予算の法的性格と予算修正権
問い:予算は誰が作り、誰が決めるのか。国会の議決を経た予算は政府を法的に縛るのか、縛るとして法律なのか別の法形式なのか。その答えは、国会が予算を減らす修正・増やす修正にどんな違いを生むのか。予算と法律の片方だけが成立したとき、誰に何の義務があり、予備費は誰が設けて誰が使うのか。
骨組み
- 1国費の支出と債務の負担(条文):国費を支出するにも、国が債務を負担するにも国会の議決が要る()=財政国会中心主義()の歳出面の具体化(歳入面=)。債務の負担は公債・借入金・継続費・国庫債務負担行為などを広く含む(国庫債務負担行為だけではない)
- 2予算の意義と手続(条文・学説):予算=一会計年度における国の歳出歳入の予定的見積りを内容とする、国の財政行為の準則。一会計年度=1年は憲法に明文が無い(通説)・4月1日〜翌年3月31日は財政法11条。作成・提出=内閣(・)/審議・議決=国会。衆議院の先議()・衆議院の優越(=協議会でも不一致/参議院が30日以内に議決しない)
- 3拘束力はあるか(学説):明治憲法下=予算行政説(単なる見積りで政府を法的に拘束しない)が支配的。日本国憲法下=政府を法的に拘束する法規範と解されている。予算行政説は予算の法規範性を無視し、財政国会中心主義()に反するとして、答案ではまず退ける見解
- 4法律か独自の法形式か(学説):予算法律説(法律の一種)と予算法形式説(法律と別の独自の法形式)が対立 → 予算法形式説が妥当。理由=内容(政府だけを拘束し一般国民を拘束しない・効力は一会計年度限り)と手続(提出権は内閣・衆議院の先議権・再議決制が無い)が法律と違う。対立の実益=増額修正の限界(法律説=限界なし/法形式説=の趣旨から限界を認める余地=通説は認める)
- 5減額修正(学説・条文):国会は減額修正できる・限界は無い。根拠=①明治憲法67条のような制限規定が無い ②財政国会中心主義() ③予算は「議決」(・)=「承認」(・ただし書)より強い表現
- 6増額修正(学説):予算法律説=できる・限界なし。予算法形式説=できる(・「議決」)が、内閣に作成・提出権を専属させたの趣旨から、予算の同一性を損なう大きな増額修正はできない(通説)。政府見解も同様(内閣の予算提案権を損なわない範囲で可能)。限界はの趣旨から来る=法形式説を採っても、修正に制限は無いと解する余地はある(短答の正答)
- 7予算と法律の不一致(学説・条文):原因=成立までの手続が違うこと。①法律成立・予算不成立=内閣の誠実執行義務()→予備費の支出などで対処しなければならない ②予算成立・法律不成立=内閣は支出できない→法律案を提出する。国会に可決する義務は無い(通説)
- 8予備費(条文・学説):予見し難い予算の不足に充てるため国会の議決に基いて設け(前段)、内閣の責任で支出(同後段)。すべての支出に事後に国会の承諾()。承諾が得られなくても支出の法的効果に影響は無く、内閣の政治責任の問題(通説)
色の札は出どころ:条文 学説。条文番号は押すと条文が出ます(押せるのは日本国憲法の条文だけ。財政法・国会法・明治憲法の条文番号は文字のまま)。1〜2が予算の入口(と)、3〜4が予算の法的性格、5〜6が国会の予算修正権、7が予算と法律の不一致、8が予備費。この回に判例は無く、法的性格・修正権・不一致の結論は学説の整理。覚える組は「行政説は退ける→法律説か法形式説か→その答えが増額修正の限界の扱いを分ける」「減額は限界なし・増額は同一性まで」「予算不成立でも執行義務・法律不成立なら支出不可」。
1国費の支出と債務の負担()条文
- :国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。=財政国会中心主義(財政民主主義)。
- の具体化は2方向:歳入(お金を集める側)=(あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする)/歳出(使う側)=。
- :国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。=実際にお金を出す場面だけでなく、将来の支払いを約束する場面にも議決が要る。
