憲法ゼロから憲法#43

集会・結社の自由

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集会・結社の意味(21条1項)

21条1項が保障するもの

結論21条1項は、集会・結社・言論・出版その他一切の表現の自由の4つを並べて保障しています。

集まる自由は、一人の表現の自由の足し算ではありません。

一人の表現には無い、次の3つの性質があるからです。

  • 場所が要る:他人の空間を借りないと成立しません(第2〜4節)。
  • 人がぶつかる:反対する人との衝突が起きます(第5〜8節)。
  • 続けると内部ができる:団体が構成員を縛る力を持ちます(第9・10節)。

21条|第三章 国民の権利及び義務(10〜40条)1項:集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

集会

集会・集団行進・結社の違いを定義と軸(場所・動き・時間)で比べた表

定義集会とは、多数人が、共通の目的をもって、一定の場所に一時的に集まることです。

結論目的は問いません。

政治的な集まりに限らず、宗教・文化・娯楽・冠婚葬祭の集まりも入ります。

具体例第5節の上尾市福祉会館事件は、お葬式(合同葬)の集まりを「集会」として扱っています。

注意平和的な集会に限るという有力説があります。

凶器を持って集まる場合は、そもそも「集会」に当たらないという考え方です。

刑法にも、これに対応する凶器準備集合罪があります。

集団行進

定義集団行進(デモ行進)とは、動きながら集まることです。

結論判例は、集団行進も「集会」の一種として扱っています。

理由場所に留まらなくても、対外的に意見を表明する有効な手段だからです。

結社

定義結社とは、多数人が、共通の目的をもって、継続的に結合することです。

注意集会と結社は、軸が違います。

  • 集会:場所が軸で、基本は一回きりです。
  • 結社:時間が軸で、続いていきます。

問題文に「団体」や「集まり」が出てきたら、まず集会・集団行進・結社のどれかに仕分けます。

公共施設の利用を要求できる権利(地方自治法244条)

集会は、他人の空間を借りないと成立しません。
では、場所を貸してもらえないとき、集会の自由はどう守られるのでしょうか。

自由権だけでは足りない

結論集会の自由には、自由権的側面と請求権的側面の両方があります。

  • 自由権的側面:「集会を妨げるな」という消極的な自由です。
  • 請求権的側面:公権力に「公共施設を使わせろ」と要求できる権利です。

理由誰かが「貸さない」と言うだけで、集会は封じられるからです。

言うのを止められたわけではなくても、声を上げられないという結果は同じです。

注意請求権的側面は、通説では21条から導きます。

知る権利と同じく、1つの条文から2つの側面が出てくる構造です。

地方自治法244条

結論この権利を具体化した法律が、地方自治法244条です。

条文各項の役割は、次のとおりです。

  • 1項:公の施設とは何かを定義しています。
  • 2項:正当な理由がない限り、住民の利用を拒めません。
  • 3項:利用について、不当な差別的取扱いをしてはなりません。

注意2項は、正当な理由があれば拒めるという意味でもあります。

何が「正当な理由」かが、第3節以降の争いになります。

注意2項の括弧書きにより、管理者が民間の指定管理者でも同じ縛りが及びます。

民間だから拒める、という抜け道はありません。

244条|地方自治法 第二編 普通地方公共団体 第十章 公の施設(244〜244条の4)1項:普通地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的をもつてその利用に供するための施設(これを公の施設という。)を設けるものとする。2項:普通地方公共団体(次条第三項に規定する指定管理者を含む。次項において同じ。)は、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない。3項:普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならない。

泉佐野市民会館事件①(保障ないし制約と審査基準)

公共施設の利用は、正当な理由がない限り拒めません。
では、施設の管理者が集会のための利用を拒否できるのは、どのような場合でしょうか。

泉佐野市民会館事件の関係図(A=主催団体が会館Cに使用を申請、Cが「公の秩序をみだすおそれ」を理由に不許可、AはBと対立し攻撃していた)

