民法ゼロから民法#280

組合の財産関係・損益分配・脱退・解散

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第5章 契約 #280/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。

組合の借金は、誰の財布から払うのか

冒頭の設例 キッチンカーの仕入れ代金100万円が未払いのまま残った。仕入れ先Dは、組合の売上金だけでなく、Aの個人の預金にも手を出せるか。逆に、Aに個人的にお金を貸しているFは、キッチンカーの売上金に手を出せるか。 図:冒頭の設例 キッチンカーの仕入れ代金100万円が未払いのまま残った

  • 仕入れ先Dは、組合の売上金だけでなく、Aの個人の預金にも手を出せるか
  • 逆に、Aに個人的にお金を貸しているFは、キッチンカーの売上金に手を出せるか

記号も引き継ぎます。3人の友人はA、B、C、仕入れ先はDです。前回は、組合の契約と、中の決め方、外との契約の結び方を見ました。今日は、組合のお金の話です。設例です。100万円の仕入れ代金が、払えないまま残りました。もう1人、登場させます。Aには、個人的にお金を貸している人がいます。Fとします。逆向きの問いです。Fは、キッチンカーの売上金や車に、手を出せるでしょうか。どっちも、すぐには答えが出ません。この2つの問いの答えは、今日の前半で出します。条文でいうと、675条と677条です。

今日の地図。①組合の財産は誰のものか(668条・676条)②組合の債権と債務(676条2項・675条)③組合員の債権者(677条)④損益の分け方(674条)⑤組合員が入れ替わるとき(677条の2・678条〜681条・680条の2)⑥組合が終わるとき(682条〜688条)。軸=誰の財産に、誰が手を出せるか。 図:今日の地図

  • ①組合の財産は誰のものか(668条・676条)②組合の債権と債務(676条2項・675条)③組合員の債権者(677条)④損益の分け方(674条)⑤組合員が入れ替わるとき(677条の2・678条〜681条・680条の2)⑥組合が終わるとき(682条〜688条)
  • 軸=誰の財産に、誰が手を出せるか

今日の道筋です。まず、組合の財産が誰のものかを見ます。次に、組合の債権と債務が、誰に帰属するかを見ます。ここで、冒頭の2つの問いに答えます。そのあと、損益の分け方です。続けて、組合員が入れ替わる場面、つまり加入と脱退を見ます。最後に、組合が終わるときの流れを、条文の地図で押さえます。軸は1本です。誰の財産に、誰が手を出せるのか。

組合の財産は誰のものか 合有

組合財産の帰属(668条)。各組合員の出資その他の組合財産は、総組合員の共有に属する。組合には法人格がない→組合そのものは財産の持ち主になれない→組合員全員の共有、と条文が定める。 図:組合財産の帰属

  • 668条
  • 各組合員の出資その他の組合財産は、総組合員の共有に属する。組合には法人格がない→組合そのものは財産の持ち主になれない→組合員全員の共有、と条文が定める。

1つめの問いは、組合の財産は誰のものか、です。条文です。

条文民法668条

民法第668条 各組合員の出資その他の組合財産は、総組合員の共有に属する。

読み方です。各組合員が出した物や、組合が事業で手に入れた物は、組合員全員の共有に属します。組合には法人格がありません。ですから、組合そのものは、財産の持ち主になれません。そこで条文は、組合員全員の共有に属する、と書きます。共有と書いてあるなら、前に見た共有と同じ扱いなんですか?違います。前回、講学上、つまり学問の上では、合有と呼ぶ、と言いました。合有では、組合員一人一人に潜在的な持分があります。その持分は、抜けるときまで、おもてに出てきません。権利能力なき社団の回で、点線で描いた持ち方です。どこが違うのかを、これから見ます。

定着の問い(共有)。ふつうの共有では、共有者は自分の持分を自由に処分でき、いつでも共有物の分割を請求できたか。 図:定着の問い

  • 共有
  • ふつうの共有では、共有者は自分の持分を自由に処分でき、いつでも共有物の分割を請求できたか。

復習を1問です。ふつうの共有では、共有者は自分の持分を自由に処分できて、いつでも分割を請求できたでしょうか?持分は自由に売れて、分割の請求も、いつでもできました。256条です。組合では、この2つの扱いが違います。組合の財産は、組合の目的である共同の事業を進めるための手段だからです。1人の都合で動かせると、手段として使えなくなります。条文です。

条文民法676条

民法第676条 組合員は、組合財産についてその持分を処分したときは、その処分をもって組合及び組合と取引をした第三者に対抗することができない。 2 組合員は、組合財産である債権について、その持分についての権利を単独で行使することができない。 3 組合員は、清算前に組合財産の分割を求めることができない。

合有の中身①②(676条1項・3項)。1項=持分を処分しても、組合および組合と取引をした第三者に対抗できない。3項=清算前は、組合財産の分割を求められない。例=AがGに自分の持分を売っても、組合にも仕入れ先Dにも対抗できない/Aが「抜ける前に財産を分けてくれ」と求めることもできない。 図:合有の中身①②

