民法ゼロから民法#373

配偶者居住権の登記と配偶者短期居住権

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第8章 相続 #373/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。

登記をしないうちに、家が売られた

冒頭の設例。A=被相続人(夫・死亡)/B=妻(配偶者居住権を取得・登記なし)/C=先妻の子(建物の所有者)/D=買主(第三者)。C→D 売却。B の居住権=登記なし→D に対抗できるか。 図:冒頭の設例

  • A=被相続人(夫・死亡)/B=妻(配偶者居住権を取得・登記なし)/C=先妻の子(建物の所有者)/D=買主(第三者)
  • C→D 売却
  • B の居住権=登記なし→D に対抗できるか

前回の終わりに、問いを残しました。妻が、配偶者居住権を取得しました。妻は、住む権利だけを取り、家そのものは、先妻の子が相続しました。ところが、登記をしないうちに、先妻の子が、その家を、第三者に売ってしまいました。妻は、住み続けられるのでしょうか。今日は、その答えを見ます。居住権は、ちゃんと取っているんですよね。権利があるのに、追い出されるのですか。そこが、今日の山場です。結論を先に言うと、登記がなければ、住み続けられません。なぜそうなるのかを、条文で見ます。その前に、配偶者居住権の中身を、確認しておきましょう。

地図。①配偶者居住権の内容②対抗力=登記(冒頭の答え)③消滅④配偶者短期居住権⑤2つの居住権の比較。 図:地図

今日の道筋は、5つです。1つ目、配偶者居住権の内容。2つ目、対抗力で、冒頭の答えを出します。3つ目、消滅。4つ目、配偶者短期居住権。5つ目、2つの居住権の比較です。

配偶者居住権の内容

配偶者居住権の内容の一覧。無償/存続期間=原則終身(1030条)/義務=善管注意・承諾なき増改築や第三者使用は不可(1032条)/譲渡不可(1032条2項)/費用=通常の必要費は配偶者負担(1034条)。 図:配偶者居住権の内容の一覧

1つ目です。内容を、5つの点で見ます。まず、無償です。配偶者は、居住建物を使うのに、賃料に当たるお金を、払う義務を負いません。前回の定義のとおり、無償で使用し、収益をする権利です。次に、存続期間です。原則は、配偶者の終身の間です。1030条が、そう定めています。ただし、遺産分割の協議や、遺言や、遺産分割の審判で、別段の定めをすれば、その期間が満了したときに、居住権は消えます。終身ということは、長生きすれば、ずっと住めるのです。そのぶん、所有者にとっては、重い負担です。だから、次の義務や制限が、付いています。3つ目は、使い方の制限です。1032条です。配偶者は、従前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって、使用し、収益をしなければなりません。それまで居住の用に供していなかった部分を、居住の用に供することは、妨げられません。また、所有者の承諾がなければ、居住建物の改築や増築をすることも、第三者に使用や収益をさせることも、できません。承諾があれば、できます。違反があれば、どうなるか。所有者は、相当の期間を定めて、是正の催告をします。その期間内に是正されないときは、所有者が、配偶者に対する意思表示で、居住権を消滅させられます。催告が要る点を、覚えておいてください。後で出てくる短期居住権と、ここが違います。

妻が黙って人に貸すのは、承諾のない第三者の使用ですから、消滅請求の対象です。ただし、いきなりは消せません。まず、是正の催告をして、それでも直らなければ、消滅させられます。4つ目は、譲渡できないことです。1032条2項です。配偶者居住権は、法律上の配偶者に、一身専属で認められた権利です。他人に売ることも、あげることもできません。できません。居住権は、妻本人が住むための権利だからです。5つ目は、修繕と費用です。配偶者は、使用と収益に必要な修繕ができます。配偶者が相当の期間内に修繕しなければ、所有者が修繕できます。1033条です。費用のうち、固定資産税などの通常の必要費は、配偶者の負担です。1034条1項です。それ以外の費用、例えば、台風で壊れた屋根の大きな修理代は、配偶者が、償還を請求できます。ただし、居住建物の返還を受けた時から、1年で、請求できなくなります。要するに、居住権は、賃借権に近い、強い権利です。しかし、使い方には、制限があります。では、この強い権利は、家を買った第三者にも、通じるのでしょうか。

