民法ゼロから民法#334

強制認知と準正

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第7章 親族 #334/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。

父が認知しないまま亡くなった

冒頭の設例。A(母)・C(父)・D(子)。AとCは婚姻していない。時間軸=Dの出生(2018年4月1日)→Cが認知届を出さないまま死亡(2026年5月11日)。Cは生前「自分の子だ」と話していた。問い=Dは、Cの死後に父子関係を認めてもらえるか。期限はあるか。 図:冒頭の設例

  • A(母)・C(父)・D(子)
  • AとCは婚姻していない
  • 時間軸=Dの出生(2018年4月1日)→Cが認知届を出さないまま死亡(2026年5月11日)
  • Cは生前「自分の子だ」と話していた
  • 問い=Dは、Cの死後に父子関係を認めてもらえるか
  • 期限はあるか

認知されないまま、父が亡くなりました。今日の問いは、2つです。Dさんは、Cさんの死後に、父子関係を認めてもらえるか。そして、期限はあるのか、です。予想は、置いておいてください。答えは、山場で出します。前の回では、認知は、届出か遺言でする要式行為で、一度した認知は取り消せないこと、血縁がない認知には、無効の訴えがあることを見ました。今回のCさんは、自分から、認知しませんでした。

今日の地図。1つめ=強制認知(死後でも・期限・起算点)/2つめ=認知の効果と準正/3つめ=冒頭の答え合わせ/4つめ=5つの訴えの選び分け。貫く軸=父が動かなくても、子の側から、裁判で父子関係を決める道があるか。その道を含めて、5つの訴えをどう選ぶか。 図:今日の地図

  • 1つめ=強制認知(死後でも・期限・起算点)/2つめ=認知の効果と準正/3つめ=冒頭の答え合わせ/4つめ=5つの訴えの選び分け
  • 貫く軸=父が動かなくても、子の側から、裁判で父子関係を決める道があるか
  • その道を含めて、5つの訴えをどう選ぶか

今日の地図です。1つめ。強制認知です。死後でもできるのか、期限はあるのか、期限はいつから数えるのか。2つめ。認知の効果と、準正。3つめ。冒頭の問いに、答えます。4つめ。ここまでに出てきた5つの訴えを、場面ごとに選び分けます。貫く軸は1本です。父が動かなくても、子の側から、裁判で父子関係を決める道があるか。そして、その道を含めて、5つの訴えを、どう選ぶか、です。

強制認知 認知の訴え

強制認知(認知の訴え・787条)。原告=子・その直系卑属・これらの者の法定代理人。形成訴訟(判決の確定で認知の効果が生じる)。手続=父の生存中は、まず家庭裁判所へ調停の申立て(調停前置)。被告=父の生存中は父・死亡後は検察官。出訴期間=父の生存中はいつでも・死亡後は死亡の日から3年(787条ただし書)。 図:強制認知

  • 認知の訴え・787条
  • 原告=子・その直系卑属・これらの者の法定代理人。形成訴訟(判決の確定で認知の効果が生じる)。手続=父の生存中は、まず家庭裁判所へ調停の申立て(調停前置)。被告=父の生存中は父・死亡後は検察官。出訴期間=父の生存中はいつでも・死亡後は死亡の日から3年(787条ただし書)。

父が認知しない場合です。冒頭のDさんの場面です。子の側から、裁判で、父子関係を決めてもらう。強制認知です。787条です。

条文民法787条

民法第787条(認知の訴え) 子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができる。ただし、父又は母の死亡の日から三年を経過したときは、この限りでない。

起こせる人は、子、その直系卑属、または、これらの者の法定代理人です。Dさんが未成年なら、法定代理人のAさんが、起こします。認知の訴えは、形成訴訟です。形成訴訟とは、判決によって、新しい法律関係を作る訴えです。判例を見ます。

判例最高裁判所第二小法廷判決 昭和29年4月30日(民集8巻4号861頁)

認知の訴えの性質 ……そして認知は嫡出でない子とその父母との間の法律上の親子関係を創設するものであること等を考えると、認知の訴は、現行法上これを形成の訴であると解するのを相当とする。