  • 676条1項・3項
  • 1項=持分を処分しても、組合および組合と取引をした第三者に対抗できない。3項=清算前は、組合財産の分割を求められない。例=AがGに自分の持分を売っても、組合にも仕入れ先Dにも対抗できない
  • Aが「抜ける前に財産を分けてくれ」と求めることもできない。

今日は、1項と3項から読みます。2項は、次の節で見ます。1項です。組合員が、組合財産についての持分を処分しても、その処分を、組合にも、組合と取引をした第三者にも、対抗できません。対抗できないとは、その処分があったと主張して、相手に認めさせることができない、という意味です。例です。Aが、キッチンカーの財産の「自分の分」を、Gに売ったとします。Gは、組合にも、組合と取引をした仕入れ先のDにも、自分が持分を買ったと主張できません。無効になる、とまでは言えません。処分すること自体は、止められていません。ただ、組合にも、組合と取引をした第三者にも、それを主張できないのです。3項です。組合員は、清算前に、組合財産の分割を求められません。例です。Aが、「抜ける前に、財産を分けてくれ」と求めても、組合は応じなくてかまいません。清算が始まる前だからです。

256条の共有との差が、ここに出ます。Aは、組合から抜けたら、何も受け取れないんですか?受け取れます。抜けるときは、自分の持分を、払い戻してもらえます。その条文は、あとで読みます。清算の前に分けてくれと求めることと、抜けるときに持分の払戻しを受けることは、別の話です。財産を分けるのは、組合の事業を畳む清算のときです。これも、あとで地図を見ます。

組合の債権 単独では請求できない

組合債権(676条2項)。組合員は、組合財産である債権について、その持分についての権利を単独で行使できない。例=組合が取引先Eに60万円の代金債権を持つ→AがEに「自分の持分の20万円を払え」とは請求できない。427条の分割債権にはならない。 図:組合債権

  • 676条2項
  • 組合員は、組合財産である債権について、その持分についての権利を単独で行使できない。例=組合が取引先Eに60万円の代金債権を持つ→AがEに「自分の持分の20万円を払え」とは請求できない。427条の分割債権にはならない。

次は、組合の債権です。676条2項を、もう一度読みます。組合員は、組合財産である債権について、その持分についての権利を、単独で行使できません。例です。組合が、取引先のEに、60万円の代金債権を持っています。Eは、組合のキッチンカーで開いた出張販売の代金を、まだ払っていません。請求できません。676条2項が、持分についての権利を、単独で行使することを禁じています。理由は、1項・3項と同じ筋です。組合の債権も組合財産の1つです。427条を思い出してください。債権者が複数いる債権は、別段の意思表示がなければ、各債権者が平等の割合で権利を持つ、分割債権でした。分割債権なら、20万円は、Aが単独で請求できたはずです。組合の債権は、そうなりません。

組合の債権は、組合員一人一人に割り振られず、全員にまとめて帰属しています。これを、合有的に帰属する、と言います。Eに請求するときは、共同で行使します。誰が組合員を代理するかは、前回の組合代理に戻ります。ここまでは、プラスの財産です。次は、マイナスの財産、つまり債務です。

組合の債務と各組合員の責任 設例に答える

定着の問い(675条)。仕入れ先Dは、組合の財産だけでなく、A個人の預金にも手を出せるか。 図:定着の問い

  • 675条
  • 仕入れ先Dは、組合の財産だけでなく、A個人の預金にも手を出せるか。

ここで、冒頭の設例に戻ります。仕入れ代金100万円が、払えていません。1問です。Dは、A個人の預金にも手を出せるでしょうか? 組合の財産だけでしょうか?迷うところです。権利能力なき社団と組合を比べた回で、一度読んだ条文です。改めて確かめます。

条文民法675条

民法第675条 組合の債権者は、組合財産についてその権利を行使することができる。 2 組合の債権者は、その選択に従い、各組合員に対して損失分担の割合又は等しい割合でその権利を行使することができる。ただし、組合の債権者がその債権の発生の時に各組合員の損失分担の割合を知っていたときは、その割合による。

675条の選択肢。仕入れ先Dの100万円の未払い(損失分担 A5割・B3割・C2割)。Dは①組合財産から回収/②A50万円・B30万円・C20万円(損失分担の割合)/③A・B・Cから3分の1ずつ(等しい割合)を選べる。債権の発生の時に5・3・2を知っていたとき→③は選べず、①か②。 図:675条の選択肢

  • 仕入れ先Dの100万円の未払い(損失分担 A5割・B3割・C2割)
  • Dは①組合財産から回収
  • ②A50万円・B30万円・C20万円(損失分担の割合)
  • ③A・B・Cから3分の1ずつ(等しい割合)を選べる
  • 債権の発生の時に5・3・2を知っていたとき→③は選べず、①か②

1項です。組合の債権者は、組合財産に対して、権利を行使できます。これは、当然です。組合の借金ですから、組合の財産から回収できます。2項本文です。それに加えて、組合の債権者は、その選択に従い、各組合員に対しても権利を行使できます。各組合員とは、A、B、C、それぞれ個人のことです。ここで、言葉を1つ決めます。固有財産です。組合の財産とは別の、各組合員が個人として持っている財産のことです。A個人の預金は、Aの固有財産です。債権者代位権と詐害行為取消権の回で、債権者が、債務の弁済のために当てにできる財産を、責任財産と呼びました。組合の債権者にとっての責任財産は、組合財産と、各組合員の固有財産の両方に広がります。冒頭の問いの答えは、手を出せる、です。DはA個人の預金も、差し押さえの対象にできます。組合の債務は、組合員全員の合有に属するのに加えて、一定の割合で組合員個人にも帰属します。だから、組合の財産のほか、各組合員の固有財産にも及びます。

