刑法ゼロから刑法#161

放火の罪と現住建造物等放火罪

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第17章 社会的法益|公共の平穏・取引の安全・風俗 ②/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。

留守の家と、自分の家

二つの問い・留守の家と自分の家 図:二つの問い・留守の家と自分の家

前回は、社会の平穏を守る罪でした。今日からは、安全を守る側に入ります。その代表が、放火の罪です。問いを二つ出します。一つ目。家族全員が1週間の旅行に出て、誰もいない家に、隣人が恨みから火をつけました。中には誰もいませんでした。それでも、人がいる建物に火をつけたのと同じ、死刑まである罪になるでしょうか。二つ目。一人暮らしの男が、自分の名義の自宅に、自分で火をつけました。自分の家でも、他人の家と同じ重い罪になるでしょうか。どちらも、直感とずれるところです。ヒントだけ出します。重さを決めるのは、燃やした時点で中に人がいたかどうか、ではありません。その建物が、どう使われているかです。そして、そこに住んでいるのは誰なのか、が効いてきます。今日は、その建物に、人はいるか、いつもいるか、という1本の物差しで通します。

放火の罪の階段

放火の罪の階段・108条から110条 図:放火の罪の階段・108条から110条

まず、放火の罪の全体地図です。条文は、108条から110条までの、3段の階段になっています。最上段が108条です。現に人が住居に使っている建造物や、現に人がいる建造物に火をつける罪で、刑は、死刑または無期もしくは5年以上の拘禁刑です。真ん中が109条で、人が住居に使っておらず、人もいない建造物に火をつける罪です。1項が2年以上の有期拘禁刑、それが自分の物だったときの2項が、6か月以上7年以下の拘禁刑です。いちばん下が110条で、建造物など以外の物に火をつける罪です。1項が1年以上10年以下の拘禁刑、それが自分の物だったときの2項が、1年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金です。階段の軸は、その場に人がいる可能性です。上に行くほど、人がいる可能性が高く、刑が重くなります。109条と110条の中身には、今日は入りません。別の回で扱います。

同じ火をつける行為なのに、人がいるかどうかで、ここまで刑が変わるのはなぜでしょうか。そこが今日の中心です。答えは、あとで説明します。その前に、放火罪が何を守っているのかを、確認します。

放火罪は何を守るのか

放火罪の保護法益・公共の危険 図:放火罪の保護法益・公共の危険

建造物損壊罪は、建物の持ち主の財産を守る罪でした。放火罪が守っているものは、それとは違います。不特定または多数の人の、生命、身体、財産の安全です。火は、燃え広がります。隣の家、その隣の家、そこにいる人たち。誰の家や体が巻き込まれるかは、火をつけた時点では決まっていません。だから、実際に誰かが被害を受けるのを待たず、危険が生じた段階で処罰します。侵害の危険で足りる危険犯です。ここでの危険は、不特定または多数人の生命、身体、財産に向けた危険なので、公共の危険といいます。この危険を守る罪が、公共危険罪です。前回、放火のように、不特定または多数の人への危険を守る罪が、公共危険罪の本来の姿だと言いました。今日から、それを条文で見ます。

