催告・協議の合意・承認
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第1章 民法総則 #78/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。
「もう少し待って」で何が起きたか
図:冒頭の問い板
- 銀行Aが借主Bに1000万円
- 時効完成まであと1か月に迫った日、Bから電話「すみません、もう少し待ってください。必ずお返しします。」
- 同じころAはBに「払え」という手紙も書いていた
- 手紙は6か月しか時効を止めなかったのに、Bの一言は時効を振り出しに戻した
- 同じ「言葉」で、なぜここまで効き目が違うのか
今回は、Aが訴えを起こす前の場面です。時効の完成まであと1か月に迫った日、Bから電話がかかってきます。「すみません、もう少し待ってください。必ずお返しします。」この一言だけで、Aの1000万円の時効は、振り出しに戻りました。しかも同じころ、AはBに「払ってください」という手紙も書いていました。こちらは6か月しか時効を止めません。同じように言葉を伝えただけなのに、効き目がぜんぜん違うんですね。なぜですか。そこが今日の中心です。今日の問いは、裁判所を使わずに時効を止められるか。先に答えを言うと、止められます。道具は3つ、催告・協議の合意・承認です。そして使う物差しは、前回までとまったく同じ2本のままです。権利行使の意思が明らかになれば完成猶予、権利の存在について確証が得られれば更新。
この2本だけで、今日の3つの道具は全部説明できます。それを、これから確かめていきましょう。
裁判所を使わない、という新しさ
図:前2回の振り分けの基準板をそのまま再掲
- 「権利行使の意思が明らかになった→完成猶予」「権利の存在について確証が得られた→更新」
- 今日の新しさ=裁判所が出てこないこと
本題の前に1問だけ。前回の物差し、覚えていますか?では、訴えを起こしただけの段階と、判決が確定した段階では、どちらが確証まで届いていましたか。判決が確定した段階、ですよね。訴えただけの段階は、まだ意思が明らかになっただけでした。前回までは、訴え・執行・仮差押えという、裁判所を使う手立てを見てきました。今日はここが変わります。催告も、協議の合意も、承認も、裁判所を一度も通しません。電話・手紙・当事者どうしの合意だけで、時効の進み方が動きます。裁判所が確かめていないのに、時効が動いていいんですか。そこは物差しが答えてくれます。時効が権利者を切り捨てるのは、権利の上に眠っているからでした。電話で「払え」と言った人は、もう眠っていません。裁判所を通したかどうかではなく、眠っていたかどうかが効いているんです。
ただし、どこまで変えられるかは別です。裁判所が確かめていない以上、権利の存在の確証までは得られません。だから催告も協議の合意も、猶予止まりで更新には届かない――この先の結論は、全部ここから出てきます。使う基準は前回までと同じです。この2本を、そのまま今日の3つの道具に当てていきます。
催告――裁判外の一言
図:催告の定義図
- 裁判外で「払ってください」と権利行使の意思を伝える行為
- 電話・手紙・メールでもよいが、実務では内容証明郵便が使われる(送った事実と日付を証拠化できるため)
まず1つ目、催告です。前回、名前だけは出てきましたが、中身はここで初めて扱います。催告とは、裁判外で「払ってください」と権利行使の意思を伝える行為です。電話でも、手紙でも、メールでもかまいません。内容証明郵便がよく使われます。いつ、どんな内容を送ったかを、郵便局が証明してくれるからです。後で「そんな催告は受けていない」と言われたときに、証拠になります。
図:150条1項の全文カード板
条文民法150条1項
民法 第百五十条(催告による時効の完成猶予)第一項 催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
催告の時から6か月を経過するまで、時効は完成しません。ここで、いつもの物差しを当ててみましょう。催告で、何が明らかになりましたか。Aが「払ってください」と言った、ということは……権利行使の意思、です。権利行使の意思は明らかになりました。でも、Bが認めたわけでも、裁判所が確かめたわけでもありません。だから、更新はなく、完成猶予止まりです。この6か月は、訴えを起こすための準備期間です。催告そのものは、単独では時効を止めきれません。6か月のうちに、証拠を集めて、本格的に訴えを起こすまでの、つなぎの時間として与えられています。