対抗力、1031条

対抗力の対比。賃借権=①605条の登記(貸主の協力が要る)②建物の引渡し(借借31条)③借地上の建物登記(借借10条)。配偶者居住権=登記のみ。所有者に登記義務(1031条1項)。引渡しは対抗要件にならない。 図:対抗力の対比

  • 賃借権=①605条の登記(貸主の協力が要る)②建物の引渡し(借借31条)③借地上の建物登記(借借10条)
  • 配偶者居住権=登記のみ
  • 所有者に登記義務(1031条1項)
  • 引渡しは対抗要件にならない

2つ目です。冒頭の問いに、答えます。まず、問いです。賃貸借の回を思い出してください。建物の賃借権の対抗要件には、登記のほかに、何がありましたか?建物の引渡しです。借地借家法31条でした。賃借権なら、住んでいるだけで、新しい所有者に対抗できます。ところが、配偶者居住権には、この道が、ありません。登記だけです。まず、条文を読みます。

条文民法1031条

民法 第1031条(配偶者居住権の登記等) 居住建物の所有者は、配偶者(配偶者居住権を取得した配偶者に限る。以下この節において同じ。)に対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負う。 2 第六百五条の規定は配偶者居住権について、第六百五条の四の規定は配偶者居住権の設定の登記を備えた場合について準用する。

1項です。居住建物の所有者は、配偶者に、設定の登記を備えさせる義務を負います。賃貸借の回で見たとおり、賃貸借の登記は、借り手に、登記をさせる権利がなく、貸主の協力が要るので、ほとんど使われませんでした。配偶者居住権は、条文が、所有者に、登記の義務を課しています。ここが、賃借権との違いです。2項です。605条を準用しています。登記を備えれば、その建物について物権を取得した者、その他の第三者に、対抗できます。対抗できるとは、相手に、居住権を言い張れる、ということです。

605条の4の準用。登記を備えた配偶者は、①占有を妨害している第三者に、妨害の停止を請求できる。②占有している第三者に、返還を請求できる。 図:605条の4の準用

  • 登記を備えた配偶者は、①占有を妨害している第三者に、妨害の停止を請求できる
  • ②占有している第三者に、返還を請求できる

さらに、賃借権が第三者に害される場面の回で見た、605条の4を準用しています。登記を備えた場合、2つの請求ができます。1つは、居住建物の占有を第三者が妨害しているとき、その第三者に、妨害の停止を求めることです。もう1つは、居住建物を第三者が占有しているとき、その第三者に、返還を求めることです。例えば、登記を備えた妻が入院している間に、知らない人が勝手に家に住み着いたら、出て行って返してくれ、と求められます。登記があれば、居住権が、物のように、第三者に向かって強く働くのです。引渡しが対抗要件にならない理由は、配偶者が、すでに居住しているからです。もし引渡しで足りるとすると、外から見た様子は、何も変わらないまま、対抗要件が備わってしまいます。外から見て分かる印にならないので、公示の手段として、不適切なのです。ここで、冒頭の答えです。居住権を取っただけで、登記をしていない妻は、家を買って、所有権の登記を備えた第三者に、居住権を対抗できません。住み続けられません。喩えで言えば、予約は入っているのに、鍵を付けていない部屋です。新しいオーナーに、そんな予約は知らない、と言われたら、それまでです。妻も、買主も、登記が無ければ、相手に言い張れません。だから、先に登記を備えたほうが勝ちます。取得したら、すぐに、所有者に登記をさせる。これが対策です。登記があれば、買主に対抗できて、妨害には停止を、占有には返還を、求められます。

冒頭の設例の答え(D=所有権の登記あり)。B=登記なし→D に対抗できない(D が出て行けと言えば、B は出て行く)。B=登記あり→D に対抗でき、妨害停止・返還も請求できる。 図:冒頭の設例の答え

  • D=所有権の登記あり
  • B=登記なし→D に対抗できない(D が出て行けと言えば、B は出て行く)。B=登記あり→D に対抗でき、妨害停止・返還も請求できる。

問いです。妻は居住権を取得したが、登記をしていません。家を買って、登記も済ませた第三者が、出て行けと言ってきました。妻は、居住権を主張できますか。できません。登記を備えていないので、買主に対抗できません。

配偶者居住権の消滅と返還

消滅事由の整理。①配偶者の死亡(597条3項の準用)②存続期間の満了③所有者の消滅請求(1032条4項)④建物の全部滅失(616条の2の準用)。消滅後=居住建物の返還(1035条)。 図:消滅事由の整理

