刑事訴訟法ゼロから刑事訴訟法#7

捜査とは何か

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捜査とは何か

捜査がどんな活動かを、3つの要素に分けて整理します。

  • 捜査:起訴するかを正しく決め、公判をやり抜く準備として、捜査機関が証拠と犯人を見つけて確保する活動です。
要素中身
① 目的起訴するかしないかを、正しく判断すること。公判を最後までやり抜けるように、準備すること
② 証拠の発見・収集目的のための道具。証拠を見つけて集める
③ 犯人の発見・確保目的のための道具。犯人を見つけて確保する
  • 注意:捜査は、犯人を懲らしめるための活動ではありません。
    • 公判で、有罪か無罪かをきちんと決められるようにするための準備活動です。
  • なぜ目的から押さえるのか:この先に出てくる手段は、全部この目的から逆算されているからです。
    • 目的を知らずに手段だけ覚えると、令状主義も任意捜査の限界も、バラバラの丸暗記になります。
  • この回の軸:集める対象の性質が、使える手段を決めます。
  • この回の事例:深夜、コンビニに覆面の人物が押し入り、レジのお金を奪って逃げた強盗事件です。

捜査はいつ始まるか(189条2項)

捜査の開始を定める189条2項を、2つの点から読みます。

  • 始まるとき:司法警察職員が「犯罪があると思料する」とき、つまり犯罪があったらしいと考えたときです。
    • 捜査を始めるには、犯罪の嫌疑があることが必要です。
    • 端緒:110番通報のように、捜査機関が事件を知るきっかけです。
  • 1点目「犯人及び証拠」:捜査の目的の2本柱(犯人の確保・証拠の収集)が、そのまま条文に出ています。
    • 犯人だけ捕まえても、証拠が無ければ有罪にできません。
    • 証拠だけそろっても、犯人が分からなければ起訴できません。
    • だから「及び」でつなぎ、両方を捜査します。
  • 2点目「するものとする」:「してもよい」ではなく、義務を表します。
    • 犯罪があると思料したら、司法警察職員は捜査しなければなりません。動くかどうかを自由に選べません。
    • 例:コンビニ強盗の通報を受けたら、警察は必ず動きます。

189条(抜粋)|刑事訴訟法 第二編 第一審 第一章 捜査(189〜246条)2項:司法警察職員は、犯罪があると思料するときは、犯人及び証拠を捜査するものとする。

在宅事件と身柄事件

捜査の対象になった人(被疑者)の置かれ方は、2通りあります。

  • 被疑者:捜査の対象になった人の、起訴される前の呼び名です。まだ「犯人」と決まった人ではありません。
在宅事件身柄事件
身体の拘束しない。住所を把握し、日常生活を続けさせながら捜査するする。逮捕・勾留で、身体を拘束したまま捜査する
どんなとき逃亡・証拠隠滅のおそれが小さい逃亡・証拠隠滅のおそれが大きい
  • なぜ2通りに分かれるのか:捜査の目的が、公判の準備だからです。
    • 逃げられると、公判そのものを開くことができません。
    • 証拠を消されると、公判で立証できません。
    • そのおそれが大きいときだけ、身柄を取ります。身体の拘束は、それだけ強い処分です。
  • 逮捕は例外:被疑者のうち、逮捕にまで進むのは、おおむね10人に3人くらいです。
    • 大半の事件は、身柄を取らずに在宅のまま進みます。「捜査=逮捕」ではありません。
  • 例:凶器を使った強盗は、逃亡・証拠隠滅のおそれが大きく、身柄事件になりやすい類型です(あくまで傾向です)。