催告は1回きり
図:150条2項の全文カード板
条文民法150条2項
民法 第百五十条(催告による時効の完成猶予)第二項 催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、前項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない。
良い所に気づきました。それができてしまうと困るから、2項があります。猶予されている間にした再度の催告は、猶予の効力を持ちません。もし繰り返せたら、Aは6か月ごとに手紙を1通出すだけで、時効を永久に完成させないことができてしまいます。それだと、時効という制度そのものが、空文になります。だから、催告は「6か月の時間稼ぎを1回だけ」なんです。
図:時間の帯グラフ
- 催告→6か月の帯
- その中でもう1通催告を出しても、帯は伸びず、6か月の終わりで時効が完成する
図にすると、催告で6か月の帯が1本伸びます。その帯の中でもう1通出しても、帯は伸びません。6か月が終われば、そこで時効は完成してしまいます。
協議しましょう、という合意
図:催告の不満「話し合いたいのに6か月では足りない」に対する2017年改正の答え
2つ目の道具、協議を行う旨の合意です。これは2017年の改正で新しくできた制度です。催告には、さっきの不満がありました。話し合いで解決したいのに、6か月では足りない。かといって、時効を止めるためだけに訴えを起こすのは、双方にとって損です。この声に応えたのが151条です。権利についての協議を行う旨の合意が、書面でされたことです。口約束じゃだめなんですか。だめです。口頭だと、そもそも合意したかどうか自体が争いになります。それでは、猶予がいつ始まったのかも定まりません。だから書面が要ります。ただし、メールや電子契約のような電磁的記録でもかまいません。
図:151条1項の全文カード板
条文民法151条1項
民法 第百五十一条(協議を行う旨の合意による時効の完成猶予)第一項 権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたときは、次に掲げる時のいずれか早い時までの間は、時効は、完成しない。 一 その合意があった時から一年を経過した時 二 その合意において当事者が協議を行う期間(一年に満たないものに限る。)を定めたときは、その期間を経過した時 三 当事者の一方から相手方に対して協議の続行を拒絶する旨の通知が書面でされたときは、その通知の時から六箇月を経過した時
いちばん早い時が猶予の終わりです。1号は、合意から1年。2号は、当事者が1年未満の協議期間を決めていたらその期間。3号は、一方が「もう話し合いはやめます」と書面で通知したら、その通知から6か月です。3号があるおかげで、片方が協議に興味をなくしたときに、相手はいつまでも猶予に頼らず、すぐ訴える準備に入れます。
協議の合意は延ばせる、ただし5年
図:151条2項の全文カード板
条文民法151条2項
民法 第百五十一条(協議を行う旨の合意による時効の完成猶予)第二項 前項の規定により時効の完成が猶予されている間にされた再度の同項の合意は、同項の規定による時効の完成猶予の効力を有する。ただし、その効力は、時効の完成が猶予されなかったとすれば時効が完成すべき時から通じて五年を超えることができない。
さっき、催告は繰り返しがきかない、という話でしたけど、協議の合意はどうなんですか。ここが対比になります。猶予されている間にした再度の合意は、効力を持ちます。催告とは逆の結論です。催告は、Aが一方的に出せます。Bの同意はいりません。でも、協議の合意は、Bも同意しないと成立しません。つまり、AだけでBの時効を止め続けることは、協議の合意ではできないんです。Bが「もう話し合いません」と言えば、さっきの3号で止められます。だから、繰り返しを許しても、抜け穴にはなりません。猶予がなければ時効が完成すべきだった時から、通算5年が上限です。
図:5年の天井の図
図にすると、こうなります。猶予がなければ時効が完成していたはずの時点から数えて、5年のところに天井がある。合意を何度重ねても、帯はこの線で打ち切られます。
催告と協議は積み重ねられない
図:151条3項の全文カード板
