接見交通権と接見指定の合憲性
問い:弁護人との接見は何が守られ、捜査機関はどこまで制限でき、それはなぜ合憲か。
骨組み
- 1接見交通権の中身():身体の拘束を受けている被疑者・被告人は、弁護人又は弁護人となろうとする者と立会人なくして接見し、書類・物の授受もできる(秘密交通権)。接見禁止()は弁護人以外の者に向く
- 2なぜ秘密か(解説書):実質的な援助には信頼関係が要る/捜査段階の弁護人は証拠にアクセスできない/聞かれると話せない=萎縮的効果を防ぐ。弁護活動に不可欠で専門的判断が要る → 弁護人の固有権の1つ
- 3憲法との関係(最大判平11・3・24):前段は援助を受ける機会を実質的に保障。はその趣旨にのっとる=憲法の保障に由来する。は被疑者に適用されず、からは当然に導かれない
- 4最も重要な権利(杉山事件(最判昭53・7・10)):被疑者には刑事手続上最も重要な基本的権利、弁護人には固有権の最も重要なものの一つ
- 5接見指定(・最大判平11・3・24):捜査のため必要があるとき、公訴の提起前に限り、日時・場所・時間を指定できる(拒否はできない)。必要があるとき=取調べの中断等で捜査に顕著な支障が生ずる場合に限る。指定は協議してできる限り速やかな日時で
- 6合憲の理由(最大判平11・3・24):接見交通権も捜査権に絶対的に優先しない → 合理的な調整が要る。①全面的に拒むことは許さない(制約の程度は低い)②顕著な支障の場合に限る ③協議して速やかに指定 → 趣旨を実質的に損なわない。なお、対立する捜査機関に指定権を与えた点は、の簡易迅速な司法審査があるから違憲でない → 前段に違反しない
- 7指定の方法(浅井事件(最判平3・5・10)):捜査機関の合理的裁量=口頭でも指定書の交付でもよい。著しく合理性を欠けば違法
- 8待機と運用(若松事件(最判平3・5・31)・最判平16・9・7):権限ある捜査官への連絡を待つ間の待機は合理的な範囲内なら許容。面会切符の運用は昭和63年に廃止 → 通知事件(検察官は合理的な時間内に回答する義務)
- 9不服申立て(・・):裁判所に処分の取消し又は変更を請求(準抗告)。実益が限られ、国家賠償訴訟で争われることが多い
色の札は出どころ:条文 判例 学説(同じ色の 解説書 は、解説書の著者自身の説明)。条文番号は押すと条文、丸い札(出題)は押すと過去問の肢と正答が出ます。
3段で覚える。何が守られるか(1・2)→ どれほど重いか(3・4)→ どこまで制限できるか(5〜9)。判決が使う言葉は「憲法の保障に由来する」まで。
1接見交通権の中身()条文
- :身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者(…)と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。
- 相手は選任された弁護人に限らない:選任前の「弁護人となろうとする者」とも立会人なしで会える。
- 捜査機関の立会いを排除できるのが最大の特徴=秘密交通権とも呼ぶ。
- 授受も無制限ではない:法令で、逃亡・罪証の隠滅・戒護に支障のある物の授受を防ぐ措置を定められる()。
- 対象は「身体の拘束を受けている」者一般:鑑定留置も身体の拘束に当たる(被疑者の鑑定留置はでに準じ、勾留の規定も準用される=)→ 鑑定留置中も立会人なしで接見できる。
- 接見禁止():裁判所は、逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは、検察官の請求により又は職権で、勾留されている被告人と「第三十九条第一項に規定する者以外の者」との接見を禁じ、授受すべき書類その他の物を検閲し、その授受を禁じ、又は差し押さえることができる(糧食は除く)。→ 弁護人との接見は禁止できない(被疑者はで準用)。
- 一般の面会(家族など)も、勾留中の被告人は法令の範囲内で接見し、書類・物の授受ができる()。弁護人との違いは授受の可否ではなく、立会いが付くか、接見禁止・検閲()の対象になるか。
| 弁護人・弁護人となろうとする者 | それ以外の者(家族など) | |
