刑事訴訟法ゼロから刑事訴訟法#162

上告審の役割と職権破棄

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第8章 上訴と救済手続 ③/動画の内容を見返し用にまとめたものです(動画には含みません)。

導入

今日の問い。被告人Zは、深夜の倉庫から荷物を持ち出したとして窃盗で起訴された。有罪の決め手は目撃者の証言。Zは第一審から「持ち出していない」と争っていた。第一審の地方裁判所は有罪(拘禁刑1年6か月)、控訴審の高等裁判所は控訴を棄却した。Zは「目撃者の証言は信用できない。事実認定が間違っているし、刑も重すぎる」として最高裁に上告したい。①事実誤認と量刑不当を理由に、上告はできるか。②できないなら、もう救済の道は無いのか 図:今日の問い

  • 被告人Zは、深夜の倉庫から荷物を持ち出したとして窃盗で起訴された
  • 有罪の決め手は目撃者の証言
  • Zは第一審から「持ち出していない」と争っていた
  • 第一審の地方裁判所は有罪(拘禁刑1年6か月)、控訴審の高等裁判所は控訴を棄却した
  • Zは「目撃者の証言は信用できない。事実認定が間違っているし、刑も重すぎる」として最高裁に上告したい
  • ①事実誤認と量刑不当を理由に、上告はできるか
  • ②できないなら、もう救済の道は無いのか

前回の最後に、控訴審の判決に不服があれば、最高裁に上告できる、と言いました。今日は、その上告です。今日の被告人Zは、前回の領収書の件とは別の事件の人です。Zは、深夜の倉庫から荷物を持ち出したとして、窃盗で起訴されました。有罪の決め手は、目撃者の証言です。Zは、第一審から、持ち出していないと争っていました。第一審の地方裁判所は有罪で、拘禁刑1年6か月。控訴審の高等裁判所は、控訴を棄却しました。Zは、目撃者の証言は信用できない、事実認定が間違っているし、刑も重すぎる、として、最高裁に上告したいと考えています。問いは2つです。1つ目。事実誤認と量刑不当を理由に、上告はできるのか。2つ目。できないなら、もう救済の道は無いのか。

先に、答えの形だけ言います。上告の理由は、憲法違反と判例違反の、2種類だけです。事実誤認や量刑不当は、この門に入りません。ただし、門の外でも、最高裁が自分の判断で破棄する道が残されています。今日の筋は、上告の入口が3つある、ということです。

三審制の地図。第一審(地方裁判所・簡易裁判所)→控訴(14日)→控訴審(高等裁判所)→上告(14日・405条)→上告審(最高裁判所=終審)。上告できるのは原則として高等裁判所がした判決に対して。上告の申立書は原裁判所に差し出す(414条=373条・374条の準用)。今日の筋=上告の入口は3つ 図:三審制の地図

  • 第一審(地方裁判所・簡易裁判所)→控訴(14日)→控訴審(高等裁判所)→上告(14日・405条)→上告審(最高裁判所=終審)
  • 上告できるのは原則として高等裁判所がした判決に対して
  • 上告の申立書は原裁判所に差し出す(414条=373条・374条の準用)
  • 今日の筋=上告の入口は3つ

地図です。第一審の判決に不服なら控訴、その控訴審の判決に不服なら、最高裁判所への上告でした。上告できるのは、原則として、高等裁判所がした判決に対してです。期間は控訴と同じ14日で、申立書は、最高裁宛てに書きますが、差し出す先は、判決をした原裁判所です。第414条が、控訴の規定を準用しているからです。まず、最高裁が上告審として何をする場所なのかから見ます。

上告審の役割

上告審の役割。最高裁判所=憲法81条の終審裁判所。2つの働き=憲法保障(憲法違反・憲法解釈の誤りを正す)/法令解釈の統一(判例統一)。性格=事後審であり法律審(法律問題を審理する・記録を読み込んで進める書面審理が中心)。控訴理由と比べて上告理由が絞られる理由=事件が集中して点検が回らなくなること・不満のたびの上訴が繰り返されることを防ぐため 図:上告審の役割

  • 最高裁判所=憲法81条の終審裁判所
  • 2つの働き=憲法保障(憲法違反・憲法解釈の誤りを正す)/法令解釈の統一(判例統一)
  • 性格=事後審であり法律審(法律問題を審理する・記録を読み込んで進める書面審理が中心)
  • 控訴理由と比べて上告理由が絞られる理由=事件が集中して点検が回らなくなること・不満のたびの上訴が繰り返されることを防ぐため

上告は、最高裁判所への上訴です。最高裁は、憲法第81条が定める終審裁判所です。

条文憲法第81条

憲法第81条 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

下級の裁判所も、憲法に適合するかどうかを判断できます。ただ、最終的な決着をつけるのは、最高裁です。違憲審査の方法そのものは、憲法の回で扱います。ここでは、最高裁が最後の判断者だ、という位置づけだけを押さえてください。この位置づけから、上告審の働きは2つ出てきます。1つ目は、憲法を守ることです。原判決に憲法違反や憲法解釈の誤りがあれば、正します。2つ目は、法令の解釈をそろえることです。同じ法律の解釈が、裁判所ごとにバラバラでは困ります。そこで、最高裁の判例と食い違う判断を、正す役目があります。性格もまとめます。上告審は、控訴審と同じ事後審で、さらに、法律審です。法律審とは、法律問題を中心に審理する裁判所のことです。審理も、第一審と控訴審の記録を調べることが中心で、書面を読んで進めます。法律審という言い方は、条文に書かれた言葉ではありません。上告理由の定め方などの仕組みから、そう性格づけられるものです。

上告が事実を見直すためのものではないのは、最高裁が、個々の事件の正しさを最後に確かめる場所ではなく、憲法と法令解釈を整える場所だからです。たとえて言えば、判決文の誤字を直す校閲係ではなく、法律の物差しが全国でそろっているかを点検する検査所です。検査所に持ち込める項目は、あらかじめ決められています。事件が山のように持ち込まれたら点検は回りませんし、不満があるたびに持ち込まれる濫上訴も防げません。だから、控訴理由と比べて、上告理由は大きく絞られているのです。

上告理由・第405条

控訴理由と上告理由の対比。控訴理由(377条〜383条)=訴訟手続の法令違反/法令適用の誤り/量刑不当/事実誤認/再審事由等。上告理由(405条)=憲法違反・憲法解釈の誤り/最高裁判所の判例と相反する判断/最高裁の判例がない場合に限り、大審院・上告裁判所たる高等裁判所・施行後の控訴裁判所たる高等裁判所の判例と相反する判断。事実誤認・量刑不当・一般の法令違反は上告理由に入っていない。事実誤認・量刑不当を理由に争えるのは控訴審まで 図:控訴理由と上告理由の対比

