刑事訴訟法ゼロから刑事訴訟法#157

一事不再理効の客観的範囲(告訴のない事実と常習一罪)

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第7章 裁判 ⑥/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。

導入

今日の問い2つ。①Xは、知人Bの留守宅に無断で入り、Bの大事な品物を壊した。Bは住居に入られた点だけ被害届を出し、壊された点は告訴しなかった。Xは住居侵入だけで起訴され、罰金の有罪判決が確定。その後Bが壊された点を告訴し、Xは器物損壊で起訴された→裁判所はどうするか。②Yは、閉店後の店舗に夜中に忍び込んで現金を盗むことを1年半ほど繰り返した。数件だけが常習特殊窃盗で起訴され、有罪判決が確定。その後、前の裁判の判決が言い渡される前にYが同じ手口でやっていた別の数件が見つかった→常習特殊窃盗で起訴されたら/単純な窃盗として起訴されたら、裁判所はどうするか 図:今日の問い2つ

  • ①Xは、知人Bの留守宅に無断で入り、Bの大事な品物を壊した
  • Bは住居に入られた点だけ被害届を出し、壊された点は告訴しなかった
  • Xは住居侵入だけで起訴され、罰金の有罪判決が確定
  • その後Bが壊された点を告訴し、Xは器物損壊で起訴された→裁判所はどうするか
  • ②Yは、閉店後の店舗に夜中に忍び込んで現金を盗むことを1年半ほど繰り返した
  • 数件だけが常習特殊窃盗で起訴され、有罪判決が確定
  • その後、前の裁判の判決が言い渡される前にYが同じ手口でやっていた別の数件が見つかった→常習特殊窃盗で起訴されたら/単純な窃盗として起訴されたら、裁判所はどうするか

前回の最後に、一事不再理効は、同じ事件には及ぶ、と言いました。では、同じ事件とは、どこまでのことでしょうか。告訴がなくて起訴できなかった事実にも、及ぶのか。繰り返された犯罪は、どうか。今日は、この範囲を見ます。一事不再理効が遮断されるのではないか、と問題になる場面が、2つあります。1つ目の問い。Xは、トラブルになった知人Bの留守宅に、無断で入り、Bが大事にしていた品物を壊しました。前回のXとは、別の設例です。Bは、住居に入られた点だけ被害届を出し、壊された点は告訴しませんでした。Xは、住居侵入だけで起訴され、罰金の有罪判決が確定しました。その後、Bが、壊された点を告訴し、Xは、器物損壊で起訴されました。裁判所は、どうするでしょうか。

2つ目の問い。Yは、夜中に、閉店後の店舗に忍び込んで、現金を盗むことを、1年半ほど繰り返していました。そのうち数件だけが、常習特殊窃盗で起訴され、有罪判決が確定しました。その後、前の裁判の判決が言い渡される前に、Yが同じ手口でやっていた別の数件が見つかりました。まず、常習特殊窃盗として起訴された場合。次に、単純な窃盗として起訴された場合。裁判所は、どうするでしょうか。先に、答えの形だけ、言います。1つ目の問いは、効力は及びます。裁判所は、免訴にします。2つ目の問いは、前の裁判の判決が言い渡される前の窃盗には、及びます。判決の後の窃盗は、別の事件です。そこへ至る道具は2つです。被告人はどこまで危険にさらされていたか、という二重の危険。そして、何を比べて同じ事件と決めるか、という訴因基準です。

今日の地図は4歩。1歩目=物差しの確認(二重の危険と公訴事実の同一性)/2歩目=告訴のない事実にも及ぶか(問いの1つ目に答える)/3歩目=常習犯とは何か(繰り返しを1個の罪にする)/4歩目=何を比べて同じ事件と決めるか(訴因基準・柔らかい訴因基準説)→問いの2つ目に答える。最後に判決の前後と4象限の地図 図:今日の地図は4歩

  • 1歩目=物差しの確認(二重の危険と公訴事実の同一性)/2歩目=告訴のない事実にも及ぶか(問いの1つ目に答える)/3歩目=常習犯とは何か(繰り返しを1個の罪にする)/4歩目=何を比べて同じ事件と決めるか(訴因基準・柔らかい訴因基準説)→問いの2つ目に答える
  • 最後に判決の前後と4象限の地図

今日の地図です。1歩目は、物差しの確認です。二重の危険と、公訴事実の同一性を、短くおさらいします。2歩目は、告訴のない事実です。1つ目の問いに答えます。3歩目は、常習犯とは何かを見ます。4歩目は、何を比べて同じ事件と決めるのか。2つ目の問いに答えます。最後に、判決の前と後の違いと、4つのマスの地図を見ます。