事案

事案ある団体が、関西の新空港の建設に反対する決起集会のため、泉佐野市民会館の使用許可を申請しました。

市は、条例の「公の秩序をみだすおそれがある場合」という規定を理由に、不許可としました。

保障ないし制約

結論集会の用に供する公の施設があるとき、住民は設置目的に反しない限り、原則として利用を認められます。

管理者が正当な理由なく利用を拒否すれば、集会の自由の不当な制限につながるおそれが生じます。

条文地方自治法244条2項が、ここでそのまま効いています。

理由集会に使う施設が設けられている以上、市は貸すか貸さないかをゼロから選べるわけではないからです。

泉佐野市民会館事件最高裁判所判決住民は原則として利用を認められる地方自治法二四四条にいう普通地方公共団体の公の施設として、本件会館のように集会の用に供する施設が設けられている場合、住民は、その施設の設置目的に反しない限りその利用を原則的に認められることになるので、管理者が正当な理由なくその利用を拒否するときは、憲法の保障する集会の自由の不当な制限につながるおそれが生ずることになる。

審査基準

結論利用を拒否できるのは、次の場合に限られます。

  • 利用の希望が競合する場合
  • 他の基本的人権が侵害され、公共の福祉が損なわれる危険がある場合

制限が必要かつ合理的かは、集会の自由の重要性と、侵害されるおそれのある他の人権の内容・危険の程度を較量して決めます。

その較量は、経済的自由の制約における以上に厳格な基準の下でしなければなりません。

理由集会の自由の制約は、精神的自由の制約だからです。

注意「厳格な基準」は、違憲審査基準の三段階のどれかを選んだという意味ではありません。

  • この場面:法律そのものではなく、目の前の不許可処分についての比較衡量です。
  • 意味:較量を、いつもより慎重に、集会の自由の側へ重く傾けて行うということです。
  • 判決文:三段階のどれかを名指しした言葉は、一度も出てきません。

違憲審査基準を否定したのではなく、使う場面が違うだけです。

泉佐野市民会館事件最高裁判所判決利用を拒否できる場合と審査基準利用を拒否し得るのは、利用の希望が競合する場合のほかは、施設をその集会のために利用させることによって、他の基本的人権が侵害され、公共の福祉が損なわれる危険がある場合に限られるものというべきであり……右の制限が必要かつ合理的なものとして肯認されるかどうかは、基本的には、基本的人権としての集会の自由の重要性と、当該集会が開かれることによって侵害されることのある他の基本的人権の内容や侵害の発生の危険性の程度等を較量して決せられるべきものである。

泉佐野市民会館事件②(合憲限定解釈とあてはめ)

拒否できるのは、他の人権が侵害される危険がある場合に限られます。
では、条例の広い文言はどう読まれ、この事件にどう当てはめられたのでしょうか。

合憲限定解釈

「公の秩序をみだすおそれがある場合」を「明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見される場合」に絞り込んだ図

結論「公の秩序をみだすおそれ」は、そのままの広さでは使いません。

単に危険な事態を生ずる蓋然性があるだけでは足りず、明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見されることが必要です。

この絞り込み(合憲限定解釈)により、条例の文言そのものは合憲とされました。

理由文言のままでは広すぎて、不明確になっていた可能性があるからです。

注意合憲限定解釈は、第8節の広島市暴走族追放条例事件でも使われています。

泉佐野市民会館事件最高裁判所判決合憲限定解釈単に危険な事態を生ずる蓋然性があるというだけでは足りず、明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見されることが必要であると解するのが相当である。

あてはめ

事案実質上の主催者とされる団体は、別のグループと過激な対立抗争を続けていました。

相手の集会を攻撃・妨害し、人身に危害を加える事件も起こしていました。

そのため、報復や襲撃を受ける危険がありました。

結論会館の職員・通行人・付近住民の生命、身体又は財産が侵害される事態が、具体的に明らかに予見されると認定されました。

不許可は適法とされ、集会は開けませんでした。

泉佐野市民会館事件最高裁判所判決あてはめ本件集会の実質上の主催者と目されるG派は、関西新空港建設反対運動の主導権をめぐって他のグループと過激な対立抗争を続けており、他のグループの集会を攻撃して妨害し、更には人身に危害を加える事件も引き起こしていたのであって、これに対し他のグループから報復、襲撃を受ける危険があった……本件会館の職員、通行人、付近住民等の生命、身体又は財産が侵害されるという事態を生ずることが、具体的に明らかに予見されることを理由とするものと認められる。

