訴訟の主体③被疑者・被告人と弁護人——防御する側は誰か
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第1章 総論 ⑥/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。
当事者能力——そもそも当事者になれるか
図:当事者能力と339条ボード
まず一段目の入口です。訴訟において当事者になれる資格を、当事者能力と呼びます。自然人はもちろんです。それだけでなく、法人や、法人になっていない団体でも、当事者能力が認められます。では、当事者能力を失うとどうなるか。条文を見てください。
条文刑訴法339条1項4号(柱書・4号)
刑事訴訟法第339条1項4号 左の場合には、決定で公訴を棄却しなければならない。…四 被告人が死亡し、又は被告人たる法人が存続しなくなつたとき。
公訴を棄却しなければなりません。被告人という相手がいなくなった以上、有罪か無罪かを決める手続そのものが成り立たないからです。そこ、覚えておいてください。当事者能力を欠いたときの公訴棄却は、決定という軽い形式で出されます。このあと、訴訟能力の話でも公訴棄却が出てきますが、そちらは形式が変わります。そこで、この違いに戻ってきます。
訴訟能力とは何か——責任能力との違い
図:訴訟能力と責任能力の対比ボード
当事者能力の次は、訴訟能力です。ここが今日、最初の山場です。当事者能力とは別物です。まず、最高裁が示した定義を見てください。
判例最高裁第三小法廷決定 平7・2・28(刑集49巻2号481頁)/判旨の要旨
訴訟能力とは何か 被告人としての重要な利害を弁別し、それに従って相当な防御をすることのできる能力を欠く場合には、訴訟能力を欠くものというべきである。
「見分けて、区別する」という意味です。自分にとって何が重要な利害で、どう防御すればよいかを見分けられる能力、それが訴訟能力です。そこを混同しやすいので、はっきり分けましょう。責任能力は、犯行のその瞬間に、善悪を見分けて行動を抑えられたかどうかです。無ければ、罪そのものが成立せず、無罪になります。訴訟能力は、今、公判をしているこの瞬間に、防御できる状態にあるかどうかです。無ければ、罪の有無はまだ何も決めず、手続を停止します。そこで終わらせたくありません。なぜ「無罪」ではなく「停止」なのか、理由を考えましょう。
訴訟能力を欠いたまま裁判を進めたら、どうなるか想像してください。本人は、今、法廷で何が行われているのか、自分にどんな権利があるのかを理解できないまま、判決だけを受け取ることになります。審理の構造を見た回の当事者主義は、主張と立証の中心を、検察官と被告人自身が担う形でした。片方が「今何が起きているか」すら分からない状態では、前提が崩れます。だから、罪を決める前に、まず手続を止めるんです。具体的には、著しい精神障害の状態にある場合や、手話を習得しておらず、法廷でのやり取りが伝わらない場合などが挙げられます。
訴訟能力の判断は「本人だけ」を見ない
図:判断要素と過剰一般化の罠ボード
そこにも、大事な判例があります。
判例最高裁第一小法廷判決 平10・3・12(刑集52巻2号17頁)/判旨の要旨
訴訟能力の判断要素 弁護人等の適切な援助や、裁判所の後見的な役割によって訴訟能力の低下を補うことができる場合には、これを考慮に入れた上で、訴訟能力の有無を判断することができる。
そこが、今日いちばんの誤解しやすいところです。弁護人がいれば訴訟能力あり——この判例は、そうは言っていません。この判例が言っているのは、「弁護人の援助や裁判所の配慮で補える範囲があるなら、それも判断の材料に入れてよい」ということだけです。弁護人がついていれば自動的に訴訟能力ありになる、という意味ではありません。難しい言い回しを弁護人がその場でかみ砕いて伝える、裁判所が質問を短く区切る、休憩をこまめに入れる——そうした手当てです。訴訟能力が問うているのは「相当な防御ができる状態か」であって、本人が一人で全部こなせるか、ではないからです。支えを込みでその状態に届くなら、手続を止める理由はありません。
