検証調書・実況見分調書・鑑定書(321条3項・4項)
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第5章 証拠法 ⑫/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。
導入

前回の最後に、検証調書、実況見分調書、鑑定書を見ると言いました。今日は、その3つです。先に答えを言います。調書全体は、作った警察官が法廷で、真正に作成されたと証言すれば入ります。321条3項です。ただ、その中の立会人の言葉は、何のために使うかで行き先が変わります。場所を特定するためなら、3項だけで足ります。赤信号を無視したという内容が本当だと言うために使うなら、別の伝聞の関門が要ります。今日の軸は、1本です。誰が作った書面かで、要件が段階的に変わる。この軸で、裁判所の検証調書、捜査機関の検証調書、鑑定書、ビデオリンクの記録を、順に並べます。
見たもの、調べたものを書いた書面です。話を聞いた書面より、なぜ入りやすいのか。そこを、言えるようにします。
作成主体で段階が変わる
図:作成主体で要件が段階的に変わる表
- 裁判所・裁判官の検証調書は無条件(2項後段)、捜査機関の検証調書は作成者の証人尋問と真正作成供述(3項)、鑑定書も同じ(4項)
- 左に321条1項の人の話を書いた書面を置く
先に、言葉を1つ。検証とは、五感で、物や場所の状態を調べることです。傷の位置、ブレーキ痕の長さ、現場の見取り図。人の話を聞くのではなく、物を見て調べる作業です。その結果を書いた書面が、検証調書です。これを作る人によって、使える条件が変わります。1つ目は、裁判所や裁判官が作った検証調書です。前に見た321条2項の後段です。
条文刑事訴訟法第321条第2項
刑事訴訟法第321条第2項 被告人以外の者の公判準備若しくは公判期日における供述を録取した書面又は裁判所若しくは裁判官の検証の結果を記載した書面は、前項の規定にかかわらず、これを証拠とすることができる。
条件は、何もありません。当事者が立ち会える手続で、作るのが裁判所だからです。成立の真正、つまり、書面が作ったとされる者の手で正しく作られていることが、裁判所の手続という型そのもので、担保されていると考えます。警察官や検察官が作った検証調書は、どうなるのですか。そこが3項です。捜査機関が捜査の段階で検証をするとき、被疑者には、立ち会う権利が保障されていません。だから、裁判所の検証と同じ無条件にはできません。そこで、作った本人を法廷で尋問する、という条件を付けます。暗記は、2行です。裁判所の検証調書は無条件。捜査機関の検証調書と鑑定書は、作成者の証人尋問と、真正に作成されたという供述です。
321条3項を読む
図:321条3項の構造板
- 主体は検察官・検察事務官・司法警察職員、対象は検証の結果を記載した書面、要件は供述者が公判期日に証人として尋問を受け真正に作成されたものであることを供述すること
- 1項3号との違いとして供述不能も特信情況も要らない
条文です。主体、対象、要件の順に読みます。
条文刑事訴訟法第321条第3項
刑事訴訟法第321条第3項 検察官、検察事務官又は司法警察職員の検証の結果を記載した書面は、その供述者が公判期日において証人として尋問を受け、その真正に作成されたものであることを供述したときは、第一項の規定にかかわらず、これを証拠とすることができる。
図:321条3項の要件と1項3号との違いの板
- 要件は3つで、供述不能不要・特信情況不要・署名押印不要
- 1項3号の重い要件がすべていらない
要件は3つです。作った人が、検察官、検察事務官、司法警察職員であること。その人が、公判期日に証人として尋問を受けること。そして、真正に作成されたものであることを供述することです。3項では、書面を作った本人、つまり検証をした人です。見たものを書いた人が供述者になります。条文に書かれていないものも、確かめます。供述不能は要りません。特信情況も要りません。そして、署名押印も、条文には書かれていません。321条1項3号の、あの重い要件が、全部ありません。理由は3つです。1つ目。物の状態は、口で言うより、書面のほうが正確です。たとえば、ブレーキ痕の長さが何メートル何センチか。交差点の各点の距離はいくらか。見取り図の数値を、法廷で記憶だけで再現するのは、無理です。