訴訟の主体③被疑者・被告人と弁護人
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守る側を見る2つの問い
国に訴えられる側の人が、どこまで自分を守れるかを、2段に分けて整理します。
- 被疑者:罪を犯した疑いで捜査されているが、まだ起訴されていない人です。
- 被告人:起訴された人です。起訴された瞬間に、呼び名が被疑者から被告人に変わります。
- この回の軸:「防御する力を、どこまで持ち上げるか」です。
| 段 | 問い | 出てくる制度 |
|---|---|---|
| 第一段 | そもそも裁判を受けられる状態か | 当事者能力・訴訟能力 |
| 第二段 | 対等に戦える状態をどう作るか | 弁護人(なぜ必要か・地位・根拠・資格・選び方・効力)、補佐人 |
- この回で答える問いは「そもそも弁護人は、なぜ必要とされるのか」です(第5節)。
当事者能力
第一段の入口は、その人が訴訟の当事者になれるかです。
- 当事者能力:訴訟において、当事者になれる資格です。
- 誰が持つか:自然人はもちろん、法人や、法人になっていない団体も持ちます。
- 例:会社そのものが、被告人になることがあります。
- 欠けたとき:被告人が死亡したとき、被告人である法人が無くなったときは、裁判所が決定で公訴を棄却します(339条1項4号)。
- 理由:被告人という相手がいなくなれば、有罪か無罪かを決める手続そのものが成り立たないからです。
- 決定:口頭弁論を経なくてよい、軽い形式の裁判です(43条2項)。
- 注意:訴訟能力が回復しないときの公訴棄却は、判決です(第4節)。同じ「公訴棄却」でも形式が違います。
339条(抜粋)|刑事訴訟法 第二編 第一審 第三章 公判 第五節 公判の裁判(329〜350条)1項:左の場合には、決定で公訴を棄却しなければならない。四 被告人が死亡し、又は被告人たる法人が存続しなくなつたとき。
訴訟能力
当事者になれる人でも、いま法廷で自分を守れる状態でなければ、裁判を進められません。
(1) 訴訟能力の意味
- 訴訟能力:被告人として、自分にとって何が重要な利害かを弁別し、それに従って相当な防御ができる能力です。
- 弁別:見分けて、区別することです。
- 例:著しい精神障害の状態にある場合、手話を習得しておらず法廷でのやり取りが伝わらない場合は、訴訟能力を欠くことがあります。
- 314条1項との関係:314条1項の「心神喪失の状態」とは、訴訟能力を欠く状態を指す、と最高裁は示しています。
訴訟能力の意味最高裁判所決定被告人としての重要な利害を弁別し、それに従って相当な防御をすることのできる能力を欠く場合には、訴訟能力を欠くものというべきである。
(2) 責任能力との違い
刑法の責任能力と名前が似ていますが、見る時点も、欠けたときの効果も違います。
| 責任能力 | 訴訟能力 | |
|---|---|---|
| いつを見るか | 犯行時 | 公判の今 |
| 中身 | 善悪を弁別し、行動を抑えられたか(刑法39条) | 被告人としての重要な利害を弁別し、相当な防御ができるか |
| 欠けた場合 | 罪が成立せず無罪(実体の判断) | 手続を停止(314条1項・手続の判断) |
- なぜ「無罪」ではなく「停止」なのか:対等な当事者として戦うという前提が崩れるからです。
- 訴訟能力が無いまま進めると、本人は法廷で何が起きているか、自分にどんな権利があるかを分からないまま、判決だけを受け取ります。
- 当事者主義は、主張と立証の中心を、検察官と被告人自身が担う形です。片方が状況を理解できなければ、この形が成り立ちません。
- だから、罪があるかを決める前に、まず手続を止めます。
(3) 判断は「本人だけ」を見ない
訴訟能力があるかは、本人の状態だけでなく、周りの支えも含めて判断できます。
| 誤解 | 正しい理解 | |
|---|---|---|
| 結論 | 弁護人がいれば訴訟能力がある | 弁護人の援助は、考慮に入れてよい材料の一つ |
| 見るもの | 弁護人の有無だけ | 本人の状態+補える範囲 |