- 「債務を負担」を具体化する仕組みは財政法に複数ある:公債・借入金(財政法4条1項ただし書=国会の議決を経た金額の範囲内)、継続費(同14条の2=完成に数年度を要する事業の総額と年割額を議決)、国庫債務負担行為(同15条=予め予算をもって国会の議決を経る)。
- 国庫債務負担行為は、法律に基づくものや、歳出予算・継続費の範囲内のもの以外で、国が債務を負担する行為を指す財政法上の名前。の「債務を負担」そのものの定義ではない。
5年かけて庁舎を建てる事業で、総額と各年度の支払額を先に国会で決めておくのは継続費。今年度に契約だけ結んで支払いは翌年度以降になるものは国庫債務負担行為。どちらも将来の支払いを国が約束する点での議決が要る。
- 「国会の議決が要るのは国費を支出するときであり、国が債務を負担するだけでは国会の議決は要らない」(債務の負担にも議決が要る)
- 「にいう国の債務の負担とは、国庫債務負担行為のことである」(公債・借入金・継続費なども含む。国庫債務負担行為はその一つ)
- 「は、財政国会中心主義を歳入の面で具体化したものである」(は歳出面。歳入面は)
2予算の意義と、内閣が作り国会が決める手続(・)条文学説
- 予算=一会計年度における国の歳出歳入の予定的見積りを内容とする、国の財政行為の準則。そのものに定義は書かれていない。
- 一会計年度を1年とすることは憲法に明文が無く、通説としてそう解されている。4月1日に始まり翌年3月31日に終わるのは財政法11条が定める(「ふつう」ではなく法律の定め)。
- :内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。も「予算を作成して国会に提出すること」を内閣の事務とする。=初めから国会が予算を作成することはできない。
- :予算は、さきに衆議院に提出しなければならない(衆議院の先議権)。
- :参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。参議院が衆議院と異なる議決をしたときは、衆議院は両院協議会を求めなければならない(国会法85条1項)。
- 法律案との違い:参議院が議決しないとき、法律案は60日で否決とみなすことができるだけ()で、成立には衆議院の出席議員の3分の2以上での再可決が要る()。予算は30日でそのまま衆議院の議決が国会の議決になる=再議決は要らない。
| 作るのは | 先に出す院 | 参議院が議決しないとき | 両院が割れたとき | |
|---|---|---|---|---|
| 予算 | 内閣だけ(・) | 衆議院() | 30日で衆議院の議決が国会の議決() | 協議会でも不一致なら衆議院の議決が国会の議決() |
| 法律案 | 内閣も議員も出せる | — | 60日で否決とみなすことができる() | 衆議院の出席議員の3分の2以上で再可決() |
出題明文はないが、憲法は会計年度を1年とすることを予定している(○)
- 「会計年度を4月1日から翌年3月31日までとすることは、憲法が定めている」(憲法に明文は無い。財政法11条が定める)
- 「予算は、国会が作成し、内閣がこれを執行する」(作成・提出は内閣。国会は審議・議決)
- 「参議院が衆議院の可決した予算を受け取った後60日以内に議決しないときは、衆議院は出席議員の3分の2以上の多数で再び可決して予算を成立させることができる」(予算は30日で衆議院の議決が国会の議決になる。60日・再可決は法律案)
3拘束力はあるか:予算行政説を退ける学説条文
- 明治憲法下:予算は歳入歳出の単なる見積りで、政府に対する法的拘束力を持たないとする予算行政説が支配的だった。=予算を政府の計画への承認にすぎないと見る考え方が主流だった(制度の事実ではなく学説の見方)。
- 明治憲法でも予算には帝国議会の協賛が要った(明治憲法64条1項「国家ノ歳出歳入ハ毎年予算ヲ以テ帝国議会ノ協賛ヲ経ヘシ」)。=議会の議決が要るというだけでは、明治の予算行政説との違いは出ない。
- 日本国憲法下:予算は政府に対して法的拘束力を持つ法規範と解されている。