2つ目。見たままを記録する作業なので、作った人の主観が入りにくい。人の話を聞いて書き取る書面は、聞き違いや、聞いた人の評価が混ざります。物を測って書く書面には、それが少ない。3つ目。作った人を、法廷で尋問できます。見たとおりに書いたか、測り方は適切だったか、反対尋問で確かめられます。だから、1項のような供述不能の条件を置く必要がありません。境界のペアで言います。「車線の幅は3.2メートルでした」という数値の記録は、3項の世界です。一方、「立会人のIが、Gの車は赤信号で入ったと話した」という記載は、物の状態ではなく、人の話です。これをどう扱うかが、今日の山場です。
「真正に作成された」の意味
図:真正に作成されたの2つの意味の板
- 作成名義の真正は本人が作ったこと、記載内容の真正は検証した結果を見たとおり正確に書いたこと
- 署名だけ認める証言では足りない
作成者が署名だけ認める証言では、足りない、というのが通説的な理解です。真正には、2つの意味が含まれます。1つ目は、作成名義の真正。本人が、その書面を作った、ということです。2つ目は、記載内容の真正。検証した結果を、見たとおり正確に書いた、ということです。だから、作成者は、法廷でこう証言します。「これは私が作成した調書です。現場で見たとおりに書いてあります」。署名が自分のものだと認めるだけでは、足りません。理由は、3項の趣旨から言えます。書面が正確だから、口頭より優れている、というのが、3項が緩い根拠でした。書いた本人が、正確に書いたと言わないなら、その根拠が立ちません。名義の真正だけでは、根拠の半分しか支えられないのです。条文の言葉を、言い換えて覚えないでください。要件は、条文のとおり、「真正に作成されたものであることを供述したとき」です。この言葉に、通説は2つの意味を読み込む、という整理です。
実況見分調書も3項に入る
図:検証と実況見分の比較板
- 検証は裁判官の令状による強制処分の面もあり、実況見分は捜査機関が任意処分として行う
- 違いは令状の有無で、五感で状態を認識して書くという書面の性質は同じ
- 判旨1文を最判昭35・9・8として出典行に
名前が違います。検証は、令状にもとづいて行うことがあります。実況見分は、令状なしで、任意処分として行います。人の家に入って調べるような強制は、できません。どちらも、五感で状態を確かめて書く点では、同じ作業です。手続の違いは、検証と実況見分の手続の回で見ました。最高裁は、実況見分調書も、3項の書面に含まれるとしました。判旨は、短い1文です。捜査機関が任意処分として行う検証の結果を記載した、いわゆる実況見分調書も、3項所定の書面に包含される、というものです。上告趣意は、3項が証人審問権を保障する憲法に違反すると主張しましたが、違反しないとされています。作成者を法廷で尋問でき、反対尋問で確かめる機会が残るから、と整理されます。ここで、2つを分けて語ります。最高裁が言ったのは、含まれる、という結論です。理由は、判旨には書かれていません。そこから、こう整理されます。令状があるかどうかは、強制か任意かという、捜査法上の違いにすぎません。五感で状態を認識して書くという書面の性質は、変わりません。性質が同じなら、3項の緩さの根拠も同じように当てはまります。これは、整理です。
弁護人が不同意でも、作成者が尋問を受けて、真正作成を供述すれば入ります。冒頭の設例で、弁護人が同意していなくても、調書全体は入れる、というのは、このためです。周辺も、一言ずつ。写真撮影報告書や、検視調書も、検証と共通の性質があるので、3項に当たりえます。調書に添付された写真は、調書の一部として3項に乗ります。臭気選別の報告書が3項だという話も、前に出ました。最後に、1つ注意です。3項の主語は、捜査機関です。一般の人が作った見分の書面は、別の整理になります。
立会人の指示説明
図:設例Wの関係図
- 目撃者の立会人Iが警察官に指示説明をし、警察官が被告人Gの行為を実況見分調書に記載する
- Iから警察官への指示説明と、警察官からGへの調書記載の2段が矢で結ばれる