条文民法151条3項
民法 第百五十一条(協議を行う旨の合意による時効の完成猶予)第三項 催告によって時効の完成が猶予されている間にされた第一項の合意は、同項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない。同項の規定により時効の完成が猶予されている間にされた催告についても、同様とする。
催告と協議の合意を、交互に使ったらどうなるんですか。そこが3項です。催告の猶予中にした協議の合意も、協議の合意の猶予中にした催告も、どちらも効力を持ちません。催告を繰り返せない話と同じ発想です。もし積み重ねられたら、催告を出して、猶予が切れる直前に協議の合意を結んで、また猶予が切れる直前に催告を出して……と、2つの制度を交互に使うだけで、無限に引き延ばせてしまいます。それを防ぐのが3項です。
図:4パターンの表
ここで、今日出てきた組み合わせを1枚の表にします。催告のあとの催告は、ばつ。協議のあとの協議は、まる。ただし5年の天井つきです。催告のあとの協議も、協議のあとの催告も、どちらも、ばつです。Bの同意がいる制度だけが、繰り返しを許されています。ここまでが、裁判外の”時間稼ぎ”の道具、催告と協議の合意です。どちらも、物差しの左側、権利行使の意思止まりで、更新には届きません。では、ここで1つ試してみましょう。時効の完成直前に、相手が「少し待ってください、必ず払います」と言ったら――これは完成猶予でしょうか、更新でしょうか。
実は、更新です。ここからは、その理由を確かめていきましょう。
承認――本人が認めた瞬間
図:承認の定義図
3つ目、そして今日いちばんの見せ場、承認です。冒頭のBの一言に、ここで戻ります。承認とは、時効の完成前に、時効の利益を受ける側が、権利者に対して「その権利は存在する」という認識を示す行為です。
図:152条1項の全文カード板
条文民法152条1項
民法 第百五十二条(承認による時効の更新)第一項 時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める。
「新たに進行を始める」とは更新のことです。承認は、完成猶予をいっさい経ずに、いきなり更新に届く唯一の事由です。もう一度、物差しに戻りましょう。更新に必要なのは、権利の存在について確証が得られたことでしたね。承認では、それを言うのが誰か、考えてみてください。権利があると、いちばん争いたいはずの本人、つまりBが、自分から「ある」と認めているんです。これ以上確かな確証は、他にありません。裁判所の判決より先に、当の本人が認めてしまっているんです。冒頭に戻りましょう。Bの「もう少し待ってください、必ずお返しします」は、支払を猶予してほしいという申入れです。これは、1000万円の債務があることを前提にした発言、つまり承認です。だから、Aの1000万円の時効は振り出しに戻りました。
同じ「言葉」でも、言った人が誰かで結論が逆転する理由は、物差しの右側、確証に届いたかどうかの違いでした。
何が承認にあたるか
図:承認にあたる具体例4つ
- 一部弁済/利息の支払/支払猶予の申入れ/相殺の主張
- 共通点=「債務があることを前提にした行動」
言葉に限りません。行動も含みます。代表的な例を4つ挙げます。まず、一部弁済。1000万円のうち10万円だけ払ったとしても、残り990万円も含めて承認になります。次に、利息の支払です。これも承認の一種として扱われます。
図:利息の支払が、利息債権だけでなく元本債権の承認にもあたることを示す板
利息だけを払っている場合でも、その利息が発生する元になっている元本の債権を、認めた上での支払いだと扱われます。3つ目が、冒頭のBのような、支払猶予の申入れ。4つ目が、相殺の主張です。相殺は、自分の債務と自分の債権をぶつけて消す主張ですから、その債務があることが前提です。共通する発想は1つです。「債務があることを前提にした行動」は、全部承認になります。ただ黙っているだけでは、承認にはなりません。認識を示す行為が要るからです。同じく、Bが債務そのものを争いながら、「話し合いには応じます」とだけ言った場合も、承認ではありません。それは協議の合意の話であって、債務の存在を認めているわけではないからです。
承認と協議の合意は、見た目が似た場面もありますが、債務の存在を認めているかどうかで区別してください。なお、時効が完成した後にした承認は、今日の話とは別体系です。援用する権利を失う、という信義則の話で、以前扱いました。152条は、あくまで完成前の承認の話です。