では、ここで一度、立ち止まって考えてみてください。弁護人がついてさえいれば訴訟能力はある、と言えるでしょうか?この論点は、次に見る弁護人の話への橋にもなっています。弁護人は「いた方がいい」存在ではなく、被告人が当事者として立てるかどうかを左右する存在です。
回復の見込みがないとき、なぜ「準じて」なのか
図:338条準用と事案タイムラインボード
では、訴訟能力を欠いたまま手続を停止したら、そのあとどうなるか。条文を見てください。
条文刑訴法314条1項
刑事訴訟法第314条1項 被告人が心神喪失の状態に在るときは、検察官及び弁護人の意見を聴き、決定で、その状態の続いている間公判手続を停止しなければならない。但し、無罪、免訴、刑の免除又は公訴棄却の裁判をすべきことが明らかな場合には、被告人の出頭を待たないで、直ちにその裁判をすることができる。
この条文は、停止としか書いていません。もし訴訟能力が二度と回復しないとしたら、どうなるでしょうか。被告人は、有罪とも無罪とも決まらず、かといって手続が終わるわけでもなく、ずっと宙に浮いた状態に置かれ続けます。宙に浮いたままなのは、大きな問題です。でも、314条には、その先の出口が書かれていません。ここで判例が動きます。
判例最高裁第一小法廷判決 平28・12・19(刑集70巻8号865頁)
訴訟能力の回復見込みなし——出口の作り方 被告人に訴訟能力がないために公判手続が停止された後、訴訟能力の回復の見込みがなく公判手続の再開の可能性がないと判断される場合、裁判所は、刑訴法338条4号に準じて、判決で公訴を棄却することができると解するのが相当である。
条文刑訴法338条4号(柱書・4号)
刑事訴訟法第338条4号 左の場合には、判決で公訴を棄却しなければならない。…四 公訴提起の手続がその規定に違反したため無効であるとき。
本来は、起訴の手続そのものに違反があって無効なとき、判決で公訴を棄却する条文です。訴訟能力の回復見込みなし、とは中身が違います。ここが、今日いちばんの難所です。「準じて」という言葉を、正確に受け取ってください。338条4号そのものには当たりません。条文の直接適用ではないんです。手続を打ち切る出口の形だけを借りています。条文には書かれていないけれど、永久に宙に浮かせるわけにいかない。だから、似た性質を持つ出口の形を、判例が用意したんです。そこに、判決を選んだ理由があります。判決は口頭弁論を経て出す、重い出口です。検察官にも弁護人にも、意見を述べる機会が保障されます。訴訟能力の回復見込みがないと言い切ってよいかは、慎重に判断すべき場面です。だから、あえて重い形式を選んでいます。
当事者能力を欠いたとき——被告人の死亡や法人の消滅——は339条1項4号で、決定。訴訟能力の回復見込みがないときは、338条4号に準じて、判決。条文も裁判の形式も違います。そこは、板でも並べて確認しておきましょう。実際にあった事案で、イメージをつかんでください。ある事件で、被告人は起訴の1年半ほどあとに心神喪失と認定され、公判手続が停止されました。その停止は、およそ十七年続きました。その間、被告人は有罪とも無罪ともされないままです。十七年が経って、ようやく訴訟能力の回復見込みなしと判断され、公訴棄却の判決が言い渡されました。
この数字が、なぜ出口が必要なのかを、いちばん体感させてくれます。訴訟条件が欠けたときにも、出口はあります。訴訟条件というのは、そもそも裁判を進めてよいかという、入口の条件です。訴訟能力とは別の話なので、そちらは別の回でじっくり扱います。今日は、訴訟能力を欠いたときの出口だけを押さえておいてください。
武器対等が成り立たない現実——弁護人はなぜ必要か
図:3つの構造的非対称ボード
ここから、今日の後半——第二段に入ります。当事者として立てたとして、その人は、対等に戦えるのでしょうか。当事者主義のもとでは、主張も立証も、検察官と被告人自身が担います。でも、建前として対等であることと、実際に対等に戦えることは、別問題です。はっきり言います。そもそも対等ではありません。理由は3つ、すべて構造的なものです。1つ目は、相手が国家権力だということ。前回見たとおり、検察官は捜査から執行まで、事件に関わり続ける唯一のプレイヤーでした。組織として、情報も人手も持っています。