判例の射程

泉佐野市民会館事件のルール(規範)と結論(あてはめ)の評価を分けた表

結論ルールは集会の自由の勝ち、結論は集会の自由の負けです。

両者は矛盾しません。

  • ルール:簡単には集会を拒めないよう狭く絞られた、集会の自由に厚い規範です。
  • 結論:絞られたルールに当てはめたら、この事件がたまたま例外に当たりました。

注意判例の射程は、結論ではなく規範に乗ります。

「負けた判例だから集会に厳しい」と決めつけてはいけません。

答案では、勝ち負けではなくどんな規範を立てたかを抽出し、自分の事案に当てはめます。

敵意ある聴衆の法理(上尾市福祉会館事件)

泉佐野市民会館事件では、危険を理由とする不許可が適法とされました。
では、危険が主催者側ではなく、反対する側から出ている場合はどうなるのでしょうか。

泉佐野市民会館事件の傍論

定義傍論とは、判決の中で、事件の結論を出すのに必須ではない部分です。

結論主催者が集会を平穏に行おうとしているのに、反対するグループが実力で妨害するおそれがあることを理由に利用を拒むことは、21条の趣旨に反します。

注意不許可を適法とした本論と、逆の話に見えます。

違いは、危険の出どころです。

  • 本論:危険は、主催者側から出ていました。
  • 傍論:危険は、反対する側から出る場合の話です。

泉佐野市民会館事件最高裁判所判決敵意ある聴衆の原則(傍論)主催者が集会を平穏に行おうとしているのに、その集会の目的や主催者の思想、信条に反対する他のグループ等がこれを実力で阻止し、妨害しようとして紛争を起こすおそれがあることを理由に公の施設の利用を拒むことは、憲法二一条の趣旨に反するところである。

上尾市福祉会館事件

上尾市福祉会館事件の関係図(A=主催団体が福祉会館Cに合同葬のため使用を申請、Cが反対者Bらの妨害による混乱を理由に不許可)

事案ある労働組合の幹部が殺害され、その幹部を追悼する合同葬のため、団体が上尾市福祉会館の使用を申請しました。

市側は、反対する者らが実力で妨害するおそれがあるとして、不許可としました。

主催者側は、平穏に葬儀をしたいだけでした。

結論反対する者らの妨害のおそれを理由に利用を拒めるのは、警察の警備等によってもなお混乱を防止することができないなど特別な事情がある場合に限られます。

この事件では特別な事情が認められず、不許可は違法とされました。

この考え方を、敵意ある聴衆の法理(敵対的聴衆の法理)といいます。

理由反対されるほど自由が縮む仕組みを認めると、気に入らない意見の集会は、相手が「妨害するぞ」と言うだけで潰せてしまうからです。

そうなると、意見を出し合う思想の自由市場そのものが壊れます。

市場を壊す側に、拒否権を渡すわけにはいきません。

具体例大学のサークルが、公民館で再開発の是非を問う公開討論会を開こうとしました。

再開発を推進したい団体が「実力で妨害する」と通告してきても、それだけを理由に不許可にすることは原則としてできません。

上尾市福祉会館事件最高裁判所判決敵意ある聴衆の法理主催者が集会を平穏に行おうとしているのに、その集会の目的や主催者の思想、信条等に反対する者らが、これを実力で阻止し、妨害しようとして紛争を起こすおそれがあることを理由に公の施設の利用を拒むことができるのは、前示のような公の施設の利用関係の性質に照らせば、警察の警備等によってもなお混乱を防止することができないなど特別な事情がある場合に限られるものというべきである。