誰が捜査するか

捜査をする機関は、3つの立場に分かれます。

捜査機関立場根拠
司法警察職員第一次的に捜査する。多くは警察官だが、海上保安官のように特定の分野だけを担当する人もいる189条2項
検察官二次的・補充的。必要と認めるときに、自ら捜査できる191条1項
検察事務官検察官の指揮を受けて捜査する191条2項
  • 「第一次的」「補充的」:条文にある言葉ではありません。189条2項と191条1項の書き方から、こう整理されています。
  • なぜ警察が第一次的なのか:現場に最初に駆けつけられる人数と配置が、警察にあるからです。
    • 検察官が、全国すべての事件に自分で乗り出す体制にはなっていません。
  • 例:コンビニ強盗の通報で最初に駆けつけるのは、警察官です。
    • 事件が複雑・重大なら、検察官も自ら捜査に加わることがあります。

191条|刑事訴訟法 第二編 第一審 第一章 捜査(189〜246条)1項:検察官は、必要と認めるときは、自ら犯罪を捜査することができる。2項:検察事務官は、検察官の指揮を受け、捜査をしなければならない。

刑事手続は証拠でつながっている

捜査から判決まで、刑事手続の全体は証拠を中心に組み立てられています。

段階誰が・何をするか
捜査捜査機関が、証拠を集める
起訴の判断検察官が、集めた証拠をもとに、起訴するかを判断する
公判の維持集めた証拠で立証し、公判を維持できるかが問われる
有罪・無罪の判断裁判所は、証拠に基づいてしか判断できない(317条)
  • 証拠が無ければ:防犯カメラの映像も、指紋も、目撃者の話も無ければ、「あの人が犯人らしい」だけでは有罪にできません。
    • 裁判所の判断の材料は、集めた証拠の分しかありません。
  • だから:捜査は、証拠を集める手段を、対象ごとに細かく作り込んでいます(第6節)。

317条|刑事訴訟法 第二編 第一審 第三章 公判 第四節 証拠(317〜328条)事実の認定は、証拠による。

証拠の集め方(対象ごとのカタログ)

証拠を集める手段は、集める対象の性質ごとに用意されています。

集める対象手段
物押収(領置・差押え)、捜索、電磁的記録提供命令
現場の状態検証、実況見分
専門知識鑑定嘱託、鑑定留置、鑑定処分
団体が持っている情報公務所等への照会
言葉(供述)取調べ、第1回公判期日前の証人尋問

(1) 物:押収・捜索・電磁的記録提供命令

証拠が「物」のときは、占有を取得できるかどうかで手段が分かれます。

  • 押収:捜査機関が、物の占有を取得する処分です。2種類あります。
    • 領置:取得するときに強制力を使わない押収です。遺留物や、持ち主などが任意に提出した物を取得します(221条)。
      • 例:犯人が逃げるときに、現場に落としていったカッターナイフ
    • 差押え:本人が渡したくないと思っていても、強制的に取得します(令状は218条1項)。
      • 例:後日、犯人の自宅を調べて見つけた、隠してあった別の凶器
    • 取得に強制力を使うかどうかで、2つに分かれます。この発想が、強制捜査と任意捜査の区別(第8節)の原型です。
  • 捜索:どこにあるか分からない物を、見つけるための処分です。
    • 捜索そのものは、物を取得する処分ではありません。差押えの前に、たいてい捜索がセットで行われます。
    • 覚え方:見つけるのが捜索、持っていくのが押収です。
  • 電磁的記録提供命令:データのような電磁的記録について、必要な範囲のデータを提供させる処分です。
    • 例:コンビニの本部に残る来店客のデータを、サーバーごと押収せずに、必要な分だけ提供させる
    • 改正前の名前は記録命令付差押えです。教科書にこの名前があれば、改正前の記述です。
    • 名前が変わっただけではありません。旧制度は、データを持つ者に必要なデータを別の記録媒体へ記録・印刷させ、その媒体を差し押さえる形でした。
    • 改正後は、差押えの形をとらずにデータを提供させる命令になり、オンラインでの提供もできるようになりました。

