刑事訴訟法ゼロから刑事訴訟法#78

訴因変更と訴訟条件の基準時

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第3章 公訴 ⑧/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。

訴因が動くと、入口の条件も動く

訴因変更を許すか許さないかという前回までの問いから、訴訟条件という別の入口の条件へ話を移すことを示す板

前回までで、公訴事実の同一性の枠に入っている訴因変更であっても、時機的限界や、公判前整理手続の趣旨から、なお許されないことがある、というところまで見ました。今日は、その先です。訴訟条件と訴因変更の関係を見ていきます。一言でいうと、中身、つまり有罪か無罪かを裁く前に、まず満たしていなければならない入口の条件のことです。この入口の条件を欠くと、裁判所は有罪・無罪の判断そのものに進めず、そこで手続を打ち切ります。訴因が変われば、入口の条件も動きます。そして、その動き方を決める物差しは、一つです。入口の条件を満たしているかは、裁判所が胸の内で思っている事実ではなく、審判の対象になっている訴因を基準に見る、ということです。今日はこの物差しを、三つの入口の条件——告訴、反則金の手続、公訴時効——に当てていきましょう。

訴訟条件とは何か——この回で使う三つ

訴訟条件のうち告訴・反則金の手続・公訴時効未完成の三つを並べ入口の条件と本案審理の間に線を引く板

訴訟条件には他にも種類がありますが、今日使うのは、この三つです。一つ、親告罪では被害者の告訴が要ります。二つ、軽微な交通違反では、まず反則金を納めるよう通告し、納めないまま決められた期間が過ぎてから、初めて起訴できます。この反則金の手続を経ていないと、起訴できません。三つ、公訴時効が完成していないことです。その事件で求められる入口の条件を欠くと、裁判所は事件の中身に進めません。一つでも欠けていたら、有罪か無罪かにたどり着く前に、手続が止まってしまうということです。では、訴因が変わるとき、この入口の条件がどう動くのか。告訴、反則金の手続、公訴時効の順に、具体的な場面で見ていきましょう。

親告罪の事実へ変わるとき、告訴はいつ要るか

非親告罪の訴因で起訴された被告人Aが審理の途中で器物損壊の心証に変わり検察官が訴因変更を請求した時点で被害者Bの告訴があったという関係図

事件を一つ用意します。Aが、Bの車の鍵を盗んだとして、窃盗の訴因で起訴されました。ところが審理が進むと、Aには盗んで自分のものにする意思、つまり不法領得の意思がなく、単にBへの嫌がらせで鍵を持ち去って捨てただけだった、という心証を裁判所が抱きます。器物損壊は親告罪です。被害者の告訴がなければ起訴できません。検察官は、器物損壊の訴因へ変更する請求をします。そして、その訴因変更請求をした時点では、Bからの告訴をすでに得ていました。ただし、当初の起訴の時点では、告訴はまだありませんでした。起訴の時点で告訴が無かったことを重く見るのか、変更の時点で告訴が揃っていれば足りるとみるのか。そこが問題で、基準にする時点をどこに置くかで、答えが変わります。裁判所が実際にそうだと思っている事実、つまり心証を基準にするなら、器物損壊だという心証を抱いた時点で告訴が必要になるはずです。もう一つの考え方は、審判の対象になっている訴因そのものを基準にする、というものです。この場面によく似た構図の裁判例があります。非親告罪の訴因で起訴されたあと、審理の途中で親告罪の事実だと判明し、検察官が訴因変更を請求した、という裁判例です。裁判所は、訴因変更の手続によって初めて親告罪として審判すべき事態に至ったのであれば、その時点で初めて告訴が必要になったにすぎず、訴因変更の手続の時点で有効な告訴があれば、訴訟条件の具備に問題はなく実体裁判、つまり有罪か無罪かの中身の判断ができる、という趣旨を述べました。この裁判例は最高裁ではなく、東京地方裁判所の判断です。

