刑法ゼロから刑法#113

身の代金目的略取誘拐罪と解放減軽

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第13章 個人的法益②|自由に対する罪 ⑤/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。

銀行の社長が連れ去られたら

家族じゃない人も、安否を憂慮する者にあたるか 図:家族じゃない人も、安否を憂慮する者にあたるか

前回で、未成年者略取誘拐罪と営利目的等略取誘拐罪を見ました。今日は、その延長線上にある、身の代金目的略取誘拐罪に進みます。先に、1つ問いを立てておきます。ある銀行の社長が連れ去られて、犯人が、社長の家族ではなく、銀行の幹部に身の代金を要求したとします。家族ではない銀行の幹部は、法律が守っている「安否を憂慮する者」にあたるでしょうか。もう1つ、問いを立てておきます。犯人が、身の代金を受け取る前に、怖くなって被害者を解放したとします。この場合、罪は軽くなるのでしょうか、それとも、消えてしまうのでしょうか。

冒頭に立てたこの2つの問いの答えを、今日の内容の中で確かめていきます。鍵になるのは、たった1つの事情です。身の代金目的の拐取は、被害者の命が、他の類型よりも特に危ない、ということです。この1点から、今日出てくる条文のほとんどが説明できます。本題に入る前に、前回のおさらいをさせてください。224条は、未成年者ならどんな目的でも成立するんでしたよね。その224条に、営利やわいせつなどの目的が1つ加わると、何条になるんでしたっけ?225条でした。今日は、その225条に、身の代金目的という特別な目的がもう1つ加わったとき、何が起きるかを見ていきます。

225条の2第1項——身の代金目的略取誘拐罪

225条に、身の代金目的が加わると225条の2 図:225条に、身の代金目的が加わると225条の2

まず、225条の2第1項の全文を確認します。

条文刑法225条の2第1項

刑法225条の2(身の代金目的略取等) 「近親者その他略取され又は誘拐された者の安否を憂慮する者の憂慮に乗じてその財物を交付させる目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、無期又は三年以上の拘禁刑に処する。」

これが、いわゆる身の代金目的です。近親者など、被拐取者の安否を心配する人の、その心配する気持ちにつけこんで、財物を交付させる目的、という意味です。225条と同じ目的犯ですが、目的の中身が身の代金になると、法定刑がぐっと重くなります。225条は1年以上10年以下でしたが、225条の2は無期又は3年以上です。上限が無期に達する重さで、224条・225条よりも重い、この分野で最も重い罪になります。なぜ、ここまで重くなるんですか。そこが、今日いちばん大事なところです。身の代金目的の拐取は、犯人が被害者を長時間手元に置き続けます。被害者は、犯人の顔や居場所を知っている人でもありますから、生きて帰せば、そこから正体が割れるおそれがあります。そのため、被害者を消してしまうという最悪の結果に傾きやすい。解放減軽のところで見る最高裁の決定も、身の代金目的の誘拐は、被害者が殺される事例も少なくない、と述べています。だからこそ、被害者の命がとりわけ危ない類型として、法定刑も特に重く、そして、今日見ていく特別なルールがいくつも用意されているのです。客体は、224条と違って「人」ですから、未成年者・成年者を問いません。

「安否を憂慮する者」の範囲——最高裁の判断

親族に限らない、特別な関係にある者 図:親族に限らない、特別な関係にある者

冒頭の問いに戻ります。「安否を憂慮する者」の範囲が、まさに最高裁で問題になった事案があります。

判例最高裁第二小法廷決定

「安否を憂慮する者」の範囲 「刑法二二五条の二にいう「近親其他被拐取者の安否を憂慮する者」には、単なる同情から被拐取者の安否を気づかうにすぎないとみられる第三者は含まれないが、被拐取者の近親でなくとも、被拐取者の安否を親身になつて憂慮するのが社会通念上当然とみられる特別な関係にある者はこれに含まれるものと解するのが相当である。」

