会社法ゼロから会社法#20

株式の譲渡方法と株券

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第2章 株式 ⑳/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。

代金を払ったのに株が移らない

導入の場面(A=高齢の株主〔50株〕/B=Aの知人で買い手/E=老舗の和菓子屋の会社〔株券を出す会社・発行済み200株〕/A→B 売買契約+代金500万円の支払い/株券はAの手元に残ったまま/E「株券を渡していないなら、その売買は効力がありません」) 図:導入の場面

  • A=高齢の株主〔50株〕
  • B=Aの知人で買い手
  • E=老舗の和菓子屋の会社〔株券を出す会社・発行済み200株〕
  • A→B 売買契約+代金500万円の支払い
  • 株券はAの手元に残ったまま
  • E「株券を渡していないなら、その売買は効力がありません」

老舗の和菓子屋の話です。家族と古い従業員で作った会社で、株式は全部で200株あります。株主のAさんは高齢で、手元の50株を、昔からの知人のBさんに売ることにしました。売買契約を結び、Bさんは代金の500万円も払いました。ところが、その会社が言います。うちは株券を出す会社です。Aさんは株券をBさんに渡していないので、この売買は効力がありません。先に答えを言います。株券を出す会社では、株式は株券という紙にくっついています。ですから、紙を渡さなければ、売った人と買った人の間でも、株式は移りません。一方、株券を出さない会社なら、契約だけで株式は移ります。そのうえで、名簿の書換えをすれば、会社にも第三者にも、自分が株主だと主張できます。

今日はこの違いを、一本の筋で見ます。権利を紙にくっつけると、紙を渡さないと動かない。その代わり、紙を持つ人は権利者と推定され、買う人は強く守られる。紙を出さないなら、契約で動き、名簿が対抗の手段になる。この筋で、条文の一つ一つが、なぜそうなっているのかが読めるようになります。地図です。まず、なぜ譲渡の方法が問題になるのか。次に、株券を出さない会社。そのあと、株券を出す会社。最後に、株券をめぐる周辺のルールとして、発行の時期、株券になる時点、発行前の譲渡、なくしたときを見ます。

なぜ譲渡の方法が問題になるのか

3つの道具(株式は目に見えない権利→会社は今の株主を把握したい〔総会の通知・配当・議決権〕→道具は3つ=株券/振替制度/株主名簿〔121条〕/株主名簿=氏名・住所、株式数、取得日、株券発行会社なら株券番号/上場株式は口座振替/株券は定款で定めた会社だけが出す〔214条〕) 図:3つの道具

  • 株式は目に見えない権利→会社は今の株主を把握したい〔総会の通知・配当・議決権〕→道具は3つ=株券
  • 振替制度
  • 株主名簿〔121条〕
  • 株主名簿=氏名・住所、株式数、取得日、株券発行会社なら株券番号
  • 上場株式は口座振替
  • 株券は定款で定めた会社だけが出す〔214条〕

株式は、目に見えない権利です。持ち主は、売買のたびに変わります。会社から見ると、いま誰が株主なのかが分からなければ、総会の通知も、配当も、議決権の処理も、できません。買い手の側からも困ります。目に見えない権利を買うとき、売り手が本当にその権利を持っているのかを、どう確かめるのか。そこで、道具が3つあります。株券、振替制度、そして株主名簿です。株主名簿は、会社が備える株主の一覧です。氏名と住所、株式の数、取得した日などを書きます。株券を出す会社なら、株券の番号も書きます。株券は、前に見たとおり、株式を表す紙の証券です。権利を紙にして目に見える形にすれば、確かめやすく、流通しやすくなります。かつては、全部の会社が株券を出さなければなりませんでした。

今は違うんですか。違います。小さな非上場の会社は、株式の売買がめったにありません。紙を出す意味が乏しく、実際には出さない会社も多く、それが紛争の種にもなっていました。上場会社のほうは、紙は費用がかかる上に、なくしたり盗まれたりする危険が重荷でした。そこで今は、株券を出すのは、定款で定めた会社だけです。

条文会社法214条

会社法第214条 株式会社は、その株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨を定款で定めることができる。

定款で定めた会社を、株券発行会社と呼びます。条文の定義は、こうです。

条文会社法117条7項

会社法第117条第7項 株券発行会社(その株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨の定款の定めがある株式会社をいう。以下同じ。)は、株券が発行されている株式について株式買取請求があったときは、株券と引換えに、その株式買取請求に係る株式の代金を支払わなければならない。

株券を発行する旨の定款の定めがある株式会社、です。登記もされます。反対に、そうでない会社、つまり株券を出さない会社を、非株券発行会社と言います。上場株式は、株券がなくなり、口座の振替で動かします。見通しです。比べる軸は5つです。譲渡の効力はいつ生じるか。会社に対して主張する条件。会社以外の第三者に主張する条件。名簿の書換えの請求のしかた。そして、買い手がどれだけ守られるか。この5つを、節ごとに埋めて、最後に1枚の表にします。

