死亡保険金と死亡退職金の帰属
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第8章 相続 #359/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。
借金を残した夫の保険金は、妻のものか
図:冒頭の設例
- A(夫・先日死亡・預金500万円・借金4,000万円)、B(妻・死亡保険金の受取人)、C(Aの債権者・貸金4,000万円)、D(保険会社・死亡保険金3,000万円)
- 問い=Bは相続を放棄しても、保険金を受け取れるのか
設例です。夫Aが亡くなりました。Aには、預金が500万円あります。一方で、債権者Cに対する借金が、4,000万円あります。そして、妻Bを受取人とする死亡保険金が、保険会社Dから3,000万円出ました。相続を放棄しても、保険金は受け取れるのか。これが今日の問いです。答えは、道筋を通ったあとで出します。その前に、前回までの結論を、一言ずつ思い出します。相続人は、被相続人の財産に属した一切の権利義務を、当然に承継します。896条本文です。例外は2つ見ました。1つ目は、その人だけに結びついた一身専属のものです。2つ目は、墓などの祭祀財産と遺骨で、これは祭祀を主宰する人が承継します。そして、相続を放棄すれば、初めから相続人でなかったことになります。今日は、さらにもう1つあります。条文には書かれていないのに、相続財産に入らない財産です。
図:今日の地図
道筋です。まず死亡保険金を見ます。次に死亡退職金と遺族給付、さらに香典と弔慰金です。そのあと、離婚に伴う財産分与の請求権と義務を、要素ごとに分けて見ます。最後に、遺産に入るものと入らないものを1枚の板に仕分けて、これまでの相続の章の道具を混ぜた事例で、使い分けを確かめます。
死亡保険金請求権は、受取人の固有の財産
図:思い出す問い
- 第三者のためにする契約で、第三者が権利を取得するには、原則として何が必要か
- 生命保険の受取人ではどうか
本題の前に、1問だけ思い出してください。第三者のためにする契約で、第三者が権利を取得するには、原則として何が必要でしたか? 生命保険では、どうでしょうか?原則は、受益の意思表示が必要でした。ただ、生命保険の受取人は、保険法42条で、意思表示をしなくても、当然に契約の利益を受けられます。第三者のためにする契約の回で見たとおり、民法537条3項の特則が、保険法42条でした。この点が、今日の土台になります。
図:受取人の指定で3つに分かれる
- ①被相続人自身を受取人にしていた=請求権は被相続人のもの=相続財産に属する②被相続人以外の者を受取人に指定=相続財産に属さず、受取人の固有の財産③受取人欄が「相続人」=死亡の時点の相続人個人を指定したものと判例は整理
- 判例:最判昭40・2・2 民集19巻1号1頁
死亡保険金の請求権が誰のものになるかは、保険契約で、受取人を誰と決めていたかで変わります。板のとおり、3つに分かれます。1つ目、被相続人自身を受取人にしていた場合です。保険金の請求権は、被相続人のものですから、相続財産に属します。2つ目、被相続人以外の人を受取人に指定していた場合です。この場合、保険金の請求権は、相続財産に属しません。受取人が、自分の固有の財産として取得します。判例・通説の立場です。相続で取得するのとは、通り道が違います。相続なら、いったん被相続人のものになって、それが相続人に移ります。ところが、この場合は、被相続人が亡くなった時点で、受取人自身の権利として、最初から生まれます。被相続人の手を通らないのです。第三者のためにする契約で、第三者が直接、権利を取得するのと同じ型です。保険法42条のおかげで、受取人は、意思表示をしなくても、当然に権利を享受します。3つ目、受取人欄に、相続人と書かれていた場合です。判例は、これを、死亡の時点で相続人である個人を、受取人として指定したものと解しています。ですから、結論は2つ目と同じで、固有の財産です。