まず除かれるのは、単なる同情から心配しているだけの第三者です。近所の人がニュースを見て心配する、というだけでは足りません。含まれるのは、近親者でなくても、安否を親身になって憂慮するのが社会通念上当然と見られる、特別な関係にある者です。この事案は、まさに、A銀行の代表取締役社長が拐取された場合における、同銀行の幹部らが問題になりました。最高裁は、この銀行の幹部らも、被拐取者の安否を親身になって憂慮するのが社会通念上当然とみられる特別な関係にある者にあたるとした原判断を、正当としました。会社の代表者と、その会社の幹部という関係は、家族ではなくても、社会通念上、安否を親身に心配するのが当然だと言える特別な関係にあたります。条文も「近親者その他」と書いていて、近親者は例に挙がっているだけです。それに、身の代金を出させる相手が家族でも会社でも、手元に置かれた被害者の命が危ないことに変わりはありません。ここで1つ、注意しておきたい点があります。「安否を憂慮する者」というのは、あくまで犯人の目的の中身です。目的犯である以上、犯人がその人物の憂慮につけこもうとしていれば足り、その人物が実際に心配していたかどうかは問題になりません。たとえば、被拐取者が周囲から嫌われていて、現実には誰も心配していなかったとしても、犯人が「あの人なら財物を出すはずだ」と考えて拐取した目的犯であれば、225条の2は成立します。

225条の2第2項——身の代金要求罪

後から要求しても、同じ重さで罰する 図:後から要求しても、同じ重さで罰する

225条の2には、第2項もあります。

条文刑法225条の2第2項

刑法225条の2第2項(身の代金要求) 「人を略取し又は誘拐した者が近親者その他略取され又は誘拐された者の安否を憂慮する者の憂慮に乗じて、その財物を交付させ、又はこれを要求する行為をしたときも、前項と同様とする。」

1項は、拐取した時点で、すでに身の代金目的を持っていた場合でした。2項は違います。拐取した時点では身の代金目的が無かった人が、後になってから、身の代金を交付させ、または要求する行為をした場合です。たとえば、最初は未成年者略取のつもりで子どもを連れ去った犯人が、連れ去ったあとで気が変わり、「金を払わなければ帰さない」と要求した場合です。1項と同じ、無期又は3年以上の拘禁刑です。理由は、さきほどの1点に戻ります。被害者が犯人の手元にある限り、身の代金を要求された時点で、被害者の命の危険は、最初から身の代金目的だった場合とまったく同じだからです。「拐取した時点では違う目的だった」という言い訳で、刑を軽くさせるわけにはいきません。もう1つ、この2項には特徴があります。「交付させ、又はこれを要求する行為をしたとき」とありますから、要求の意思表示が、相手に届いたかどうかは問いません。要求する行為をした時点で、この罪は完成します。

227条——被略取者引渡し等罪

略取誘拐を助ける、事後従犯 図:略取誘拐を助ける、事後従犯

次は227条です。ここまでは、拐取そのものを罰する条文でしたが、227条は違います。拐取された状態が始まったあとで、それを助ける人を罰する条文です。以前、共犯のところで学んだとおり、実行行為が終わった後の援助は、62条の幇助犯にはなりません。これを事後従犯と呼びました。そこで法律は、略取や誘拐をした者を後から助ける行為を、227条という別の罪として罰しています。条文に出てくる「幇助する目的で」は、この罪の目的の中身、つまり、罪を犯した者を助けるつもりで、という意味で、62条の幇助犯が成立するという意味ではありません。まず1項・2項・3項を見てみます。

条文刑法227条1〜3項

刑法227条第1項〜第3項(被略取者引渡し等) 「第二百二十四条、第二百二十五条又は前三条の罪を犯した者を幇助する目的で、略取され、誘拐され、又は売買された者を引き渡し、収受し、輸送し、蔵匿し、又は隠避させた者は、三月以上五年以下の拘禁刑に処する。 第二百二十五条の二第一項の罪を犯した者を幇助する目的で、略取され又は誘拐された者を引き渡し、収受し、輸送し、蔵匿し、又は隠避させた者は、一年以上十年以下の拘禁刑に処する。 営利、わいせつ又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、略取され、誘拐され、又は売買された者を引き渡し、収受し、輸送し、又は蔵匿した者は、六月以上七年以下の拘禁刑に処する。」