認知は、法律上の親子関係を、創設するものです。だから、認知の訴えは、形成の訴えです。判決が確定すると、認知の効果が生じます。手続です。父が生きている場合は、認知の訴えを起こす前に、まず、家庭裁判所に調停を申し立てます。これを、調停前置と言います。家事事件手続法257条です。親子かどうかは、家庭の事情に深く関わります。いきなり公開の法廷で争う前に、まず、非公開の話し合いで解決を目指す、という趣旨です。調停が成立しなければ、訴えです。被告は、父が生きていれば、父です。父が亡くなったあとは、検察官です。人事訴訟法44条1項です。訴えには、相手方の席が要ります。父が亡くなって空いたその席に、公益を代表する検察官が、父に代わって座ります。ですから、父の死後でも、認知の訴えは、起こせます。

ただし、期限があります。787条ただし書です。父が生きている間は、期間の制限はありません。亡くなったら、死亡の日から3年です。

設例S1の時間軸。Cの死亡=2026年5月11日。初日は算入しない(140条)→2026年5月12日から数える→年で定めた期間は、応当日の前日に満了(143条2項)→2029年5月11日(金)まで。 図:設例S1の時間軸

  • Cの死亡=2026年5月11日
  • 初日は算入しない(140条)→2026年5月12日から数える→年で定めた期間は、応当日の前日に満了(143条2項)→2029年5月11日(金)まで

冒頭の設例で数えます。Cさんが亡くなったのは、2026年5月11日です。期間の初日は算入しないので、5月12日から数えます。年で定めた期間は、暦に従い、応当日、つまり3年後の同じ日付の、5月12日の前日に満了します。期間の数え方の回で見た決まりです。ですから、期限は、2029年5月11日、金曜日です。ここで問いです。死亡から3年を過ぎてから、死亡が分かったら、もう認知の訴えは起こせないのでしょうか?変形の設例で考えます。Cさんは、行方不明のまま、2026年5月11日に亡くなりました。死亡が分かったのは、2029年6月11日です。期限から、1か月ほどあとです。その間、Dさんは、戸籍の上では、AさんとCさんの嫡出子として載っていました。Aさんが、保管していたC名義の婚姻届と出生届を、提出したからです。のちに、届出の無効を理由に、戸籍が訂正され、戸籍上の父子関係は、なくなりました。Aさんは、Dさんの法定代理人として、2029年11月12日に、認知の訴えを起こしました。条文どおりなら、期限は2029年5月11日で、過ぎています。判例を見ます。

判例最高裁判所第二小法廷判決 昭和57年3月19日(民集36巻3号432頁)

死亡から3年の起算点 このような場合にも、……もはや認知請求を許さないとすることは、認知請求権者に酷に失するものというべきである。右出訴期間を定めた法の目的が身分関係の法的安定と認知請求権者の利益保護との衡量調整にあることに鑑みると、本件の前記事実関係のもとにおいては、他に特段の事情が認められない限り、右出訴期間は、Eの死亡が客観的に明らかになつた昭和五三年一二月初め頃から起算することが許されるものと解するのが相当である。

読み解きます。判旨のEが父、つまり設例のCさんです。この判例が挙げる事情は、2つあります。①死亡の日から3年以内に、認知の訴えを起こさなかったことが、やむをえなかったこと。②仮に起こしても、目的を達することができなかったこと。この2つがそろう本件のような場合には、他に特段の事情がなければ、出訴期間は、父の死亡が客観的に明らかになった時から、起算してよい、とされました。設例に当てはめます。Dさんは、戸籍の上では、すでにCさんの嫡出子でした。認知は、嫡出でない子について、父子関係を作るものです。戸籍の上で、Cさんの嫡出子の身分を取得していた間は、認知の訴えを起こしても、目的を達することはできませんでした。しかも、Cさんは行方不明で、3年以内に起こせなかったのも、やむをえません。2つの事情が当てはまります。ですから、起算点は、死亡が客観的に明らかになった、2029年6月11日です。2029年11月12日の提起は、適法です。決め手は、衡量です。この期間を定めた目的は、身分関係の法的安定と、認知を求める側の利益の保護の、バランスをとることです。この事情のもとで、もう認知を許さないのは、認知を求める側に、酷だからです。注意があります。判旨が挙げる事情は、2つです。死亡を知らなかった、というだけで、起算点が動くとは、この判例からは言えません。ここは、論文で論点になりうる箇所です。もう1点。認知請求権は、放棄できません。判例です。

判例最高裁判所第三小法廷判決 昭和37年4月10日(民集16巻4号693頁)