- 予算行政説を退ける理由:予算の法規範性を無視しており、財政を国会の議決で処理させる財政国会中心主義()に反する。
- 答案の型:まず予算行政説を退け → 次に予算法律説を退け(→4) → 予算法形式説を採る。
- 「予算行政説は明治憲法下の見解なので、日本国憲法の答案では検討しなくてよい」(答案では、予算の法規範性を無視しに反するとして、まず行政説を退けるところから始める)
- 「予算行政説は、予算を政府に対して法的拘束力を持つ法規範とみる」(単なる見積りで法的拘束力を持たないとみる)
4法律か独自の法形式か:予算法形式説学説条文
- 法規範だとして、その形式は何か:予算法律説=予算は法律の一種/予算法形式説=予算は法律とは異なる独自の法形式。
- 結論:予算法形式説が妥当。予算は政府に対して法的拘束力を持つ法規範だが、法律そのものではない。
- 法律と違う点(基本書は「など」と書く=4点で閉じた列挙ではない):
内容 ①予算は政府を拘束するだけで、一般国民を拘束しない ②効力は一会計年度に限られる
手続 ③提出権は内閣にある(・。法律案は内閣も議員も出せる) ④衆議院に先議権があり()、衆議院の再議決制が無い() - 対立の実益:争っているのは形式だが、その答えが増額修正の限界の扱いを分ける(法律説=限界なし/法形式説=の趣旨から限界を認める余地があり、通説は同一性を損なう大きな増額は不可とする=→6)。「名前だけの争い」ではない。
- 法律という形式でなくても法規範でありうる=形式の問題と拘束力の有無は別の問題。
| 見解 | 法的拘束力 | 法律か | 増額修正 |
|---|---|---|---|
| 予算行政説 | 無い(単なる見積り) | — | —(説自体が退けられる) |
| 予算法律説 | ある | 法律の一種 | できる・限界なし |
| 予算法形式説(妥当) | ある(政府を拘束) | 独自の法形式 | できる・ただし同一性を損なう大きな増額は不可(通説) |
予算に税収の見込みが計上されていても、それを根拠に国民に税を課せるわけではない。課税の根拠は法律()で、予算は政府の側を縛るだけ(①)。
出題予算法律説は、予算の特別な制定手続を59条1項の「特別の定」で説明する(○)予算法形式説から:後法優位で予算により法律を変更でき不一致を解決できる予算法形式説から:予算案の議決方法は原則59条1項で、60条はその例外
- 「予算法律説も予算法形式説も予算の法的拘束力を認めるから、両説の対立に実益は無い」(法律説なら増額修正に限界なし。法形式説なら73条5号の趣旨から限界を認める余地が出る=通説は認める)
- 「予算は、法律と同じく一般国民をも拘束する」(政府を拘束するだけで、一般国民を拘束しない)
- 「予算の効力は、改廃されるまで続く」(一会計年度に限られる)
- 「予算法形式説は、予算は法律ではないから法的拘束力を持たないとする」(法形式説も法規範=政府を法的に拘束するとみる。法律でないのは形式の話)
5減額修正:できる・限界なし学説条文
- 国会は、内閣の作成した予算を減額修正することができ、その修正に限界は無い。
- 根拠①:日本国憲法には、減額を制限する規定が無い。明治憲法67条は、憲法上の大権に基づく既定の歳出と、法律の結果による歳出・法律上政府の義務に属する歳出について、政府の同意なしに議会が廃除・削減できないとしていた(歳出一般ではなく特定の種類の歳出の制限)。
- 根拠②:国会が多すぎると判断して削ることは、財政国会中心主義()による民主的コントロールを働かせることにほかならない。
- 根拠③:予算は「議決」(・)で、条約の「承認」(・ただし書)より強い表現。
- :条約の締結に必要な国会の承認については、前条第二項の規定を準用する。=条約に準用されるのは(衆議院の優越)だけで、先に衆議院へ出す義務()は条約には無い。
- 答案の型(論証)は②③の2つで立てる(①は挙げなくてもよい)。
内閣の予算案にある事業費をまるごと削ってゼロにする修正も、減額修正としてできる。予算全体を否決できる以上、その一部を削れない理由は無い。
出題国会は減額修正できるが、予算の款や項を削除することは許されない(×)
