刑事訴訟法ゼロから刑事訴訟法#107

伝聞法則の意義と趣旨(320条1項)

印刷用PDFを開く

第5章 証拠法 ⑦/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。

導入

夜道のひったくりを見た目撃者Wは法廷に来られず友人Fが法廷でWは見たと言っていたと証言する場面でWが本当に見たのかを誰がどう確かめるのかを問う導入板

法廷に来ない人の話を、別の人が代わりに伝えたら、証拠にできるのか。これが今日の中心の問いです。設例で考えます。夜道で、バッグがひったくられました。被告人はXです。通行人のWが、犯行を目撃しました。ところがWは、体調を崩して、法廷に来られません。かわりに、Wの友人のFが、証人として出廷します。Fはこう証言します。「Wは、Xがバッグを奪うのを見た、と言っていました」。Fは嘘をついておらず、Wの話を正確に伝えています。Fが宣誓して正直に話しているなら使えそうに見えますが、ここに落とし穴があります。原則として、この証言は、Xがバッグを奪った証拠には使えません。Fが正直かどうかは、問題ではありません。Wが本当に見たのか、覚えているのか、正確に言ったのか。それを、法廷の誰も確かめられないからです。前回まで、鑑定書は321条4項、臭気選別の報告書は321条3項と、書面は別の関門を通る、と何度も出てきました。あの書面という壁の正体が、今日の伝聞法則です。今日は、この原則の意義と趣旨を、条文と、供述が届くまでの道筋から組み立てます。

320条1項——締め出される2つの型

320条1項が締め出す書面型と伝聞供述型を設例のWのメモとFの証言に対応させ例外は321条から328条にあることを示す板

伝聞法則は、何条に書いてあるのですか。320条1項です。全文を出します。

条文刑事訴訟法第320条第1項

刑事訴訟法第320条第1項 第三百二十一条乃至第三百二十八条に規定する場合を除いては、公判期日における供述に代えて書面を証拠とし、又は公判期日外における他の者の供述を内容とする供述を証拠とすることはできない。

条文の骨格は、例外に当たる場合を除いて、次の2つを証拠にできない、です。1つ目は、公判期日における供述に代えて、書面を証拠にすること。2つ目は、公判期日外における他の者の供述を内容とする供述を、証拠にすることです。1つ目は、Wが法廷で語るかわりに、Wが書き残したメモを提出する場合です。法廷で語る代わりの書面なので、供述代用書面と呼びます。2つ目は、Fが法廷で、Wが法廷の外で語った内容を語る場合です。他人の話を内容とする供述なので、伝聞供述と呼びます。書面は、誰が書いたかで分かれます。Wが自分で書いたメモは、供述書です。警察官がWから話を聞いて書いた調書は、供述録取書です。この区別は、321条以下の例外の条文に入ったときに効いてきます。今日は、名前だけ押さえておいてください。もう1つ、この条文は、誰が出す証拠かを区別していません。検察官の出す証拠にも、被告人や弁護人の出す証拠にも、同じように適用されます。

条文の頭の321条から328条までが、原則に対する例外の規定です。中身は別の回で扱います。今日は、原則の側に集中します。なお、2項は、簡易公判手続の決定があった事件では、異議が述べられたものを除いて、1項を適用しない、と定めています。簡易公判手続は、被告人が冒頭で有罪だと認めた事件で、重い罪を除き、証拠調べを簡単にして進める手続です。ここでは、そういう規定がある、というところまでにします。

供述が法廷に届くまで——4つの関所と誤り

出来事から見る覚える言葉にする伝えるの四つの関所を通って供述が法廷に届く流れと各関所に入る誤りの例として暗くて見誤る時間がたって混ざる言い間違い嘘や誇張を並べた流れ図の板