認知請求権の放棄 子の父に対する認知請求権は、その身分法上の権利たる性質およびこれを認めた民法の法意に照らし、放棄することができないものと解するのが相当である

読み解きます。判旨は、認知請求権を、身分法上の権利と位置づけ、その性質から、放棄できないとします。親子かどうかという身分関係は、当事者の合意で自由に処分できる財産とは違う、という発想です。金銭を受け取る代わりに、認知の訴えは起こさない、という約束も、無効です。同じ判決は、認知請求権は、長い年月、行使しなかったからといって、行使できなくなるものではない、とも述べます。父の生きている間は、期限がない、ということです。

認知の効果と準正

認知の効果(784条)。出生の時にさかのぼって効力(遡及効)・ただし第三者が既に取得した権利は害せない。子の氏=母の氏のまま(790条2項)。親権=母が行う(819条4項・協議で父母の双方又は父を親権者と定められる)。認知後の子の監護(766条〜766条の3)は父が認知する場合に準用(788条)。 図:認知の効果

  • 784条
  • 出生の時にさかのぼって効力(遡及効)・ただし第三者が既に取得した権利は害せない。子の氏=母の氏のまま(790条2項)。親権=母が行う(819条4項・協議で父母の双方又は父を親権者と定められる)。認知後の子の監護(766条〜766条の3)は父が認知する場合に準用(788条)。

認知がされると、どうなるのでしょう。784条です。

条文民法784条

民法第784条(認知の効力) 認知は、出生の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者が既に取得した権利を害することはできない。

任意認知でも、強制認知でも、認知は、子が生まれた時にさかのぼって効力を生じます。これを遡及効と言います。さかのぼって効力が生じる、という意味です。ただし、第三者がすでに取得した権利は、害せません。典型は、相続です。認知の前に、他の相続人が、すでに遺産を分けていたとき、どう扱うかは、相続の章で見ます。認知されたら、父の子として、父の氏になるんですか。なりません。嫡出でない子は、母の氏を称します。790条2項です。認知されても、氏は、母の氏のままです。親権も、母が行います。819条4項です。父母の協議で、父母の双方、または父を、親権者と定めることもできます。この全体は、親権の回で見ます。認知されたあとの、子の監護については、766条から766条の3までの規定が、父が認知する場合に準用されます。788条です。子と会う方法や、費用の分担を、父母で定める規定です。

準正(789条)。婚姻準正(1項)=認知→婚姻。父が認知した子は、その父母の婚姻によって嫡出子の身分を取得。効力=婚姻の時から。認知準正(2項)=婚姻→認知。婚姻中に父母が認知した子は嫡出子の身分を取得。条文は「その認知の時から」だが、通説は婚姻の時から効力が生じるとする。3項=子が既に死亡していても準用。 図:準正

  • 789条
  • 婚姻準正(1項)=認知→婚姻。父が認知した子は、その父母の婚姻によって嫡出子の身分を取得。効力=婚姻の時から。認知準正(2項)=婚姻→認知。婚姻中に父母が認知した子は嫡出子の身分を取得。条文は「その認知の時から」だが、通説は婚姻の時から効力が生じるとする。3項=子が既に死亡していても準用。

続いて、準正です。準正とは、嫡出でない子が、父母の婚姻と、父の認知によって、嫡出子の身分を取得する制度です。789条です。

条文民法789条

民法第789条(準正) 1 父が認知した子は、その父母の婚姻によって嫡出子の身分を取得する。 2 婚姻中父母が認知した子は、その認知の時から、嫡出子の身分を取得する。 3 前二項の規定は、子が既に死亡していた場合について準用する。

順番が、2通りあります。1項は、認知が先で、婚姻があとです。婚姻準正と言います。認知した子は、父母の婚姻の時から、嫡出子になります。2項は、婚姻が先で、認知があとです。認知準正と言います。婚姻中に、父母が認知した子は、嫡出子になります。冒頭の3人で、Cさんが生きていたとします。CさんがDさんを認知し、そのあとAさんとCさんが婚姻すれば、婚姻準正です。先にAさんとCさんが婚姻し、そのあとCさんがDさんを認知すれば、認知準正です。効力が生じる時期にも、違いがあります。婚姻準正は、婚姻の時からです。認知準正は、条文の文言は、その認知の時から、です。ただし、子の利益を守るために、婚姻の時から効力が生じる、と解するのが通説です。認知が婚姻の前か後か、という順番の違いだけで、嫡出子になる時期がずれるのは、子にとって不公平だからです。例えば、婚姻から1年後に認知したなら、条文の文言どおりでは、その1年間は、嫡出でない子のままです。通説では、婚姻の日から嫡出子です。ここは、論文で論点になりうる箇所です。準正の実益は、嫡出子の身分そのものです。例えば、父母の婚姻中は、父母の双方が親権者になります。3項は、子がすでに亡くなっていても、準正が準用される、という規定です。なお、婚姻が取り消されても、準正の効果は、続きます。婚姻の取消しは、離婚と同じく、そこから先に向かってだけ、婚姻を終わらせるからです。748条1項です。

