刑事訴訟法ゼロから刑事訴訟法#61

初回接見の特別な重要性

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問い:逮捕直後の初回接見の申出に、捜査機関は接見指定をしてよいか。してよいなら、どこまでか。

骨組み

  1. 12段階():本文=「捜査のため必要があるとき」=取調べの中断等で捜査に顕著な支障(現に取調べ中・実況見分等に立会い中・間近い確実な予定があって申出どおりでは予定どおり始められないおそれ → 原則として当たる)/但書=不当に制限しない=協議してできる限り速やかな日時等を指定
  2. 2初回接見が特に重要な理由(最判平12・6・13):弁護人の選任と取調べへの助言を得る最初の機会・弁護人依頼権の憲法上の保障(憲前段)の出発点
  3. 3初回接見でも指定はできる(平12):要件が具備されれば指定は許される。ただし協議して、接見の時間(長さ)を区切れば即時又は近接した時点で会わせても顕著な支障を避けられるかを検討
  4. 4可能なときは(平12):特段の事情が無い限り、引致後の手続・指紋採取・写真撮影等の後に、比較的短時間でも時間を区切って即時又は近接した時点で接見。取調べを理由に拒んで遅らせる=不当な制限(直ちに取調べを中断する義務までは述べていない)
  5. 5本件の事案と要件:現行犯逮捕の直後に即時の接見の申出 →「取調べ中」で待たせ、夕食中に翌日を指定。要件は否定されず(「当たるといえないわけではなく」)=指定しようとしたこと自体は直ちに違法と断定できない
  6. 6本件の結論:時間をやり繰りすれば支障は顕著にならなかった(会わせられた)のに、協議の姿勢を示さず一方的に翌日 →「他に特段の事情のうかがわれない本件においては」違反・国家賠償法上も違法
  7. 7分かれ目と射程:違法とされたのは、会わせられたのに協議の姿勢も示さず遅らせた措置(協議しなかったことだけで違法とは述べていない)。判決は逮捕直後・引致当日の事案

色の札は出どころ:条文 判例 学説(同じ色の 解説書 は、解説書の著者自身の説明)。条文番号は押すと条文、丸い札(出題)は押すと過去問の肢と正答が出ます。断りの無い条文番号は刑事訴訟法。

流れで覚える。指定の2段階(1)→ 初回接見はなぜ重いか(2)→ 指定はできるが、協議して時間を区切れば会わせられないかを検討(3)→ 可能なら短時間でも会わせる・拒んで遅らせれば不当(4)→ 本件=要件は否定されず(5)、会わせられたのに翌日指定で違法(6)→ 分かれ目と射程(7)。

