手の体に力を加えるなどの実力行使です。
  • 限界:条文には何も書かれていません。必要かつ相当な範囲でなら許される、と解されています。
例
許される逃げようとする腕をつかむ/激しく暴れる者を押さえつける
許されないおとなしくなった者を、なお殴り続ける
  • 許されない行為をすると:特別公務員暴行陵虐罪の問題になりえます。
    • 警察などの職務を行う者が、職務中に被疑者などへ暴行や陵辱・加虐の行為をしたときの罪です(刑法195条)。
  • 令状があるのに限界がある理由:令状は「この処分をしてよい」という許可です。どんなやり方でやってよいかまでは決めていません。
    • だから、侵害は必要性に見合った相当なものでなければなりません。逮捕の目的に必要な範囲を超えると、適正な手続との調和がとれなくなるからです。
  • 注意(同じ言葉、別の場面):任意捜査の限界で使う「必要性・相当性」と言葉は同じです。
    • あちらは任意捜査が行き過ぎていないかの話、こちらは逮捕に付随する行為の限界の話です。

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