  • ①配偶者の死亡(597条3項の準用)②存続期間の満了③所有者の消滅請求(1032条4項)④建物の全部滅失(616条の2の準用)
  • 消滅後=居住建物の返還(1035条)

3つ目です。消滅の場面を、見ます。事由は、4つです。1つ目、配偶者の死亡です。使用貸借の回で見たとおり、使用貸借は、借主の死亡で終わります。使用借権は、相続されないのでした。その597条3項が、準用されています。2つ目、存続期間の満了です。別段の定めをしたときです。3つ目、所有者の消滅請求です。善管注意義務の違反や、承諾のない増改築、第三者の使用が、原因です。催告が要りました。4つ目は、火事で全焼したような、建物の全部の滅失です。賃貸借の回で見た、建物が全部なくなれば終わる、という616条の2が、準用されています。

妻が亡くなったら、妻の子は、居住権を引き継いで、住み続けられますか。引き継げません。死亡で消滅し、相続されないからです。譲渡ができないのと、同じ根っこです。居住権は、配偶者本人の、一身専属の権利です。一身専属の権利は相続されない、と896条ただし書で見ました。賃借権は相続されるので、ここは、賃借権と違うところです。子は、居住建物を、返還する義務を負います。消滅したら、配偶者は、居住建物を返還します。1035条1項です。ただし、配偶者が、居住建物の共有持分を持っているときは、所有者は、居住権の消滅を理由には、返還を求められません。持分に基づいて、占有する権原があるからです。前回見たとおり、配偶者が、家の共有持分を持ちながら、居住権を持つこともあるのです。返還のときは、配偶者や相続人は、附属させた物を収去して、損傷を原状に復する義務も負います。

配偶者短期居住権

配偶者短期居住権の要件。相続開始の時に、被相続人の財産に属した建物に、無償で居住=法律上当然に発生(遺産分割・遺贈は不要)。発生しない=①配偶者居住権を取得したとき②相続欠格・廃除。相続放棄でも発生する。 図:配偶者短期居住権の要件

  • 相続開始の時に、被相続人の財産に属した建物に、無償で居住=法律上当然に発生(遺産分割・遺贈は不要)
  • 発生しない=①配偶者居住権を取得したとき②相続欠格・廃除
  • 相続放棄でも発生する

4つ目です。配偶者短期居住権です。居住権は、遺産分割か遺贈で取る必要がありました。しかし、そうした取り決めが、ないままのこともあります。その間の居住を守るのが、短期居住権です。条文は、1037条です。全文を読みます。

条文民法1037条1項

民法 第1037条(配偶者短期居住権)1項 配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していた場合には、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める日までの間、その居住していた建物(以下この節において「居住建物」という。)の所有権を相続又は遺贈により取得した者(以下この節において「居住建物取得者」という。)に対し、居住建物について無償で使用する権利(居住建物の一部のみを無償で使用していた場合にあっては、その部分について無償で使用する権利。以下この節において「配偶者短期居住権」という。)を有する。ただし、配偶者が、相続開始の時において居住建物に係る配偶者居住権を取得したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し若しくは廃除によってその相続権を失ったときは、この限りでない。 一 居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産の分割をすべき場合 遺産の分割により居住建物の帰属が確定した日又は相続開始の時から六箇月を経過する日のいずれか遅い日 二 前号に掲げる場合以外の場合 第三項の申入れの日から六箇月を経過する日

続けて、2項と3項です。

条文民法1037条2項・3項

民法 第1037条(配偶者短期居住権)2項・3項 2 前項本文の場合においては、居住建物取得者は、第三者に対する居住建物の譲渡その他の方法により配偶者の居住建物の使用を妨げてはならない。 3 居住建物取得者は、第一項第一号に掲げる場合を除くほか、いつでも配偶者短期居住権の消滅の申入れをすることができる。