冒頭の3人で、Dさんが生まれたあと、出生届をまだ出さないうちに、AさんとCさんが婚姻したとします。そのあと、2人が、Dさんについて、嫡出子としての出生届を出しました。まだ認知はしていません。それでも、この届は、認知の届出の効力を持ちます。戸籍法62条です。婚姻と認知がそろうので、認知準正で、Dさんは嫡出子になります。前の回の出生届の転換は、婚姻していない父が出した届を、判例が認知届として扱う話でした。こちらは、婚姻した父母の届を、法律が直接、認知届として扱う規定です。

冒頭の答え 死後でも3年

冒頭の答え。(1)認知の訴えを提起できる(787条・Dは未成年なので法定代理人Aが提起・被告は検察官)(2)手続=調停前置は父の生存中の手続・Cは死亡しているので検察官を被告に認知の訴え(3)期限=死亡の日から3年=2029年5月11日まで。変形=死亡が判明したのは2029年6月11日→戸籍上の嫡出子の記載があり判旨の2つの事情に当たる→起算点は死亡が客観的に明らかになった時→2029年11月12日の提起は適法。 図:冒頭の答え

  • (1)認知の訴えを提起できる(787条・Dは未成年なので法定代理人Aが提起・被告は検察官)(2)手続=調停前置は父の生存中の手続・Cは死亡しているので検察官を被告に認知の訴え(3)期限=死亡の日から3年=2029年5月11日まで
  • 変形=死亡が判明したのは2029年6月11日→戸籍上の嫡出子の記載があり判旨の2つの事情に当たる→起算点は死亡が客観的に明らかになった時→2029年11月12日の提起は適法

冒頭の答えを出します。1つめ。Dさんは、認知の訴えを起こせます。Dさんは未成年なので、法定代理人のAさんが起こします。被告は、Cさんが亡くなっているので、検察官です。2つめ。訴えの前に調停を申し立てるのは、父が生きている場合の手続です。今回は、Cさんが亡くなっているので、検察官を被告にして、認知の訴えを起こします。3つめ。期限は、Cさんの死亡の日から3年です。2029年5月11日までに、起こせば足ります。変形です。死亡の判明が、期限から1か月あとで、戸籍上の嫡出子の記載があった事情のもとでは、起算点は、死亡が客観的に明らかになった時です。2029年11月12日の提起でも、適法です。

5つの訴えの選び分け

5つの訴えの選択表。推定が及ぶ嫡出子=嫡出否認の訴え・父/子/母/前夫・原則3年(777条)。推定が及ばない子=親子関係不存在確認の訴え・制限なし(確認の利益)・期間の制限なし。重婚で推定が重なる=父を定める訴え・子/母/前婚の配偶者/後婚の配偶者・条文に定めなし。認知がされたが血縁がない=認知の無効の訴え・子(法定代理人)/認知をした者/子の母・原則7年(786条)。父が認知しない=認知の訴え・子/直系卑属/これらの者の法定代理人・父の生存中はいつでも・死亡後は死亡の日から3年。 図:5つの訴えの選択表

  • 推定が及ぶ嫡出子=嫡出否認の訴え・父/子/母/前夫・原則3年(777条)
  • 推定が及ばない子=親子関係不存在確認の訴え・制限なし(確認の利益)・期間の制限なし
  • 重婚で推定が重なる=父を定める訴え・子/母/前婚の配偶者/後婚の配偶者・条文に定めなし
  • 認知がされたが血縁がない=認知の無効の訴え・子(法定代理人)/認知をした者/子の母・原則7年(786条)
  • 父が認知しない=認知の訴え・子/直系卑属/これらの者の法定代理人・父の生存中はいつでも・死亡後は死亡の日から3年