3つとも、行為は共通です。引き渡し、収受、輸送、蔵匿、隠避のいずれかをすることです。「引き渡し」は被害者の支配を他人に移すこと、「収受」は受け取って自分の支配下に置くこと、「輸送」は場所から場所へ移すこと、「蔵匿」は発見されにくい場所を提供すること、「隠避」は蔵匿以外の方法で発見を妨げることです。違うのは、その行為をする側の目的です。1項は、224条・225条・後で見る226条から226条の3までの罪を犯した者を助ける目的で、3か月以上5年以下。2項は、225条の2第1項、つまり身の代金目的略取誘拐罪を助ける目的で、1年以上10年以下と重くなります。3項は、営利・わいせつ・生命身体加害の目的そのものを自分が持っている場合で、6か月以上7年以下です。たとえば、連れ去られた子どもを、頼まれて自分のアパートの一室にかくまった人がいるとします。頼んできた相手が営利目的の誘拐犯なら1項、身の代金目的の誘拐犯なら2項です。かくまうという行為は同じでも、誰を助けるつもりだったかで重さが変わります。

ここでも、命の危険という同じ理由です。身の代金目的の拐取に手を貸す行為は、被害者が危険な状態に置かれる時間を延ばすことになるので、重く罰せられます。続けて、4項を見ます。

条文刑法227条4項

刑法227条第4項(身の代金目的での収受・身の代金要求) 「第二百二十五条の二第一項の目的で、略取され又は誘拐された者を収受した者は、二年以上の有期拘禁刑に処する。略取され又は誘拐された者を収受した者が近親者その他略取され又は誘拐された者の安否を憂慮する者の憂慮に乗じて、その財物を交付させ、又はこれを要求する行為をしたときも、同様とする。」

4項は前段と後段に分かれます。前段は、身の代金目的で、被拐取者を収受した場合。後段は、収受した者自身が、後から身の代金を交付させ、または要求する行為をした場合です。さきほどの225条の2第2項と、構造がそっくりですね。この後段も、要求の意思表示が相手に届く必要はありません。

226条から226条の3——国外移送・人身売買の骨格

国外移送・人身売買は、骨格だけ押さえる 図:国外移送・人身売買は、骨格だけ押さえる

ここで少し外側の条文にも触れておきます。226条は、所在国外に移送する目的で人を略取・誘拐する罪で、2年以上の有期拘禁刑です。226条の2は人身売買の罪で、単純な買受け、未成年者の買受け、営利やわいせつなど一定の目的での買受けと売渡し、所在国外移送目的の売買と、項ごとに刑の重さが変わります。226条の3は、略取・誘拐・売買された者を実際に所在国外へ移送する罪です。ここは深入りしません。試験対策上の重要性はきわめて低い分野です。今日は、224から225、225の2という重さの階段の、さらに外側に、国外移送と人身売買という別の枝が伸びている、という位置づけだけ押さえておけば十分です。

未遂と予備——228条・228条の3

未遂は列挙、予備は身の代金目的だけ 図:未遂は列挙、予備は身の代金目的だけ

続けて、未遂と予備です。まず未遂の条文です。

条文刑法228条

刑法228条(未遂罪) 「第二百二十四条、第二百二十五条、第二百二十五条の二第一項、第二百二十六条から第二百二十六条の三まで並びに前条第一項から第三項まで及び第四項前段の罪の未遂は、罰する。」

逆に、この列挙に「入っていないもの」に注目してください。225条の2第2項と、227条4項後段が入っていません。つまり、後から身の代金を要求する罪には、未遂処罰規定がありません。さっき確認したとおり、要求する行為をした時点で完成するので、そもそも未遂という段階を観念する必要が無いのです。次に、予備の条文です。

条文刑法228条の3

刑法228条の3(身の代金目的略取等予備) 「第二百二十五条の二第一項の罪を犯す目的で、その予備をした者は、二年以下の拘禁刑に処する。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。」