2つ目は、身体拘束です。被疑者・被告人は、逮捕や勾留で自由に動けないことが多い。自分で証拠を集めに行くことすら、できません。そこで、弁護人が本人に会いに行く、という場面が出てきます。その中身は、別の回でじっくり扱います。3つ目は、知識と証拠収集能力の格差です。捜査機関は法律の専門家で、証拠を集める権限も持っています。一方、被疑者・被告人の多くは法律の素人です。この3つが重なると、実質的な対等は、ほうっておいては生まれません。だからこそ、専門知識を持つ法律家の補助が不可欠になります。それが弁護人です。
検察官と被告人が、同じだけの武器を持って戦える状態——これを武器対等といいます。今見た3つは、その武器対等が、初めから成り立っていない現実でした。だから弁護人が要るんです。
弁護人は「保護者たる地位」を持つ
図:民事の訴訟代理人と刑事の弁護人ボード
民事の弁護士と刑事の弁護人には、大きな違いがあります。ここが、今日の背骨にあたる話です。民事の弁護士は、本人の代わりに手続を進める訴訟代理人です。刑事の弁護人は、それに加えて、保護者たる地位を持ちます。補佐役という言い方は、条文が手続の担い手として誰の名前を挙げるか。そういう、数え方の話でした。今日見るのは、その弁護人が実際にどこまで力を持つか——別の物差しです。数え方では補佐役、力の話では保護者。どちらも正しいんです。大げさではありません。さっきの3つの理由を思い出してください。相手は国家権力、身体は拘束され、知識も証拠収集力も劣る——この状態で、本人の指示をそのまま実行するだけの代理人では、足りないんです。
想像してみてください。見知らぬ国の空港に、一人で降り立ち、荷物も自由も取り上げられ、向こうには制服姿の職員が大勢待っている——そんな場面です。そこに、その国の言葉も手続もすべて知っていて、しかも本人に代わって窓口で話すことまで許されている人が、一人だけつく——それが、刑事の弁護人に近いイメージです。これは、前に見た裁判所の話ともつながります。裁判所は「中立を作る」ことで公平を作っていました。弁護人は、傾いた天秤の軽い側に、重りを載せることで公平を作ります。同じ「公平」でも、方向が違うんです。弁護人の権限は、そこまで及びます。本人の意思だけに縛られない、独自の権限まで与えられています。
例えば、被告人が「もう争わなくていい」と言った場合でも、弁護人は、証拠の弱いところを法廷で指摘できます。言われたとおりに動くだけの代理人とは、ここが違います。ただ、その中身——どんな義務を負い、どこまで独自の判断ができるか——は、別の回でじっくり扱います。今日は、「代理人を超えた地位がある」ということだけ、持ち帰ってください。国と釣り合うところまで、防御する力を持ち上げる——その中心にあるのが、代理人を超えた地位を弁護人に与える、ということでした。
弁護人依頼権の憲法上の根拠——なぜ2か条あるのか
図:憲法34条と37条3項の対比ボード
この保護者たる地位を、憲法はどう支えているのか。条文を見てください。
条文憲法34条
憲法第34条 何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。
この34条は、抑留・拘禁される人——つまり、身体を拘束された瞬間に効きます。まだ起訴されていない、被疑者の段階からです。
条文憲法37条3項
憲法第37条3項 刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。
37条3項は、起訴された後の刑事被告人を対象にします。そして、後段——自分で弁護人を依頼できないときは、国が付ける——これが、国選弁護の憲法上の根拠になります。34条だけでは足りません。なぜ2か条必要なのか、考えてみましょう。34条が守る場面と、37条3項が守る場面は、時期が違います。34条だけだと、起訴後、公判で国選弁護人をつける根拠が抜け落ちます。37条3項だけだと、今度は、起訴される前の被疑者段階の弁護人が抜け落ちます。だから、保護すべき場面ごとに、2か条の条文で、切れ目なく支えているんです。