ここが山場です。設例Wです。交差点で、被告人Gの車が、歩行者にけがをさせました。Gは、過失運転致傷で起訴されています。警察官は、事故のあとに、交差点で実況見分をしました。立会人は2人。目撃者のIと、被告人のGです。調書には、「立会人Iは、この地点で、Gの車が赤信号を無視して交差点に入ったと指示した」と書かれています。検察官は、本件事故の状況を立証趣旨として、この調書を請求しました。弁護人は不同意です。図を見てください。Iの言葉が、警察官の調書に書かれて、法廷に届きます。2段の経路です。警察官の段は、3項で扱えます。Iの段は、どうなるのでしょうか。
図:最判昭36・5・26の判旨の整理板
- 立会人に目的物の状態を指示説明させるのは実況見分の一つの手段にすぎず、被疑者らを取り調べて供述を求めるのとは性質が違う
- 署名押印は不要
- 立会人の供述記載自体を採証するわけではないので、立会人を喚問して被告人に尋問の機会を与える必要もない
先に、判例を読みます。最高裁は、実況見分で立会人に目的物の状態を指示、説明させるのは、実況見分の一つの手段にすぎない、と言いました。被疑者や、それ以外の者を取り調べて、供述を求める行為とは、性質が違う、という考えです。そこから、2つの結論が出ます。1つ目。指示説明を記載した実況見分調書に、立会人の署名押印は要りません。2つ目。立会人の供述の記載自体を、証拠として使うわけではないから、立会人を公判期日に呼んで、被告人に尋問の機会を与える必要も、ありません。ここまでが、判旨です。この判旨に、現場指示や現場供述という言葉は、出てきません。これから言う切り分けは、判旨を踏まえた、学説や実務の整理です。取り違えないでください。
立会人の言葉が何でも3項で入る、という読み方が、落とし穴です。判旨は、立会人の供述記載自体を証拠にするわけではない場合を、前提にしています。では、本当に供述の内容を証拠にしたい場合は、どうなるのか。切り分けます。
図:現場指示と現場供述の分け方の軸:「何を証明するのか」つまり要証事実で判定する板
1つ目は、現場指示です。設例Wで言えば、Iが「私が見ていたのはここ、ぶつかったのはここ」と、2つの地点を指す。警察官は、その2点の距離や、信号機の見え方を測って書きます。Iの言葉は、どこを測ったかを示すだけで、本当にそこでぶつかったかは、調書が証明するものではありません。前に使った問いで確かめます。Iの言葉が仮に偽でも、測った距離や見え方の値打ちは残ります。見分の結果と一体なので、伝聞ではなく、3項で足ります。
図:現場指示と現場供述の切り分けフロー
2つ目は、現場供述です。立会人が、「この地点で、Gの車が赤信号を無視した」と話す。この内容が本当であること、つまり、Gが実際に信号を無視したことを証明するために使う。Iの言葉が仮に偽なら、この使い方では値打ちが残りません。法廷の外の言葉の中身に頼るので、伝聞です。鍵は、要証事実、つまり、この証拠で何を証明するのか、です。前に見たとおり、立証趣旨は請求する側の荷札で、それでは争点の解決に役立たないなら、要証事実を置き直しました。立証趣旨が「本件事故の状況」でも、争点が「赤信号を無視したか」なら、実質は現場供述になります。字面ではなく、争点から見ます。前に見た置き直しを、思い出して使います。問いです。設例Wで、Iが指示した、赤信号を無視した、という記載。争点が、Gは信号を無視したか、であるとき、この記載は、現場指示でしょうか、現場供述でしょうか?
内容が本当かどうかを使うので、現場供述です。3項だけでは足りません。では、何が要るのか。立会人が、被告人以外の者のIなら、321条1項の、この場面では3号の要件です。供述者が供述不能で、その供述が犯罪事実の存否の証明に欠くことができず、特に信用すべき情況がある。Iが法廷に来て話せるなら、供述不能に当たらないので、この記載は使えません。Iを証人として呼んで、法廷で聞くことになります。そして、署名押印が要ります。なぜ署名押印か。現場供述として使うなら、この記載は、Iの話を警察官が書き取った書面と同じです。前に見たとおり、署名押印は、話した本人が、書かれた中身を確かめて、間違いないと認める印です。それで、書き取った警察官の関所の誤りを取り除くのでした。3項の真正作成供述が支えるのは、警察官が見たものの正確さで、Iの話を正しく書き取ったかではありません。立会人が、被告人のGなら、前回見た322条1項です。Gの指示が、自分に不利益な事実の承認なら、任意性に疑いがなければ足ります。ただ、署名押印は必要です。
図:実務での帰結と特殊な場合