  • 控訴理由(377条〜383条)=訴訟手続の法令違反/法令適用の誤り/量刑不当/事実誤認/再審事由等
  • 上告理由(405条)=憲法違反・憲法解釈の誤り/最高裁判所の判例と相反する判断/最高裁の判例がない場合に限り、大審院・上告裁判所たる高等裁判所・施行後の控訴裁判所たる高等裁判所の判例と相反する判断
  • 事実誤認・量刑不当・一般の法令違反は上告理由に入っていない
  • 事実誤認・量刑不当を理由に争えるのは控訴審まで

上告の理由を定めるのが、第405条です。

条文刑事訴訟法第405条

刑事訴訟法第405条 高等裁判所がした第一審又は第二審の判決に対しては、左の事由があることを理由として上告の申立をすることができる。 一 憲法の違反があること又は憲法の解釈に誤があること。 二 最高裁判所の判例と相反する判断をしたこと。 三 最高裁判所の判例がない場合に、大審院若しくは上告裁判所たる高等裁判所の判例又はこの法律施行後の控訴裁判所たる高等裁判所の判例と相反する判断をしたこと。

1号は、憲法違反と、憲法の解釈の誤りです。2号は、最高裁判所の判例と相反する判断です。相反するとは、判例の判断と食い違うことです。3号は、最高裁の判例がない場合に、大審院や高等裁判所の判例と食い違う判断です。大審院は、今の最高裁判所ができる前の、最上級の裁判所です。ここに罠があります。高等裁判所などの判例違反は、最高裁の判例がない場合に限られます。最高裁の判例があるなら、2号の問題になります。控訴理由と並べます。控訴理由には、訴訟手続の法令違反、法令適用の誤り、量刑不当、事実誤認などが入っていました。上告理由には、そのうち、事実誤認も、量刑不当も、一般の法令違反も入っていません。事実誤認や量刑不当を理由に争えるのは、控訴審までです。Zの1つ目の問いの答えです。Zの主張は、事実誤認と量刑不当なので、第405条の理由に当たりません。上告の申立て自体はできますが、そのままでは棄却されます。決定で棄却されるのか、判決で棄却されるのかは、あとで見ます。

判例違反の主張のしかた

判例違反の主張のしかた。どの判例に反するのかを具体的に示す。示した判例が使えないと「前提を欠く」として退けられる。退けられる型は2つ=事案を異にする判例を引いた/引いた判例が主張のような趣旨を示していない。判例=判決の結論を導くのに必要な法的理由づけ(判決理由)。結論と直接つながらない記述は傍論。逐語「その余の判例違反をいう点は,事案を異にする判例を引用するものであって本件に適切でないか,引用の判例が所論のような趣旨を示したものではないから前提を欠くものであり,その余は,単なる法令違反,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。」(最大判平29・11・29 刑集71巻9号467頁) 図:判例違反の主張のしかた

  • どの判例に反するのかを具体的に示す
  • 示した判例が使えないと「前提を欠く」として退けられる
  • 退けられる型は2つ=事案を異にする判例を引いた/引いた判例が主張のような趣旨を示していない
  • 判例=判決の結論を導くのに必要な法的理由づけ(判決理由)
  • 結論と直接つながらない記述は傍論
  • 逐語「その余の判例違反をいう点は,事案を異にする判例を引用するものであって本件に適切でないか,引用の判例が所論のような趣旨を示したものではないから前提を欠くものであり,その余は,単なる法令違反,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。」(最大判平29・11・29 刑集71巻9号467頁)

上告理由の言い方にも、決まりごとがあります。判例違反を主張するときは、どの判例に反するのかを、具体的に示さなければなりません。刑事訴訟規則の第253条が、上告趣意書にその判例を具体的に示すよう求めているからです。ここでいう判例は、判決の結論を導くのに必要な、法的な理由づけ、つまり判決理由のことです。結論と直接つながらない記述は、傍論といって、判例にはなりません。では、判例を示しさえすれば足りるのでしょうか。示した判例が使えなければ、どうなるか。最高裁の大法廷判決が、上告の理由として書かれた主張を退けた言い方があります。その余の判例違反をいう点は、事案を異にする判例を引用するものであって本件に適切でないか、引用の判例が所論のような趣旨を示したものではないから、前提を欠く、と。さらに、その余は、単なる法令違反、量刑不当の主張であって、第405条の上告理由に当たらない、と続きます。退けられる型は2つです。引いた判例が、事案が違って、この事件に当てはまらない場合。もう1つは、引いた判例が、主張しているような趣旨を、そもそも示していない場合です。どちらも、相反する判例が成り立たないので、前提を欠くことになります。

名前だけの憲法違反は不可。逐語「所論は、違憲をいう点もあるが、その実質はすべて事実誤認、単なる訴訟法違反の主張であつて、適法な上告理由にあたらない。」。憲法違反と書いてあっても、実質が事実誤認なら上告理由にならない。実質で判断される(最判昭43・10・25 刑集22巻11号961頁) 図:名前だけの憲法違反は不可

  • 逐語「所論は、違憲をいう点もあるが、その実質はすべて事実誤認、単なる訴訟法違反の主張であつて、適法な上告理由にあたらない。」
  • 憲法違反と書いてあっても、実質が事実誤認なら上告理由にならない
  • 実質で判断される(最判昭43・10・25 刑集22巻11号961頁)

憲法違反と書き添えるだけでは、上告理由になりません。名前だけでは足りません。最高裁は、こう言っています。違憲をいう点もあるが、その実質はすべて事実誤認、単なる訴訟法違反の主張であって、適法な上告理由にあたらない、と。憲法違反と書いてあっても、中身が事実誤認なら、門は開きません。名前だけで通れるなら、誰もが憲法違反と書き添えて、第405条で入口を絞った意味がなくなるからです。だから、実質で判断されます。

上告受理・第406条

上告理由と上告受理の対比。上告理由(405条)=根拠は405条・条文の事由があれば上告できる(申立てが入口)・事由は憲法違反/最高裁判例違反等。上告受理(406条)=根拠は406条・最高裁の裁量で受理する(義務ではない)・事由は法令の解釈に関する重要な事項を含むこと・判決確定前に限る・手続は裁判所の規則の定めるところによる。受理した事件で破棄するなら405条の事由は無いので411条による 図:上告理由と上告受理の対比

  • 上告理由(405条)=根拠は405条・条文の事由があれば上告できる(申立てが入口)・事由は憲法違反/最高裁判例違反等
  • 上告受理(406条)=根拠は406条・最高裁の裁量で受理する(義務ではない)・事由は法令の解釈に関する重要な事項を含むこと・判決確定前に限る・手続は裁判所の規則の定めるところによる
  • 受理した事件で破棄するなら405条の事由は無いので411条による

入口の2つ目は、上告受理です。

条文刑事訴訟法第406条

刑事訴訟法第406条 最高裁判所は、前条の規定により上告をすることができる場合以外の場合であつても、法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる事件については、その判決確定前に限り、裁判所の規則の定めるところにより、自ら上告審としてその事件を受理することができる。

第405条の事由が無くても、法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる事件は、判決が確定する前に限り、最高裁が自ら上告審として受理できます。第406条は、「裁判所の規則の定めるところにより」と書いています。この規則が、最高裁判所の定める、手続の細目のルール、刑事訴訟規則です。中身にあたるのが、次の第257条です。