なぜ訴因を基準にするのか

審判対象は訴因であるという結論から訴訟条件の判断基準も訴因を基準にすべきだと導く矢印図

前に確認した、審判対象は訴因だ、という結論を思い出してください。裁判所が現に裁いているのは、検察官が構成した具体的な犯罪事実、つまり訴因です。訴訟条件を具備しているかどうかも、その審判の対象そのものを基準に判断するのが筋が通っています。心証を基準にしてしまうと、裁判所の胸の内でどんどん動く事実を基準にすることになり、いつの時点で訴訟条件を確定できるのかが、はっきりしなくなってしまいます。もう一つ、最初の問いにも答えておきます。起訴のときの訴因は窃盗で、告訴の要らない罪でした。告訴が要る訴因になったのは、器物損壊へ変更したときからです。だから、告訴を問うのはその変更の時点で、そこで告訴があれば足りる、ということになります。

あれは、はじめから親告罪として起訴したのに、起訴の時点で告訴が無かった場面です。今回は、起訴の時点の訴因は窃盗で、まだ告訴の要らない罪でした。告訴が要るようになったのは変更の時からなので、足りない告訴を後から補ったのではなく、要るようになった時点で揃っていた、ということになります。

⭐ 論文で書く規範:訴因変更と訴訟条件の判断基準時 審判対象は訴因であるから、訴訟条件を具備しているか否かも、訴因を基準として判断すべきである。したがって、訴因変更の手続によって初めて訴訟条件が問題となる事態に至ったときは、その訴因変更の時点において当該訴訟条件を具備していれば足りる。 (東京地裁の判断を一般化した規範(学説側の整理))

この規範は、判決がこの言葉どおりに言い切ったものというより、この裁判例の判断を一般化して整理したものです。Aの事件では、訴因変更請求の時点で告訴があった以上、器物損壊の訴因で実体裁判ができます。

心証どおりの事実だと、入口の条件を欠くとき

大幅な速度超過の訴因で起訴された運転者について反則金手続の対象範囲にとどまるという心証に変わった場合を示す板

今度は逆の場面です。訴因は動かないまま、裁判所の心証だけが小さい方へずれる場合です。制限速度を大きく超過した速度違反の訴因で起訴された運転者がいたとします。ところが証拠調べの結果、実際の超過幅は、反則金の手続の対象範囲にとどまっていたことが分かりました。反則金の通告を受けて、決められた期間内に納めなかった場合に、初めて起訴できる、という仕組みでした。条文で確かめておきます。

条文道路交通法第130条(本文)

道路交通法第130条(本文) 反則者は、当該反則行為についてその者が第百二十七条第一項又は第二項後段の規定により当該反則行為が属する種別に係る反則金の納付の通告を受け、かつ、第百二十八条第一項に規定する期間が経過した後でなければ、当該反則行為に係る事件について、公訴を提起されず、又は家庭裁判所の審判に付されない。

心証どおりの小さい超過幅だと、この手続を経ていません。つまり、入口の条件を欠いています。

公訴棄却か免訴か——縮小認定という読み方

大きな超過幅の訴因の中に小さな超過幅を訴追する意思も含まれていたとみて縮小認定で処理するという説明を示す板

この場面で、実際に最高裁の判断があります。

判例最判昭48・3・15刑集27巻2号128頁

反則金の手続を経ていない場合の公訴棄却 同法一三〇条は、反則者は、同条各号に掲げる場合を除いて、当該反則行為について同法一二七条一項または二項後段の規定による反則金の納付の通告を受け、かつ、同法一二八条一項に規定する期間が経過した後でなければ、当該反則行為について、公訴を提起されないと規定しているから、もしかかる手続を経ないで公訴が提起されたときは、裁判所は、公訴提起の手続がその規定に違反したものとして、刑訴法三三八条四号により、判決で公訴を棄却しなければならないものである。そして、このことは、反則金を納付した者は、当該通告の理由となつた行為について、公訴を提起されないと定めている道路交通法一二八条二項の趣旨を考慮にいれるときは、本件のように、起訴状の公訴事実によれば反則行為に該当しないが、公判審理の結果反則行為に該当することが判明した場合についても同様であると解すべきである。