物差しの確認・二重の危険と公訴事実の同一性

物差し。一事不再理効の根拠=二重の危険(憲法39条)。被告人は、検察官が訴因変更で審判を求められた範囲=公訴事実の同一性(312条1項)の範囲で、訴追の危険にさらされていた→効力も同じ範囲に及ぶ。公訴事実の同一性=単一性か狭義の同一性のどちらか。単一性は罪数で決まる:単純一罪・包括一罪(集合犯)・科刑上一罪(牽連犯・観念的競合)=1個の事件/併合罪=別の事件。たとえ=1回の面談で、相手が聞こうと思えば聞けた話は、その面談で済んだことにする 図:物差し

  • 一事不再理効の根拠=二重の危険(憲法39条)
  • 被告人は、検察官が訴因変更で審判を求められた範囲=公訴事実の同一性(312条1項)の範囲で、訴追の危険にさらされていた→効力も同じ範囲に及ぶ
  • 公訴事実の同一性=単一性か狭義の同一性のどちらか
  • 単一性は罪数で決まる:単純一罪・包括一罪(集合犯)・科刑上一罪(牽連犯・観念的競合)=1個の事件/併合罪=別の事件
  • たとえ=1回の面談で、相手が聞こうと思えば聞けた話は、その面談で済んだことにする

前回の復習です。公訴棄却と免訴。確定したあと、同じ事件を、起訴し直せないのは、どちらだったでしょうか?免訴だけです。公訴棄却は、実体に入っていないので、直せば起訴し直せます。有罪や無罪の確定も、一事不再理効が生じます。では、その効力は、どこまで及ぶのか。出発点は、前回見た根拠です。二重の危険でした。被告人は、いったん訴追される危険を負ったなら、同じ事件で、重ねて負わされない。では、被告人は、どこまでの範囲で、危険を負っていたのでしょうか。たとえで考えます。1回の面談で、相手が、聞こうと思えば聞けた話は、その面談で済んだことにする。そうでなければ、何度でも呼び出されてしまいます。刑事裁判も同じです。検察官が、同じ手続の中で、審判を求められた範囲が、被告人の負った危険の範囲です。その範囲を決めるのが、訴因変更の条文です。訴因は、検察官が起訴状に描いた、審判の枠でした。その枠を、どこまで書き換えられるかの条文です。

条文刑事訴訟法第312条第1項

刑事訴訟法第312条第1項 裁判所は、検察官の請求があるときは、公訴事実の同一性を害しない限度において、起訴状に記載された訴因又は罰条の追加、撤回又は変更を許さなければならない。

検察官は、公訴事実の同一性を害しない限度なら、訴因の追加や変更を求められます。裁判所は、これを許さなければなりません。つまり、公訴事実の同一性のある範囲は、同じ手続で審判を求められた範囲です。だから、被告人は、この範囲で危険を負った、と考えます。一事不再理効も、同じ範囲に及びます。これが、物差しです。前回も確認しましたが、公訴事実の同一性は、単一性と狭義の同一性の、どちらかでよかったです。単一性は、別々の事実が1個の罪にまとまるか。狭義の同一性は、1つの事実どうしが同じと言えるか、でした。今日の2つの問いは、どちらも、別々の行為が1個の罪にまとまるか、という問題です。だから、今日使うのは、単一性です。単一性は、罪数で決まります。牽連犯や観念的競合のような科刑上一罪、そして、常習犯のような包括一罪は、1個の事件です。併合罪は、別の事件で、単一性はありません。ここまでが、物差しです。

告訴のない事実の設例

Xの設例の流れ。前訴=住居侵入(刑130条)で起訴→罰金の有罪判決→確定。Bは被害届を出しただけで、器物損壊(刑261条)の告訴はなし→一緒には起訴できなかった。後訴=Bが器物損壊を告訴→器物損壊で起訴。住居侵入と器物損壊=手段と結果の関係=牽連犯(科刑上一罪・刑54条1項後段)=単一性あり。器物損壊は親告罪(刑264条)=告訴がなければ公訴提起できない。問題=告訴がなくて起訴できなかった事実にも一事不再理効は及ぶか 図:Xの設例の流れ

  • 前訴=住居侵入(刑130条)で起訴→罰金の有罪判決→確定
  • Bは被害届を出しただけで、器物損壊(刑261条)の告訴はなし→一緒には起訴できなかった
  • 後訴=Bが器物損壊を告訴→器物損壊で起訴
  • 住居侵入と器物損壊=手段と結果の関係=牽連犯(科刑上一罪・刑54条1項後段)=単一性あり
  • 器物損壊は親告罪(刑264条)=告訴がなければ公訴提起できない
  • 問題=告訴がなくて起訴できなかった事実にも一事不再理効は及ぶか

1つ目の問いに入ります。Xの設例を、時間順に整理します。前の裁判では、住居侵入で起訴され、罰金の有罪判決が確定しました。後の裁判では、器物損壊で起訴されました。今日は、前の裁判を前訴と呼び、後の裁判を後訴と呼びます。まず、2つの罪の関係です。他人の住居に入って、物を壊す。住居に入ることが手段、物を壊すことが結果、という関係です。条文を見ます。