|---|---|---|
| 条文 | (法令の範囲内で) | |
| 立会い | なし(「立会人なくして」) | 一般の面会には付く(立会いは刑訴法ではなく、の「法令の範囲内で」が指す別の法令による) |
| 書類・物の授受 | できる | できる |
| 接見禁止() | 対象外 | 対象になりうる |
家族から依頼を受けたばかりで、まだ弁護人選任届を出していない弁護士が留置施設に来た → 「弁護人となろうとする者」なので、選任前でも立会人なしで接見できる。接見禁止決定が出ていても同じ。
出題鑑定留置されている被疑者は、弁護人又は弁護人となろうとする者と立会人なくして接見できる(○)
出題立会人なく接見できるのは選任された弁護人に限られ、選任前の弁護士とはできない(×)
出題弁護人は立会人なく接見できるが、物の授受は意思や情報の伝達と関係ないのでできない(×)
出題接見禁止決定(裁判官による接見の禁止)があると、弁護人は被疑者と接見できない(×)
出題逃亡・罪証隠滅を疑うに足りる相当な理由があれば、勾留されている被告人(被疑者)と弁護人との接見を禁じることができる(×)
出題81条で接見等を禁じられ勾留されている被疑者と、弁護人が接見することには法令上の根拠がある(○)
出題接見禁止の裁判を受けた被告人と弁護人の接見は、立会人が付いた接見である(×)
- 「立会人なくして接見できる相手は選任された弁護人に限られる」(弁護人となろうとする者も入る)
- 「弁護人は、被疑者と物の授受をすることはできない」(書類・物の授受もの中身)
- 「接見禁止決定がされていると、弁護人も接見できない/立会人が付く」(は弁護人以外の者に向く)
- 「弁護人以外の者との面会では、書類・物の授受はできない」(=法令の範囲内でできる)
2なぜ秘密が保障されるか解説書
- 弁護人選任権は、選任することだけでなく、弁護人の実質的な援助を受ける権利を伴う。
- 実質的な弁護には、被疑者との十分な意思疎通・信頼関係・防御方針が要る。しかも捜査段階の弁護人は、捜査機関の集めた証拠にアクセスできない → 接見は情報を得る貴重な機会。
- 接見の内容が捜査機関に知られると、自由な情報・意見の交換ができなくなる(萎縮的効果)→ これを防ぐため、立会いを排除した秘密交通権を保障する。
- 接見交通権は弁護活動に必要不可欠で、その行使に弁護人の専門的な判断が要る → 弁護人の固有権の1つとされる。被疑者・被告人にとっても基本的かつ重要な権利。
- 固有権=弁護人自身が主体となって、本人の意思にかかわらず行使できる権利。本人が「誰にも会いたくない」と言っても、弁護人は自分の判断で接見を申し出られる。
警察官が同席していれば、被疑者は「実は現場近くにいた」という不利になりうる事情を弁護人にも言い出せず、弁護人は防御方針を誤る。これを防ぐのが立会いの排除。
3憲法との関係(最大判平11・3・24)判例
- 前段:何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。
- したがって、右規定は、単に被疑者が弁護人を選任することを官憲が妨害してはならないというにとどまるものではなく、被疑者に対し、弁護人を選任した上で、弁護人に相談し、その助言を受けるなど弁護人から援助を受ける機会を持つことを実質的に保障しているものと解すべきである。
- 被疑者と弁護人等との接見交通権を規定しているのは、憲法三四条の右の趣旨にのっとり、身体の拘束を受けている被疑者が弁護人等と相談し、その助言を受けるなど弁護人等から援助を受ける機会を確保する目的で設けられたものであり、その意味で、刑訴法の右規定は、憲法の保障に由来するものであるということができる
- 判決の言葉は「由来する」まで。接見交通権をの権利そのものとは言っていない。解説書は、由来する権利での権利そのものではないから、刑罰権・捜査権と比べて調整できる枠組みになる、と読む(解説書の整理。判決自身の理由は項目6)。
- 同じ判決は、ほかの条文を根拠にする違憲の主張も退けた:
- 憲法三七条は全体として公訴提起後の被告人の権利について規定していると解されることなどからみて、同条三項も公訴提起後の被告人に関する規定であって、これが公訴提起前の被疑者についても適用されるものと解する余地はない。
- 憲法三八条一項の不利益供述の強要の禁止の定めから身体の拘束を受けている被疑者と弁護人等との接見交通権の保障が当然に導き出されるとはいえない。
- → 身体の拘束を受けている被疑者が弁護人から援助を受ける機会の根拠は前段(は公訴提起後の被告人に関する規定)。
出題接見交通権は、弁護人から援助を受ける機会を確保する目的で設けられたもので、憲法の保障に由来する(○)
出題接見交通権は、援助を受ける機会を確保する目的で設けられ、憲法の保障に由来し、弁護人の重要な固有権である(○)
- 「判例は、接見交通権をが直接保障する権利そのものとした」(判決は「憲法の保障に由来する」)
- 「前段は、官憲が弁護人の選任を妨害しないことを保障するにとどまる」(援助を受ける機会を実質的に保障する)
- 「は公訴提起前の被疑者にも適用される」(公訴提起後の被告人に関する規定)
- 「から接見交通権の保障が当然に導かれる」
4最も重要な権利(杉山事件(最判昭53・7・10))判例
- この弁護人等との接見交通権は、身体を拘束された被疑者が弁護人の援助を受けることができるための刑事手続上最も重要な基本的権利に属するものであるとともに、弁護人からいえばその固有権の最も重要なものの一つであることはいうまでもない。
- 2つの面:被疑者から見て=最も重要な基本的権利/弁護人から見て=固有権の最も重要なものの「一つ」。
- 判決はここで理由を述べていない。弁護活動に不可欠・専門的判断が要る、は解説書が固有権である理由として挙げるもの(項目2)。
出題接見交通権は、刑事手続上最も重要な基本的権利であるとともに、弁護人の固有権の最も重要なものの一つである(○)
出題接見交通権は、憲法の保障に由来し、弁護人の重要な固有権である(○)
- 「接見交通権は弁護人の固有権であって、被疑者の権利ではない」(被疑者にとっても最も重要な基本的権利)
5接見指定()条文判例
- 本文:検察官、検察事務官又は司法警察職員は、捜査のため必要があるときは、公訴の提起前に限り、第一項の接見又は授受に関し、その日時、場所及び時間を指定することができる。
- ただし書:その指定は、被疑者が防禦の準備をする権利を不当に制限するようなものであつてはならない。
- 与えられているのは指定の権限だけ=接見を拒否する権限ではない。
- 公訴の提起=起訴。起訴前の者が被疑者、起訴後は被告人(判決の言葉で「公訴提起前の被疑者」「公訴提起後の被告人」)。「公訴の提起前に限り」→ この条文の指定は被疑者に対するもので、起訴された被告事件だけで勾留されている被告人には、この条文による指定はできない。「第1回公判期日まで」「逃亡・罪証隠滅のおそれ」は条文に無い。
- 最大判平11・3・24 は、ただし書を、指定は「飽くまで必要やむを得ない例外的措置」であることを明らかにしたもの、と読む。そのうえで:
- 捜査機関は、弁護人等から被疑者との接見等の申出があったときは、原則としていつでも接見等の機会を与えなければならないのであり、同条三項本文にいう「捜査のため必要があるとき」とは、右接見等を認めると取調べの中断等により捜査に顕著な支障が生ずる場合に限られ、右要件が具備され、接見等の日時等の指定をする場合には、捜査機関は、弁護人等と協議してできる限り速やかな接見等のための日時等を指定し、被疑者が弁護人等と防御の準備をすることができるような措置を採らなければならないものと解すべきである。
- 顕著な支障に原則として当たる場合:申出の時に現に取調べ中、実況見分・検証等に立ち会わせている、間近い時に取調べ等をする確実な予定があり申出どおりでは予定どおり始められなくなるおそれがある、など(最後の場合は浅井事件(最判平3・5・10)が示し、最大判平11・3・24 も挙げる)。
取調べ中に弁護人が来たとき、検察官ができるのは「取調べが終わる午後3時から30分」のように別の日時を示すこと。「今回は会わせない」で終わらせることは、本文の予定する制限に入らない。指定はしたが、区切りがつくのは夕方なのに3日後の5分間とする、のような指定は、ただし書(不当な制限)の方向に働く。