100万円全部を、Aから取れるんですか?違います。ここが大事です。Aに請求できるのは、損失分担の割合、または等しい割合の額です。損失分担の割合を、Aが5割、Bが3割、Cが2割と、取り決めていたとします。Dには、選べる道が3つあります。1つめは、組合財産から回収することです。2つめは、損失分担の割合で、各組合員に請求することです。Aから50万円、Bから30万円、Cから20万円です。3つめは、等しい割合で請求することです。3人で等しく割るので、A、B、Cのそれぞれに、3分の1ずつです。Dは、自分に有利な方を選べます。それが、その選択に従い、の意味です。ただし書きです。Dが、債権の発生の時に、各組合員の損失分担の割合を知っていたときは、その割合によります。Dが、仕入れの契約をしたときに、5割、3割、2割の取り決めを知っていたなら、等しい割合の3つめは選べません。組合財産から回収するか、5、3、2の割合で請求するかです。

条文の文言は、債権の発生の時に知っていたとき、です。あとから知ったのでは、足りません。

損失分担の割合の決まり方(674条)。①当事者が定めたらその割合(1項の反対解釈)②利益又は損失の一方だけ定めたら、利益及び損失に共通と推定(2項)③何も定めなければ、各組合員の出資の価額に応じる(1項)。675条の「損失分担の割合」と接続。 図:損失分担の割合の決まり方

  • 674条
  • ①当事者が定めたらその割合(1項の反対解釈)②利益又は損失の一方だけ定めたら、利益及び損失に共通と推定(2項)③何も定めなければ、各組合員の出資の価額に応じる(1項)。675条の「損失分担の割合」と接続。

この損失分担の割合は、どう決まるのか。それは、損益分配を定める674条とつながります。あとの節で見ます。ここは、論文で論点になりうるところです。

プラスとマイナス 帰属の違い

プラスの財産とマイナスの財産。組合債権(プラス)=組合員全員の合有財産/組合員個人には帰属しない(676条2項)。組合債務(マイナス)=組合員全員の合有財産であるのに加え、一定の割合で組合員個人にも帰属する(675条)。 図:プラスの財産とマイナスの財産

  • 組合債権(プラス)=組合員全員の合有財産/組合員個人には帰属しない(676条2項)
  • 組合債務(マイナス)=組合員全員の合有財産であるのに加え、一定の割合で組合員個人にも帰属する(675条)

ここで、2つを並べます。676条2項と、675条です。組合の債権、つまりプラスの財産は、組合員全員の合有財産です。組合員個人には帰属しません。Aは、自分の持分の20万円を、単独で請求できませんでした。組合の債務、つまりマイナスの財産は、組合員全員の合有財産です。それに加えて、一定の割合で、組合員個人にも帰属します。Dは、Aの固有財産にも手を出せました。短答では、この対比をそのまま問われます。

組合員の債権者は組合財産に手を出せない

組合員の債権者(677条)。組合員の債権者は、組合財産についてその権利を行使することができない。例=Aに個人的に20万円を貸しているFは、キッチンカーの売上金や車に手を出せない。 図:組合員の債権者

  • 677条
  • 組合員の債権者は、組合財産についてその権利を行使することができない。例=Aに個人的に20万円を貸しているFは、キッチンカーの売上金や車に手を出せない。

次は、冒頭の2つめの問いです。Aに個人的にお金を貸しているFは、キッチンカーの売上金に手を出せるでしょうか。条文です。

条文民法677条

民法第677条 組合員の債権者は、組合財産についてその権利を行使することができない。

読み方です。組合員の債権者は、組合財産について、権利を行使できません。答えは、手を出せない、です。Fは、Aに20万円を貸しています。でも、キッチンカーの売上金や車は、組合財産です。Aの固有財産ではありません。理由は、676条のところと同じ筋で整理できます。組合財産は、共同の事業を進めるための手段です。Aの個人の貸し手がそこから回収できるとすると、Aの都合で組合の財産が減り、事業が回らなくなります。Aが個人として持っている預金や持ち物には、届きます。届かないのは、組合財産だけです。この境目が、2つの条文のちがいです。Aの預金は、Dも、Fも、手を出せます。キッチンカーの売上金は、Dは手を出せて、Fは手を出せません。組合の借金は、個人にも及びます。組合員個人の借金は、組合財産には及びません。向きが逆です。

相殺の扱い。Fは、組合に20万円の支払債務を負っている(組合がFへの出張販売で得た代金債権)。Fは、Aに対する貸金債権でこの債務を相殺して済ませることはできない。条文に相殺の文言はない→677条の考え方から、相殺もできないと説明される。理由=認めると、組合員の債権者が組合財産から債権を回収したのと同じになるから。 図:相殺の扱い