(2) 現場の状態:検証と実況見分

防犯カメラの位置や店内の破損の様子のような、現場の「状態」も証拠になります。

  • 押収できない理由:状態は、占有を移せる「物」ではないからです。
    • そこで、その場の状態を五官の作用で認識し、記録する処分が別に用意されています。
    • 五官:目・耳・舌・鼻・皮膚の5つの感覚です。
検証実況見分
性質強制処分(令状が要る=218条1項)任意処分(令状は要らない)
行われる場面店側の協力が得られず、令状で強制的に確認する店側の立会いのもとで、任意に確認させてもらう
行為の中身五官の作用で、場所・物・人の状態を認識し、記録する同じ
  • 注意:中身はまったく同じ行為です。相手の同意があるかどうかだけで、呼び名が変わります。
    • 押収は取得できる物が前提なので、状態には使えません。だから別の処分として、強制か任意かで呼び分けています。
  • 実況見分の根拠:実務では、犯罪捜査規範104条が挙げられます。
    • 犯罪捜査規範は、警察官が捜査で守るべきことを定めた国家公安委員会の規則です。法律ではありません。
  • 例:空き巣事件で、窓ガラスに残った靴跡を写真に撮って残すのは、押収ではなく検証か実況見分です。
    • 靴跡という「物」を取得するのではなく、その場の状態を記録しているからです。

(3) 専門知識:鑑定嘱託・鑑定留置・鑑定処分

専門的な分析は、捜査機関が自分でせず、専門家の力を借ります。

鑑定嘱託鑑定留置鑑定処分
中身専門家に分析を依頼する(例:カッターナイフの指紋の鑑定を、科学捜査研究所に頼む)長期間の観察のため、被疑者の身体を拘束しておく(例:精神状態に疑いがある被疑者)鑑定に必要な、身体検査・死体の解剖など
性質任意(令状は要らない)強制(身体を拘束する)強制(裁判官の許可が要る)
根拠223条1項224条225条
応じない・許可がないとき別の専門家に頼めばよい―許可がなければ行えない
  • 鑑定嘱託が任意なのは:相手の専門家が、任意に応じるものだからです。断られても、別の専門家に頼めば足ります。
  • 鑑定留置:身体を拘束する点で重みが違い、逮捕・勾留とは別枠の強制処分です。
    • 検察官などが裁判官に請求し、裁判官が鑑定留置状で処分します(224条)。
  • 鑑定処分が強制なのは:相手の同意がないまま、体を調べたり解剖したりするからです。
    • 行うのは、鑑定を頼まれた専門家です。検察官などが許可を請求し、裁判官の許可(許可状)を受けて行います(225条)。

225条(抜粋)|刑事訴訟法 第二編 第一審 第一章 捜査(189〜246条)1項:第二百二十三条第一項の規定による鑑定の嘱託を受けた者は、裁判官の許可を受けて、第百六十八条第一項に規定する処分をすることができる。3項:裁判官は、前項の請求を相当と認めるときは、許可状を発しなければならない。

(4) 団体の情報と言葉:照会・取調べ・証人尋問

物でも現場でもない、団体が持っている情報と、人の言葉を集める手段です。

公務所等への照会取調べ第1回公判期日前の証人尋問
何を集めるか団体が持っている情報被疑者・被疑者以外の人の話取調べで話すのを拒んだ人の証言
性質任意。応じてもらえなければそれまで任意。出頭を拒める・途中で退去できる(逮捕・勾留中の被疑者を除く)強制。拒めない
根拠197条2項198条1項・223条1項226条
  • 公務所等への照会:役所や会社などの団体に、必要な情報を問い合わせます。実務では「捜査関係事項照会」と呼ばれます。
    • 例:コンビニの本社に、来店者のデータを問い合わせる
  • 取調べ:店員や目撃者、被疑者から話を聞いて、供述という証拠を集めます。
    • 被疑者は、逮捕・勾留されていなければ、出頭を拒んだり、いつでも退去したりできます(198条1項ただし書)。
    • 逮捕・勾留中の被疑者は、このただし書の対象から外れています。ただ、どの被疑者にも、話したくないことを話さなくてよいと告げてから取り調べます(198条2項)。
  • 第1回公判期日前の証人尋問:捜査に欠かせない知識を持つ人が、取調べで出頭や供述を拒んだとき、検察官が裁判官に請求し、証人として尋問してもらう手続です(226条)。
    • 請求できるのは検察官だけです。司法警察職員は請求できません。
    • なぜ用意されているのか:供述は、相手の協力がなければ直接取得できないからです。応じてもらえないときの迂回路です。
    • 強制である理由:証人は、正当な理由なく拒むと、勾引(強制的に連れてこられる)されたり、過料(お金の支払い)を命じられたりします(152条・150条)。応じるかを、本人が選べません。
      • 請求を受けた裁判官は、証人の尋問について、裁判所と同じ権限を持ちます(228条1項)。