条文刑法第54条第1項

刑法第54条第1項 一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。

犯罪の手段、または結果である行為が、他の罪名に触れるとき。これが牽連犯で、科刑上一罪です。住居侵入と器物損壊は、牽連犯になります。つまり、単一性があり、公訴事実の同一性があります。物差しに照らせば、効力は及びそうです。それなら、なぜ前の裁判で、器物損壊も一緒に起訴しなかったんですか。起訴できなかったからです。器物損壊は、親告罪です。

条文刑法第264条

刑法第264条 第二百五十九条、第二百六十一条及び前条の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

261条の器物損壊は、告訴がなければ、公訴を提起できません。Bは、住居に入られた点について、被害届を出しただけです。被害届は、被害を知らせるもの。告訴は、犯人の処罰を求める意思表示です。壊された点の告訴は、ありませんでした。だから、前訴の時点で、器物損壊は起訴できませんでした。一方、住居侵入は、告訴が要りません。そして、一罪の一部だけを起訴するのは、一罪の一部起訴の回で見たとおり、原則として検察官の裁量で許されます。起訴するかどうかと同じく、どこまで起訴するかも、検察官に委ねられているからです。だから、住居侵入だけの起訴ができました。ただ、親告罪が絡む一部起訴には、違法・無効説と有効説の対立がありました。今日は、そこには立ち入りません。住居侵入の有罪判決が、すでに確定している、という前提で進めます。ここが問題です。告訴がなくて、一緒に起訴できなかった事実にまで、前訴の一事不再理効は、及ぶのでしょうか。

二重の危険の考え方で及ぶ

告訴のない事実にも及ぶか。反対の考え方=告訴がなく同時に訴追する法律上の可能性がなかった→効力を認めると刑罰権の実現の要請に反する→効力を及ぼさず実体審理。二重の危険の考え方(通説)=一事不再理効の根拠は二重の危険→検察官はBから事情を聴くなどして告訴を得られる余地があった→告訴が得られなかったのは検察官側の事情→訴追の危険は及んでいた→及ぶ。結論=後訴は告訴があり公訴提起は適法→しかし確定判決を経たとき(337条1号)→免訴(公訴棄却ではない) 図:告訴のない事実にも及ぶか

  • 反対の考え方=告訴がなく同時に訴追する法律上の可能性がなかった→効力を認めると刑罰権の実現の要請に反する→効力を及ぼさず実体審理
  • 二重の危険の考え方(通説)=一事不再理効の根拠は二重の危険→検察官はBから事情を聴くなどして告訴を得られる余地があった→告訴が得られなかったのは検察官側の事情→訴追の危険は及んでいた→及ぶ
  • 結論=後訴は告訴があり公訴提起は適法→しかし確定判決を経たとき(337条1号)→免訴(公訴棄却ではない)

結論から言います。及びます。まず、及ばないという考え方を見ます。前訴の時点で、器物損壊には告訴がなく、同時に起訴する法律上の可能性は、ありませんでした。それなのに、効力を認めると、器物損壊を、二度と処罰できなくなります。刑罰権の実現という要請に、反するように見えます。だから、効力を及ぼさず、後訴で実体審理をする、という考え方です。通説は、そうは考えません。決め手は、一事不再理効の根拠です。二重の危険でした。問うべきなのは、検察官から見て起訴できたか、ではありません。被告人が、訴追の危険にさらされていたか、です。検察官は、警察を通じて、あるいは自分で、Bから事情を聴いて、壊された点の告訴を得ることができました。告訴が得られなかったのは、検察官の側の事情です。Xから見れば、一罪の全体が、前訴の危険の範囲でした。したがって、告訴のなかった器物損壊にも、訴追の危険は及んでいた、と評価できます。これが通説の考え方です。ここは、論文で論点になりえます。結論は、こうなります。後訴では、Bの告訴があります。ですから、公訴の提起は、適法です。公訴棄却の問題では、ありません。しかし、前訴の確定判決を経ています。

条文刑事訴訟法第337条

刑事訴訟法第337条 左の場合には、判決で免訴の言渡をしなければならない。 一 確定判決を経たとき。 二 犯罪後の法令により刑が廃止されたとき。 三 大赦があつたとき。 四 時効が完成したとき。

1号です。裁判所は、判決で、免訴の言渡しをします。順序は、告訴があるから公訴提起は適法、しかし確定判決を経たから免訴、です。逆にしないでください。問い1つ目の答えは、及ぶ。そして、免訴です。

節目のミニ事例

節目のミニ事例。(a)前の裁判の時点で告訴がなかった事実を、後で告訴を得て起訴した。裁判所は、告訴があるので実体審理をして有罪か無罪かを判断する→×(確定判決を経たとして免訴)。(b)前の裁判が罰金の有罪判決だったので、同じ事件について一事不再理効は生じない→×(罰金でも有罪の確定判決=生じる) 図:節目のミニ事例