ここで問いです。親子関係不存在確認の回で見た、推定が及ばない子の父子関係は、どの訴えで争うのでしたか?親子関係不存在確認の訴えです。原告にも期間にも、制限がありませんでした。その回のまとめ板に、1行、空きが残っていました。認知に関する訴えです。今日、その行が埋まります。5つの訴えが、そろいました。

訴えを選ぶ順序(2段)。1段目=婚姻中の妻の子として772条で夫の子と推定されるか・それが及ぶか→推定が及ぶ=嫡出否認の訴え/重婚で推定が2つ重なる=父を定める訴え(再婚は772条3項で直近の婚姻の夫に決まる=この訴えは使わない)/形のうえでは推定が立つのに懐胎のころ夫婦が関係を持てなかったことが外から見て明らか=推定の及ばない子=親子関係不存在確認の訴え。2段目=推定がそもそも立たない子(婚姻していない男女の子・離婚から301日目以降の子)=嫡出でない子→認知がされている=認知の無効の訴え/されていない=認知の訴え。 図:訴えを選ぶ順序(2段)

  • 1段目=婚姻中の妻の子として772条で夫の子と推定されるか・それが及ぶか→推定が及ぶ=嫡出否認の訴え
  • 重婚で推定が2つ重なる=父を定める訴え(再婚は772条3項で直近の婚姻の夫に決まる=この訴えは使わない)
  • 形のうえでは推定が立つのに懐胎のころ夫婦が関係を持てなかったことが外から見て明らか=推定の及ばない子=親子関係不存在確認の訴え。2段目=推定がそもそも立たない子(婚姻していない男女の子・離婚から301日目以降の子)=嫡出でない子→認知がされている=認知の無効の訴え
  • されていない=認知の訴え。

選ぶ順序は、1本です。①子が、婚姻中の妻の子として、772条で夫の子と推定されるか。推定が及ぶ、とは、日付の条件を満たして推定が立ち、それがそのまま働く、ということです。推定され、それが及ぶなら、嫡出否認です。重婚で、推定が2つ重なるなら、父を定める訴えです。再婚なら、772条3項で直近の婚姻の夫に決まるので、この訴えは使いません。②形のうえでは推定が立つのに、懐胎のころ、夫婦が関係を持てなかったことが、外から見て明らかな子。推定の及ばない子です。夫との父子関係を外すのは、不存在確認です。③推定が、そもそも立たない子。つまり、婚姻していない男女の子や、離婚から301日目以降に生まれた子です。離婚から300日目までが、推定の線でした。この子は嫡出でない子で、父は認知で決まります。認知がされているなら、それを争う、無効の訴え。されていないなら、認知を求める、認知の訴えです。

事例で選ぶ。Q1=離婚し再婚しないまま離婚から320日目に生まれた子・もとの夫Bは自分の子だと考えている。Q2=婚姻していないCが認知届を出した・血縁がないと分かり認知から4年後に争いたい。Q3=婚姻していないCがだまされて認知した・血縁はある・取り消したい。Q4=婚姻中に生まれた子・夫Cが5年後に血縁がないと知った。 図:事例で選ぶ

  • Q1=離婚し再婚しないまま離婚から320日目に生まれた子・もとの夫Bは自分の子だと考えている
  • Q2=婚姻していないCが認知届を出した・血縁がないと分かり認知から4年後に争いたい
  • Q3=婚姻していないCがだまされて認知した・血縁はある・取り消したい
  • Q4=婚姻中に生まれた子・夫Cが5年後に血縁がないと知った

事例で選びます。Q1。Aさんは、もとの夫Bさんと離婚し、再婚しないまま、離婚から、320日目に、Dさんを産みました。Bさんは、Dさんを自分の子だと考えています。どの訴えでしょうか?離婚から301日目以降ですから、前の夫の子だという推定が、そもそも立ちません。嫡出でない子として、認知で決まります。Bさんが認知届を出せばよくて、出さなければ、認知の訴えで、被告はBさんです。嫡出否認の訴えではありません。Q2。AさんとCさんは、婚姻していません。Cさんは、認知届を出しました。あとから、血縁がないと分かり、認知から4年後に争いたい、とします。