この章の中で、予備を罰しているのは、225条の2第1項、つまり身の代金目的略取誘拐罪だけです。たとえば、子どもを連れ去って身の代金を取ろうと考え、下校の道を下見し、閉じ込めておく部屋を借りた、という段階です。まだ拐取すら始まっていない、この準備の段階から刑罰の対象にするということは、それだけ、この類型の危険性が特別に高いと法律が見ている、ということです。ただし書に注目してください。実行に着手する前に自首した場合は、刑を減軽し、又は免除する、必要的な減免です。準備をやめて自首すれば、必ず刑が軽くなるか、消えるということです。

228条の2——解放による刑の減軽

犯人に、後戻りの道を用意する 図:犯人に、後戻りの道を用意する

ここで、冒頭のもう1つの問いに答えます。身の代金を受け取る前に、犯人が被害者を解放したら、罪はどうなるでしょうか。

条文刑法228条の2

刑法228条の2(解放による刑の減軽) 「第二百二十五条の二又は第二百二十七条第二項若しくは第四項の罪を犯した者が、公訴が提起される前に、略取され又は誘拐された者を安全な場所に解放したときは、その刑を減軽する。」

「刑を減軽する」と書いてありますね。犯罪自体が無くなる、というわけではなさそうです。まず、この条文が対象にしているのは、225条の2、そして227条2項と4項、つまり身の代金がらみの罪に限られます。224条や225条には、この減軽はありません。要件は2つです。1つ目は、公訴が提起される前に、つまり検察官が起訴する前に。2つ目は、安全な場所に解放したこと。この両方を満たせば、刑は必ず軽くなります。減軽する、であって、無かったことにする、ではありません。なぜ、こんな規定があるのか。ここで、たとえ話を挟みます。立てこもり事件で、警察が「今すぐ人質を解放して投降すれば、量刑で有利に扱う」と呼びかける場面を思い浮かべてください。228条の2も、これと同じ発想です。犯人に、「これ以上事態を悪化させるより、今引き返した方が得だ」という道を用意することで、被害者の命を守ろうとしているのです。ボーナスをもらっても、人質を取ったという犯罪そのものは消えません。ただ、命を守るための行動を取ったぶん、刑という代償は必ず軽くなります。そして、このボーナス制度が用意されているのは、身の代金がらみの罪だけです。命の危険がとりわけ高い場面にだけ、引き返す道が特別に用意されているのです。

「安全な場所」は、救出される場所かどうか 図:「安全な場所」は、救出される場所かどうか

刑法228条の2の『安全な場所』の意味は、最高裁の決定が示しています。

判例最高裁第三小法廷決定

「安全な場所」の意味 「同条にいう「安全ナル場所」というのは、被拐取者が安全に救出されると認められる場所を意味するものであり、解放場所の位置、状況、解放の時刻、方法、被拐取者をその自宅などに復帰させるため犯人の講じた措置の内容、その他被拐取者の年齢、知能程度、健康状態など諸般の要素を考慮して判断しなければならないものである。……前述の「安全に救出される」という場合の「安全」の意義も余りに狭く解すべきではなく、被拐取者が近親者及び警察当局などによつて救出されるまでの間に、具体的かつ実質的な危険にさらされるおそれのないことを意味し、漠然とした抽象的な危険や単なる不安感ないし危惧感を伴うということだけで、ただちに、安全性に欠けるものがあるとすることはできない、と解するのが相当である。」

1段目は、被拐取者が安全に救出されると認められる場所かどうか、位置や時刻、方法、犯人がとった措置、被拐取者本人の年齢や健康状態などを、総合して考える、という判断枠組みです。2段目は、「安全」の意味そのものが、あまりに狭く解すべきではない、という点です。近親者や警察に救出されるまでの間、具体的かつ実質的な危険にさらされなければ足り、漠然とした不安感や危惧感があるというだけでは、安全性に欠けるとは言えません。この事案は、小学1年生の女児が、身の代金目的で誘拐された事件です。犯人は、要求を断念して、女児を両親のもとへ返そうと決意し、自宅から数キロ離れた、人通りの少ない場所に女児を降ろして立ち去りました。安否を見守らずに立ち去った点は、必ずしも適切ではありません。ですが、解放地点は民家が散在する場所で、通行人に救出される可能性が見込めたこと、そして犯人が、解放前に自宅へ電話で予告し、解放後も繰り返し電話で通知しようと努力したことから、最高裁は、228条の2の要件を満たすと判断しました。

