内容規制と内容中立規制
印刷のコツ
プリンターでは次の設定がおすすめです。
- 用紙:A4 / 向き:縦
- 拡大縮小:「実際のサイズ」(フィット縮小しない)
- 両面印刷:オン、とじ方は「長辺をとじる」(左綴じ)
- モノクロ印刷OK(強調は色でなく太字なので白黒でも読めます)
規制を測る4つの軸
結論表現への規制は、次の4つの軸で整理できます。
- ①:不明確か、明確か
- ②:事前か、事後か
- ③:内容規制か、内容中立規制か
- ④:直接的規制か、間接的・付随的規制か
注意このノートで扱うのは、③と④です。
同じ表現の規制でも、厳しく審査されるものと緩やかに審査されるものがあります。
その分かれ目を、③と④の2つの軸で説明します。
21条|第三章 国民の権利及び義務(10〜40条)1項:集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
表現内容規制と表現内容中立規制
表現への規制には、中身に着目するものと、中身に関係しないものがあります。
2つの規制は、何を基準に分けるのでしょうか。
2つの規制の定義
定義2つの規制は、次のとおりです。
- 表現内容規制:表現の中身そのものに着目した規制です。
- 表現内容中立規制:中身とは関係なく、手段や方法を規制するものです。
結論分かれ目は、中身を見て選別しているか、中身に関係なく一律にかかっているかです。
具体例学生自治会が管理する共用の掲示板のルールで考えます。
- ルールA:「部活動の勧誘以外の、政治的・宗教的な主張を、掲示してはならない」は、内容を見て選別するので内容規制です。
- ルールB:「掲示物はA4サイズ1枚まで。貼り替えは、週に1回まで」は、何が書いてあっても同じようにかかるので内容中立規制です。
注意どちらも「掲示を制限する」点は同じです。
何に着目しているかで、性質がまったく違います。
内容規制の2つの型(見解規制と主題規制)
内容規制は、表現の中身に着目した規制です。
その内容規制には、どのような型があるのでしょうか。

見解規制と主題規制
定義内容規制には、2つの型があります。
- 見解規制:さまざまな見解のうち、特定の見解の表明だけを禁止するものです。
- 主題規制:どの見解かとは関係なく、特定の主題についての表現を丸ごと禁止するものです。
結論主題規制も、原則として内容規制にあたると扱われます。
理由中身に着目している点では、見解規制と根っこは同じだからです。
具体例型の違いは、次のように現れます。
- 見解規制:「賛成派の意見だけ禁止」という規制です。
- 主題規制:ルールAは、政治的・宗教的という主題そのものを、賛成・反対を問わず禁止しています。
- 段差:ルールAに「特に、自治会執行部を批判する内容は、禁止する」を加えると、見解規制になります。
注意見解規制のほうが悪質に見えますが、主題規制も同じ内容規制の枠に入ります。
見解規制・主題規制という分け方は、判例が使っている呼び方ではありません。
学説上、広く支持されている整理です。
内容規制と厳格審査基準
内容規制には、見解規制と主題規制の2つの型があります。
では、なぜ内容規制は厳しく審査されるのでしょうか。
なぜ厳しく審査されるか
結論内容規制には、原則として厳格審査基準が使われます。
理由内容規制は、特定の主題や見解を、思想の自由市場から締め出すからです。
市場が正しく機能するには、あらゆる意見が出そろう必要があります。
特定の意見を締め出す時点で、市場そのものを壊しかねない、とりわけ重たい規制だと考えます。
具体例ルールAのように政治的・宗教的な主張を丸ごと禁止する規制は、原則として厳格審査にかけられます。
厳格審査基準
定義厳格審査基準は、目的と手段を次の物差しで審査します。
- 目的:やむにやまれぬ、必要不可欠な公共的利益であること。
- 手段:必要最小限度であること。
内容中立規制と中間審査基準
内容規制は、思想の自由市場から特定の意見を締め出すので、厳格審査になります。
では、内容中立規制はどのように審査されるのでしょうか。
内容中立規制の型