| 補える例 | ― | 弁護人が難しい言い回しをその場でかみ砕く/裁判所が質問を短く区切る/休憩をこまめに挟む |
- 判断のしかた:弁護人の適切な援助や、裁判所の後見的な役割で、訴訟能力の低下を補えるなら、それも考慮に入れて判断できます。
- 判例は、能力が著しく制限されていても訴訟能力は欠けていない、とした事案でこう述べました。
- 後見的な役割:裁判所が、被告人が手続についていけるよう配慮することです。
- なぜ支えまで見てよいのか:問われているのは「相当な防御ができる状態か」で、本人が1人で全部こなせるかではないからです。
- 支えを込みでその状態に届くなら、手続を止める理由はありません。
- 注意:弁護人がついていれば自動的に訴訟能力あり、とはなりません。まず本人の状態を見て、補える部分を考慮に入れるだけです。
- 裏を返すと、弁護人は、被告人が当事者として立てるかを左右する存在です。
訴訟能力の判断と弁護人の援助最高裁判所判決弁護人等の適切な援助や、裁判所の後見的な役割によって訴訟能力の低下を補うことができる場合には、これを考慮に入れた上で、訴訟能力の有無を判断することができる。
訴訟能力が回復しないとき
訴訟能力を欠くと手続は止まります。問題は、その状態がずっと続く場合です。
(1) まず公判手続を停止する(314条1項)
- どんなときに:被告人が心神喪失の状態、つまり訴訟能力を欠く状態にあるときです。
- 誰が・何を:裁判所が、検察官と弁護人の意見を聴いたうえで、決定で公判手続を停止します。
- 停止は、その状態が続いている間ずっと続きます。
- 例外:無罪・免訴・刑の免除・公訴棄却にすべきことが明らかなら、被告人の出頭を待たずに、すぐその裁判ができます(1項ただし書)。
- 条文の穴:314条1項には「停止」しか書かれていません。訴訟能力が二度と回復しないときの出口がありません。
- そのままだと、被告人は有罪とも無罪とも決まらず、手続も終わらないまま、宙に浮いた状態に置かれ続けます。
- 実際の事案:ある事件では、起訴の1年半ほどあとに心神喪失と認定され、公判手続が停止されました。
- 停止は、およそ17年続きました。
- 17年たって、第一審が「訴訟能力の回復の見込みがない」として、公訴棄却の判決を言い渡しました。最高裁も、この出口を認めました。
314条(抜粋)|刑事訴訟法 第二編 第一審 第三章 公判 第一節 公判準備及び公判手続(271〜316条)1項:被告人が心神喪失の状態に在るときは、検察官及び弁護人の意見を聴き、決定で、その状態の続いている間公判手続を停止しなければならない。但し、無罪、免訴、刑の免除又は公訴棄却の裁判をすべきことが明らかな場合には、被告人の出頭を待たないで、直ちにその裁判をすることができる。
(2) 338条4号に「準じて」判決で公訴棄却
- 判例の出口:訴訟能力の回復の見込みがなく、公判手続を再開できる可能性がないとき、裁判所は、338条4号に準じて、判決で公訴を棄却できます。
- なぜ打ち切れるのか:形だけ係属したまま停止を続けるのは、刑訴法の目的(1条)からみて法の予定外だからです。
- 裁判所は、検察官が公訴を取り消すかどうかに関わりなく、手続を打ち切れます。
- 338条4号の本来の場面:起訴の手続そのものに違反があって無効なときに、判決で公訴を棄却する条文です。
- 訴訟能力の回復見込みがない場面とは、中身が違います。
- 「準じて」の意味:338条4号そのものに当たる(直接適用する)わけではありません。
- 手続を打ち切る出口の形だけを借りる、という意味です。
- 条文に出口は無いが、永久に宙に浮かせることはできないので、似た性質の出口を判例が用意しました。
- なぜ決定ではなく判決なのか:判決は、原則として口頭弁論を経て出す、重い形式だからです(43条1項)。
- 検察官にも弁護人にも、意見を述べる機会が保障されます。
- 「もう回復しない」と言い切ってよいかは慎重に判断すべきなので、あえて重い形式を選んでいます。
訴訟能力の回復見込みがない場合の公訴棄却最高裁判所判決被告人に訴訟能力がないために公判手続が停止された後、訴訟能力の回復の見込みがなく公判手続の再開の可能性がないと判断される場合、裁判所は、刑訴法338条4号に準じて、判決で公訴を棄却することができると解するのが相当である。