株券を出さない会社

株券を出さない会社の譲渡(A→B=①売買契約だけで譲渡の効力が生じる/B→E=②名簿の書換え〔氏名・住所の記載〕/書換え後は会社にも第三者にも対抗できる〔130条1項〕/書換えの請求=原則A〔名簿上の株主〕と共同〔133条2項〕) 図:株券を出さない会社の譲渡

  • A→B=①売買契約だけで譲渡の効力が生じる
  • B→E=②名簿の書換え〔氏名・住所の記載〕
  • 書換え後は会社にも第三者にも対抗できる〔130条1項〕
  • 書換えの請求=原則A〔名簿上の株主〕と共同〔133条2項〕

まず、株券を出さない会社です。売る意思と買う意思が合えば、株式は移ります。民法の一般原則どおりです。渡すべき紙がありませんから、渡すものが無いのです。では、会社や他の人に対しては、どうするか。

条文会社法130条1項

会社法第130条第1項 株式の譲渡は、その株式を取得した者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができない。

買った人の氏名と住所を、株主名簿に記載してもらうこと。これが名義書換えです。名簿の名前を書き換えてもらう、と考えてください。書き換えなければ、株式会社にも、その他の第三者にも、自分が株主だと主張できません。会社も第三者も、条件は1つ、名簿の書換えです。ですから、書換えが済むまでは、会社は、名簿に載っている株主を株主として扱えば足ります。前の回の、承認のない譲渡では、会社は譲渡人を株主として扱う義務を負いました。あれは、譲渡が会社に対して効力を生じないからでした。ここは違います。譲渡そのものは有効で、会社に主張する条件が、まだそろっていないだけです。ただ、これには例外があります。例外は別の回で扱います。

第三者にも書換えが要る、というのは、どんな場面ですか。二重譲渡です。たとえば、非株券発行会社の株主Aさんが、4月にBさんに株を売りました。ところが5月に、同じ株をCさんにも売ってしまった。Bさんは、まだ名簿を書き換えていません。Cさんは、先に書換えを済ませました。この場合、勝つのはCさんです。Bさんは、名簿を書き換えていないという欠けを、Cさんに指摘されて、自分が株主だと言えません。先に契約したのはBさんですが、決め手は契約の先後ではなく、書換えの先後です。不動産の二重売買と同じ形です。先に買っても、登記を先に備えた人が勝ちます。株式では、登記の代わりが名簿の書換えです。差押えをした債権者との関係も、同じ形で決まります。どちらが勝つかを、主張の条件を先にそろえた順で決める。これを対抗問題と言い、株式の二重譲渡も、この形で処理します。

条文会社法133条2項

会社法第133条第2項 前項の規定による請求は、利害関係人の利益を害するおそれがないものとして法務省令で定める場合を除き、その取得した株式の株主として株主名簿に記載され、若しくは記録された者又はその相続人その他の一般承継人と共同してしなければならない。

書換えの請求のしかたです。原則として、株を取得した人が、名簿に載っている株主と一緒に請求します。譲渡制限の回で見た、承認の請求と同じ形です。法務省令の例外は、確定判決を得た場合などです。理由も、承認の請求と同じです。1人で出せるなら、見知らぬ人が、Aさんから買ったと言い張るだけで、真の株主の知らないうちに、名簿から名前が消えてしまいます。名簿上の株主の協力を条件にして、真の株主を守っているのです。名簿上の株主が協力しないときは、書換えを命じる確定判決を得て、1人で請求できます。もう1点。非株券発行会社の株式には、善意取得の制度はありません。善意取得とは、権利の無い人から買っても、それを知らずに買った人が、権利を取得できる仕組みです。その根拠になる131条は、株券についての規定で、株券を出さない会社には、あてはまりません。名簿を信じて買った人を守る仕組みは無い、と覚えておいてください。次の節で、これと対にして見ます。

株券を出す会社

株券を出す会社の譲渡(A→B=①売買契約+株券の交付〔効力要件・当事者間でも〕/B→E=②株券を見せて名義書換え〔Bが単独で〕/会社への対抗=名義書換え〔130条2項〕/会社以外の第三者への対抗=株券の交付/株券の占有者は権利者と推定〔131条1項〕) 図:株券を出す会社の譲渡

  • A→B=①売買契約+株券の交付〔効力要件・当事者間でも〕
  • B→E=②株券を見せて名義書換え〔Bが単独で〕
  • 会社への対抗=名義書換え〔130条2項〕
  • 会社以外の第三者への対抗=株券の交付
  • 株券の占有者は権利者と推定〔131条1項〕

株券を出す会社です。冒頭の和菓子屋は、こちらでした。

条文会社法128条

会社法第128条 1 株券発行会社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じない。ただし、自己株式の処分による株式の譲渡については、この限りでない。 2 株券の発行前にした譲渡は、株券発行会社に対し、その効力を生じない。