定義内容中立規制の典型は、時・場所・方法の規制です。
行動を伴う言論の規制も、一般に内容中立規制にあたります。
具体例型ごとの例は、次のとおりです。
- 時・場所・方法の規制:ルールBのサイズと頻度の制限です。
- 行動を伴う言論の規制:無言で同じ色の服をそろえて並ぶ抗議に、「並ぶ場所は中庭に限る」「二十人までにする」と制限をかける場合です。何を訴えているかは見ず、行動の側面だけを区切っています。
注意行動を伴う言論は、象徴的言論と混同しやすいところです。
- 象徴的言論:その行動が、そもそも表現に含まれるかという入口の問いです。
- 行動を伴う言論の規制:表現に含まれると分かったうえで、規制の性質は何かという別の問いです。
なぜ緩やかに審査されるか
結論内容中立規制には、原則として中間審査基準が使われます。
理由他の時・場所・方法による表現活動の余地が残っているからです。
市場から締め出されるわけではなく、別の入り口から市場に参加できます。
だから、必ずしも思想の自由市場に反しません。
具体例ルールBの制限があっても、別の掲示板、SNS、口頭で同じ主張ができます。
中間審査基準
定義中間審査基準は、目的と手段を次の物差しで審査します。
- 目的:十分に重要であること。
- 手段:目的との間に、実質的関連性があること。
注意厳格審査基準より、一段緩やかな物差しです。
例外:法文の形ではなく現実の効果
内容規制は厳しく、内容中立規制は緩やかに審査するのが基本形です。
では、中立規制の形をした規制は、いつでも中間審査で足りるのでしょうか。

現実には特定の内容が締め出される場合
結論法文上は内容中立規制の形でも、効果として、ある種類の意見だけが市場から追い出されてしまうときは、厳格に審査します。
理由思想の自由市場の観点からは、「法文がどう書いてあるか」ではなく「現実に何が起きるか」が問題だからです。
具体例大学祭の実行委員会が、午前8時から12時のビラ配布を一律に禁止したとします。
- 形式:何を書いたビラかは問わず、時間帯だけを区切った中立な規制に見えます。
- 現実:この大学では、学生集会や討論会、抗議活動がほぼ毎回この時間帯に開かれる慣行がありました。
- 効果:午後に配っても集会は終わっているので、集会に合わせた抗議のビラだけが事実上締め出されます。
注意分類を暗記するだけでは、この例外を見落とします。
法文の形式ではなく、実際の効果を見ます。
直接的規制と間接的・付随的規制
ここまでは、規制が「何に着目しているか」という軸でした。
もう1つの軸である、規制が「何を狙っているか」は、審査の厳しさにどう効くのでしょうか。

直接的規制
定義直接的規制とは、人権の行使(ここでは表現行為)を規制することを、直接の目的とする規制です。
結論内容規制も、内容中立規制のうち時・場所・方法の規制も、直接的規制にあたります。
理由どちらも、表現行為を狙って規制しているからです。
注意直接的規制と分かっても、それだけでは審査の厳しさは決まりません。
- 内容規制たる直接的規制:厳格審査です。
- 時・場所・方法の規制たる直接的規制:中間審査です。
2つの軸は、並んでいるのではなく重なっています。
間接的・付随的規制
定義間接的・付随的規制とは、人権行使の規制を目的としていないのに、間接的・付随的な効果として、表現の自由に負担がかかる規制です。
結論間接的・付随的規制には、原則として中間審査基準が使われます。
理由表現そのものを狙っていない分、緩やかになります。
具体例道路で、交通の妨害となるような方法ですわり込むことを禁止する、道路交通法の規定です。
目的は交通の安全を確保することで、表現を狙ったものではありません。
しかし抗議のための座り込みに適用されれば、結果として表現の自由への制約になります。
注意座り込みが表現に含まれるかは、象徴的言論の問いです。
この規制がどんな性質かは、それとは別の問いです。
行動を伴う言論の規制はどちらか
結論その規制が何を狙っているかで決まります。
- 直接的規制:並ぶ場所や人数を狙っている場合です。
- 間接的・付随的規制:別の目的の規制が、たまたま及んだだけの場合です。