  • (a)前の裁判の時点で告訴がなかった事実を、後で告訴を得て起訴した
  • 裁判所は、告訴があるので実体審理をして有罪か無罪かを判断する→×(確定判決を経たとして免訴)
  • (b)前の裁判が罰金の有罪判決だったので、同じ事件について一事不再理効は生じない→×(罰金でも有罪の確定判決=生じる)

節目のミニ事例です。1つ目。前の裁判の時点で告訴がなかった事実を、あとで告訴を得て起訴した。裁判所は、告訴があるので、実体審理をして、有罪か無罪かを判断する。正しいでしょうか。×です。告訴があって公訴提起は適法でも、確定判決を経た事件なので、337条1号で免訴になります。2つ目。前の裁判が、罰金の有罪判決だった。罰金は軽い刑なので、同じ事件について、一事不再理効は生じない。正しいでしょうか。×です。罰金でも、有罪の確定判決です。実体に入っているので、効力は生じます。刑の重い軽いは、関係ありません。罰金でも、有罪の判決が確定すれば、効力は生じます。弁別の軸は、告訴の有無ではなく、実体の確定判決を経たか、です。

橋・集合犯と常習犯

集合犯と常習犯。集合犯=常習犯・営業犯のように、はじめから同種の行為の反復を予定している構成要件。数個の行為があっても全体で1個の罪(包括一罪)。常習犯=同じ種類の犯罪を繰り返す癖のある者(判例上の理解)。常習窃盗(今日の総称)=常習特殊窃盗(盗犯等防止法2条)/常習累犯窃盗(同法3条=行為前10年内に3回以上6月以上の拘禁刑の執行等の前科がある者が常習として窃盗)。法定刑=単純窃盗(刑235条)は10年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金/常習特殊窃盗は3年以上の有期拘禁刑 図:集合犯と常習犯

  • 集合犯=常習犯・営業犯のように、はじめから同種の行為の反復を予定している構成要件
  • 数個の行為があっても全体で1個の罪(包括一罪)
  • 常習犯=同じ種類の犯罪を繰り返す癖のある者(判例上の理解)
  • 常習窃盗(今日の総称)=常習特殊窃盗(盗犯等防止法2条)/常習累犯窃盗(同法3条=行為前10年内に3回以上6月以上の拘禁刑の執行等の前科がある者が常習として窃盗)
  • 法定刑=単純窃盗(刑235条)は10年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金/常習特殊窃盗は3年以上の有期拘禁刑

2つ目の問いに進みます。その前に、道具を1つ用意します。常習犯です。再逮捕・再勾留の回で見た、常習賭博を思い出してください。賭博を何度も繰り返す人がいたとします。賭けるたびに1個の罪、とはしません。賭博を繰り返す癖のある人を罰する規定があり、何回賭けても、その癖の現れとして、まとめて1個の罪になります。このように、同種の行為を繰り返すことが、はじめから予定されている構成要件を、集合犯といいます。単一性の回で、常習の空き巣の例で見た型です。常習犯や営業犯が、代表です。数個の行為があっても、全体で1個の罪、つまり包括一罪です。

1個の罪なら、一部が裁かれたとき、残りはどうなるんですか。そこが、今日の問題です。一罪の一部が確定すると、残りに、一事不再理効が及ぶのかが、問題になります。窃盗の常習犯を見ます。2つあります。常習特殊窃盗と、常習累犯窃盗です。今日は、まとめて常習窃盗と呼びます。Yの設例は、常習特殊窃盗です。条文を見ます。

条文盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律第2条

盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律第2条 常習トシテ左ノ各号ノ方法ニ依リ刑法第二百三十五条、第二百三十六条、第二百三十八条若ハ第二百三十九条ノ罪又ハ其ノ未遂罪ヲ犯シタル者ニ対シ竊盗ヲ以テ論ズベキトキハ三年以上、強盗ヲ以テ論ズベキトキハ七年以上ノ有期拘禁刑ニ処ス 一 兇器ヲ携帯シテ犯シタルトキ 二 二人以上現場ニ於テ共同シテ犯シタルトキ 三 門戸牆壁等ヲ踰越損壊シ又ハ鎖鑰ヲ開キ人ノ住居又ハ人ノ看守スル邸宅、建造物若ハ艦船ニ侵入シテ犯シタルトキ 四 夜間人ノ住居又ハ人ノ看守スル邸宅、建造物若ハ艦船ニ侵入シテ犯シタルトキ