最高裁は、原審が超過幅を毎時二十キロ、つまり反則金の手続の対象になる程度だと認定した以上は、公訴を棄却すべきだった、としました。決め手は、反則金の仕組みの意味です。反則金を納めれば起訴されずに済む、という道が、違反者に用意されています。本当は反則金で済む違反だったのに、その道を示さないまま刑事裁判で裁いてしまえば、この道を奪うことになります。だから、あとから反則行為だと分かった場合も、手続を経ないで起訴したものとして扱うんです。

条文刑事訴訟法第338条4号

刑事訴訟法第338条4号 左の場合には、判決で公訴を棄却しなければならない。…四 公訴提起の手続がその規定に違反したため無効であるとき。

ここが今日の実益の一つです。無罪の判決が確定すれば、同じ事実については二度と裁かれないという効力、一事不再理効が生じます。公訴棄却にはその効力が生じません。この運転者でいえば、公訴棄却なら、あらためて反則金の通告からやり直し、それでも納めなければ、もう一度起訴できます。無罪なら、その道は閉ざされます。だから、無罪にするか公訴棄却にするかで、結論の重みが変わるんです。この判決自身が、その理由づけをこの言葉で述べているわけではありません。ただ、通説的な見解では、こう説明されます。検察官が設定した「大幅な超過」の訴因には、それより小さい超過幅を訴追する意思も、黙示的に含まれていた、とみるんです。大きな超過を処罰してほしいと求める検察官が、それより小さい超過なら処罰を求めない、とは考えにくいからです。しかも、小さい超過幅は、訴因に書かれた事実の一部にすぎないので、被告人にとっても不意打ちになりません。だから、そう読み替えてよい、と説明されるわけです。この理解に立てば、訴因を基準とする考え方のもとでも、小さい超過幅の事実で判断したことになります。大きな事実の訴因の中に、小さな事実が包み込まれている、とみて、その小さな事実を認定することを、縮小認定と呼びます。訴因は「大幅な超過」のままですが、その中に「小さな超過幅」も最初から入っていた、と読み替えるわけです。

無罪と公訴棄却と免訴という三つの出口の違いを比較し名誉毀損の訴因に侮辱の事実が含まれ起訴時に時効が完成していれば免訴になることを示す板

同じ構図の、もう一つの例を見ておきます。起訴の時点では名誉毀損の訴因でしたが、裁判所の心証は侮辱罪でした。侮辱罪を前提にすると、起訴の時点ですでに公訴時効が完成していた、という事案です。

判例最判昭31・4・12刑集10巻4号540頁

縮小認定による免訴 原判決は被告人に対し刑法二三〇条の名誉毀損の事実を認定しないで、侮辱の事実を認定した上、被告人の右所為を同法二三一条に問擬していることが、その判文上明らかであるところ、刑法二三一条の所為は、拘留又は科料に該当する罪であるから、犯罪行為の終つた時から一年の期間を経過することにより、公訴の時効は完成するものである。……右起訴の当時すでに本件所為につき公訴の時効は完成したものというべきである。されば本件の場合においては、刑訴四〇四条、三三七条四号により、被告人に対し免訴の言渡をなすべきものである。

条文刑事訴訟法第337条4号

刑事訴訟法第337条4号 左の場合には、判決で免訴の言渡をしなければならない。…四 時効が完成したとき。

免訴とは、時効の完成のように、処罰する権利そのものが消えているときに、中身に入らずに手続を打ち切る判決です。名誉毀損の訴因に、侮辱の事実も包み込まれていた、と読み替えれば、ここでも縮小認定で説明できます。侮辱罪の事実を前提にすると、起訴の時点ですでに時効が完成していたので、免訴になりました。無罪・公訴棄却・免訴。入口の条件のどこを欠くかによって、出口が変わってくるわけです。少し考えてみてください。次はその場合の答え合わせです。