1指定の2段階()条文判例

  • :身体の拘束を受けている被疑者は、弁護人(弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者を含む)と立会人なくして接見できる=接見は原則として自由。3項はその例外。
  • 本文:捜査機関は、「捜査のため必要があるとき」は、公訴の提起前に限り、接見に関し、その日時、場所及び時間を指定することができる。但書:その指定は、被疑者が防禦の準備をする権利を不当に制限するようなものであつてはならない。
  • 平12は、最大判平11・3・24 を引いて、まず一般論を述べる。弁護人等から接見の申出があれば原則としていつでも機会を与えなければならず、「捜査のため必要があるとき」は捜査に顕著な支障が生ずる場合に限られる。
  • …刑訴法三九条三項本文にいう「捜査のため必要があるとき」とは、右接見等を認めると取調べの中断等により捜査に顕著な支障が生ずる場合に限られる。
    そして、弁護人等から接見等の申出を受けた時に、捜査機関が現に被疑者を取調べ中である場合や実況見分、検証等に立ち会わせている場合、また、間近い時に右取調べ等をする確実な予定があって、弁護人等の申出に沿った接見等を認めたのでは、右取調べ等が予定どおり開始できなくなるおそれがある場合などは、原則として右にいう取調べの中断等により捜査に顕著な支障が生ずる場合に当たると解すべきである
  • 右のように、弁護人等の申出に沿った接見等を認めたのでは捜査に顕著な支障が生じるときは、捜査機関は、弁護人等と協議の上、接見指定をすることができるのであるが、
    その場合でも、その指定は、被疑者が防御の準備をする権利を不当に制限するようなものであってはならないのであって(刑訴法三九条三項ただし書)、
    捜査機関は、弁護人等と協議してできる限り速やかな接見等のための日時等を指定し、被疑者が弁護人等と防御の準備をすることができるような措置を採らなければならないものと解すべきである。
  • 類型は「場合など」「原則として」の言い方=3つに限ったものでも、当たれば必ず要件を満たすというものでもない。
  • 要件を満たす場合でも、指定の中身が但書に反すれば違法になる(解説書は、2段目の判断を要する場合がある、と整理)。判決は一般論のあと「とりわけ」初回接見について、とつなぐ=下の2〜4は、この配慮をさらに重くした場面。
  • 指定に不服があれば、取消し・変更を裁判所に請求できる(準抗告)。検察官・検察事務官の指定は所属する検察庁の対応する裁判所()、司法警察職員の指定は職務執行地を管轄する地方裁判所か簡易裁判所()。
見ること欠けたら
1段目(本文)「捜査のため必要があるとき」=取調べの中断等で捜査に顕著な支障が生ずるかそもそも指定できない=原則としていつでも接見
2段目(但書)指定の中身が防御の準備をする権利を不当に制限しないか(できる限り速やかな日時等か)要件があっても、その指定は但書に反して違法
×にされやすい形
  • 「要件(捜査のため必要があるとき)を満たせば、どのような日時を指定しても適法である」(但書の判断が別にある)
  • 「取調べ中などの類型に当たれば、例外なく指定の要件を満たす」(判決は「原則として」)

2初回接見が特に重要な理由(最判平12・6・13)判例

  • とりわけ、弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者と被疑者との逮捕直後の初回の接見は、身体を拘束された被疑者にとっては、弁護人の選任を目的とし、かつ、今後捜査機関の取調べを受けるに当たっての助言を得るための最初の機会であって、
    直ちに弁護人に依頼する権利を与えられなければ抑留又は拘禁されないとする憲法上の保障の出発点を成すものであるから、
    これを速やかに行うことが被疑者の防御の準備のために特に重要である。
  • 理由は2つ:①選任と、これからの取調べに向けた助言を得る「最初の機会」 ②憲法上の保障の「出発点」。
  • 初回接見の説示には憲法の条番号が無いが(判決の冒頭では、39条3項が憲法34条に反しないとする最大判平11・3・24 を引いている)、文言は憲前段(「直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない」)と一致する。
  • 主体は「弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者」。本件は、被疑者本人が救援連絡センターの弁護士を選ぶと述べていた。

3初回接見でも指定はできる・協議して検討する(要旨1の前半)判例

  • 右のような接見の申出を受けた捜査機関としては、前記の接見指定の要件が具備された場合でも、その指定に当たっては、弁護人となろうとする者と協議して、
    即時又は近接した時点での接見を認めても接見の時間を指定すれば捜査に顕著な支障が生じるのを避けることが可能かどうかを検討し、…
  • 「要件が具備された場合でも、その指定に当たっては」=初回接見でも指定そのものは許される。求められるのは、指定のしかたの検討。
  • 工夫するのは「時間」(接見の長さ)。は日時・場所・時間の指定を認めている=時間を区切ることもそれ自体が指定。日時を先へ送るのではなく、時間を区切って即時か近い時点で会わせられないかを考える。

「初回接見だから、捜査機関は接見の日時を指定できない」は誤り。要件があれば指定できる。初回接見で求められるのは、時間を区切ってでも即時か近い時点で会わせられないかを、協議して確かめること。

出題逮捕直後の初回接見は防御の準備のため特に重要だから、(捜査のため必要があるときでも)日時等の指定は許されない(×)

出題逮捕当日に妻が選任した弁護人の初回の接見について、指定権を行使することはできない(×)

×にされやすい形
  • 「初回の接見は特に重要であるから、捜査機関による接見の日時、場所及び時間の指定が許されることはない」(予備R3-18-イ・司法H19-25-オ)=要件が具備されれば指定はできる
  • 「初回接見では、但書により、接見指定は一切できない」(但書は指定の中身を縛るもの)