4号が、Yの手口です。夜間、人の看守する建造物、つまり店舗に侵入して、常習として窃盗をした者は、窃盗として論ずるときは、3年以上の有期拘禁刑です。単純窃盗は、10年以下の拘禁刑、または50万円以下の罰金です。下限が3年以上と、はっきり重くなります。複数回の窃盗も、全体で1個の罪として、この重い刑で処罰します。もう1つの常習累犯窃盗は、3条です。一定の前科のある人が、常習として窃盗をする場合です。

常習性の認定。常習性=(a)行為者が常習性(反復累行する習癖)を有していること+(b)その行為が常習性の発露としてなされたこと。累犯(刑56条)との違い=累犯は前の刑の執行後、一定期間内の再犯という形式的な基準/常習性は行為者の癖という中身を見る基準。認定の事情(総合判断)=前科の種類・回数・時間的間隔/犯行態様の関連性(手口・時間帯・場所)/犯行の期間・回数/性格・素行・生活態度。認められにくい例=夜間の店舗侵入を繰り返してきた者が、ある日、知人宅で目に入った財布をふと持ち出した→習癖の発露とは言いにくい 図:常習性の認定

  • 常習性=(a)行為者が常習性(反復累行する習癖)を有していること+(b)その行為が常習性の発露としてなされたこと
  • 累犯(刑56条)との違い=累犯は前の刑の執行後、一定期間内の再犯という形式的な基準/常習性は行為者の癖という中身を見る基準
  • 認定の事情(総合判断)=前科の種類・回数・時間的間隔/犯行態様の関連性(手口・時間帯・場所)/犯行の期間・回数/性格・素行・生活態度
  • 認められにくい例=夜間の店舗侵入を繰り返してきた者が、ある日、知人宅で目に入った財布をふと持ち出した→習癖の発露とは言いにくい

次に、常習性は、どう認定するのか。常習性とは、特定の犯罪を、繰り返して行う癖です。認定には、2つ見ます。1つ目は、行為者が、その癖を持っていること。2つ目は、問題の行為が、その癖の現れ、つまり発露としてなされたことです。刑法には、累犯もありました。癖があるというのは、累犯のことですか。違います。累犯は、前の刑の執行を終えてから、一定の期間内に、また罪を犯した、という形式的な基準です。常習性は、行為者の癖という、中身を見る基準です。形式と実質で、別物です。癖があるかどうかは、総合判断です。前科の種類、回数、間隔。犯行の手口、時間帯、場所の関連。犯行の期間と回数。性格や素行や生活態度。同じ手口で、近い時期に繰り返していれば、認めやすくなります。

癖のある人の窃盗でも、常習窃盗にならない場合があります。夜間の店舗侵入を繰り返してきた人が、ある日、知人の家で目に入った財布を、ふと持ち出したとします。この窃盗は、癖の現れとは言いにくいでしょう。常習者でも、発露でない窃盗は、ありえます。この点は、あとで使います。

何を比べて同じ事件と決めるか

単一性の判断方法。訴因基準説=前訴の訴因と後訴の訴因の双方だけを比べて判断する。心証基準説=どちらの訴因にも書かれていない常習性についても、裁判所が証拠で心証をとり、その事実を基準に判断する(訴因に拘束されない)。多数説=訴因基準説を原則とする。理由:1つ目=現行法では第一次的には訴因が審判の対象/2つ目=心証基準説だと、前訴が無罪のとき、実体が失われた前訴の訴因と後訴を比べるという無理が生じる/3つ目=発露の点を訴因に掲げず、1件ずつ単純窃盗で起訴する選択も、検察官の裁量として許される。※訴訟条件の回の訴因基準と同じ発想だが、今日は何を比べて同じ事件と決めるかの話 図:単一性の判断方法

  • 訴因基準説=前訴の訴因と後訴の訴因の双方だけを比べて判断する
  • 心証基準説=どちらの訴因にも書かれていない常習性についても、裁判所が証拠で心証をとり、その事実を基準に判断する(訴因に拘束されない)
  • 多数説=訴因基準説を原則とする
  • 理由:1つ目=現行法では第一次的には訴因が審判の対象/2つ目=心証基準説だと、前訴が無罪のとき、実体が失われた前訴の訴因と後訴を比べるという無理が生じる/3つ目=発露の点を訴因に掲げず、1件ずつ単純窃盗で起訴する選択も、検察官の裁量として許される
  • ※訴訟条件の回の訴因基準と同じ発想だが、今日は何を比べて同じ事件と決めるかの話