338条(抜粋)|刑事訴訟法 第二編 第一審 第三章 公判 第五節 公判の裁判(329〜350条)左の場合には、判決で公訴を棄却しなければならない。四 公訴提起の手続がその規定に違反したため無効であるとき。
(3) 決定と判決の比較
同じ「公訴棄却」でも、場面によって条文と形式が違います。
| 339条1項4号 | 314条1項 | 338条4号に準じて | |
|---|---|---|---|
| テーマ | 当事者能力 | 訴訟能力(停止) | 訴訟能力(回復見込みなし) |
| 場面 | 被告人の死亡・法人の消滅 | 心神喪失などで訴訟能力を欠く | 訴訟能力の回復見込みがない |
| 効果 | 公訴棄却 | 公判手続の停止 | 公訴棄却 |
| 形式 | 決定 | 決定 | 判決(口頭弁論を経る重い出口) |
- 注意:訴訟能力は、訴訟条件(そもそも裁判を進めてよいかという入口の条件)とは別の話です。
弁護人はなぜ必要か
当事者として立てても、実際に対等に戦えるとは限りません。
- 武器対等:検察官と被告人が、同じだけの武器を持って戦える状態です。
- 当事者主義のもとでは、主張も立証も、検察官と被告人自身が担います。
- ただ、建前として対等であることと、実際に対等に戦えることは別問題です。
- 結論:武器対等は、初めから成り立っていません。理由は3つで、どれも構造的なものです。
| 理由 | 中身 | 被疑者・被告人にとって |
|---|---|---|
| 相手は国家権力 | 検察官は、捜査から刑の執行まで関わる組織です | 情報も人手も持つ唯一のプレイヤーを相手にする |
| 身体拘束 | 逮捕・勾留で、自由に動けないことが多い | 自分で証拠を集めに行くことすらできない |
| 知識と証拠収集力の格差 | 捜査機関は法律の専門家で、証拠を集める権限もある | 多くは法律の素人 |
- だから弁護人が要る:3つが重なると、実質的な対等は、ほうっておいては生まれません。
- 専門知識を持つ法律家の補助が不可欠です。それが弁護人です。
- 弁護人選任権:被疑者・被告人が弁護人を頼み、その弁護人から有効な弁護を受けられる権利です。
- 形の上で弁護人が付いているだけでは足りません。
弁護人は「保護者たる地位」を持つ
刑事の弁護人は、民事の弁護士と同じ「本人の代理人」では終わりません。
| 民事の弁護士 | 刑事の弁護人 | |
|---|---|---|
| 立場 | 訴訟代理人(本人の代わりに手続を進める) | 訴訟代理人+保護者たる地位 |
| 本人の意思との関係 | 本人の指示どおりに動く | 本人の意思に縛られない、独自の権限まで及ぶ |
| 具体例 | ― | 被告人が「もう争わなくていい」と言っても、証拠の弱いところを法廷で指摘できる |
- なぜ代理人では足りないのか:第5節の3つの理由があるからです。
- 相手は国家権力、身体は拘束され、知識も証拠収集力も劣る状態で、本人の指示をそのまま実行するだけでは守りきれません。
- 独自の権限の根拠:弁護人は、法律に特別の定めがある場合に限り、独立して訴訟行為ができます(41条)。
- 注意:忌避の申立て(21条2項)や上訴(356条)は、被告人の明示した意思に反してすることはできません。何でも本人の意思に反してできるわけではありません。
- 「補佐役」との関係:訴訟の主体を数えるとき、弁護人は被告人の補佐役とされます。
- これは、条文が手続の担い手として誰の名前を挙げるかという数え方の話です。
- 弁護人が実際にどこまで力を持つかという力の話では、保護者です。どちらも正しい言い方です。
- 公平の作り方:裁判所は、中立を作ることで公平を作ります。弁護人は、傾いた天秤の軽い側に重りを載せることで公平を作ります。
弁護人依頼権の憲法上の根拠
弁護人に頼る権利は、憲法の2つの条文が、場面を分けて支えています。
| 憲法34条 | 憲法37条3項 | |
|---|---|---|
| 対象 | 抑留・拘禁される人 | 刑事被告人 |