持ち主の財産も、燃えれば失われます。ただ、放火罪の重さの中心は、公衆の安全のほうにあります。ここが、冒頭の二つ目の問いに効いてきます。

抽象的危険犯と具体的危険犯の振り分け

放火の罪の振り分け表・公共の危険の有無 図:放火の罪の振り分け表・公共の危険の有無

ここで1問です。前回、110条1項は放火の回で見ます、と言いました。110条1項と108条のうち、条文に「公共の危険」という言葉が入っているのは、どちらでしたか?110条1項です。「よって公共の危険を生じさせた者」と書いてあります。108条には、その言葉がありません。文言の有無で判定します。108条は、言葉がないので、抽象的危険犯です。109条1項も、ありません。抽象的危険犯です。ところが、109条2項には、ただし公共の危険を生じなかったときは、罰しない、とあります。110条1項は、公共の危険を生じさせた者、と書いています。2項は、その1項の物が自分の物のときの規定で、公共の危険の発生が要る形は同じです。つまり、109条2項と110条は、具体的危険犯です。抽象的危険犯は、公共の危険が生じたかどうかを、個別には問いません。具体的危険犯は、公共の危険の発生が認められることが、必要です。違いは、結論に出ます。周りに建物も人もない野原で、誰も住んでおらず中にも誰もいない自分の小屋を燃やし、火がどこにも広がる恐れがなかったとします。109条2項は、公共の危険が生じていないので、罰しません。一方、108条は、人の住む家を燃やせば、周りに火が広がる恐れがなかったとしても、成立します。公共の危険を答案で論じる必要があるかどうかが、型で分かれるのです。ここで、前回の約束が回収できます。危険犯の型は、罪の重さでは決まりません。最も重い108条は、死刑まであるのに、抽象的危険犯です。反対に、109条2項は、刑が6か月からと軽いのに、公共の危険が生じなければ罰しません。条文に、公共の危険という言葉があるかどうかで見分けます。

108条がここまで重く扱われる理由は、この回の後半で説明します。ここでは、108条の客体は、所有者が誰かを問わない、という点だけ押さえてください。放火罪の重さの中心は、公衆の安全にある、と言いました。燃える家の持ち主が誰でも、周りの人への危険は同じです。だから、他人の家でも、自分の家でも、現住か現在なら、108条の問題です。

108条の全文と、客体の二本立て

108条の骨組み・現住と現在 図:108条の骨組み・現住と現在

108条を読みます。

条文刑法108条

刑法108条(現住建造物等放火) 放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。

構造は、4つの部品です。放火して、という行為。現に人が住居に使用し、または現に人がいる、という客体の状態。建造物、汽車、電車、艦船または鉱坑、という客体の種類。そして、焼損した者、という結果です。焼損の意味は、別の回で扱います。今日の中心は、2つめの、客体の状態です。客体の種類のうち、圧倒的に重要なのは建造物です。汽車、電車、艦船、鉱坑は、試験との関係では重要ではないので、名前だけ押さえます。ただ、1点だけ差があります。109条1項の客体は、建造物、艦船または鉱坑で、汽車と電車は入っていません。客体の状態は、二本立てです。現に人が住居に使用している建造物を、現住建造物といいます。現に人がいる建造物を、現在建造物といいます。字が似ているので、混ざりやすいところです。現住の「住」は、住んでいる、つまり、いつもの使い方です。現在の「在」は、いま居る、つまり、いまの居場所です。住所と、居場所の違いです。

二本立てにしているのは、なぜですか。現住だけでは、足りないのでしょうか。足りません。住居として使っている家は、留守でも拾いたい。ただ、住居ではない物置小屋や事務所でも、中に人がいる最中に燃やされれば、人の命が危ない。だから、住居として使っているか、またはいま人がいるか、どちらかで108条に入れます。

建造物の意義

建造物の意義・呼び戻し 図:建造物の意義・呼び戻し

客体の建造物について、1問です。建造物損壊罪の回で、建物の一部かどうかは、何と何で決まりましたか?建物との接合の程度と、機能上の重要性で決まりました。取り外せるかどうかは、結論を左右しませんでした。建造物は、家屋その他これに類似する建築物で、屋根があり、壁や柱で支えられ、土地に定着していて、人が出入りできるものでした。放火でも、建造物の意義は同じです。ただ、放火では、別の形の問題が出ます。建物の一部にだけ人がいるとき、その建物のどこまでを、一つの建造物として見るか、という問題です。今日は、一つの建物として、現住か現在かを見る段階です。

現住建造物とは

現住と現在の対比 図:現住と現在の対比

現住建造物の意義を、規範として持ちます。

⭐ 論文で書く規範:【規範】現住建造物の意義 現住建造物とは、人の起臥寝食の場所として日常使用される建造物をいう。放火の時点で中に誰もいなくても、日常使用されていれば、現住にあたる。 (規範(判例・通説の定義)——日常使用の実態)