2つ目の問いに戻ります。一事不再理効は、公訴事実の同一性のある範囲に及びます。ここでの問題は、前の裁判と後の裁判が、常習一罪かどうか、つまり単一性があるかを、何を見て判断するのか、です。立場が2つあります。1つ目は、訴因基準説です。前訴の訴因と、後訴の訴因、この2つだけを並べて比べます。2つ目は、心証基準説です。どちらの訴因にも書かれていない、背後の常習性についても、裁判所が証拠で心証をとります。そして、その事実を基準に、同じ事件かどうかを判断します。訴訟条件の回では、訴訟条件が揃っているかを、裁判所の心証ではなく、訴因を基準に判断しました。訴因を基準にする発想は同じです。ただ、今日は、前の裁判と後の裁判が同じ事件かを、何を比べて決めるか、という別の場面です。たとえば、2枚の起訴状だけを並べて比べるのか。起訴状の裏にある、Yの実際の生活ぶりまで調べて比べるのか。その違いです。多数説は、訴因基準説を原則とします。理由は3つあります。1つ目。現行法では、審判の対象は、まず訴因だからです。2つ目。心証基準説だと、前訴が無罪のとき、困ります。たとえば、前訴でYが無罪になったとします。前の裁判は、Yが盗んだとは認めていません。前訴の訴因の実体が、失われているのです。それなのに、心証基準説では、その実体のない前訴の訴因について、背後に常習性があったかを証拠で調べて、後訴と比べることになります。そういう無理が生じます。3つ目。発露の点は証明が難しいことがあります。そこを訴因に掲げず、1件ずつ単純窃盗で起訴する選択も、検察官の裁量として許されるからです。

払い戻し・問い2つ目の小問

払い戻し。前訴=常習特殊窃盗。(1)後訴=常習特殊窃盗:心証基準説=免訴/訴因基準説=訴因どうしで常習一罪=免訴→結論は同じ。(2)後訴=単純窃盗:心証基準説=証拠次第で常習一罪なら免訴/訴因基準説(硬い形)=常習と単純は当然には一罪にならない(常習者でも発露でない窃盗はありうる)/柔らかい訴因基準説=前訴か後訴のどちらかに常習窃盗の訴因があれば、一罪かどうかを検討するきっかけがある→その限りで、単純窃盗が常習性の発露かを実体審理して心証をとり、単一性を判断→Yの設例=同じ手口・近い時期=発露→常習一罪→免訴 図:払い戻し

  • 前訴=常習特殊窃盗
  • (1)後訴=常習特殊窃盗:心証基準説=免訴/訴因基準説=訴因どうしで常習一罪=免訴→結論は同じ
  • (2)後訴=単純窃盗:心証基準説=証拠次第で常習一罪なら免訴/訴因基準説(硬い形)=常習と単純は当然には一罪にならない(常習者でも発露でない窃盗はありうる)/柔らかい訴因基準説=前訴か後訴のどちらかに常習窃盗の訴因があれば、一罪かどうかを検討するきっかけがある→その限りで、単純窃盗が常習性の発露かを実体審理して心証をとり、単一性を判断→Yの設例=同じ手口・近い時期=発露→常習一罪→免訴

Yの設例に当てはめます。前訴は、常習特殊窃盗です。まず、後訴も、常習特殊窃盗の場合。どちらの説でも、訴因どうしを比べれば、常習一罪です。単一性があるので、337条1号で、免訴です。結論は、どちらの説でも同じです。次に、後訴が、単純な窃盗の場合です。心証基準説なら、証拠を調べて、実質的に常習一罪なら、免訴です。では、訴因基準説は、どうなるか。厳格に、訴因だけを比べると、常習窃盗と、単純窃盗は、当然には一罪になりません。先ほど見たとおり、常習者でも、発露でない窃盗はあるからです。そうなると、単一性なし、で、起訴を認めることになります。

そこで出てくるのが、柔らかい訴因基準説です。前訴か後訴の、どちらかに、常習窃盗の訴因があると、両方の訴因は、実体としては常習一罪ではないか、と強くうかがわせます。つまり、一罪かどうかを、検討するきっかけがあります。そこで、その限りで、単純窃盗が、常習性の発露として行われたかを、実体審理して、心証をとります。そして、単一性を判断します。引き金は、どちらかに常習の訴因がある、という点です。判例も、この考え方に立つと理解されています。その判例の中身は、次の回で見ます。ここも、論文で論点になりえます。Yの設例は、同じ手口で、近い時期です。発露と認められます。常習一罪で、単一性があり、前訴の効力が及びます。裁判所は、免訴です。逆に、前の判決の前に、Yが、知人の家で目に入った財布を、ふと持ち出していて、それが単純窃盗で起訴されたら、どうか。癖の現れとは言いにくく、常習一罪にはなりません。単一性がないので、免訴ではなく、実体審理をして、有罪か無罪かを判断します。確認です。前訴が常習窃盗、後訴が単純窃盗。柔らかい訴因基準説で、単純窃盗が常習性の発露かどうかを、実体審理するきっかけになるのは、何でしたか?