条文刑事訴訟規則第257条

刑事訴訟規則第257条 高等裁判所がした第一審又は第二審の判決に対しては、その事件が法令(裁判所の規則を含む。)の解釈に関する重要な事項を含むものと認めるときは、上訴権者は、その判決に対する上告の提起期間内に限り、最高裁判所に上告審として事件を受理すべきことを申し立てることができる。但し、法第四百五条に規定する事由をその理由とすることはできない。

申し立てられるのは、上訴権者が、上告の提起期間内に限ってです。期間は14日で、期限があります。ただし書が大事です。第405条の事由は、理由にできません。憲法違反や判例違反は第405条で争い、上告受理は、それ以外の法令の解釈に関する重要な事項を拾う入口と、役割が分かれています。申立書は原裁判所に差し出し、受理されれば、その理由書が上告趣意書とみなされます。申立てをすると、原判決の確定は妨げられます。なぜ、この入口があるのか。第405条の判例違反は、食い違う相手の判例が、すでにあることが前提です。たとえば、最高裁にも高裁にも、まだ判例がない新しい法律問題は、解釈をそろえたくても、第405条からは入れません。そこを拾うのが、上告受理です。ここで、上告理由との違いを押さえてください。条文の主語は、最高裁判所で、受理することが「できる」と書かれています。受理するかどうかは、最高裁の裁量です。重要な事項を含むかどうかも、最高裁が判断します。当事者が申し立てれば受理してもらえる、という権利ではありません。これに対して、第405条の上告理由は、条文が定める事由があれば、当事者が上告できる入口です。もう1つ。受理した事件で原判決を破棄するときは、第405条の事由が無い事件なので、根拠は、このあと見る第411条になります。もう1つの破棄の条文である第410条は、第405条の事由があるときに破棄する、という定めなので、ここでは使えないからです。上告受理は入口で、破棄の根拠は別にある、と覚えてください。

Zに当てはめます。Zの不満は、目撃者の証言を信用するかどうか、という事実の評価です。法令の解釈に関する重要な事項ではないので、この入口も、Zには開きません。

上告審の手続

上告審の手続。準用(414条)=控訴の規定は、この法律に特別の定めがある場合を除き、上告の審判に準用。例=提起期間14日(373条)・申立書の差出先(374条)・事実の取調べ(393条1項)・棄却の決定(385条・386条)と判決(395条・396条)・不利益変更禁止(402条)。特別の定め(405条〜413条)が先に適用される。上告趣意書(407条)=上告の申立ての理由を明示。弁論を経ない棄却(408条)=趣意書その他の書類で理由がないことが明らかなら判決で棄却。召喚不要(409条)=公判期日に被告人を召喚することを要しない。上告審は書面審理が中心 図:上告審の手続

  • 準用(414条)=控訴の規定は、この法律に特別の定めがある場合を除き、上告の審判に準用
  • 例=提起期間14日(373条)・申立書の差出先(374条)・事実の取調べ(393条1項)・棄却の決定(385条・386条)と判決(395条・396条)・不利益変更禁止(402条)
  • 特別の定め(405条〜413条)が先に適用される
  • 上告趣意書(407条)=上告の申立ての理由を明示
  • 弁論を経ない棄却(408条)=趣意書その他の書類で理由がないことが明らかなら判決で棄却
  • 召喚不要(409条)=公判期日に被告人を召喚することを要しない
  • 上告審は書面審理が中心

入口の3つ目に進む前に、入ったあとの審理がどう進むかを見ておきます。上告審の手続です。基本は、控訴の規定を使い回します。

条文刑事訴訟法第414条

刑事訴訟法第414条 前章の規定は、この法律に特別の定のある場合を除いては、上告の審判についてこれを準用する。

準用とは、控訴の規定を上告に当てはめて読む、ということです。なぜ借りられるのか。控訴も上告も、前の裁判所の判決に誤りがないかを、あとから点検する上訴です。申立ての期間、申立書の出し方、棄却のしかたといった骨組みは共通なので、同じことをもう一度書かずに、控訴の規定を借りるのです。たとえば、提起期間14日の第373条、申立書の差出先の第374条、棄却の決定と判決の第385条から第396条、前に見た不利益変更禁止の第402条などです。ただし、特別の定めがある場合は、そちらが先に働きます。第405条から第413条が、その特別の定めです。上告の理由のように、上告審だけの決まりは、ここに別に書かれています。

条文刑事訴訟法第407条

刑事訴訟法第407条 上告趣意書には、裁判所の規則の定めるところにより、上告の申立の理由を明示しなければならない。

条文刑事訴訟法第408条

刑事訴訟法第408条 上告裁判所は、上告趣意書その他の書類によつて、上告の申立の理由がないことが明らかであると認めるときは、弁論を経ないで、判決で上告を棄却することができる。

条文刑事訴訟法第409条

刑事訴訟法第409条 上告審においては、公判期日に被告人を召喚することを要しない。

上告するには、上告趣意書で、申立ての理由を明示します。そして、趣意書などの書類を見て、理由がないことが明らかなときは、最高裁は、弁論を経ないで、判決で棄却できます。第408条です。上告審は、書面審理が中心で、弁論が開かれるのは例外です。被告人の召喚も、要りません。第409条です。上告審は、法律問題を記録で審理する場で、本人から事情を聞き直す場ではないからです。Zは、最高裁に呼ばれないのが通常です。

職権破棄・第411条

第411条の5事由と控訴審との言い方の比較。411条=405条各号の事由がない場合でも、次の事由があって原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めるとき、判決で破棄できる。1号 判決に影響を及ぼすべき法令の違反/2号 刑の量定が甚しく不当/3号 判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認/4号 再審の請求をすることができる場合にあたる事由/5号 判決があった後に刑の廃止若しくは変更又は大赦があったこと。比較(控訴審)=1号は379・380条「判決に影響を及ぼすことが明らか」/2号は381条「不当」/3号は382条「判決に影響を及ぼすことが明らか」/結論の要件=控訴審は事由があれば破棄(397条1項)/411条は事由に加えて「著しく正義に反する」が必要。 図:第411条の5事由と控訴審との言い方の比較

  • 411条=405条各号の事由がない場合でも、次の事由があって原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めるとき、判決で破棄できる
  • 1号 判決に影響を及ぼすべき法令の違反/2号 刑の量定が甚しく不当/3号 判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認/4号 再審の請求をすることができる場合にあたる事由/5号 判決があった後に刑の廃止若しくは変更又は大赦があったこと
  • 比較(控訴審)=1号は379・380条「判決に影響を及ぼすことが明らか」/2号は381条「不当」/3号は382条「判決に影響を及ぼすことが明らか」/結論の要件=控訴審は事由があれば破棄(397条1項)/411条は事由に加えて「著しく正義に反する」が必要