1項です。株券を交付しなければ、その効力を生じない。ここには、当事者間では、という限定がありません。売った人と買った人の間でも、紙を渡さなければ、移りません。冒頭のBさんは、代金を払っても、株券の交付を受けていないので、まだ株主ではありません。ただし書は、会社が自己株式を処分する場合の例外です。どうして、当事者間まで縛るんですか。権利と紙が、一体だからです。商品券で考えてください。商品券は、券を持つ人が使えます。券を渡さずに、使う権利だけ誰かに移したことにしたらどうなるでしょう。券を持っている元の持ち主と、本当の権利者が、別々になります。すると、券を見て受け取る人が、安心できなくなります。紙の動きと権利の動きを、一致させるのです。このように、権利が紙に付いている証券を、有価証券と言います。手形や小切手は、権利を移すのにも使うのにも、紙が要る典型です。株券は少し違い、移すときには紙が要りますが、株主としての権利を使うときは、名簿で行います。この点は、あとで出てきます。2項は、発行前の譲渡です。株券がまだ無いときの話で、あとの節で詳しく見ます。

条文会社法130条2項

会社法第130条第2項 株券発行会社における前項の規定の適用については、同項中「株式会社その他の第三者」とあるのは、「株式会社」とする。

対抗です。1項の、株式会社その他の第三者を、株式会社に読み替えます。つまり、会社に対しては名義書換え。会社以外の第三者に対しては、書換えは要らず、株券の交付があればよいのです。株券を持っていること自体が、外から見える目印になるからです。交付は、効力の要件であり、第三者への対抗の条件も兼ねます。二重譲渡も、非株券発行会社と変わります。Aさんが、先にBさんに株券を渡してしまえば、Aさんにはもう渡せる紙がありません。株券の交付が先の人が、会社以外の第三者に対して勝ちます。

条文会社法131条

会社法第131条 1 株券の占有者は、当該株券に係る株式についての権利を適法に有するものと推定する。 2 株券の交付を受けた者は、当該株券に係る株式についての権利を取得する。ただし、その者に悪意又は重大な過失があるときは、この限りでない。

権利推定がもたらすもの(株券の占有者=適法な権利者と推定〔131条1項〕/①書換え=株券を見せて譲受人が単独で請求〔133条2項〕・会社は真の権利者でないと証明しない限り拒めない/②見せた人に書き換えた会社=悪意・重大な過失がなければ責任を負わない〔明文なし・権利推定から〕/③一度書き換えれば以後の権利行使に株券は不要〔例外=株券と引換えの交付=219条〕) 図:権利推定がもたらすもの

  • 株券の占有者=適法な権利者と推定〔131条1項〕
  • ①書換え=株券を見せて譲受人が単独で請求〔133条2項〕・会社は真の権利者でないと証明しない限り拒めない
  • ②見せた人に書き換えた会社=悪意・重大な過失がなければ責任を負わない〔明文なし・権利推定から〕
  • ③一度書き換えれば以後の権利行使に株券は不要〔例外=株券と引換えの交付=219条〕

1項は、権利推定です。株券を持っている人は、株式の権利を適法に持っていると推定されます。書換えが楽になります。株券を持つ人は、その株券を会社に見せれば、1人で名義書換えを請求できます。非株券発行会社では、名簿上の株主と共同でした。ここが違います。会社は、この人は真の権利者でない、と自分で証明しない限り、断れません。株券を持っていること自体が、権利の証拠になっているからです。逆に、株券を見せた人に書き換えたら、実はその人が盗人だった、という場合もあります。会社に悪意や重い過失がなければ、会社は責任を負わない、と解されています。条文に明文はありませんが、1項の権利推定から認められる、という考え方です。一度書き換えれば、そのあと総会に出るときも、配当を受けるときも、株券を見せる必要はありません。株式の併合とは、たとえば2株を1株にまとめるように、株式の数を減らすことです。例外は、株式の併合などで、元の株券と引き換えに新しい株券や金銭が出る場合で、219条という手続があります。この219条で、もう1つ押さえる場面があります。株式の併合や、譲渡制限を付ける定款変更のときなど、株券に書かれた中身が変わる場面では、会社は、株券を提出する日を決めて公告します。提出日の扱いは、3項です。

条文会社法219条3項

会社法第219条第3項 第一項各号に定める株式に係る株券は、株券提出日に無効となる。

提出日がくると、旧株券は無効になります。では、提出日より前に株券の交付を受けて、株式を譲り受けていた人は、どうなるでしょうか。事案は、譲渡制限を付ける定款変更に伴って、株券を提出させた場面です。当時の旧商法の定めですが、いまの219条に当たります。最高裁は、提出日より前に譲り受けた人は、提出日が過ぎたあとでも、旧株券を会社に見せて、提出日より前に譲り受けたことを証明すれば、名義書換えを請求できる、と判断しました。会社は、名簿に載っていないことを理由に、株主であることを否定して、書換えを拒むことはできません。理由は、株式が、提出日より前に株券の交付を受けた時点で、もう移っているからです。提出日で無効になるのは紙のほうで、移った株式は消えません。株券を見せれば単独で書換えができる、という仕組みの応用です。ここで、1問です。盗まれた株券を、盗品と知らずに買った人は、元の持ち主に返さなければならないでしょうか。動産ならどうなるか、思い出してから聞いてください。