起臥寝食は、起きて、寝て、食べる、つまり、人が暮らす、ということです。住居侵入罪の、住居の定義でも出てきた言葉です。放火では、そこが日常の暮らしの場所として使われているか、まで見ます。典型は、人の住居です。ただ、住居に限りません。学校の宿直室のように、夜間や休日だけ使う場所も、日常使用されているなら、現住です。大事なのは、日常使用されているか、です。放火の時点で、中に人がいたかどうかでは、決まりません。境界を、ペアで見ます。家族が旅行に出て、留守にしている家は、現住です。夜間の宿直室が、昼間は誰もいなくても、現住です。一方、引っ越しで人が住まなくなり、誰も戻ってこない空き家は、日常使用されていないので、現住ではありません。決め手は、こうです。もし、放火の瞬間に中にいたかどうかだけで決めるなら、住人が買い物に出た隙を狙った放火は、軽くなってしまいます。しかし、その建物は、住人が帰れば、また暮らしの場所として使われます。だから、いつもの使い方で見るのです。ここで1問です。家族が1週間の旅行で留守の家に、隣人が放火しました。放火の時点で、中には誰もいません。この家は、現住建造物でしょうか?

現住建造物だと思います。旅行に出ても、その家が家族の暮らしの場所であることは変わらなくて、使い方が変わっていないからです。この考え方を、判例で確かめます。

判例——留守でも現住か

事案の関係図・交替で泊まり込んだ家 図:事案の関係図・交替で泊まり込んだ家

事案です。ある家に、競売の手続を進めさせたくない経営者がいました。経営者は、人が住んでいるように見せかけようと、自分の会社の従業員に、交替で泊まり込ませていました。ところが、その従業員たちを旅行に連れ出したうえで、共犯者がその家に火をつけました。放火の時点で、家の中には誰もいません。この家は、現住建造物といえるでしょうか。判旨を、3枚に分けて読みます。まず、家の設備と、使われ方の事実です。

判例最決平9・10・21 刑集51巻9号755頁

家屋の設備と、従業員の交替宿泊 (一)本件家屋及びその敷地は、被告人が転売目的で取得したものであるが、風呂、洗面所、トイレ、台所等の設備があり、水道、電気、ガスが供給されていて、日常生活に最低限必要なベッド、布団等の寝具のほか、テーブル、椅子、冷蔵庫、テレビ等の家財道具が持ち込まれていた。 (二)被告人は、本件家屋及びその敷地に対する競売手続の進行を妨げるため、人がそこで生活しているように装うとともに、防犯の意味も兼ねて、自己の経営する会社の従業員五名に指示して、休日以外は毎日交替で本件家屋に宿泊に行かせることとし、本件家屋の鍵を従業員二名にそれぞれ所持させたほか、会社の鍵置き場に鍵一個を掛けて、他の従業員らはこれを用いて本件家屋に自由に出入りできるようにした。 (三)その結果、平成三年一〇月上旬ころから同年一一月一六日夜までの間に十数回にわたり、従業員五名が交替で本件家屋に宿泊して、近隣の住民の目から見ても本件家屋に人が住み着いたと感じ取れる状態になった。

読みどころは、二つです。一つ目は、設備です。風呂、台所、水道、電気、ガス、寝具、家財道具がそろっていて、暮らせる状態でした。二つ目は、実績です。10月上旬から11月中旬まで、十数回、従業員が交替で宿泊し、近所の目から見ても、人が住み着いたと感じ取れる状態でした。次に、旅行の前後の事情です。