4可能なときは短時間でも会わせる(要旨1の後半)判例

  • …これが可能なときは、留置施設の管理運営上支障があるなど特段の事情のない限り、犯罪事実の要旨の告知等被疑者の引致後直ちに行うべきものとされている手続及びそれに引き続く指紋採取、写真撮影等所要の手続を終えた後において、たとい比較的短時間であっても、時間を指定した上で即時又は近接した時点での接見を認めるようにすべきであり、
    このような場合に、被疑者の取調べを理由として右時点での接見を拒否するような指定をし、被疑者と弁護人となろうとする者との初回の接見の機会を遅らせることは、被疑者が防御の準備をする権利を不当に制限するものといわなければならない。
  • 不当とされるのは「これが可能なとき」=時間を区切れば支障を避けられるのに、「このような場合に」取調べを理由に拒んで遅らせたとき。
  • 求められるのは「直ちに取調べを中断して会わせる」ことではない。検討と、可能なときに短時間でも会わせること。時間を区切っても支障を避けられないなら、遅らせる指定もありうる(判決は可能でない場合を述べていない=「これが可能なときは」という条件からの読み)。その場合も、但書の配慮(できる限り速やかな日時等)は働く。
  • 時間を区切れば会わせられる(可能な)ときでも、待たせてよいのは、引致(警察署に連れて来ること)後すぐ行う手続(犯罪事実の要旨と弁護人選任権の告知・弁解の機会=)とそれに続く指紋採取・写真撮影等が終わるまで。本件は現行犯逮捕=で準用(判決は条番号を挙げていない=条文からの読み)。
  • 例外は「特段の事情」(留置施設の管理運営上の支障など)。
逮捕直後の初回接見の申出捜査に顕著な支障が生ずるか現に取調べ中・間近い確実な予定(予定どおり始められないおそれ)など=原則として当たる指定できない原則としていつでも接見いいえはい(要件あり=指定はできる)時間を区切れば支障を避けられるか即時又は近接した時点の接見を、協議して検討(接見の時間を指定)遅らせる指定もありうるそれでも但書の配慮は働くいいえはい(可能)特段の事情があるか留置施設の管理運営上の支障など短時間でも会わせる義務の例外判決「特段の事情のない限り」はいいいえ短時間でも時間を指定して即時か近接した時点で接見させる引致後の手続・指紋採取・写真撮影等の後。取調べを理由に拒んで遅らせれば不当な制限
判決は要件の形で並べていない=要旨1の文の順に問いを置いた(紫の枠は判例の言葉。2つ目の「いいえ」の側は、判決の条件「これが可能なときは」からの読み)。1つ目は一般論(最大判平11・3・24 の枠組み)。2つ目で「いいえ」でも、遅らせる指定が直ちに不当になるわけではない。初回接見でも指定そのものは許され、直ちに取調べを中断する義務まではない。

取調べ中でも「すぐに取調べをやめて会わせなければならない」は誤り。判決が求めるのは、時間を区切れば支障を避けられるかの検討と、可能な場合に短時間でも会わせることまで。判決の枠組みから出てこないのは「申出があれば、どんな場合も即座に取調べを打ち切る義務」(判決が明示に否定したのではなく、「これが可能なときは」という条件からの読み)。本件で判決が挙げた「比較的短時間取調べを中断し」(6)は、時間を区切れば支障を避けられる場面での、やり繰りの手段の1つ。

出題初回接見は特に重要なので、現に取調べ中で(即時の接見で顕著な支障が生じる場合でも)、直ちに(即座に)取調べを中断して接見させなければならない(×)

×にされやすい形
  • 「初回接見なら、現に取調べ中で即時の接見を認めると捜査に顕著な支障が生じる場合でも、直ちに取調べを中断して接見させなければならない」(予備R6-18-ウ・司法H22-26-イ)=検討して、可能なときに短時間でも会わせる
  • 「初回接見は、引致直後の告知・弁解の手続の途中でも会わせなければならない」(その手続と指紋採取・写真撮影等が終わった後)