危険の出どころで扱いが逆転する

泉佐野(主催者側の危険)と上尾(反対する側の危険)で、原則の扱いと例外を比べた表

結論危険を理由に公共施設の利用を拒否できるかは、危険の出どころで結論が逆になります。

  • 主催者側から出た危険:明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見されれば、拒否できます。
  • 反対する側から出た危険:原則として拒否できず、警備でも防げない特別な事情があるときだけ拒否できます。

注意答案では、まず危険がどちらから出ているかを仕分けます。

それによって、当てる規範が変わります。

集団行進の規制(許可制と届出制)

集団行進も、公共施設と同じく、道路を使わないと成立しません。
では、集団行進を条例で規制するとき、どのような形なら許されるのでしょうか。

許可制と届出制

定義規制の形は、原則と例外の向きが逆です。

  • 許可制:原則はできず、役所が許可したときだけできます。
  • 届出制:原則はでき、事前に知らせておきます。

結論集団行進の規制は、原則として届出制の側にあるべきだと考えられています。

理由事前抑制と同じ骨組みです。

出す前に止めることは特に危なく、原則は自由にできる側に置くべきだからです。

注意集団行進の規制には、少なくとも中間審査基準(より制限の少ない手段がないかを問う基準)が妥当するとされます。

実質的に届出制と扱われる3条件

定義許可推定条項とは、許可も不許可も出ないままのときに、許可されたものとみなす規定です。

結論許可制の文言を使った条例でも、すべてが違憲になるわけではありません。

次の3つを満たせば、実質的に届出制と同じだと扱われます。

  • 許可基準の明確性:許可の基準が明確であることです。
  • 不許可事由の限定:不許可にできる事由が限定されていることです。
  • 救済手続:救済の手続や、許可推定条項があることです。

東京都公安条例事件(判例変更されていない前提)

許可制の条例でも、3つの条件を満たせば実質的に届出制と扱われます。
では、集団行進の許可制が正面から争われた事件で、最高裁はどう判断したのでしょうか。

東京都公安条例事件

定義集団暴徒化論とは、集団それ自体を危険視する考え方です。

事案東京都の条例は、集団行進をするには公安委員会の許可を要する仕組み(許可制)でした。

この条例の合憲性が争われました。

結論最高裁は、条例を合憲としました。

  • 前提:平穏静粛な集団でも、昂奮・激昂の渦中に巻きこまれ、一瞬にして暴徒と化しうるとしました。
  • 判断:文面上は許可制でも、その実質において届出制とことなるところがないとしました。

理由条例は、「公共の安寧を保持する上に直接危険を及ぼすと明らかに認められる場合」の外は、許可しなければならないと定めていました。

不許可にできる場合が、絞られていたということです。

注意この判決を変更するという判示は、どこにも出ていません。

判例変更されていないので、今も生きています。

東京都公安条例事件最高裁判所大法廷判決集団暴徒化論平穏静粛な集団であつても、時に昂奮、激昂の渦中に巻きこまれ、甚だしい場合には一瞬にして暴徒と化し、勢いの赴くところ実力によつて法と秩序を蹂躪し……実質において届出制本条例は規定の文面上では許可制を採用しているが、この許可制はその実質において届出制とことなるところがない。

成田新法事件の判示(集会の自由の意義)

事案成田新法事件は、工作物の使用を禁止する命令が争われた事件です。

ここで押さえるのは、集会の自由の意義を述べた部分だけです。

結論集会の自由は、民主主義社会における重要な基本的人権の一つとして特に尊重されなければならないとされました。

理由集会には、次の3つの働きがあるからです。

  • 自分の思想や人格を形成、発展させる場として必要です(自己実現の価値)。
  • 意見や情報を伝達、交流する場として必要です。
  • 対外的に意見を表明するための有効な手段です(自己統治の価値)。

注意「自己実現」「自己統治」という言葉そのものは、判決文には出てきません。

書かれている中身が、学説でいう自己実現と自己統治に一致するということです。

成田新法事件最高裁判所大法廷判決集会の自由の重要性集会は、国民が様々な意見や情報等に接することにより自己の思想や人格を形成、発展させ、また、相互に意見や情報等を伝達、交流する場として必要であり、さらに、対外的に意見を表明するための有効な手段であるから、憲法二一条一項の保障する集会の自由は、民主主義社会における重要な基本的人権の一つとして特に尊重されなければならないものである。