入口の3つ目です。ここが、今日の山場です。立ち止まって考えてください。Zの事実誤認の主張は、第405条の事由に当たるでしょうか。当たらないなら、最高裁は、もう何もしてくれないのでしょうか?そこで、第411条の出番です。

条文刑事訴訟法第411条

刑事訴訟法第411条 上告裁判所は、第四百五条各号に規定する事由がない場合であつても、左の事由があつて原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めるときは、判決で原判決を破棄することができる。 一 判決に影響を及ぼすべき法令の違反があること。 二 刑の量定が甚しく不当であること。 三 判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認があること。 四 再審の請求をすることができる場合にあたる事由があること。 五 判決があつた後に刑の廃止若しくは変更又は大赦があつたこと。

第405条の各号の事由が無くても、1号から5号までのいずれかの事由があって、原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めるときは、最高裁は判決で原判決を破棄できます。1号は、判決に影響を及ぼすべき法令の違反。2号は、刑の量定が甚しく不当なこと。3号は、判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認。4号は、再審事由にあたる事由で、再審は別のしくみとして、後の回で扱います。5号は、判決のあとに刑が廃止や変更されたり、大赦があったりしたことです。

第411条は上告の理由ではない。上告の申立て=405条の事由があるときに限る/411条=405条の事由がなくても最高裁が職権で破棄できる事由。当事者の主張は職権の発動を促すにとどまる。逐語「上告の申立は、刑訴四〇五条に定めてある事由があることを理由とするときに限りなすことができるものである。同四一一条は、上告申立の理由を定めたものではなく、同四〇五条各号に規定する事由がない場合であつても、上告裁判所が原判決を破棄しなければ、著しく正義に反すると認めた場合に職権を以て原判決を破棄し得る事由を定めたものである。」(最決昭26・3・8 集刑41号343頁) 図:第411条は上告の理由ではない

  • 上告の申立て=405条の事由があるときに限る/411条=405条の事由がなくても最高裁が職権で破棄できる事由
  • 当事者の主張は職権の発動を促すにとどまる
  • 逐語「上告の申立は、刑訴四〇五条に定めてある事由があることを理由とするときに限りなすことができるものである。同四一一条は、上告申立の理由を定めたものではなく、同四〇五条各号に規定する事由がない場合であつても、上告裁判所が原判決を破棄しなければ、著しく正義に反すると認めた場合に職権を以て原判決を破棄し得る事由を定めたものである。」(最決昭26・3・8 集刑41号343頁)

注意点が1つあります。第411条は、上告の理由を定めた条文ではありません。最高裁が職権で破棄できる場合を定めたものです。職権とは、当事者の申立てを待たずに、裁判所が自分の判断で動くことです。最高裁の決定が、はっきり言っています。上告の申立ては、第405条に定める事由を理由とするときに限りできる。第411条は、上告申立ての理由を定めたものではなく、第405条各号の事由がない場合でも、破棄しなければ著しく正義に反すると認めたときに、職権で破棄できる事由を定めたものだ、と、ですから、当事者が1号から5号を主張しても、職権の発動を促すにすぎません。権利として破棄を求められるわけではありません。

第411条の5事由と控訴審との言い方の比較。411条=405条各号の事由がない場合でも、次の事由があって原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めるとき、判決で破棄できる。1号 判決に影響を及ぼすべき法令の違反/2号 刑の量定が甚しく不当/3号 判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認/4号 再審の請求をすることができる場合にあたる事由/5号 判決があった後に刑の廃止若しくは変更又は大赦があったこと。比較(控訴審)=1号は379・380条「判決に影響を及ぼすことが明らか」/2号は381条「不当」/3号は382条「判決に影響を及ぼすことが明らか」/結論の要件=控訴審は事由があれば破棄(397条1項)/411条は事由に加えて「著しく正義に反する」が必要。 図:第411条の5事由と控訴審との言い方の比較

  • 411条=405条各号の事由がない場合でも、次の事由があって原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めるとき、判決で破棄できる
  • 1号 判決に影響を及ぼすべき法令の違反/2号 刑の量定が甚しく不当/3号 判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認/4号 再審の請求をすることができる場合にあたる事由/5号 判決があった後に刑の廃止若しくは変更又は大赦があったこと
  • 比較(控訴審)=1号は379・380条「判決に影響を及ぼすことが明らか」/2号は381条「不当」/3号は382条「判決に影響を及ぼすことが明らか」/結論の要件=控訴審は事由があれば破棄(397条1項)/411条は事由に加えて「著しく正義に反する」が必要

控訴審の言い方と比べると、輪郭が見えます。控訴審では、法令違反は判決に影響を及ぼすことが明らか、量刑は不当、事実誤認は判決に影響を及ぼすことが明らか、で足りました。上告審は、量刑は「甚しく」不当、事実誤認は「重大な」事実の誤認と、言葉が絞られています。法令違反の1号は、判決に影響を及ぼすべき法令の違反、という言い方で、控訴審の「明らか」という言葉はありません。ただ、どの号にも、破棄しなければ著しく正義に反する、という結論の要件がかかります。控訴審では、控訴理由に当たる事由があれば、原判決を破棄しなければなりませんでした。根拠は第397条第1項です。上告審の第411条は、事由があるだけでは足りず、そのうえで著しく正義に反すると最高裁が認めて、はじめて破棄できます。この点で、上告審のほうが、破棄のハードルは高いのです。Zの2つ目の問いの答えです。Zの事実誤認は3号、量刑の主張は2号の事由に、形式上は当たりえます。ただし、事実誤認は重大なものでなければならず、そのうえで、破棄しなければ著しく正義に反すると最高裁が認めたときだけ、破棄されます。Zが主張しても、職権の発動を促すにすぎません。

職権破棄の実際

最判昭43の経過。強盗殺人で起訴された被告人らの事件。第一審有罪→控訴審有罪→1度目の上告審が「判決に影響を及ぼすべき重大な事実誤認の疑」として破棄差戻し→控訴審が無罪→2度目の上告審が、上告趣意を「帰するところ事実誤認、単なる訴訟法違反の主張を出でないものであつて、刑訴法四〇五条の上告理由に当らない」と排斥しながら411条を発動して職権調査し、原判決を破棄差戻し→控訴審が有罪→3度目の上告審(この判決)が411条3号により原判決を破棄し、413条但書により自判して無罪。逐語「書面審査による上告審が、事実認定の当否の判断に深く介入することは、かえつて危険であり、国民の信頼をつなぐ所以でもないからである。」「記録その他の証拠資料を検討して原判決の認定に不合理なところがないか否かの事後審査をするにとどまるのが原則であつて、原判決の認定の当否を判断するために、あらたに事実の認定をするものでないことは、いうまでもない。」「原判決には、判決に影響を及ぼすべき重大な事実誤認の疑があることに帰し、これを破棄しなければ著しく正義に反すると認められる場合であるといわなければならない。」(最判昭43・10・25 刑集22巻11号961頁) 図:最判昭43の経過