5本件の事案と要件(最判平12・6・13)判例

  1. 東京都公安条例違反(デモ行進の許可条件違反)で現行犯逮捕 → 警察署に引致。犯罪事実の要旨と弁護人選任権の告知・弁解の機会 → 救援連絡センターの弁護士を選任すると述べる
  2. センターの弁護士が即時の接見を申し出る(本件申出)。捜査主任官の課長は「取調べ中なので待ってほしい」を繰り返す
  3. 写真撮影に続いて取調べ開始。課長は、食事時間の前後は戒護が手薄なので接見させない、と留置主任官と確認
  4. 取調べを一時中断して夕食(夕食後に取調べの予定)
  5. 夕食の間に、課長が接見の日時を翌日午前10時以降に指定(申出から約1時間10分後)
  6. 取調べ担当の巡査部長が手当てもせず実況見分の応援へ → 夕食後も取調べは行われず、その日は中止
  • 判決の中の呼び名:上告人A1=逮捕された被疑者/上告人A2=弁護人となろうとする弁護士/D課長=捜査主任官。2人がそれぞれ東京都を訴え、原審で敗れて上告したので、2人とも上告人。
  • …本件申出時において、現に取調べ中か又は間近い時に取調べが確実に予定されていたものと評価することができ、したがって、上告人A2と上告人A1との自由な接見を認めると、右の取調べに影響し、捜査の中断等による支障が顕著な場合に当たるといえないわけではなく、
    D課長が接見指定をしようとしたこと自体は、直ちに違法と断定することはできない。
  • 要件は否定されなかったが、言い方は控えめ。類型は「現に取調べ中か又は間近い時に取調べが確実に予定」と、2つを「か又は」でつないで評価=申出は夕食の開始のあとまで続き、夕食の開始まで取調べがされ、夕食後も取調べが予定されていた。
  • 違法の決め手は1段目ではなく2段目(の但書の判断)。判決の結論は「刑訴法三九条三項に違反」で、条番号は但書まで書いていないが、「不当に制限した」は但書の言葉で、一般論でも但書を引いている(解説書も但書の配慮義務の違反と整理)。
×にされやすい形
  • 「最高裁は、取調べ中とはいえないとして、指定の要件を否定した」(要件は「当たるといえないわけではな」いとした)
  • 「本件の要件は、現に取調べ中であることだけで認められた」(現に取調べ中か又は間近い時に取調べが確実に予定)

6本件の結論(要旨2)判例

  • しかも、上告人A1は、救援連絡センターの弁護士を選任する意思を明らかにし、同センターの弁護士である上告人A2が現に築地署に赴いて接見の申出をしていたのであるから、
    比較的短時間取調べを中断し、又は夕食前の取調べの終了を少し早め、若しくは夕食後の取調べの開始を少し遅らせることによって、右目的に応じた合理的な範囲内の時間を確保することができたものと考えられる。
  • さらに、取調べ担当の巡査部長は手当てもせず実況見分の応援に出て、夕食後の取調べは実際には行われなかった → 時間をやり繰りしても、捜査への支障が顕著になったとはいえない。原審が挙げた、夕食後の実況見分への立会い・就寝時間に食い込むおそれは「可能性」にとどまり、当日の接見を全面的に拒否しなければならないような顕著な支障があったとはいえない。
  • そうすると、D課長は、上告人A2が午後四時三五分ころから午後五時四五分ころまでの間継続して接見の申出をしていたのであるから、午後五時ころ以降、同上告人と協議して希望する接見の時間を聴取するなどし、必要に応じて時間を指定した上、即時に上告人A2を上告人A1に接見させるか、又は、取調べが事実上中断する夕食時間の開始と終了の時刻を見計らい
    …夕食前若しくは遅くとも夕食後に接見させるべき義務があったというのが相当である。
  • 「午後五時ころ以降」の理由(判決):午後四時四五分ころには写真撮影等の手続が終わって取調べが始まり、課長は午後五時ころまでに、被疑者がセンターの弁護士を選任する意向であることを知り、申出の弁護士がセンターの弁護士であることも容易に確認できた。夕食のための中断もそのころには予定していた。
  • ところが、D課長は、上告人A2と協議する姿勢を示すことなく、午後五時ころ以降も接見指定をしないまま同上告人を待機させた上、午後五時四五分ころに至って一方的に接見の日時を翌日に指定したものであり、
    他に特段の事情のうかがわれない本件においては、右の措置は、上告人A1が防御の準備をする権利を不当に制限したものであって、刑訴法三九条三項に違反するものというべきである。
  • さらに国家賠償法上も違法で、課長に過失がある → 請求を認めた第一審の判断を維持した(原判決の該当部分を破棄し、東京都の控訴を棄却)。
原審(請求棄却)最高裁(違法)
要件あった当たるといえないわけではない(直ちに違法と断定できない)
夕食の時間帯夕食に警察官の立会いが要り、戒護が手薄になる → 会わせなくても違法でない夕食の開始と終了を見計らい、夕食前か遅くとも夕食後に会わせるべきだった
翌日の指定夕食後に相当時間の取調べの予定(実況見分への立会いを求めることも考えられた)・取調べが就寝時間に食い込むおそれ・取調べの必要性の正確な判断が困難・既に夜間 → 違法でないそうした可能性(立会い・就寝時間)だけでは当日の接見を全面的に拒む支障ではない → 違反