告訴を得られなかった場合——帰結の分岐

告訴の有無と訴因を維持するか変更するかの組み合わせで無罪公訴棄却実体裁判のいずれになるかを示す一覧板

最初のAの事件に戻りましょう。もし検察官が器物損壊の告訴を得られず、窃盗の訴因のままにしていたら、どうなるでしょうか。窃盗のままだと、盗む意思が無かったという心証と食い違います。ここで縮小認定が使えるかを考えます。速度違反なら、大きな超過の中に小さな超過がそのまま入っていました。ところが窃盗の訴因に書かれているのは、自分のものにするつもりで持ち去った、という事実です。捨てるつもりで持ち去った、という器物損壊の事実は、その中に入っていません。自分のものにするつもりかどうかで、まったく別の事実だからです。だから縮小認定はできません。窃盗の訴因のまま、窃盗の事実は証明されなかったことになり、無罪です。

告訴が無くても、窃盗のまま維持していれば、無罪で終わるんです。では、告訴が無いのに、検察官があえて器物損壊の訴因へ変更したらどうなるでしょうか。さっきの規範のとおりなら、訴因変更の時点を基準にするので、その時点で告訴が無ければ、訴訟条件を欠いたまま、ということです。裁判所は、器物損壊の訴因を基準に、公訴棄却の判決を言い渡すことになります。整理すると、告訴の有無と、訴因を維持するか変更するかの組み合わせで、無罪・公訴棄却・実体裁判のいずれかに分かれます。告訴があって訴因を変更すれば実体裁判、告訴が無くて訴因を維持すれば無罪、告訴が無いのに訴因を変更すれば公訴棄却です。なお、これと少し似た場面として、訴因の記載そのものに不備があるとき、無罪にする前に、訴因変更に似た手続で訴因を書き直させるべきだ、とした最高裁の判断もあります。今日は深入りしませんが、頭の片隅に置いておいてください。

公訴時効はどこで止まるか

254条1項による時効停止と訴因罰条を変更しても公訴事実の同一性に変わりがなければ起訴の時を基準とすることを示す板

もう一つ、入口の条件があります。公訴時効です。

条文刑事訴訟法第254条1項

刑事訴訟法第254条1項 時効は、当該事件についてした公訴の提起によつてその進行を停止し、管轄違又は公訴棄却の裁判が確定した時からその進行を始める。

起訴をすると、公訴時効はいったん止まります。では、訴因を変更したら、変更後の訴因については、この停止はいつの時点を基準に判断するのでしょうか。起訴の時でしょうか、それとも訴因変更の時でしょうか。ここで思い出してください。公訴事実の同一性が及ぶ範囲は、訴因変更だけでなく、一事不再理効の範囲、二重起訴が禁止される範囲にも一致する、という話をしましたね。覚えていますか?一罪としてまとめて処理すべき範囲は、判決が確定すれば二度と裁かれない範囲とも一致する、二重起訴が禁止される範囲とも一致する、という話でした。公訴時効の停止も、同じ発想で説明できます。

判例最決昭29・7・14刑集8巻7号1100頁

公訴時効は起訴の時を基準とする 前記訴因罰条の変更によつて起訴状記載の公訴事実の同一性に何等消長を来たすことのない本件においては、本件起訴の時を基準として公訴時効完成の有無を判断すべきであつて、所論の如く訴因罰条の変更の時を基準とすべきでないと解するのが相当である。

詐欺の訴因で起訴されたあと、横領へ訴因と罰条を変更する請求があった事件です。今の刑事訴訟法の定めでいえば、詐欺罪は長期十五年未満の拘禁刑に当たる罪として時効期間が七年、横領罪は長期十年未満の拘禁刑に当たる罪として時効期間が五年です。