注目点を、順に見ます。まず、当然に発生することです。配偶者が、相続開始の時に、被相続人の建物に、無償で居住していれば、遺産分割も、遺贈も要りません。法律上、当然に、短期居住権が発生します。これが、配偶者居住権との、決定的な違いです。発生しない場面が、ただし書に、あります。1つ目、相続開始の時に、配偶者居住権を取得したときです。居住権があるので、短期居住権は要りません。2つ目、相続欠格や廃除で、相続権を失ったときです。欠格も廃除も、重大な非行を理由に、相続人の資格を奪われる場面でした。そういう人まで、守る必要はありません。逆に、相続放棄をしても、発生します。ここは、ひっかけです。放棄は、自分の意思で相続を手放しただけで、非行はありません。住む場所を守る必要は、変わらないからです。居住建物の一部だけを使っていたときは、その部分だけです。例えば、二世帯住宅の1階に住んでいたなら、1階の部分についてだけです。

短期居住権の存続期間の2類型。①居住建物について、配偶者を含む共同相続人間で遺産分割をすべき場合=帰属確定日と相続開始から6か月を経過する日の、遅い日まで(1号)。②それ以外=居住建物取得者の消滅の申入れの日から6か月を経過する日まで(2号)。どちらも、相続開始から最短6か月は保護。 図:短期居住権の存続期間の2類型

  • ①居住建物について、配偶者を含む共同相続人間で遺産分割をすべき場合=帰属確定日と相続開始から6か月を経過する日の、遅い日まで(1号)
  • ②それ以外=居住建物取得者の消滅の申入れの日から6か月を経過する日まで(2号)
  • どちらも、相続開始から最短6か月は保護

存続期間は、次の2つの型です。1つ目。居住建物について、配偶者を含む共同相続人の間で、遺産分割をすべき場合です。配偶者が、遺産分割までの遺産共有の持分を、持っている場面です。遺産分割で、建物の帰属が確定した日と、相続開始の時から6か月を経過する日の、遅いほうまでです。2つ目。それ以外の場合です。建物が、配偶者以外の相続人や第三者に、遺贈された場合や、配偶者が相続を放棄した場合です。放棄をすると、初めから相続人でなかったことになるので、遺産共有の持分がありません。だから、1つ目の型には入らないのです。居住建物取得者が、消滅の申入れをした、その日から、6か月を経過する日までです。申入れは、3項で、いつでもできます。

どちらの型でも、最短で、相続開始から6か月は、守られます。例えば、妻と子2人の遺産分割がもめて、家の帰属が決まるまで1年かかれば、決まった日まで住めます。逆に、2か月で決まっても、相続開始から6か月までは住めます。問いです。夫が、自宅を長男に遺贈して、亡くなりました。妻は、夫と自宅で暮らしていました。遺産分割はありません。妻は、そのまま住み続けられますか。住み続けられます。短期居住権が、当然に発生して、長男の消滅の申入れをした日から、6か月を経過する日までです。もう1問。夫の死後、妻が、相続を放棄しました。妻の短期居住権は、どうなりますか。

放棄しても発生します。2号の型で、取得者の申入れから、6か月です。次に、内容です。無償で、使用するだけです。居住建物を、第三者に貸すような、収益は、できません。条文が、使用する権利と、書いているからです。善管注意義務や、従前の用法に従う義務があるのは、居住権と同じです。1038条です。取得者の承諾なく、第三者に使用させることは、できません。違反すれば、取得者が、意思表示で、消滅させられます。ここは、催告が要りません。さっきの、妻が黙って家を人に貸した場面なら、短期居住権では、催告なしに、すぐ消されます。居住権の1032条4項と、違う点です。譲渡できない点は、居住権と同じです。修繕と費用も、居住権の規定が、準用されます。

条文の違いとして、覚えてください。居住権の1032条4項は、催告を求めています。短期居住権の1038条3項には、催告の文言がありません。違反があれば、すぐに終わらせられます。

短期居住権と対抗力。居住建物取得者は、第三者への譲渡などで配偶者の使用を妨げてはならない(1037条2項)。ただし、短期居住権には対抗力がなく、対抗要件を備えることもできない。 図:短期居住権と対抗力

  • 居住建物取得者は、第三者への譲渡などで配偶者の使用を妨げてはならない(1037条2項)
  • ただし、短期居住権には対抗力がなく、対抗要件を備えることもできない

大事な違いが、もう1つあります。2項は、居住建物取得者に、第三者への譲渡などで、配偶者の使用を妨げてはならない、という義務を課しています。しかし、短期居住権には、対抗力がありません。対抗要件を備えることも、できません。2項は、取得者自身への義務であって、買主に居住権を言い張れる、という意味ではないのです。先ほどの長男の例で、長男が家を第三者に売ってしまったら、妻は、買主には短期居住権を言い張れません。2項に違反した長男に、損害の賠償を求めることになります。登記という鍵を付けられない、一時の宿泊だと思ってください。