判例最決平9・10・21 刑集51巻9号755頁

旅行の前後の事情 (五)また、被告人は、従業員らに対し、沖縄旅行から帰った後は本件家屋に宿泊しなくてもよいとは指示しておらず、従業員らは、旅行から帰れば再び本件家屋への交替の宿泊が継続されるものと認識していた。また、被告人は、旅行に出発する前に本件家屋の鍵を回収したことはなく、その一本は従業員が旅行に持参していた。 (六)Aは、被告人との共謀に基づき、被告人らが沖縄旅行中の同月二一日午前零時四〇分ころ、本件家屋に火を放ち、これを全焼させて焼燬した。

ここが、決め手の入口です。旅行から帰れば、また交替の宿泊が続くと、従業員たちは考えていました。鍵も回収されておらず、その一本は、旅行に持っていかれていました。旅行に出たことで、この家の使い方が、いったん終わったわけではありません。結論です。

判例最決平9・10・21 刑集51巻9号755頁

結論——旅行中の放火でも現住 以上の事実関係に照らすと、本件家屋は、人の起居の場所として日常使用されていたものであり、右沖縄旅行中の本件犯行時においても、その使用形態に変更はなかったものと認められる。そうすると、本件家屋は、本件犯行時においても、平成七年法律第九一号による改正前の刑法一〇八条にいう「現ニ人ノ住居ニ使用」する建造物に当たると認めるのが相当であるから、これと同旨の見解に基づき現住建造物等放火罪の成立を認めた原判決の判断は正当である。

判旨は、放火の時に中に誰もいなくても、この家は現住建造物にあたる、と言っています。理由は、人の起居の場所として日常使用されていて、旅行中の犯行時にも、使用形態に変更がなかったからです。起居は、起きて寝て暮らすことで、規範の起臥寝食と同じ意味です。条文の引用や焼燬という言葉が古いのは、判決当時の条文だからです。焼燬は、今の条文の焼損にあたり、108条の要件は今と同じです。使い方に注意してください。これは、この事実関係のもとで、現住にあたる、という事例判断です。旅行中なら常に現住、と読んではいけません。判断の軸は、日常使用の実態が、放火の時にも続いていたか、です。その続きを確かめる材料として、判例が挙げた事実は、設備、宿泊の実績、旅行後も宿泊が続く見込み、鍵が回収されていないこと、でした。これらを合わせて、使用形態に変更なし、と判断したのです。冒頭の一つ目に戻ります。家族が1週間の旅行に出た留守の家は、家族の暮らしの場所として使われ続けていて、旅行の前後で使い方は変わりません。だから、現住建造物です。隣人が放火すれば、108条の問題で、死刑まである罪の枠に入ります。中に誰もいなかったことは、結論を左右しません。

現住の「人」は誰か

誰が住んでいるか・犯人だけの家 図:誰が住んでいるか・犯人だけの家

冒頭の二つ目に戻ります。現住の「人」とは、誰のことなのか、という問題です。現住の人とは、犯人以外の者をいいます。共犯者も、犯人の側に入ります。そのため、犯人だけが一人で住んでいる建造物は、現住建造物ではありません。居住者の全員が殺害された建造物も、現住建造物ではありません。現住が重いのは、火が回ったとき、犯人以外の人の安全がかかるからです。犯人一人しか住んでいないなら、巻き込まれる住人が、いません。居住者を全員殺した後の建物にも、住む人がいません。だから、現住は肯定されません。殺人罪などが別に成立することは、いうまでもありません。境界を、ペアで見ます。どちらも、自分名義の自宅です。本人だけが住んでいる家は、現住ではありません。一方、家族が一緒に住んでいる家は、現住です。所有者が本人でも、犯人以外の人が住んでいれば、現住建造物です。物差しは、名義ではなく、住んでいるのは誰か、です。ここで1問です。夫と妻が二人で住む、夫名義の家があります。妻が旅行に出ている間に、夫が一人で火をつけました。この家は、現住建造物でしょうか?