そこは、法律が具体化しています。条文を見てください。
条文刑訴法36条(被告人国選の実施規定)
刑事訴訟法第36条 被告人が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判所は、その請求により、被告人のため弁護人を附しなければならない。但し、被告人以外の者が選任した弁護人がある場合は、この限りでない。
「貧困その他の事由」により弁護人を選任できないとき、と定めています。憲法は「自ら依頼できないとき」という広い基準だけを掲げ、刑訴法36条が、それを「貧困その他の事由」という具体的な要件に落とし込んでいます。憲法が大枠を決め、法律がその中身を実施する——この2階建ての構造は、このあと、私選と国選の話でも、また出てきます。
弁護人の資格——原則と例外
図:31条と特別弁護人ボード
憲法37条3項は、「資格を有する弁護人」と定めていました。この資格を、条文で確認しましょう。
条文刑訴法31条1項・2項
刑事訴訟法第31条 1項 弁護人は、弁護士の中からこれを選任しなければならない。2項 簡易裁判所又は地方裁判所においては、裁判所の許可を得たときは、弁護士でない者を弁護人に選任することができる。ただし、地方裁判所においては、他に弁護士の中から選任された弁護人がある場合に限る。
ここで、はっきり分けておきましょう。弁護士は、資格の名前です。弁護人は、その事件で防御に立つ、立場の名前です。31条1項が定めるとおり、弁護人は原則として、資格を持つ弁護士の中から選ばれます。例外もあります。2項を見てください。簡易裁判所または地方裁判所では、裁判所の許可を得れば、弁護士でない人を弁護人にできます。これを特別弁護人と呼びます。ただし、条件が同じではありません。簡裁は、許可さえあれば使えます。地裁は、それに加えて、「他に弁護士の弁護人がいる場合」という条件が付きます。
地裁は、事件の重さが増す分、専門家である弁護士の目が、必ずどこかに残るようにしているんです。例えば、特許に詳しい弁理士のような、専門知識を持つ人が選ばれることがあります。
私選と国選——2つの入口
図:私選と国選の対比ボード
弁護人の選ばれ方には、2つの入口があります。私選と国選です。被疑者・被告人本人が選ぶほか、法定代理人、民法上の保佐人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹も、選ぶことができます。判断能力が十分でない人を支えるために、民法が置いている制度上の保護者です。この言葉は、このあともう一度、別の話で出てきますので、覚えておいてください。裁判所または裁判長が選任します。権限そのものは、私選でも国選でも変わりません。国選は2種類あります。被告人国選と、被疑者国選です。起訴された後の被告人につく国選と、起訴される前の被疑者につく国選、2種類あります。
根拠の出どころが違います。被告人国選は、さっき見た憲法37条3項の後段が根拠です。でも、被疑者国選は違います。被疑者国選の根拠は、刑訴法だけです。憲法が直接保障しているわけではなく、法律が独自に拡張した権利、という位置づけです。条文を思い出してください。34条は「弁護人に依頼する権利」までしか書いていません。「国が付ける」とあるのは、37条3項の後段だけです。そして37条3項が名指しているのは「刑事被告人」——起訴された後の人です。だから、起訴前の被疑者に国選をつける根拠は、憲法の条文からは出てきません。
土台の違いは、さっき見た2階建てで説明できます。被告人国選は、憲法が大枠を決め、刑訴法36条が中身を決める——2階建てです。被疑者国選には、その1階——憲法——がありません。法律だけで建っている、ということです。誰がどんな条件で国選を使えるか、費用の違いも含めて、中身は別の回でじっくり扱います。今日は、私選と国選という2つの入口があること、そして被告人国選と被疑者国選とで、根拠の強さが違うこと——ここまでです。
審級代理の原則——選任の効力はいつ切れるか
図:32条と起訴前後の時間軸ボード
選ばれた弁護人が、いつまで弁護人でいられるか、という話に移ります。条文を見てください。