  • Fは、組合に20万円の支払債務を負っている(組合がFへの出張販売で得た代金債権)
  • Fは、Aに対する貸金債権でこの債務を相殺して済ませることはできない
  • 条文に相殺の文言はない→677条の考え方から、相殺もできないと説明される
  • 理由=認めると、組合員の債権者が組合財産から債権を回収したのと同じになるから

もう1つ、相殺の話があります。次の例です。組合が、Fに出張販売をして、20万円の代金債権を持っています。つまりFは、組合に20万円を払う立場です。Fは、Aに貸した20万円があります。これを使って、「Aへの貸金と、組合への支払いを、差し引きにして済ませたい」と考えたとします。ところが、これはできないと説明されています。ここは、区別して押さえます。677条の条文に、相殺という言葉は、ありません。条文が禁じているのは、組合財産への権利行使です。その677条の考え方から、相殺もできない、と説明されます。理由はこうです。相殺を認めると、Fは、組合に払うはずの20万円を払わずに済みます。それは、組合員の債権者が、組合財産から債権を回収したのと同じことになるからです。条文そのものとしてではなく、677条の帰結として押さえてください。

手を出せる財産の図 共有・合有・総有

組合の債権者と組合員の債権者が手を出せる財産。行=組合財産/A・B・C個人の固有財産。列=組合の債権者(D)/組合員の債権者(F)。D=組合財産○(675条1項)・各組合員の固有財産○(割合の額・675条2項)。F=組合財産×(677条)・Aの固有財産○(もともとの債権者)。 図:組合の債権者と組合員の債権者が手を出せる財産

  • 行=組合財産/A・B・C個人の固有財産
組合の債権者(D)組合員の債権者(F)
D組合財産○(675条1項)・各組合員の固有財産○(割合の額・675条2項)
F組合財産×(677条)・Aの固有財産○(もともとの債権者)

ここで、今日の主役の図です。手を出せる財産を、1枚にまとめます。表の左側に並ぶのは、2つです。組合財産と、A、B、C個人の固有財産。表の上に並ぶのも、2つです。組合の債権者のDと、組合員の債権者のFです。Dは、組合財産に○です。675条1項です。各組合員の固有財産にも○です。ただし、割合に応じた額です。675条2項です。Fは、組合財産に×です。677条です。Aの固有財産には○です。もともと、Aに貸した債権者だからです。喩えで整理します。金庫が組合財産、財布が固有財産です。金庫の中身は、1人では持ち出せません。Dは、金庫を開けられて、さらに、割合に応じて、各人の財布にも手が届きます。Fは、Aの財布までです。金庫は開けられません。ただし、喩えは喩えです。答案では、組合財産と固有財産という、条文の語に戻して書いてください。一言で言うと、組合の債務は個人にも及び、組合員個人の債務は組合財産に及ばない、です。

共有・合有・総有の対比。持分の処分=共有は自由/合有は組合および組合と取引をした第三者に対抗できない(676条1項)/総有は持分そのものがない。分割請求=共有はいつでも(256条1項)/合有は清算前はできない(676条3項)/総有は返ってくる取り分がない。構成員の個人責任=共有は団体の債務という形がなく、債務があれば共有者個人の債務/合有は損失分担の割合または等しい割合で個人にも及ぶ(675条)/総有は構成員は個人責任を負わない。 図:共有・合有・総有の対比

  • 持分の処分=共有は自由/合有は組合および組合と取引をした第三者に対抗できない(676条1項)/総有は持分そのものがない
  • 分割請求=共有はいつでも(256条1項)/合有は清算前はできない(676条3項)/総有は返ってくる取り分がない
  • 構成員の個人責任=共有は団体の債務という形がなく、債務があれば共有者個人の債務/合有は損失分担の割合または等しい割合で個人にも及ぶ(675条)/総有は構成員は個人責任を負わない

次に、共有、合有、総有の3つを、1枚の表にします。表の左側に並ぶのは、持分の処分、分割請求、構成員の個人責任です。総有は、権利能力なき社団の財産の持ち方でした。前回の写真サークルのような団体です。構成員には持分そのものがなく、財産は、団体として全員にまとめて属します。持分の処分です。共有は、自由です。合有は、組合と、組合と取引をした第三者に、対抗できません。総有は、そもそも持分がありません。分割請求です。共有は、いつでもできます。合有は、清算前はできません。総有は、返ってくる取り分がありません。構成員の個人責任です。共有には、そもそも団体がありません。団体の借金という形はなく、債務があれば、それぞれの共有者個人の債務です。合有は、今日見たとおり、損失分担の割合などで個人にも及びます。総有は、権利能力なき社団の回で見たとおり、構成員は個人責任を負いません。引き当てになるのは、社団の財産だけです。

財産は動かしにくいのに、借金は個人にも及ぶ。合有の特徴は、この組合せです。

損益の分け方

損益分配(674条)。1項=当事者が定めなかったときは、各組合員の出資の価額に応じて定める。2項=利益又は損失についてのみ分配の割合を定めたときは、利益及び損失に共通と推定。例=損失だけA5・B3・C2と決めた→利益の分け方も同じ割合と推定される。 図:損益分配