正反対の前提が並んでいる

結論泉佐野・上尾・成田新法は、いずれも集会の自由は重要な人権という前提から始まっています。

東京都公安条例事件だけは、集会は危ないという正反対の前提に立っています。

それでも判例変更はされておらず、両方が並んで生きています。

学説の批判と現在地

結論東京都公安条例事件には、学説から2つの批判があります。

  • 一律の危険視:規模や態様を区別せず一律に危険視すれば、集会の自由の意義そのものが失われます。
  • 許可基準の明確性:許可基準は本当に明確だったのか、という批判です(明確性の原則)。許可推定条項も無いなら、「実質において届出制」とは言えないのではないかと指摘されています。

注意現在地は、次のとおりです。

  • 判例:東京都公安条例事件の判断枠組みは、今も生きています。
  • 答案:許可基準は明確か、不許可事由は限定されているか、救済手続や許可推定条項はあるか、の3条件を1つずつ丁寧に検討します。

広島市暴走族追放条例事件(三要素の物差し)

集団行進の許可制は、3条件で検討します。
では、一般の国民の集まりに対する中止・退去命令は、どのように判断されたのでしょうか。

合憲限定解釈

事案広島市の条例は、市長が暴走族に中止や退去を命令できると定めていました。

被告人は、この命令に違反したとして処罰されました。

被告人側は、条例の「暴走族」の定義が広すぎて、21条1項に違反すると主張しました。

結論「暴走族」は、次の集団に限られると解釈されました(合憲限定解釈)。

  • 暴走行為を目的として結成された、本来的な意味における暴走族
  • 服装、旗、言動などでこれに類似し、社会通念上これと同視することができる集団

理由条例の文言だけを見ると、かなり広く読めたからです。

広島市暴走族追放条例事件最高裁判所判決合憲限定解釈本条例が規制の対象としている「暴走族」は,本条例2条7号の定義にもかかわらず,暴走行為を目的として結成された集団である本来的な意味における暴走族の外には,服装,旗,言動などにおいてこのような暴走族に類似し社会通念上これと同視することができる集団に限られるものと解され……

三要素による判断

結論条例は、21条1項にも31条にも違反するとまではいえないとされました。

次の3つの観点から判断しています。

  • 規制目的の正当性
  • 弊害防止手段としての合理性
  • 規制により得られる利益と失われる利益との均衡

理由限定解釈により、命令をかけられる集団が狭くなりました。

文言のままなら入っていたはずの集まりが外れ、失われる自由がその分だけ狭くなります。

注意判決文が書いていることと、学説の位置づけを混ぜてはいけません。

  • 判決文:猿払事件と成田新法事件の判決を事件番号で引用し、「その趣旨に徴して明らかである」と述べているだけです。
  • 無い言葉:「間接的、付随的」という言葉も、「猿払基準」という呼び方も、判決文には一度も出てきません。
  • 学説の評価:「猿払の緩やかな基準と間接的・付随的制約論が、一般国民の集会規制にまで引き継がれた」というのは、学説による位置づけです。

答案で「猿払基準を使った判決」と書くのは、正確ではありません。

注意この三要素は、公務員の場面で使われた物差しと同じ数え方です。

この事件は公務員でも裁判官でもない、一般の国民が対象でした。

注意反対意見が2人の裁判官から付いています(法廷意見ではありません)。

多数意見に賛成する補足意見も別に付いており、混同しないようにします。

広島市暴走族追放条例事件最高裁判所判決三要素と、猿払・成田新法の引用規制目的の正当性,弊害防止手段としての合理性,この規制により得られる利益と失われる利益との均衡の観点に照らし,いまだ憲法21条1項,31条に違反するとまではいえない……最高裁昭和44年(あ)第1501号同49年11月6日大法廷判決……,最高裁昭和61年(行ツ)第11号平成4年7月1日大法廷判決……の趣旨に徴して明らかである。