- 「国会の減額修正には、予算の同一性を損なわない範囲という限界がある」(減額修正に限界は無い。同一性の限界は増額修正の話)
- 「日本国憲法にも、政府の同意なく既定の歳出を削減できないとする規定がある」(そのような規定は無い。明治憲法67条にあった)
- 「明治憲法67条は、政府の同意が無ければ議会はおよそ歳出を削減できないとしていた」(大権に基づく既定の歳出・法律上政府の義務に属する歳出などに限られていた)
- 「予算と同じく、条約も衆議院に先に提出しなければならない」(が準用するのはだけ)
6増額修正:できるが、予算の同一性まで学説条文
- 予算法律説:予算を法律の一種とみるので、増額修正もできる・限界は無い(ただしこの説は採らない=→4)。
- 予算法形式説:財政国会中心主義()と「議決」という強い表現から、増額修正もできる。
- ただし限界:専門性・技術性に富む内閣に予算の作成・提出権を専属させたの趣旨から、予算の同一性を損なうような大きな増額修正はできない。増額修正に一定の限界を認める見解が通説。
- 法形式説の通説が限界を認めるのは、予算が法律と違う点の一つ=提出権は内閣(4の③)を、大きな増額が崩すから。限界の根拠はの趣旨で、は増額できる側の根拠。
- 法形式説だから自動的に限界が出る、ではない:限界はの趣旨を重く見て出てくるもの。司法試験の短答では、「予算法形式説に立つと、予算に対する国会の修正に制限は存しないと解することはできない」とする肢が誤りとされた=法形式説に立っても、修正に制限は無いと解することはできる。限界を認めるのは法形式説の中の通説。
- 非対称の理由:大きすぎる増額は実質的に新しい予算の作成になり、の趣旨を没却する。減額は、国会がそもそも予算を否決すればゼロにできる以上、財政国会中心主義の趣旨に合う。
- 政府見解(昭和52年2月・衆議院予算委員会):国会の予算修正は内閣の予算提案権を損なわない範囲内において可能。「予算の同一性」は学説の言い方で、政府見解の言葉は「予算提案権を損なわない範囲」。
- 予算総額の増額修正などをするときは、各議院・委員会は内閣に意見を述べる機会を与えなければならない(国会法57条の3)。
内閣の予算案で奨学金の予算が10億円だったとき、1億円を積み増して11億円にする修正は、内閣が作った枠組みの中で規模を調整するだけ=できる。一気に50億円にして内閣が想定していなかった新しい奨学金制度を作る修正は、実質的に国会が新しい予算を作ることになり=できない方向に動く。
出題予算発案権は内閣に専属するが、国会は減額・増額いずれの修正もできる(○)予算法規範説は修正に制限なし、予算法律説は同一性を損なう大修正は不可とする(×)国会は増額修正できるが、原案に新たな項を加えることはいかなる場合も不可(×)
出題予算法形式説に立つと、国会の修正に制限は無いと解することはできない(×)
- 「予算法形式説を採ると、国会は予算の増額修正をすることができない」(法形式説でも増額修正はできる。できないのは同一性を損なう大きな増額だけ)
- 「通説は、増額修正も減額修正と同じく限界なくすることができるとする」(通説は、の趣旨から、予算の同一性を損なう大きな増額修正はできないとする)
- 「予算法形式説に立つと、予算に対する国会の修正に制限は存しないと解することはできない」(限界はの趣旨から通説が認めるもの。法形式説に立っても、制限は無いと解することはできる)
- 「増額修正の限界の根拠は、の財政国会中心主義にある」(は増額できる根拠。限界の根拠はの趣旨)
7予算と法律の不一致学説条文
- 原因:予算と法律は成立までの手続が違う(提出権・先議・衆議院の優越の形)ので、片方だけが成立する場面が起こりうる。手続の違いは憲法の条文で決まっていて、法的性格のどの説を採っても変わらない。
- ①法律成立・予算不成立(法律は成立したが、その法律の執行に必要な予算が成立していない):(法律を誠実に執行し、国務を総理すること)の誠実執行義務がある以上、内閣は予備費の支出などで対処しなければならない。義務なのは「対処すること」で、予備費の支出や補正予算はその手段。「予算が無いから実行しなくてよい」ではない。