  • 674条
  • 1項=当事者が定めなかったときは、各組合員の出資の価額に応じて定める。2項=利益又は損失についてのみ分配の割合を定めたときは、利益及び損失に共通と推定。例=損失だけA5・B3・C2と決めた→利益の分け方も同じ割合と推定される。

損益の分け方です。組合の事業で生じた利益や損失は、組合員に分配されます。条文です。

条文民法674条

民法第674条 当事者が損益分配の割合を定めなかったときは、その割合は、各組合員の出資の価額に応じて定める。 2 利益又は損失についてのみ分配の割合を定めたときは、その割合は、利益及び損失に共通であるものと推定する。

1項です。当事者が、損益分配の割合を定めなかったときは、各組合員の出資の価額に応じて定めます。何も取り決めていなければ、出した価値が大きい人ほど、取り分も損失も大きくなる、という整理です。2項です。利益、または損失の一方についてだけ、割合を定めたときは、その割合は、利益にも損失にも共通と推定されます。例です。損失はAが5割、Bが3割、Cが2割とだけ決めて、利益の分け方は決めなかったとします。利益も、同じ5、3、2で分けると推定されます。推定は、反対の事情があれば覆ります。利益には別の割合を適用する合意があった、という事情が示されれば、そちらが優先します。さきほどの675条の、損失分担の割合も、ここにつながります。定めがあれば、その割合です。損失の割合だけを定めたなら、それが利益にも共通になります。何も定めていなければ、出資の価額に応じます。

財産関係のまとめ

財産関係のまとめ。組合財産=総組合員の共有(668条)だが、持分の処分は対抗できず(676条1項)、清算前は分割を求められない(同3項)。組合債権=単独で行使できない(676条2項)。組合の債権者=組合財産と、各組合員(損失分担の割合又は等しい割合。債権の発生の時に割合を知っていたときは割合のみ)に(675条)。組合員の債権者=組合財産に行使できない(677条)。損益分配=定め→出資の価額(674条)。 図:財産関係のまとめ

  • 組合財産=総組合員の共有(668条)だが、持分の処分は対抗できず(676条1項)、清算前は分割を求められない(同3項)
  • 組合債権=単独で行使できない(676条2項)
  • 組合の債権者=組合財産と、各組合員(損失分担の割合又は等しい割合。債権の発生の時に割合を知っていたときは割合のみ)に(675条)
  • 組合員の債権者=組合財産に行使できない(677条)
  • 損益分配=定め→出資の価額(674条)

ここまでの財産関係を、整理します。組合の財産は、組合員全員の共有に属すると書かれます。ただし、持分を処分しても対抗できず、清算の前に分割も求められません。組合の債権は、単独では行使できません。組合の債権者は、組合財産と、各組合員に権利を行使できます。各組合員には、損失分担の割合または等しい割合です。債権の発生の時に損失分担の割合を知っていたときは、その割合だけです。組合員の債権者は、組合財産には行使できません。冒頭の問いの答えです。DはA個人の預金にも手を出せます。Fは、組合財産、つまりキッチンカーの売上金や車には手を出せません。損益の分け方は、定めがあればそれ、なければ出資の価額に応じます。ここからは、組合員が入れ替わる場面です。入る、出る、そして終わる、の順に見ます。

組合に入る 加入

加入(677条の2)。1項=組合員は、その全員の同意によって、又は組合契約の定めるところにより、新たに組合員を加入させることができる。2項=組合の成立後に加入した組合員は、その加入前に生じた組合の債務については、これを弁済する責任を負わない。例=4人目のHが加入→加入前のDへの未払い100万円は、Hが自分の固有財産で弁済する責任を負わない。 図:加入

  • 677条の2
  • 1項=組合員は、その全員の同意によって、又は組合契約の定めるところにより、新たに組合員を加入させることができる。2項=組合の成立後に加入した組合員は、その加入前に生じた組合の債務については、これを弁済する責任を負わない。例=4人目のHが加入→加入前のDへの未払い100万円は、Hが自分の固有財産で弁済する責任を負わない。

組合に入る場面です。加入です。条文です。

条文民法677条の2

民法第677条の2 組合員は、その全員の同意によって、又は組合契約の定めるところにより、新たに組合員を加入させることができる。 2 前項の規定により組合の成立後に加入した組合員は、その加入前に生じた組合の債務については、これを弁済する責任を負わない。

1項です。組合員は、その全員の同意によって、または組合契約の定めるところにより、新たに組合員を加入させられます。前回、組合は、構成員どうしが契約で直接つながるので、既にいる全員の同意が要る、と見ました。1項は、それを受けた条文です。組合契約に定めがあれば、その定めによります。2項です。加入した組合員は、加入前に生じた組合の債務については、弁済する責任を負いません。例です。キッチンカーに、4人目のHが加わりました。Dへの未払い100万円は、Hが加わる前に生じた債務です。Hは、加入前の債務について、自分の固有財産で弁済する責任を負いません。一方で、組合の財産は、Hを含む組合員全員の合有になります。Hが出資した物も、その組合財産に入ります。Dの側から見ます。Dが100万円の取引をしたとき、Hはまだ組合員ではありませんでした。Hが入っても、この100万円で個人の財布に手が届く相手は、A、B、Cの3人のままです。出る側との対比は、あとで並べます。