動産と株券の対比(動産〔民法192条・193条〕=善意・無過失で取引により占有を始めれば即時に取得/盗品・遺失物は盗難・遺失の時から2年間、被害者が占有者に回復請求できる/株券〔会社法131条2項〕=悪意・重過失がなければ取得/回復請求の道は無い/理由=紙を信じて買える安心が流通の要) 図:動産と株券の対比

  • 動産〔民法192条・193条〕=善意・無過失で取引により占有を始めれば即時に取得
  • 盗品・遺失物は盗難・遺失の時から2年間、被害者が占有者に回復請求できる
  • 株券〔会社法131条2項〕=悪意・重過失がなければ取得
  • 回復請求の道は無い
  • 理由=紙を信じて買える安心が流通の要

条文民法192条

民法第192条 取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。

条文民法193条

民法第193条 前条の場合において、占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から二年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる。

動産なら、盗品でも、買った人が善意無過失なら権利を取得します。ただし、193条で、被害者は2年間、返せと言えます。株券は、131条2項で、悪意か重大な過失がない限り、取得します。そして、この2年間のような、回復請求の道がありません。動産より、買い手が強く守られているのです。そこまで守るのは、なぜですか。株券は、紙を見て買う取引だからです。盗まれていないかまで調べさせたら、誰も安心して買えません。紙を信じた買い手を厚く守って、流通を支えるのです。悪意は、無権利者だと知っていたこと。重大な過失は、著しい不注意で知らなかったことです。軽い過失は、取得の妨げになりません。民法192条の無過失より、緩い条件です。裏返すと、株券の持ち主は、紙をなくすと権利を失いかねません。この危険は、あとで見る不所持と喪失登録の理由になります。ここで、冒頭の答えがそろいました。株券を出す会社では、紙を渡すまで、当事者の間でも株式は動かない。その代わり、紙を持つ人は権利者と推定され、紙を信じた買い手は強く守られる。株券を出さない会社では、契約で動き、名簿の書換えで主張する、でした。

まとめの比較表(行=効力が生じる要件/会社への対抗/会社以外の第三者への対抗/名義書換えの請求/買い手の保護。列=株券を出さない会社/株券を出す会社。出さない会社=契約だけ/名義書換え〔130条1項〕/名義書換え〔130条1項〕/名簿上の株主と共同〔133条2項〕/善意取得なし〔131条は株券の規定〕。出す会社=株券の交付〔当事者間でも・128条1項〕/名義書換え〔130条2項〕/株券の交付/株券を見せて単独〔131条1項の推定〕/善意取得〔131条2項〕) 図:まとめの比較表(行=効力が生じる要件/会社への対抗/会社以外の第三者への対抗/名義書換えの請求/買い手の保護。列=株券を出さない会社/株券を出す会社。出さない会社=契約だけ/名義書換え〔130条1項〕/名義書換え〔130条1項〕/名簿上の株主と共同〔133条2項〕/善意取得なし〔131条は株券の規定〕。出す会社=株券の交付〔当事者間でも・128条1項〕/名義書換え〔130条2項〕/株券の交付/株券を見せて単独〔131条1項の推定〕/善意取得〔131条2項〕)

板の表で、ここまでの2列を見返します。行は5つ、効力が生じる要件、会社への対抗、会社以外の第三者への対抗、書換えの請求のしかた、買い手の保護です。株券を出さない会社と出す会社で、どの行も答えが分かれていました。

株券をめぐるルール

株券の発行(215条1項=株式を発行した日以後遅滞なく発行/2項・3項=併合・分割のときの発行/4項=公開会社でない株券発行会社は株主の請求があるまで発行しなくてよい〔理由=譲渡が少ないのに紙を出させる意味が乏しい〕/不所持の申出〔217条〕=当面売らない株主が紛失・盗難→善意取得される危険を避ける) 図:株券の発行

  • 215条1項=株式を発行した日以後遅滞なく発行
  • 2項・3項=併合・分割のときの発行
  • 4項=公開会社でない株券発行会社は株主の請求があるまで発行しなくてよい〔理由=譲渡が少ないのに紙を出させる意味が乏しい〕
  • 不所持の申出〔217条〕=当面売らない株主が紛失・盗難→善意取得される危険を避ける

ここからは、株券そのもののルールです。まず発行です。

条文会社法215条1項・4項

会社法第215条第1項・第4項 1 株券発行会社は、株式を発行した日以後遅滞なく、当該株式に係る株券を発行しなければならない。 4 前三項の規定にかかわらず、公開会社でない株券発行会社は、株主から請求がある時までは、これらの規定の株券を発行しないことができる。