| 効く場面 | 身体を拘束された瞬間から(被疑者の段階) | 起訴された後 |
| 定める権利 | 直ちに弁護人に依頼する権利 | 資格を有する弁護人を依頼する権利。自分で依頼できないときは国が付ける(国選弁護の根拠) |
| 実施する法律 | ― | 刑訴法36条(「貧困その他の事由」という具体的な要件) |
- なぜ2か条要るのか:守る場面の時期が違うからです。
- 34条だけだと、起訴後の公判で、国選弁護人を付ける根拠が抜け落ちます。
- 37条3項だけだと、起訴される前の、被疑者段階の弁護人が抜け落ちます。
- 拘束されていない被疑者が弁護人を選ぶ権利は、憲法の明文ではなく刑訴法30条が定めます。
- 2階建ての構造:憲法が「自ら依頼できないとき」という大枠を決め(1階)、刑訴法36条が中身を決めます(2階)。
- 被告人国選(36条):被告人が、貧困などの事情で弁護人を選べないとき、被告人が請求すれば、裁判所が弁護人を付けます。
- 被告人以外の人が選んだ弁護人がいるときは、付けません(36条ただし書)。
34条|日本国憲法 第三章 国民の権利及び義務(10〜40条)何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。
37条(抜粋)|日本国憲法 第三章 国民の権利及び義務(10〜40条)3項:刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。
36条|刑事訴訟法 第一編 総則 第四章 弁護及び補佐(30〜42条)被告人が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判所は、その請求により、被告人のため弁護人を附しなければならない。但し、被告人以外の者が選任した弁護人がある場合は、この限りでない。
弁護人の資格
憲法37条3項の「資格を有する弁護人」の中身を、刑訴法31条が決めています。
- 弁護士と弁護人は別の言葉
- 弁護士:資格の名前です。
- 弁護人:その事件で防御に立つ、立場の名前です。
- 原則(31条1項):弁護人は、資格を持つ弁護士の中から選びます。
- 例外:特別弁護人(31条2項)=裁判所の許可を得て、弁護士でない人を弁護人にする制度です。
| 裁判所 | 特別弁護人を選べる条件 |
|---|---|
| 簡易裁判所 | 裁判所の許可があればよい |
| 地方裁判所 | 許可に加えて、他に弁護士の弁護人がいる場合に限る |
- なぜ地裁は一段厳しいのか:事件が重くなる分、専門家である弁護士の目が、必ずどこかに残るようにしているからです。
- 例:特許に詳しい弁理士のような、専門知識を持つ人が選ばれることがあります。
31条|刑事訴訟法 第一編 総則 第四章 弁護及び補佐(30〜42条)1項:弁護人は、弁護士の中からこれを選任しなければならない。2項:簡易裁判所又は地方裁判所においては、裁判所の許可を得たときは、弁護士でない者を弁護人に選任することができる。ただし、地方裁判所においては、他に弁護士の中から選任された弁護人がある場合に限る。
私選と国選
弁護人の選ばれ方には、2つの入口があります。
| 私選 | 国選 | |
|---|---|---|
| 選ぶ人 | 本人(被疑者・被告人)。ほかに、法定代理人・民法上の保佐人・配偶者・直系の親族・兄弟姉妹 | 裁判所または裁判長(被疑者国選は裁判官) |
| 権限の違い | 私選と国選で差はない | 私選と国選で差はない |
| 種類 | ― | 被告人国選/被疑者国選 |
| 根拠 | ― | 被告人国選:憲法37条3項後段(実施は刑訴法36条)/被疑者国選:刑訴法37条の2のみ |
- 私選の選任権者(30条):本人は、いつでも弁護人を選べます。家族などは、本人とは独立して選べます(30条2項)。
- 民法上の保佐人:判断能力が十分でない人を支えるために、民法が置いている保護者です(第11節の「補佐人」とは別の概念)。
- 被告人国選:起訴された後の被告人に付く国選です。
- 被疑者国選:起訴される前の被疑者に付く国選です。