組合から抜ける 脱退の種類

脱退の地図(任意脱退と非任意脱退)。任意脱退(678条)=組合員の意思にもとづく。非任意脱退(679条)=死亡・破産手続開始の決定・後見開始の審判・除名。除名(680条)=正当な事由がある場合に限り、他の組合員の一致によってできる(通知しなければ対抗できない)。 図:脱退の地図

  • 任意脱退と非任意脱退
  • 任意脱退(678条)=組合員の意思にもとづく。非任意脱退(679条)=死亡・破産手続開始の決定・後見開始の審判・除名。除名(680条)=正当な事由がある場合に限り、他の組合員の一致によってできる(通知しなければ対抗できない)。

次は、組合から抜ける場面です。脱退です。脱退は、2つに分けて整理します。組合員の意思にもとづく任意脱退と、組合員の意思にもとづかない非任意脱退です。任意脱退は、678条です。非任意脱退は、679条と680条です。条文です。

条文民法678条

民法第678条 組合契約で組合の存続期間を定めなかったとき、又はある組合員の終身の間組合が存続すべきことを定めたときは、各組合員は、いつでも脱退することができる。ただし、やむを得ない事由がある場合を除き、組合に不利な時期に脱退することができない。 2 組合の存続期間を定めた場合であっても、各組合員は、やむを得ない事由があるときは、脱退することができる。

1項です。組合の存続期間を定めなかったとき、またはある組合員の終身の間、組合が存続すべきことを定めたときは、各組合員は、いつでも脱退できます。ただし書きです。やむを得ない事由がある場合を除き、組合に不利な時期には、脱退できません。例です。キッチンカーを、期間を決めずに始めたとします。Cは、いつでも抜けられます。イベントの準備中のような時期は、ただし書きの「組合に不利な時期」に当たりえます。大きなイベントの直前など、組合に不利な時期は、やむを得ない事由がなければ、脱退できません。2項です。存続期間を定めた場合でも、各組合員は、やむを得ない事由があるときは、脱退できます。整理します。期間を定めなかった場合は、いつでも脱退できて、不利な時期だけ制限されます。期間を定めた場合は、やむを得ない事由が必要です。

条文民法679条

民法第679条 前条の場合のほか、組合員は、次に掲げる事由によって脱退する。 一 死亡 二 破産手続開始の決定を受けたこと。 三 後見開始の審判を受けたこと。 四 除名

次に、非任意脱退です。前条の場合のほか、組合員は、次の事由によって脱退します。死亡、破産手続開始の決定を受けたこと、後見開始の審判を受けたこと、除名です。例です。Aが、病気で亡くなったとします。これは、1号の死亡です。Aは、組合員でなくなります。4号の除名を、続けて読みます。

条文民法680条

民法第680条 組合員の除名は、正当な事由がある場合に限り、他の組合員の一致によってすることができる。ただし、除名した組合員にその旨を通知しなければ、これをもってその組合員に対抗することができない。

組合員の除名は、正当な事由がある場合に限り、他の組合員の一致によってできます。ただし書きです。除名した組合員に、その旨を通知しなければ、除名を、その組合員に対抗できません。例です。Bが、出資の金額をごまかしていたとします。これは、正当な事由になりえます。AとCが、一致して除名を決めます。そして、Bに通知します。必要なのは、Bを除いた、他の組合員の一致です。Bの同意は要りません。そして、Bに通知しなければ、Bには対抗できません。通知は、除名の効力を主張するための条件です。前回、出資しない組合員と離れる道は、解除とは別に用意されている、と言いました。除名は、その道の1つです。1人が脱退しても、組合は続きます。続けて、抜けた人の財産と責任を見ます。

抜けるときの精算 持分の払戻しと、前の借金

持分の払戻し(681条)。1項=脱退した組合員と他の組合員との間の計算は、脱退の時における組合財産の状況に従う。2項=脱退した組合員の持分は、出資の種類を問わず、金銭で払い戻すことができる。3項=脱退の時にまだ完了していない事項は、その完了後に計算できる。 図:持分の払戻し

  • 681条
  • 1項=脱退した組合員と他の組合員との間の計算は、脱退の時における組合財産の状況に従う。2項=脱退した組合員の持分は、出資の種類を問わず、金銭で払い戻すことができる。3項=脱退の時にまだ完了していない事項は、その完了後に計算できる。

脱退した人は、何を受け取れるのか。681条です。

条文民法681条

民法第681条 脱退した組合員と他の組合員との間の計算は、脱退の時における組合財産の状況に従ってしなければならない。 2 脱退した組合員の持分は、その出資の種類を問わず、金銭で払い戻すことができる。 3 脱退の時にまだ完了していない事項については、その完了後に計算をすることができる。

1項です。計算は、脱退の時における組合財産の状況に従います。2項です。脱退した組合員の持分は、出資の種類を問わず、金銭で払い戻すことができます。例です。Bが、調理器具を出資して、脱退します。Bは、器具そのものを返してもらえなくてもかまいません。金銭で払い戻してよいのです。払い戻されるのは、出した物そのものではありません。脱退の時の組合財産の状況から計算した、持分です。3項です。脱退の時にまだ完了していない事項は、その完了後に計算できます。676条のところで、抜けるときには持分の払戻しを受けられる、と言いました。その条文が、これです。