原則は、株式を発行した日以後、遅滞なく発行です。2項と3項は、株式の併合や分割のときの発行の定めです。4項が大事です。公開会社でない会社は、株主の請求があるまで、発行しなくてよい。理由は、非公開会社では売買が少なく、必要もないのに紙を出させる意味が乏しいからです。公開会社でない会社とは、すべての株式に譲渡の制限が付いている会社のことでした。紙を持ちたくない株主もいます。しばらく売らないなら、持っているだけで、なくす危険や、善意取得される危険があるからです。そこで、217条の不所持の申出があります。条文の中心は、1項です。

条文会社法217条1項

会社法第217条第1項 株券発行会社の株主は、当該株券発行会社に対し、当該株主の有する株式に係る株券の所持を希望しない旨を申し出ることができる。

株券の所持を希望しない旨を、会社に申し出る制度です。すでに株券があれば、会社に出して、その株券は無効になります。会社は、株主から請求があるまで、株券を発行しません。株主は、いつでも発行を請求できます。2項から6項に、その手続が書かれています。

条文会社法216条

会社法第216条 株券には、次に掲げる事項及びその番号を記載し、株券発行会社の代表取締役(指名委員会等設置会社にあっては、代表執行役)がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。 一 株券発行会社の商号 二 当該株券に係る株式の数 三 譲渡による当該株券に係る株式の取得について株式会社の承認を要することを定めたときは、その旨 四 種類株式発行会社にあっては、当該株券に係る株式の種類及びその内容

記載事項です。商号、株式の数、そして譲渡制限の旨。これは譲渡制限の回で見た、公示のひとつです。種類株式なら種類と内容、番号、代表取締役の署名か記名押印。注意してほしいのは、持ち主の氏名が書かれていないことです。紙には持ち主が書いてありません。だから、占有する人が権利者と推定される、という131条の仕組みと対になっています。

株券はいつ株券になるか(設例=A社が株主Bの株券を作成・署名まで済ませ、金庫に保管→従業員Cが持ち出し→事情を知らないDに売る/交付時説〔判例〕=まだ株券ではない→Dは紙切れを買っただけ→善意取得なし・Bは株主のまま/作成時説=作成の時に株券→Dは善意取得しうる→Bは盗難で権利を失う/対立軸=元の株主か、紙を信じた買い手か) 図:株券はいつ株券になるか

  • 設例=A社が株主Bの株券を作成・署名まで済ませ、金庫に保管→従業員Cが持ち出し→事情を知らないDに売る
  • 交付時説〔判例〕=まだ株券ではない→Dは紙切れを買っただけ→善意取得なし・Bは株主のまま
  • 作成時説=作成の時に株券→Dは善意取得しうる→Bは盗難で権利を失う
  • 対立軸=元の株主か、紙を信じた買い手か

次は、株券がいつ株券になるか、です。設例で考えます。A社が、株主Bさんの株券を作りました。署名まで済んでいますが、まだBさんに渡さず、金庫にしまっていました。そこへ従業員のCさんが忍び込み、持ち出して、事情を知らないDさんに売ってしまった。Dさんは、善意取得できるでしょうか。

判例最高裁判所第三小法廷判決・昭和40年11月16日 民集19巻8号1970頁

株券になる時点 「同条にいう株券の発行とは、会社が商法二二五条所定の形式を具備した文書を株主に交付することをいい、株主に交付したとき初めて該文書が株券となるものと解すべきである。」 …… 「したがつて、たとえ会社が前記文書を作成しても、これを株主に交付しない間は、株券たる効力を有しないこというまでもない」

判例の結論が先です。会社が形式を整えた文書を、株主に交付して初めて、その文書は株券になります。作っただけでは、株券としての効力がありません。これを交付時説と言います。この判決の商法の条文は、いまの会社法の216条と215条に当たります。設例に当てはめます。金庫の中の書類は、まだ株券ではありません。Dさんは、ただの紙切れを買っただけで、善意取得は成り立たず、Bさんは株主のままです。作ったときに株券になる、という考えはないんですか。あります。作成時説です。必要事項を書いて、代表者が署名した時に、もう株券だという考え方です。この説だと、金庫の書類も株券ですから、Dさんは善意取得しえます。Bさんは、自分の支配の及ばない盗難で、株主の地位を失うことになります。対立の軸は、元の株主を守るか、紙を信じた買い手を守るか、です。株券は今、非上場の会社にしかありません。流通の安全を、そこまで厚く図る必要は乏しい。そう考えると、元の株主を守る判例の結論は、筋が通ると考えられます。

発行前の譲渡の三層(①当事者間=有効〔最判令6〕②会社に対して=原則効力なし〔128条2項〕③例外=会社が不当に発行を遅らせ、信義則上も否定が相当でない状況→会社にも有効〔最大判昭47〕/代位行使=譲受人が譲渡人の発行請求権を代位→会社が譲受人に直接交付〔令6〕) 図:発行前の譲渡の三層