- 問い=受取人欄が夫A自身なら、放棄した妻Bは保険金を受け取れるか
- 検算=Bが放棄・単純承認・限定承認したときの、借金と保険金の行方(939条・920条・922条)
ここで問いです。受取人欄が、妻Bではなく、夫A自身だったら、相続を放棄した妻Bは、保険金を受け取れるでしょうか?受取人がA自身なら、請求権はAのもの、つまり相続財産です。Bは放棄して、初めから相続人でないので、受け取れないと思います。939条のとおり、放棄した人は初めから相続人でなかったものとみなされます。相続財産は承継しません。では、冒頭の設例に戻ります。受取人は妻Bです。保険金3,000万円の請求権は、Bの固有の財産で、Aの遺産ではありません。したがって、Bが相続を放棄しても、保険金3,000万円は受け取れます。これが答えです。放棄したBは、借金を承継していません。保険金は、Aの遺産ではなくBの固有の財産なので、債権者Cの手が届くのは、Aの遺産のほうです。板で、Bの選択ごとに、検算します。Bが放棄すれば、借金は承継しません。939条です。そして、保険金3,000万円は、固有の権利として受け取ります。単純承認なら、借金4,000万円を、無限に承継します。920条です。預金500万円も引き継ぎます。そして、借金は、保険金を含む、Bの自分の財産で責任を負うことになります。限定承認なら、責任は、相続によって得た財産の限度です。922条です。この場合は預金500万円までです。保険金は、相続財産ではないので、責任の対象になりません。
単純承認の回で見た、921条1号が処分で単純承認とするのは、相続財産の処分です。固有の権利である保険金を受け取るのは、相続財産の処分ではありません。だから、単純承認にはなりません。ただし、受取人が被相続人自身だった場合は逆で、相続財産の処分にあたりうる点に注意してください。最後に、特別受益との関係を一言だけ。特別受益とは、一部の相続人が生前に受けた贈与などで、取り分を計算するときに、遺産に足し戻して考えるものです。足し戻すことを、持戻しといいます。保険金は相続財産ではないので、持戻しの対象になる特別受益には、基本的に当たらないと解されています。ただし、例外があります。その話は、特別受益の回で見ます。
死亡退職金・遺族給付は、遺族固有の権利
図:設例
- 勤め先から死亡退職金が出た
- 規程では、妻が第一順位で、妻がいれば子には支給されない
- 問い=死亡退職金は遺産か
次は、死亡退職金です。設例です。亡くなった人の勤め先から、死亡退職金が出ました。勤め先の規程では、受け取る人の第一順位は妻で、妻がいれば、子には支給されません。この死亡退職金は、遺産でしょうか?保険金の話と似ている気がします。でも、保険のように、受取人を指定したわけではないです。勤め先の規程が、民法とは違う順位で受け取る人を決めている死亡退職金が、遺産に入るかは、判例が答えを出しています。判決の言葉を、2段に分けて読みます。
判例最判昭55・11・27 民集34巻6号815頁
死亡退職金 判決の言葉① 右規程によると、死亡退職金の支給を受ける者の第一順位は内縁の配偶者を含む配偶者であつて、配偶者があるときは子は全く支給を受けないこと、……受給権者の範囲及び順位につき民法の規定する相続人の順位決定の原則とは著しく異なつた定め方がされているというのであり、