承認に要らないのは処分の力
図:152条2項の全文カード板
条文民法152条2項
民法 第百五十二条(承認による時効の更新)第二項 前項の承認をするには、相手方の権利についての処分につき行為能力の制限を受けていないこと又は権限があることを要しない。
かみ砕きます。要らないのは、相手の権利を”処分”するための能力や権限だ、ということです。行為能力がなくても承認はできます。ここが今日の理屈のかなめです。理由は1つだけなんです。承認は、権利を失ったり新しく義務を負ったりする「処分」ではなく、いま現にある権利義務を「確認」するだけの行為だからです。だから2項は、処分の能力と権限だけを外しました。外していないものにぶつかると、結論はまた変わります。そこを4つの場面で見ていきましょう。
図:対比表
1つ目、被保佐人です。被保佐人は、保佐人の同意なく、単独で確定的に承認できます。保佐が同意を要求しているのは、重要な財産上の行為、つまり”処分”です。承認は処分ではないので、保佐の制限がそもそも及びません。未成年者・成年被後見人による承認は、取り消すことができます。さっきと逆の結論ですね。なぜですか。ここは、能力を2つに分けてください。1つは、“処分”の能力——自分の権利を手放してよいかを決める力。もう1つが、“管理”の能力——自分の財産のことを自分で切り回す、土台の力です。
承認は”確認”にすぎませんが、自分の財産のことだと分かって認める以上、土台の”管理”の能力までは要ります。未成年者や成年被後見人にはこの土台の力がないので、2項では救われず、もとの制限行為能力者の制度どおり、取り消しうる行為として扱われます。
図:関係図
- A→B(1000万円の債権)、Bの父C=物上保証人・自分の土地に抵当権を設定
- ①Cが「その借金はあります」と言った場合→主債務の時効は更新されない
- ②Bが「あります」と言った場合→更新され、しかもCとの関係にも及ぶ
ここは、Bの父C、物上保証人の場面で見ましょう。Cは、自分の土地に抵当権をつけていますが、B自身の借金を背負っているわけではありません。主債務の時効は更新されません。ここは行為能力の話でも、2項の権限の話でもありません。Cが、そもそも主債務について「承認」という行為をする立場にあるかどうか、という話です。Cが背負っているのは、あくまで自分の土地を担保に差し出した責任であって、B本人が負っている1000万円そのものを、自分の債務として負っているわけではありません。主債務を負っていない以上、Cは、その主債務について「あります」と認める当事者にすら、なれないんです。だから、Cが認めても、主債務の確証にはなりません。

Bが認めれば、主債務の時効は更新されます。しかも、この更新の効力はCにも及びます。

担保には、主債務があってこそ存在できる、という性質があります。主債務が更新されて生き続ける限り、それに乗っている抵当権も生き続けます。同じ「あります」という一言でも、言ったのがCかBかで、結論がまるで違います。処分ではなく確認だから2項は処分の能力と権限を外した。でも、管理の能力そのものまでは外れていません。さらに物上保証人の場合は、そもそも2項が出てくる手前で、自分の債務について語っているかどうかという入り口の問題があります。この2つの線引きで、4つとも位置が決まります。
動けない人を救う残りの猶予事由
図:共通の発想の板
残る完成猶予事由、158条から161条をまとめて見ます。どれも共通の発想があります。時効の完成が迫っているのに、権利行使の手続をとれない事情がある人を救う規定です。
図:一覧表
1つずつ、理由とセットで見ていきましょう。まず158条1項です。代理人がついていない未成年者・成年被後見人は、時効の完成が迫っても、手続を任せられる相手がいない状態です。この状態のまま時効を迎えないよう、能力者になった時か、代理人が就いた時から6か月、猶予されます。未成年者や成年被後見人が、自分の財産を管理している父や母、あるいは後見人に対して持つ権利の場合です。管理者自身を相手に請求しろというのは、無理があるんです。だから6か月、猶予されます。159条も、同じ発想です。夫婦の一方が他方に対して持つ権利は、婚姻解消の時から6か月猶予されます。