198条(抜粋)|刑事訴訟法 第二編 第一審 第一章 捜査(189〜246条)1項:検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。但し、被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる。

226条|刑事訴訟法 第二編 第一審 第一章 捜査(189〜246条)犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者が、第二百二十三条第一項の規定による取調に対して、出頭又は供述を拒んだ場合には、第一回の公判期日前に限り、検察官は、裁判官にその者の証人尋問を請求することができる。

(5) 客観的証拠と供述証拠

集めた証拠は、時間が経って変わるかどうかでも、2つに分けられます。

客観的証拠(動かない証拠)供述証拠(ズレうる証拠)
中身防犯カメラの映像など。時間が経っても変わらない人の記憶や発言にもとづく証拠
弱点そもそも存在しないことがある見間違い・記憶違い・忘却・虚偽が混じりうる
それでも必要な理由―「なぜこの店を狙ったのか」「共犯者と何を話し合ったのか」は、本人に聞くしかない
  • 注意:客観的証拠だけ集めればよい、とはなりません。
    • 物だけでは、事件の全部は見えません。供述証拠に頼らざるを得ない場面が、必ず出てきます。

身体の拘束:逮捕と勾留

189条2項の「犯人及び証拠」のうち、「犯人」を確保するのが身体の拘束です。証拠収集と並ぶ、もう1本の柱です。

  • 逮捕:犯人を確保する処分です。3つの類型があります。
類型どんなとき
通常逮捕裁判官があらかじめ出した令状(逮捕状)によって逮捕する
現行犯逮捕現行犯人や準現行犯人を、令状なしで逮捕する(212条・213条)
緊急逮捕重大な事件で急を要し、令状を先に取れないとき、理由を告げてまず逮捕する(210条)
  • 現行犯人:いま罪を行っている人と、罪を行い終わったばかりの人です(212条1項)。
  • 準現行犯人:犯人として追いかけられている、凶器などを持っている等の事情があり、罪を行い終わってから間がないと明らかな人です(212条2項)。
  • 緊急逮捕の後始末:逮捕したら、直ちに裁判官の逮捕状を求めます。出なければ、直ちに釈放します(210条1項)。
  • 例:コンビニ強盗の犯人を、その場で取り押さえれば現行犯逮捕です。
    • 逃げきった後、防犯カメラから犯人が特定されれば、令状を取って通常逮捕です。
  • 勾留:逮捕に続いて行われる、より長期の身体拘束です。