  • ①当事者間=有効〔最判令6〕②会社に対して=原則効力なし〔128条2項〕③例外=会社が不当に発行を遅らせ、信義則上も否定が相当でない状況→会社にも有効〔最大判昭47〕
  • 代位行使=譲受人が譲渡人の発行請求権を代位→会社が譲受人に直接交付〔令6〕

次は、株券の発行前に株式を売ったときです。前の回の最後に、法律による制限の1つとして出てきた話の、中身です。まず、前の回の復習を1問。承認を受けていない譲渡制限株式の売買は、売った人と買った人の間では、有効でしたか、無効でしたか?当事者間では有効で、会社に対しては効力がないんでした。株券の発行前の譲渡も、同じ型です。128条2項で、会社に対しては効力を生じません。理由は、会社が、譲渡人に株券を出せば足りるとして、発行の事務を円滑で正確にするためです。株券を準備している間に、株主が次々に入れ替わると、会社は、誰に株券を渡せばよいのか、そのたびに確かめ直さなければなりません。売った人に渡せば足りる、としておけば、事務が止まりません。では、売った人と買った人の間は、どうなるか。最高裁は、ここで二つのことを示しています。1つは、当事者の間の効力。もう1つは、買った人が株券を手に入れる道です。

判例最高裁判所第二小法廷判決・令和6年4月19日 民集78巻2号267頁

発行前の譲渡の当事者間の効力 「同条1項は、株券の発行後にした譲渡に適用される規定であると解するのが相当であるというべきである。」 …… 「したがって、株券の発行前にした株券発行会社の株式の譲渡は、譲渡当事者間においては、当該株式に係る株券の交付がないことをもってその効力が否定されることはないと解するのが相当である。」

当事者間では有効です。株券がまだ無いなら、権利は紙にくっついていません。だから、紙を渡さなければ効力が生じない、という128条1項は働きません。冒頭の和菓子屋に当てはめます。Aさんの手元に株券があったので、渡すまでBさんは株主になれませんでした。では、会社がAさんの株券をまだ一度も出していなかったら、どうか。AさんとBさんの間では、契約だけで、Bさんに株式が移ります。ただし会社に対しては、2項のとおり、まだ効力がありません。決め手は、2項の意味です。1項が発行前にも及ぶなら、会社に対してだけ効力を否定する2項は、わざわざ置く必要がありません。2項があること自体が、1項は発行後の話だと示しています。しかも、当事者間まで否定すべき合理的な必要性もありません。非公開会社には、設立以来、株券を一度も出さないまま、株式を売買してきた会社がたくさんあります。その実態とも合います。

判例最高裁判所第二小法廷判決・令和6年4月19日 民集78巻2号267頁

譲受人が株券の発行を求める道 「株券発行会社の株式の譲受人は、譲渡人に対する株券交付請求権を保全する必要があるときは、民法423条1項本文(平成29年法律第44号による改正前のもの)により、譲渡人の株券発行会社に対する株券発行請求権を代位行使することができると解するのが相当である。」 …… 「株券発行会社が、これに応じて会社法216条所定の形式を具備した文書を直接譲受人に対して交付したときは、譲渡人に対して株券交付義務を履行したことになる。」

買った人は、売った人に株券を渡せと求められます。ところが、株券がまだ発行されておらず、売った人が、会社に、株券を出してほしいと言わないかもしれません。このように、株券を受け取る権利を守る必要があるときは、代位行使ができます。代位行使とは、売った人が会社に対して持っている権利を、買った人が肩代わりして使うことです。買った人が、売った人の株券発行請求権を使い、会社に、直接自分に株券を渡せと求めるのです。会社が応じて直接渡せば、売った人への交付義務を果たしたことになります。交付時説では、株主に交付して初めて株券になるのでした。ここでは、買った人への直接の交付が、売った人への交付と同じに扱われます。だから、この株券を、株主に交付されていないから株券でない、とはいえません。和菓子屋なら、Bさんが、Aさんの代わりに、会社へ株券の発行を求めます。会社がBさんに直接株券を渡せば、会社はAさんへの株券の交付を済ませたことになり、Bさんが受け取ったその紙は、株券として有効です。注意点です。この判決が認めたのは、当事者間の効力と、代位行使と直接交付までです。会社に対する効力、つまり128条2項は変えていません。

会社が株券の発行を不当に遅らせたとき(原則=株券の発行前の譲渡は会社に対して効力なし〔128条2項〕/例外=会社が不当に発行を遅滞し、信義則に照らしても譲渡の効力を否定するのが相当でない状況→意思表示だけで会社に対しても有効〔最大判昭47〕・会社は譲受人を株主として扱う/狭い例外=安易に2項の適用を否定するのは慎む) 図:会社が株券の発行を不当に遅らせたとき