注意表現の側ではなく、規制の側を見ます。
例外:形は間接的・付随的でも直接的規制になる場合
結論形式上は間接的・付随的規制に見えても、次の場合は直接的規制と解釈します。
- 目的:実際には、表現規制そのものが目的である場合です。
- 対象:規制される行為の大半が、表現行為である場合です。
理由「表現そのものを狙っていないから緩やかに」という理由が、もう使えないからです。
厳しさは、内容規制か時・場所・方法の規制かに戻って決めます。
具体例大学祭の実行委員会が、通行の安全を目的に「通路をふさぐ行為」を禁止したとします。
実際に止められているのが、立ち止まってビラを配る人たちだけなら、直接的規制として扱います。
注意第6節の例外と同じく、形式でなく実質を見るという考え方です。
- 第6節:内容中立規制が、現実には特定の内容を締め出す場合です。
- 本節:間接的・付随的規制の形をした規制が、実は表現規制そのものを狙っている場合です。
用語の違い①:思想・良心の自由の直接的制約・間接的制約
表現の自由では、規制が人権行使を目的とするかで、直接的規制と間接的・付随的規制を分けます。
思想・良心の自由にも出てくる「直接的」「間接的」は、同じ意味なのでしょうか。

結論言葉は同じでも、見ている軸が違います。
具体例起立斉唱の拒否が問題になった事件は、歴史観や世界観を否定するものとはいえず、直接的制約ではないとされました。
ただし、間接的制約となる面は否定し難い、という置き方でした。
注意2つを混ぜて覚えると、答案で誤った使い方をします。
用語の違い②:猿払事件と堀越事件
学説の用法では、規制対象の多くが表現行為なら直接的規制になります。
では、判例が使う「間接的、付随的」は、学説と同じ意味なのでしょうか。

猿払事件
事案国家公務員の政治的行為の禁止が争われました。
結論最高裁は、政治的行為の禁止について、「単に行動の禁止に伴う限度での、間接的、付随的な制約に過ぎず」と述べました。
理由学説は、この言い方に強く反発しました。
政治的行為の禁止は、国家公務員全体に対し、政治的な意見表明そのものを広く禁止する規制です。
学説の通常の考え方に照らせば、表現そのものを狙った直接的規制にあたります。
注意最高裁のこの言葉は、学説の通常の概念とは別の意味で使われています(同音異義)。
道路交通法の座り込みのような一般的な意味での「間接的・付随的規制」とは、別物として扱います。
堀越事件
事案社会保険事務所の職員が、ビラを配った行為が問われました。
猿払事件より後の判例です。
結論最高裁は、猿払事件の「間接的・付随的規制論」に、一度も触れませんでした。
判決文の全体を見ても、「間接的」も「付随的」も出てきません。
注意同じ言葉が、判例のなかでも独自の意味で使われることがあります。
ビラ貼り・ビラ配りの3つの判例
間接的・付随的規制は、原則として中間審査で緩やかに審査されます。
では、実際の判例は、ビラ貼り・ビラ配りの規制をどう審査したのでしょうか。
軽犯罪法違反事件(電柱へのビラ貼り)
条文軽犯罪法1条33号は、みだりに他人の工作物にはり札をした者などを、拘留又は科料に処します。
「はり札をし」の部分が、前段です。
注意刑の種類に気をつけます。
- 拘留又は科料:軽犯罪法の刑は、何年にもわたることがある拘禁刑ではなく、それよりずっと短いものです。
- 拘留:刑罰の一種で、1日以上30日未満、身柄を拘束する刑です。
- 勾留:刑事訴訟で被疑者・被告人の身柄を確保するためのもので、拘留とはまったく別のものです。
軽犯罪法違反事件最高裁判所大法廷判決ビラ貼り「たとい思想を外部に発表するための手段であつても、その手段が他人の財産権、管理権を不当に害するごときものは、もとより許されないところであるといわなければならない。したがつて、この程度の規制は、公共の福祉のため、表現の自由に対し許された必要かつ合理的な制限であつて、右法条を憲法二一条一項に違反するものということはできず」