- ①の対処のうち内閣が自分で完結できるのは予備費の支出()。補正予算(財政法29条=法律上・契約上国の義務に属する経費の不足を補うほか、予算作成後に生じた事由で特に緊要となった経費の支出などのための追加、または追加以外の変更)は、内閣が作成して国会の議決を経る。
- ②予算成立・法律不成立(ある目的の予算は成立したが、その予算の執行を命ずる法律が成立していない):その事業を行うのに法律が要る場面(たとえば現行の法律では認められていない新しい装備を購入するには、予算とは別にその法律の改正が要る)では、法律が無い以上、内閣は支出できない。予算の議決があるだけでは足りない。内閣は法律案を作成・提出することになるが、国会に可決する義務は無い(通説)。
- 法律を作るかどうかは国会が決める(立法は国会=)。
| 場面 | 内閣は | 根拠・結論 |
|---|---|---|
| ①法律成立・予算不成立 | 予備費の支出などで対処しなければならない | 誠実執行義務() |
| ②予算成立・法律不成立 | 支出できない・法律案を提出する | 国会に可決義務は無い(通説) |
年度の途中に新しい給付の法律が施行されたのに給付費の予算が無い:法律上国の義務になった経費の不足として、内閣は補正予算を作って国会に出すか、予備費で手当てするなどして対処しなければならない(①)。現行の法律では認められていない新しい装備の購入費が予算に計上されて成立したが、それを認める法律の改正案が否決された:内閣は計上額を支出できず、改めて法律案を出すことはできても、国会に可決させることはできない(②)。
出題支出を命ずる法律が無くても、予算法規範説なら内閣は支出を実行できる(×)法律の執行に必要な予算が無ければ、内閣は補正予算・流用・予備費などで対処する(○)法律と予算の不一致は、予算法形式説に立つと生じない(×)
- 「法律が成立しても、それを執行する予算が成立していなければ、内閣は法律を執行する義務を負わない」(誠実執行義務()から予備費の支出などで対処しなければならない)
- 「予算が成立した以上、その支出の根拠となる法律が成立していなくても、内閣は予算に従って支出することができる」(法律が無い以上、支出できない)
- 「予算が成立し法律が成立していない場合、国会はその法律を成立させる義務を負う」(可決義務は無い=通説)
8予備費()条文学説
- :予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。
- :すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。
- 3段の分担:設ける=国会の議決(1項前段)/支出する=内閣の責任(1項後段)/事後に承諾=国会(2項)。予備費は、内閣が相当と認める金額を歳入歳出予算に計上する形で設けられ(財政法24条)、国会の議決は予算の議決の中で行われる。管理は財務大臣、使用は原則として閣議決定(同35条)。
- 事後承諾が得られなくても、すでにされた支出の法的効果に影響は無い。内閣の政治責任の問題が生じるにとどまる(通説)。
- 補正予算は使う前に国会の議決を経る。予備費は、枠を設けるところだけ国会が議決し、何に使うかは内閣が決め、使った後で国会の承諾を求める。
豪雨被害の応急対応で予備費から支出し、業者への支払いも済んだ後で国会が承諾しなかった。支払いが無効になって業者が返金を迫られることはなく、問われるのは内閣の政治責任。
出題予備費の支出に国会の承諾が得られなければ、契約を解除する正当な事由となる(×)使途が未確定の予備費を設けることには国会の議決を要しない(×)予備費は国会の議決で設けるので、支出について事後に国会の承諾は不要(×)
- 「予備費は、内閣の判断で設け、内閣の責任で支出することができる」(設けるには国会の議決が要る。内閣の責任は支出のところから)
- 「予備費の支出について国会の事後承諾が得られなかったときは、その支出は遡って無効となる」(法的効果に影響は無く、内閣の政治責任の問題にとどまる=通説)
- 「予備費の支出のうち、国会が指定したものに限り、事後に国会の承諾を得なければならない」(「すべて」の予備費の支出について事後承諾が要る)