  • 原則=株券の発行前の譲渡は会社に対して効力なし〔128条2項〕
  • 例外=会社が不当に発行を遅滞し、信義則に照らしても譲渡の効力を否定するのが相当でない状況→意思表示だけで会社に対しても有効〔最大判昭47〕・会社は譲受人を株主として扱う
  • 狭い例外=安易に2項の適用を否定するのは慎む

最後に、会社に対する効力にも例外があります。まず、判決の言葉を見ます。

判例最高裁判所大法廷判決・昭和47年11月8日 民集26巻9号1489頁

会社が株券の発行を不当に遅らせたとき 「会社が右規定の趣旨に反して株券の発行を不当に遅滞し、信義則に照らしても株式譲渡の効力を否定するを相当としない状況に立ちいたつた場合においては、株主は、意思表示のみによつて有効に株式を譲渡でき、会社は、もはや、株券発行前であることを理由としてその効力を否定することができず、譲受人を株主として遇しなければならないものと解するのが相当である。」 …… 「もつとも、安易に右規定の適用を否定することは、株主の地位に関する法律関係を不明確かつ不安定ならしめるおそれがあるから、これを慎しむべきであるが」

右規定は、当時の旧商法の、いまの128条2項に当たる条文です。2項は、会社が、適切な時期に株券を出すことが前提でした。それなのに、会社が不当に発行を遅らせ、信義則に照らして、効力を否定するのが相当でない状況になったら、どうか。株主は、意思表示だけで、会社に対しても有効に譲渡できます。会社は、発行前だったから無効だ、とは言えず、譲受人を株主として扱わなければなりません。事案は、会社が組織を変えて株式会社になったあと、4年余り、株券を一度も発行せず放置していた、というものです。そのうえで、会社は譲渡を承認して株主台帳に載せ、のちに株券まで発行しました。それなのに、あとで、発行前だったから無効だ、と言うのは、信義則上許されない、とされました。ただし、この例外は狭いことに注意してください。判決自身が、安易に2項の適用を否定するのは慎むべきだ、と言っています。株主の地位が、不明確で不安定になるからです。ですから、原則は、会社に対して無効。例外が、不当な遅滞と信義則。この順に書くことになります。現行法で、会社が株券を出さなければならないのは、公開会社が定款で株券を選んだ場合と、公開会社でない会社が株主から請求された場合です。215条4項や217条で、法律上まだ出さなくてよい場面なら、出していなくても、不当な遅滞ではありません。ここは、論文で論点になりうる部分です。

株券をなくしたら

株券喪失登録の流れ(株券をなくす→喪失者が会社に喪失登録を請求〔223条〕→会社が株券喪失登録簿に記載〔221条〕→登録簿は誰でも閲覧できる〔231条〕→登録された株券の所持人は抹消を申請できる〔225条・株券を提出→会社が登録者に通知→通知の日から2週間を経過した日に抹消・登録日の翌日から1年を経過したときは申請不可〕→抹消の申請なく登録日の翌日から起算して1年を経過した日に株券は無効〔228条1項〕→会社は喪失登録者に新株券を再発行〔同条2項〕/公示催告・除権決定は使わない〔233条〕) 図:株券喪失登録の流れ

  • 株券をなくす→喪失者が会社に喪失登録を請求〔223条〕→会社が株券喪失登録簿に記載〔221条〕→登録簿は誰でも閲覧できる〔231条〕→登録された株券の所持人は抹消を申請できる〔225条・株券を提出→会社が登録者に通知→通知の日から2週間を経過した日に抹消・登録日の翌日から1年を経過したときは申請不可〕→抹消の申請なく登録日の翌日から起算して1年を経過した日に株券は無効〔228条1項〕→会社は喪失登録者に新株券を再発行〔同条2項〕
  • 公示催告・除権決定は使わない〔233条〕

最後に、株券をなくしたときです。紙は、なくすと不便なだけではありません。善意取得があるため、他人に取得されるおそれがあります。そこで、株券喪失登録という制度があります。まず、なくした人が、会社に、喪失登録を請求します。

条文会社法223条

会社法第223条 株券を喪失した者は、法務省令で定めるところにより、株券発行会社に対し、当該株券についての株券喪失登録簿記載事項を株券喪失登録簿に記載し、又は記録すること(以下「株券喪失登録」という。)を請求することができる。

会社は、株券喪失登録簿に記載します。この登録簿は、関係のある部分なら、誰でも見せてもらえます。その株券を手にした人が、取引の前に調べれば、この株券は失われたものだと分かります。善意取得を防ぐ働きがある、と考えられます。登録されている株券だと分かって取得する人は、悪意か重大な過失があると見られうるからです。登録された株券を持っている人は、抹消の申請ができます。

条文会社法225条1項

会社法第225条第1項 株券喪失登録がされた株券を所持する者(その株券についての株券喪失登録者を除く。)は、法務省令で定めるところにより、株券発行会社に対し、当該株券喪失登録の抹消を申請することができる。ただし、株券喪失登録日の翌日から起算して一年を経過したときは、この限りでない。