- 勾留状が出ている被疑者が、貧困などの事情で弁護人を選べないとき、請求により裁判官が付けます(37条の2)。
(1) 被疑者国選には憲法の「国選」条項が無い
- 理由:憲法で「国が付ける」と書いてあるのは、37条3項後段だけです。
- 37条3項が名指しているのは「刑事被告人」、つまり起訴された後の人です。
- 34条は「弁護人に依頼する権利」までで、国が付けるとは書いていません。
- 位置づけ:被疑者国選は、憲法が直接保障するものではなく、法律が独自に広げた制度です。
- 被告人国選=憲法(1階)+刑訴法36条(2階)の2階建てです。
- 被疑者国選=憲法の国選条項という1階が無く、法律だけで建っています。
- 注意:被疑者の弁護人依頼権そのものは、憲法34条が保障しています。無いのは「国が付ける」という部分の憲法の明文です。
審級代理の原則(32条)
一度選ばれた弁護人が、いつまで弁護人でいられるかは、起訴の前か後かで違います。
| 選任の時期 | 効力 | 条文 |
|---|---|---|
| 起訴前の選任 | そのまま第一審でも弁護人でいられる | 32条1項 |
| 起訴後の選任 | 審級ごとに選び直す(控訴審に進んだら、もう一度選ぶ) | 32条2項 |
- 審級:第一審・控訴審・上告審という、裁判の段階です。
- 起訴前の選任が第一審まで続く理由:被疑者段階の捜査と第一審は、同じ事実をめぐる一続きの防御だからです。
- ここで選任が切れると、被告人は丸腰になります。
- 起訴後は審級ごとに選び直す理由:審級が変わると、争う中身が変わるからです。
- 争点も主張の組み立て方も変わるので、その審級での弁護を頼み直す形にしています。
- 目印:駅伝のタスキ。起訴前から第一審までは同じコース、控訴審からは新しいコースです。
32条|刑事訴訟法 第一編 総則 第四章 弁護及び補佐(30〜42条)1項:公訴の提起前にした弁護人の選任は、第一審においてもその効力を有する。2項:公訴の提起後における弁護人の選任は、審級ごとにこれをしなければならない。
補佐人
弁護人ではないが、法廷で被告人を支えるもう1人の役が、補佐人です。
- 補佐人:被告人の家族などが、届け出て、法廷で被告人に代わって訴訟行為をする立場です(42条)。
- なれる人:法定代理人・民法上の保佐人・配偶者・直系の親族・兄弟姉妹は、いつでもなれます(1項)。
- 届出:審級ごとに届け出が必要です(2項)。
- できること:被告人の明示した意思に反しない限り、被告人自身ができる訴訟行為をできます(3項)。
- 例:証拠の取調べを請求する、証人に質問する、書面を出す
| 民法上の保佐人 | 刑訴法42条の補佐人 | |
|---|---|---|
| 根拠 | 民法 | 刑訴法42条1項〜3項 |
| 何者か | 判断能力が十分でない人を支える、制度上の保護者 | 法廷で被告人を支え、被告人ができる訴訟行為をする人 |
| 関係 | 刑訴法42条の補佐人になれる人の1人 | 民法上の保佐人などが、届け出てなる立場 |
- 注意:「保佐人」と「補佐人」は読みが同じで、別の概念です。「民法上の」「刑訴法42条の」を付けて区別します。
- 弁護人との違い:出発点が違います。
| 弁護人 | 補佐人 | |
|---|---|---|
| 出発点 | 法律の専門家として選ばれる | 家族などの立場から支える |
| 本人の意思との関係 | 特別の定めがあれば、独立して訴訟行為ができる(41条) | 被告人の明示した意思に反しない限りでできる(42条3項) |
| 手続 | 起訴後の選任は審級ごと(32条2項) | 審級ごとに届出(42条2項) |
42条|刑事訴訟法 第一編 総則 第四章 弁護及び補佐(30〜42条)1項:被告人の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹は、何時でも補佐人となることができる。2項:補佐人となるには、審級ごとにその旨を届け出なければならない。3項:補佐人は、被告人の明示した意思に反しない限り、被告人がすることのできる訴訟行為をすることができる。但し、この法律に特別の定のある場合は、この限りでない。