条文の形は分かりました。でも、なぜ、他人の話の内容が入ってはいけないのでしょうか。そこを、供述が届くまでの道筋から考えます。物と違って、供述は、人の頭を通ってきます。前に見た、供述の4段階です。見る、覚える、言葉にする、伝える。知覚、記憶、表現、叙述でした。この4つを、関所にたとえます。証拠として法廷に届くまでに、荷物は4つの関所を通ります。各関所で、誤りが入りうることを、設例で見ます。1つ目、見る関所です。夜道は暗いので、Xの顔を見誤ったり、上着の色を見誤ったりします。悪気はなく、間違えます。2つ目、覚える関所です。事件から時間がたつうちに、別の日に見た場面と、記憶が混ざることがあります。3つ目、言葉にする関所です。黒っぽい上着だったのに、黒い上着と言い切ってしまったり、言い間違えたりします。4つ目、伝える関所です。ここは、わざと入る誤りです。かばいたい人がいて、見ていないのに見たと言う、話を大きく盛る、などです。

4つの関所のうち、外から見えるものはありますか。ありません。誤りは全部、本人の頭の中で起きています。血のついたバッグのような物なら、その物を調べれば足ります。しかし供述は、人の頭を通ってくるので、途中の誤りが見えません。誤ったまま事実認定に使えば、事実誤認になります。だから、確かめる手段が要ります。

法廷の証言なら働く3つの吟味

公判期日の証言では宣誓と偽証罪の制裁と当事者の反対尋問と裁判官による供述態度の観察の三つの吟味がすべて働き公判期日外の供述ではどれも働かないことを対比する表の板

ここで交互尋問の復習を1問。証人尋問で、反対尋問は、証人の供述の何を争う場でしたか?供述の証明力です。見間違いや記憶違いが入っていないか、証人に直接問いただして確かめます。では、法廷で証人が語る場合に、誤りをどう防ぐか。3つの仕組みが、同時に働きます。1つ目は、宣誓と、偽証罪の制裁です。証人は、宣誓をします。宣誓したうえで虚偽の陳述をすると、偽証罪で罰せられます。嘘をつく関所へのブレーキです。2つ目は、反対尋問です。当事者が、見る、覚える、言葉にする、伝えるの各段階を、順に問いただします。暗い夜道で何が見えたのか、なぜ黒だと言い切れるのか、と聞いていきます。3つ目は、裁判所による供述態度の観察です。目をそらしたり言いよどんだりするのを、裁判官が直接見て、信じてよいかを判断します。図に整理します。公判期日の証言では、3つとも働きます。公判期日外の供述では、どうでしょうか。

警察官に話したり、メモに書き残したりした時点では、宣誓もなく、反対尋問もなく、裁判官も見ていません。3つとも、働きません。3つのうち、どれが働かないか、と聞かれたら、答えは全部です。Fには、宣誓もさせられますし、反対尋問もできます。ただし、Fに確かめられるのは、Fが何を聞いたか、Fが正確に覚えているか、までです。Wが本当に見たのか、暗くて見誤っていないかは、Fに聞いても分かりません。Wの側の関所は、封をされた箱のまま、Fの手元に届いています。ここまでを、趣旨として整理します。

⭐ 論文で書く規範:320条1項が伝聞証拠を原則として排斥する趣旨 供述には見る・覚える・言葉にする・伝えるの各過程に誤りが入る危険がある | 公判期日外の供述には宣誓・反対尋問・供述態度の観察による吟味が働かない | だから吟味できない供述を事実認定に使わない (規範(条文の趣旨から導く解釈)——答案で理由づけに使う)

Wの話に、推認する力は、あるのですよね。役に立たないから排除するのとは、違うのですか。違います。前に見た関連性の整理では、役に立たないのが自然的関連性でした。Wの話は、Xが奪ったことを推認させる力を、一応は持っています。ただ、その力が本物かどうか、確かめられないまま使うと、判断を誤るおそれが大きい。役に立つのに判断を誤らせるものを締め出すのが、法律的関連性でした。伝聞は、関連性とは別の関門です。ただ、役に立つのに判断を誤らせるおそれの大きいものを、政策的に締め出すという発想は、法律的関連性と似ています。決め手は、確かめられないことの危険です。話の中身が嘘だと決まっているわけではありません。吟味を経ていない供述は、誤りがあっても気づけない。その危険を、原則として避けるのが、伝聞法則です。