1条|軽犯罪法左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。三十三 みだりに他人の家屋その他の工作物にはり札をし、若しくは他人の看板、禁札その他の標示物を取り除き、又はこれらの工作物若しくは標示物を汚した者
事案2人が共謀して、承諾を得ずに電柱37本にビラを貼り付け、軽犯罪法1条33号前段で罰せられました。
2人は、この規制が表現の自由を侵害し違憲だと主張しました。
結論合憲です。
「たとい思想を外部に発表するための手段であつても、その手段が他人の財産権、管理権を不当に害するごときもの」は許されない、としました。
この程度の規制は、公共の福祉のため、表現の自由に対し許された必要かつ合理的な制限であり、憲法21条1項に違反しない、としました。
理由規制が狙っているのは、表現そのものではなく、他人の財産権・管理権の保護です。
間接的・付随的規制なので、審査は緩やかになります。
注意厳格審査や中間審査のような物差しは出てきません。
「財産権や管理権を不当に害するなら許されない」という、あっさりした論証だけで合憲としています。
私鉄駅構内ビラ配布事件(不退去罪)

事案京王帝都の吉祥寺駅の構内で、乗降客にビラを配り、演説していた人たちがいました。
駅長の退去要求に応じず約20分間とどまり、刑法130条後段(不退去罪)が適用されました。
結論合憲です。
憲法21条1項は、表現の自由を絶対無制限に保障したものではなく、公共の福祉のため必要かつ合理的な制限を是認する、としました。
思想を外部に発表するための手段でも、他人の財産権、管理権を不当に害するものは許されない、としました。
条文刑法130条は、前段と後段で行為が違います。
- 前段:住居侵入・邸宅侵入(「侵入し」)です。
- 後段:不退去(「退去しなかった」)です。
理由電柱へのビラ貼りの事件と、まったく同じ論理です。
注意駅構内の事件は、退去しなかった話なので後段です。
私鉄駅構内ビラ配布事件最高裁判所第三小法廷判決「憲法二一条一項は、表現の自由を絶対無制限に保障したものではなく、公共の福祉のため必要かつ合理的な制限を是認するものであつて、たとえ思想を外部に発表するための手段であつても、その手段が他人の財産権、管理権を不当に害するごときものは許されない」
130条(住居侵入等)|刑法 第二編 罪 第十二章 住居を侵す罪(130〜132条)正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。
自衛隊官舎ビラ配布事件(邸宅侵入罪)
事案政治的な意見を書いたビラを配るため、自衛隊員の宿舎である官舎の各号棟の共用部分に、管理する側の意思に反して立ち入りました。
人が管理している場所への立ち入りなので、刑法130条前段(邸宅侵入罪)です。
結論合憲です。
政治的意見を記載したビラの配布は、表現の自由の行使ということができる、としました。
しかし、表現の自由は絶対無制限ではなく、思想を外部に発表するための手段でも、他人の権利を不当に害するものは許されない、としました。
理由本件で問われているのは、表現そのものを処罰することの憲法適合性ではない、としました。
問われているのは、ビラの配布のために「人の看守する邸宅」に管理権者の承諾なく立ち入ったことを処罰することの憲法適合性です。
注意もしビラの中身そのものを理由に禁止していたら、内容規制として厳格審査に戻ります。
3つの判例は、そこまでは判断していません。
自衛隊官舎ビラ配布事件「確かに、表現の自由は、民主主義社会において特に重要な権利として尊重されなければならず、被告人らによるその政治的意見を記載したビラの配布は、表現の自由の行使ということができる。しかしながら、憲法21条1項も、表現の自由を絶対無制限に保障したものではなく、公共の福祉のため必要かつ合理的な制限を是認するものであって、たとえ思想を外部に発表するための手段であっても、その手段が他人の権利を不当に害するようなものは許されないというべきである」
3つの判例の整理

結論3つとも、間接的・付随的規制として、きわめて簡単な論証で合憲とされました。
理由規制が狙っているのは、財産権や管理権の保護であって、表現そのものではないからです。