定着の問い(680条の2)。Dへの100万円が残ったままCが脱退した。Cは、脱退前に生じた組合の債務について、責任を負うか。 図:定着の問い

  • 680条の2
  • Dへの100万円が残ったままCが脱退した。Cは、脱退前に生じた組合の債務について、責任を負うか。

ここで、冒頭の設例の続きです。Dへの100万円は、まだ払われていません。この状態で、Cが脱退しました。1問です。Cは、脱退前に生じたこの債務について、責任を負うでしょうか?条文で確かめます。

条文民法680条の2

民法第680条の2 脱退した組合員は、その脱退前に生じた組合の債務について、従前の責任の範囲内でこれを弁済する責任を負う。この場合において、債権者が全部の弁済を受けない間は、脱退した組合員は、組合に担保を供させ、又は組合に対して自己に免責を得させることを請求することができる。 2 脱退した組合員は、前項に規定する組合の債務を弁済したときは、組合に対して求償権を有する。

脱退前の債務(680条の2)。1項=脱退した組合員は、脱退前に生じた組合の債務について、従前の責任の範囲内で弁済する責任を負う。債権者が全部の弁済を受けない間は、組合に担保を供させ、又は免責を得させることを請求できる。2項=弁済したときは、組合に対して求償権を有する。例=損失分担2割のCが脱退→Dが損失分担の割合で請求するなら20万円。 図:脱退前の債務

  • 680条の2
  • 1項=脱退した組合員は、脱退前に生じた組合の債務について、従前の責任の範囲内で弁済する責任を負う。債権者が全部の弁済を受けない間は、組合に担保を供させ、又は免責を得させることを請求できる。2項=弁済したときは、組合に対して求償権を有する。例=損失分担2割のCが脱退→Dが損失分担の割合で請求するなら20万円。

1項前段です。脱退した組合員は、脱退前に生じた組合の債務について、従前の責任の範囲内で、弁済する責任を負います。答えは、責任を負う、です。Cは、抜けても、脱退前に生じたDへの債務の責任が残ります。Cの損失分担の割合が2割で、Dが損失分担の割合で請求するなら、20万円です。1項後段です。債権者が全部の弁済を受けない間は、Cは、組合に担保を供させたり、組合に対して自分に免責を得させることを請求できます。免責を得させるとは、組合が債権者に払うなどして、Cを責任から外させることです。2項です。Cが弁済したときは、組合に対して、求償権を持ちます。

なぜ求償できるのか。鍵は、さきほどの681条の払戻しの計算です。払戻額を計算するときは、脱退前に生じた組合の債務を、マイナスの資産として差し引くのが通常です。つまりCの払戻額は、Dへの100万円を差し引いたうえで計算されるのが通常です。この借金は、計算の上では、組合の側に残っています。それをCが払うのは、組合の債務、つまり他人の債務を払ったことになります。ですから、組合に求償できる、という筋です。

加入と脱退の対比。加入(677条の2第2項)=加入前に生じた組合の債務は、弁済する責任を負わない。脱退(680条の2)=脱退前に生じた組合の債務は、従前の責任の範囲内で弁済する責任を負う。入る側は軽く、出る側は残る。 図:加入と脱退の対比

  • 加入(677条の2第2項)=加入前に生じた組合の債務は、弁済する責任を負わない
  • 脱退(680条の2)=脱退前に生じた組合の債務は、従前の責任の範囲内で弁済する責任を負う
  • 入る側は軽く、出る側は残る

さきほどの加入と、並べます。加入は、加入前に生じた債務について、弁済する責任を負いません。677条の2第2項です。脱退は、脱退前に生じた債務について、従前の責任の範囲内で、責任が残ります。680条の2です。2つの条文を並べると、債権者から見れば、加入も脱退も、それまでの債務の責任を変えない、という見え方になります。

組合が終わるとき 解散と清算の地図

解散と清算の流れ(682条〜688条)。解散事由(682条)=①組合の目的である事業の成功又はその成功の不能 ②組合契約で定めた存続期間の満了 ③組合契約で定めた解散の事由の発生 ④総組合員の同意。解散請求(683条)=やむを得ない事由があるとき各組合員は請求できる。解散の効力=将来に向かってのみ(684条→620条の準用。前段=将来に向かってのみ)。清算(685条〜688条)=清算人が現務の結了・債権の取立てと債務の弁済・残余財産の引渡し/残余財産は出資の価額に応じて分割(688条3項)。 図:解散と清算の流れ

  • 682条〜688条
  • 解散事由(682条)=①組合の目的である事業の成功又はその成功の不能 ②組合契約で定めた存続期間の満了 ③組合契約で定めた解散の事由の発生 ④総組合員の同意。解散請求(683条)=やむを得ない事由があるとき各組合員は請求できる。解散の効力=将来に向かってのみ(684条→620条の準用。前段=将来に向かってのみ)。清算(685条〜688条)=清算人が現務の結了・債権の取立てと債務の弁済・残余財産の引渡し
  • 残余財産は出資の価額に応じて分割(688条3項)。