出題検察官が弁護人に対して行う接見の日時の指定は、起訴前は認められ、起訴後は認められない(○)
出題起訴された被告事件のみで勾留されている被告人と弁護人の接見の日時等を指定することは、検察官の権限として認められる(×)
出題罪証隠滅・逃亡のおそれがあるから、捜査のため必要がなくとも、公訴提起の前まで接見を指定できる(×)
出題逃亡・罪証隠滅のおそれがあるから、検察官は第1回の公判期日まで接見を指定できる(×)
- 「捜査のため必要がなくとも、逃亡・罪証隠滅のおそれがあれば指定できる」(要件は「捜査のため必要があるとき」)
- 「第1回の公判期日まで指定できる」「起訴後の被告人との接見も指定できる」(「公訴の提起前に限り」)
- 「捜査のため必要があれば、接見を拒否することもできる」(日時・場所・時間の指定まで)
6本文はなぜ合憲か(最大判平11・3・24)判例
- 前提(憲法は捜査権も前提にしている):
- もっとも、憲法は、刑罰権の発動ないし刑罰権発動のための捜査権の行使が国家の権能であることを当然の前提とするものであるから、被疑者と弁護人等との接見交通権が憲法の保障に由来するからといって、これが刑罰権ないし捜査権に絶対的に優先するような性質のものということはできない。
- 接見交通権の行使と捜査権の行使との間に合理的な調整を図らなければならない。
- 憲法三四条は、身体の拘束を受けている被疑者に対して弁護人から援助を受ける機会を持つことを保障するという趣旨が実質的に損なわれない限りにおいて、法律に右の調整の規定を設けることを否定するものではないというべきである。
- 合憲とした理由(判決の(一)〜(三)):
- 刑訴法三九条三項本文の予定している接見等の制限は、弁護人等からされた接見等の申出を全面的に拒むことを許すものではなく、単に接見等の日時を弁護人等の申出とは別の日時とするか、接見等の時間を申出より短縮させることができるものにすぎず、同項が接見交通権を制約する程度は低いというべきである。
- (二)指定できるのは、取調べの中断等により捜査に顕著な支障が生ずる場合に限られる。(三)その場合も、弁護人等と協議してできる限り速やかな日時等を指定し、防御の準備ができる措置を採らなければならない。
- このような点からみれば、刑訴法三九条三項本文の規定は、憲法三四条前段の弁護人依頼権の保障の趣旨を実質的に損なうものではないというべきである。
- 判決は(一)〜(三)とは別に、「なお」として、被疑者側と対立する関係にある捜査機関に指定の権限を与えた点の主張に答えた:
- 刑訴法四三〇条一項及び二項が、捜査機関のした三九条三項の処分に不服がある者は、裁判所にその処分の取消し又は変更を請求することができる旨を定め、捜査機関のする接見等の制限に対し、簡易迅速な司法審査の道を開いていることを考慮すると、そのことによって三九条三項本文が違憲であるということはできない。
- 結論:本文は前段に違反しない(・にも違反しないとした原審の判断も正当)。最判平16・9・7 は、この大法廷判決を引いて「当裁判所の判例とするところ」とした。
- 大法廷が判断したのは上告理由のうち憲法問題(第二点)だけ。事件は国家賠償(損害賠償)請求訴訟。
| 判決 | 何を判断したか | 要点 |
|---|---|---|
| 杉山事件(最判昭53・7・10) | 指定をめぐる措置の適法性(国賠) | 憲法の保障に由来/必要やむをえない例外的措置/原則いつでも接見/支障が顕著なら協議して速やかに指定 |
| 浅井事件(最判平3・5・10) | 指定の方法の適法性(国賠) | 間近い確実な取調べ予定も顕著な支障/方法は合理的裁量(項目7) |
| 若松事件(最判平3・5・31) | 待機・一般的指定の適法性(国賠) | 合理的な範囲内の待機は許容(項目8) |
| 最大判平11・3・24 | 本文の合憲性 | 絶対的に優先しない→合理的な調整/(一)〜(三)で趣旨を実質的に損なわない/捜査機関に指定権を与えた点はの司法審査 |