31条|第三章 国民の権利及び義務(10〜40条)何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。

結社の自由の内容(5つ)

集会の問題は、場所と衝突から生まれていました。
では、継続的に結合する結社の自由には、どのような中身が含まれるのでしょうか。

結社の自由の5つの内容

定義結社の自由には、次の5つが含まれます。

  • ①結成の自由:結成する自由と、結成しない自由です。
  • ②加入の自由:加入する自由と、加入しない自由です。
  • ③脱退の自由:団体から抜ける自由です。
  • ④意思決定への参加:団体の意思決定に加わる自由です。
  • ⑤内部統制権:構成員を懲戒する権限です。

具体例会社・政党・労働組合・サークル・同窓会は、どれも「結社」に当たります。

注意⑤の内部統制権だけ、他の4つと毛色が違います(第10節)。

注意別の条文で保障される結社があります。

  • 宗教的な結社:20条1項前段で保障されます。
  • 労働組合の結成:28条で保障されます。

20条|第三章 国民の権利及び義務(10〜40条)1項:信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。

28条|第三章 国民の権利及び義務(10〜40条)勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。

結社の自由の捻れ(内部統制権・強制加入団体・破防法)

結社の自由には、構成員を懲戒する内部統制権が含まれています。
では、個人の自由の中に他人を縛る力が入っていることは、どう説明されるのでしょうか。

内部統制権

結論結社の自由は個人の自由のはずなのに、その中身に、他人の自由を縛る内部統制権が含まれています。

それでも、矛盾にはなりません。

理由次の2点によります。

  • 縛る力の中身:構成員が自分たちで決めたこと(④)を守らせる形で、外から降ってくる力ではありません。
  • 抜ける道:加入しない自由(②)と脱退の自由(③)が同じ5つの中にあり、嫌なら入らない・抜ける道が残っています。

具体例内部統制権は、政党が党員を除名する場面や、労働組合が組合員を統制処分する場面につながります。

注意団体が構成員を縛る力にも、限界があります。

強制加入団体

結論強制加入団体は、加入しない自由の直接の制約ですが、合憲とされています。

理由専門職としての専門性や公共性という、別の公共目的で正当化されると説明されます。

具体例税理士会や司法書士会です。

注意強制加入団体では、入らない・抜けるという道が塞がっています。

だから別の正当化が必要になり、会員の政治的な思想・信条までは縛れないという限界も出てきます。

破壊活動防止法の解散指定(補充性)

定義補充性とは、軽い処分では足りないときに限って、重い処分を使えるという要件です。

結論団体の解散の指定は、いきなりは使えない最後の手段です。

条文規制は2段階です。

  • 5条1項:6か月を超えない期間で、集団示威運動・集団行進・公開の集会の禁止、機関誌紙の印刷・頒布の禁止、役職員や構成員の行為の禁止など、活動の一部を制限します。
  • 7条:5条1項の処分では危険を有効に除去できないと認められるときに、初めて解散の指定ができます。

理由解散は、団体の存立そのものに及ぶ重い処分だからです。

注意「暴力主義的破壊活動を行った団体に解散の指定ができる」とだけ覚えると、条文の半分しか押さえていません。

補充性の要件が抜けると、意味が変わってしまいます。

注意学説では、破壊活動防止法の違憲説が有力です。

補充性の要件を正しく押さえたうえで、段階を踏んでもなおこれほど重い制約を団体の存立に及ぼしてよいのか、と主張します。

注意指定を行うのは公安審査委員会で、公安調査庁ではありません。

7条|破壊活動防止法 第二章 破壊的団体の規制(5〜10条)公安審査委員会は、左に掲げる団体が継続又は反覆して将来さらに団体の活動として暴力主義的破壊活動を行う明らかなおそれがあると認めるに足りる十分な理由があり、且つ、第五条第一項の処分によつては、そのおそれを有効に除去することができないと認められるときは、当該団体に対して、解散の指定を行うことができる。

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