条文刑訴法32条1項・2項
刑事訴訟法第32条 1項 公訴の提起前にした弁護人の選任は、第一審においてもその効力を有する。2項 公訴の提起後における弁護人の選任は、審級ごとにこれをしなければならない。
1項を見てください。起訴される前に選ばれた弁護人は、そのまま第一審でも弁護人でいられます。ところが2項では、起訴された後に選ばれた弁護人は、審級ごとに選び直さなければなりません。なぜ、ここが非対称なのか、考えてみましょう。理由は2つあります。1つ目、被疑者段階の捜査と、第一審は、同じ事実をめぐる一続きの防御です。ここで選任を切ってしまうと、被告人は丸腰になってしまいます。2つ目、審級が変わると、争う中身が変わります。第一審は事実そのものを審理する事実審ですが、上級審は法律の適用を審理する法律審に近づきます。
別の種類の裁判になる、とまでは言いませんが、争点も、主張の組み立て方も変わります。だからこそ、その審級のための選任として、あらためて手続を踏むんです。駅伝のたとえが、ぴったりです。捜査から第一審までは同じコース、控訴審からは新しいコース——そのイメージで覚えておいてください。審級そのものの仕組みは、上訴を扱う回で、あらためて見ます。
補佐人——保佐人との違い
図:保佐人と補佐人の弁別ボード
最後に、弁護人ではない、もう一人の支え役を見ておきましょう。条文を見てください。
条文刑訴法42条1項・2項・3項
刑事訴訟法第42条 1項 被告人の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹は、何時でも補佐人となることができる。2項 補佐人となるには、審級ごとにその旨を届け出なければならない。3項 補佐人は、被告人の明示した意思に反しない限り、被告人がすることのできる訴訟行為をすることができる。但し、この法律に特別の定のある場合は、この限りでない。
ここが、今日いちばんの読みにくいポイントです。はっきり分けます。1項に出てくる「民法上の保佐人」は、さっき私選弁護人のところで見た、あの制度上の保護者です。この人が、なることができる相手が——42条が定める「刑訴法42条の補佐人」です。法定代理人、民法上の保佐人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹——この人たちは、いつでも補佐人になれます。3項が定めています。被告人が明らかに反対していない限り、被告人自身ができる訴訟行為を、補佐人も行うことができます。例えば、証拠の取調べを請求する、証人に質問をする、書面を出す——法廷で被告人ができることを、代わりに行えます。
役割は近いですが、出発点が違います。弁護人は法律の専門家として選ばれますが、補佐人は家族などの立場から、被告人を支えます。審級ごとに届け出が必要な点は、さっきの弁護人の選任し直しと、少し似ていますね。
今日の地図(保存版)
図:まとめボード
今日渡した中身を、まとめます。まず、当事者として立てるかどうか——当事者能力と訴訟能力です。訴訟能力を欠けば手続は停止し、回復の見込みがなければ、338条4号に準じた判決で公訴が棄却されます。次に、対等に戦えるか——ここで弁護人が出てきます。国家権力、身体拘束、知識と証拠収集力の格差、この3つの非対称を埋めるため、弁護人には保護者たる地位が与えられていました。その保護者たる地位を、憲法34条と37条3項が、拘束された瞬間と起訴された後、それぞれの場面で支えていました。
補佐人のように、法律の専門家ではない支え役もいるということも、今日見ました。当事者として立つ土台を整え、そこに対等に戦うための支えを積み上げる——それが、今日見てきた「守る側」の全体像です。次は、いよいよ第2章——捜査です。総論は、今日で一区切りになります。
参照条文
- 刑訴法339条1項4号(柱書・4号)
- 刑訴法314条1項
- 刑訴法338条4号(柱書・4号)
- 憲法34条
- 憲法37条3項
- 刑訴法36条(被告人国選の実施規定)
- 刑訴法31条1項・2項
- 刑訴法32条1項・2項
- 刑訴法42条1項・2項・3項