「絶対的に優先するような性質のものということはできない」は平成11年の大法廷判決の言葉。それより前の3判決は、指定をめぐる措置が違法かを判断したもので、の合憲性は判断していない(若松事件は、違法を前提とする違憲の主張を失当としただけ)。「憲法の保障に由来する」「必要やむをえない例外的措置」「原則として何時でも接見の機会を与えなければならない」は杉山事件が先に用い、最大判平11・3・24 も同じ趣旨を述べた。ただしの合憲性を判断したのは平11だけ。
- 「接見交通権は憲法の保障に由来するから、捜査権に優先する」(絶対的に優先する性質のものではない)
- 「判例は、ただし書の歯止めがあることだけを理由に合憲とした」(趣旨を損なわない理由は(一)全面拒否を許さない・(二)顕著な支障の場合に限る・(三)協議して速やかに指定。の司法審査は、対立する捜査機関に指定権を与えた点への答え)
- 「捜査機関という対立当事者に指定権を与えたこと自体が違憲」(の簡易迅速な司法審査の道がある)
- 「杉山事件(最判昭53・7・10)が初めてを合憲と判断した」(合憲性を判断したのは最大判平11・3・24)
7指定の方法(浅井事件(最判平3・5・10))判例
- 捜査機関が右日時等を指定する際いかなる方法を採るかは、その合理的裁量にゆだねられているものと解すべきであるから、電話などの口頭による指定をすることはもちろん、弁護人等に対する書面(いわゆる接見指定書)の交付による方法も許されるものというべきであるが、その方法が著しく合理性を欠き、弁護人等と被疑者との迅速かつ円滑な接見交通が害される結果になるようなときには、それは違法なものとして許されないことはいうまでもない。
- 事案:弁護士が警察署で勾留中の被疑者との接見と物(小六法・週刊誌)の授受を申し出た。検察官は協議の姿勢を示さず、往復約2時間かかる地方検察庁まで接見指定書を取りに来させようとし、物の授受には接見禁止決定の解除決定が要るとした。
- 判断:間近い時に取調べが確実に予定されていた=指定の要件があるとして指定しようとしたこと自体は違法と断定できない。しかし指定の方法等が著しく合理性を欠き違法(物の授受はで弁護人等に認められている)→ 国の賠償責任を肯定。
- 同じ判決は、顕著な支障には、現に取調べ中・実況見分や検証に立ち会わせている場合だけでなく、間近い時に取調べ等をする確実な予定があって、申出どおりの接見を認めたのでは取調べ等が予定どおり開始できなくなるおそれがある場合も含む、とした(予定があるだけでは足りない)。
出題指定の方法は合理的裁量にゆだねられるが、弁護人に書面を交付する方法は許されない(×)
- 「接見指定は、書面(接見指定書)の交付によってすることは許されない」(口頭でも書面でもよい。違法になるのは著しく合理性を欠く方法)
- 「弁護人との物の授受には、接見禁止決定の解除が必要」
8待機と運用(若松事件(最判平3・5・31)・最判平16・9・7)判例解説書
- 申出を受けた者が「接見等の日時等の指定につき権限のある捜査官」でないとき(若松事件(最判平3・5・31))。申出の窓口(警察署の留置係官など)が指定の権限を持たない場合で、最判平16・9・7 の事案では、検察官から通知書を受けていた留置係官が、検察庁に電話し、検察官が接見指定をするかを照会した:
- 権限のある捜査官に対し右の申出のあったことを連絡し、その具体的措置について指示を受ける等の手続を採る必要があり、こうした手続を要することにより弁護人等が待機することになり又はそれだけ接見が遅れることがあったとしても、それが合理的な範囲内にとどまる限り、許容されているものと解するのが相当である。
- 若松事件では、事前連絡なしに警察署へ来た弁護人への回答までの約28分は合理的な範囲内とされた。
- 運用の変遷(解説書):かつては、検察官が必要と認めた事件で「一般的指定書」を発し、申出ごとに具体的な日時を指定した「具体的指定書」(面会切符)を交付し、持参しなければ接見させなかった → 昭和63年に廃止。以後は、刑事施設の長に「捜査のため必要があるときは接見の日時等を指定することがある」旨の通知書を発し、申出のつど留置担当官が検察官に問い合わせる(通知事件)。