最後は、組合が終わるときです。ここは、条文を順に見ていきます。流れは3段です。解散事由が生じる、組合が将来に向かって消滅する、清算をして財産を分ける。まず、解散事由です。682条に、4つあります。

条文民法682条

民法第682条 組合は、次に掲げる事由によって解散する。 一 組合の目的である事業の成功又はその成功の不能 二 組合契約で定めた存続期間の満了 三 組合契約で定めた解散の事由の発生 四 総組合員の同意

1つめは、組合の目的である事業の成功、またはその成功の不能。2つめは、組合契約で定めた存続期間の満了。3つめは、組合契約で定めた解散の事由の発生。4つめは、総組合員の同意です。683条です。やむを得ない事由があるときは、各組合員は、組合の解散を請求できます。解散すると、組合は、最初から無かったことになるんですか?なりません。684条が620条を準用します。620条は賃貸借の解除の条文で、前段が、効力は将来に向かってのみ生ずる、と定めています。それが、解散にも準用されます。解散した組合は、解散のときから先に向かって、消滅します。それまでに生じた効果は、残ります。例です。解散の前に、Dと結んだ仕入れの契約や、Eへの代金債権は、解散しても消えません。だから、このあとの清算で、Dに払い、Eから取り立てるのです。解散のあとは、清算です。685条です。清算は、総組合員が共同して、またはその選任した清算人がします。清算人の選任は、組合員の過半数で決めます。686条は、清算人に業務執行者の規定の一部を準用します。687条は、組合員の中から選任した清算人に、672条を準用します。清算人にも、前回見た業務執行者の決まりの一部が当てはまる、ということです。

条文民法688条

民法第688条 清算人の職務は、次のとおりとする。 一 現務の結了 二 債権の取立て及び債務の弁済 三 残余財産の引渡し 2 清算人は、前項各号に掲げる職務を行うために必要な一切の行為をすることができる。 3 残余財産は、各組合員の出資の価額に応じて分割する。

688条です。清算人の職務は、現務の結了、債権の取立てと債務の弁済、残余財産の引渡しです。現務の結了とは、やりかけの仕事を片づけることです。2項では、清算人は、必要な一切の行為ができます。残余財産は、各組合員の出資の価額に応じて分割します。688条3項です。例です。キッチンカーの事業を畳みます。清算人はAでかまいません。清算人は、仕入れ先のDへの未払いを弁済します。そのあとで、残った売上金を分けます。分けるのは、債務を片づけたあとです。損益分配は、674条の割合でした。残余財産の分け方は、出資の価額に応じる、688条3項です。別の条文です。

今日のまとめ

今日のまとめ。財産=組合財産は総組合員の共有だが、持分の処分は対抗できず(676条1項)、清算前は分割を求められない(同3項)。債権=単独で行使できない(676条2項)。債務=組合財産と、各組合員(損失分担の割合又は等しい割合。債権の発生の時に割合を知っていたときは割合のみ)に(675条)。組合員の債権者=組合財産に及ばない(677条)。損益分配=定め→出資の価額(674条)。加入前の債務は負わない(677条の2第2項)/脱退前の債務は残る(680条の2)。解散は将来に向かって・残余財産は出資の価額に応じて分割。 図:今日のまとめ

  • 財産=組合財産は総組合員の共有だが、持分の処分は対抗できず(676条1項)、清算前は分割を求められない(同3項)
  • 債権=単独で行使できない(676条2項)
  • 債務=組合財産と、各組合員(損失分担の割合又は等しい割合。債権の発生の時に割合を知っていたときは割合のみ)に(675条)
  • 組合員の債権者=組合財産に及ばない(677条)
  • 損益分配=定め→出資の価額(674条)
  • 加入前の債務は負わない(677条の2第2項)/脱退前の債務は残る(680条の2)
  • 解散は将来に向かって・残余財産は出資の価額に応じて分割

今日の内容を整理します。組合の財産は、組合員全員の共有に属すると書かれますが、持分を処分しても対抗できず、清算の前に分割も求められません。組合の債権は、単独では行使できません。組合の債務は、組合財産のほか、各組合員にも、損失分担の割合または等しい割合で及びます。債権の発生の時に損失分担の割合を知っていたときは、その割合だけです。組合員の債権者は、組合財産に手を出せません。冒頭の設例です。DはA個人の預金にも手を出せます。Fは、組合財産、つまりキッチンカーの売上金や車には手を出せません。損益の分け方は、定めがあればそれ、なければ出資の価額に応じます。入る側は、加入前の債務を負いません。出る側は、脱退前の債務の責任が残ります。脱退するときは、持分を金銭で払い戻してもらえます。組合が終わるときは、解散で将来に向かって消滅し、清算人が債務を片づけて、残りを出資の価額に応じて分けます。次は、終身定期金と和解を見ます。

参照条文

  • 民法668条
  • 民法676条
  • 民法675条
  • 民法677条
  • 民法674条
  • 民法677条の2
  • 民法678条
  • 民法679条
  • 民法680条
  • 民法681条
  • 民法680条の2
  • 民法682条
  • 民法688条

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