  • 強盗殺人で起訴された被告人らの事件
  • 第一審有罪→控訴審有罪→1度目の上告審が「判決に影響を及ぼすべき重大な事実誤認の疑」として破棄差戻し→控訴審が無罪→2度目の上告審が、上告趣意を「帰するところ事実誤認、単なる訴訟法違反の主張を出でないものであつて、刑訴法四〇五条の上告理由に当らない」と排斥しながら411条を発動して職権調査し、原判決を破棄差戻し→控訴審が有罪→3度目の上告審(この判決)が411条3号により原判決を破棄し、413条但書により自判して無罪
  • 逐語「書面審査による上告審が、事実認定の当否の判断に深く介入することは、かえつて危険であり、国民の信頼をつなぐ所以でもないからである。」「記録その他の証拠資料を検討して原判決の認定に不合理なところがないか否かの事後審査をするにとどまるのが原則であつて、原判決の認定の当否を判断するために、あらたに事実の認定をするものでないことは、いうまでもない。」「原判決には、判決に影響を及ぼすべき重大な事実誤認の疑があることに帰し、これを破棄しなければ著しく正義に反すると認められる場合であるといわなければならない。」(最判昭43・10・25 刑集22巻11号961頁)

では、実際に、第411条で救済された例を見ます。前に、破棄判決の拘束力の範囲を見たときの判決と、同じ事件です。強盗殺人で起訴された被告人たちの事件です。第一審も控訴審も有罪でした。最初の上告審は、重大な事実誤認の疑いがあるとして、破棄して差し戻しました。差戻し後の控訴審は、無罪にしました。すると、2度目の上告審が、また、原判決を破棄して差し戻しました。このとき最高裁は、上告趣意を、帰するところ事実誤認、単なる訴訟法違反の主張であって、第405条の上告理由に当たらない、と退けています。そのうえで、第411条を使って、職権で調べたのです。差戻し後の控訴審は、有罪としました。そして、3度目の上告審が、この判決です。第411条第3号により原判決を破棄し、第413条但書により、自分で判決をして、無罪を言い渡しました。判決は、慎重さも語っています。2つに分けて聞いてください。どんなときに破棄できるのか。そして、どう調べるのか、です。上告審が原判決を破棄できるのは、事実誤認が重大で、看過することが著しく正義に反する場合に限られる。その理由は、書面審査による上告審が、事実認定の当否の判断に深く介入することは、かえって危険で、国民の信頼をつなぐ所以でもないからだ、と。証人の顔も声も見ていない裁判所が、紙の記録だけで事実の認定を覆すのは危うい、という意味です。2つ目の、調べ方も、記録その他の証拠資料を検討して、原判決の認定に不合理なところがないかを事後審査するにとどまるのが原則で、あらたに事実を認定するものではない、と述べています。最後に、判決に影響を及ぼすべき重大な事実誤認の疑いがあり、破棄しなければ著しく正義に反する、として破棄しました。

言い過ぎないために、位置づけも確認します。これは、証拠が出尽くしたあとの、3度目の上告審で、最高裁が無罪という結論まで自分で出した、例外中の例外です。ここから言えるのは、上告理由を満たさない主張でも、第411条の事由があって著しく正義に反するときは、最高裁が破棄しうる、という一点です。整理します。事実誤認や量刑不当や一般の法令違反に、救済が実際に行われうるのは、最高裁の職権の発動を通じてです。事実誤認や量刑不当を訴える上告は、実質的には、この職権の発動を促すものになります。入口は3つになりました。上告理由は、条文が定める事由があれば申し立てられる権利です。上告受理と職権発動は、どちらも最高裁の裁量です。

上告審の裁判

上告審の裁判の表。大分類=棄却(原判決を維持)/破棄(取り消す)。棄却:申立てが方式違反・上告権消滅後と書面で明らか→決定(414条・385条1項)/公判を開いて分かった→判決(414条・395条)。趣意書の不備(期間内に出さない・方式違反・必要な資料の添付なし)→決定(414条・386条1項1号・2号)。趣意書の理由が明らかに405条各号の事由に当たらない→決定(414条・386条1項3号)←Zの事実誤認・量刑不当はこの型。審理して上告理由に当たる事由がない→判決(414条・396条)。趣意書その他の書類で理由がないことが明らか→弁論を経ず判決(408条)。405条の事由はあるが判決に影響を及ぼさないことが明らか→判決で棄却(410条1項但書)。判例違反のみで判例を変更して原判決を維持するのが相当→判決で棄却(410条2項)。決定への不服=異議の申立て(414条→386条2項→385条2項→428条2項)/判決への不服=上訴は不可・訂正の申立て(415条)。 図:上告審の裁判の表

  • 大分類=棄却(原判決を維持)/破棄(取り消す)
  • 棄却:申立てが方式違反・上告権消滅後と書面で明らか→決定(414条・385条1項)/公判を開いて分かった→判決(414条・395条)
  • 趣意書の不備(期間内に出さない・方式違反・必要な資料の添付なし)→決定(414条・386条1項1号・2号)
  • 趣意書の理由が明らかに405条各号の事由に当たらない→決定(414条・386条1項3号)←Zの事実誤認・量刑不当はこの型
  • 審理して上告理由に当たる事由がない→判決(414条・396条)
  • 趣意書その他の書類で理由がないことが明らか→弁論を経ず判決(408条)
  • 405条の事由はあるが判決に影響を及ぼさないことが明らか→判決で棄却(410条1項但書)
  • 判例違反のみで判例を変更して原判決を維持するのが相当→判決で棄却(410条2項)
  • 決定への不服=異議の申立て(414条→386条2項→385条2項→428条2項)/判決への不服=上訴は不可・訂正の申立て(415条)

上告審の裁判を整理します。大きく2つです。上告棄却は、原判決を維持すること。原判決破棄は、取り消すことです。まず、棄却です。決定で棄却するか、判決で棄却するか。控訴審のところで見た分かれ目が、そのまま使えます。判決は、公判廷での審理を経てする裁判で、決定は、それを経なくてもできる裁判でした。判決は原則として公判での審理を経ますが、上告審では、第408条のように弁論を経ない判決もあります。書面を見ただけで不適法と分かるなら、公判を開くまでもないので、決定で足ります。公判を開いてから分かったのなら、判決で応えます。第414条が、第385条と第395条を準用しています。趣意書を期間内に出さない、方式に違反する、必要な資料を添えていない、というときも決定です。第386条第1項の第1号と第2号です。そして、Zに直結するのが、控訴審で見た第386条の、第3号です。上告趣意書に書かれた理由が、明らかに第405条各号の事由に当たらないときは、決定で棄却されます。Zの事実誤認と量刑不当の主張は、この型です。最高裁が第411条の職権発動をするかどうかは、別の話です。第411条は上告の理由ではない、と述べた先ほどの決定も、この第3号で上告を棄却していました。審理した結果、上告理由に当たる事由がなかったときは、判決で棄却します。第396条です。趣意書などの書類で、理由がないことが明らかなら、弁論を経ずに判決で棄却できる、というのが先ほどの第408条でした。もう1つ、第405条の事由はあるけれど、判決に影響を及ぼさないことが明らかな場合も、判決で棄却です。