条文刑事訴訟法第250条2項4号・5号

刑事訴訟法第250条2項4号・5号(抜粋) 四 長期十五年未満の拘禁刑に当たる罪については七年 五 長期十年未満の拘禁刑に当たる罪については五年

例えば、犯行から四年たって詐欺で起訴し、裁判が長引いて、犯行から六年たったところで横領へ変更した、としてみましょう。変更の時を基準にすると、横領の五年はもう過ぎています。起訴の時を基準にすれば、四年目で止まっているので、まだ過ぎていません。最高裁も、公訴事実の同一性に変わりがない以上、起訴の時を基準に時効完成の有無を判断すべきで、訴因罰条の変更の時を基準にすべきではない、としました。決定自身は、その理由までは述べていません。一般には、こう説明されます。検察官が起訴したときの訴追の意思そのものが、公訴事実の同一性が及ぶ範囲全体をカバーしている、とみるのです。起訴した検察官が求めているのは、この事件を処罰してほしい、ということです。どの訴因で裁くかは、同一性の範囲の中なら、あとから訴因変更で直せます。それなのに変更の時を基準にすると、裁判が長引いただけで、起訴の時点では間に合っていた事件が時効にかかってしまいます。審判対象は訴因ですが、検察官の訴追意思は、同一性という範囲の広さで及んでいる。二重起訴禁止や一事不再理効が同一性の範囲で及ぶのと、同じ物差しです。発展として一つだけ触れておきます。訴因変更をいったん許可した裁判所が、後になって同一性が無いとしてその許可を取り消し、検察官が改めて起訴した事件で、最高裁は、その訴因変更請求書を提出した時点で、検察官がその事実に対する訴追意思を表明したとみられるなら、その時点で時効が停止する、と判断したことがあります。同一性が及ぶ範囲の外でも、訴追意思の表明があれば時効が止まりうる、という発展例です。

論文の型

訴因基準であることと訴因変更請求時か起訴時かという基準時を先に確定してから個々の訴訟条件の充足を当てはめるという答案の順序を示す板

最後に、今日の内容を答案の型として整理しておきましょう。

⭐ 論文で書く規範:訴訟条件と訴因変更の検討順序 ①どの訴因を基準に判断するか(審判対象は訴因であることの帰結)②どの時点を基準にするか(訴因変更請求時か、起訴時=公訴事実の同一性が及ぶ範囲か)の2つを先に確定してから、個別の訴訟条件(告訴・反則金の手続・時効)の充足を当てはめる (訴訟条件と訴因変更の答案の流れ)

訴訟条件が問題になる場面ほど、この二段構えを踏まないと、心証と訴因のどちらを見ているのか、途中で分からなくなります。この基準と時点の確定は、論文で問われうる骨格だと押さえておいてください。告訴と時効とで基準の時点が違うのは、何に付いてくる条件なのかが違うからです。告訴は、訴因がどの犯罪か、つまり親告罪かどうかに付いてくる条件なので、親告罪の訴因になった変更の時点で見ます。時効の停止は、起訴という行為に付いてくる効果で、その効果は公訴事実の同一性が及ぶ範囲全体に及ぶので、起訴の時点で見ます。

今日の地図(保存版)

訴因基準で訴訟条件の具備を判断することと訴因変更の範囲でも公訴時効が同一性の及ぶ範囲で止まることをまとめて示す板

今日のまとめです。訴訟条件を具備しているかどうかは、審判対象である訴因を基準に判断します。訴因変更によって初めて訴訟条件が問題になる事態に至ったときは、その訴因変更の時点で条件を具備していれば足ります。訴因が動かないまま心証だけが縮む場合は、縮小認定という読み方ができるかどうかで、無罪になるか、公訴棄却や免訴になるかが分かれます。告訴が得られなければ、訴因を維持すれば無罪、訴因を変更すれば公訴棄却です。公訴時効についても、同じ物差しが働きます。訴因や罰条を変更しても、公訴事実の同一性に変わりがなければ、時効の停止は起訴の時を基準に判断します。二重起訴禁止や一事不再理効の範囲と同じく、検察官の訴追意思は同一性が及ぶ範囲全体に及んでいる、という理解です。

訴因が変わるかどうかだけでなく、どの時点の、どの訴因を基準に見るかで、無罪と公訴棄却と免訴が分かれる。今日の三つの入口の条件は、全部その基準の置き方で説明できるんですね。

参照条文

  • 道路交通法第130条(本文)
  • 刑事訴訟法第338条4号
  • 刑事訴訟法第337条4号
  • 刑事訴訟法第254条1項
  • 刑事訴訟法第250条2項4号・5号

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