読み方はこうです。勤め先の規程が、受け取る人の範囲と順位を決めています。その決め方が、民法の相続人の順位のルールとは、大きく異なっている、という認定です。配偶者がいれば、子は全く受け取れません。民法なら、子は相続人です。2段目が結論です。
判例最判昭55・11・27 民集34巻6号815頁
死亡退職金 判決の言葉② これによつてみれば、右規程は、専ら職員の収入に依拠していた遺族の生活保障を目的とし、民法とは別の立場で受給権者を定めたもので、受給権者たる遺族は、相続人としてではなく、右規程の定めにより直接これを自己固有の権利として取得するものと解するのが相当であり、そうすると、右死亡退職金の受給権は相続財産に属さず、受給権者である遺族が存在しない場合に相続財産として他の相続人による相続の対象となるものではないというべきである。
規程は、職員の収入に頼っていた遺族の生活を保障するために、民法とは別の立場で、受け取る人を決めています。だから、遺族は、相続人としてではなく、規程によって直接、自分の固有の権利として取得します。したがって、死亡退職金の受給権は、相続財産に属しません。受け取る遺族がいない場合に、他の相続人が相続するものでもない、とも言っています。この判決は、特殊法人、つまり特別の法律によって設立された法人の職員の死亡退職金について、規程がこの設例のような順位を定めていた場面の判断です。
図:保険金と退職金の共通点
- 受け取る人が、契約・規程・法令で決まっている→その人の固有の権利(相続財産ではない)
- 判例は、規程が民法の相続人の順位と著しく異なる定めをしている場合の判断
保険金と退職金に共通するのは、受け取る人が、契約や規程で、あらかじめ決まっていることです。決まった人が、固有の権利として受け取ります。相続とは別の通り道です。注意点が1つあります。この判決が判断したのは、規程が、民法の相続人の順位と著しく異なる定めをしている場合です。順位が民法と同じ規程について、この判決が答えを出したわけではありません。そのうえで、遺族給付は、一般に、法令や規程などで受け取る人が決まっている、という点が共通項だと理解してください。
香典・弔慰金と葬儀費用

- 香典・弔慰金=喪主に対する贈与=相続財産に属さない(通説)
- 葬儀費用=相続財産に関する費用として相続財産の負担とすべきとする見解が有力(885条)
- 最終的な負担者は見解が分かれる
香典や、弔慰金、つまりお悔やみとして贈られるお金は、どうでしょうか。これは、葬儀を取り仕切る喪主に対する贈与だと考えられていて、相続財産に属しません。通説です。喪主に贈られたお金なので、亡くなった人の財産ではないからです。喪主というのは、葬儀を主宰する人のことですね。では、葬儀費用は、誰が払うのですか。そこは見解が分かれます。代表的な考え方は、2つです。1つは、喪主が負担するという考え方です。もう1つは、亡くなった人の財産、つまり相続財産から出すという考え方で、こちらを有力とする見解があります。根拠は885条です。885条は、相続財産に関する費用は、その財産の中から支弁する、ただし、相続人の過失によるものは、この限りでない、と定めています。葬儀費用も、この相続財産に関する費用にあたる、と読むのです。ただ、決着はついていません。以前、預金から葬儀費用を出すと単純承認になるか、判断が分かれると言いました。それとは別の問題ですので、混ぜないでください。
離婚に伴う財産分与請求権・義務は、要素で分かれる
図:設例
- 協議離婚が成立し、財産分与がまとまらないうちに元妻Bが亡くなった
- Bの子は、元夫に財産分与を請求できるか
次は、離婚に伴う財産分与です。設例です。協議離婚が成立しました。財産分与がまとまらないうちに、元妻Bが亡くなりました。Bの子は、元夫に、財産分与を請求できるでしょうか?