書面は二重に危ない——供述録取書の場合

事件を体験したWの四つの関所と聞き取って調書に書く警察官の知覚記憶表現叙述という二つの過程が重なる供述録取書の二重の誤りの入り口を示す図の板

警察官が書いた調書なら、メモより確かだと思いやすいのですが、実は、調書のほうが、関所が増えます。警察官がWから話を聞いて、調書に書く場面で考えます。まず、Wの供述に、見る、覚える、言葉にする、伝えるの過程があります。そのうえで、聞き取った警察官にも、過程があります。Wの話を、正しく聞き取ったか。正しく覚えていたか。書面に、言葉を選んで書くときに、ずれていないか。誤りが入る過程が、2つあるのです。警察官の側が不正確なら、Wの話は正しく伝わりません。調書の要件として、署名や押印が求められる理由は、調書を書いた側の聞き間違いや書き間違いを減らし、話した本人が内容を確かめたことを担保するためです。中身は、例外の条文の回で見ます。今日は、調書は関所が二重になっている、という点を押さえてください。

憲法37条2項と直接主義

憲法37条2項の審問権と直接主義と反対尋問権の二つの根を対比し現行法は322条と324条で両方の色を持つことそして検察側と被告人側で憲法違反の意味がずれることを整理した板

伝聞法則と関係する憲法の規定があります。憲法37条2項の、証人審問権です。全文を出します。

条文日本国憲法第37条第2項

憲法第37条第2項 刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。

前段は、被告人が、すべての証人に対して、審問する機会を十分に与えられる、と定めています。審問するとは、質問することで、要は、反対尋問の機会が保障される、ということです。伝聞法則と憲法37条2項は、重なりますが、同じではありません。伝聞法則には、2つの根があります。1つ目は、直接主義です。前に公判の原則で、伝聞法則の土台として見た、実質的直接主義のほうで、書面ではなく、証人の証言のような直接の証拠によるべきだ、という考え方でした。書面を通して、捜査機関などの影響が、裁判所に及ぶのを避けます。この根が狙うのは、書面です。Fは、法廷で、裁判官の目の前で話す証人なので、この根だけなら、Fのような伝聞供述は、許されうる形になります。そのとき挙げた例も、知人の報告書という書面を退ける話でした。2つ目は、英米法の系統の、反対尋問権です。元の供述をした人に、反対尋問をしていなければ、書面も伝聞供述も、否定します。Fの証言も、Wのメモも、否定されます。

現行の320条1項は、両方の色を持っています。書面も、伝聞供述も、原則として否定しているので、反対尋問権の色が濃く見えます。一方、被告人自身が公判期日外に語った供述も、320条1項で原則として排除し、322条で例外的に許しています。被告人が自分自身に反対尋問することはないので、反対尋問権の考え方だけなら、締め出す理由がありません。それでも締め出すのは、被告人の話でも、調書のような書面で届けば、裁判官が直接確かめていない証拠になるからです。直接主義の色です。反対に、伝聞供述まで原則として締め出し、324条の例外に当たるときだけ許す形は、書面だけを避ける直接主義からは出てこないので、英米法の色です。322条と324条の中身は、別の回で見ます。

憲法37条2項と320条1項の二つのずれとして主体のずれで検察側の証拠の違反は憲法の問題になりうるが被告人側の証拠の違反は刑訴法の問題にとどまることと場面のずれで公判期日の証言でも主尋問後の証人死亡や遮へい措置とビデオリンクで審問の機会が問題になることを整理した板

憲法37条2項とは、ずれが2つあります。1つ目は、主体のずれです。憲法37条2項の審問権は、被告人の権利です。一方、320条1項は、検察官が出す証拠にも、被告人側が出す証拠にも適用されます。検察側の証拠が伝聞法則に違反して、被告人の反対尋問が奪われれば、憲法の問題になりえます。被告人側が出す証拠の伝聞法則違反は、刑訴法の問題にとどまり、憲法37条2項の問題にはなりません。2つ目のずれは、場面のずれです。公判期日に法廷で行われた証言であっても、審問の機会が十分に与えられたと言えるかは、別に問題になります。たとえば、検察側の証人が、主尋問だけを終えて亡くなり、反対尋問ができなくなった場合です。この場合、被告人は、審問する機会を与えられたと言えるのか、が問題になります。伝聞ではない、公判期日の証言だから、では片づきません。この場合の処理は、この回では踏み込みません。問題の所在だけを、覚えてください。