- 解説書の著者は、一般的指定書は接見を原則として検察官等の許可にかからせるもので、廃止は当然とも言える、と評価する。判例は、一般的指定そのものは捜査機関の内部的な事務連絡文書で、弁護人・被疑者に法的な効力を与えず違法ではないとした原審を是認した(若松事件)。他方、接見をあらかじめ一般的に禁止して許可にかからせ、しかも申出に速やかに日時等を指定しなかった捜査本部の補佐官(判決ではH)の具体的な措置は違法と述べた(杉山事件)。=2判決を合わせると、一般的指定(書)を発すること自体(内部の連絡)と、実際に接見を一般的に禁止して許可制にし、速やかに指定しない措置とを分けて見ることになる。
- 通知事件(最判平16・9・7):通知書の発出自体は違法でない。照会を受けた検察官には回答の義務がある:
- 上記通知書を発出した検察官は,上記の手続を要することにより接見等が不当に遅延することがないようにするため,留置係官から接見等の申出があったことの連絡を受けたときは,合理的な時間内に回答すべき義務があるものというべきであり,これを怠ったときは,弁護人等の接見交通権を違法に侵害したものと解するのが相当である。
- 本件の約40〜45分・約34分は、閉庁日や登庁前に事前連絡なく来た事情などから、合理的な時間内とされた。
- 同じ判決は、留置係官が照会を失念して接見を始めさせ、気付いて開始直後に照会の手続のため中断させた措置を、社会通念上相当として違法でないとした(原審は違法とし、反対意見もある)。
事前連絡なしに土曜日の警察署へ行った弁護人が、留置係官から「検察官に確認するので待ってほしい」と言われた。確認の手続を経る間の待機は、合理的な範囲内にとどまる限り違法ではない。
出題権限のある検察官に連絡し指示を受ける間、弁護人を待機させることは、合理的な範囲内にとどまる限り許される(○)
- 「権限のある捜査官に連絡する間、弁護人を待たせることは許されない」(合理的な範囲内なら許容)
- 「判例は、一般的指定(書)を発すること自体を違法とした」(若松事件は内部的な事務連絡文書で法的効力が無いとして違法でないとした原審を是認。杉山事件が違法としたのは、一般的に禁止して許可にかからせ、速やかに指定しなかった具体的な措置。廃止を当然とするのは解説書の評価)
- 「最判平16・9・7 は、始まった接見を照会のために中断させた措置を違法とした」(開始直後で社会通念上相当なら違法でないとした)
9指定に不服があるとき(・)条文
- :検察官又は検察事務官のしたの処分に不服がある者は、その検察官又は検察事務官が所属する検察庁の対応する裁判所に、処分の取消し又は変更を請求できる。
- :司法警察職員のした処分なら、職務執行地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所に請求する。
- 請求は請求書を管轄裁判所に差し出してする()=指定した捜査官にその場で異議を述べる手続ではない。
- もも準抗告と呼ぶ。は裁判官の裁判、は捜査機関(検察官・検察事務官・司法警察職員)の処分を争う。接見指定は捜査機関の処分なので。
- 実益の限界(解説書):判断を待つ間に指定の日時が来てしまう → 弁護人を原告とする国家賠償訴訟で争う例が多い。指定をめぐる最高裁の判断も、その国賠訴訟の中で積み重なった。
出題検察官がした、被疑者と弁護人との接見の日時の指定は、準抗告の対象となる(○)
出題検察官の接見指定に対する準抗告には、法令上の根拠がある(○)
出題弁護人は、検察官のした接見指定について、裁判所に取消し又は変更を請求できる(○)
出題弁護人は、検察官のした接見指定について、裁判所に取消し又は変更を請求することはできない(×)
- 「検察官のした接見指定について、裁判所に取消し・変更を請求することはできない」(でできる)
- 「準抗告は、指定をした検察官に対して申し立てる」(請求先は裁判所・請求書で=)
- 「接見指定に対する準抗告はによる」(捜査機関の処分は)