条文民法768条1項
民法第768条(財産分与) 協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
財産分与って、確か、3つの要素がありました。財産分与の回で見たとおり、清算、扶養、慰謝料の3つの要素で整理します。清算は、婚姻中に築いた財産の分配です。扶養は、離婚後に生活に困る側の生計を支えることです。慰謝料は、離婚に至らせた有責な側が、損害賠償として出すことです。慰謝料は、含めない少数の見解もあります。768条1項は、協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる、と定めています。
図:財産分与の3要素と相続(通説)
- 清算=相続される
- 慰謝料=相続される
- 扶養=一身専属で相続されない(896条ただし書)。行使上=協議・審判で決まる前は一身専属。
通説は、要素ごとに分けます。清算の面と慰謝料の面は、相続の対象になります。その人専用とまでは言えないので、原則どおり、896条本文で移るのです。扶養の面は、離婚した本人の、その後の生活を支えるためのものです。本人が亡くなれば、その人でなければ意味がない部分になります。だから一身専属として、相続の対象になりません。896条ただし書です。通説に従えば、設例のBの子は、清算の面と慰謝料の面については、元夫に請求できます。扶養の面は、一身専属なので、引き継げません。元夫の側の義務も、同じ整理です。清算と慰謝料の面は、債務として承継されます。扶養の面は、承継しません。そして、前編で見た2つの物差しが、ここでも使えます。帰属上、つまり相続されるかは、要素で分かれます。行使上、つまり本人の債権者が本人に代わって請求できるかは、債権者代位権の回で見たとおりです。協議や審判で決まる前は、分与を求めるかどうかも、金額も、まだ定まっていません。求めるかどうかは、離婚した本人の判断に委ねるべきなので、行使上は一身専属です。具体的な金額が確定すれば、本人の判断に委ねる理由が無くなり、代位できます。1つ、場面の限定です。離婚が成立する前に亡くなった場合は、財産分与の請求権が、そもそも生じません。768条1項は、離婚をした者の請求権だからです。この場合は、残された側が、配偶者として相続人になります。
遺産に入るもの、入らないものの仕分け
図:仕分け板(3レーン)
- 入る(896条本文)=預金・不動産・借金・保証債務・賃借権・占有・慰謝料請求権・即死の逸失利益の賠償請求権・無権代理人の損害賠償責任・すでに発生した報酬債権・額が決まった扶養料・財産分与の清算と慰謝料の面
- 入らない①一身専属(896条ただし書)=代理権・使用借権・委任の地位・組合員の地位・雇用上の地位・扶養を受ける権利そのもの・親権・非代替的債務・身元保証人の地位・公営住宅の使用権・財産分与の扶養の面
- 入らない②別の帰属先=祭祀財産・遺骨→祭祀主宰者(897条)、死亡保険金→受取人、死亡退職金・遺族給付→遺族、香典・弔慰金→喪主。
ここまでの内容を、1枚の板に仕分けます。左の列が、遺産に入るもの、つまり896条本文で移るものです。預金、不動産、借金、保証債務、賃借権、占有、慰謝料請求権などです。すでに発生した報酬債権や、額が決まった扶養料も入ります。財産分与の清算と慰謝料の面も入ります。真ん中の列は、入らない1つ目、一身専属です。代理権、使用借権、委任の地位、組合員の地位、扶養を受ける権利そのものなどです。前編で見た、雇用上の地位、親権、芸術作品を完成させる債務のような、債務者に特有の技能に基づく非代替的な債務、身元保証人の地位、公営住宅の使用権も、ここです。財産分与の扶養の面も、ここです。右の列は、入らない2つ目、別の帰属先がある場合です。祭祀財産と遺骨は、祭祀主宰者に行きます。死亡保険金は受取人に、死亡退職金と遺族給付は遺族に、香典と弔慰金は喪主に行きます。注記です。雇用、親権、非代替的な債務、身元保証、公営住宅は、条文が直接定めたものではなく、解釈や判例で決まっているものです。財産分与は、通説の整理です。仕分けの軸は、2段です。まず、896条本文が移すのかを考えます。移さないなら、次に、その人専用だから移さないのか、別の人が直接取得するから移さないのか、を分けます。ここで問いです。受取人欄が被相続人本人の保険金請求権は、どの列に入りますか?