実務での帰結を見ます。指示説明には、署名押印を取らないのが通常です。すると、現場供述としては使えません。該当する部分は撤回して、その部分を黒く塗って見えなくする、マスキングをします。内容を立証するなら、立会人のIを証人尋問する。被告人質問を使う。別に、供述録取書を作る。そうやって、別の方法で立証します。ここで、再現にも、ひとこと触れます。立会人に、事故や犯行の様子を再現してもらう実況見分は、指示説明の延長にあります。立会人の属性に応じて、伝聞例外の要件が重なります。要証事実の回で、立証趣旨が再現状況でも、実質の要証事実は再現どおりの犯罪事実になる、という決定を見ました。ただ、再現の目的が、犯行が物理的に可能だったか、の確認だけなら、立会人の知覚や記憶の正確性は問題になりません。その場合は、3項だけで足ります。1通の中を部分で分ける例が、酒酔いの鑑識カードです。酔っているかを観察した結果の欄は、3項。質問に答えた問答や、飲んだ日時、動機の欄は、警察官が見た物の状態ではなく、聞き取った話です。だから見分の結果から外れて、321条1項3号の捜査報告書として見ます。1通でも、部分ごとに行き先が違います。設例Wの結論です。調書は、3項で入ります。場所の特定には、Iの指示を使えます。でも、信号無視の事実は、この記載では証明できません。冒頭の問いの答えは、そこです。
321条4項、鑑定書
図:鑑定書の4項の板
- 鑑定の経過及び結果を記載した書面で鑑定人が作成したものは、3項と同じ要件
- 理由は専門的知見に基づく分析で客観性が高く数値や分析は書面のほうが正確で詳細、経過も記載させて事後的に適切性を確認できるようにする
次に、鑑定書です。4項は短い条文です。
条文刑事訴訟法第321条第4項
刑事訴訟法第321条第4項 鑑定の経過及び結果を記載した書面で鑑定人の作成したものについても、前項と同様である。
前項と同様、とは、3項と同じ要件、という意味です。作成者の鑑定人が、公判期日に証人として尋問を受けて、真正に作成されたものであることを供述すれば、入ります。なぜ、鑑定書も3項と並ぶのですか。鑑定は、専門的な知見にもとづいて、分析と判断をするものだからです。客観性が高い。そして、数値や分析の過程は、口頭より書面のほうが正確で、詳しい。口で全部は、言い切れません。設例Wの続きで考えます。裁判所が、医師を鑑定人に選んで、歩行者のけがの程度を鑑定してもらったとします。骨のどこがどう折れているか、治るまでに何週間かかるか。画像の読み取りや数値を含むので、医師が法廷で、記憶だけで言い切るのは難しい。
経過も書かせる趣旨は、あとから、鑑定のやり方が適切だったかを確かめられるようにすることです。結論だけでは、確かめられません。鑑定人は、裁判所や裁判官が命じる者です。捜査の章の、鑑定嘱託の回で、鑑定人の宣誓や、鑑定の手続を見ました。今日は、そこへは戻りません。医師の診断書も、一言だけ。けがの存在などの診断所見を、要証事実にする限り、4項で判断する、とされます。医師が専門の知見で判断した結果を書いた書面という点で、鑑定書と性質が同じだからです。
鑑定受託者の鑑定書
図:鑑定人と鑑定受託者の比較板
- 鑑定人は裁判所が命じ宣誓と虚偽鑑定罪の担保がある、鑑定受託者は捜査機関が223条1項で嘱託する者
- 受託者の鑑定書も作成者が尋問を受け真正作成を供述すれば4項を準用して入る
- 最判昭28・10・15
捜査機関が頼む場面の条文です。
条文刑事訴訟法第223条第1項
刑事訴訟法第223条第1項 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者以外の者の出頭を求め、これを取り調べ、又はこれに鑑定、通訳若しくは翻訳を嘱託することができる。