前訴か後訴の、どちらかの訴因に、常習窃盗があることです。

判例・前訴が常習で後訴が単純の例

判例。大阪府の迷惑防止条例違反(痴漢)の事案。前の略式命令=常習の罪(条例9条2項)で罰金・確定。後の略式命令=別の日の電車内の行為を単純な罪(条例5条1項・9条1項)として罰金・確定(後の行為は前の略式命令が確定する前の犯行)。検察官が非常上告(確定した略式命令の法令違反を正す特別の救済手続)。最高裁は、後の略式命令を破棄し、被告人を免訴。罪名は窃盗ではなく条例違反の常習罪だが、前訴常習・後訴単純でも常習性の発露として1個の常習罪とみて免訴にした例 図:判例

  • 大阪府の迷惑防止条例違反(痴漢)の事案
  • 前の略式命令=常習の罪(条例9条2項)で罰金・確定
  • 後の略式命令=別の日の電車内の行為を単純な罪(条例5条1項・9条1項)として罰金・確定(後の行為は前の略式命令が確定する前の犯行)
  • 検察官が非常上告(確定した略式命令の法令違反を正す特別の救済手続)
  • 最高裁は、後の略式命令を破棄し、被告人を免訴
  • 罪名は窃盗ではなく条例違反の常習罪だが、前訴常習・後訴単純でも常習性の発露として1個の常習罪とみて免訴にした例

ここで、前の裁判が常習、後の裁判が単純だった例を、判例で見ます。次の回で見る最高裁の判断とは、別の判例です。窃盗ではなく、迷惑防止条例違反の、痴漢の事案です。常習の罪が、条例にあります。略式命令は、略式手続の回で見たとおり、公判を開かず、書面の審理で罰金を科す裁判です。前の略式命令は、常習の罪として、罰金が確定しました。後の略式命令は、別の日の電車内の行為を、単純な罪として、罰金が確定しました。後の行為は、前の略式命令が確定する前の犯行です。検察官は、非常上告を申し立てました。非常上告は、確定した裁判の法令違反を正す、特別の救済手続です。最高裁は、後の略式命令を破棄して、被告人を免訴にしました。判旨です。

判例最判平15・6・2 集刑284号353頁

前の常習罪の一部が確定した後の単純な罪の略式命令 原略式命令が認定した各所為は,その態様等に照らすと,別件略式命令で認定された犯行と同様,条例5条1項,9条2項に該当するものとみるべきであり,かつ,別件略式命令の確定する前の犯行であるから,別件略式命令で認定された犯行とともに1個の条例5条1項,9条2項の罪を構成するものであったというべきである。 …… そうすると,既に別件略式命令が上記常習一罪の一部について有罪の裁判をしており,これが確定していたのであるから,原裁判所としては,刑訴法463条1項により,通常の規定に従って審理をした上,同法337条1号により,判決で免訴の言渡しをすべきであった。

原略式命令とは、後の略式命令のことです。別件略式命令とは、前の略式命令です。後の略式命令が認めた各行為は、前の略式命令の犯行と同じように、常習の罪に当たる。しかも、前の略式命令が確定する前の犯行だから、前の犯行とともに、1個の常習罪を構成する。だから、常習一罪の一部について、すでに有罪の裁判が確定していた。そこで、463条1項により、略式命令ではなく、通常の公判の手続に移して審理し、337条1号により、判決で免訴をすべきだった、という判断です。今日の物差しで言えば、後の行為も、実体は、前と同じ1個の常習罪の一部でした。その罪について、被告人は、前の手続で、すでに訴追の危険にさらされていました。だから、重ねては裁けず、免訴です。ただし、窃盗ではなく条例違反の事案ですので、そこは区別して覚えてください。

時間的範囲・判決の前の窃盗と後の窃盗

時間的範囲。原則=第一審の判決の宣告時までに判明しうる行為に及ぶ(上訴審が破棄自判したときはその宣告時までとする有力説)。Yの時間線:常習窃盗の帯(1年半)/前訴の判決の言渡し=境目。判決の前の窃盗(別の数件)=前訴の危険の範囲→確定後に見つかっても免訴。判決の後の窃盗=別の事件→別の罪として起訴できる(一括りにして効力を及ぼすと、判決後の犯行まで処罰できなくなり不合理) 図:時間的範囲

  • 原則=第一審の判決の宣告時までに判明しうる行為に及ぶ(上訴審が破棄自判したときはその宣告時までとする有力説)
  • Yの時間線:常習窃盗の帯(1年半)/前訴の判決の言渡し=境目
  • 判決の前の窃盗(別の数件)=前訴の危険の範囲→確定後に見つかっても免訴
  • 判決の後の窃盗=別の事件→別の罪として起訴できる(一括りにして効力を及ぼすと、判決後の犯行まで処罰できなくなり不合理)