血縁がない認知は、認知の無効の訴えで争います。認知をした者の出訴期間は、認知の時から7年以内なので、認知から4年なら間に合います。ひっかけは、取消しでも、親子関係不存在確認でもない、ことです。Q3。AさんとCさんは、婚姻していません。Cさんは、だまされて、認知しました。ただ、血縁はあります。取り消したい、とします。血縁があるので、無効の訴えは使えません。だまされたことを理由にした取消しも、785条で認められません。この場面では、無効の訴えも、取消しも、使えません。Q4。AさんとCさんは、婚姻していて、Dさんは、婚姻中に生まれました。Cさんは、5年後に、血縁がないと知りました。

嫡出否認の訴えと認知の訴えの出訴期間の比較。同じ点=3年。違い=数え始め(嫡出否認=夫なら子の出生を知った時から/認知の訴え=父の死亡の日から・父の生存中は制限なし)。推定が及ぶ子は3年を過ぎると不存在確認も使えない。重婚で父が一人に絞れない=父を定める訴え。 図:嫡出否認の訴えと認知の訴えの出訴期間の比較

  • 同じ点=3年
  • 違い=数え始め(嫡出否認=夫なら子の出生を知った時から/認知の訴え=父の死亡の日から・父の生存中は制限なし)
  • 推定が及ぶ子は3年を過ぎると不存在確認も使えない
  • 重婚で父が一人に絞れない=父を定める訴え

推定が及ぶ子なので、使える訴えは嫡出否認ですが、夫の出訴期間は出生を知った時から3年で、5年後では過ぎています。不存在確認も使えません。同じ3年でも、数え始めが違います。嫡出否認は、夫なら、子の出生を知った時から。認知の訴えは、父の死亡の日からです。Q5は、一言だけ。AさんがBさんと婚姻中に、Bさんとの婚姻を解消しないまま、Cさんとも婚姻してDさんを産み、父が一人に絞れないとき。父を定める訴えです。順序を、もう一度言います。まず、推定されるか、それが及ぶか。次に、推定がそもそも立たない子なら、認知がされているか。この2段で、5つの訴えを、選びます。

今日の地図(保存版)

今日のまとめ。1=前の回の振り返り(嫡出でない子の父子関係は認知で決まる・任意認知は届出か遺言の要式行為/認知は取り消せない・意思に基づかない認知は無効/血縁がなければ認知の無効の訴え・原則7年)。2=強制認知(形成訴訟・父の生存中は調停前置・死後は検察官・死亡から3年・起算点は判旨の事情で死亡が客観的に明らかになった時・放棄できない)。3=認知は出生時にさかのぼる/準正(婚姻準正・認知準正は婚姻の時から)。4=5つの訴えの選び分け(推定されるか・及ぶか→推定がそもそも立たない子なら認知がされているか)。 図:今日のまとめ

  • 1=前の回の振り返り(嫡出でない子の父子関係は認知で決まる・任意認知は届出か遺言の要式行為/認知は取り消せない・意思に基づかない認知は無効/血縁がなければ認知の無効の訴え・原則7年)
  • 2=強制認知(形成訴訟・父の生存中は調停前置・死後は検察官・死亡から3年・起算点は判旨の事情で死亡が客観的に明らかになった時・放棄できない)
  • 3=認知は出生時にさかのぼる/準正(婚姻準正・認知準正は婚姻の時から)
  • 4=5つの訴えの選び分け(推定されるか・及ぶか→推定がそもそも立たない子なら認知がされているか)

最後にまとめます。柱は、4本です。1本目。前の回の振り返りです。嫡出でない子の父子関係は、認知で決まります。任意認知は、届出か遺言の要式行為で、認知は取り消せません。血縁がない認知は、無効の訴えで、原則7年です。2本目。強制認知は、形成訴訟です。父の生存中は調停前置で、父の死後は、検察官が被告です。期限は、死亡の日から3年で、起算点は、判旨の事情があれば、死亡が客観的に明らかになった時です。認知請求権は、放棄できません。3本目。認知は、出生の時にさかのぼって効力を生じます。ただし、第三者の権利は害せません。準正は、婚姻準正と認知準正があり、認知準正も、婚姻の時から効力が生じると解されています。4本目。訴えは、推定されるか、それが及ぶか。推定がそもそも立たない子なら、認知がされているか。この順で選びます。冒頭の答えです。Dさんは、Cさんの死後でも、検察官を被告に、認知の訴えを起こせます。期限は、死亡の日から3年です。

母は産めば決まるけれど、父は、血縁が見えないから、認知という行為か、裁判が要るんですね。次の回からは、縁組で作る親子を見ます。

参照条文

  • 民法787条
  • 民法784条
  • 民法789条

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