条文刑事訴訟法第410条第1項・第2項

刑事訴訟法第410条 上告裁判所は、第四百五条各号に規定する事由があるときは、判決で原判決を破棄しなければならない。但し、判決に影響を及ぼさないことが明らかな場合は、この限りでない。 2 第四百五条第二号又は第三号に規定する事由のみがある場合において、上告裁判所がその判例を変更して原判決を維持するのを相当とするときは、前項の規定は、これを適用しない。

第410条第1項は、第405条の事由があるときは、判決で原判決を破棄しなければならない、と定めます。ただし書で、判決に影響を及ぼさないことが明らかなときは別です。第2項は、判例違反だけがある場合の特則です。これは、のちほど、実際の判例で見ます。不服の形も確認します。決定で棄却されたときは、その決定をした最高裁自身に、異議を申し立てることができます。控訴審のところで、高等裁判所の決定には抗告ができず、代わりに、同じ高等裁判所への異議がある、と見ました。その規定が、第414条の準用で、上告審にも当てはまるのです。異議の申立ては、3日以内にします。判決で棄却されたら、上訴はもうできません。最高裁が終審だからです。判決の内容に誤りがあるときの訂正の申立てが、あとで見る第415条です。

上告審の破棄と、破棄のあと。破棄:405条の事由あり→判決で破棄(410条1項本文)/405条の事由が無くても411条の事由+著しく正義に反する→判決で破棄(411条)/不法に管轄を認めた→移送(412条)。破棄のあと(413条):原則=差戻し(原裁判所=控訴審、または第一審裁判所へ)か、同等の他の裁判所への移送/例外=訴訟記録と原裁判所・第一審裁判所で取り調べた証拠で直ちに判決できるとき→自判(413条但書)。控訴審の400条との違い=差戻し先に第一審裁判所も入る 図:上告審の破棄と、破棄のあと

  • 破棄:405条の事由あり→判決で破棄(410条1項本文)/405条の事由が無くても411条の事由+著しく正義に反する→判決で破棄(411条)/不法に管轄を認めた→移送(412条)
  • 破棄のあと(413条):原則=差戻し(原裁判所=控訴審、または第一審裁判所へ)か、同等の他の裁判所への移送/例外=訴訟記録と原裁判所・第一審裁判所で取り調べた証拠で直ちに判決できるとき→自判(413条但書)
  • 控訴審の400条との違い=差戻し先に第一審裁判所も入る

次に、破棄です。第405条の事由があれば、第410条第1項で判決により破棄します。事由が無くても、第411条の事由があって、著しく正義に反するなら、破棄します。不法に管轄を認めたことを理由に破棄するときは、判決で事件を移送します。

条文刑事訴訟法第412条

刑事訴訟法第412条 不法に管轄を認めたことを理由として原判決を破棄するときは、判決で事件を管轄控訴裁判所又は管轄第一審裁判所に移送しなければならない。

では、破棄したあと、どうするのか。ここで、前回の問いを1つ、思い出してください。控訴審が原判決を破棄したあと、事件を差し戻さずに、控訴審が自分で判決をするのは、どんなときでしたか?訴訟記録と、原裁判所や控訴裁判所で取り調べた証拠によって、直ちに判決をすることができると認めるときです。自判といいました。上告審にも、同じ仕組みがあります。

条文刑事訴訟法第413条

刑事訴訟法第413条 前条に規定する理由以外の理由によつて原判決を破棄するときは、判決で、事件を原裁判所若しくは第一審裁判所に差し戻し、又はこれらと同等の他の裁判所に移送しなければならない。但し、上告裁判所は、訴訟記録並びに原裁判所及び第一審裁判所において取り調べた証拠によつて、直ちに判決をすることができるものと認めるときは、被告事件について更に判決をすることができる。

原則は、差戻しか移送です。控訴審の第400条と違うのは、差戻し先に、第一審裁判所も入っているところです。控訴審は、原裁判所、つまり第一審にしか戻せませんでした。上告審は、控訴審にも第一審にも戻せます。例外が、ただし書の自判です。Zに当てはめます。控訴審の高等裁判所の判決を破棄するなら、高等裁判所に差し戻すか、第一審の地方裁判所に差し戻すか、または、記録と、これまで取り調べた証拠だけで判断できるなら自判するか、です。差し戻された裁判所は、前に見たとおり、最高裁の破棄の判断に縛られます。縛るのは、原判決のこの判断は誤りだ、という否定の部分だけでした。

判例変更と第410条第2項

判例変更の流れ。性的意図を要するとした古い判例→弁護人が、原判決は古い判例に反すると主張(405条2号の判例違反)→大法廷が古い判例を変更→410条2項により原判決を維持するのを相当と認める→判例違反の主張は原判決破棄の理由にならない→上告棄却(判決)。判例違反があっても必ず破棄になるわけではない。410条2項が使える範囲=405条2号・3号の事由のみ。憲法違反(1号)には使えない。判例変更は小法廷ではできず大法廷の仕事(裁判所法10条3号) 図:判例変更の流れ

  • 性的意図を要するとした古い判例→弁護人が、原判決は古い判例に反すると主張(405条2号の判例違反)→大法廷が古い判例を変更→410条2項により原判決を維持するのを相当と認める→判例違反の主張は原判決破棄の理由にならない→上告棄却(判決)
  • 判例違反があっても必ず破棄になるわけではない
  • 410条2項が使える範囲=405条2号・3号の事由のみ
  • 憲法違反(1号)には使えない
  • 判例変更は小法廷ではできず大法廷の仕事(裁判所法10条3号)

判例違反があれば、原則として、破棄になります。けれど、必ずそうなるわけではありません。実例を見ます。事案です。強制わいせつ罪で起訴された被告人について、第一審は有罪でした。被告人は、金銭目的で、自分の性欲を満たす意図はなかった、と争いました。ところが、強制わいせつ罪の成立には行為者の性的意図が必要だ、とした最高裁の古い判例があります。弁護人は、この判例に原判決が反する、と主張しました。第405条第2号の、判例違反の主張です。原判決は、その判例を現時点で維持するのは相当でないとして、性的意図の有無は成立に影響しないとしていました。最高裁の大法廷は、こう言いました。

判例最大判平29・11・29 刑集71巻9号467頁

古い判例は変更される 今日では,強制わいせつ罪の成立要件の解釈をするに当たっては,被害者の受けた性的な被害の有無やその内容,程度にこそ目を向けるべきであって,行為者の性的意図を同罪の成立要件とする昭和45年判例の解釈は,その正当性を支える実質的な根拠を見いだすことが一層難しくなっているといわざるを得ず,もはや維持し難い。 …… しかし,そのような場合があるとしても,故意以外の行為者の性的意図を一律に強制わいせつ罪の成立要件とすることは相当でなく,昭和45年判例の解釈は変更されるべきである。