強制捜査と任意捜査

ここまで見た手段は、すべて強制捜査か任意捜査のどちらかに分けられます。

任意捜査強制捜査
意味対象者の同意や承諾を得て行う同意や承諾がなくても行える
手段領置、実況見分、鑑定嘱託、公務所等への照会、取調べ差押え、捜索、電磁的記録提供命令、検証、鑑定留置、鑑定処分、証人尋問、逮捕、勾留
  • 注意:同意・承諾の有無で分けるのは、入口でのひとまずの整理です。どこからが強制処分かの基準は、別の論点として詰めます。
  • 分かれ目は、断れるかどうか:同じ「話を聞く」でも、取調べは話すかどうかを選べるので任意、証人尋問は拒めないので強制です。
    • 逮捕・勾留も、相手の意思にかかわらず身体を拘束するので、強制です。
  • 見取り図:対象の性質ごとに、任意の手段と強制の手段が、両方用意されています。
    • 例:物=領置/差押え、現場の状態=実況見分/検証、言葉=取調べ/証人尋問
  • 強制捜査にだけ縛りがある理由:重要な権利や利益を、相手の意思に反して侵害・制約できてしまうからです。
    • 法律の根拠が要ります(197条1項ただし書)。
    • 原則として令状が要ります(例:差押え・捜索・電磁的記録提供命令・検証は、裁判官の令状で行う=218条1項)。

197条(抜粋)|刑事訴訟法 第二編 第一審 第一章 捜査(189〜246条)1項:捜査については、その目的を達するため必要な取調べをすることができる。ただし、強制の処分は、この法律に特別の定めのある場合でなければ、これをすることができない。

218条(抜粋)|刑事訴訟法 第二編 第一審 第一章 捜査(189〜246条)1項:検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、差押え、捜索、電磁的記録提供命令又は検証をすることができる。この場合において、身体の検査は、身体検査令状によらなければならない。

将来の犯罪への捜査は許されるか

まだ起きていない犯罪に向けて捜査ができるか、という問題です。

  • 条文の書き方:189条2項は「犯罪があったとき」ではなく、「犯罪があると思料するとき」です。

    • 過去に起きた犯罪だけに限った書き方ではありません。
  • 肯定する考え方

    • 漠然と「いつか誰かが何かするだろう」という段階では、捜査できません。
    • 発生が高い確率で見込まれ、被疑事実がある程度特定できるなら、捜査の必要性は、すでに起きた犯罪と変わらないとします。
    • 特に任意捜査なら、否定する理由は乏しいという整理です。
  • 否定する方向:捜査は過去の犯罪を対象にする、という立場を徹底すると、否定されることもありえます。

  • 判例:正面から答えた判例はありません。ヒントになるのが、おとり捜査を任意捜査として認めた最高裁の決定です。

    • おとり捜査:捜査機関やその協力者が、身分や意図を隠して相手に犯罪をするよう働きかけ、相手が実行に出たところで現行犯逮捕などをする手法です。決定もこう説明しています。
      • 働きかけの時点では、犯罪はまだ起きていません。
    • 決定が挙げた3つの事情(3条件)
      1. 直接の被害者がいない薬物犯罪などであること
      2. 通常の捜査方法だけでは摘発が難しいこと
      3. 機会があれば犯罪を行う意思があると疑われる人が相手であること
    • 決定は「少なくとも」と前置きしています。3つがそろう場面なら任意捜査として許される、と示したものです。
      • どれか1つを欠けば直ちに違法、とまでは言っていません。
    • 誰にでも仕掛けてよいわけではありません。何もするつもりのなかった人に犯意を植えつける形は、ここに入っていません。
  • 注意(決定が言っていることと、読み取れること)

    • 3つの事情は「おとり捜査が許されるか」についてのものです。「将来の犯罪を捜査できるか」の条件ではありません。
    • 決定は、「将来の犯罪も捜査できる」とは一言も言っていません。
    • ただ、まだ起きていない犯罪に向けた活動を任意捜査と認めた以上、捜査の対象を過去の犯罪に限るとは考えていない、とは読み取れます。
    • 答案で「判例は〜と述べている」と書くときは、この2つを混ぜないようにします。

おとり捜査は、任意捜査として許されるか最高裁判所決定少なくとも、直接の被害者がいない薬物犯罪等の捜査において、通常の捜査方法のみでは当該犯罪の摘発が困難である場合に、機会があれば犯罪を行う意思があると疑われる者を対象におとり捜査を行うことは、刑訴法197条1項に基づく任意捜査として許容されるものと解すべきである。

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