短期居住権の消滅。①存続期間の満了②取得者の消滅請求(催告不要)③配偶者居住権の取得(1039条)④配偶者の死亡(1041条・597条3項)⑤建物の全部滅失(616条の2)。消滅後=返還(1040条)。配偶者に共有持分があれば、返還請求不可。 図:短期居住権の消滅

  • ①存続期間の満了②取得者の消滅請求(催告不要)③配偶者居住権の取得(1039条)④配偶者の死亡(1041条・597条3項)⑤建物の全部滅失(616条の2)
  • 消滅後=返還(1040条)
  • 配偶者に共有持分があれば、返還請求不可

消滅の事由は、5つです。1つ目、存続期間の満了。2つ目、善管注意義務の違反などによる、取得者の消滅請求で、催告は要りません。3つ目、配偶者居住権を取得したときです。1039条で、短期居住権は、その時に消えます。返還も要りません。居住権に切り替わって、住み続けるからです。4つ目、配偶者の死亡です。597条3項が準用されます。最後に、5つ目、建物の全部の滅失です。消滅後は、返還します。1040条1項です。附属物の収去と、原状回復も、同条2項で、求められます。ただし、配偶者が、居住建物に共有持分を持っているときは、取得者は、消滅を理由に、返還を求められません。

2つの居住権の比較

比較表。行=成立/存続期間/対抗力/収益/譲渡/消滅請求/費用。配偶者居住権=遺産分割・遺贈・死因贈与・審判/原則終身/登記で対抗/できる/不可/催告が要る/通常の必要費は配偶者負担。短期居住権=法律上当然/最短6か月/対抗力なし/使用だけ/不可/催告不要/通常の必要費は配偶者負担。 図:比較表

  • 行=成立/存続期間/対抗力/収益/譲渡/消滅請求/費用
  • 配偶者居住権=遺産分割・遺贈・死因贈与・審判/原則終身/登記で対抗/できる/不可/催告が要る/通常の必要費は配偶者負担
  • 短期居住権=法律上当然/最短6か月/対抗力なし/使用だけ/不可/催告不要/通常の必要費は配偶者負担

最後に、2つを比べます。成立です。配偶者居住権は、遺産分割や遺贈などで取ります。短期居住権は、法律上、当然です。存続期間です。居住権は、原則終身です。短期居住権は、最短で6か月です。対抗力です。居住権は、登記で対抗できます。短期居住権は、ありません。収益です。居住権はできます。短期居住権は、使用だけです。譲渡は、どちらも、できません。消滅請求です。居住権は、催告が要ります。短期居住権は、要りません。費用は、どちらも、通常の必要費が、配偶者の負担です。強さの源は、登記です。

まとめ。①内容=無償・原則終身・譲渡不可・善管注意/承諾なき増改築・第三者使用は催告のうえ消滅請求②対抗力=登記(所有者に登記義務・605条・605条の4)/引渡しは不可③消滅=死亡・満了・消滅請求・全部滅失④短期居住権=当然に発生・最短6か月・対抗力なし・使用だけ。 図:まとめ

5つ確認します。1つ目、配偶者居住権は、無償で、原則終身です。譲渡はできません。承諾のない増改築や第三者の使用は、催告をしたうえで、消滅請求の対象です。2つ目、対抗力は、登記です。所有者に、登記の義務があり、605条と605条の4が準用されます。引渡しでは対抗できません。冒頭の答えは、登記がなければ、買主に負ける、です。続けます。3つ目、消滅は、配偶者の死亡、期間の満了、消滅請求、全部の滅失です。死亡で消えるので、相続されません。4つ目、短期居住権は、当然に発生し、最短で6か月です。相続放棄でも発生し、対抗力はなく、使用だけです。5つ目、居住権は登記で守られ、短期居住権は、登記で守れません。この対で、言い分けてください。配偶者居住権も、短期居住権も、法律上の配偶者のための仕組みです。配偶者以外の居住は、別の回で扱います。

参照条文

  • 民法1031条
  • 民法1037条1項
  • 民法1037条2項・3項

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