判例最大判平29・11・29 刑集71巻9号467頁

それでも原判決は維持される 以上によれば,刑訴法410条2項により,昭和45年判例を当裁判所の上記見解に反する限度で変更し,原判決を維持するのを相当と認めるから,同判例違反をいう所論は,原判決破棄の理由にならない。 …… よって,刑訴法414条,396条,刑法21条により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。

大法廷は、まず、行為者の性的意図を成立要件とする古い判例の解釈は、もはや維持し難いと言いました。次に、性的意図を一律に成立要件とするのは相当でなく、判例は変更されるべきだと述べました。そこで、第410条第2項により、古い判例を変更して、原判決を維持するのを相当と認めます。したがって、判例違反をいう主張は、原判決を破棄する理由にならない。結論は、上告棄却の判決です。筋道を整理します。判例違反の主張は、本来なら破棄の理由です。しかし、最高裁がその判例のほうを改めたのなら、原判決は、改められた新しい解釈に沿っていることになります。判例違反を理由に原判決を破棄する意味が、なくなるのです。決め手は、判例を変えることで原判決の結論が相当になる点にあります。

条文裁判所法第10条

裁判所法第10条 事件を大法廷又は小法廷のいずれで取り扱うかについては、最高裁判所の定めるところによる。但し、左の場合においては、小法廷では裁判をすることができない。 一 当事者の主張に基いて、法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを判断するとき。(意見が前に大法廷でした、その法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するとの裁判と同じであるときを除く。) 二 前号の場合を除いて、法律、命令、規則又は処分が憲法に適合しないと認めるとき。 三 憲法その他の法令の解釈適用について、意見が前に最高裁判所のした裁判に反するとき。

判例を変更するのは、小法廷ではできません。第10条第3号で、前の最高裁の裁判に反する意見をとるときは、大法廷の仕事です。この判決も大法廷で、裁判官全員一致でした。第410条第2項が使える範囲も確認します。第405条の第2号か第3号、つまり判例違反の事由だけがある場合に限られます。憲法違反の主張には使えません。憲法違反があれば、第1項本文で破棄になります。判決に影響を及ぼさないことが明らかなときは、ただし書で棄却です。ここは、論文でも問われうる箇所です。

訂正判決と確定時期

訂正判決と確定のタイムライン。判決の宣告→10日以内に訂正の申立て(415条1項・2項。検察官・被告人・弁護人。期間は延長できる=3項)→訂正する場合は訂正の判決(416条・弁論不要)/訂正しない場合は速やかに決定で申立てを棄却(417条1項)。訂正の判決に対して更に訂正の申立てはできない(417条2項)。確定(418条)=宣告から10日(415条の期間)を経過したとき、または期間内に申立てがあれば訂正の判決・棄却決定のとき。上告審の判決は宣告と同時には確定しない。訂正の申立ては上訴ではない(判決を出した最高裁自身への申立て) 図:訂正判決と確定のタイムライン

  • 判決の宣告→10日以内に訂正の申立て(415条1項・2項。検察官・被告人・弁護人。期間は延長できる=3項)→訂正する場合は訂正の判決(416条・弁論不要)/訂正しない場合は速やかに決定で申立てを棄却(417条1項)
  • 訂正の判決に対して更に訂正の申立てはできない(417条2項)
  • 確定(418条)=宣告から10日(415条の期間)を経過したとき、または期間内に申立てがあれば訂正の判決・棄却決定のとき
  • 上告審の判決は宣告と同時には確定しない
  • 訂正の申立ては上訴ではない(判決を出した最高裁自身への申立て)

最後に、上告審の判決のあとです。上告審の判決は、もう上訴できませんが、内容に誤りがあることもありえます。そのための仕組みが、訂正の申立てです。

条文刑事訴訟法第415条第1項〜第3項

刑事訴訟法第415条 上告裁判所は、その判決の内容に誤のあることを発見したときは、検察官、被告人又は弁護人の申立により、判決でこれを訂正することができる。 2 前項の申立は、判決の宣告があつた日から十日以内にこれをしなければならない。 3 上告裁判所は、適当と認めるときは、第一項に規定する者の申立により、前項の期間を延長することができる。

条文刑事訴訟法第416条

刑事訴訟法第416条 訂正の判決は、弁論を経ないでもこれをすることができる。

判決の内容に誤りがあることを発見したとき、検察官、被告人、弁護人の申立てにより、判決で訂正できます。申立ては、判決の宣告があった日から10日以内です。最高裁が適当と認めれば、期間を延長できます。訂正の判決は、弁論を経ないでもできます。この申立ては、上訴ではありません。判決を出した最高裁自身への申立てです。

条文刑事訴訟法第417条第1項・第2項

刑事訴訟法第417条 上告裁判所は、訂正の判決をしないときは、速やかに決定で申立を棄却しなければならない。 2 訂正の判決に対しては、第四百十五条第一項の申立をすることはできない。

条文刑事訴訟法第418条

刑事訴訟法第418条 上告裁判所の判決は、宣告があつた日から第四百十五条の期間を経過したとき、又はその期間内に同条第一項の申立があつた場合には訂正の判決若しくは申立を棄却する決定があつたときに、確定する。

訂正しないときは、速やかに決定で申立てを棄却します。訂正の判決に対して、さらに訂正を申し立てることはできません。確定の時期には、注意が要ります。上告裁判所の判決は、宣告から10日が過ぎたときに確定します。10日の間に申立てがあれば、訂正の判決か、申立てを棄却する決定があったときに確定します。つまり、上告審の判決は、宣告と同時には確定しません。

節目のミニ事例

節目のミニ事例。設定を入れ替えて結論を確かめる。問1=Zの上告趣意が「目撃者の証言は信用できない」「刑が重すぎる」だけ→明らかに405条各号に当たらない→決定で棄却(414条・386条1項3号)。設定を替え、Zが令状なしの捜索差押えが憲法35条に反すると具体的に主張→405条1号の問題として審理(理由がなければ判決で棄却=396条)。問2=趣意に「憲法31条違反」と書かれているが中身は目撃証言の信用性を争うだけ→実質が事実誤認=適法な上告理由にあたらない。問3=控訴審の判断が最高裁判例と相反(2号)。最高裁がその判例を維持→破棄(410条1項本文)/判例を変更し原判決の結論は相当→棄却(410条2項)。憲法違反(1号)に替えると2項は使えず1項本文で破棄。問4=Zの事実誤認の主張。軽微で判決に影響しない→411条3号の事由に当たらない/重大で破棄しなければ著しく正義に反する→職権で破棄しうる。問5=上告棄却の判決の宣告後、10日間何もなし→10日経過で確定/9日目に弁護人が訂正申立て→訂正判決か棄却決定のときに確定。分かれ目=何を理由にするか/何号か/維持か変更か/重大さ/期間 図:節目のミニ事例