受取人が本人なら、被相続人のものなので、遺産に入る左の列です。同じ死亡保険金でも、受取人の指定で列が変わります。
節目の弁別 相続人か、権利は相続されるか
図:弁別の道具
相続の章の前半の、締めくくりです。8つの事例を出します。見る軸は2つです。この人は相続人か。この権利は相続されるか。使う道具を、板に並べました。まず、相続人かどうかの道具です。同時存在の原則は、相続開始の時点、つまり被相続人が死亡した時点に、相続人が存在していなければならない、というものでした。代襲相続は、たとえば長男に代わって、長男の子、つまり孫が相続人になる仕組みです。代襲相続の原因は、相続開始以前の死亡、欠格、廃除の3つで、放棄は入りません。887条2項です。欠格は、一定の重大な非行があると、法律上当然に資格を失う制度です。廃除は、被相続人が家庭裁判所に求め、審判があって初めて資格を失う制度です。自分が相続人になったと知ってから3か月、何もしなければ、単純承認とみなされます。921条2号です。保存行為などを除いて、相続財産を処分しても、単純承認になります。921条1号です。そのほか、896条の本文とただし書、897条、保険金の受取人の指定です。
図:弁別・問題。事例1〜8の問いだけ(被相続人X・長男A・Aの子C・二男D・妻W)。
事例1です。Xと長男Aが、同じ事故で亡くなりました。どちらが先か分かりません。Aには子Cがいます。Cは、Xの遺産を受け取れるでしょうか?どちらが先か分からないので、32条の2で、同時に死亡したと推定されます。同時存在の原則から、AはXを相続しません。でも、Cは、代襲相続すると思います。887条2項の、以前に、同時も含まれるからです。受け取れます。事例2です。長男Aは、Xを殺害して刑に処せられました。Aには子Cがいます。Aは欠格です。891条1号です。欠格は代襲相続の原因なので、Cが代襲相続します。事例3です。長男Aは、Xの死亡を知り、家庭裁判所に申述して、相続を放棄しました。Aには子Cがいます。
放棄は、887条2項の代襲相続の原因に入っていません。だから、放棄した長男Aの子Cは、代襲相続しません。事例4です。二男Dは、Xが亡くなって自分が相続人になったことも、Xに財産があることも知っていました。それから3か月、何もしませんでした。Dは、単純承認したものとみなされます。財産があると知っていたので、熟慮期間の回で見た、財産が全く無いと信じた場合の例外にも当たりません。事例5です。二男Dは、Xの死亡を知っています。放棄するつもりだと言いながら、Xの骨董品を売って、代金を受け取りました。処分なので、法定単純承認です。921条1号です。もう放棄はできません。事例6です。Xを被保険者とする生命保険があります。受取人の欄は妻Wです。Wは相続を放棄しました。受取人欄がX自身だったら、どうでしょうか。
受取人が妻なら、固有の権利なので、放棄しても受け取れます。X自身なら、相続財産なので、受け取れません。事例7です。Xは、アパートを借り、友人から別荘を無償で借りていました。長男Aが受け継ぐのは、どちらでしょうか。アパートの賃借権は相続されます。622条は、597条3項を準用していないからです。別荘の使用借権は、Xの死亡で終わります。597条3項です。最後の事例8です。Xは、交通事故で即死しました。Xの慰謝料請求権と、Xが生前に受けていた扶養を受ける権利は、相続されるでしょうか。
図:弁別・答え
答えを板にまとめました。最後の事例8は、慰謝料請求権は相続され、扶養を受ける権利そのものは相続されない、という区別でした。どの事例も、2つの軸のどちらかで決まります。相続人かどうかは、同時存在の原則、代襲相続、欠格、廃除、放棄で決まります。権利が相続されるかどうかは、896条の本文とただし書、897条、受取人の指定で決まります。
今日の地図(保存版)
図:まとめ
まとめます。冒頭の設例の答えです。妻Bは、相続を放棄しても、保険金3,000万円を受け取れます。保険金の請求権は、受取人であるBの固有の財産で、Aの遺産ではないからです。放棄すれば、借金4,000万円は承継しません。ただし、受取人がA自身だったなら、保険金は相続財産です。放棄したBは、受け取れません。道筋を整理します。1つ目、原則は包括承継です。896条本文です。2つ目、例外は3つあります。一身専属は、承継しません。祭祀財産は、祭祀主宰者が承継します。そして、受け取る人が決まっているものは、その人の固有の権利です。死亡保険金、死亡退職金、香典がそうです。財産分与は、要素で分かれます。
次は、相続人が複数のときの取り分を見ます。
参照条文
- 民法768条1項