証人を守る措置も、この審問権との関係で問題になります。遮へい措置は、証人と被告人の間についたてなどを置くこと、ビデオリンクは、証人が別の部屋から、映像と音声で互いの様子を認識できる形でつないで証言することです。最高裁は、こうした措置をとっても、被告人は証言を聞き、自ら尋問でき、弁護人が証人の態度を観察できることなどから、審問権の侵害はないと判断しています。証人の保護の措置と憲法37条2項は、別の回で扱います。

伝聞証拠の定義

伝聞証拠は供述証拠であることと公判期日外の供述であることと内容の真実性を証明するために使うことの三つが揃った証拠であり血のついたバッグは供述でなく法廷での証言は期日内であることを境界の例として示す板

ここまでで、伝聞証拠の定義が出せます。

⭐ 論文で書く規範:伝聞証拠の定義 伝聞証拠とは、公判期日外の供述を内容とする証拠で、その供述内容の真実性を証明するために用いるものをいう (規範(320条1項の趣旨から解釈で立てる)——言葉どおりに覚える)

供述どおりの事実があったことの証明に使う、ということです。設例では、Wの話を、Xがバッグを奪ったことの証明に使う場合です。話の内容が本当かどうかが、そのまま証明の対象になります。このとき、内容が本当かを確かめるために、Wへの反対尋問が必要になります。「公判期日外の供述」だけではだめなのですか。だめです。「又聞きだから伝聞」ではなく、供述証拠であること、公判期日外であること、内容の真実性の証明に使うこと、の3つが揃って初めて伝聞証拠です。境界のペアで見ます。血のついたバッグは、物です。人の頭を通っていないので、供述ではありません。伝聞にはなりません。Wが法廷で自分で証言するなら、公判期日の供述で、その場で3つの吟味が働くので、これも伝聞ではありません。どちらも、Wの話に似ていても、線の外側です。学説には、反対尋問を経ていない供述証拠を伝聞と見る実質説もあります。ただ、答案では、今見た定義で書きます。

伝聞かどうかの判断の順番

体験事実を含む供述か内容の真実性が問題になるか誤りの入る危険が低い類型かの三つの問いで進み当てはまるなら非伝聞でどれにも当たらなければ伝聞証拠でありその途中の問いは要証事実から決まることを示す判断の順番の板

ここで、前に見た供述証拠の考え方を思い出してください。供述証拠かどうかは、証拠の種類ではなく、何を証明するかで決まる、でしたね?何を証明するかで決まる、という考え方を使って、伝聞かどうかを判断する順番を作ります。3つの問いです。問い1。体験事実を含む供述か。体験事実とは、話した人が自分で見たり聞いたりした出来事のことです。含まないなら、供述証拠ではありません。たとえば、行為の一部として発した言葉です。脅迫の事件で犯人が言った「お金をだせ」は、見た出来事を伝える話ではなく、脅すという行為そのものなので、見る、覚えるの関所を通っていません。問い2。その供述の内容の真実性が、問題になるか。ならないなら、供述証拠として使っていないので、非伝聞です。問い3。誤りの入る危険が低い類型か。低いなら、供述証拠でも、非伝聞とされることがあります。現在の精神状態を語る供述などです。たとえば、話した人が「今、とても怖い」と、その時の自分の気持ちを口にした言葉です。見る、覚えるの関所を通らず、今の気持ちをそのまま言うので、誤りの入る場所が少ないのです。ただし、議論があります。この3つのどれにも当たらなければ、伝聞証拠です。各類型の中身は、別の回で扱います。

問い2と問い3は、何をもとに決めるのですか。要証事実です。何を証明するために、その供述を使うのか。それが決まらないと、内容の真実性が問題になるか、危険が低いか、を判断できません。