最後に、時間の面です。一事不再理効の時間的範囲は、原則として、いつまでに判明しうる行為に及ぶのでしたか?第一審の判決の宣告時までです。上訴審が、原判決を破棄して自ら判決したとき、つまり破棄自判のときは、その宣告時までとする有力な見解もあります。その時点より前の行為は、検察官が訴因変更で、同じ手続に載せられたはずだからです。Yの時間線で考えます。1年半の窃盗が、帯のように続いています。前訴の判決が言い渡されたのは、その途中です。判決が言い渡される前の窃盗は、確定後に見つかっても、前訴の危険の範囲です。問い2つ目の別の数件は、これです。だから、免訴です。では、判決が言い渡された後に、Yが、また同じ手口で盗んだら、どうなるか。それは、前訴の危険の範囲に入っていません。別の事件で、別の罪として、起訴できます。

常習一罪だから、あとの分も、まとめて前の裁判で済んだことにはならないんですか。なりません。もし、判決のあとの犯行にまで効力が及ぶなら、一度判決を受けた常習者は、そのあと同じ手口で盗んでも、処罰されないことになります。不合理です。ですから、判決の前までは及び、判決の後は別、と切ります。

4つのマスの地図

4象限の地図。前訴(常習/単純)×後訴(常習/単純)。前訴=常習・後訴=常習→免訴(どちらの説でも)/前訴=常習・後訴=単純→免訴(柔らかい訴因基準説・設例は発露)/前訴=単純の2マス(後訴=常習/後訴=単純)→次の回。今日埋まったのは前訴=常習の2マス 図:4象限の地図

  • 前訴(常習/単純)×後訴(常習/単純)
  • 前訴=常習・後訴=常習→免訴(どちらの説でも)/前訴=常習・後訴=単純→免訴(柔らかい訴因基準説・設例は発露)/前訴=単純の2マス(後訴=常習/後訴=単純)→次の回
  • 今日埋まったのは前訴=常習の2マス

今日の結論を、4つのマスの地図にします。縦は前訴で、横は後訴です。それぞれ、常習か、単純か。4つのマスができます。前訴が常習で、後訴も常習のマス。免訴です。どちらの説でも同じです。前訴が常習で、後訴が単純のマス。柔らかい訴因基準説で、発露と認められれば、免訴です。今日埋まったのは、前訴が常習の、この2マスです。前訴が単純窃盗のマスは、空欄のままです。そこは、次の回に見ます。前訴が常習なら、常習の訴因があるので、実体に踏み込むきっかけがあります。前訴が単純なら、どうなるのか。そこが、次の問題です。

今日の地図(保存版)

まとめ。問い①=告訴がなくて起訴できなかった事実にも及ぶ→後訴は免訴(根拠=告訴を得る可能性があった=訴追の危険は及んでいた・二重の危険)。問い②=前訴が常習のとき、判決が言い渡される前の窃盗には及ぶ→(1)後訴が常習=免訴/(2)後訴が単純=柔らかい訴因基準説で発露なら免訴。判決の後の窃盗は別の事件。道具の1つ目=二重の危険(危険の範囲=公訴事実の同一性)/2つ目=訴因基準(何を比べて同じ事件と決めるか→柔らかい訴因基準説) 図:まとめ

  • 問い①=告訴がなくて起訴できなかった事実にも及ぶ→後訴は免訴(根拠=告訴を得る可能性があった=訴追の危険は及んでいた・二重の危険)
  • 問い②=前訴が常習のとき、判決が言い渡される前の窃盗には及ぶ→(1)後訴が常習=免訴/(2)後訴が単純=柔らかい訴因基準説で発露なら免訴
  • 判決の後の窃盗は別の事件
  • 道具の1つ目=二重の危険(危険の範囲=公訴事実の同一性)/2つ目=訴因基準(何を比べて同じ事件と決めるか→柔らかい訴因基準説)

今日のまとめです。問いは2つでした。1つ目の問いの答えです。告訴がなくて起訴できなかった事実にも、一事不再理効は及びます。検察官は、告訴を得る可能性があり、被告人は、訴追の危険にさらされていたからです。後訴では、告訴があるので公訴提起は適法ですが、確定判決を経ているので、337条1号で免訴です。2つ目の問いの答えです。前訴が常習窃盗のとき、前の裁判の判決が言い渡される前の窃盗には、効力が及びます。後訴も常習窃盗なら、どちらの説でも免訴です。後訴が単純窃盗なら、前訴か後訴に常習の訴因があるので、柔らかい訴因基準説で、常習性の発露かを調べます。発露なら、免訴です。判決の後の窃盗は、別の事件で、起訴できます。道具は2つでした。被告人はどこまで危険にさらされていたかという、二重の危険。そして、何を比べて同じ事件と決めるかという、訴因基準です。今日は、前の裁判が常習窃盗だった場合を見ました。では、前の裁判も後の裁判も、ただの窃盗として起訴されていたら、どうなるか。次は、残りの2マスと、最高裁の判断を見ます。

参照条文

  • 刑事訴訟法第312条第1項
  • 刑法第54条第1項
  • 刑法第264条
  • 刑事訴訟法第337条
  • 盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律第2条

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