160条は、相続財産に関する権利。相続人が決まる時や、管理人が選ばれる時、破産手続開始決定の時から6か月です。誰が相手か定まらないうちは、請求のしようがありません。天災その他避けることのできない事変で手続がとれないときは、障害が消えた時から3か月です。ここだけ他より短くなっています。天災は、手続そのものが物理的にできない期間です。障害が消えれば、すぐにでも動けます。他の事由みたいに、相手を探したり、代理人が決まるのを待ったりする時間は、もう要らないんです。物差しに戻れば、どれも権利行使の意思が明らかになった話ではなく、単に動けない事情を埋め合わせているだけです。だから、更新はなく、猶予止まりです。
誰と誰の間だけ効くのか
図:153条の全文カード板
条文民法153条
民法 第百五十三条(時効の完成猶予又は更新の効力が及ぶ者の範囲) 第百四十七条又は第百四十八条の規定による時効の完成猶予又は更新は、完成猶予又は更新の事由が生じた当事者及びその承継人の間においてのみ、その効力を有する。 2 第百四十九条から第百五十一条までの規定による時効の完成猶予は、完成猶予の事由が生じた当事者及びその承継人の間においてのみ、その効力を有する。 3 前条の規定による時効の更新は、更新の事由が生じた当事者及びその承継人の間においてのみ、その効力を有する。
最後に、相対効です。前回、154条との対比で一度触れただけの条文を、正面から扱います。猶予や更新の効果は、その事由が生じた当事者と、その承継人の間でしか効きません。他の人には及びません。
図:対応関係図
- 1項=147・148条(裁判上の請求等・強制執行等)
- 2項=149〜151条(仮差押え・催告・協議合意)
- 3項=152条(承認)
1項は147条・148条、つまり訴え・執行のグループ。2項は149条から151条、仮差押え・催告・協議合意のグループ。3項は152条、承認です。番号は分かれていますが、全部に同じ相対効のルールがかかっています。
図:関係図
- A→B・A→D(連帯債務者2人)
- AがBにだけ催告→Bとの関係だけ猶予、Dとの関係は無影響
Bと並んで、Dも連帯債務者——同じ1000万円を、Bと並んで負っている人——だとします。AがBにだけ催告しても、Dの時効は止まりません。催告は、催告を受けたB本人との関係でしか効かないからです。例外は3つだけあります。1つ目、保証人への絶対効。主債務者への猶予・更新は、保証人にも及びます。2つ目、物上保証人への絶対効。さっきの、主債務者の承認がCにも及ぶ、というあの話です。3つ目は、要役地が共有の場合の地役権です。中身は別の回で扱います。どちらも、担保が主債務にぶら下がっている、という同じ根っこから出てきます。主債務が生きていれば、保証人も物上保証人も、その運命に従います。
今日の地図(保存版)
図:まとめ板
- 1枚目=冒頭のBの一言は承認で更新、Aの手紙は催告で猶予止まり
- 2枚目=時効障害の全事由の一覧表(147・148=猶予→更新/149=猶予のみ/150・151=猶予のみ/152=いきなり更新/158〜161=猶予のみ)
- 3枚目=物差しは最初から最後まで2本だけ
冒頭のBに戻りましょう。「もう少し待ってください」は承認で、Aの1000万円は振り出しに戻りました。一方、Aが送った手紙は催告で、6か月しか止めませんでした。3回かけて歩いてきた時効障害の全事由を、最後に1枚で見ておきましょう。訴えと執行、147条・148条は猶予から更新へ。仮差押えの149条は猶予だけ。150条・151条も猶予だけ。152条だけが、いきなり更新。158条から161条は、また猶予だけです。使った物差しは、最初から最後まで、この2本だけでした。権利行使の意思が明らかになれば完成猶予、権利の存在について確証が得られれば更新。最後に1問だけ。Bが利息だけを払い続けていたら、元本の時効はどうなりますか?
利息を払うのは、元本の債務があることを前提にした行動だから……承認になって、元本の時効も更新される。しかも「払います」と口に出していなくても、行動が債務の存在を前提にしていれば足ります。そこまで出てくれば、今日の理屈は身についています。これで、時効の進み方は全部そろいました。次からは、時効そのものの中身――使い続けたら自分の物になるという、取得時効に入ります。
参照条文
- 民法150条1項
- 民法150条2項
- 民法151条1項
- 民法151条2項
- 民法151条3項
- 民法152条1項
- 民法152条2項
- 民法153条