  • 設定を入れ替えて結論を確かめる
  • 問1=Zの上告趣意が「目撃者の証言は信用できない」「刑が重すぎる」だけ→明らかに405条各号に当たらない→決定で棄却(414条・386条1項3号)
  • 設定を替え、Zが令状なしの捜索差押えが憲法35条に反すると具体的に主張→405条1号の問題として審理(理由がなければ判決で棄却=396条)
  • 問2=趣意に「憲法31条違反」と書かれているが中身は目撃証言の信用性を争うだけ→実質が事実誤認=適法な上告理由にあたらない
  • 問3=控訴審の判断が最高裁判例と相反(2号)
  • 最高裁がその判例を維持→破棄(410条1項本文)/判例を変更し原判決の結論は相当→棄却(410条2項)
  • 憲法違反(1号)に替えると2項は使えず1項本文で破棄
  • 問4=Zの事実誤認の主張
  • 軽微で判決に影響しない→411条3号の事由に当たらない/重大で破棄しなければ著しく正義に反する→職権で破棄しうる
  • 問5=上告棄却の判決の宣告後、10日間何もなし→10日経過で確定/9日目に弁護人が訂正申立て→訂正判決か棄却決定のときに確定
  • 分かれ目=何を理由にするか/何号か/維持か変更か/重大さ/期間

節目のミニ事例です。設定を入れ替えて、結論がどう変わるかを確かめます。1つ目。Zの上告趣意が、目撃者の証言は信用できない、刑が重すぎる、の2点だけだったとします。最高裁は、どう処理するでしょうか。明らかに第405条の各号に当たらないので、決定で棄却です。第414条と、第386条第1項第3号です。では、Zが、令状なしの捜索差押えが憲法第35条に違反する、と具体的に主張し、控訴審の憲法判断の当否が問題になったら、どうでしょうか。第405条の第1号の問題として、きちんと審理されます。理由がなければ、判決で棄却です。2つ目。Zの趣意に、憲法第31条違反と書いてあります。けれど中身は、目撃証言の信用性を争うだけです。適法な上告理由になるでしょうか。

なりません。実質が事実誤認なので、名前だけの憲法違反では、門は開きません。3つ目。控訴審の判断が、最高裁の判例と相反していたとします。最高裁がその判例を維持するなら、破棄です。判例を変更して、原判決の結論は相当だとするなら、どうなるでしょうか。第410条第2項で、棄却です。では、問題となる事由が、判例違反ではなく憲法違反だったら、第2項は使えるでしょうか。使えません。第1項本文で破棄になります。判決に影響を及ぼさないことが明らかなときだけ、ただし書で棄却です。4つ目。Zの事実誤認の主張が、軽微で、判決に影響しないものだったら、第411条第3号の事由に当たるでしょうか。

当たりません。重大な事実誤認でないと、第3号になりません。重大で、有罪の認定が揺らぐほどであり、破棄しなければ著しく正義に反するなら、最高裁は職権で破棄しうる、というのが、強盗殺人の事件で見た型です。では、5つ目です。上告棄却の判決が宣告されました。10日たつまで、誰も何も申し立てませんでした。いつ確定しますか。では、9日目に弁護人が訂正を申し立てたら、どうなるでしょうか。訂正の判決か、棄却の決定があったときに確定します。宣告と同時には確定しません。1つ目は、第405条に当たるか。2つ目は、実質で判断されること。3つ目は、判例を維持か変更か、何号か。4つ目は、重大さと著しい正義違反。5つ目は、期間と申立てです。それぞれが、結論の分かれ目でした。

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まとめ。Zの答え=①事実誤認・量刑不当は405条の上告理由に当たらない②しかし411条の事由(2号・3号)があって、破棄しなければ著しく正義に反すると最高裁が認めれば、職権で破棄される。Zが主張しても発動を促すにすぎない。上告の入口は3つ=上告理由(405条)=憲法違反・憲法解釈の誤り・判例違反(権利)/上告受理(406条)=法令の解釈に関する重要な事項・最高裁の裁量/職権発動(411条)=著しく正義に反するとき・最高裁の裁量。上告審の裁判=棄却(決定=明らかに405条に当たらない等/判決=審理して理由なし・影響なし・判例変更)/破棄(410条1項・411条・412条)→差戻し・移送が原則、直ちに判決できるとき自判(413条)。確定=宣告から10日(申立てがあれば訂正判決・棄却決定のとき) 図:まとめ

  • Zの答え=①事実誤認・量刑不当は405条の上告理由に当たらない②しかし411条の事由(2号・3号)があって、破棄しなければ著しく正義に反すると最高裁が認めれば、職権で破棄される
  • Zが主張しても発動を促すにすぎない
  • 上告の入口は3つ=上告理由(405条)=憲法違反・憲法解釈の誤り・判例違反(権利)/上告受理(406条)=法令の解釈に関する重要な事項・最高裁の裁量/職権発動(411条)=著しく正義に反するとき・最高裁の裁量
  • 上告審の裁判=棄却(決定=明らかに405条に当たらない等/判決=審理して理由なし・影響なし・判例変更)/破棄(410条1項・411条・412条)→差戻し・移送が原則、直ちに判決できるとき自判(413条)
  • 確定=宣告から10日(申立てがあれば訂正判決・棄却決定のとき)

Zの2つの問いに、順に答えます。1つ目。事実誤認と量刑不当は、第405条の上告理由に当たりません。上告の申立ては、明らかに第405条に当たらないとして、決定で棄却されるのが通常です。2つ目。それでも、救済の道は残されています。第411条の2号や3号の事由があって、破棄しなければ著しく正義に反すると最高裁が認めれば、職権で原判決を破棄します。ただし、Zが主張しても、職権の発動を促すにすぎません。上告の入口は、3つありました。1つ目は、上告理由です。憲法違反、憲法解釈の誤り、判例違反があれば、当事者が上告できます。2つ目は、上告受理です。法令の解釈に関する重要な事項を含む事件を、最高裁が自分の裁量で受理します。3つ目は、職権発動です。著しく正義に反するときに、最高裁が自分の裁量で破棄します。入ったあとの結論は、棄却か破棄です。棄却は、明らかに第405条に当たらないときなどは決定、審理して理由がない、影響がない、判例を変更して原判決が相当、というときは判決です。破棄したあとは、差戻しか移送が原則で、直ちに判決できるときだけ自判です。上告審の判決は、宣告から10日が過ぎたとき、その間に訂正の申立てがあれば、その結論が出たときに、確定します。なお、控訴と上告は、どちらも判決に対する上訴でした。決定に対する上訴が抗告で、命令に対しては準抗告があります。

参照条文

  • 憲法第81条
  • 刑事訴訟法第405条
  • 刑事訴訟法第406条
  • 刑事訴訟規則第257条
  • 刑事訴訟法第414条
  • 刑事訴訟法第407条
  • 刑事訴訟法第408条
  • 刑事訴訟法第409条
  • 刑事訴訟法第411条
  • 刑事訴訟法第410条第1項・第2項
  • 刑事訴訟法第412条
  • 刑事訴訟法第413条
  • 裁判所法第10条
  • 刑事訴訟法第415条第1項〜第3項
  • 刑事訴訟法第416条
  • 刑事訴訟法第417条第1項・第2項
  • 刑事訴訟法第418条

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