注意学説の評価は、次の2つを分けて押さえます。
- 審査:目的が十分に重要か、手段が行き過ぎていないかという物差しを当てないまま合憲としており、緩やかにすぎるという批判が強くあります。
- 結論:間接的・付随的規制である以上、合憲という結論そのものは妥当だろうという評価が有力です。
パブリック・フォーラム論
私鉄駅構内ビラ配布事件は、不退去罪の適用を合憲としました。
同じ判決には、表現の場所について、どのような考え方が示されているのでしょうか。
パブリック・フォーラム論の内容
定義パブリック・フォーラムとは、道路、公園、広場など、一般公衆が自由に出入りできる場所です。
本来の利用目的を備えながら、同時に表現のための場として役立つことが少なくありません。
結論表現の場として使われるときは、所有権や本来の利用目的のための管理権に基づく制約を受けざるをえません。
しかし、その機能にかんがみ、表現の自由の保障を可能な限り配慮する必要がある、という考え方です。
具体例駅前で演説している人がいる場面です。
誰の意見か
定義補足意見とは、法廷意見(判決そのもの)とは別に、1人の裁判官が個人の見解として付け加えた意見です。
結論パブリック・フォーラム論は、私鉄駅構内ビラ配布事件の伊藤正己裁判官の補足意見が示したものです。
通説も基本的に支持しています。
注意「判例が採用した考え方」と呼ぶのは誤りです。
法廷意見には、この考え方は出てきません。
「補足意見が示し、通説も支持している考え方」と書くのが正確です。
公立図書館と著作者(船橋市西図書館事件)
パブリック・フォーラム論は、公衆が出入りする場所を表現の場としても捉える考え方です。
では、似た発想は、公立図書館の蔵書の扱いにどう使われたのでしょうか。

事案と公立図書館の位置づけ
事案船橋市西図書館の司書が、ある団体とその関係者への反感から、独断で、関係者の著書を含む合計107冊を除籍・廃棄しました。
除籍の基準にもあたっていませんでした。
本を書いた著作者たちが、船橋市に損害賠償を求めました。
結論最高裁は、公立図書館を次のように位置づけました。
- 住民にとって:思想、意見その他の種々の情報を含む図書館資料を提供して、その教養を高めること等を目的とする公的な場です。
- 著作者にとって:閲覧に供された図書の著作者にとって、その思想、意見等を公衆に伝達する公的な場でもあります。
注意直接パブリック・フォーラムと呼ばれてはいませんが、似た発想が使われています。
船橋市西図書館事件公立図書館の位置づけ「公立図書館は、住民に対して思想,意見その他の種々の情報を含む図書館資料を提供してその教養を高めること等を目的とする公的な場ということができる。」
人格的利益と国家賠償法上の違法
結論著作物が閲覧に供されている著作者の利益は、法的保護に値する人格的利益です。
図書館職員である公務員が、図書の廃棄について、基本的な職務上の義務に反し、著作者又は著作物に対する独断的な評価や個人的な好みによって不公正な取扱いをしたときは、国家賠償法上違法となります。
具体例この事件は、著作者側の請求が認められる方向で、高等裁判所に差し戻されています。
注意押さえる点は、次の3つです。
- 用語:判旨(法律判断の部分)は、一貫して「著作者」です(「著者」ではありません)。
- 場面:「図書の廃棄について」という限定があり、購入するか、閲覧させるかの判断とは場面が違います。
- 視点:この判断は著作者の側からのものです。読者の側の知る権利の側面とは区別します。
船橋市西図書館事件最高裁判所第一小法廷判決人格的利益と国家賠償法上の違法「公立図書館において、その著作物が閲覧に供されている著作者が有する上記利益は、法的保護に値する人格的利益であると解するのが相当であり、公立図書館の図書館職員である公務員が、図書の廃棄について、基本的な職務上の義務に反し、著作者又は著作物に対する独断的な評価や個人的な好みによって不公正な取扱いをしたときは、当該図書の著作者の上記人格的利益を侵害するものとして国家賠償法上違法となるというべきである」