現住だと思います。旅行中でも、妻は犯人以外の住人で、その家での暮らしは続いているからです。名義が夫であることも、放火の時に中に誰もいないことも、結論を変えません。冒頭の二つ目に戻ります。一人暮らしの男が、自分名義の自宅に自分で火をつけて、中に他の人もいなければ、現住でも現在でもありません。そうすると、108条は使いません。109条の問題になり、自分の物への放火は、公共の危険が生じたかどうかが問われます。ただし、保険をかけた家のように、自分の物でも他人の物として扱う特例が、放火の条文にあります。詳しくは、別の回で扱います。他人の家と同じ、死刑まである罪にはなりません。

現在建造物と、振り分けの流れ

現住か、現在か、どちらでもないか 図:現住か、現在か、どちらでもないか

次は、現在建造物です。現住建造物にあたらなくても、その中に現に人がいる建造物が、現在建造物です。例は、離れの物置小屋です。住居として使っていないので、現住ではありません。ただ、その中に人がいる最中に火をつければ、現在建造物になります。日中だけ人が働く事務所も同じです。夜は誰も寝泊まりしないなら、現住ではありません。しかし、仕事中で人がいるところに放火すれば、現在です。現在の人も、犯人以外の者です。犯人しか中にいない建物は、現在でもありません。使い分けは、こうです。現住は、日常の使い方で見ます。現在は、放火の時点にいるか、で見ます。誰も使っていないからっぽの倉庫に、誰もいない時に火をつければ、109条です。流れにします。まず、現住かを問います。あてはまれば108条です。あてはまらなければ、次に、現在かを問います。あてはまれば108条です。どちらでもなければ、109条以下の問題です。この流れが、答案の冒頭で、どの条文で考えるかを選ぶ手順になります。ここは論文で論点になりうるところです。

なぜ108条は特に重いのか

二つの危険・108条が重い理由 図:二つの危険・108条が重い理由

先ほどの問いに答えます。人がいるかどうかで、なぜ刑がここまで変わるのか。現住建造物や現在建造物への放火が、特に重い理由は、危険が二重だからです。一つは、他の放火罪と同じ、不特定または多数の人の生命、身体、財産を脅かす危険、つまり公共の危険です。もう一つは、直接に放火の客体になった建造物の中にいる人に対する危険です。現在建造物は、まさに中に人がいるので、人への危険は明らかです。現住建造物は、たまたまその時、人がいなくても、日常使用されているので、人がいる可能性が高い。だから、類型として、人への危険がある、と扱います。そうした建造物に火がつけば、中の人の命と、周りへ燃え広がる危険が、類型として一度に生じます。危険がこれほど確かで大きいので、108条は、公共の危険が生じたかを、個別には確かめません。そして、二重の危険に見合うよう、死刑まである重い刑を用意しています。建物の一部にだけ人がいるとき、どこまでを一つの建物として見るか。その判断は、人への危険がどこまで及ぶか、という、今の理由づけから導かれます。

今日の地図(保存版)

放火の罪①のまとめ 図:放火の罪①のまとめ

まとめます。冒頭の二つの答えです。一つ目。家族が旅行に出て誰もいない家でも、日常の生活の場として使われている限り、現住建造物です。隣人が放火すれば、108条で、死刑まである罪の枠に入ります。二つ目。本人だけが住む、自分名義の家に自分で放火し、中に他の人もいなければ、現住でも現在でもありません。108条は使いません。放火の罪は、108条から110条までの、3段の階段でした。上に行くほど、人がいる可能性が高く、刑が重くなります。危険犯の型は、公共の危険という言葉があるかで決まり、108条と109条1項が抽象的危険犯、109条2項と110条が具体的危険犯です。罪の重さでは決まりません。108条の客体は、3点です。現住は、人の起臥寝食の場所として日常使用されていること。放火の時に誰もいなくても、現住です。現在は、現住でなくても、放火の時に現に人がいること。そして、その人は、犯人以外の者です。108条が重いのは、公共の危険と、建造物の中の人への危険の、二重の危険があるからです。最後に、予告です。建物の一部にだけ人がいるとき、その建物全体をどう扱うか、という論点を扱います。

参照条文

  • 刑法108条

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