ここで、鑑定を頼まれた人を、鑑定受託者と言います。鑑定人とは別です。鑑定人は、裁判所が命じて、宣誓をします。受託者は、捜査機関が頼む人です。同じけがの鑑定を、今度は、警察が、大学病院の医師に頼んだとします。裁判所が命じたのではなく、捜査の段階で警察が頼んだので、この医師は鑑定受託者です。医師の作った鑑定書が、公判で使えるかが、ここでの問いです。最高裁は、捜査機関の嘱託にもとづく鑑定書にも、4項を準用すべきだとしました。判旨は、括弧書きの1文で、準用すべきものだとだけ言い、理由は書いていません。条文がそのまま当てはまるわけではないけれど、同じ要件で扱う、という意味です。作成者の受託者が公判期日に尋問を受けて、真正作成を供述すれば、入ります。整理される理由は、鑑定書の性質は、誰が頼んだかで変わらない、というものです。専門的知見にもとづく分析を書いている点は、同じです。反対の考えもあります。鑑定人には宣誓があり、虚偽の鑑定をすれば罪になる。受託者には、その担保がない、という指摘です。ただ、受託者も、法廷に呼ばれれば証人です。証人は宣誓し、偽りを言えば偽証罪に問われます。書面の正確さは、その尋問で確かめられる。そう考えて、判例は準用を認めた、と整理できます。ここが、短答で聞かれるところです。
321条の2
図:321条の2の板
- ビデオリンク方式による証人尋問と供述と状況を記録した記録媒体がその一部とされた調書は、調書を取り調べたあとで訴訟関係人に証人として尋問する機会を与えれば証拠にできる
- 公判期日の供述と実質的な相違がなく、証人の負担も軽くなる
最後に、短答の知識です。321条の2です。
条文刑事訴訟法第321条の2第1項
刑事訴訟法第321条の2第1項 被告事件の公判準備若しくは公判期日における手続以外の刑事手続又は他の事件の刑事手続において第百五十七条の六第一項又は第二項に規定する方法によりされた証人の尋問及び供述並びにその状況を記録した記録媒体がその一部とされた調書は、前条第一項の規定にかかわらず、証拠とすることができる。この場合において、裁判所は、その調書を取り調べた後、訴訟関係人に対し、その供述者を証人として尋問する機会を与えなければならない。
場面は、公判の前に行う証人尋問や、別の事件での証人尋問などです。別の手続で、ビデオリンク方式で証人の尋問をして、その様子を、記録媒体に残します。それが、調書の一部になる。そういう調書です。条件は、調書を取り調べたあと、訴訟関係人に、その供述者を証人として尋問する機会を与えることです。なぜ、緩いのですか。尋問の状況が、映像と音声で正確に記録されているからです。公判期日の供述と、実質的な違いがありません。証人に、同じ証言を何度もさせる負担も、軽くなります。2項と3項は、短答の事項です。2項は、記録媒体の再生を省けない、という規定です。305条5項ただし書の、再生に代えて内容を告げるやり方を使わせない、という意味です。3項は、尋問を制限する規定と、裁判官や検察官の面前の調書の規定を当てはめるときに限って、この調書に記録された証人の供述を、公判期日にされたものとみなす、という規定です。ビデオリンク方式そのものは、証人尋問の回で扱います。
今日の地図(保存版)
図:被告人以外の者が作成した書面の全体地図の保存版
- 321条1項は供述書と供述録取書の1号2号3号、2項は公判準備・公判期日の供述録取書と裁判所の検証調書で無条件、3項は捜査機関の検証調書と実況見分調書で作成者の真正作成供述、4項は鑑定書で同じ、321条の2はビデオリンク記録で調書取調べ後に尋問の機会
- 323条は特信文書で次々回、322条は被告人の書面で前回
まとめます。軸は、誰が、どんな場面で作ったか、です。裁判所の検証調書は、2項で無条件。捜査機関の検証調書と実況見分調書は、3項で、作成者の真正作成供述。鑑定人の鑑定書は、4項で同じです。鑑定受託者の鑑定書は、4項を準用します。ビデオリンクの記録は、調書を取り調べたあとに、尋問の機会を与えます。3項が緩い理由は、物の状態は書面のほうが正確で、主観が入りにくく、作った人を尋問できるからでした。短答の落とし穴を、○×で言います。3項は、署名押印が要る。×です。条文に書かれていません。3項は、供述不能が要る。×です。要りません。実況見分調書の中の立会人の言葉は、どう使っても3項だけで入る。×です。要証事実で行き先が変わります。場所の特定なら3項。内容の真実性を使うなら、立会人に応じた別の伝聞例外が要ります。鑑定受託者の書面は、4項が使えない。×です。準用されます。
今日の1問の答えは、こうですね。実況見分調書は、作成者が真正作成を供述すれば入る。ただ、立会人の言葉は、場所の特定だけなら一緒に入るけれど、赤信号無視の事実そのものを証明するには、別の要件が要る。
参照条文
- 刑事訴訟法第321条第2項
- 刑事訴訟法第321条第3項
- 刑事訴訟法第321条第4項
- 刑事訴訟法第223条第1項
- 刑事訴訟法第321条の2第1項