申請するときは、株券を会社に提出します。会社は、登録した人に、申請があったことを通知します。通知の日から2週間を経過した日に、登録は抹消され、株券は申請した人に返されます。抹消されても、その株券が無効になるわけではありません。どちらが本当の権利者かは、その二人の争いで決めます。ただし、ただし書のとおり、登録日の翌日から起算して1年を経過したあとは、申請できません。抹消の申請がないまま、時間がたつと、どうなるか。

条文会社法228条1項・2項

会社法第228条第1項・第2項 1 株券喪失登録(抹消されたものを除く。)がされた株券は、株券喪失登録日の翌日から起算して一年を経過した日に無効となる。 2 前項の規定により株券が無効となった場合には、株券発行会社は、当該株券についての株券喪失登録者に対し、株券を再発行しなければならない。

登録日の翌日から数えて1年を経過した日に、その株券は無効になります。そして、会社は、登録した人に、新しい株券を再発行します。1年、というだけで覚えず、登録日の翌日から数える、と覚えてください。もう1点、短答で引っかかりやすいところです。条文は、一文です。

条文会社法233条

会社法第233条 非訟事件手続法第四編の規定は、株券については、適用しない。

手形や小切手などの紙をなくしたときは、公示催告と除権決定という手続があります。裁判所が公告して申し出を待ち、申し出が無ければ、その紙を無効にする手続です。しかし、株券には、これを使いません。いま見た条文で適用しないと定められていて、株券は、喪失登録の制度で処理します。除権決定という言葉に、引きずられないでください。

今日の地図(保存版)

まとめの比較表(行=効力が生じる要件/会社への対抗/会社以外の第三者への対抗/名義書換えの請求/買い手の保護。列=株券を出さない会社/株券を出す会社。出さない会社=契約だけ/名義書換え〔130条1項〕/名義書換え〔130条1項〕/名簿上の株主と共同〔133条2項〕/善意取得なし〔131条は株券の規定〕。出す会社=株券の交付〔当事者間でも・128条1項〕/名義書換え〔130条2項〕/株券の交付/株券を見せて単独〔131条1項の推定〕/善意取得〔131条2項〕) 図:まとめの比較表(行=効力が生じる要件/会社への対抗/会社以外の第三者への対抗/名義書換えの請求/買い手の保護。列=株券を出さない会社/株券を出す会社。出さない会社=契約だけ/名義書換え〔130条1項〕/名義書換え〔130条1項〕/名簿上の株主と共同〔133条2項〕/善意取得なし〔131条は株券の規定〕。出す会社=株券の交付〔当事者間でも・128条1項〕/名義書換え〔130条2項〕/株券の交付/株券を見せて単独〔131条1項の推定〕/善意取得〔131条2項〕)

まとめです。一本の筋は、こうでした。株式は目に見えない権利。株券を出す会社では、権利が紙にくっつくので、紙を渡さないと、当事者の間でも移らない。その代わり、紙を持つ人は権利者と推定され、買い手は善意取得で強く守られる。株券を出さない会社では、契約だけで移り、名簿の書換えが、会社と第三者への手段になる。板の表で確かめてください。行は5つ。効力が生じる要件、会社への対抗、会社以外の第三者への対抗、書換えの請求のしかた、買い手の保護、です。短答で押さえる点です。128条1項は、当事者間でも交付が要ります。130条は、1項が会社その他の第三者、2項が会社だけです。133条2項は、共同の請求。株券を見せれば単独の請求。131条2項は、民法192条と193条より強い保護です。215条4項は、非公開会社は請求まで不要。217条は不所持の申出。216条は、持ち主の氏名を書きません。成立時期は、交付した時。そして、228条の1年と、233条の公示催告の適用除外です。論文では、二つの型が使えます。1つは、二重譲渡の処理で、対抗要件の先後を、会社が株券を出すかどうかで分けて書きます。もう1つは、発行前の譲渡で、当事者間は有効、会社には原則無効、そして不当な遅滞の例外へ当てはめます。入口の問いは、誰に何を主張するのか、そして、その会社は株券を出すのか、です。

株券を出す会社なので、Aさんが株券を渡すまで、Bさんは、株主になっていません。Bさんは、Aさんに、株券を渡すよう求められます。渡してもらえば、株券を会社に見せて、1人で名義書換えを請求できます。紙を動かすところまでが、株式を動かす、ということでした。

参照条文

  • 会社法214条
  • 会社法117条7項
  • 会社法130条1項
  • 会社法133条2項
  • 会社法128条
  • 会社法130条2項
  • 会社法131条
  • 会社法219条3項
  • 民法192条
  • 民法193条
  • 会社法215条1項・4項
  • 会社法217条1項
  • 会社法216条
  • 会社法223条
  • 会社法225条1項
  • 会社法228条1項・2項
  • 会社法233条

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