判決は、夕食のさなかに会わせよとは言っていない。夕食の前か、遅くとも夕食後。判決は夕食中に会わせるべきかを判断していない=「食事中なのに会わせなかったから違法」とまとめると判決とずれる。

×にされやすい形
  • 「最高裁は、夕食中に接見させなかったことを違法とした」(夕食前か遅くとも夕食後に会わせるべきだった)
  • 「最高裁は原審と同じく、夜間であることなどを理由に翌日の指定を適法とした」(可能性だけでは足りないとして違法)

7分かれ目と射程判例解説書

  • 判決は、協議しなかったことだけで違法とは述べていない。違法としたのは、会わせられた(時間をやり繰りすれば支障を避けられた)のに、協議の姿勢も示さず一方的に翌日へ遅らせた措置。判決も「他に特段の事情のうかがわれない本件においては」と限っている。
  • 本件で判決は、短時間の中断などで「右目的に応じた合理的な範囲内の時間」(右目的=弁護人の選任)を確保できたとした=区切る時間は、少なくとも選任の目的を果たせる長さが前提になる(当てはめからの読み)。
  • 判決が扱ったのは、警察署に引致された当日、逮捕直後に申し出られた初回接見。2回目以降の接見について判決は何も述べていない(但書の配慮はどの接見にも働く)。
  • 解説書:平12は、引致のあとすぐ行う諸手続を終えた、調整しやすい時間の事案。送致後、検察官のもとで弁解を聴いてそのまま取調べに移る場面での初回接見では、捜査の必要性は平12より高い一方、初めて助言を得る機会として防御の必要性も平12以上に高い。解説書はこの場面で結論を出さず、弁護人側と検察官側の主張を並べている。
  • 2段目を見るときの目安(解説書の整理・判決の言葉ではない):調整を試みたか/調整できたか/指定の内容が合理的か。

設例:被疑者Aが午前10時に万引きで現行犯逮捕、10時20分に引致。弁護人となろうとするBが10時35分に即時の接見を申し出た。指紋採取・写真撮影は10時50分ごろ終わり、11時15分から正午ごろまで実況見分にAを立ち会わせる確実な予定。担当官は協議を一切せず「接見は本日午後3時から」と指定した。
→ 1段目:間近い確実な予定があり、申出どおり会わせると11時15分に始められないおそれがあるなら当たりうる(空き時間があるので争う余地もある)。2段目:10時50分〜11時15分の間、または実況見分が終わる正午過ぎに、時間を区切って会わせる余地があった=会わせられたのに遅らせたとして、不当な制限と評価される方向。

同じ設例で、担当官がBと話はしたが「空きはあるが会わせない、午後3時」と押し切った → 協議の形があっても、短時間なら会わせられたのに遅らせた以上、不当な制限と評価される方向に動く。逆に、協議して10時50分から時間を区切って会わせ、その長さが選任という目的に応じた合理的な範囲内といえるなら、不当な制限には当たらない方向。

×にされやすい形
  • 「判例は、協議をしなかったこと自体を理由に、会わせられたかどうかを問わず不当な制限とした」(可能なのに遅らせたことが不当・「他に特段の事情のうかがわれない本件においては」)
  • 「協議さえすれば、どの時点を指定しても不当な制限には当たらない」(会わせられたのに遅らせれば不当)

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