通常の犯人に期待できないほどの、細心の配慮までは求められません。ハードルを上げすぎると、解放しても刑が軽くならないと考えた犯人が引き返さなくなり、後戻りの道を用意した意味がなくなるからです。もっとも、真冬の夜に、人の通らない山の中へ幼い子どもを置き去りにしたような場合は、救出されるまでの間に具体的で実質的な危険がありますから、安全な場所に解放したとは言えません。ここで、冒頭のもう1つの問いに戻ります。犯人が、身の代金を受け取る前に被害者を解放した場合、公訴提起前に、安全な場所に解放したと言えるなら、罪は消えず、成立したまま、刑が必ず軽くなります。最後に1点だけ、以前学んだ中止未遂との違いに触れておきます。中止未遂は、43条ただし書で、実行行為の途中で、結果が発生する前に、自分の意思でやめた場合の減免でした。228条の2は、それとは違う点が2つあります。1つは、既遂に達した後でも効くこと。拐取そのものはすでに完成していても、解放すれば減軽されます。もう1つは、効果の違いです。中止未遂は、刑を減軽するだけでなく、免除することもあります。228条の2は、要件を満たせば必ず刑が軽くなりますが、免除までは無く、減軽にとどまります。1つ目の違いは、冒頭で挙げた1つの事情、被害者の命が特に危ないということから出てきます。命が特に危ない罪だからこそ、既遂の後でも、被害者を生きて帰すこと、つまり解放そのものに、刑の減軽を約束しているのです。

229条——親告罪

親告罪なのは、224条系だけ 図:親告罪なのは、224条系だけ

最後に、229条の親告罪です。

条文刑法229条

刑法229条(親告罪) 「第二百二十四条の罪及び同条の罪を幇助する目的で犯した第二百二十七条第一項の罪並びにこれらの罪の未遂罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。」

今日改めて確認すると、親告罪になるのは、224条の罪、224条の罪を幇助する目的で犯した227条1項の罪、そして、この2つの未遂罪、この3つだけです。225条以下、つまり営利目的等・身の代金目的の罪は、親告罪ではありません。前回、224条の性格として確認したとおり、224条は、実の親が犯人になりうる罪でした。家庭内の事情に配慮して、告訴の判断を被害者側に委ねる必要がある。これに対して、225条以下は、営利や身の代金といった目的を持つ、より重大な事件です。告訴の有無にかかわらず、訴追すべき類型だと考えられているのです。

今日の地図(保存版)

命が危ないという1点から、すべてが出てくる 図:命が危ないという1点から、すべてが出てくる

今日の内容を整理します。224、225、225の2という重さの階段の、いちばん上に身の代金目的略取誘拐罪があります。そして、身の代金目的の拐取は被害者の命がとりわけ危ない、という1つの理由から、予備の段階から罰する228条の3、後から要求しても同じ重さで罰する225条の2第2項・227条4項後段、そして、解放すれば刑が必ず軽くなる228条の2という、3つの特別なルールが出てきます。227条は事後従犯として、この重さの階段を目的ごとに引き継ぎ、226条から226条の3は、国外移送・人身売買という、少し外側の枝でした。229条の親告罪だけは、身の代金がらみではなく、224条の性格から説明される例外です。

条文がたくさんありましたけど、根っこは1つだった、ということですね。今日で、略取・誘拐の罪の全体像が固まりました。

参照条文

  • 刑法225条の2第1項
  • 刑法225条の2第2項
  • 刑法227条1〜3項
  • 刑法227条4項
  • 刑法228条
  • 刑法228条の3
  • 刑法228条の2
  • 刑法229条

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