典型例の当てはめ

要証事実をXがバッグを奪ったこととして又聞き証言と目撃者のメモと警察官の調書の三つを判断の順番に当てはめいずれも伝聞となり例外に当たらなければ証拠能力がないことを示す板

設例に戻ります。まず、要証事実を決めます。今回証明したいのは、Xがバッグを奪った、ということです。この前提で、3つを判定します。1つ目、Fの証言です。Fは「Wから、Xが奪うのを見たと聞いた」と証言します。Wの供述は、体験事実を含みます。公判期日外の供述で、Xが奪ったことの証明に使うので、内容の真実性が問題になります。危険が低い類型でもありません。伝聞供述型の、伝聞証拠です。反対尋問で確かめられるのは、Fが何を聞いたか、Fが正確に覚えているか、Fが正確に言っているか、までです。Wの見る、覚える、言葉にする、伝える、の各関所は、Fの尋問の届かないところにあります。Fへの吟味は、Fの関所にしか届きません。2つ目、Wが書き残したメモです。Wが自分で書いた書面なので、供述書で、書面型です。Xが奪ったことの証明に使うなら、これも伝聞証拠です。3つ目、警察官が作った調書です。前に見たとおり、Wと警察官の2つの過程を含む供述録取書で、書面型の伝聞証拠です。3つとも、321条以下の例外に当たらなければ、証拠能力がありません。当たるかは、その回で検討します。なお、ここは論文で論点になりうる場面です。答案では、要証事実を特定し、問題の発言が公判期日外の供述証拠かを見て、320条1項の趣旨から伝聞証拠と結論します。そのうえで、例外の検討に進みます。

同じ供述でも、使い道で変わる

同じWの話でもXが奪ったことの証明に使えば伝聞であるがWは事件の直後にFと会って話したという事実の証明に使うなら内容の真実性が問題にならず伝聞でないという対比を示す板

今の3つは、全部伝聞でした。伝聞にならない場合は、ないのですか。あります。同じWの話でも、使い道を変えます。Xがバッグを奪った、ことの証明に使えば、伝聞です。しかし、Wは事件の直後にFと会って話をした、という事実だけを証明するために使うなら、どうでしょうか。その場合は、話の中身が本当かどうかは、関係がありません。話をした、という事実だけが問題です。内容の真実性が問題にならないので、伝聞ではありません。同じ供述が、使い道によって、伝聞になることも、ならないこともあります。伝聞かどうかは、供述の見た目ではなく、何を証明するために使うか、つまり要証事実で決まります。

今日の地図(保存版)

320条1項の二つの型と四つの関所と三つの吟味と憲法37条2項と直接主義と定義と判断の順番と使い道で変わることを一枚に整理した保存版のまとめ板

まとめます。1つ目。320条1項は、公判期日における供述に代わる書面と、公判期日外の他の者の供述を内容とする供述を、原則として締め出します。例外は、321条から328条までです。2つ目。供述は、見る、覚える、言葉にする、伝える、の4つの関所を通り、各関所に誤りが入りえます。法廷の証言なら、宣誓と偽証罪、反対尋問、態度の観察の3つで吟味できますが、公判期日外の供述には、どれも働きません。これが趣旨です。調書のような供述録取書は、録取者の過程も加わって、二重に危険です。3つ目。憲法37条2項は、被告人の審問権を保障します。伝聞法則は、直接主義と反対尋問権の2つの根を持ち、現行法は両方の色を持ちますが、憲法とは、主体と場面でずれます。4つ目。伝聞証拠は、公判期日外の供述を内容とし、内容の真実性を証明するために用いるものです。判断の順番は、体験事実、内容の真実性、危険の低い類型、でした。

要証事実を、誰が、どう決めるのか。当事者が示す立証趣旨は、どこまで裁判所を縛るのか。伝聞かどうかを決める軸を、見ていきます。

参照条文

  • 刑事訴訟法第320条第1項
  • 日本国憲法第37条第2項

刑事訴訟法 全体ロードマップへ →

刑事訴訟法 の復習ノートを1ページで通して読む →